説明

カンジダに対する能動免疫及び受動免疫の標的としてのHYR1

本発明は、播種性カンジダ症と闘うためのワクチンの標的及び予防戦略としてのHYR1を特色とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府によって資金が提供された研究であることの言明
本発明は、米国公衆衛生局助成金R21 AI066010、R01 AI067703、R01 AI063503及びR03 AI083251の政府補助の元で行われた。アメリカ合衆国政府は本発明について一定の権利を有する。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、カンジダ(Candida)菌糸細胞壁タンパク質、カンジダ菌糸細胞壁タンパク質によるワクチン接種に対する免疫応答に起因する抗体、並びに、カンジダ菌糸細胞壁タンパク質によるカンジダ症及び他の細菌感染症の予防及び/または処置の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
本明細書中で言及される文献、または示された箇所は、2009年7月3日に出願された米国仮出願第61/223,005号を含め、本明細書中に参照として組み込まれる。しかしながら、いずれの文献も本願の主題に対する従来技術として認められるものではない。
【0004】
およそ6万件の播種性カンジダ症が毎年、米国において発生し[1]、何十億ドルもの医療費に至る。この感染症の死亡率が40%であることを考慮すると、これに介入するための新しい予防的または治療的標的を同定する必要がある。
【0005】
播種性カンジダ症に対する宿主の初期防衛機構は、その生物の食細胞による殺作用である[2,3]。食細胞のみがインビトロにおいてカンジダを直接殺すことができる[4]。さらに、マウス、ウサギ、イヌまたはヒトにカンジダを静脈内接種すると、30分以内に、酵母が細網内皮系、特に肝臓中に保持される。クッパーマクロファージに富む肝臓は、門脈系中の酵母の99.9%を単回通過で除去することができ[5]、このことは、この真菌に対する食作用性防御の有効性を強調する。ゆえに、食細胞による殺作用に対するカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)の耐性は、この生物の重要な病毒性機能である。
【0006】
細胞表面グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー型タンパク質は病原体と宿主との臨界面にあるため、これらタンパク質は宿主-病原体相互作用に関係するものと考えられる[6]。
【0007】
病毒性に寄与する、生物の調節経路中のエフェクターの同定は、既存の抗真菌剤よりも優れた方法または組成物による治療的介入の機会を提供する。病毒性に関与する調節経路に影響する細胞表面タンパク質または菌糸タンパク質の同定は特に有望である。何故なら、このタンパク質の特徴付けにより、カンジダ性感染症と闘う際に、既存の抗真菌剤よりも優れていると考えられるまたはそれらと相乗的である免疫治療的技術が可能になるからである。
【0008】
カンジダ・アルビカンスの病毒性は、幾つかの推定の病毒性因子により制御されており、宿主の構成要素への付着性及び酵母から菌糸へ形質転換する能力が、その病原性を決定する上で最も重要である。カンジダにとって殺菌性である強力な抗真菌剤は存在するものの、アンホテリシンB等の強力な抗真菌剤での処置を行っても、カンジダ血症による死亡率はおよそ38%である。さらに、アンホテリシンB等の既存の薬剤は望ましくない毒性を示しがちである。アンホテリシンBよりも毒性が少ないさらなる抗真菌剤が開発されるかもしれないが、より強力な薬剤が開発される見込みはない。従って、播種性カンジダ症を処置または予防するための受動的または能動的のいずれかの免疫療法は、標準的な抗真菌治療の有望な代案である。
【0009】
従って、カンジダ及びその他の免疫原として関連する病原体に対する、宿主免疫防御並びに受動免疫防御を提供する効果的な免疫原に対する要望が存在する。本発明はこの要望を満たし、そして、関連する有利な点をも提供する。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、カンジダHYR1ポリペプチド抗原及びそのような抗原の治療的用途を特色とする。本発明のHYR1ポリペプチド抗原は、対象におけるカンジダ感染症を処置または予防するために使用され得る。
【0011】
カンジダ・アルビカンス中のGPIアンカー型タンパク質に着目して新規条件過剰発現/抑制系をスクリーニングすることにより、本発明者らは、HYR1を病毒性因子として同定した。HYR1は、そのヌル変異株がインビトロにおいていかなる形態的異常も表出しない、菌糸に共発現される遺伝子である[7]。本発明者らは以下に、HYR1が、インビトロにおいて食細胞殺作用に対する耐性を仲介し、インビボにおいて組織真菌負荷を調節し、そして、そのことにより、播種性カンジダ症の重症度を改善するためのワクチンの標的であることを示す結果を提供する。
【0012】
定義
「HYR1」ポリペプチドは、配列番号:1のアミノ酸配列と実質的に同一であるポリペプチドを意味する。望ましくは、HYR1ポリペプチドは、配列番号:1のアミノ酸配列に対して少なくとも70、75%、80%、85%、90%、95%、99%、または100%の同一性を有する。
【0013】
「HYR1ポリペプチドの断片」または「HYR1断片」は、937、936または935個よりも少ないアミノ酸を含むHYR1ポリペプチドの断片を意味する。好ましいHYR1断片は、300〜350、または250〜500個のアミノ酸の長さである。望ましくは、断片は、937、936、935、934、933、932、931または930、920、910、900、890、880、870、860、850、840、830、820、810、800、790、780、770、760、750、740、730、720、710、700、690、680、670、660、650、640、630、620、610、600、590、580、570、560、550、540、530、520、510、500、490、480、470、460、450、440、430、420、410、400、390、380、370、360、350、340、330、320、310、300、290、280、270、260、250、240、230、220、210、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、90、80、70、60、50、40、30、25、20、15または10個よりも少ないアミノ酸であり、且つ、望ましくは免疫原性である。HYR1断片は、例えば、配列番号2の配列中に1またはそれ以上の保存的アミノ酸置換を含んでもよい。さらなる望ましいHYR1断片は、配列番号:2の配列中に1若しくはそれ以上の保存的アミノ酸置換を含み、且つ/または、配列番号:2の配列のN末端及び/若しくはC末端に少なくとも一つの隣接アミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個の隣接アミノ酸)を含む。その他の好ましいHYR1断片は、配列番号:2の配列のうちの7またはそれ以上の連続するアミノ酸を含む。
【0014】
