説明

カンジダ症及び尿路感染の予防及び/または治療のための発酵乳酸桿菌Ess−1、DSM17851及びそれの使用

本発明は、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、受入番号がDSM 17851を割り当てられている、Ess-1として表示される、発酵乳酸桿菌の新規株に関する。発酵乳酸桿菌株Ess-1は、カンジダの阻害において有益な特性を示す。したがって、本発明はまた、特にカンジダ症及び尿管感染の治療及び/または予防における、発酵乳酸桿菌株Ess-1の医学的用途にも関する。本発明は、この新規細菌株を含む医薬製品及び物品にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンジダ酵母感染、すなわちカンジダ症、及び細菌感染に関して有利な効果を有するプロバイオティクス細菌の分野に関する。本発明はまた、かかる細菌を含む個人医療のための医薬組成物及び製品、ならびにかかる細菌の医学的用途に関する。
【背景技術】
【0002】
泌尿生殖器領域の通常の微生物叢は、50種を超える種々の細菌種を含んだ複雑な微生物生態系によって構成される(Hill et al.、Scand. J. Urol. Nephrol. 1984;86 (suppl.) 23〜29)。通常の微生物叢は、妊娠可能な女性の膣内環境に適応したグラム陽性桿菌であるラクトバチルス(LB)属に属する細菌が中心となる。これらの細菌はまた、膣内の特異的な環境及び生態学的バランスの維持に貢献する。膣内の周囲pHは4.5より低く、酵母及び腸内細菌は少数または存在しない(Redondo-Lopez et al, Rev. Inf. Dis. 1987(12):856-872)。
【0003】
複数のLB株は、様々な機構によって潜在的な病原性細菌の成長を阻害する。LBの代謝により、他の多くの微生物種に好ましくない、膣液の低pHに貢献する、有機酸、特に乳酸及び酢酸の形成が生じる。LBはまた、潜在的な病原性細菌及び酵母の成長を直接阻害する可溶性物質を生産するであろう。LBはまた、細菌及び真菌に毒性である過酸化水素をも産生し得る。これらの阻害特性は、種々のLB株間でかなり様々である(Hooton et al., JAMA 1990(265):64-69)。
【0004】
泌尿生殖領域と同様に、皮膚には、その常在菌叢を形成する微生物の群によりコロニーが形成される。生物の数および種類は、種々の皮膚の部位同士で異なり、皮膚領域につきより多くの微生物を有する湿り気及び脂質の皮膚領域が存在する。これは、皮膚の構造障壁と共に、侵入してくる細菌に対する優れた防御機能を宿主にもたらす。皮膚表面の細菌数は、前腕および背中の乾燥した表面でのcm2当たり2〜3百から、腋窩や鼠径などの湿り気のある領域でのcm2当たり何万まで様々である。この常在菌叢は、「外来」生物が皮膚でコロニー形成するのを防ぐ際に重要な役割を演じるが、皮膚感染を避けるためにチェックし続ける必要がある。
【0005】
胃腸(GI)管は、口から肛門まで、500種を超える種々の細菌種が富んだ微生物叢を有し、それらのいくつかは重要な健康のための機能を有する。GIの叢は、約1014数の細菌及び少数の共生的な酵母から構成される。全般的な健康状態の変化が原因で、カンジダ種は過剰に増殖し表在性の感染を引き起こす可能性がある。さらに、免疫障害を有する患者間でのカンジダ種の過増殖は、非常に深刻な疾患である全身性感染へとつながり得る。
【0006】
生来の防御機構における弱点または不均衡は、潜在的な病原性微生物に臨床感染を引き起こさせることを可能にし、それらは例えば、薬物治療、劣悪な個人治療、または微生物叢における変化もしくは粘膜での変化と関連する。微生物叢における変化は、種々の病原性疾患に関連して発見され得る。
【0007】
酵母菌は人体に常在するが、常在菌叢によって過増殖が通常抑制される。カンジダ症は、多様な器官のシステムに影響を与えるカンジダ酵母菌によって引き起こされる感染である。最もありふれたものとして、この感染は、カンジダアルビカンス(C.albicans)、及びカンジダグラブラタ(C. glabrata)によって引き起こされる。あまり一般的ではないが、カンジダトロピカリス(C. tropicalis)、カンジダパラプシロシス(C. parapsilosis)、及びカンジダクルセイル(C. Kruseil)がこの感染を引き起こし、稀に、その他のカンジダ種が原因因子となる。カンジダ症はしばしば、妊娠、生理中などのホルモン変化や、避妊薬の使用により引き起こされる。他のありふれた原因は、膣内のpHにおける不均衡、糖尿病、及び抗生物質治療、人体の繊細な微生物バランスの妨害である。カンジダ感染に対する生来の宿主防御機構には、力学的障壁、非特異的抗生物質(ポリペプチド、塩基性プロテアーゼ)、貪食作用、及び特異的免疫反応(T-及びB-リンパ球、遅延型過敏反応が含まれる。
【0008】
免疫正常者において、外部環境に曝される人体の温かくて湿り気のあるいずれの部分もが、膣炎、外陰部発疹、鵝口瘡、結膜炎、眼内炎、おむつかぶれ、並びに爪、直腸、及び他の皮膚のひだの感染を引き起こす感染にかかりやすい。免疫障害を有する患者では、心筋炎、肝脾膿瘍、肺感染、CNS感染などの全身性疾患、ならびに慢性疾患が生じ得る。カンジダ症は、局所的な感染から拡大して、心筋炎、眼内炎及び肝脾膿瘍などの深刻な合併症を有する全身性感染を引き起こす可能性がある。したがって、対象におけるこの深刻な疾患を避けるために、カンジダ症のための効率的な治療及び予防的な治療法を発見することは非常に重要である。
【0009】
鵝口瘡は、唇の周りの湿り気のある部分、頬の内側、及び舌の上及び口蓋に影響を与える、カンジダアルビカンス菌類によって引き起こされる、口腔(内)感染症に対する一般名である。鵝口瘡は、糖尿病または入れ歯により炎症を有する人々にありふれたものである。また、癌やAIDS、いずれも免疫系が抑制されている、などの病態を有する人々も、しばしばカンジダ症に罹りやすい。
【0010】
口腔のカンジダ感染は食道に広がって、食道炎を引き起こし得る。この感染は、AIDSを有する人々及び癌に対する抗がん剤治療を受けている人々に最も一般的である。
【0011】
カンジダ感染はまた、オムツによって覆われる皮膚領域、日常的にゴム製手袋を着用する人の手、指の爪の基底部の皮膚の縁などの、湿り気のある皮膚部分、特に湿り気に曝される手、鼠径部周りの領域、及び臀部のしわ、ならびに巨乳下の皮膚のしわに一般的である。
