説明

カロテン濃縮物、ビタミンE濃縮物、スクワレン濃縮物及び植物ステロール濃縮物の一段階及び二段階超臨界流体抽出法

【課題】天然の油又は脂肪から、カロテン濃縮物、ビタミンE濃縮物、スクアレン濃縮物及び植物ステロール濃縮物を、超臨界流体を用いて抽出する一段階又は二段階の超臨界流体抽出(SFE)法を提供すること。
【解決手段】 該方法は、天然の油又は脂肪をエステル化して、カロテン、ビタミンE、スクアレン及び植物ステロールの濃縮された混合物を形成する工程と、超臨界流体抽出を行う一つ又は二つの工程と、のみを含む。使用することができる超臨界流体の一つである超臨界二酸化炭素は、非引火性であり、無毒、かつ無害である。超臨界流体抽出法は溶媒残渣を残さず、環境に好ましいものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーム油及びその他の植物油を含む天然の油脂からのカロテン濃縮物、ビタミンE濃縮物並びにスクワレン濃縮物及び植物ステロール濃縮物のような他の微量成分濃縮物の一段階及び二段階超臨界流体抽出(以下において「SFE」と称される)に関する。
【背景技術】
【0002】
カロテン(carotene)は、植物及び動物に濃い赤橙色を与える天然の色素である。カロテンは、口腔癌、咽頭癌、肺癌及び胃癌のような癌の予防に極めて重要な役割を果たす。幾つかのカロテン、特にβ−カロテンは、プロビタミンA活性を有するものとして周知である。従って、カロテンは食品、製薬製品、栄養製品において商業的に広く使用されている。
【0003】
トコフェロール及びトコトリエノールのようなビタミンEは、体内の組織を酸化による損傷から保護する天然の抗酸化剤であり、かつ有効な抗癌剤である。粗製のパーム油中にて、70乃至80%のビタミンEにて存在するトコトリエノールは、腫瘍細胞の成長阻害においては、トコフェロールよりも大きな生理学的効果を有している。ビタミンEは赤血球の形成において重要である。該ビタミンEは、小麦胚芽、トウモロコシ、ナッツ類、種子類、オリーブ、ほうれん草、アスパラガス及び他の緑葉野菜並びにパーム油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、大豆油及び綿実油のような油に含まれている。
【0004】
粗製のパーム油はカロテンが最も豊富な天然資源の一つであり、該カロテンが400乃至800ppmの濃度にて含まれている。該パーム油はニンジンの15倍以上、トマトの300倍を超えるレチノール当量を有する。該パーム油はまた、トコトリエノールの最も豊富な資源としても知られている。従って、パーム油は、カロテン及びビタミンE抽出物の良好な天然資源である。
【0005】
パーム油からカロテンを回収するための種々の特許が出願されてきた。これらの特許としては、特許文献1乃至4が含まれる。方法のいくつかでは、回収方法のある段階にて吸着剤を使用していた。しかしながら、これらの方法は、多くの工程を含み、かつ幾つかの段階において回収において危険な溶媒の使用を含んでいた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5157132号明細書
【特許文献2】米国特許第6072092号明細書
【特許文献3】欧州特許第0349138号明細書
【特許文献4】英国特許第2160874号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は従来技術の欠点を解決するためになされたものであり、パーム油及び他の植物油を含む天然の油脂からカロテン、ビタミンE及び他の微量成分を抽出するための方法を提供し、該方法においては、簡単で、効果的であり、かつ危険な溶媒を使用しない超臨界流体抽出法を使用する。本発明の超臨界流体抽出法は、溶媒が残留することもなく、環境に好ましいものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、天然の油又は脂肪から、カロテン濃縮物、ビタミンE濃縮物、スクワレン濃縮物及び植物ステロール濃縮物を、超臨界流体を用いて抽出する一段階超臨界流体抽出法において、同一段階超臨界流体抽出法は、(a)天然の油又は脂肪のアルコールを用いたエステル化及びアルコールを用いたエステル交換を行い、脂肪酸アルキルエステル、カロテン、ビタミンE、スクワレン及び植物ステロールの濃縮された混合物を形成する工程と、(b)工程(a)にて得られた混合物から、超臨界流体を用いて28℃乃至120℃の温度で、かつ6MPa(60バール)乃至60MPa(600バール)の圧力にて超臨界流体抽出を行い、カロテン濃縮物、ビタミンE濃縮物、スクワレン濃縮物及び植物ステロール濃縮物のうちの少なくとも一つを生成する工程と、からなる一段階超臨界流体抽出法、を提供する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の一段階超臨界流体抽出法において、混合物は、工程(a)において化学的手段又は酵素的手段のいずれかを用いたエステル化及びエステル交換工程により調製されることをその要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の一段階超臨界流体抽出法において、アルキルエステルは、メチル、エチル、イソプロピル又はブチルエステルであることをその要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の一段階超臨界流体抽出法において、工程(a)にて生成された混合物は、工程(b)の超臨界流体抽出工程の前に、分子蒸留を含む真空蒸留を介してエステルを除去することにより更に濃縮されることをその要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の一段階超臨界流体抽出法において、エステルの除去後に得られた濃縮された混合物は、(i)濃縮された混合物中に存在する鹸化可能な物質を鹸化して、鹸化された物質と鹸化されていない物質との混合物を生成する工程と、(ii)鹸化された物質を除去して、カロテン、ビタミンE、スクワレン及び植物ステロールの更に濃縮された混合物を残す工程とからなる鹸化工程により更に濃縮され、同工程は、工程(ii)において得られた更に濃縮された混合物の超臨界流体抽出の前に実施されることをその要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の一段階超臨界流体抽出法において、工程(a)の代わりに天然の油又は脂肪を鹸化し、次いで、工程(b)の超臨界流体抽出工程の前にカロテン、ビタミンE、スクワレン及び植物ステロールを含む濃縮された混合物を形成するために鹸化された物質を除去することをその要旨とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の一段階超臨界流体抽出法において、超臨界流体は超臨界二酸化炭素であることをその要旨とする。
請求項8に記載の発明は、請求項4に記載の一段階超臨界流体抽出法において、超臨界二酸化炭素を用いた抽出は、28℃乃至50℃の温度及び8MPa(80バール)乃至22MPa(220バール)の圧力にてビタミンEの抽出が実施され、かつ50℃乃至80℃の温度及び22MPa(220バール)乃至30MPa(300バール)の圧力にてカロテンの抽出が実施されることをその要旨とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の一段階超臨界流体抽出法において、超臨界二酸化炭素の供給物に対する重量比は25対3000であることをその要旨とする。