非限定的な例としてのHYR1断片は、配列番号:2の配列のアミノ酸のうちの1〜40、10〜50、20〜60、30〜70、40〜80、50〜90、60〜100、70〜110、80〜120、90〜130、100〜140、110〜150、120〜160、130〜170、140〜180、150〜190、160〜200、170〜210、180〜220、190〜230、200〜240、210〜250、220〜260、230〜270、240〜280、250〜290及び260〜300、270〜310、280〜320及び290〜331アミノ酸を含み;且つ、これらの断片が、一つまたはそれ以上の次の特色を有する:配列番号:2の配列中に1若しくはそれ以上の保存的アミノ酸置換(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15若しくは16個の保存的アミノ酸置換)を有する;配列番号:2の配列のN末端及び/若しくはC末端から1またはそれ以上のアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15若しくは16個のアミノ酸)の短縮を有する;並びに、配列番号:2の配列のN末端及び/若しくはC末端に隣接する少なくとも1つのアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個の隣接アミノ酸)を有する。
【0015】
「実質的に同一」は、参照アミノ酸配列に対して少なくとも50%、望ましくは60%、70%、75%または80%、より望ましくは85%、90%または95%、そして最も望ましくは99%のアミノ酸配列同一性を示すポリペプチドを意味する。比較配列の長さは、一般に、少なくとも10アミノ酸、望ましくは、少なくとも15個の連続するアミノ酸、より望ましくは少なくとも20、25、50、75、90、100、150、200、250、275、300、310、315、320、325、330、335、340、345または350個の連続するアミノ酸、そして最も望ましくは全長アミノ酸配列である。
【0016】
配列同一性は、デフォルト設定の配列分析ソフトウェア(例えば、Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, WI 53705のSequence Analysis Software Package)により測定され得る。このようなソフトウェアは、種々の置換、欠失及びその他の改変に相同性の程度を割り当てることにより、類似する配列をマッチさせることができる。複数の配列もまた、Clustal W(1.4)プログラム(European Molecular Biology Laboratory, GermanyのJulie D. Thompson及びToby Gibson、並びに、European Bioinformatics Institute, Cambridge, UKのDesmond Higgins製作)を用いて、ペアワイズアライメントモードを「スロー」、ペアワイズアライメントパラメーターがギャップ開始ペナルティ10.0及びギャップ伸長ペナルティ0.1を含むように、そして、類似度マトリクスを「blosum」に設定することにより、整列させることができる。さらに、複数整列パラメーターがギャップ開始ペナルティ10.0、ギャップ伸張ペナルティ0.1を含むように、そして、類似度マトリクスを「blosum」、ディレイダイヴァージェントを40%及びギャップ距離を8に設定できる。
【0017】
本明細書中で使用される「保存的アミノ酸置換」は、あるアミノ酸配列中において、側鎖の化学的性質について関連するアミノ酸のファミリー内で、あるアミノ酸を別のアミノ酸へ置換することを意味する。
【0018】
遺伝的にコードされるアミノ酸は4つのファミリーに分類することができる:酸性(アスパラギン酸、グルタミン酸);塩基性(リジン、アルギニン、ヒスチジン);非極性(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン);及び非電荷極性(グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン)。フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンは芳香族アミノ酸としてグループ化されることもある。同様の様式で、アミノ酸はまた次のようなグループに分けることもできる:酸性(アスパラギン酸、グルタミン酸);塩基性(リジン、アルギニン、ヒスチジン);セリン及びスレオニンを任意で脂肪族水酸基として分けてグループ化して、脂肪族(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン);芳香族(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン);アミド(アスパラギン、グルタミン);並びに、硫黄含有(システイン、メチオニン)。
【0019】
アミノ酸配列中の変化の結果、機能的なホモログとなるかどうかは、本明細書中に記載されるアッセイ等の標準的な方法を用いて、野生型タンパク質と類似した様式で機能する変異体ペプチドの能力を評価することにより決定することができる。
【0020】
本発明の望ましい態様は、配列番号:1または2のアミノ酸配列中に少なくとも1つの保存的アミノ酸置換を、そして、より望ましくは、配列番号:1または2のアミノ酸配列中に1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個の保存的アミノ酸置換を含む。
【0021】
「隣接アミノ酸」は、定義された特定の配列のN末端またはC末端に直接隣接するポリペプチド配列中のアミノ酸を意味する。望ましくは、隣接アミノ酸は、配列番号:1若しくは2、またはその断片のアミノ酸配列のN末端及び/若しくはC末端上に存在し、そしてより望ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10個の隣接アミノ酸が、配列番号:1若しくは2、またはその断片のアミノ酸配列のN末端及び/若しくはC末端に存在する。
【0022】
本明細書中で使用される「融合タンパク質」は、(1)HYR1ポリペプチド、HYR1断片;及び(2)融合パートナーからなるポリペプチドを指す。
【0023】
本明細書中で使用される「融合パートナー」は、HYR1ポリペプチドまたはHYR1断片に融合され得る異種配列のことを指す。融合パートナーの例は本明細書中に記載されており、そして、検出マーカー、安定化ドメイン、またはタンパク質の産生若しくは精製の助けとなる配列を含む。
【0024】
本明細書中で使用される「免疫応答」は、抗原または感染性物質へ応答しての生物の免疫系の活性化を指す。脊椎動物では、これに限定されないが、次のうちの1つまたはそれ以上を含む:ナイーブB細胞のメモリーB細胞への成熟;形質細胞(エフェクターB細胞)による抗体産生;細胞性免疫の誘導;CD4+T細胞の活性化及びサイトカイン放出;CD8+T細胞の活性化及びサイトカイン放出;サイトカインの動員及び食細胞(例えば、マクロファージ、好中球、好酸球)の活性化;及び/または補体活性化。
【0025】
「免疫原性」は、対象において免疫応答を誘導することができる物質を意味する。
【0026】