【0012】
膣炎は、細菌または真菌によって引き起こされる膣粘膜の炎症である。膣炎はそれ自身は最初は無害であるが、妊娠中の女性における早産または不妊へと通じる可能性がある。
【0013】
膣カンジダ症は、カッテージ・チーズに似る白っぽい、粘性の(limpy)液体の放出を伴う、痒みと炎症を起こした膣を生じさせる。それはしばしばその症状を経験する女性にとって大変不愉快なものであり、さらに、スポーツエキササイズやセックスなどの日常的な活動への制限を引き起こす。
【0014】
膣カンジダ症は、通常、抗真菌剤を含む、クリーム、坐薬、ゼラチンカプセル、膣錠剤及び軟膏によって局所的に治療される。経口投与治療もまた利用可能である。抗真菌剤に伴う1つの問題は、反復的に使用した場合に、抗菌剤に対して真菌が抵抗性を増加させることである。さらに、かかる治療はしばしば非効率的であり、医師の処方を必要とする。
【0015】
ヨーグルトの塗布、乳酸菌錠剤または酢による膣洗浄などの民間療法もまた、カンジダ症の治療のために使用される。しかし、これらの治療法の効率は低い。ヨーグルトはラクトバチルスを含むにも関わらず、これらは真菌を殺し、真菌の成長を減少させるために特に適合はされていない。当業者であれば、かかる治療は微小な感染の症状を和らげるためにのみ効果的であることを理解している。乳酸産生細菌は、例えばWO 97/02846、WO 99/17813、WO 99/45099、およびWO 00/35502に記載されているように、おむつ、生理用ナプキン、パンティライナー及びタンポンなどの吸収用物品を介して送達できることが示唆されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】WO 97/02846
【特許文献2】WO 99/17813
【特許文献3】WO 99/45099
【特許文献4】WO 00/35502
【特許文献5】WO 04/060416
【特許文献6】EP 1060240
【特許文献7】US2006/0171936
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Hill et al.、Scand. J. Urol. Nephrol. 1984;86 (suppl.) 23〜29
【非特許文献2】Redondo-Lopez et al, Rev. Inf. Dis. 1987(12):856-872
【非特許文献3】Hooton et al., JAMA 1990(265):64-69
【非特許文献4】Rainey,F.A.他、Int. J. Sys. Bacteriol. 1996 (46): 1088〜1092
【非特許文献5】Maidak,B.L.他、Nucl. Acids Res. 1999 (27): 171〜173
【非特許文献6】Woodruff’s ingredients and Formulary Handbook, John Woodruff, First ed., 1997, Miller Freeman fjK Ltd
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
健康な微生物叢を回復し、及び/または望ましくない微生物の非制御的増殖を防止することが可能なプロバイオティクス微生物を発見することに、関心が増大している。かかるプロバイオティクス細菌の投与は、抗真菌剤のマイナスの副作用効果を有さず、好ましくは、真菌感染の治療及び/または予防により効果的である。かかる微生物を発見するための従来からの試みにより多様な成功例があるが、膣内でのプロバイオティクススの低付着性や低生存などの問題のために、真菌増殖の防止の効率性は制限され、調合物などの保存中の生存が低い。選択されたプロバイオティクスの他の重要な特徴は、酸素の存在で成長し、凍結乾燥で生存する能力である。それにも関わらず最も重要なのは、プロバイオティクス細菌は、望ましくない真菌及び/または細菌を殺し、及び/またはそれらの成長の防止に効率的でなければならない。プロバイオティクスラクトバチルスが細菌性膣炎の治療及び予防に効率的であることが以前から報告されている。しかし、膣カンジダ症の予防及び/または治療における成功は非常に限られている。したがって、膣カンジダ症を含み、尿管感染などの細菌感染に対しても効果的であってよい、カンジダ症の治療のための効率的なプロバイオティクスの開発に対する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の目的は、カンジダ症及び/または尿管感染などの細菌感染を治療するためのプロバイオティクス細菌の治療及び/または予防を提供することである。
【0020】
前記で定義される目的は、本発明の第1の態様において、ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハー(Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)に寄託され、受入番号DSM17851を割当てられている、Ess-1として参照される、新規発酵乳酸桿菌(Lactobacillus fermentum)株を提供することによって達成される。
【0021】
別の態様において、本発明は、医薬としての使用のための、発酵乳酸桿菌株Ess-1の使用に関する。
【0022】
別の態様において、本発明は、カンジダ症の予防及び/または治療のための医薬組成物の製造のための、発酵乳酸桿菌株Ess-1の使用に関する。
【0023】
別の態様において、本発明は、尿管感染などの細菌感染の予防及び/または治療のための医薬組成物の製造のための、発酵乳酸桿菌株Ess-1の使用に関する。
【0024】
さらなる別の態様において、本発明は、任意に医薬的に許容可能な担体、賦形剤及び/または希釈剤を伴う、発酵乳酸桿菌株Ess-1を含む医薬組成物に関する。
【0025】
さらなるある態様において、本発明は、発酵乳酸桿菌株Ess-1を含む衛生用物品に関する。
【0026】
本発明は、また、前記医薬組成物に発酵乳酸桿菌株Ess-1を添加することを含む、カンジダ症の治療及び/または予防のための医薬組成物の製造方法に関する。
【0027】
さらに、本発明は、衛生用物品に発酵乳酸桿菌株Ess-1を添加することを含む、カンジダ症の治療及び/または予防のための衛生用物品の製造方法に関する。
