説明

カレンダ

【課題】動作が低コストである他に僅かな保守しか必要としない、カレンダを提供する。
【解決手段】カレンダ1は、製品ウェブを処理するためのカレンダであって、ニップ3を成形する少なくとも2つのロールを有する少なくとも1つのロールスタック2と、少なくとも1つの端ロールとしてのたわみ制御ロール4とを有している。たわみ制御ロール4は、ロールシェル5のシェル内周面8に制御可能な力要素圧力を加えるための径方向に可動の力要素16を有する油圧軸受構成15と、力要素16の作用の方向に対して反対にプレストレス圧力を加えることができる少なくとも1つの加圧装置21とを有する。加圧装置21は、ニップ3内に設定可能な負荷に必要とされる線力のレベルの関数として連結したり遮断したりすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品ウェブを処理するためのカレンダに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのカレンダは、たとえば特許文献1または特許文献2から知られている。それによれば、ロールスタックの2つの端ロールの両方または少なくとも1つが、たわみ制御ロールとして構成される。たわみ制御ロールは、ロール構成および/または処理すべき製品ウェブから生じる可能性があるロールの横方向の短波および長波の形状誤差をなくすために使用される。形状付けは全てもっぱら油圧式に行われ、グループまたは個々に駆動される油圧軸受構成の力要素で行うことができる。補正幅および位置付けの正確さの他に、局所の線力補正、いわば補正ポテンシャルの大きさが横方向の形状付け中に極めて大きい影響を与える。
【0003】
補正ポテンシャルを最適化するには、少なくとも2つの連続する完全に満たされた力要素の列を有するたわみ制御ロールの構築が知られている。この場合、ニップに対向する力要素を個々に駆動することができる。この目的で、後向きに方向付けられた力要素の少なくとも第2の列の力要素はロールの全長にわたって均一のプレストレス圧力を生成する。力要素の少なくとも第2の列からのこの均一のプレストレス圧力は、ニップに対向する力要素の要素圧力が人工的に増加される効果を有する。こうすると、より高い圧力および力の逆転を局所の形状補正に使用することができる。力要素の少なくとも第2の列の提供は構造的に複雑である。さらに、少なくとも第2の列の力要素を有するたわみ制御ロールにはより大きい駆動力が必要とされ、それによってカレンダの運転コストが増加する。
【0004】
補正ポテンシャルを最適化するには、個々に駆動することができ、その結果、選択可能な要素圧力を生成するニップに対向する油圧式力要素の列の他に、環状室圧力として知られている、ロール搬送体とロールシェルとの間の規定の油圧を有する環状空間の作用が、やはり特許文献3から知られている。この要素圧力と環状室圧力の相互作用の結果、2つの異なる局所力作用を得ることができる。要素圧力が周囲の環状室圧力よりも高い場合は、ニップに向けられる力の作用が最大圧力によってもたらされ、または要素圧力が周囲の環状室圧力よりも低い場合は、低圧力域によってニップから離れる力の作用がもたらされる。したがって、力要素は正圧要素と負圧要素の両方の働きをすることができる。この場合の欠点は、油入環状室を有するたわみ制御ロールは、環状室内の油の渦損失のために、より大きい駆動力を必要とすることである。
【特許文献1】独国特許第32 01 635 C2号
【特許文献2】独国特許第196 50 576 C2号
【特許文献3】独国特許第38 20 974 C3号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、動作が低コストである他に僅かな保守しか必要としない、カレンダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的を達成するため、本発明のうち請求項1に係るカレンダは、製品ウェブを処理するためのカレンダであって、線力を負荷することができるニップを成形する少なくとも2つのロールを有する少なくとも1つのロールスタックと、少なくとも1つの端ロールとしてのたわみ制御ロールとを有し、前記たわみ制御ロールは固定された支持部によって貫通された回転可能なロールシェルを有するように構築され、支持部とロールシェルの間に配置された油圧軸受構成であってロール長に沿って軸方向に隣接して配置された個々の取付部で形成されるとともに、それぞれロールシェルのシェル内周面に制御可能な力要素圧力を加えるための径方向に可動の力要素を有する油圧軸受構成と、前記力要素の作用の方向に対して反対にプレストレス圧力を加えることができる少なくとも1つの加圧装置とを有するカレンダにおいて、前記加圧装置は、前記たわみ制御ロールによって境界付けられる前記ニップ内に設定可能な負荷に必要とされる線力のレベルの関数として連結したり遮断したりすることができることを特徴としている。