「薬学的に許容される塩」は、製薬業界で使用されるあらゆる非毒性酸付加塩または金属錯体を意味する。酸付加塩の例は、酢酸、乳酸、パモ酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、安息香酸、パルミチン酸、スベリン酸、サリチル酸、酒石酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、またはトリフルオロ酢酸等の有機酸;タンニン酸、カルボキシメチルセルロース等の高分子酸;並びに、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸を含む。金属錯体は、亜鉛、鉄等を含む。
【0027】
「薬学的に許容される担体」は、剤を溶解し、そして対象に輸送するのに使用されるあらゆる溶液を意味する。望ましい薬学的に許容される担体は生理食塩水である。望ましい態様において、薬学的に許容される担体はアジュバントを含む。例示的なアジュバントが本明細書中に記載される。その他の生理的に許容される担体及びその剤形は当業者に公知であり、そして、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (第20版)、A. Gennaro編、2003年、Lippincott Williams&Wilkinsに記載される。
【0028】
「単離された」は、天然でそれに含まれる成分から分離されたタンパク質(またはその断片)を意味する。典型的には、天然で含まれるタンパク質及び天然で生じる有機分子が60重量%除かれている場合、ポリペプチドは実質的に単離されている。この定義はさらに、隣接アミノ酸(例えば、アミノ酸配列については、単離されたとは、ポリペプチド中に天然で含まれる、隣接アミノ酸を含まない配列を指す)から分離されたポリペプチドに拡張される。好ましくは、少なくとも75重量%、さらに好ましくは少なくとも90重量%、そして最も好ましくは少なくとも99重量%、ポリペプチドは、単離されている。単離されたポリペプチドは、標準的な技術、例えば、天然源からの抽出(例えば、カンジダに感染した細胞からの精製)、HYR1断片若しくはその融合タンパク質をコードする組換え核酸の発現、ポリペプチドの化学合成により取得され得る。純度は任意の適当な方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、または、HPLC分析により測定できる。
【0029】
「治療的有効量」は、対象中に次の1つまたはそれ以上の効果を生じるのに必要とされる免疫原性化合物(例えば、ポリペプチド、断片、融合タンパク質若しくはワクチン)の量を意味する:免疫応答;カンジダ感染症のレベルの減少(例えば、少なくとも5%、10%、20%若しくは30%、より望ましくは40%、50%、60%若しくは70%、そして最も望ましくは80%若しくは90%の減少);患者におけるカンジダ感染症の1つ若しくはそれ以上の症状の減少(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%若しくは100%の減少);または、新規カンジダ感染への耐性の増加(例えば、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%若しくは50%、より望ましくは60%、70%、80%若しくは90%、または最も望ましくは100%、200%若しくは300%の増加)。
【0030】
本発明のその他の特色及び利点は、以下の詳細な説明、並びに添付の図面及び特許請求の範囲より明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】HYR1の条件発現は、好中球及びマクロファージを介したカンジダ・アルビカンス殺作用を増幅した。(A)HYR1条件過剰発現/抑制株CAAH-31の確認。−DOX培地中での遺伝子の過剰発現、及び+DOX培地中での発現の欠如 を示すHYR1のRT-PCRの結果。EFB1断片を共増幅して、対照とした。cDNA調製物中へのゲノムDNAの混入がないことを、EFB1のイントロンを含む919bpバンドの不在により示した。THE31が野生型対照株であった。(B)カンジダ・アルビカンス株をDOX含有(HYR1抑制)及びDOX不含(HYR1過剰発現)YPD中、30℃で一晩増殖させ、その後ヒト好中球と一緒に培養した。(C)HL-60由来好中球と共培養したカンジダ・アルビカンス。(D)HL-60由来マクロファージと共培養したカンジダ・アルビカンス。
【図2】カンジダ・アルビカンスHYR1発現は、bcr1ヌル変異体またはカンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)株におけるヒト好中球による殺作用への耐性を増加した。(A及びB)カンジダ・アルビカンスのbcr1欠損株における自律的HYR1発現は、親株の過剰感受性を完全に好中球殺作用耐性に補った。カンジダ・アルビカンス株DAY185(野生型)、CJN702(bcr1ヌル変異体)及びCJN698(BCR1補足済み)、CJN114、CJN1153、CJN1222、CJN1259、CJN1276、CJN1281及びCJN1288(bcr1ヌル変異バックグラウンドにおいて、各々、ALS1、ALS3、HWP1、HYR1、RBT5、CHT2及びECE1を自律的に発現)をYPD中、30℃で一晩増殖させた。データは中央値±四分位間で示される。*野生型及びBCR1補足済みに対して、P<0.04。(C)カンジダ・アルビカンスHYR1遺伝子異種発現は、HL60由来好中球を介した殺作用に対するカンジダ・グラブラタの耐性を増加した。*P<0.0001。
【図3】インビトロにおいて、初期には好中球によりその発現は阻害されていた、播種性カンジダ症の間のHYR1発現の検出。(A)腎臓、肝臓、肺、脾臓及び脳は、カンジダ・アルビカンスによる経静脈感染の6または24時間後に回収された。HYR1発現を検出するためにネステッドRT-PCRを用いた。カンジダ・アルビカンスEFB1及びマウスハウスキーピング遺伝子G3PDHを対照として用いた。+は感染したマウスを表すのに対し、−は非感染マウスを表す。(B)HL-60由来好中球はカンジダ・アルビカンスHYR1発現を阻害した。野生型カンジダ・アルビカンスを10%のプールされたヒト血清を加えたRPMI1640中で培養した。好中球なしの場合、HYR1発現は30分間の誘導後に検出された。好中球ありでは、HYR1発現は2時間阻害された。
【図4】HYR1インビボ発現及び真菌負荷に対するその効果。播種性カンジダ症の間のHYR1発現を検出するため、カンジダ・アルビカンスによる経静脈感染の6または24時間後に腎臓、肝臓、肺、脾臓及び脳を回収した。HYR1発現を検出するためにネステッドRT-PCRを用いた。カンジダ・アルビカンスEFB1及びマウスハウスキーピング遺伝子G3PDHを対照として用いた。+は感染したマウスを表すのに対し、−は非感染マウスを表す(A)。条件発現HYR1は、広範な組織食細胞を持つ器官の真菌負荷を増加させた。カンジダ・アルビカンスHYR1または対照株で感染させ、条件発現(−DOX)若しくは抑制(+DOX)条件下で増殖させた免疫応答性マウス(各群n=8)の肝臓及び脾臓におけるカンジダ・アルビカンスの負荷(A)、及び、インビボHYR1発現(B)。肝臓及び脾臓は感染一日後に回収した。Y軸は分析の検出の下限を反映する。データは中央値±四分位間で示される。*HYR1の発現なしの株(HYR1-DOX)若しくは対照株に対して、P<0.0001。
【図5】抗Hyr1p血清による間接的免疫蛍光は、カンジダ・アルビカンス菌糸上のHyr1pの表面発現を示す。カンジダ・アルビカンスをRPMI1640中で90分間インキュベートすることにより菌糸形成が誘導された。細胞を、hyr1ヌル変異体を予め吸収させた抗Hyr1p血清(1:100)または空プラスミドクローン血清からの抗タンパク質調製物(陰性対照)のいずれかで染色し、その後、Alexa標識抗マウス抗体で染色した。