【0028】
新規株である発酵乳酸桿菌株Ess-1がカンジダ真菌の成長の優れた阻害を提供することが実証されているので、この新規菌株は、カンジダ症の治療及び/または予防のための医薬の製造における使用のための有用な特性を示す。さらに、本発明はかかる治療及び/または予防のための関心のある身体領域に対して、この新規菌株の送達のための製品及び物品を提供する問題を解決する。
【0029】
(定義)
本発明の文脈において、抗真菌剤は真菌感染を治療するために使用される薬剤であり、この薬剤は以下に定義されるプロバイオティクスではない。
【0030】
本発明の文脈におけるプロバイオティクス/プロバイオティクスは、適切な量で宿主に投与された場合に健康上の利益をもたらす生きている微生物に関する。
【0031】
本発明の文脈におけるカンジダ症は、皮膚、泌尿生殖領域、口腔、食道または小腸などの任意の身体部分中または身体部分上に存在する、カンジダ真菌によって引き起こされる感染に関する。
【0032】
本発明の文脈における経口用サプリメントは、スプレー、錠剤、チューイングガムなどの経口的に投与される組成物に関する。
【0033】
本発明の文脈における生物学的に純粋とは、ある特定の細菌株のみを含む細菌培養物に関する。
【0034】
「衛生用物品」という用語は、尿や便、月経液などの身体からの浸出液を吸収し含有するように、着用者の皮膚に対して配置された製品、ならびにこれらの領域にプロバイオティクス細菌を送達するのに使用することもできる皮膚及び泌尿生殖領域のクリーニング及びケアのためにも使用することが可能である製品を指す。本発明は主に、使い捨ての衛生用物品を指すが、これは使用後に、洗濯することを意図しない、またはその他の方法で衛生用物品として回復させもしくは再使用することを意図しない用品を意味する。使い捨て衛生用物品の例には、おしぼり、ペーパータオル(dry wipes)、生理用ナプキン、パンティライナー、生理用パンティ及びタンポンなどの女性向け衛生用製品;女性向け挿入物;幼児および失禁する成人用のおむつおよびパンツおむつ;失禁用パッド;おむつ用挿入物などが含まれる。
【0035】
「吸収用物品(製品)」という用語は、尿や便、月経液などの身体からの滲出液を吸収し含有するように、着用者の皮膚に対して配置された製品を指す。使い捨て用衛生製品の例には、生理用ナプキン、パンティライナー、生理用パンティ及びタンポンなどの女性向け衛生用製品;女性向け挿入物;幼児および失禁する成人用のおむつおよびパンツおむつ;失禁用パッド;おむつ用挿入物などが含まれる。
【0036】
「衛生用組織」とは、例えば洗面タオル、パッチ、ウェットティッシュ、ナプキン、おしぼり、ペーパータオルなどの、皮膚を拭くための任意の道具を意味する。
【0037】
本発明の文脈における「脂質」とは、水に不溶性であるが有機溶媒に溶解性である物質を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】C.アルビカンス及びC.グラブラタのそれぞれの3つの株に関する平均成長阻害を示す図である。■=C.アルビカンス、□=C.グラブラタ。dMRSのpHは、すべての濾液の最小の公認のpHに調節された(pH3.7)。0は視覚的成長が見られないことを指し、5は非常に良好な成長を指す。
【図2A】50mMアスコルビン酸、Ess-1濾液、50mMアスコルビン酸を添加したEss-1濾液におけるC.アルビカンスの成長阻害を示す図である。0は視覚的成長が見られないことを指し、5は非常に良好な成長を指す。
【図2B】50mMプロピオン酸、Ess-1濾液、50mMプロピオン酸を添加したEss-1濾液におけるC.アルビカンスの成長阻害を示す図である。0は視覚的成長が見られないことを指し、5は非常に良好な成長を指す。
【図3】5つの異なるラクトバチルス株における、Ess-1を含む、コハク酸、酢酸及びプロピオン酸の生産を示す図である。株はMRSブロスで増殖され、酸の産生は、上清を滅菌濾過した後にブロス中で記録した。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は発酵乳酸桿菌の新規株に関し、これより以降Ess-1と呼称し、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハー(Mascheroder Weg 1b, D-38124 Braunschweig)で、ブダペスト条約に従って寄託され、寄託番号はDSM 17851を割り当てられた(寄託者Essum AB、Box 3160、SE 90304 Umea、スウェーデン、2006年1月6日寄託)。この株は、カンジダ酵母の成長に関してのその阻害的特性のために、カンジダ感染、すなわちカンジダ症の治療及び/または予防における独特の特性を示す。また、株Ess-1は、尿管感染などの、細菌感染の治療及び/または予防における有益な特性も示す。さらに、Ess-1は長期間の保存にも生存し、それは、細菌を含む製品を扱う場合に便利なために重要である。また、Ess-1は厳格には嫌気性ではないが、酸素の存在下で増殖することが可能であり、凍結乾燥にも充分に生存する。本発明の発酵乳酸桿菌のEss-1株は生物学的に純粋である。
【0040】
実施例1で実証したように、Ess-1はカンジダ酵母の異なる株の増殖の独特の阻害を示す。この実験において、たくさんのラクトバチルス株が、それらのカンジダの増殖阻害特性のために試験された。さらなる研究のために23の最良の株を選択した。Ess-1の増殖阻害は、比較のために使用されたこれら23の種々のラクトバチルス株の最良のものに対して示されたものの2倍であった。また、Ess-1は、尿管感染を引き起こすものとして知られるたくさんの種々の細菌株の増殖を阻害することも実証された。さらに、Ess-1は、膣に投与された場合に、膣内でコロニーを形成し、生存することができることが実証された。重要なことには、Ess-1は生理中にも膣内で生存する。対象に投与した後、in vivoのコロニー形成及び生存は、プロバイオティクスが対象とする任務を実行して成功するための重要な因子である。しかし、in vivoのコロニー形成及び生存の不足、もしくはそれらの制限により、しばしば、プロバイオティクス乳酸産生細菌の実際的な有用性が制限される。さらに、乳酸産生細菌を含む製品の保存中の生存の制限及び取り扱いの制限により、しばしば有効的でない製品の使用という結果に陥る。