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の一段階超臨界流体抽出法において、抽出物の収率は、マトリックスを導入することにより高められることをその要旨とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項1に記載の一段階超臨界流体抽出法において、抽出物の収率は、アセトン及び低級アルコール類から選択される改質剤を導入することにより高められることをその要旨とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項1に記載の一段階超臨界流体抽出法において、天然の油脂は、粗製パーム油、粗製パームオレイン、粗製パームステアリン、粗製パーム油アルキルエステル、粗製パームオレインアルキルエステル、粗製パームステアリンアルキルエステル、パームカロテン濃縮物、大豆油、ひまわり実油、菜種油、ココナッツ油、糠油、及び他の植物油を含むことをその要旨とする。
【0018】
請求項13に記載の発明は、天然の油又は脂肪から、カロテン濃縮物、ビタミンE濃縮物、スクワレン濃縮物及び植物ステロール濃縮物を、超臨界流体を用いて抽出する二段階超臨界流体抽出法において、同二段階超臨界流体抽出法は、(a)天然の油又は脂肪のアルコールを用いたエステル化及びアルコールを用いたエステル交換を行い、脂肪酸アルキルエステル、カロテン、ビタミンE、スクワレン及び植物ステロールの濃縮された混合物を形成する工程と、(b)工程(a)にて得られた混合物から、超臨界流体を用いて28℃乃至120℃の温度で、かつ6MPa(60バール)乃至60MPa(600バール)の圧力にてカロテン、ビタミンE、スクワレン及び植物ステロールの全て又は幾らかの第一の超臨界流体抽出を行い、カロテン濃縮物、ビタミンE濃縮物、スクワレン濃縮物及び植物ステロール濃縮物のうちの少なくとも一つを生成する工程と、(c)工程(b)にて得られた分画から、超臨界流体を用いて28℃乃至120℃の温度で、かつ6MPa(60バール)乃至60MPa(600バール)の圧力にてカロテン、ビタミンE、スクワレン及び植物ステロールの全て又は幾らかの第二の超臨界流体抽出を行い、更に、カロテン、ビタミンE、スクワレン及び植物ステロールを不純物から分離することと、カロテン、ビタミンE、スクワレン及び植物ステロールを互いに分離することとのうちの少なくとも一方を行う工程と、からなる方法、を提供する。
【0019】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の二段階超臨界流体抽出法において、混合物は、工程(a)において化学的手段又は酵素的手段のいずれかを用いたエステル化及びエステル交換工程により調製されることをその要旨とする。
【0020】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の二段階超臨界流体抽出法において、アルキルエステルは、メチル、エチル、イソプロピル又はブチルエステルであることをその要旨とする。
【0021】
請求項16に記載の発明は、請求項13に記載の二段階超臨界流体抽出法において、工程(a)にて生成された混合物は、工程(b)の超臨界流体抽出工程の前に、分子蒸留を含む真空蒸留を介してエステルを除去することにより更に濃縮されることをその要旨とする。
【0022】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の二段階超臨界流体抽出法において、エステルの除去後に得られた濃縮された混合物は、(i)濃縮された混合物中に存在する鹸化可能な物質を鹸化して、鹸化された物質と鹸化されていない物質との混合物を生成する工程と、(ii)鹸化された物質を除去して、カロテン、ビタミンE、スクワレン及び植物ステロールの更に濃縮された混合物を残す工程とからなる鹸化工程により更に濃縮され、同工程は、工程(ii)において得られた更に濃縮された混合物の第一段階の超臨界流体抽出の前に実施されることをその要旨とする。
【0023】
請求項18に記載の発明は、請求項13に記載の二段階超臨界流体抽出法において、工程(a)の代わりに天然の油又は脂肪を鹸化し、次いで、工程(b)の第一段階の超臨界流体抽出工程の前にカロテン、ビタミンE、スクワレン及び植物ステロールを含む濃縮された混合物を形成するために鹸化された物質を除去する、ことをその要旨とする。
【0024】
請求項19に記載の発明は、請求項13に記載の二段階超臨界流体抽出法において、超臨界流体は超臨界二酸化炭素であることをその要旨とする。
請求項20に記載の発明は、請求項13に記載の二段階超臨界流体抽出法において、超臨界二酸化炭素を用いた抽出は、二つの段階の各々において、28℃乃至50℃の温度及び8MPa(80バール)乃至22MPa(220バール)の圧力にてビタミンEの抽出が実施され、かつ50℃乃至80℃の温度及び22MPa(220バール)乃至30MPa(300バール)の圧力にてカロテンの抽出が実施されることをその要旨とする。
【0025】
請求項21に記載の発明は、請求項19に記載の二段階超臨界流体抽出法において、超臨界二酸化炭素の供給物に対する重量比は25対3000であることをその要旨とする。
請求項22に記載の発明は、請求項13に記載の二段階超臨界流体抽出法において、抽出物の収率は、マトリックスを導入することにより高められることをその要旨とする。
【0026】
請求項23に記載の発明は、請求項13に記載の二段階超臨界流体抽出法において、抽出物の収率は、同段階の一方又は両方において、アセトン及び低級アルコール類から選択される改質剤を導入することにより高められることをその要旨とする。
【0027】
請求項24に記載の発明は、請求項13に記載の二段階超臨界流体抽出法において、天然の油脂は、粗製パーム油、粗製パームオレイン、粗製パームステアリン、粗製パーム油アルキルエステル、粗製パームオレインアルキルエステル、粗製パームステアリンアルキルエステル、パームカロテン濃縮物、大豆油、ひまわり実油、菜種油、ココナッツ油、糠油、及び他の植物油を含むことをその要旨とする。
【0028】
請求項25に記載の発明は、請求項1に記載の一段階超臨界流体抽出法において、超臨界流体は、超臨界二酸化炭素、超臨界プロパン、超臨界エチレン及び超臨界1,1,1,2−テトラフルオロエタンからなる群より選択される、ことをその要旨とする。
【0029】
請求項26に記載の発明は、請求項13に記載の二段階超臨界流体抽出法において、超臨界流体は、超臨界二酸化炭素、超臨界プロパン、超臨界エチレン及び超臨界1,1,1,2−テトラフルオロエタンからなる群より選択される、ことをその要旨とする。
【0030】
請求項27に記載の発明は、請求項10に記載の一段階超臨界流体抽出法において、マトリックスは、砂及びビーズの少なくとも一方であることをその要旨とする。
請求項28に記載の発明は、請求項22に記載の二段階超臨界流体抽出法において、マトリックスは、砂及びビーズの少なくとも一方であることをその要旨とする。
【0031】
請求項29に記載の発明は、請求項11に記載の一段階超臨界流体抽出法において、低級アルコール類はエタノール、イソプロパノール及びメタノールからなる群より選択されることをその要旨とする。
【0032】
請求項30に記載の発明は、請求項23に記載の二段階超臨界流体抽出法において、低級アルコール類はエタノール、イソプロパノール及びメタノールからなる群より選択されることをその要旨とする。
【0033】