【0007】
また、本発明のうち請求項2に係るカレンダは、請求項1記載のカレンダにおいて、前記加圧装置は、線力10から200N/mm未満の負荷に必要とされる線力で連結することができることを特徴としている。
本発明のうち請求項3に係るカレンダは、請求項1又は2記載のカレンダにおいて、加圧および/または潤滑液体を前記取付部および前記加圧装置に供給する少なくとも1つの液体供給部が設けられることを特徴としている。
本発明のうち請求項4に係るカレンダは、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載のカレンダにおいて、前記加圧装置が環状空間で形成され、前記環状空間に任意選択の油圧を前記ロールシェルと前記固定支持部との間に加えることができることを特徴としている。
【0008】
本発明のうち請求項5に係るカレンダは、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載のカレンダにおいて、前記加圧装置が、前記たわみ制御ロールに沿って前記油圧軸受構成に対して後向きに方向付けられた静圧支持ラムまたは油圧シール要素を有することを特徴としている。
本発明のうち請求項6に係るカレンダは、請求項5記載のカレンダにおいて、前記静圧支持ラムまたは油圧シール要素が機械的または油圧式引込装置によって引き込み可能に構築されることを特徴としている。
本発明のうち請求項7に係るカレンダは、請求項6記載のカレンダにおいて、設けられた前記機械的引込装置は、引張ばねであることを特徴としている。
【0009】
本発明のうち請求項8に係るカレンダは、請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載のカレンダにおいて、加圧装置を有するように構築された前記たわみ制御ロールは、前記ロールシェルの内周に隣接する修理位置内に変位することができる少なくとも1つのワイパを有することを特徴としている。
本発明のうち請求項9に係るカレンダは、請求項8記載のカレンダにおいて、前記ワイパは、前記加圧装置の連結によって修理位置から引き込めることができることを特徴としている。
【0010】
本発明のうち請求項10に係るカレンダは、請求項8又は9記載のカレンダにおいて、前記ワイパに案内面および拭い取られた液体を収容する収集室が与えられることを特徴としている。
本発明のうち請求項11に係るカレンダは、請求項1乃至10のうちいずれか一項に記載のカレンダにおいて、前記力要素が静圧支持ラムとして構築されることを特徴としている。
更に、本発明のうち請求項12に係るカレンダは、請求項1乃至11のうちいずれか一項に記載のカレンダにおいて、前記力要素が油圧シール要素として構築されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の目的は請求項1の特徴によって達成される。
本発明に係るカレンダによれば、加圧装置を連結したり遮断したりして、たわみ制御ロールによって境界付けられるニップ内に設定可能な負荷に必要とされる線力のレベルの関数として形状誤差の補正ポテンシャルを増加するカレンダが作成される。ロールの幾何学的誤差および製品ウェブによって生じる形状誤差、具体的には厚さの差異、単位面積当たりの質量の差異、およびロールの横方向の水分の差異を補正することができる。
【0012】
また、本発明によれば、認識されているように、プレストレス圧力または環状室圧力のレベルは消費される駆動力にとって付随的に重要である。環状室内の油は確実に駆動力を増加させ、大きい渦損失をもたらす。加圧装置は油をたわみ制御ロールの環状室内に追加して通す働きをする。少なくとも1つの力要素の第2の列が好ましく構築された場合は、摩擦損失が生じ、追加の油がロールの環状空間に入る。油入環状室または油入環状空間が好ましく形成された場合は、ロール内に特に大量の油が存在する。本発明によれば、したがって、ニップから離れるように方向付けた力を生成する加圧装置を通過し、追加としてカレンダの特定の動作モードでだけたわみ制御ロールの環状空間に到達するように環状空間内に入る油が提供される。
【0013】