【図6】Hyr1pの組換えN末端(rHyr1p-N)はマウスの血行性播種性カンジダ症から顕著に防護した。(A)完全または不完全フロイントアジュバントと混合したrHyr1p-Nをワクチン接種し、そして、2.2×105のカンジダ・アルビカンスSC5314の分芽胞子に尾静脈を介して感染させたマウス(各群8匹)の生存。(B)rHyr1p-N、または、0.1%アルハイドロゲルと混合した解毒rHyr1p-Nをワクチン接種し、7×105のカンジダ・アルビカンス15563の分芽胞子に感染させたマウス(17匹のマウスを有していた対照群を除き、各群8匹)の生存。*ログランク検定においてP=.001。(C)ワクチン接種または対照F(ab)'2の、Hyr1条件発現若しくは抑制のカンジダ・アルビカンスのマウス好中球殺作用の阻止における効果。対照は、どちらのF(ab)'2も不在で行われた分析を意味する。データは中央値±四分位間範囲で示される。*マン-ホイットニー検定においてP=.001。
【発明を実施するための形態】
【0032】
詳細な説明
カンジダ・アルビカンスはヒトにおける一般的な病原体である。カンジダ・アルビカンスは通常は無害な偏共生体であるものの、例えば、膣及び/または中咽頭カンジダ症等の表面的皮膚粘膜感染から、播種性カンジダ症における器官深部への関与までの範囲に亘る種々の症状を引き起こし得る。疾病を引き起こす前、真菌は消化管、そして、場合によっては皮膚及び粘膜にコロニー形成する。この初期段階において、宿主粘膜表面への付着は鍵となる必要条件である。コロニー形成後、カンジダ・アルビカンスは感染した血管内機構、または、化学療法若しくはストレス潰瘍により損なわれた消化管粘膜を通る遊出を介して血流に入る。この生物は、その後、血流を介して散布され、血管内皮細胞に結合及び浸透し、血管樹から出て、そして、肝臓、脾臓及び腎臓等の深部器官を侵す。
【0033】
本明細書中に記載されるHYR1断片の同定及び機能的特徴付けは、このポリペプチドがカンジダ症における処置において有効に使用されることを可能ならしめる。
【0034】
カンジダ・アルビカンスの内皮細胞への付着による病原性の性質は、その全体が参照として本明細書中に特に組み入れられる米国特許第5,578,309号において考察されている。HYR1遺伝子、及び、遺伝子産物の特徴付けを含むその特徴付けについての記載に関しては、Baileyら(Journal of Bacteriology, 178: 5353-5360, 1996年)を参照のこと。
【0035】
本発明は、薬学的に許容される培地中の単離されたHYR1断片と任意でアジュバントとを有するワクチンを提供する。ワクチンは、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・グラブラタまたはカンジダ・パラシローシス(Candida parapsilosis)等のカンジダ種由来のHYR1断片であり得る。
【0036】
本発明は、カンジダ・アルビカンスHYR1配列の遺伝子産物を、播種性カンジダ症を処置、予防または緩和するワクチンとして利用する。このワクチンは、カンジダ・アルビカンスの種々の株だけでなく、種々のカンジダ種に対して有効である。
【0037】
従って、一態様によれば、本発明は、薬学的組成物として製剤され、そして、アジュバントと共にまたはなしでワクチンとして投与された場合に有用なHYR1断片を提供する。HYR1断片はカンジダ由来であり得、そして、例えばカンジダ・パラシローシス、カンジダ・クルセイ、カンジダ・グラブラタ及びカンジダ・トロピカリスであるカンジダの属に属する種から例えば取得され得る。HYR1断片は単離または精製された形で取得され得るので、本発明の一態様によれば、HYR1断片は、カンジダに対する免疫応答を惹起するため、患者中で免疫応答を引き起こすためのワクチンとして製剤される。
【0038】
本発明はまた、播種性カンジダ症を処置または予防する方法を提供する。方法は、免疫原性量のHYR1断片のワクチンを投与する段階を含む。ワクチンはアジュバントと共に、またはなしで投与され得る。HYR1断片は種々のカンジダ株由来であり得、また、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・クルセイ、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・グラブラタ及びカンジダ・パラシローシス等の種々のカンジダ種由来であり得る。
【0039】
本発明のワクチンの種々のカンジダ株、種々のカンジダ種、他の細菌及び感染性物質に対する有効性、並びに、その広範囲に亘る免疫活性は、以下にさらに記載されるような標準的な方法に従って評価される。
【0040】
本明細書中の教示及び手引きをもってすれば、アジュバント有り若しくはなしでワクチンとして投与される薬学的に許容される組成物中の1若しくはそれ以上のHYR1断片を用いる当分野において周知の免疫治療法を採用できることを当業者は理解するであろう。本発明の目的のため、「薬学的」または「薬学的に許容される」という用語は、公知技術によって無毒化され、且つ、必要に応じて、ヒトに安全に投与され得る担体または添加物と共に使用されるように製剤された組成物を指す。投与は、例えば、血管内、筋内、腹腔内または皮下注射を含む周知のルートを用いて行われ得る。本発明のこのようなワクチンはまた、当業者に公知の、溶液中のワクチンの活性を保持するための緩衝剤、塩またはその他の溶媒を含み得る。同様に、当分野において周知の広範囲に亘る任意のアジュバントを、感受性のある宿主細胞へのカンジダの結合、侵入及び/若しくは感染を減少または阻止できる治療的に有効な免疫応答を惹起、促進または増幅するために、本発明のワクチンと共に採用し得る。
【0041】
本発明の種々の態様の活性に実質的に影響しない変更もまた、本明細書中に提供される発明の定義中に含まれることが理解される。従って、以下の実施例は本発明を例証することを意図し、本発明を限定することは意図していない。
【実施例】
【0042】
実施例I
カンジダ・アルビカンスHyr1pは好中球殺作用に対する耐性を付与し、そして、ワクチンの標的である
上記において考察したように、カンジダ・アルビカンスはヒトにおける侵襲性真菌感染症の最も一般的な原因である。重篤な全身性感染の間、不適な血液環境中でカンジダ・アルビカンスがどのようにして食作用攻撃を逃れて生き残るかは不明である。条件過剰発現/抑制遺伝的戦略を用いて、本発明者らは、HYR1遺伝子が、インビトロにおける食作用によるカンジダ・アルビカンスの殺作用を減少させ、そして、インビボにおいて組織への真菌負荷を増大することを発見した。転写因子Bcr1pによる正の制御と合致して、HYR1は、カンジダ・アルビカンスのbcr1ヌル変異体のインビトロにおける食細胞を介した殺作用に対する過感受性を補った。さらに、カンジダ・グラブラタ中でのHYR1の異種発現は、この生物を好中球殺作用に対してより耐性にした。最後に、組換えHyr1pによるワクチン接種は、血行性播種性カンジダ症からマウスを有意に防護した。従って、Hyr1はカンジダ・アルビカンスにとって重要な病毒性因子であり、食細胞殺作用に対する耐性を媒介する。従って、Hyr1pは、播種性カンジダ症の治療効果を改善するための、ワクチンまたは他の免疫学的若しくは小分子介入の標的である。