従って、本発明において、天然の油脂類からのカロテン濃縮物、ビタミンE濃縮物並びにスクアレン濃縮物及び植物ステロール濃縮物のような他の微量成分濃縮物の一段階超臨界流体抽出法を提供し、該一段階超臨界流体抽出法は、
(a)脂肪酸アルキルエステルと、カロテン、ビタミンE及び他の微量成分の濃縮物との混合物を生成するために天然油脂をアルコールエステル化(alcoholic esterification)及びエステル交換する工程と、
(b)工程(a)にて得られた混合物から、超臨界二酸化炭素、超臨界プロパン、超臨界エチレン又は超臨界1,1,1,2−テトラフルオロエタンのような超臨界流体を用いて、28℃乃至120℃の温度、かつ6MPa(60バール)乃至60MPa(600バール)の圧力にて、該微量成分を超臨界流体抽出して、カロテン濃縮物、ビタミンE濃縮物及び他の微量成分濃縮物を生成する工程と、
からなる。
【0034】
更に、本発明において、天然の油脂類からのカロテン濃縮物、ビタミンE濃縮物並びにスクアレン濃縮物及び植物ステロール濃縮物のような他の微量成分濃縮物の二段階超臨界流体抽出法を提供し、該二段階超臨界流体抽出法は、
(a)脂肪酸アルキルエステルと、カロテン、ビタミンE及び他の微量成分の濃縮物との混合物を生成するために天然油脂をアルコールエステル化及びエステル交換する工程と、
(b)工程(a)にて得られた混合物から、超臨界二酸化炭素、超臨界プロパン、超臨界エチレン又は超臨界1,1,1,2−テトラフルオロエタンのような超臨界流体を用いて、28℃乃至120℃の温度、かつ6MPa(60バール)乃至60MPa(600バール)の圧力にて、該微量成分の少なくとも幾らかを超臨界流体抽出して、該微量成分濃縮物を生成する第一の超臨界流体抽出工程と、
(c)工程(b)にて得られた分画から得られる該微量成分の全て、又は該微量成分の残りを超臨界流体を用いて、28℃乃至120℃の温度にて、6MPa(60バール)乃至60MPa(600バール)の圧力にて抽出して、該微量成分を不純物から分離するか、該成分を互いに分離するかのうちの少なくとも一方を行うための第二の超臨界流体抽出工程と、
からなる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、パーム油及び他の植物油を含む天然の油脂からカロテン、ビタミンE、スクワレン及び植物ステロールを抽出するための簡単かつ効果的な超臨界流体抽出法であって、吸着剤及び危険な溶媒を使用しない超臨界流体抽出法が提供できた。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の好ましい実施形態に従う一段階SFEを示す。
【図2】本発明の好ましい実施形態に従う二段階SFEを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、以下に完全に記載され、添付した図面において示され、更に添付した請求の範囲において特定して指摘されている、ある新規な特徴と部分の組み合わせとから構成され、詳細な部分における種々の変更は、本発明の請求の範囲を逸脱することなく、又は本発明の利点の幾らかを犠牲にすることなく実施されることが理解されるであろう。
【0038】
本発明を容易に理解する目的にて、好ましい実施形態が添付された図面において示されており、以下に示される詳細な説明と関連して該図面を検討すれば、本発明、その構成及び作用、並びに該発明の利点の多くが容易に理解され、かつ評価されるべきである。
【0039】
本発明は、パーム油及び他の植物油を含む天然の油脂からのカロテン濃縮物、ビタミンE濃縮物並びにスクアレン濃縮物及び植物ステロール濃縮物のような他の微量成分濃縮物の一段階及び二段階超臨界流体抽出法に関する。以下、本明細書では、添付した図面を参照して、好ましい実施形態に従うカロテン濃縮物、ビタミンE濃縮物及び微量成分濃縮物の超臨界流体抽出(SFE)に関して記載する。しかしながら、本発明の好ましい実施形態の記載及び添付した図面の記載に限定することは、本発明の議論を単に容易にするためのものであることは理解されるべきものであり、かつ添付した請求の範囲を逸脱することなく種々の修正及び均等物を当業者が案出できることが予測されるであろう。
【0040】
本発明の一段階及び二段階のSFEはいずれも、SFEの前に微量成分の濃縮物の調製を含む。該濃縮物を調製するための好ましい方法は、天然油脂のアルコール抽出及びエステル交換により脂肪酸アルキルエステルと、カロテン、ビタミンE及び他の微量成分の濃縮物との混合物を形成することである。エステルは、化学的又は酵素的手段による任意の公知のエステル化及びエステル交換により調製される。エステルは、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、及びブチルのようなアルキルエステルの幾つかであり得る。
【0041】
一段階SFEにおいて、アルキルエステルと微量成分濃縮物との混合物は、次に、6−60MPa(60−600バール)の圧力及び28℃−120℃の温度にて超臨界流体抽出が実施され、カロテン、ビタミンE及び他の微量成分に富んだ分画を形成する。
【0042】
二段階SFEにおいて、アルキルエステルと、微量成分濃縮物との混合物はまた、エステル化及びエステル交換に続いて、最初に6−60MPa(60−600バール)の圧力で、かつ28℃−120℃の温度にて超臨界流体抽出が行われ、微量成分の幾らか、又は微量成分の全てからなる濃縮された分画を生成する。上述の超臨界流体抽出は、一段階SFEとして定義される。これに続き、微量成分の幾らか、又は微量成分の全てからなる濃縮された分画は、6−60MPa(60−600バール)の圧力で、かつ28℃−120℃の温度にて、別の超臨界抽出が行われ、微量成分の幾らか、又は微量成分の全てからなる更に濃縮された分画を生成する。この流体抽出は二段階SFEとして定義され、微量成分を不純物から分離すること、及び微量成分を互いに分離することのうちの少なくとも一方の更なる良好な工程を提供する。
【0043】
一段階及び二段階SFEの両方に対して、アルキルエステルと微量成分濃縮物との混合物を含む混合物は、SFEを実施する前に、真空蒸留、好ましくは分子蒸留(とはいえそれに限定されるものではない)のような任意の濃縮法により、13Pa(100mTorr)より小さい圧力で、かつ220℃より低い温度にて更に濃縮され、混合物からエステルが除去される。次に、エステルの大部分を除かれた濃縮物は、微量成分を抽出するために、一段階SFE又は二段階SFEにて超臨界流体抽出が行われる。
【0044】
エステルの除去に続いて、混合物は鹸化することにより更に濃縮される。これにより、鹸化された物質と、鹸化されていない物質との混合物が得られる。次に、鹸化された物質が除去され、更に濃縮された微量成分の混合物が残る。次に、この濃縮された混合物に一段階SFE又は二段階SFEの第一の段階が実施され、必要とされる微量成分が抽出される。
【0045】
微量成分の濃縮物はまた、天然油脂を鹸化し(予めエステル化及びエステル交換することなく)、次いで鹸化された物質を除去することにより調製され得る。微量成分を含む得られた濃縮混合物は一段階SFE又は二段階SFEの第一の段階が実施され、必要とされる微量成分が抽出される。
【0046】
SFEにて使用され得る超臨界流体は、好ましくは、超臨界二酸化炭素、超臨界プロパン、超臨界エチレン又は超臨界1,1,1,2−テトラフルオロエタンであるが、それらに限定されるものではない。超臨界二酸化炭素が使用される場合、SFEは、28℃乃至120℃の温度で、かつ6MPa(60バール)乃至60MPa(600バール)の圧力にて実施される。供給物(出発材料)中における超臨界二酸化炭素の重量比は、25対3000の範囲である。