【0041】
第一の態様において、本発明は、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、受託番号がDSM 17851を割り当てられている、Ess-1と表示される、新規発酵乳酸桿菌株に関する。
【0042】
カンジダ及び尿管感染を引き起こす細菌の増殖に関する株Ess-1の阻害特性のために、本発明はこの株の医学的用途にも関する。特に、本発明は、好ましくは哺乳類の対象、より好ましくはヒトである対象のカンジダ症の予防及び/または治療のための医薬組成物の製造のための株Ess-1の使用に関する。別の好ましい実施態様での本発明は、例えば膣カンジダ症などの、泌尿生殖領域におけるカンジダ症の予防及び/または治療のための医薬組成物の製造のための、株Ess-1の使用に関する。別の好ましい実施態様において、本発明は、食道炎の予防及び/または治療のための医薬組成物の製造のための株Ess-1の使用に関する。本発明の別の好ましい実施態様は、鵝口瘡の治療のための医薬組成物の製造のための株Ess-1の使用に関する。
【0043】
本発明の新規Ess-1株は、尿管感染などの感染を引き起こすたくさんの種々の細菌の増殖を阻害することが実験的に示されているので(「実験セクション」を参照のこと)、本発明の別の態様は、尿管感染などの細菌感染の予防及び/または治療のための医薬組成物の製造のための株Ess-1の使用に関する。
【0044】
ある態様において、本発明は、経口投与のための医薬組成物の製造のための、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、寄託番号DSM 17851が割り当てられている、発酵乳酸桿菌株Ess-1に関する。
【0045】
ある好ましい実施態様において、発酵乳酸桿菌株Ess-1を含む医薬組成物はまた、1つもしくは複数の医薬的に許容できる担体、賦形剤及び/または希釈剤をも含む。一般的に、かかる因子は、使用される投与量および濃度で受容者にとって非毒性であるべきである。かかる因子の例には、緩衝剤、グリセリン、ポリエチレングリコールなどのゲル形成剤の増粘剤、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸)、低分子量のポリペプチド(約10残基未満)、タンパク質、グルコース、スクロース及びデキストリンを含む炭水化物がある。担体の例には、ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖;コーンスターチやじゃがいもデンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体;トレハロース;粉末状トラガンス(traganth)、麦芽;ゼラチン;タルク;ステアリン酸;ステアリン酸マグネシウム;硫酸カルシウム;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール;寒天;アルギニン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩水;及びリン酸緩衝溶液が含まれる。本発明のある好ましい実施態様において、無水環境を提供する担体が、プロバイオティクス細菌のための担体として使用される。かかる無水環境は、製造、輸送及び保存中の細菌の生存を引き伸ばす。かかる単体の1つの例には、鉱物油(鉱油、パラフィン油、及び他の油)、ペトロラタム(ワセリン(Vaselline)やワセリン(petroleum jelly))、ろうのマイクロクリスタリン、オゾケライト、セレシン及びパラフィンなどの、石油起源脂質を含む脂質担体がある。代替的に、ジメチコン、シクロメチコンなどの合成脂質、セテアリールメチコンなどのシリコーンエステルを使用することもできる。3番目の代替的なものは、動物-または植物-起源の脂質を使用することであり、それらは大抵はトリグリセリドである。動物-及び植物-起源の脂質は、しばしば、モノ-、ジ-、及びトリグリセリド及び遊離脂肪酸の混合物である。脂質は、精製され、水素化され、純化され、改良され、単独もしくは種々の混合物中で使用してもよい。適切な動物起源の原脂質の例には、蜜蝋、エミュー油、乳汁のラピーダ(lapida)、ラノリン、サメ肝油、および獣
脂が含まれる。適切な植物起源の原脂質の例には、植物杏仁油、ラッカセイ油、アボカド油/ワックス、シロヤマモモ蝋、黒干しぶどう種油、ボリジ種油、ブラジル堅果油、カメリアシネンシス(camelia sinensis)油、カンデリラワックス、カノーラ油、カナウバろう、ヒマシ油、ココアバター、ヤシ堅果油、コーンオイル、綿実油、ヨーロッパノイバラ種油、月見草種油、グレープシードオイル、イリッペ脂、ジャスミンワックス、ホホバワックス、ラベンダーワックス、亜麻仁油、マンゴー種油、オリーブ油、オレンジワックス、パーム油、カーネル油、ピーナッツ油、米のワックス、サフラワーオイル、ゴマ種油、シアバター、大豆油、ヒマワリ種油、甘扁桃油、カカオ脂及び小麦の胚種油が含まれる。例えば、衛生用組織または吸収用製品などの、衛生用製品を介して医薬組成物が投与される場合に、脂質の担体の使用は、使用者への細菌の送達を増加させるさらなる有利な点を有する(例えばWO04/060416を参照のこと)。好ましい脂質の例には、ペトロラタムとシリコーンワックスが含まれる。湿潤剤及びラウリル硫酸ナトリウムなどの潤滑剤、及び着色剤、潤滑剤、錠剤化剤、安定化剤及び保存剤もまた存在してよい。好ましい医薬的に許容できる担体には、粉末または他の形態での、トレハロースまたはラクトバチルス成長因子、例えばインスリン及び/またはオリゴフルクトース、ポリデキストロース、ラクチトール(lactitol)または難消化性でんぷんがある。本発明にしたがう医薬組成物は、ある好ましい実施態様において、発酵乳酸桿菌Ess-1細胞に加えて、有機酸及び/またはその塩をも含み、それには例えば酢酸、プロピオン酸、乳酸、アスコルビン酸、フェニルアラニン、クエン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、琥珀酸、及び/またはそれらの塩、好ましくは酢酸、プロピオン酸、乳酸、アスコルビン酸、フェニルアラニン、クエン酸、または琥珀酸及び/またはそれらの塩、もっとも好ましくはアスコルビン酸、酢酸、プロピオン酸、琥珀酸、及び/またはそれらの塩がある。プロバイオティクスEss-1と有機酸及び/またはそれらの塩を組み合わせることによって、相乗効果を得てもよく、有機酸は5.5を超えないpKa値を有する。有機酸またはこれらに相当する塩は、衛生用製品上に適用させた場合、衛生用製品の着用者に何らの