【0043】
結果
分芽胞子中でのHYR1の条件発現は、インビトロにおける食細胞媒介殺作用に対するカンジダ・アルビカンスの耐性を有意に増幅した
HYR1の機能を調べるために、本発明者らは、カンジダ・アルビカンスの条件過剰発現/抑制株CAAH-31を構築した。CAAH-31中、HYR1の一つの対立遺伝子はテトラサイクリン制御(TR)-プロモーターで調節され、そして、もう一方の対立遺伝子は破壊された。半定量RT-PCRにより本発明者らは、CAAH-31の分芽胞子をDOXなしの培地中で増殖させた場合に、HYR1が豊富に発現され、そして、DOXが存在する場合に検出されないことを確認した(図1A)。予期されたように、HYR1は菌糸で共発現される遺伝子であるため、野生型(THE31)分芽胞子中でHYR1は検出されなかった(図1A)。
【0044】
HYR1の条件過剰発現株CAAH-31、及びTHE31野生型対照は、DOXの有無に関わらず、同一の成長率であった(野生型対照株の倍加時間、DOXなし=1.51±0.29時間、及びDOXあり=1.51±0.38時間;CAAH-31株の倍加時間、DOXなし=1.39±0.30時間、及びDOXあり=1.35±0.19時間)。本発明者らはさらに、細胞表面上のその他のGPIアンカー型タンパク質の通常の蓄積に対する、HYR1過剰発現の影響力を評価した。直接的免疫蛍光法により、本発明者らは、HYR1過剰発現がGPIアンカー型タンパク質Als1pの蓄積に何の影響力も有さないことを確認した(データ示さず)[8]。
【0045】
病毒性関連形質についての通常のスクリーニングの間、本発明者らは、HYR1の条件過剰発現の、ヒト食細胞によるカンジダ殺作用に対する影響力を決定した。HYR1発現カンジダ・アルビカンス(CAAH-31 −DOX)は、野生型カンジダ・アルビカンス(分芽胞子期中にHYR1を発現しない)及びHYR1抑制カンジダ・アルビカンス(CAAH-31+DOX)よりも、ヒト好中球媒介殺作用に対して有意により耐性であった(図1B)。野生型対照及びHYR1抑制カンジダ・アルビカンス(+DOX)の間で殺作用に有意な差がなかったので、この形質はDOXによるものではなかった。
【0046】
本発明者らはまた、好中球様またはマクロファージ様細胞のいずれかに分化できるHL-60細胞株を用いてカンジダ殺作用分析を行った[9,10]。新しく回収されたヒト好中球と同じく、HYR1の条件過剰発現は、HL-60好中球様(図1C)及びマクロファージ様(図1D)細胞の両方によるインビトロでのカンジダ・アルビカンス分芽胞子の殺傷を減少させた。
【0047】
bcr1ヌル変異体カンジダ・アルビカンスの好中球殺作用に対する過感受性はインビトロにおいてHYR1発現により補われた
HYR1は正の転写調節因子Bcr1pの下流遺伝子であるので[17]、本発明者らは、野生型カンジダ・アルビカンスのHYR1発現を促進する(即ち、菌糸形成の間)条件下でのbcr1の破壊が、好中球殺作用に対する感受性を増幅するとの仮説を立てた。そこで、本発明者らは、10%FBSを加えたRPMI中、細胞を37℃で40分間インキュベートすることにより、カンジダ・アルビカンスが発芽管を形成するよう誘導した。この条件はHYR1の発現を誘導することが知られており[18]、そして、広範に菌糸が形成されないような十分に短い発芽管を生じ、それにより、本発明者らの殺作用分析におけるコロニー形成ユニット(CFU)の定量化を可能ならしめた。本発明者らは、bcr1ヌル変異株(CJN702)、BCR1を補ったbcr1ヌル変異体バックグラウンドの株(CJN698)及び野生型カンジダ・アルビカンス株(DAY185)の好中球殺作用を比較した。BCR1補足及び野生型対照株と比べて、bcr1ヌル変異体は好中球媒介殺作用に対して過感受性であった(図2A)。さらに、bcr1欠損カンジダ・アルビカンスの殺作用に対する過感受性は、bcr1変異体バックグラウンドにおけるHYR1の自律的発現により完全に補われたが、Bcr1pにより制御される他の細胞表面コード遺伝子によっては補われなかった[17](図2A及び2B)。
【0048】
HYR1を過剰発現するカンジダ・アルビカンスの食細胞殺作用に対する耐性は、カンジダ・グラブラタ中のHYR1の異種発現により再現できる
HYR1により媒介される病原性表現型をさらに定義するため、本発明者らは、構成的PGK1プロモーターを運ぶプラスミドpGRB2.2[11]を用いて、当該遺伝子をカンジダ・グラブラタBG14[19]中で異種発現させた。本発明者らはさらに、陰性対照として、空のプラスミドで形質転換したカンジダ・グラブラタBG14を作出した。空プラスミドで形質転換したカンジダ・グラブラタと比べて、カンジダ・グラブラタ中でのHYR1発現は、インビトロにおけるHL-60由来好中球による殺作用を75%減少させた(図2C)。
【0049】
好中球はカンジダのHYR1発現を阻害する
HYR1の構成的過剰発現がカンジダに好中球媒介殺作用に対する耐性を付与したことから、本発明者らは、RT-PCRを用いて、インビトロにおける、HL-60由来好中球に対する応答における野生型カンジダ・アルビカンス(SC5314)HYR1の発現について調べた。血清含有培地への曝露後早くも30分にはHYR1が発現され、そして、培養の間、高発現を2.5時間維持した(図3A)。しかしながら、カンジダ・アルビカンスが培地中でHL-60由来好中球に曝露された場合、血清の存在下であっても、共培養の間、HYR1発現は最大2時間まで阻害された(図3A)。
【0050】
血行性播種性カンジダ症の間、野生型カンジダ・アルビカンスはHYR1を発現し、その結果、食細胞が豊富な器官における組織の真菌負荷を増大することとなる
血行性播種性カンジダ症の間、HYR1が発現されていたかどうかを決定するため、カンジダ・アルビカンス野生型株に感染させたマウスから、5つの主要な器官:脳、肝臓、肺、脾臓及び腎臓を、感染から6及び24時間後に採取した。インビボのHYR1発現を評価するため、改良されたRT-PCR分析[20]を用いた。HYR1発現は5つの器官すべてにおいて検出された(図3B)。
【0051】
HYR1の過剰発現は、肝臓及び脾臓中の真菌負荷を増加し、HYR1の抑制は減少させた(図4A)。さらに本発明者らは、肝臓中で、野生型株よりも過剰発現株が有意に高いHYR1レベルを有し、抑制株はレベル減少の傾向を示していたことを確認した(図4B)。対照的に、HYR1発現は、内在性食細胞を欠く器官である腎臓中の真菌負荷を有意に変えなかった(データ示さず)。
【0052】
ワクチン候補としてのrHyr1p-N
配列分析に基づき、Hyr1pは細胞表面タンパク質であると予測されている[7]。これを確認するため、本発明者らは、コード配列のアミノ酸25〜350を含む発現クローンで形質転換した大腸菌中で、組換えN末端Hyr1pを作出した(rHyr1p-N)。rHyr1p-Nで免疫したマウスからの血清をカンジダ・アルビカンスのhyr1ヌル変異体に予め吸収させ[7]、続いて、野生型菌糸の間接免疫染色を行った。本発明者らは、野生型カンジダ・アルビカンス菌糸の細胞壁が濃く染色されたことを見出し(図5)、Hyr1pが細胞表面で発現されており、したがって免疫系に対し曝露されていることを確認した。
【0053】
