説明

カレールウ及びその製造方法

【課題】本発明の目的は、香辛料の香辛風味が十分に活かされ、香辛風味が豊かでシャープに現れるカレールウを提供することである。
【解決手段】カレー粉、6〜15重量%の油脂、及び10〜40重量%の加熱調理されたオニオンパウダーを組み合わせて配合し、カレールウを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香辛風味が豊かでシャープに現れるカレーソース又はカレー味の食品を作るのに好適なカレールウ、及び該カレールウの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カレーは、日本人の食生活において、老若男女を問わず深く浸透しており、近年では、消費者の嗜好性の多様化に追従し、更には消費者の新たな嗜好を先取りするように、様々な風味のカレーが開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、スパイシーで低カロリーのカレールウに関して、増粘性物質、カレー粉、及び調味料を含み、油脂含有量を10重量%以下であるカレールウが開示されている。しかしながら、特許文献1のカレールウでは、香辛風味(スパイシー感)を好む消費者にとっては、依然として香辛風味が物足りなく、更に油脂含量が低いためコク味が足りなく、香り立ちの点でも満足できるものではない。
【0004】
また、従来、香辛風味が利いたカレーとして、インドカレーが知られている。しかしながら、インドカレーでは、ボディー感がなく、コク味を好む消費者を満足させることができない。
【0005】
このように、従来、様々なタイプのカレーが開発されているものの、香辛料の香辛風味が十分に活かされ、香辛風味が豊かでシャープに現れかつコク味を合わせもつカレーについては実現できていないのが現状である。
【0006】
このような従来技術を背景として、香辛風味を好む消費者の嗜好性に即したカレーを提供するために、香辛料の香辛風味が十分に活かされ、香辛風味が豊かでシャープに現れ、かつコク味のあるカレールウの開発が求められている。
【特許文献1】特開平9−313142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を解決することを目的とする。具体的には、本発明は、香辛料の香辛風味が十分に活かされ、香辛風味が豊かでシャープに現れ且つコク味を有するカレールウを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、カレー粉、6〜15重量%の油脂、及び10〜40重量%の加熱調理されたオニオンパウダーを組み合わせて配合したカレールウは、香辛料の香辛風味が十分に活かされ、香辛風味が豊かでシャープに現れ、しかもボディー感があり、味の厚みも感じられることを見出した。更に2〜10重量%の小麦粉を配合することにより、味の厚みが増して風味が一層向上することを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に改良を重ねることにより完成したものである。
【0009】
即ち、本発明は、下記に掲げるカレールウ及びその製造方法を提供する:
項1. カレー粉、油脂6〜15重量%、及び加熱調理されたオニオンパウダー10〜40重量%を含有することを特徴とする、カレールウ。
項2. 更に小麦粉を2〜10重量%含有する、項1に記載のカレールウ。
項3. パウダー状である、項1又は2に記載のカレールウ。
項4. 下記第1及び2工程を含む、パウダー状カレールウの製造方法:
カレールウ中含量6〜15重量%に相当量の油脂、及び少なくとも一部のカレー香辛料を加熱混合することにより、液状ルウを調製する第1工程、並びに
カレールウ中含量10〜40重量%に相当量の加熱調理されたオニオンパウダー、及び残部のカレー香辛料の混合粉末原料に、前記第1工程で得られた液状ルウを添加し、撹拌することにより、パウダー状カレールウを調製する第2工程。
項5. 第1工程で使用するカレー香辛料が、加熱を忌避すべき香辛料を含まないカレー香辛料からなり、第2工程で使用するカレー香辛料が、加熱を忌避すべき香辛料を含むカレー香辛料からなる、項4に記載の製造方法。
項6. 前記第1工程において、更にカレールウ中含量2〜10重量%に相当量の小麦粉を混合する、項4又は5に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明のカレールウは、油脂が比較的低含量(6〜15重量%)であり、且つ加熱調理されたオニオンパウダーが従来のカレールウでは採用されている範囲を超えた高含有量(10〜40重量%)であるという特有の構成を有しており、このような特定の原料成分と特定の含有量との組み合わせが一体不可分となって、従来のカレールウでは実現できなかった格別の風味を獲得することが可能になっている。