皮膚の炎症をも引き起こさない性質を有しているべきであり、したがって、25℃、水中で測定した場合に、該有機酸のpKaは好ましくは2よりも低くてはならない。それどころかpKa値があまりに高い場合、該有機酸もしくはそれらの塩は、主に酸の形態で存在するであろう。これは、添加剤が水素イオン及びそれの脱プロトン化体、アニオン性の形態へと解離するのに充分ではないことを意味し、これらは、プロバイオティクス細菌またはそれらの細胞外生産物が有する前記効果に対する必要条件であると考えられている。したがって、本発明に適切である有機酸に対するpKa値の少なくとも1つは、5.5より低くあるべきであり、好ましくは5より低くあるべきである。さらに、例えばアミノ酸、ペプチド、核酸誘導体、ビタミン、塩、脂肪酸、グルコース、フルクトース、リボース、マルトース及びラクトースなどの細菌増殖のための栄養物が、単独または種々の組合せで、医薬組成物に対して添加され得る。
【0046】
本発明にしたがう医薬組成物は、好ましくは、スプレー、クリーム、粉末、坐薬、経口投与用液体、カプセル、錠剤、膣用挿入物または経口用サプリメントの形態で投与される。皮膚治療のための組成物は、例えばUS2006/0171936にしたがって調製してもよい。
【0047】
株Ess-1を含む製品の他の例としては、手袋中の粉末、トローチ剤、チューイングガム、口腔用洗浄物または口腔用スプレーがある。
【0048】
さらに、本発明にしたがう医薬組成物は、臭いを低減させる物質をもまた含んでもよく、それには例えば、ゼオライト、シリカ、シクロデキストリン及び活性炭がある。さらに、病原性微生物の付着を減少させることができる物質及び/またはラクトバチルスの付着を増加させることができる物質が、本発明にしたがって医薬組成物中に存在してもよい。
【0049】
本発明にしたがう医薬組成物は、単回投与として投与してもよいが、好ましくは複数回投与で投与される。好ましくは、医薬組成物を、抗真菌剤の投与に関連して投与してもよい。
【0050】
ある好ましい実施態様において、本発明にしたがう医薬組成物は、凍結乾燥した細胞、スプレー乾燥した細胞または空気乾燥した細胞などの乾燥した細菌細胞を含む。かかる細胞は、保存中に良好な生存能力を有する(凍結乾燥細胞の生存の研究の実験セクションを参照のこと)。
【0051】
本発明にしたがう医薬組成物は、用量あたり発酵乳酸桿菌株Ess-1を、好ましくは104から1011コロニー形成ユニット(cfu)、より好ましくは106から1010cfu、さらにより好ましくは108から1010cfuで含む。
【0052】
より幅広い臨床効果を得るために、本発明にしたがう医薬組成物または製品は、Ess-1に加えてプロバイオティクス特性を有する他の細菌を含んでもよい。本発明の目的のための好ましいかかる細菌には、乳酸産生細菌が含まれ、それは例えば、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、ペディオコッカス(Pediococcus)属、非病原性のバチルス属のメンバー、ビフィドバクテリウム属のすべてのメンバー、及びシュードモナスリンベルギー(Pseudomonas limbergii)由来の細菌である。ラクトバチルス属の好ましいメンバーには、ラクトバチルスアシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルスブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルスカセイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルスセレアル(Lactobacillus cereale)、ラクトバチルスデルブルケイ(Lactobacillus delbrukeii)、発酵乳酸桿菌、ラクトバチルスガセリ(Lactobacillus gaserii)、ラクトバチルスジェンセニ(Lactobacillus jensenii)、ラクトバチルスプランタルム、ラクトバチルスラムノサス、ラクトバチルスサリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルスサーモフィルス(Lactobacillus thermophilus)、ラクトバチルスパラカサイ(Lactobacillus paracasai)種パラカサイ(paracasai)、ラクトバチルスクリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルスヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、および乳酸連鎖球菌などが含まれる。使用される、選択される微生物は、より好ましくは、ラクトバチルスラクティス(Lactobacillus lactis)、ラクトバチルスアシドフィルス、ラクトバチルスチュルバタス(Lactobacillus curvatus)またはラクトバチルスプランタルム由来の種である。他のより好ましい例には、S. nalivariusu、S. oralis及びS.mitisなどのコッカス属の非病原性種が含まれる。かかる乳酸産生細菌の一層より好ましい例の一つには、制限はされないが、ラクトバチルスプランタルム株LB931が挙げられる(ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメンで受託番号DSM11918を有する、EP1060240)。
【0053】
本発明にしたがう医薬組成物には、種々の多様な製品を取り込んでもよい。例えば、Ess-1を含む粉末を、種々のタイプの防護用手袋中に提供してもよい。かかる手袋は、しばしば、真菌の成長を促進し、結果として手の皮膚及び爪の真菌感染を生じさせる可能性がある、手における湿り気のある環境を提供する。
【0054】