【0047】
カロテン、ビタミンE及び他の微量成分の収率は、砂及びビーズのようなマトリックスを導入して、カロテン濃縮物、ビタミンE濃縮物及び他の微量成分濃縮物または天然油脂の植物栄養素(phytonutrient)濃縮物の超臨界流体抽出への分散を増大させることにより高められ得る。更に、アセトン、並びにエタノール、イソプロパノール及びメタノールのような低級アルコール等の改質剤を使用することにより収率が増大する。
【0048】
抽出において使用され得る天然油脂は、粗製パーム油(以下において、「CPO」と称される)、粗製パームオレイン、粗製パームステアリン、粗製パーム油アルキルエステル、粗製パームオレインアルキルエステル、粗製パームステアリンアルキルエステル、カロテン濃縮物、大豆油、ひまわり実油、菜種油、ココナッツ油、糠油、及び他の植物油を含む。
【0049】
図1は本発明の好ましい実施形態に従う一段階SFEを示す。この図面において示されるように、例えば、30%の濃度のような種々の濃度の植物栄養素濃縮物(以下において、「PC」と称される)と、10%の濃度のような種々の濃度のビタミンE濃縮物とをCPO、パーム油製品及び粗製パーム油アルキルエステルのような粗製パーム油誘導体から抽出するための方法が提供される。二酸化炭素ガスは−5℃に冷却された。高速液体クロマトグラフィー用ポンプを使用して、液体化された二酸化炭素を0.5ml/分乃至20.0ml/分の流速にて高圧抽出容器中に送り出した。供給材料を含む容器は室温から120℃までの操作温度(誤差±0.1℃以内)に制御されたカラム状のオーブンに配置された。操作圧は、60MPa(600バール)の最大圧力にて背圧レギュレータ(BPR)を用いて制御された。抽出物は保護用アルミホイルにて包まれた試験管を用いて、BPRの出口にて回収された。
【0050】
図2は二段階SFEを示す。図1に示される方法にて使用されたように、二酸化炭素ガスを−5℃に冷却した。高速液体クロマトグラフィー用ポンプを使用して、液体化された二酸化炭素を0.5ml/分乃至20.0ml/分の流速にて、両方の高圧抽出容器、即ち、抽出容器1及び抽出容器2に送り出した。供給材料は抽出容器1に入れられ、材料を含んだ該抽出容器1は、室温から120℃までの段階1の温度(誤差±0.1℃以内)に制御されたカラム状のオーブン1に配置された。段階1の圧力は、60MPa(600バール)の最大圧力にてBPR1を用いて制御した。
【0051】
使用された特定の条件の組み合わせ(温度、圧力等)に依存して、抽出容器1からの抽出物が、第二段階の抽出を行うために、BPR1の出口から第二の高圧容器、即ち抽出容器2にすべて送られ、その際、不必要な不純物が抽出容器1に残される。抽出容器2は、室温から120℃までのステージ2の温度(誤差±0.1℃以内)に制御されたカラム状のオーブン2に配置された。抽出容器2から得られる抽出物、即ち、最終生成物は、保護用のアルミホイルにて包まれた試験管を用いて、BPR2の出口にて回収された。
【0052】
本発明の別の実施形態において、二段階SFEにおいて使用される条件は、微量成分の幾らかが抽出容器1にて抽出され、かつ該抽出容器1に留まる一方で、残りの抽出物がBPR1の出口から第二段階の抽出のために抽出容器2へ送られるように設定された。従って、二段階SFEのこの第二の実施形態において、ある微量成分抽出物の形態である最終生成物の幾らかは、BPR1の出口にて回収される一方で、他の微量成分抽出物の形態である残りの最終生成物は、BPR2の出口にて回収された。
【0053】
本発明の二段階SFEにおいて、抽出容器1及び抽出容器2における超臨界流体抽出は、二段階SFEの全工程、又は該工程の最初の部分のいずれかが同時に起こる。後者の場合、段階1での抽出は、超臨界流体ポンプと抽出容器1との間のバルブを閉じることにより停止し、それにより超臨界流体のみが抽出容器2に流入される。抽出容器1内への超臨界流体の流れを停止することは、例えば、全ての、又は大部分微量成分が抽出容器1において供給材料から既に抽出され、かつ該容器中に残っているものの大部分が不必要な不純物である場合には必要であるか、又は望ましい。
【0054】
前の段落において記載されているように、超臨界流体条件下において二つの容器中にて同時に抽出することは、本発明の二段階SFEの好ましい実施形態の一つである。しかしながら、本発明の二段階SFEの段階1及び段階2の抽出はまた、同時ではなく連続的にも実施され得る。
【0055】
本発明のSFEにて生成されるPC、ビタミンE濃縮物、植物ステロール濃縮物及びスクアレン濃縮物は、1乃至99%の範囲であることが見出された。それらは、栄養製品、製薬製品、食品及び非食品として適用される。
【0056】
以下の記載は、本発明の一段階及び二段階SFEの実施例であるが、それらは如何なる方法においても限定することを意図されていないことを理解されるべきである。
一段階及び二段階SFEの与えられた実施例の全てにおける供給材料は、微量成分の濃縮物の形態であった。該濃縮物は天然の油脂のエステル化及びエステル交換によって得られるか、及び/又は天然の油脂の鹸化により得られた。
【実施例1】
【0057】
1グラムのPCを50cmの凹部を備えた抽出容器中に装填した。供給物(feed)は、超臨界二酸化炭素抽出に使用された。SFEの系のデザインを図1に示す。適用された条件は、温度は50℃であり、かつ圧力は16MPa(160バール)にて4時間、20MPa(200バール)にて2時間、そして30MPa(300バール)にて3時間と増大された。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、背圧レギュレータ(BPR)の出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により、全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが測定された。表1に示す結果は、カロテンが30%より以上に濃縮され、かつ60mg乃至70mgのカロテンを含む供給物から5.9%の回収率であり、一方、ビタミンEが4%に濃縮され、かつ30mg乃至40mgのビタミンEを含む供給物から20%を超える回収率であった。
【実施例2】
【0058】
1グラムのPCを50cmの凹部を備えた抽出容器中に装填した。供給物には、超臨界二酸化炭素を使用した。SFEの系のデザインを図1に示す。適用された条件は、温度は60℃であり、かつ圧力は16MPa(160バール)にて4時間、20MPa(200バール)にて2時間、そして30MPa(300バール)にて3時間と増大された。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが、GCによりステロールが測定された。表2Aに示す結果は、カロテンが30%より以上に濃縮され、かつ60mg乃至70mgのカロテンを含む供給物から10%乃至18%の回収率であり、一方、ビタミンEが5%に濃縮され、かつ30mg乃至40mgのビタミンEを含む供給物から20%を超える回収率であった。表2Bに示した結果は、カロテン及びビタミンEの抽出に使用された場合と同じ条件を用いて得られた、3つの型の植物ステロール、即ち、カンペステロール、スティグマステロール及びβ−シトステロールの組成物を示す。
【実施例3】
【0059】