Hyr1pは、食細胞によるカンジダ殺作用に対する耐性を付与する細胞表面タンパク質であるので、本発明者らは、そのワクチン候補としての潜在性を決定しようとした。アジュバントを加えたrHyr1p-Nまたはアジュバントのみをマウスにワクチン接種した。ブーストから2週間後、尾静脈を介して病原性カンジダ・アルビカンスSC5314にマウスを感染させた。アジュバントのみでワクチン接種された場合と比べて、rHyr1p-Nによるワクチン接種は、マウスの生存率を顕著に改善した(35日における生存は各々、62.5%及び0%)(図6A)。
【0054】
完全若しくは不完全フロイントアジュバント、または、ミョウバンと混合したrHyr1p-Nによるワクチン接種は、いずれかのアジュバントのみでワクチン接種された場合と比べて、マウスの生存を顕著に改善した(図6A及び6B)。
【0055】
抗rHyr1p血清は、Hyr1p好中球耐性機能を直接阻害することによりマウスにおける好中球殺作用を増幅した
rHyr1p-Nワクチンの防護効果は、抗rHyr1p血清が、カンジダ・アルビカンス中のHyr1pの防護的作用を中和できるという可能性を示唆した。抗rHyr1p抗体がHyr1p機能を直接的に阻害できるか決定するために、本発明者らは、rHyr1p-Nまたは対照(空プラスミドで形質転換された大腸菌細胞より産出された調製物)のいずれかで免疫されたマウスの総IgGからF(ab)'2断片を単離し、調製した。本発明者らは、対照血清からではなく、免疫された血清からのF(ab)'2が、HYR1の条件発現株の好中球殺作用を、抑制株と同等なレベルに回復可能であることを見出した(図6C)。
【0056】
まとめ
本研究において本発明者らは、菌糸共発現遺伝子であるHYR1[7,21]が、カンジダ食細胞耐性因子をコードすることを示した。カンジダ分芽胞子中でのHYR1の条件発現は、野生型カンジダ・アルビカンス分芽胞子と比べて、食細胞による殺作用に対して真菌をより耐性にした。さらに、カンジダ・アルビカンス中のHYR1の機能は、当該遺伝子をカンジダ・グラブラタ中で異種発現させることにより、インビトロにおいて再現された。本発明者らはさらに、HYR1発現を正に制御する転写因子であるBcr1p[17]を欠く株が、食細胞媒介殺作用に対し増幅された感受性を示すことを見出した。bcr1ヌル変異体の食細胞殺作用に対する過感受性は、自律的に発現されたHYR1により完全に補われたが、Bcr1pにより正に制御される、GPIタンパク質をコードするその他の遺伝子によっては補われなかった。ゆえに、HYR1は、食細胞殺作用耐性経路中でのBCR1の下流遺伝子である。
【0057】
食細胞とカンジダとの接触の初期において、野生型カンジダ・アルビカンス中のHYR1発現をHL-60由来好中球が阻害できたことは興味深いことである。このように、宿主食細胞とカンジダ・アルビカンスとの間で、野生型真菌の食細胞耐性遺伝子の発現の遅延を食細胞が成立させる動的干渉が起こった。これは、ヒト好中球がカンジダ・アルビカンスの菌糸形成、及び、菌糸共発現遺伝子の発現を遅延させるという以前の発見[18]と一致する。
【0058】
食細胞殺作用に対する耐性は、多数の因子に帰すことができる複雑な表現型である。食細胞はカンジダを細胞外または細胞内で殺すことができる。最近、カンジダ・アルビカンス細胞表面スーパーオキシドジスムターゼが、宿主由来高反応酸素種を分解することにより、真菌が殺作用から逃れるのを助ける病原性因子として特徴付けられた[22]。菌糸は食細胞にとって完全に取り込むには大きすぎるため、好中球は典型的には、真菌の菌糸形に付着し、その表面に広がる。カンジダ・アルビカンスは菌糸形においてHYR1を発現するため、Hyr1pは、食細胞への表面接触を妨げることにより食細胞殺作用に対する耐性に貢献している可能性がある。あるいは、Hyr1pは、食細胞の酸化的または非酸化的殺作用機構に干渉している可能性がある。
【0059】
HYR1過剰発現のインビトロにおける表現型を、インビボで再現した。マウスの播種性感染の間、内在性食細胞を有する器官において、野生型株と比べて、組織の真菌負荷は、HYR1の過剰発現により有意に増加され、そして、HYR1の抑制により有意に減少された。腎臓における表現型の欠如は、腎臓が内在性食細胞を有さず、致死的播種性カンジダ症における腎臓への好中球流入が感染から>24時間まで開始しない[15]という事実を反映していると考えられる。にも関わらず、rHyr1p-Nのワクチン接種は、血行性播種性カンジダ症に対して大きな防護となった。rHyr1p-Nワクチンについてみられた効力は、rAls1p-N及びrAls3p-Nによりワクチン接種されたマウスで以前にみられたものより大きかった。ゆえに、rHyr1p-Nは、播種性カンジダ症にとっての有望なワクチン候補である。
【0060】
本発明者らのデータはまた、或る遺伝子の潜在的な病原性機能を探索するために、条件過剰発現/抑制アプローチを使用することの利点を示す。インビトロにおいて病原性遺伝子を探索するためのラージスケール順方向遺伝学的方法論は、機能的スクリーニング分析を必要とし、且つ、分析を行っている間に発現されている遺伝子のスクリーニングに限定されている。インビトロスクリーニング分析に使用される条件下で遺伝子が野生型株中で有意に発現されない場合、カンジダ分芽胞子成長の間のHYR1のケースのように、遺伝子の強制的過剰発現は、機能獲得型現象の検出を依然として許してしまう。遺伝子が強く発現されている場合、遺伝子の条件抑制は同じ分析において機能欠損表現型となる。さらに、過剰発現及び抑制が同時に使用される場合、インビボにおける肝臓及び脾臓の真菌負荷に対するHYR1の効果のケースのように、表現型は増幅され得る。遺伝子の過剰発現及び抑制を比較することにより表現型を検出する能力は、遺伝子ファミリーのメンバーを調べる場合に順方向遺伝学的方法論を特に悩ます機能的冗長性の限界を、遺伝子条件発現が克服することを可能ならしめる。
【0061】
総括すると、Hyr1pをカンジダ・アルビカンスの表面発現型の病原性因子として同定するために、本発明者らは遺伝子条件発現手法を用いた。HYR1発現はインビトロにおいて好中球殺作用に対する耐性を媒介し、インビボにおいて組織の真菌負荷を増加させた。最後に、本発明者らは、HYR1が播種性カンジダ症の防護戦略としてのさらなる開発に利益となる有望なワクチン標的であることを示した。
【0062】
材料及び方法
上記の結果は以下の材料及び方法を用いて得られた。
【0063】
株及び培養条件
使用された全ての株は表1中にリストされ、そして、以前に記載されているように増殖させた[8]。
【0064】
HYR1条件過剰発現/抑制変異体の構築
HYR1条件発現株を作出するため、THE4株のHYR1遺伝子の一つの対立遺伝子の前にHIS1-TRプロモーターカセット[8]を挿入し、CAAHを得た。CAAH株のHIS1遺伝子座のURA3をループアウトし、CAAH-1を作出した。CAAH-1中のHYR1の第二の対立遺伝子を再生可能なURA3カセットにより破壊し、CAAH-2株を作出し、続いてURA3をループアウトしてCAAH-3株を得た。CAAH-3ゲノム上の本来の遺伝子座にURA3-IRO1遺伝子を含む3.9kbのNhe I-Pst I断片を挿入してCAAH-31を得た。使用されたプライマーは表1にリストされる。
【0065】
半定量的RT-PCR
インビトロにおける遺伝子発現を検出するための半定量的RT-PCRは以前に記載されている。EFB1発現を検出するために使用されたプライマーは、EFB1a及びEFB1bであり;HYR1を増幅するために使用されたプライマーは、HYR1特異的1及びHYR1特異的2であった(表1)。カンジダ・アルビカンスHYR1発現への好中球の影響力を研究するため、YPD中で一晩増殖させたSC5314の1×106個の細胞を、10%のプールされたヒト血清を加えたRPMI1640中で、1×107個のHL-60由来好中球と共培養するか、または、単独で培養した。RNAが抽出されるまで、3時間に亘って30分の間隔で試料を採取し、そして半定量RT-PCRを行った。