別の態様における本発明は、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、寄託番号DSM 17851が割り当てられている、発酵乳酸桿菌株Ess-1を含む衛生用物品に関する。かかる衛生用物品には、吸収用製品であってよく、それには例えば、生理用ナプキン、パンティライナー、生理用パンティまたはタンポンなどの女性向け衛生用製品;女性向け挿入物;幼児または失禁する成人用のおむつおよびパンツおむつ;失禁用パッド;またはおむつ用挿入物がある。また、衛生用物品は衛生用組織であってよく、それには例えば洗面タオル、パッチ、ウェットティッシュ、ナプキン、おしぼり、またはペーパータオルなどがある。本発明に適している衛生用組織はWO 04/060416に以前に記載されている。乳酸産生細菌は、無水環境中で脂質中に「封入され」て、保存中に湿り気から細菌を保護し、衛生用組織の使用者に対しての送達を促進する。かかる衛生用組織は、WO 04/060416に開示されるように、皮膚軟化剤、乳化剤、湿潤剤、pH制御剤、キレート剤、粘度改質剤、抗微生物剤、保存剤及び芳香剤などの1つまたは複数のクリーニング添加剤を任意でさらに含んでもよい。皮膚のクリーニング製品に添加される一般的な適切な薬剤に関するさらなる詳細は、Woodruff’s ingredients and Formulary Handbook, John Woodruff, First ed., 1997, Miller Freeman fjK Ltdにより与えられる。本発明にしたがう吸収用製品または衛生用組織はさらに、前述で議論したようにプロバイオティクス及び望ましくない微生物の付着性に影響を与える酸、塩、臭気阻害剤、物質を含んでもよい。かかる吸収用製品は、着用者の皮膚に密着させることを意図した浸透性の外側シート、好ましくは使用時に着用者から遠位部分に配置することを意図した液体-非浸透性裏シート、及び外側シートと裏シートの間に配置される吸収性構造を含んでもよい。いくつかのケースでは、例えば詰め物(wadding)もしくは同様の物質などの形態でさらなるシートを、外側シートと吸収性構造の間に配置してもよい。裏シートは好ましくは通気性である。プロバイオティクス細菌は、吸収用物品の種々の部分に配置されてもよく、吸収用物品の二層の間で、例えば外側シートに、吸収性構造に、吸収用製品中のゆるく挿入された製品に、または他の何らかの態様で配置されてもよい。本発明にしたがう吸収用製品は、好ましくは超吸収性ポリマー(SAP)をも含んでもよい。
【0055】
本発明にしたがう衛生用物品は、発酵乳酸桿菌Ess-1の添加に加えて、さらに有機酸及び/またはそれらの塩を含んでもよく、それには例えば酢酸、プロピオン酸、乳酸、アスコルビン酸、フェニルアラニン、クエン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、琥珀酸及び/またはそれらの塩、好ましくは酢酸、プロピオン酸、乳酸、アスコルビン酸、フェニルアラニン、クエン酸または琥珀酸及び/またはそれらの塩、もっとも好ましくはアスコルビン酸、酢酸、プロピオン酸、琥珀酸及び/またはそれらの塩であって、5.5を超えないpKa値を有する酸がある。プロバイオティクスEss-1細胞と有機酸及び/またはそれらの塩を組み合わせることによって、相乗効果を得てもよい。
【0056】
本発明にしたがう衛生用物品は、衛生用物品あたり発酵乳酸桿菌株Ess-1を、好ましくは104から1011コロニー形成ユニット(cfu)、より好ましくは106から1010cfu、さらにより好ましくは108から1010cfuで含む。
【0057】
本発明のプロバイオティクス細菌を、本発明にしたがう衛生用物品に直接適用するか、または本明細書中で開示されるように該製品に適用された医薬組成物中に提供することが可能である。前述で開示されるように、ある好ましい実施態様において、乾燥細菌である細菌は、単独で衛生用物品に直接適用されるか、前述にしたがって医薬組成物中に適用される。別の好ましい実施態様において、例えば細菌を含む懸濁液中で、まず細菌を衛生用物品に適用することが可能であり、次いで衛生用物品を乾燥した後、任意で前述で開示したように追加の医薬剤と組合せて、該製品上に乾燥した細菌を含む製品を提供することが可能である。別の好ましい実施態様において、乾燥した細菌粉末を衛生用物品に添加される脂質中に提供する。プロバイオティクスEss-1を含む物品の製造、輸送及び保存の間の細菌への湿気の暴露を減少するために、ある好ましい実施態様において、衛生用物品は防水性包装中に包装される。
【0058】
別の態様において、本発明は、例えばおしぼり、ペーパータオル、生理用ナプキン、パンティライナー、生理用パンティ及びタンポンなどの女性向け衛生用製品;女性向け挿入物;幼児または失禁する成人用のおむつまたはパンツおむつ;失禁用パッド;またはおむつ用挿入物などの衛生用製品を製造するために、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、寄託番号DSM 17851が割り当てられている、発酵乳酸桿菌株Ess-1の使用に関する。衛生用製品は好ましくは吸収用製品であってよく、それには例えば、生理用ナプキン、パンティライナー、生理用パンティまたはタンポンなどの女性向け衛生用製品;女性向け挿入物;幼児または失禁する成人用のおむつおよびパンツおむつ;失禁用パッド;またはおむつ用挿入物などがある。衛生用物品は好ましくは、洗面タオル、パッチ、ウェットティッシュ、ナプキン、おしぼりまたはペーパータオルなどの衛生用組織であってもよい。
【0059】
本発明は、前述にしたがって、例えば懸濁液、スプレー、クリーム、粉末、坐薬、カプセル、錠剤、経口用サプリメントまたは膣用挿入物などの医薬組成物を製造するために、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、寄託番号DSM 17851が割り当てられている、発酵乳酸桿菌株Ess-1の使用にも関する。
【0060】
発酵乳酸桿菌Ess-1を含む医薬組成物及び製品は、治療に有効量のこの細菌株を含む。
【0061】
本発明は、また、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、寄託番号DSM 17851が割り当てられている発酵乳酸桿菌株Ess-1を、それらを必要としている対象に対して、治療に有効量での投与を含む、カンジダ症を治療し及び/または予防するための方法に関する。本発明は、また、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、寄託番号DSM 17851が割り当てられている、発酵乳酸桿菌株Ess-1を、それらを必要としている対象に対して、治療に有効量での投与を含む、尿管感染などの細菌感染を治療し及び/または予防するための方法にも関する。かかる方法において、株Ess-1は、前述で開示されているように、任意の医薬組成物または製品を介して対象に投与される。吸収用製品などの衛生用物品を介しての投与のために、該吸収用製品は前記対象の皮膚に密着させて配置することが重要である。