1グラムのPCを50cmの凹部を備えた抽出容器中に装填した。供給物には、超臨界二酸化炭素を使用した。SFEの系のデザインを図1に示す。適用された条件は、温度は70℃であり、かつ圧力は16MPa(160バール)にて4時間、20MPa(200バール)にて2時間、そして30MPa(300バール)にて3時間と増大された。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが測定された。結果は、カロテンが30%より以上に濃縮され、かつ60mg乃至70mgのカロテンを含む供給物から27%の回収率であり、一方、ビタミンEが6%に濃縮され、かつ30mg乃至40mgのビタミンEを含む供給物から10%を超える回収率であった。
【実施例4】
【0060】
1グラムのPCを50cmの凹部を備えた抽出容器中に装填した。供給物には、超臨界二酸化炭素を使用した。SFEの系のデザインを図1に示す。適用された条件は、温度は80℃であり、かつ圧力は16MPa(160バール)にて4時間、20MPa(200バール)にて2時間、そして30MPa(300バール)にて3時間と増大された。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが測定された。結果は、カロテンが20%より以上に濃縮され、かつ60mg乃至70mgのカロテンを含む供給物から8%の回収率であり、一方、ビタミンEが5%に濃縮され、かつ30mg乃至40mgのビタミンEを含む供給物から30%を超える回収率であった。
【実施例5】
【0061】
1グラムのPCを50cmの凹部を備えた抽出容器中に装填した。供給物には、超臨界二酸化炭素を使用した。SFEの系のデザインを図1に示す。適用された条件は、温度は60℃であり、かつ圧力は22MPa(220バール)にて5時間、そして30MPa(300バール)にて3時間と増大された。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが測定された。表5に示された結果は、カロテンが40%より以上に濃縮され、かつ60mg乃至70mgのカロテンを含む供給物から3.8%の回収率であり、一方、ビタミンEが3%に濃縮され、かつ30mg乃至40mgのビタミンEを含む供給物から80%を超える回収率であった。
【実施例6】
【0062】
1グラムのPCを50cmの凹部を備えた抽出容器中に装填した。供給物は、超臨界二酸化炭素を使用した。SFEの系のデザインを図1に示す。適用された条件は、温度は40℃であり、かつ圧力は14MPa(140バール)にて6時間、そして30MPa(300バール)にて3時間と増大された。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが測定された。結果は、カロテンが10%より以上に濃縮され、かつ60mg乃至70mgのカロテンを含む供給物から50%の回収率であり、一方、ビタミンEが4%に濃縮され、かつ30mg乃至40mgのビタミンEを含む供給物から5.5%を超える回収率であった。
【実施例7】
【0063】
1グラムのPCを50cmの凹部を備えた抽出容器中に装填した。供給物には、超臨界二酸化炭素を使用した。SFEの系のデザインを図1に示す。適用された条件は、温度は40℃であり、かつ圧力は14MPa(140バール)にて6時間、30MPa(300バール)にて3時間と増大され、そして、更なる3時間は60℃かつ30MPa(300バール)であった。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが測定された。結果は、カロテンが25%より以上に濃縮され、かつ60mg乃至70mgのカロテンを含む供給物から13%の回収率であり、一方、ビタミンEが4%に濃縮され、かつ30mg乃至40mgのビタミンEを含む供給物から26%を超える回収率であった。
【実施例8】
【0064】
1グラムのPCを50cmの凹部を備えた抽出容器中に装填した。供給物には、超臨界二酸化炭素を使用した。SFEの系のデザインを図1に示す。適用された条件は、温度は40℃であり、かつ圧力は14MPa(140バール)にて6時間、30MPa(300バール)にて3時間と増大され、そして、更なる3時間は60℃かつ30MPa(300バール)であった。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが測定された。結果は、カロテンが15%より以上に濃縮され、かつ60mg乃至70mgのカロテンを含む供給物から25%の回収率であり、一方、ビタミンEが9%に濃縮され、かつ30mg乃至40mgのビタミンEを含む供給物から9%を超える回収率であった。
【実施例9】
【0065】
1グラムのPCを50cmの凹部を備えた抽出容器中に装填した。供給物には、超臨界二酸化炭素を使用した。SFEの系のデザインを図1に示す。適用された条件は、温度は40℃であり、かつ圧力は13MPa(140バール)にて6時間、18MPa(180バール)にて3時間、そして30MPa(300バール)にて4時間と増大された。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが測定された。結果は、カロテンが20%より以上に濃縮され、かつ60mg乃至70mgのカロテンを含む供給物から50%の回収率であり、一方、ビタミンEが4%に濃縮され、かつ30mg乃至40mgのビタミンEを含む供給物から15%を超える回収率であった。
【実施例10】
【0066】
1グラムのPCを50cmの凹部を備えた抽出容器中に装填した。供給物には、超臨界二酸化炭素を使用した。SFEの系のデザインを図1に示す。適用された条件は、温度は28℃乃至35℃であり、かつ圧力は8MPa(80バール)にて6時間、14MPa(140バール)にて2時間、そして30MPa(300バール)にて2時間と増大された。そして、更に1時間の抽出が、60℃及び30MPa(300バール)の条件にて実施された。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが測定された。結果は、カロテンが15%より以上に濃縮され、かつ60mg乃至70mgのカロテンを含む供給物から50%の回収率であり、一方、ビタミンEが4%に濃縮され、かつ30mg乃至40mgのビタミンEを含む供給物から30%を超える回収率であった。
【実施例11】
【0067】
20グラムの粗製パーム油メチルエステル(以下、「CPOME」と称する)を50cmの凹部を備えた抽出容器中に装填した。供給物には、超臨界二酸化炭素を使用した。SFEの系のデザインを図1に示す。適用された条件は、温度は40℃であり、かつ10MPa(100バール)の固定された圧力であった。サンプルは1時間の間隔にて回収された。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが、そしてGCによりスクワレン及びステロールが測定された。表11Aに示された結果は、カロテンが19%より以上に濃縮され、かつ10mg乃至20mgのカロテンを含む供給物から19%の回収率であり、一方、ビタミンEが8乃至10%に濃縮され、かつ10mg乃至20mgのビタミンEを含む供給物から20%を超える回収率であった。表11Bに示された結果は、カロテン及びビタミンEの抽出に使用された条件と同一の条件を用いて、スクワレン及び植物ステロール(カンペステロール、スティグマステロール及びβ−シトステロール)の組成物が得られたことを示している。
【実施例12】
【0068】