【0066】
食細胞殺作用アッセイ
以前に記載されたように、ヒト好中球を単離し、HL-60細胞を好中球またはマクロファージに分化させ、そして、食細胞殺作用アッセイを行った[8-10]。簡潔に述べると、食細胞を真菌と一緒に1時間インキュベートし、その後超音波処理し、そして定量的に培養した。食細胞と共インキュベーションした後の真菌コロニー数を、食細胞なしで培地とインキュベートした真菌コロニー数で割ることにより、殺作用割合を計算した。ヒト好中球、及び、HL-60由来好中球またはマクロファージを各々、食細胞:真菌の割合2:1及び20:1で試験した。bcr1及び関連変異体については、アッセイを行う前に、10%FBSを加えたRPMI中、37℃で40分間、分芽胞子を予め発芽させた。
【0067】
カンジダ・グラブラタBG14中でのHYR1の異種発現
カンジダ・グラブラタBG14を、HYR1発現ベクターpGRB2.2-HYR1または空の対照プラスミドpGRB2.2[11]のいずれかで形質転換した。HYR1コード配列をCG-Hyr1-a及びCG-Hyr1-b(表1)で増幅し、製造者の指示に従ってIn-Fusion(登録商標)2.0Dry-DownPCRクローニングキット(Clontech Laboratories, Mountain View, CA)を用いて、pGRB2.2のXbaI、XhoI部位にクローニングした。
【0068】
血行性感染の間のカンジダ・アルビカンスのHYR1発現
記載の通り、血行性感染の間の野生型カンジダ・アルビカンスSC5314のHYR1発現を調べた。BALB/Cマウスの脳、肝臓、肺、腎臓及び脾臓を感染の6及び24時間後に採取した。使用されたプライマーは表1にリストされている。逆転写はRETROscript(Ambion, Texas)により行った。マウスG3PDHハウスキーピング遺伝子の増幅には、プライマーG3PDHF及びG3PDHRを用いた。カンジダ・アルビカンスのHYR1及びEFB1の検出のために2ラウンドのPCRを行った。ラウンド1では、アウタープライマーセット(EFB1のためにEFB1F及びEFB1R、またはHYR1のためにP2及びP5)を用い;ラウンド2では、ラウンド1のPCR産物からの一部(1μl)を鋳型として用いた。インナープライマーセットは次の通りとした:EFB1nF及びEFB1nR(EFB1のため)、またはP2及びP4(HYR1のため)。全てのPCR条件は次の通りとした:変性95℃、2分、並びに35サイクルの増幅94℃、30秒(変性)、55℃、30秒(アニーリング)、及び72℃、90秒(伸張)。qRT-PCRのためにcDNAを上記のように調製した。増幅効率の至適化及びリアルタイムRT-PCR SYBRグリーンアッセイは記載のように実施した[12]。構成的に発現されたACT1を全ての反応の対照として用いた。計算及び統計分析は、ABI PRISM 7000 Sequence Detection System User Bulletin 2 (Applied Biosystems, USA)に記載されるように実施した。
【0069】
組織の真菌負荷
感染3日前から開始する実験期間の間中、マウスには、5%ショ糖溶液中に溶解したDOX(2mg/ml)ありまたはなしの水を与え[13]、食事及び水は自由に与えた。組織の真菌負荷は、感染から1日後に器官を取り出したこと以外、以前に記載されたように実施した[8]。マウスに関与する全ての手順は、NIHガイドラインに従って、施設における動物使用及び管理委員会(institutional animal use and care committee)により承認された。
【0070】
rHyr1p-N産生
大腸菌pQE-32発現系(Qiagen)中にrHyr1p-N(Hyr1pのアミノ酸25〜350由来)を作出し、HisPur Cobalt樹脂(Thermo Scientific)アフィニティーカラムを用いた以外は他所に記載されるように6XHisタグ化タンパク質を精製した[14]。Detoxi-Gel Endotoxing Removing Columns(Thermo Scientific)を用いてrHyr1p-Nからエンドトキシンを取り出し、Limulus Amebocyte Lysateエンドクローム(Charles River)により製造者の指示に従ってエンドトキシンレベルを決定した。この手法を用いて、ワクチン接種に使用される一用量当たり<0.28 EUまでエンドトキシンは減少された。
【0071】
Hyr1p細胞内局在の免疫蛍光検出
マウスをrHyr1p-N(アミノ酸25〜350由来)で免疫することにより作出されたポリクローナル抗Hyr1p抗血清を用いて間接的免疫蛍光を行った。hyr1ヌル株の1×107分芽胞子の接種源をRPIM1640中、37℃で90分間インキュベートし、抗血清を吸収させるために2度ペレット化した。
【0072】
カンジダ・アルビカンス分芽胞子(1×105)をRPIM1640中、37℃で90分間予め出芽させ、4ウェルのチャンバースライド(Nalge Nunc International Corp, IL, USA)上に移した。4℃で30分間のインキュベーションの後、細胞を300μlの1.5%ヤギ血清でブロックし、1:100希釈のポリクローナル抗血清または陰性対照としてPBSで、そしてその後、1:200のフルオレセインイソチオシアネート標識ヤギ抗マウスIgGで、染色した。細胞は共焦点走査型レーザー顕微鏡で画像化した[15]。
【0073】
免疫化プロトコル
全てのワクチン接種は首の付け根に経皮的に行った。8匹の若齢(10〜12週)C57BL/6マウスを、完全フロイントアジュバント中20μgのアフィニティー精製rHyr1p-Nでワクチン接種し、3週目に不完全フロイントアジュバント(IFA)でブースト接種した。追加の8匹の若齢マウスには、空プラスミドにより形質転換された大腸菌細胞より産出された調製物と混合したアジュバントのみを与えた。ブーストから14日後、マウスは、尾静脈を介し、5×105個の野生型カンジダ・アルビカンスSC5314細胞に感染させた[16]。
【0074】
rHyr1p-Nの血行性播種性カンジダ症に対する防護効率もまた、食品医薬品局(FDA)によりヒトに対する使用が認可されているアジュバントであるミョウバン(2%アルハイドロゲル;Brenntag Biosector)を用いて評価した。さらに、rHyr1p-Nがカンジダ・アルビカンスの他の株に対しても防護することを決定するために、本発明者らは、別の臨床単離物15563株を用いた。これらの実験のため、33μgのアフィニティー精製rHyr1p-Nを0.1%アルハイドロゲルと混合し、上記のように、BALB/cマウスに0日目に投与、21日目にブースト投与、そしてその後、35日目に尾静脈への注射を介してカンジダ・アルビカンスに感染させた。全てのワクチン接種実験について、感染から35日目におけるマウスの生存を終了点とした。
【0075】
F(ab)'2遮断アッセイ