【0011】
即ち、本発明のカレールウは、香辛料の香辛風味を十分に活かして、香辛風味を豊かでシャープに呈し、更にボディー感を備えさせて味に厚みを付与することができる。而して、本発明のカレールウによれば、従来のカレーでは実現し得なかった新たな風味のカレーを提供することができる。
【0012】
更に、本発明のカレールウは、従来の油脂と小麦粉や澱粉からなる粘りのあるとろみとは異なり、加熱調理されたオニオン由来の繊維質の多いさらりとしたとろみとの組み合わせにより、香辛風味やその他風味原料の風味が発現しやすくなっている。
【0013】
また、本発明のカレールウの製造方法によれば、カレー粉の構成香辛料の内、加熱により香気が失われやすい香辛料については、液状ルウの調製の際の加熱処理工程に供することなく、カレールウを製造することが可能になっている。それ故、本発明のカレールウの製造方法によって、カレー香辛料本来の香気や風味を損なうことなく、香り立ちや風味がより一層良好なカレールウを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
1.カレールウ
本発明のカレールウは、カレー粉、油脂6〜15重量%、及び加熱調理されたオニオンパウダー10〜40重量%を含有することを特徴とするものである。以下、本発明のカレールウの具体的態様について詳述する。
【0015】
本明細書において、カレールウとは、カレーソースを調理する際に、水及び各種の具材を加え、煮込んで調理される調理基材をいう。
【0016】
カレー粉とは、一般に複数の香辛料を組み合わせることによって得られる複合香辛料である。本発明で使用されるカレー粉としては、特に制限されるものではない。具体的には、カレー粉として、ターメリック、サフラン、クミン、コリアンダー、カルダモン、ナツメグ、シナモン、クローブ、ブラックペッパー、フェンネル、陳皮、唐辛子、ジンジャー、オールスパイス、キャラウエイ、山椒、タイム、ホワイトペッパー、アニス、スターアニス、レモングラス、バジル、オニオン、オレガノ、フェヌグリーク、ガーリック、パプリカ、ローリエ等の香辛料の中から、所望の風味に応じて複数種類を組み合わせたものが例示される。
【0017】
本発明のカレールウ中のカレー粉の含有量については、使用するカレー粉の種類や目的とする風味等に応じて適宜設定すればよいが、通常、該カレールウの総量当たり、3〜20重量%、好ましくは5〜20重量%、更に好ましくは10〜20重量%が挙げられる。
【0018】
本発明で使用される油脂としては、食品衛生上許容されることを限度として、特に制限されず、カレールウに一般的に配合されている油脂を使用することができる。具体的には、油脂として、牛脂、ギー、バター、バターオイル、ラード、魚脂等の動物油脂;菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、コーン油、サフラワー油、パーム油、米油、胡麻油等の植物油脂;これらの油脂に水素添加、エステル交換等の処理を行った硬化油や分別油等が挙げられる。本発明において、これらの油脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
本発明のカレールウにおいて、油脂は、該カレールウの総量当たり6〜15重量%の含有量で含まれる。油脂含量として、好ましくは6〜13重量%、更に好ましくは8〜11重量%が挙げられる。このような油脂含量と後述する加熱調理されたオニオンパウダー含量とが一体不可分となって、カレー粉本来の香辛風味を豊かに且つシャープに呈させることが可能になる。また、本発明のカレールウは、油脂含量が15重量%以下であり、油脂含量が一般的なカレールウよりも少ないため、低カロリーである、パウダー状にした場合にブロッキングを起こし難い、保存安定性に優れる、等の利点がある。
【0020】
加熱調理されたオニオンパウダーとは、加熱調理されたオニオンを粉末状にしたものである。ここで、加熱調理されたオニオンパウダーとしては、ソテーオニオンパウダー、ローストオニオンパウダー、フライドオニオンパウダー、及びその他の方法で加熱調理されたオニオンパウダーが挙げられる。ソテーオニオンは、オニオンを少量の油と共に炒めることによって得られる。ローストオニオンは、必要に応じて油を加えて、オニオンをオーブンで焼き上げること又は炒ることによって得られる。また、フライドオニオンは、オニオンを油で揚げることによって得られる。オニオンの加熱調理の程度は、特に制限されず、加熱調理の方法に応じて適宜設定すればよいが、加熱調理によりオニオンの生っぽい味が甘くこくのある風味になる程度に加熱処理されていることが好ましい。また、本発明では、加熱調理されたオニオンパウダーとして、乾燥処理に供されているものを使用することが望ましい。加熱調理されたオニオンパウダーの乾燥方法については、例えば、凍結乾燥、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等が挙げられるが、これらに制限されるものではなく、オニオンパウダーの加熱調理の方法等に応じて、適宜使い分けるとよい。