20グラムのCPOMEを50cmの凹部を備えた抽出容器中に装填した。供給物には、超臨界二酸化炭素を使用した。SFEの系のデザインを図1に示す。適用された条件は、温度は40℃であり、かつ9.5MPa(95バール)の固定された圧力で6時間、そして、更に2時間は30MPa(300バール)に圧力を増大した。サンプルは1時間の間隔にて回収された。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが測定された。結果は、カロテンが25%より以上に濃縮され、かつ10mg乃至20mgのカロテンを含む供給物から28%の回収率であり、一方、ビタミンEが9%に濃縮され、かつ10mg乃至20mgのビタミンEを含む供給物から20%を超える回収率であった。
【実施例13】
【0069】
20グラムのCPOMEを50cmの凹部を備えた抽出容器中に装填した。供給物には、超臨界二酸化炭素を使用した。SFEの系のデザインを図1に示す。適用された条件は、温度は60℃であり、かつ14MPa(140バール)の固定された圧力で6時間、そして、更に2時間は30MPa(300バール)に圧力を増大した。サンプルは1時間の間隔にて回収された。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが測定された。結果は、カロテンが50%より以上に濃縮され、かつ10mg乃至20mgのカロテンを含む供給物から50%の回収率であり、一方、ビタミンEが8.5%に濃縮され、かつ10mg乃至20mgのビタミンEを含む供給物から15%を超える回収率であった。
【実施例14】
【0070】
20グラムのCPOMEを50cmの凹部を備えた抽出容器中に装填した。供給物には、超臨界二酸化炭素を使用した。SFEの系のデザインを図1に示す。適用された条件は、温度は50℃であり、かつ10MPa(100バール)乃至13MPa(130バール)の間の圧力で7時間、そして、更に2時間は30MPa(300バール)に圧力を増大した。サンプルは1時間の間隔にて回収された。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが測定された。結果は、カロテンが20%より以上に濃縮され、かつ10mg乃至20mgのカロテンを含む供給物から40%の回収率であり、一方、ビタミンEが4%に濃縮され、かつ10mg乃至20mgのビタミンEを含む供給物から7%を超える回収率であった。
【実施例15】
【0071】
1グラムのPCを50cmの凹部を備えた抽出容器1中に装填した。供給物には、超臨界二酸化炭素を使用した。SFEの系のデザインを図2に示す。適用された条件は、6時間の間は、容器1に対しては、温度は60℃で、かつ圧力は30MPa(300バール)であり、容器2に対しては、温度は80℃で、かつ圧力は18MPa(180バール)であった。そして、更に3時間の抽出が、容器1を迂回して実施された。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが測定された。結果は、カロテンが20%より以上に濃縮され、かつ60mg乃至70mgのカロテンを含む供給物から25%を超える回収率であり、一方、ビタミンEが7%に濃縮され、30mg乃至40mgのビタミンEを含む供給物から20%を超える回収率であった。
【実施例16】
【0072】
1グラムのPCを50cmの凹部を備えた抽出容器1中に装填した。供給物には、超臨界二酸化炭素を使用した。SFEの系のデザインを図2に示す。適用された条件は、6時間の間は、容器1に対しては、温度は60℃で、かつ圧力は30MPa(300バール)であり、容器2に対しては、温度は70℃で、かつ圧力は18MPa(180バール)であった。次に、更なる2時間の間は、容器1の状態を維持しながら、容器2の圧力を20MPa(200バール)に増大した。そして、更に1時間の抽出が、温度70℃かつ圧力30MPa(300バール)の条件を用いて、容器1を迂回して実施された。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが測定された。表16に示された結果は、カロテンが30%より以上に濃縮され、かつ60mg乃至70mgのカロテンを含む供給物から8%の回収率であり、一方、ビタミンEが4%に濃縮され、かつ30mg乃至40mgのビタミンEを含む供給物から70%を超える回収率であった。
【実施例17】
【0073】
1グラムのPCを50cmの凹部を備えた抽出容器1中に装填した。供給物には、超臨界二酸化炭素を使用した。SFEの系のデザインを図2に示す。適用された条件は、6時間の間は、容器1に対しては、温度は60℃で、かつ圧力は30MPa(300バール)であり、容器2に対しては、温度は80℃で、かつ圧力は20MPa(200バール)であった。そして、更なる2時間の間は、容器1の条件を維持しながら、容器2の圧力を22MPa(220バール)まで増大させた。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが測定された。表17に示された結果は、カロテンが30%より以上に濃縮され、かつ60mg乃至70mgのカロテンを含む供給物から15%の回収率であり、一方、ビタミンEが3乃至4%に濃縮され、かつ30mg乃至40mgのビタミンEを含む供給物から70%を超える回収率であった。
【実施例18】
【0074】
1グラムのPCを50cmの凹部を備えた抽出容器1中に装填した。供給物には、超臨界二酸化炭素を使用した。SFEの系のデザインを図2に示す。適用された条件は、6時間の間は、容器1に対しては、温度は60℃で、かつ圧力は30MPa(300バール)であり、容器2に対しては、温度は70℃で、かつ圧力は20MPa(200バール)であった。そして、更なる3時間の間は、容器1の条件を維持しながら、容器2の圧力を22MPa(220バール)まで増大させた。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが測定された。結果は、カロテンが30%より以上に濃縮され、かつ60mg乃至70mgのカロテンを含む供給物から10%の回収率であり、一方、ビタミンEが2乃至3%に濃縮され、かつ30mg乃至40mgのビタミンEを含む供給物から60%を超える回収率であった。
【実施例19】
【0075】
1グラムのPCを50cmの凹部を備えた抽出容器中に装填した。供給物は、12グラムの洗浄した砂とともに均一に混合された。該混合物には超臨界二酸化炭素を使用した。SFEの系のデザインを図1に示す。適用された条件は、温度は60℃である、かつ圧力は16MPa(160バール)にて2時間、20MPa(200バール)にて1時間、30MPa(300バール)にて3時間と増大させた。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが測定された。結果は、カロテンが15%より以上に濃縮され、かつ60mg乃至70mgのカロテンを含む供給物から40%の回収率であり、一方、ビタミンEが3乃至4%に濃縮され、かつ30mg乃至40mgのビタミンEを含む供給物から75%を超える回収率であった。
【実施例20】
【0076】
1グラムのPCを50cmの凹部を備えた抽出容器中に装填した。供給物は、20グラムの洗浄した砂とともに均一に混合された。該混合物には超臨界二酸化炭素を使用した。SFEの系のデザインを図1に示す。適用された条件は、温度は60℃であり、かつ圧力は16MPa(160バール)にて2時間、20MPa(200バール)にて1時間、30MPa(300バール)にて3時間と増大させた。5ml/分の流速にて超臨界二酸化炭素が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが測定された。結果は、カロテンが30%より以上に濃縮され、かつ60mg乃至70mgのカロテンを含む供給物から10%の回収率であり、一方、ビタミンEが3乃至4%に濃縮され、かつ30mg乃至40mgのビタミンEを含む供給物から80%を超える回収率であった。