駆動力を低減するには、少なくとも1つのたわみ制御ロールが、具体的には連結または遮断が可能な加圧装置による2つの動作モードを有するように構築される。カレンダ内で現在もたらされている線力によって、適切な動作モードが活動化される。こうすると、カレンダの動作に必要なエネルギが最小限に抑えられる。その結果、高速のウェブ速度約2000m/分で30%まで駆動力を低減することが可能である。
加圧装置の連結が、小さい線力で線力補正に十分な補正ポテンシャルを提供するためにだけ行われることが好ましい。力要素の要素圧力によって、いわゆる低圧力域を加圧装置によるプレストレスに対して生成することができる。
【0014】
より高い線力の領域では、たわみ制御ロール自体の補正ポテンシャルは力要素の要素圧力に基づくことができる。その場合は要素圧力が十分高く、負の形状補正のために力要素の油圧を低下させることができる。本発明によれば、したがって、遮断すべき補正ポテンシャルを生成する追加の加圧装置が提供される。紙によって、値10から200N/mmの範囲でより高い線力とみなされる。
さらに好ましくは、加圧装置の連結および遮断によって、加圧装置が遮断された場合にロールシェルの内周に隣接する修理位置内に旋回し、加圧装置が連結された場合は修理位置から離れるように旋回することができる調整可能なワイパが制御される。特に好ましくは、ワイパの位置付けが加圧装置の連結および遮断の能力によって自己制御式に行われる。
【0015】
さらに好ましくは、加圧装置は、油圧軸受構成に対して後向きに方向付けられた静圧支持ラムによって、かつ/またはロールシェルと支持部の間の環状空間によって形成され、それに対して要望どおりに油圧を加えることができる。支持ラムによる加圧装置では、均一または局所的に不均一のプレストレス圧力の設定が可能であるが、構築の費用が増加する。油入環状空間で設定可能な油圧には均一のプレストレス圧力が必要である。しかし、大きい補正ポテンシャルの設定は簡単な構成の構造によって行われる。
力要素および加圧装置は好ましくは油圧式に作動し、その目的で少なくとも1つの液体または油供給部が設けられる。この場合は、力要素を静圧支持要素またはシール要素として構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を添付の図で示した例示の実施形態を使用して以下でより詳細に説明する。
図1には、少なくとも1つのロールスタック2を有する、製品ウェブ、具体的には紙または板紙ウェブ、あるいはティッシュウェブを処理するためのカレンダ1が示される。
ロールスタック2は少なくとも2つのロールを有し、2つのロールの間にその都度線力を負荷することができるニップ3が形成される。製品ウェブは、図示していないが、特定のウェブ速度で1つまたは複数のニップ3を通過して、圧力処理を受け、適切な場合は温度処理を受ける。製品ウェブの両面処理の目的で、少なくとも1つのロールスタック2は、反転ロールニップを有する選択可能な数のロールを有することができ、または互いに前後あるいは上下に並んで配置された少なくとも2つのロールスタックを有し、好ましくは製品ウェブ側の変化が少なくとも2つのロールスタックの間で生じるようになされる。負荷面を、垂直、水平、または垂直に対して任意選択の傾斜角を有するように設計することができる。
【0017】
ロールスタック2の少なくとも1つの端ロール、この図ではロールスタック2の底部ロールが、たわみ制御ロール4として構築される。従来の硬質または軟質ロール9がたわみ制御ロール4に隣接して配置されて、たわみ制御ロール4との硬質または軟質のニップ3が形成される。たわみ制御ロール4を同様に硬質または軟質ロールとして構築することもできる。ロールスタック2のニップ3の数を選択することができ、その数は製品ウェブのタイプ、具体的には紙のグレードおよびスーパーカレンダリングパラメータに依存する。さらに、それぞれが、ニップ3を形成する2つのたわみ制御ロール4を有する2つのロールスタックを提供することができる。前記ロールは硬質および/または軟質でもよい。
【0018】
たわみ制御ロール4は回転可能なロールシェル5を有し、ロールシェル5の外周6は作動ロールの円周を形成する。ロールシェル5はロール管またはロールシェルとして構築される。ロールシェル5の長さに沿って、ロールシェル5の内周8から間隔をおいて配置される固定主桁である固定支持部7が通過する。ロールシェル5は環状空間12を包囲し、環状空間12内に支持部7が配置される。支持部7は、その両端10が軸受13内で、その都度回転不可能に、適切な場合は旋回可能になるように取り付けられる。
【0019】
たわみ制御ロール4の軸受13および従来のロール9のジャーナル11は、ロールスタンド(図示せず)内を案内され、負荷装置(図示せず)によって互いに押し付けられることができる。その結果、負荷に必要とされる線力を設定することができる。別法として、または追加として、負荷を支持部7に対するロールシェル5の変位によって設定することもできる。