【0062】
本発明の重要な目的の1つは、Ess-1の経口投与である。したがって、本発明の一態様は経口投与のための医薬組成物に関する。第一の態様におけるこの経口投与は、微生物叢のバランスの改善及び胃腸管における真菌及び/または細菌の増殖抑制へと結びつく。しかし、胃腸管に存在する真菌及び細菌はまた、肛門を介して泌尿生殖領域へと移されるかもしれない。したがって、胃腸管における真菌及び/または細菌の増殖の抑制は、胃腸管それ自体のみならず、泌尿生殖領域に対する病原性真菌及び/または細菌の拡散を減少させるために、泌尿生殖領域にも、有利な効果を有する。免疫反応物質の誘引となるなど、全身的効果も達成されるかもしれない。経口投与は、例えば、カプセル、錠剤、トローチ剤(troch)、トローチ剤(lozenge)、トローチ剤(pastill)、液体懸濁液、乾燥経口用懸濁物、液体経口用懸濁物、チューイングガム、口腔用洗浄物、トローチ剤、口腔用スプレー、小びん中に含まれているEss-1を介して提供することが可能である。経口投与はまた、食物製品を介して実現してもよく、それには例えば、ヨーグルト、ミルク、新鮮なチーズ、アイスクリーム、発酵乳性製品、発酵シリアル性製品、粉ミルクなど、及びトウモロコシの粥などの子供用製品などがある。
【0063】
別の態様において本発明は、例えば、前述にしたがう医薬組成物または動物用飼料もしくは食用サプリメントでの、動物の健康を改善するための、株Ess-1の動物への局所的及び/または経口用投与のための製品に関する。また、Ess-1は、生牧草貯蔵などの動物用飼料の品質を改善させるために使用してもよく、その場合、飼料自体が飼料中の真菌及び細菌の増殖を阻害する。
【0064】
本発明は、また、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、寄託番号DSM 17851が割り当てられている発酵乳酸桿菌株Ess-1を、前記医薬組成物に対して添加する工程を含む、カンジダ症の治療及び/または予防のための医薬組成物の製造方法にも関する。本発明は、また、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、寄託番号DSM 17851が割り当てられている発酵乳酸桿菌株Ess-1を、前記医薬組成物に対して添加する工程を含む、例えば尿管感染などの細菌感染の治療及び/または予防のための医薬組成物の製造方法にも関する。
【0065】
本発明は、また、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、寄託番号DSM 17851が割り当てられている発酵乳酸桿菌株Ess-1を、衛生用製品に対して添加する工程を含む、カンジダ症の治療及び/または予防のための、衛生用製品(例えば吸収用製品または衛生用組織など)の製造方法にも関する。本発明は、また、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、寄託番号DSM 17851が割り当てられている発酵乳酸桿菌株Ess-1を、衛生用製品に対して添加する工程を含む、尿管感染などの細菌感染の治療及び/または予防のための、衛生用製品(例えば吸収用製品または衛生用組織など)の製造方法にも関する。
【0066】
本発明は、これより、以下の実験セクションにおいてより詳細に記述される。しかし、本実施例は単なる例示であり、本発明の範囲を制限することを意図したものではない。
【実施例】
【0067】
(実験セクション)
[実施例1]
(Ess-1の単離及び分類)
(目的)
この試験の最初の目的は、他のラクトバチルス株と比較して、大幅にカンジダアルビカンス及びカンジダグラブラタの増殖を阻害するラクトバチルス株を単離しかつ分類することである。
【0068】
(方法)
(酵母株)
カンジダアルビカンス及びカンジダグラブラタの臨床単離株を試験株として使用した。これらは膣カンジダ症を有する女性の膣及び健常な女性の膣から単離した。
【0069】
(スクリーニングI)
ヒトの皮膚、喉、歯、幼児の糞便、野菜及び種を起源とする約140のラクトバチルス株をMRSブロスで培養し、MRS寒天プレート上にスタンプした。この寒天プレートを、37℃で嫌気性条件下でインキュベーションした。さらに、SAB(Sabouraud)寒天(LAB M, Bury, UK)をMRS寒天上に注ぎ、凝結させて、C.アルビカンス培養物を寒天上に播種し、このプレートを嫌気的に37℃でインキュベーションした。阻害の視覚的評価を行った。参照株ラクトバチルスプランタルムLB931と比べて同程度または大幅にC.アルビカンスを阻害する株を、さらなるスクリーニング(スクリーニングII)のために選択した。
【0070】
(スクリーニングII)
dMRSブロス(酢酸ナトリウムの添加がないMRSブロス)中で生育したラクトバチルスの懸濁液を遠心分離して滅菌濾過した。濾液はこれ以降、ラクトバチルス無細胞濾液、LCFと呼称する。指定された体積をマイクロタイタープレートのウェル中に移し、空気乾燥させ、その後、3倍より高い濃度になるように滅菌蒸留水中に再懸濁してから、96ウェルマイクロタイタープレートに移した。カンジダをすべてのバイアルに添加した(C.アルビカンス及びC.グラブラタのそれぞれ3つの単離株を使用した)。阻害を濁度の視覚的観察によって評価し、5から0までのスケールでテンプレートを用いて2人で等級を付けた。純粋dMRSブロス中でのカンジダ種の強力な増殖を含むウェルを5として等級を付け、視覚的な増殖が全くなかったウェルを0として等級を付けた。
【0071】
(API分類及び遺伝的分類)
種レベルの同定を、製造業者の取り扱い説明書に従い、API 50 CHLシステムを用いて行った(bioMerieux, フランス)。発酵試験から得たデータをAPI Lab Plusソフトウェアを用いて解析した。遺伝子型分類を16S rRNAの部分的配列解析によりDSMZ(ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハー)にて行った。