【0021】
本発明に使用される加熱調理されたオニオンパウダーとしては、1種の加熱調理方法により得られたものを単独で使用してもよく、また加熱調理方法が異なる2種以上のものを組み合わせて使用してもよい。加熱調理されたオニオンパウダーを使用することによりカレールウに対して、豊かでシャープな香辛風味、ボディー感、及び味の厚みを一層良好に付与することができる。
【0022】
本発明のカレールウにおいて、加熱調理されたオニオンパウダーは、該カレールウの総量当たり10〜40重量%の含有量で含まれていればよいが、好ましくは10〜30重量%、更に好ましくは15〜25重量%が挙げられる。本発明では、このように、通常のカレールウでは採用されている範囲を超えた高含有量の加熱調理されたオニオンパウダーを含むことにより、前述する本発明の効果が有効に奏される。
【0023】
本発明のカレールウには、澱粉系原料を配合することにより、調理後のカレーソ−スにとろみを与えたり、ボディー感を高めて味の厚みを備えさせることができる。
【0024】
本発明で使用される澱粉系原料としては、食品衛生上許容されるものであれば特に制限されないが、例えば、小麦粉、ライ麦粉、ソバ粉、米粉、コ−ンフラワー、あわ粉、きび粉等の穀粉;馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、くず澱粉等の地下澱粉;コ−ンスタ−チ、小麦澱粉、米澱粉(例えば、もち米澱粉、粳米澱粉等)の地上澱粉;架橋澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、可溶性澱粉、漂白澱粉等の化工デンプン等が挙げられる。これらの澱粉系原料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
本発明のカレールウ中の澱粉系原料の含有量については、使用する澱粉系原料の種類や配合目的等に応じて異なり一律に規定することはできないが、通常、該カレールウの総量当たり、澱粉系原料が総量で2〜15重量%、好ましくは3〜13重量%、更に好ましくは4〜11重量%が挙げられる。
【0026】
本発明のカレールウにおいて、少なくとも小麦粉を含む澱粉系原料を使用し、且つ該小麦粉をカレールウの総量当たり2〜10重量%、好ましくは3〜9重量%、更に好ましくは4〜8重量%となるように配合することが望ましい。このように小麦粉を配合することによって、本発明のカレールウの香辛風味の特徴を損なうことなく、一層優れたボディー感を付与し、味に厚みを備えさせることができる。ここで、小麦粉は、強力粉、中力粉、薄力粉のいずれであってもよいが、好ましくは薄力粉である。
【0027】
本発明のカレールウには、上記成分の他に、必要に応じて、公知の食品に含有される食材、食品原料、添加剤等の成分を1種又は2種以上組み合わせて適宜添加することができる。本発明のカレールウに配合可能な成分としては、例えば、食塩、砂糖、酵母エキス、たんぱく加水分解物等の調味料;肉類・魚介類・野菜・果実等の乾燥粉砕物、ペースト(磨砕物)又はエキス;チーズ、濃縮ホエイ、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、タンパク質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、発酵乳等の乳製品;アミノ酸、酸味料、乳化剤、保存料、香料、着色料、強化剤、酸化防止剤等の食品添加剤等が挙げられる。
【0028】
本発明のカレールウは、その形態については特に制限されず、当該分野で公知の形態であり得る。カレールウの形態の具体例としては、パウダー状、ブロック状、フレーク状、顆粒状等が挙げられる。中でも、パウダー状の場合には、製造時や保存時にブロッキングを起こし難いという特筆すべき利点があり、かかる利点に鑑みれば好適な形態としてパウダー状が挙げられる。
【0029】
2.カレールウの製造方法
上記カレールウの製造方法については、特に制限されず、公知の方法に従って、各配合成分の所定量を適当な条件下で混合し、所望の形態に調製すればよい。但し、香辛料の香辛風味を一層引き立たせ、香り立ちの良好なカレールウを製造するという観点からは、下記第1及び2工程を含むパウダー状カレールウの製造方法が好適である。
第1工程:カレールウ中含量6〜15重量%に相当量の油脂、及び少なくとも一部のカレー香辛料を加熱混合することにより、液状ルウを調製する、並びに