ロールシェル5を支持部7に対して回転させることができ、その目的でロールシェル5はその都度縁軸受ユニット14の両端で支持される。
【0020】
支持部7とロールシェル5との間には、少なくとも1つの活動範囲に沿ってロールシェル5を支持するための油圧軸受構成15が配置される。油圧軸受構成15は、ロールの長さに沿って互いに隣接するように軸方向に配置された個々の取付部によって形成され、それぞれ制御可能な要素圧力をロールシェル5のシェル内周面8に加えるための径方向に可動の力要素16を有する。力要素16にその都度圧力媒体から調整可能な圧力を加えて、力要素16を、シリンダの盲穴19内で径方向に油圧式に移動させることができるとともに、ロールシェル5の内周8上の適切に形状付けられた端面20を支承するピストン要素として形成することができる。力要素16はロールシェル5と支持部7との間に圧力を加えるために設けられる。具体的には力要素16の構成に応じて、たとえば供給管路17、18による共通または個別の液体供給を有する静圧支持要素またはシール要素として、接触圧または静圧に圧力媒体を使用することができる。力要素16はニップ3に対向する。
【0021】
たわみ制御ロール4は少なくとも1つの加圧装置21をさらに備え、それによってプレストレス圧力を力要素16の作用の方向に対して逆に加えることができる。プレストレス圧力は、いわば力要素16の加圧方向に対して後向きに反対に方向付けられる。加圧装置21を、たわみ制御ロール4によって境界付けられるニップ3内に設計可能な負荷に必要とされる線力レベルの関数として連結したり遮断したりすることができる。加圧装置21は、負荷に必要とされる線力10から200N/mm、具体的には20から100N/mm未満の線力で連結できることが好ましい。
【0022】
第1の実施形態によれば、加圧装置21は環状空間12によって形成され、任意選択の油圧をロールシェル5と支持部7との間に加えることができる。環状空間12は、図示していないが、両端で軸シールによって密閉されており、貯蔵容器24から供給管路22を介して加圧液体を充填することができる。貯蔵容器24内の加圧液体を管路23を介して戻すことができる。管路23内に圧制限弁25が存在し、それによって、環状空間12に環状空間圧力として知られている予め規定可能な圧力を設定し維持することができる。加圧液体は、貯蔵容器24から除去されりと共に搬送されて、供給管路22に連結されたポンプ26によって好ましくは40から60バールに加圧される。環状空間圧力によって、たわみ制御ロール4がその補正ポテンシャルを引き出すプレストレスが生成される。なぜなら、要素圧力と環状空間圧力の相互作用から、2つの異なる局所の力効果、すなわち、要素圧力が周囲の環状空間圧力よりも高い場合はニップ3に向けられる加圧地帯、または要素圧力が周囲の環状空間圧力よりも低い場合は低圧力域を生成することができるからである。負荷に必要とされる線力が高い領域、具体的には20から100N/mmを超える線力の領域では、たわみ制御ロール4の補正ポテンシャルを要素圧力だけから引き出すことができる。その場合は要素圧力が十分高く、負の形状誤差のために力要素16の油圧を低下させることができる。その場合、加圧装置21による低圧力域の生成が不要である。したがって、加圧装置21の起動のためにポンプ26のスイッチを入れたり切ったりすることができる。
【0023】
図4は、油の充填中に環状空間12内に発生し、駆動力の吸収に関連する渦流を概略的に示す図である。図7に駆動力が速度の関数として示されている。図で示した破線は加圧装置が連結された状態の駆動力である。連続線は加圧装置が遮断された状態の駆動力を示す。ウェブ速度500m/分未満では、駆動力の吸収は、どちらの場合もほぼ等しい。ウェブ速度約2000m/分の場合、加圧装置によって生じる力吸収の割合、具体的には渦損失および/または摩擦損失を省いた場合、駆動力は約30%減少する。
最後に、力要素16の各シリンダの盲穴19に圧力媒体が周知の方法で個々にまたはゾーンで供給管路17、18を介して供給することができ、供給は制御装置35を介して行われる。圧力媒体を貯蔵容器24から取り外し、ポンプ36で加圧することができる。
【0024】