【実施例21】
【0077】
1.14グラムのPCを50cmの凹部を備えた抽出容器中に装填した。供給物には、超臨界1,1,1,2−テトラフルオロエタンを使用した。SFEの系のデザインを図1に示す。適用された条件は、実験を通して、温度は60℃で、かつ圧力は1MPa(10バール)であった。8ml/分の流速にて超臨界流体が抽出容器中に送り出された。抽出物は、BPRの出口にて回収された。回収された分画は、紫外線分光光度法により全カロテン量が、HPLC−蛍光検出器によりビタミンEが測定された。結果は、カロテンがわずか2乃至3%に濃縮され、かつ60mg乃至70mgのカロテンを含む供給物から47%の回収率であり、一方、ビタミンEが1乃至2%に濃縮され、かつ30mg乃至40mgのビタミンEを含む供給物から40%を超える回収率であった。
【実施例22】
【0078】
100gのCPOを、抗酸化剤としての20gのピロガロールの存在下にて、600mlの無水エタノール及び100mlの50%水酸化カリウム水溶液とともに鹸化した。混合物を1時間還流した。植物栄養素をn−ヘキサン:水(90:10v/v)にて5回抽出し、残渣のアルカリが完全に除去されるまで、水:エタノール(90:10v/v)にて繰り返し洗浄した。溶媒は、植物栄養素濃縮物より除去された。植物栄養素を含む濃縮物0.52gをSFEにて処理した。系のデザインは図1に示される。使用された条件は、温度が60℃であり、かつ圧力は16MPa(160バール)にて2時間、20MPa(200バール)にて1時間、そして30MPa(300バール)にて4時間と増大させた。抽出物はBPRの出口にて回収された。表22に示した結果は、カロテンが30%より以上に濃縮され、かつ25mg乃至35mgのカロテンを含む供給物から20%を超える回収率であり、一方、ビタミンEが10%より以上に濃縮され、かつ20mg乃至30mgのビタミンEを含む供給物から55%を超える回収率であった。
【実施例23】
【0079】
9.49gのPCを、抗酸化剤としての2gのピロガロールの存在下にて、60mlの無水エタノール及び10mlの50%水酸化カリウム水溶液とともに鹸化した。混合物を1時間還流した。植物栄養素をn−ヘキサン:水(90:10v/v)にて5回抽出し、残渣のアルカリが完全に除去されるまで、水:エタノール(90:10v/v)にて繰り返し洗浄した。溶媒は、植物栄養素濃縮物より除去された。植物栄養素を含む濃縮物0.50gをSFEにて処理した。系のデザインは図1に示される。使用された条件は、温度が60℃であり、かつ圧力は16MPa(160バール)にて3時間、20MPa(200バール)にて1時間、そして30MPa(300バール)にて6時間と増大させた。抽出物はBPRの出口にて回収された。表23に示した結果は、カロテンが30%乃至40%の間に濃縮され、かつ45mg乃至55mgのカロテンを含む供給物から35%を超える回収率であり、一方、ビタミンEが10%乃至25%の間に濃縮され、かつ40mg乃至50mgのビタミンEを含む供給物から70%を超える回収率であった。
【実施例24】
【0080】
9.49gのPCを、抗酸化剤としての2gのピロガロールの存在下にて、60mlの無水エタノール及び10mlの50%水酸化カリウム水溶液とともに鹸化した。混合物を1時間還流した。植物栄養素をn−ヘキサン:水(90:10v/v)にて5回抽出し、残渣のアルカリが完全に除去されるまで、水:エタノール(90:10v/v)にて繰り返し洗浄した。溶媒は、植物栄養素濃縮物より除去された。植物栄養素を含む濃縮物0.50gをSFEにて処理した。系のデザインは図1に示される。使用された条件は、温度が60℃であり、かつ圧力は16MPa(160バール)にて2時間、20MPa(200バール)にて1時間、そして30MPa(300バール)にて4時間と増大させた。抽出物はBPRの出口にて回収された。表24に示した結果は、カロテンが30%より以上に濃縮され、かつ45mg乃至55mgのカロテンを含む供給物から30%を超える回収率であり、一方、ビタミンEが10%乃至25%の間に濃縮され、かつ40mg乃至50mgのビタミンEを含む供給物から50%を超える回収率であった。
【0081】
上記明細書中において、本発明は、その好ましい特定の実施形態に関連させて記載され、かつ多くの詳細な説明は例示の目的にて記載されたものであるが、本発明は更なる実施形態を許容しており、かつ本明細書に記載された詳細な説明の幾らかは、本発明の基本的な原理を逸脱することなく、かなり変更され得るということが当業者には理解されるであろう。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

【0085】
【表4】

【0086】
【表5】

【0087】
【表6】

【0088】
【表7】

【0089】
【表8】

【0090】
【表9】

【0091】
【表10】

【0092】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然の油又は脂肪から、カロテン濃縮物、ビタミンE濃縮物、スクワレン濃縮物及び植物ステロール濃縮物を、超臨界流体を用いて抽出する一段階超臨界流体抽出法において、前記一段階超臨界流体抽出法は、
(a)前記天然の油又は脂肪のアルコールを用いたエステル化及びアルコールを用いたエステル交換を行い、脂肪酸アルキルエステル、カロテン、ビタミンE、スクワレン及び植物ステロールの濃縮された混合物を形成する工程と、
(b)工程(a)にて得られた混合物から、超臨界流体を用いて28℃乃至120℃の温度で、かつ6MPa(60バール)乃至60MPa(600バール)の圧力にて超臨界流体抽出を行い、カロテン濃縮物、ビタミンE濃縮物、スクワレン濃縮物及び植物ステロール濃縮物のうちの少なくとも一つを生成する工程と、
からなる一段階超臨界流体抽出法。
【請求項2】
前記混合物は、工程(a)において化学的手段又は酵素的手段のいずれかを用いたエステル化及びエステル交換工程により調製される請求項1に記載の一段階超臨界流体抽出法。
【請求項3】
前記アルキルエステルは、メチル、エチル、イソプロピル又はブチルエステルである請求項2に記載の一段階超臨界流体抽出法。
【請求項4】
前記工程(a)にて生成された混合物は、前記工程(b)の超臨界流体抽出工程の前に、分子蒸留を含む真空蒸留を介してエステルを除去することにより更に濃縮される請求項1に記載の一段階超臨界流体抽出法。
【請求項5】
請求項4に記載の一段階超臨界流体抽出法において、エステルの除去後に得られた濃縮された混合物は、
(i)濃縮された混合物中に存在する鹸化可能な物質を鹸化して、鹸化された物質と鹸化されていない物質との混合物を生成する工程と、
(ii)前記鹸化された物質を除去して、カロテン、ビタミンE、スクワレン及び植物ステロールの更に濃縮された混合物を残す工程とからなる鹸化工程により更に濃縮され、
前記工程は、工程(ii)において得られた更に濃縮された混合物の超臨界流体抽出の前に実施される一段階超臨界流体抽出法。
【請求項6】
前記工程(a)の代わりに天然の油又は脂肪を鹸化し、次いで、工程(b)の超臨界流体抽出工程の前にカロテン、ビタミンE、スクワレン及び植物ステロールを含む濃縮された混合物を形成するために鹸化された物質を除去する、請求項1に記載の一段階超臨界流体抽出法。