第2工程:カレールウ中含量10〜40重量%に相当量の加熱調理されたオニオンパウダー、及び残部のカレー香辛料等の混合粉末原料に、前記第1工程で得られた液状ルウを添加し、撹拌することにより、パウダー状カレールウを調製する。
【0030】
以下、上記第1及び2工程を含むパウダー状カレールウの製造方法について詳説する。
【0031】
本製造方法では、先ず、カレールウに配合するカレー粉を、第1工程で添加するカレー香辛料(以下、「カレー香辛料A」と表記することもある)と、第2工程で添加するカレー香辛料(以下、「カレー香辛料B」と表記することもある)に分ける。カレー香辛料A及びBのそれぞれの組成については、特に制限されるものではなく、任意に設定すればよい。
【0032】
但し、香り立ちや風味を一層顕著ならしめるという観点から、カレー香辛料Aは、加熱を忌避すべき香辛料を含まないカレー香辛料からなるものが好ましく、カレー香辛料Bは、加熱を忌避すべき香辛料を含むカレー香辛料からなるものが好ましい。この場合、加熱を忌避すべき香辛料以外の香辛料は、カレー香辛料A及びカレー香辛料Bにおいて、いずれか一方に含まれていればよいが、双方に含まれていてもよい。また、カレー香辛料Aには、加熱により風味を増す香辛料が含まれていることが望ましい。ここで、加熱を忌避すべき香辛料とは、液状ルウの製造において供せられる加熱処理を回避すべき香辛料を指し、例えば、(a)加熱によって風味及び香りがダメージを受け易い香辛料;(b)加熱により風味が増す反面、香りがダメージを受け易い香辛料であって、カレールウにおいて呈させたい香りを有する香辛料;及び(c)加熱により、香りが増す反面、風味がダメージを受け易い香辛料であって、カレールウにおいて呈させたい風味を有する香辛料等が挙げられる。加熱を忌避すべき香辛料の具体例としては、上記で例示したカレー粉の構成香辛料の中では、クミン、カルダモン、バジル、オレガノ、フェンネル、ナツメグ、コリアンダー、クローブ、オールスパイス等が例示される。
【0033】
第1工程では、油脂とカレー香辛料Aとを加熱混合し、液状ルウを調製する。
【0034】
第1工程における油脂の添加量は、カレールウに占める油脂含有量が前述する範囲を満たすように適宜設定される。即ち、カレールウ中の含有量が6〜15重量%、好ましくは6〜13、更に好ましくは8〜11重量%に相当する量の油脂を上記第1工程で添加する。
【0035】
また、第1工程におけるカレー香辛料Aの添加量についても、カレールウに占めるカレー香辛料Aの含有量に基づいて適宜設定される。
【0036】
カレールウに、澱粉系原料として小麦粉を配合する場合には、第1工程において、小麦粉を添加しておくことが望ましい。小麦粉の添加量についても、カレールウに占める小麦粉の含有量に基づいて適宜設定すればよい。
【0037】
なお、カレールウに配合する他の成分については、液状ルウの調製上不具合を生じない範囲であれば、第1工程において添加し、液状ルウに含有させておいてもよい。
【0038】
第1工程における加熱混合条件は、使用する油脂の種類に応じて適宜設定すればよいが、通常100〜140℃、好ましくは110〜140℃、更に好ましくは110〜130℃の温度条件下で混合することによって液状ルウが得られる。
【0039】
斯くして得られる液状ルウを第2工程に供する。
【0040】
第2工程では、加熱調理されたオニオンパウダー及びカレー香辛料Bの混合粉末原料に、上記の液状ルウを添加し、撹拌することにより、パウダー状カレールウを調製する。
【0041】
上記混合粉末原料に含まれる加熱調理されたオニオンパウダーの含有量については、カレールウに占める該オニオンパウダーの含有量に基づいて適宜設定される。即ち、カレールウ中の含有量が10〜40重量%、好ましくは10〜30重量%、更に好ましくは15〜25重量%に相当する量の加熱調理されたオニオンパウダーが、上記混合粉末原料に含まれていればよい。
【0042】
上記混合粉末原料に含まれるカレー香辛料Bの含有量についても、カレールウに占めるカレー香辛料Bの含有量に基づいて適宜設定される。
【0043】
また、カレー粉、油脂、及び加熱調理されたオニオンパウダー以外の原料や成分をカレールウに配合する場合は、該原料及び成分については、第1工程の液状ルウに配合するものを除いて、その所定量を上記混合粉末原料に含ませておく。
【0044】
上記混合粉末原料に、第1工程で得られた液状ルウを添加し、撹拌することによりパウダー状のカレールウが得られる。第2工程における撹拌条件については特に制限されないが、例えばニーダー等の撹拌装置を用いて100〜500rpmで2〜10分間、好ましくは300rpmで3分間実施すればよい。
【0045】
斯くして得られるパウダー状のカレールウは、そのまま商品として使用することができるが、必要に応じて、公知の手法により、顆粒状、フレーク状、ブロック状等の形態に成形してもよい。
【実施例】
【0046】