図5および図6で示した第2の例示の実施形態によれば、加圧装置40は、力要素16に対して後向きに方向付けられた静圧支持ラム37を有し、支持ラム37は均一のプレストレスを生成し、そのために互いに隣接して列に配置される。別法として、支持ラム37を油圧シール要素として構築することもできる。静圧支持ラム37は、好ましくは、共通の供給管路22および排出管路23に連結される。支持ラム37を連結したり遮断したりすることができる。遮断は支持ラム37を後ろに引くことによって行われ、それによって、ロール4の駆動力が吸収される恐れがある機械的かつ油圧の摩擦損失、ならびにロールシェル5の内周8上での支持中に油があふれる事態の発生が回避される。図6は、ロールシェル5の内周8との接触が全く存在しないようになされた支持ラム37の環状空間12内の引込位置を示す。
【0025】
静圧支持ラム37によって、油圧が増加される油入環状空間12と同様に、ニップから離れるように方向付けられた力をロールの長さに沿って生成することができる。油入環状空間12は、ロールシェル5がニップから離れる方向に設定された力に関係なく実質的に円形の形状を維持する利点を有するが、静圧支持ラム37によって、ロールシェル5は、力がニップから離れる方向に設定された場合に円形の形状から変形される。静圧支持ラム37を周知の方法で構築することができる。支持ラム37を引き込めるために、機械的または油圧式引込装置を設けることができる。図6によれば、機械的引込装置を、たとえば引張ばね41によって形成することができる。
【0026】
図1乃至図4の例示の実施形態に関連してすでに記載したように、加圧装置40の連結によってワイパ27を修理位置から後退させ、または引き込めることができることが好ましい。ワイパ27が修理位置に永久に配置されることが好ましくない場合は、機械的または油圧式引込装置41が活動化された場合に、すなわち支持ラムまたは油圧シール要素が非活動化された場合に、ワイパ27が修理位置に設定される。これを自己制御式に、またはワイパの起動と引込装置の起動を結合することによって行うことができる。
【0027】
加圧装置21、40を有するように構築されたたわみ制御ロール4は、ロールシェル5の内周8に隣接する修理位置内に変位することができる少なくとも1つのワイパ27を有する。ワイパ27は環状空間12内に配置される。本発明は、加圧装置21、40が連結された場合にワイパ27が修理位置から後退され、具体的には旋回して戻されるように構成されたワイパ27を提供する。修理位置から後退される能力が自己制御式に提供されることが特に好ましい。この目的で、ワイパ27は、好ましくは、加圧装置21、40の活動化に応答する作動装置28を有する。図1乃至図6で示した例示の実施形態によれば、ワイパ27は2本アームのレバーとして構築される。この図では、ロールシェル5の内周8に隣接する修理位置に位置合せすることができるレバーアームは、引張ばね29に取り付けられる。たとえば膨張可能なホースなど作動装置28は、引張ばね29の引力に対して反対に動作し、ポンプ31を有する空気供給管路30に連結される。環状空間12に油を充填する場合、図3で示したように、この場合はホースを圧縮することによって作動装置28が非活動化されて、ワイパ27が引張ばね29の引力によって修理位置(図2を参照)から離れるように旋回される。ワイパ27を旋回可能に構築する他に、変位可能に構築することができる。
【0028】
ワイパ27に案内面34および拭い取られた液体を収容する出口32を有する収集室33が与えられる。出口32は、好ましくは排出管路38に連結され、排出管路38を起動要素39によって要望どおりに開放または閉鎖することができる。加圧装置21、40が連結された場合は、起動要素39が閉鎖される。加圧装置21、40が遮断された場合は、起動要素39が開放される。使用される起動要素39は具体的には弁でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の例示の実施形態による、端ロールとして縦断面で部分的に示したたわみ制御ロールを有するカレンダの小領域を示す概略図である。
【図2】ワイパが修理位置に旋回された状態の図1のA−Aに沿って切り取られた概略断面図である。
【図3】ワイパが修理位置から離れるように旋回された状態の図1のA−Aに沿って切り取られた概略断面図である。
【図4】ワイパが自己制御式に修理位置から離れるように旋回された状態の図1のA−Aに沿って切り取られた概略断面図である。
【図5】第2例示の実施形態による、端ロールとして縦断面で部分的に示したたわみ制御ロールを有するカレンダの小領域を示す概略図である。
【図6】ワイパが修理位置に旋回された状態の図5の概略断面図である。
【図7】加圧装置が接続され遮断されたたわみ制御ロールの速度の関数としての駆動力を示すグラフである。
【符号の説明】
【0030】
1 カレンダ
2 ロールスタック
3 ニップ