【請求項7】
前記超臨界流体は超臨界二酸化炭素である請求項1に記載の一段階超臨界流体抽出法。
【請求項8】
超臨界二酸化炭素を用いた抽出は、28℃乃至50℃の温度及び8MPa(80バール)乃至22MPa(220バール)の圧力にてビタミンEの抽出が実施され、かつ50℃乃至80℃の温度及び22MPa(220バール)乃至30MPa(300バール)の圧力にてカロテンの抽出が実施される請求項4に記載の一段階超臨界流体抽出法。
【請求項9】
超臨界二酸化炭素の供給物に対する重量比は、25対3000である請求項7に記載の一段階超臨界流体抽出法。
【請求項10】
抽出物の収率は、マトリックスを導入することにより高められる請求項1に記載の一段階超臨界流体抽出法。
【請求項11】
抽出物の収率は、アセトン及び低級アルコール類から選択される改質剤を導入することにより高められる請求項1に記載の一段階超臨界流体抽出法。
【請求項12】
前記天然の油脂は、粗製パーム油、粗製パームオレイン、粗製パームステアリン、粗製パーム油アルキルエステル、粗製パームオレインアルキルエステル、粗製パームステアリンアルキルエステル、パームカロテン濃縮物、大豆油、ひまわり実油、菜種油、ココナッツ油、糠油、及び他の植物油を含む請求項1に記載の一段階超臨界流体抽出法。
【請求項13】
天然の油又は脂肪から、カロテン濃縮物、ビタミンE濃縮物、スクワレン濃縮物及び植物ステロール濃縮物を、超臨界流体を用いて抽出する二段階超臨界流体抽出法において、前記二段階超臨界流体抽出法は、
(a)前記天然の油又は脂肪のアルコールを用いたエステル化及びアルコールを用いたエステル交換を行い、脂肪酸アルキルエステル、カロテン、ビタミンE、スクワレン及び植物ステロールの濃縮された混合物を形成する工程と、
(b)工程(a)にて得られた混合物から、超臨界流体を用いて28℃乃至120℃の温度で、かつ6MPa(60バール)乃至60MPa(600バール)の圧力にてカロテン、ビタミンE、スクワレン及び植物ステロールの全て又は幾らかの第一の超臨界流体抽出を行い、カロテン濃縮物、ビタミンE濃縮物、スクワレン濃縮物及び植物ステロール濃縮物のうちの少なくとも一つを生成する工程と、
(c)工程(b)にて得られた分画から、超臨界流体を用いて28℃乃至120℃の温度で、かつ6MPa(60バール)乃至60MPa(600バール)の圧力にてカロテン、ビタミンE、スクワレン及び植物ステロールの全て又は幾らかの第二の超臨界流体抽出を行い、更に、前記カロテン、前記ビタミンE、前記スクワレン及び前記植物ステロールを不純物から分離することと、前記カロテン、前記ビタミンE、前記スクワレン及び前記植物ステロールを互いに分離することとのうちの少なくとも一方を行う工程と、
からなる方法。
【請求項14】
前記混合物は、工程(a)において化学的手段又は酵素的手段のいずれかを用いたエステル化及びエステル交換工程により調製される請求項13に記載の二段階超臨界流体抽出法。
【請求項15】
前記アルキルエステルは、メチル、エチル、イソプロピル又はブチルエステルである請求項14に記載の二段階超臨界流体抽出法。
【請求項16】
前記工程(a)にて生成された混合物は、前記工程(b)の超臨界流体抽出工程の前に、分子蒸留を含む真空蒸留を介してエステルを除去することにより更に濃縮される請求項13に記載の二段階超臨界流体抽出法。
【請求項17】
請求項16に記載の二段階超臨界流体抽出法において、エステルの除去後に得られた濃縮された混合物は、
(i)濃縮された混合物中に存在する鹸化可能な物質を鹸化して、鹸化された物質と鹸化されていない物質との混合物を生成する工程と、
(ii)前記鹸化された物質を除去して、カロテン、ビタミンE、スクワレン及び植物ステロールの更に濃縮された混合物を残す工程とからなる鹸化工程により更に濃縮され、
前記工程は、工程(ii)において得られた更に濃縮された混合物の第一段階の超臨界流体抽出の前に実施される二段階超臨界流体抽出法。
【請求項18】
前記工程(a)の代わりに天然の油又は脂肪を鹸化し、次いで、工程(b)の第一段階の超臨界流体抽出工程の前にカロテン、ビタミンE、スクワレン及び植物ステロールを含む濃縮された混合物を形成するために鹸化された物質を除去する、請求項13に記載の二段階超臨界流体抽出法。
【請求項19】
前記超臨界流体は超臨界二酸化炭素である請求項13に記載の二段階超臨界流体抽出法。
【請求項20】
超臨界二酸化炭素を用いた抽出は、二つの段階の各々において、28℃乃至50℃の温度及び8MPa(80バール)乃至22MPa(220バール)の圧力にてビタミンEの抽出が実施され、かつ50℃乃至80℃の温度及び22MPa(220バール)乃至30MPa(300バール)の圧力にてカロテンの抽出が実施される請求項13に記載の二段階超臨界流体抽出法。
【請求項21】
超臨界二酸化炭素の供給物に対する重量比は、25対3000である請求項19に記載の二段階超臨界流体抽出法。
【請求項22】
抽出物の収率は、マトリックスを導入することにより高められる請求項13に記載の二段階超臨界流体抽出法。
【請求項23】
抽出物の収率は、前記段階の一方又は両方において、アセトン及び低級アルコール類から選択される改質剤を導入することにより高められる請求項13に記載の二段階超臨界流体抽出法。
【請求項24】
前記天然の油脂は、粗製パーム油、粗製パームオレイン、粗製パームステアリン、粗製パーム油アルキルエステル、粗製パームオレインアルキルエステル、粗製パームステアリンアルキルエステル、パームカロテン濃縮物、大豆油、ひまわり実油、菜種油、ココナッツ油、糠油、及び他の植物油を含む請求項13に記載の二段階超臨界流体抽出法。
【請求項25】
前記超臨界流体は、超臨界二酸化炭素、超臨界プロパン、超臨界エチレン及び超臨界1,1,1,2−テトラフルオロエタンからなる群より選択される、請求項1に記載の一段階超臨界流体抽出法。
【請求項26】
前記超臨界流体は、超臨界二酸化炭素、超臨界プロパン、超臨界エチレン及び超臨界1,1,1,2−テトラフルオロエタンからなる群より選択される、請求項13に記載の二段階超臨界流体抽出法。
【請求項27】
前記マトリックスは、砂及びビーズの少なくとも一方である、請求項10に記載の一段階超臨界流体抽出法。
【請求項28】
前記マトリックスは、砂及びビーズの少なくとも一方である、請求項22に記載の二段階超臨界流体抽出法。
【請求項29】
前記低級アルコール類はエタノール、イソプロパノール及びメタノールからなる群より選択される、請求項11に記載の一段階超臨界流体抽出法。
【請求項30】
前記低級アルコール類はエタノール、イソプロパノール及びメタノールからなる群より選択される、請求項23に記載の二段階超臨界流体抽出法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−152752(P2012−152752A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−96742(P2012−96742)
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【分割の表示】特願2004−247983(P2004−247983)の分割
【原出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(500511648)マレーシアン・パーム・オイル・ボード (12)
【Fターム(参考)】