以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等に限定されるものではない。
実施例1−11
表1に示す組成のパウダー状カレールウを製造した。具体的には、予め加熱した開放型の加熱釜に、所定量の油脂を投入し油脂を溶解させた。この溶解した油脂に、所定量の小麦粉及びカレー香辛料Aをぞれぞれ投入し、混合しながら、約30分間かけて到達品温が120℃になるように加熱して液状ルウを調製した。
【0047】
次いで、所定量のカレー香辛料B、加熱調理されたオニオンパウダー、未加熱調理オニオンのパウダー、トマトパウダー、ガーリックパウダー、ジンジャーパウダー、肉エキス、酵母エキス、食塩、砂糖、及び澱粉を混合した混合粉末原料に、上記液状ルウを添加して、株式会社ダルトン製PK-1000S型パワーニーダーにて300rpmで3分間撹拌を続けることによって、パウダー状のカレールウが得られた。得られたパウダー状カレールウは、製造時又は製造後にブロッキングを起こすことなく、その形態が安定であった。
【0048】
【表1】

【0049】
また、得られたパウダー状のカレールウを用いて、常法により調理してカレーソースを得た。即ち、鶏肉200重量部及び玉葱200重量部に水300重量部を加え、具材が柔らかくなるまで約10分間煮込んだ。次いで、上記で得られたパウダー状のカレールウを50重量部加え、更に加熱することによりカレーソースを得た。
【0050】
斯くして得られたカレーソースは、いずれも、香辛料の香りが豊かで、香辛風味がシャープに呈され、しかもボディー感があって味に厚みが感じられた。特に、実施例1と実施例2では、香辛料の香りや香辛風味の点では同等であったが、ボディー感の点では実施例1の方が優れていた。
【0051】
比較例1−4
表2に示す組成のパウダー状カレールウを、上記実施例と同様の方法で製造した。比較例1及び3−4ではブロッキングを起こさないパウダー状カレールウが得られたが、比較例2では、製造後、暫く時間が経過するとブロッキングが生じて、形態を安定に保持できなかった。
【0052】
【表2】

【0053】
更に、得られたパウダー状のカレールウを用いて、実施例1と同様の方法でカレーソースを製造し、試食した。この結果、比較例1では、オニオン風味が強すぎて所望の香辛風味が十分に活かされておらず、更に粘度がやや高く、肉感が感じられ難い呈味を示した。また、比較例2では、油脂によって香辛料の香りや香辛風味がマスキングされて物足りない味であった。比較例3では繊維感のあるとろみが弱く、加熱調理されたオニオン由来のコク味が少なく物足りなく感じられた。比較例4では油脂由来のこく味が少なかった。
【0054】
以上の結果から、カレー粉、6〜15重量%の油脂、及び10〜40重量%の加熱調理されたオニオンパウダーを組み合わせて配合することによって、従来技術では実現できなかった風味のカレールウ、即ち、香辛料の香辛風味が十分に活かされ、香辛風味が豊かでシャープに現れるカレールウを製造できることが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カレー粉、油脂6〜15重量%、及び加熱調理されたオニオンパウダー10〜40重量%を含有することを特徴とする、カレールウ。
【請求項2】
更に小麦粉を2〜10重量%含有する、請求項1に記載のカレールウ。
【請求項3】
パウダー状である、請求項1又は2に記載のカレールウ。
【請求項4】
下記第1及び2工程を含む、パウダー状カレールウの製造方法:
カレールウ中含量6〜15重量%に相当量の油脂、及び少なくとも一部のカレー香辛料を加熱混合することにより、液状ルウを調製する第1工程、並びに
カレールウ中含量10〜40重量%に相当量の加熱調理されたオニオンパウダー、及び残部のカレー香辛料の混合粉末原料に、前記第1工程で得られた液状ルウを添加し、撹拌することにより、パウダー状カレールウを調製する第2工程。
【請求項5】
第1工程で使用するカレー香辛料が、加熱を忌避すべき香辛料を含まないカレー香辛料からなり、
第2工程で使用するカレー香辛料が、加熱を忌避すべき香辛料を含むカレー香辛料からなる、
請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第1工程において、更にカレールウ中含量2〜10重量%に相当量の小麦粉を混合する、請求項4又は5に記載の製造方法。

【公開番号】特開2009−11314(P2009−11314A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13832(P2008−13832)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000000228)江崎グリコ株式会社 (187)
【Fターム(参考)】