4 たわみ制御ロール
5 ロールシェル
6 外周
7 支持部
8 内周
9 従来のロール
10 端部
11 ジャーナル
12 環状空間
13 軸受
14 縁軸受ユニット
15 油圧軸受構成
16 力要素
17、18 供給管路
19 シリンダの盲穴
20 端面
21、40 加圧装置
22、23、38 排出管路
24 貯蔵容器
25 圧制御弁
26、31、36 ポンプ
27 ワイパ
28 作動装置
29 引張ばね
30 空気供給管路
32 出口
33 収集室
34 案内面
35 制御装置
37 油圧シール要素
39 起動要素
41 引込装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品ウェブを処理するためのカレンダであって、線力を負荷することができるニップを成形する少なくとも2つのロールを有する少なくとも1つのロールスタックと、少なくとも1つの端ロールとしてのたわみ制御ロールとを有し、前記たわみ制御ロールは固定された支持部によって貫通された回転可能なロールシェルを有するように構築され、支持部とロールシェルの間に配置された油圧軸受構成であってロール長に沿って軸方向に隣接して配置された個々の取付部で形成されるとともに、それぞれロールシェルのシェル内周面に制御可能な力要素圧力を加えるための径方向に可動の力要素を有する油圧軸受構成と、前記力要素の作用の方向に対して反対にプレストレス圧力を加えることができる少なくとも1つの加圧装置とを有するカレンダにおいて、前記加圧装置は、前記たわみ制御ロールによって境界付けられる前記ニップ内に設定可能な負荷に必要とされる線力のレベルの関数として連結したり遮断したりすることができることを特徴とするカレンダ。
【請求項2】
前記加圧装置は、線力10から200N/mm未満の負荷に必要とされる線力で連結することができることを特徴とする請求項1記載のカレンダ。
【請求項3】
加圧および/または潤滑液体を前記取付部および前記加圧装置に供給する少なくとも1つの液体供給部が設けられることを特徴とする請求項1又は2記載のカレンダ。
【請求項4】
前記加圧装置が環状空間で形成され、前記環状空間に任意選択の油圧を前記ロールシェルと前記固定支持部との間に加えることができることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載のカレンダ。
【請求項5】
前記加圧装置が、前記たわみ制御ロールに沿って前記油圧軸受構成に対して後向きに方向付けられた静圧支持ラムまたは油圧シール要素を有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載のカレンダ。
【請求項6】
前記静圧支持ラムまたは油圧シール要素が機械的または油圧式引込装置によって引き込み可能に構築されることを特徴とする請求項5記載のカレンダ。
【請求項7】
設けられた前記機械的引込装置は、引張ばねであることを特徴とする請求項6記載のカレンダ。
【請求項8】
加圧装置を有するように構築された前記たわみ制御ロールは、前記ロールシェルの内周に隣接する修理位置内に変位することができる少なくとも1つのワイパを有することを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載のカレンダ。
【請求項9】
前記ワイパは、前記加圧装置の連結によって修理位置から引き込めることができることを特徴とする請求項8記載のカレンダ。
【請求項10】
前記ワイパに案内面および拭い取られた液体を収容する収集室が与えられることを特徴とする請求項8又は9記載のカレンダ。
【請求項11】
前記力要素が静圧支持ラムとして構築されることを特徴とする請求項1乃至10のうちいずれか一項に記載のカレンダ。
【請求項12】
前記力要素が油圧シール要素として構築されることを特徴とする請求項1乃至11のうちいずれか一項に記載のカレンダ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−138353(P2008−138353A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−307120(P2007−307120)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(507392808)アンドリッツ キスタース ゲーエムベーハー (8)
【氏名又は名称原語表記】Andritz Kuesters GmbH
【住所又は居所原語表記】Eduard−Kuesters−Str.1,47805 Krefeld,Germany
【Fターム(参考)】