rHyr1p-Nまたは空プラスミドで形質転換した大腸菌から産出した調製物をワクチン接種した5匹のマウスから、プールされた抗Hyr1pまたは対照血清を採取した。両血清からの総IgGをNab Spin Kit(Thermo Scientific)を用いて単離した。F(ab)'2断片を製造者の指示に従ってPierce F(ab)'2 Preparation Kitにより精製した。マウス好中球と混合する前に、カンジダ細胞を氷上で45分間、5%正常マウス血清(Santa Cruz Biotechnology)、または、rHyr1p-Nをワクチン接種したマウス若しくは対照マウスのIgGから調製した5%F(ab)'2を加えた5%正常マウス血清でオプソニン化した。マウス好中球殺作用アッセイは上記に記載された通りである。
【0076】
統計分析
異なる群の間の食細胞媒介殺作用及び組織真菌負荷は、不対比較のため、マン-ホイットニーU検定を適切に用いて比較した。生存期間の違いを決定するためにノンパラメトリックログランク検定を利用した。<0.05のP値を有意と判断した。
【0077】
(表1)本研究において使用された菌株及びオリゴヌクレオチド




【0078】
実施例II
rHyr1p-Nは播種性カンジダ症に対するワクチンである
背景:本発明者らはカンジダ・アルビカンスによるHYR1の過剰発現が、インビトロにおける好中球による殺作用に対する耐性を媒介することを見出した。本発明者らは、感染の際のインビボの組織真菌負荷におけるHYR1過剰発現の影響力を決定し、そしてマウスにおける播種性カンジダ症から防護するためのrHyr1p-Nによるワクチン接種の可能性を明らかにすることを試みた。
【0079】
方法:尾静脈を介してHYR1過剰発現/抑制カンジダ・アルビカンスまたは野生型カンジダ・アルビカンスにマウスを感染させた。感染1日後に肝臓及び脾臓を回収し、HYR1の発現レベル及び組織真菌負荷を各々、qRT-PCR及び定量培養で決定した。ワクチン接種のため、製造者の指示に従って、rHyr1p-Nを大腸菌pQE-32発現系(Qiagen)で製造し、精製した。完全フロイントアジュバント(CFA)中の20μg rHyr1p-Nをマウスにワクチン接種し、3週目に不完全フロイントアジュバント(IFA)でブーストし、そしてブーストから2週後カンジダ・アルビカンスSC5314株に感染させた。対照マウスには、空プラスミドで形質転換された大腸菌からの細胞抽出物を加えたアジュバントを与えた。
【0080】
結果:HYR1の過剰発現は、対照株と比べて、肝臓及び脾臓の両方における真菌負荷を有意に増大させた。HYR1の抑制は、対照株と比べて、肝臓及び脾臓の両方における真菌負荷を有意に減少させた。HYR1発現の相対レベルは、対照に対して、各々、過剰発現または抑制株で感染された肝臓中で2.5及び0.8であった。対照マウスの0%生存に対して、rHyr1p-Nワクチンでは、感染したマウスの長期生存は62.5%であった。
【0081】
結論:HYR1発現は、インビボにおけるカンジダ・アルビカンスの組織感染能力に影響する。さらに、rHyr1p-Nによるワクチン接種は、マウスを播種性カンジダ症から顕著に防護した。rHyr1p-Nワクチンは播種性カンジダ症を予防するのに有用である。
【0082】
参考文献



【特許請求の範囲】
【請求項1】
HYR1ポリペプチドの断片と実質的に同一なポリペプチドを含むワクチン。
【請求項2】
HYR1ポリペプチドが、

である、請求項1記載のワクチン。
【請求項3】
さらにアジュバントを含む、請求項1記載のワクチン。
【請求項4】
HYR1ポリペプチドの断片が、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)及びカンジダ・パラシローシス(Candida parapsilosis)からなる群より選択されるカンジダ(Candida)株で発現されている、請求項1記載のワクチン。
【請求項5】
断片がHYR1ポリペプチドのN末端領域断片からなる、請求項1記載のワクチン。
【請求項6】
断片が、

である、請求項4記載のワクチン。
【請求項7】
断片が融合ポリペプチドである、請求項6記載のワクチン。
【請求項8】
断片が異種リーダー配列に融合されている、請求項7記載のワクチン。
【請求項9】
断片がタグまたはリンカー配列に融合されている、請求項7記載のワクチン。
【請求項10】
タグがヒスチジンタグである、請求項6記載のワクチン。
【請求項11】
断片が、形質転換された細胞から取得される、請求項1記載のワクチン。
【請求項12】
形質転換された細胞が、形質転換されたサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisae)細胞である、請求項11記載のワクチン。
【請求項13】
免疫原性量の請求項1から12のいずれか一項記載のワクチンを投与する段階を含む、カンジダ感染症を処置または予防する方法。
【請求項14】
カンジダ感染が播種性カンジダ症である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
投与する段階が、能動免疫、受動免疫またはそれらの組み合わせを含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
HYR1ポリペプチドの断片と実質的に同一の有効量の単離されたポリペプチドを投与する段階を含む、カンジダ感染症を処置または予防する方法。
【請求項17】
HYR1ポリペプチドの断片が、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・クルセイ、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・グラブラタ及びカンジダ・パラシローシスからなる群より選択されるカンジダ株で発現されている、請求項16記載の方法。
【請求項18】
断片がHYR1ポリペプチドのN末端領域断片からなる、請求項16記載の方法。
【請求項19】
断片が配列番号:2である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
断片が融合ポリペプチドである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
断片が異種リーダー配列に融合されている、請求項20記載の方法。
【請求項22】
断片がタグまたはリンカー配列に融合されている、請求項21記載の方法。
【請求項23】
タグがヒスチジンタグである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
断片が、形質転換された細胞から取得される、請求項16記載の方法。
【請求項25】
形質転換された細胞が、形質転換されたサッカロミセス・セレビシエ細胞である、請求項24記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−532114(P2012−532114A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517920(P2012−517920)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/040949
【国際公開番号】WO2011/003085
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(502170175)ロサンゼルス バイオメディカル リサーチ インスティテュート アット ハーバー− ユーシーエルエー メディカル センター (11)
【Fターム(参考)】