【0072】
(結果)
すべての株を、スクリーニングIでのC.アルビカンスに対する増殖阻害能力に応じて評価した。LB931の場合に匹敵しもしくはそれを上回る結果を有する23のラクトバチルス株をスクリーニングIIのために選択した。それらの23のラクトバチルス株のうち、3株は参照株であり、株の多くは口道から単離されたものであった。図1はそれぞれのラクトバチルス株に対する増殖阻害を図示し、それぞれのバーは、3つのC.アルビカンス株及び3つのC.グラブラタ株の平均増殖をそれぞれ表している。
【0073】
「その他1」は、カンジダの増殖を阻害するための広範囲の能力を有していることを立証する。試験したラクトバチルス株のいずれもが、C.アルビカンス及びC.グラブラタへのいずれもの効果に関する「その他1」の活性に類似していなかった。「その他1」はEss-1を指し、その糖発酵パターン及び遺伝的分類は、発酵乳酸桿菌種に属していることを示した。
【0074】
(Ess-1の特徴付け)
株Ess-1(DSM 17851)の16S rDNAを、PCR増幅16S rDNAの約450ヌクレオチドのダイレクトシーケンシングによってDSMZ(ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハー)にて解析した。ゲノムDNA抽出、16S rDNAのPCR媒介型増幅、およびPCR産物の精製を、前述のように実施した(Rainey,F.A.他、Int. J. Sys. Bacteriol. 1996 (46): 1088〜1092)。精製したPCR産物について、CEQ(商標)DTCS-Quickstart Kit (Beckamn Coulter)を使用し、製造業者の取扱い説明書に従って配列決定した。配列反応産物を、CEQ(商標)8000遺伝子分析システムを使用して電気泳動させた。
【0075】
得られた配列データをアラインメントエディターae2 (Maidak,B.L.他、Nucl. Acids Res. 1999 (27): 171〜173)に入れ、手作業でアラインメントし、ファーミキューテス(Firmicutes)に属する生物の代表的な16S rRNA遺伝子配列と比較した(Maidak,B.L.他)。比較のため、16S rRNA配列を、EMBLデータベースまたはRDP(Maidak,B.L.他)から得た。
【0076】
この分析の結果、下記の表1にはこれらの生物が列挙され、その16S rRNA遺伝子配列は、Ess-1の16S rDNA配列に比べて最高の相似値を示している。
【0077】
【表1】

【0078】
株Ess-1の部分16S rDNA遺伝子配列は、発酵乳酸桿菌に対して最高の相似性を示す。その結果、株Ess-1は、発酵乳酸桿菌の株である可能性もあるが、ラクトバチルス属の新種の可能性もある。
【0079】
[実施例2]
(熱処理)
(目的)
本実験の目的は株Ess-1によって産生される、カンジダの増殖を阻害する物質に対する熱抵抗性を調査することである。
【0080】
(方法)
LCFを90℃で20分間熱処理した。C.アルビカンス及びC.グラブラタを添加して、最終濃度を約5x104 CFU ml-1とした。このプレートを37℃で20時間インキュベーションし、バイアル中のカンジダ増殖を視覚的に評価して、5から0までに等級付けした。同じセンテンスでのHar namns プレート及びバイアル(Harnamns plates och vials I samma mening)。
【0081】
(結果)
株Ess-1の熱処理した濾液は、比較として使用される非処理濾液と同じように酵母の増殖を阻害することに成功した。したがって、濾液の熱処理はこの細菌の活性物質を破壊しなかった。
【0082】
[実施例3]
(塩及び酸の添加を伴うLCFによるC.アルビカンスの阻害)
(目的)
本研究の目的は、塩及び酸がカンジダの増殖に影響を与えるかどうかを決定することであり、株Ess-1のLCFに塩及び酸を添加した場合に、増殖阻害の改善が成し遂げられるかを決定することである。
【0083】
(方法‐塩)
LCFのアリコートを、それぞれの塩に対するpKa値に対してpH調製し、それらが完全に乾燥するまで空気乾燥させ、その後、0.3%の酢酸ナトリウム及びプロピオン酸ナトリウム中に再懸濁した。C.アルビカンスを添加して最終濃度を約5x104 CFU ml-1にした。フラクションを37℃で20時間インキュベーションした。阻害を濁度の視覚的観察によって評価し、5から0までのスケールでテンプレートを用いて2人で等級を付けた。純粋dMRSブロス中でのカンジダ種の強力な増殖を含むウェルを5として等級を付け、視覚的な増殖が全くなかったウェルを0として等級を付けた。
【0084】
(方法‐酸)
琥珀酸、酢酸、プロピオン酸及びアスコルビン酸を、LCFを含有するチューブに対して、最終濃度が50 mMになるように添加した。それぞれの酸のpKa値に対して濾液をpH調節した。C.アルビカンス及びC.グラブラタを添加して、最終濃度を約5x104 CFU ml-1とした。このプレートを37℃で20時間インキュベーションし、ウェル中のカンジダ増殖を視覚的に評価して、5から0までに等級付けした。
【0085】
(結果)
種々の酸及び酸性塩が、C.アルビカンスの増殖に関して影響を有することが証明された。初期研究により、濾液中50 mMの濃度が複数の酸の効果を確認するために要求される最小限濃度であり、0.1-0.3%が、塩添加物の効果を確認するために要求される最小限濃度であることが示された。プロピオン酸ナトリウム及びプロピオン酸が、C.アルビカンスに関して最大の広範囲の効果を有した。図2A及びBで例示したように、アスコルビン酸(50 mM, pKa及びpH: 4.2)またはプロピオン酸(50 mM, pKa及びpH: 4.87)をEss-1のLCFに添加した場合、増殖阻害効果の追加の効果が実現された。これは、Ess-1のLCFを有機酸及び/またはそれらの塩と組み合わせることによって、相乗効果が得られるであろうことを実証している。したがって、Ess-1細胞を有機酸及び/またはそれらの塩と組み合わせることにより、類似の相乗効果の結果となることが予期される。
【0086】
[実施例4]
(目的)
(酸の分析)
本研究の目的は、他のラクトバチルス株によっては産生されないかまたは低レベルで産生される酸を、株Ess-1が産生するかどうかを調査することであり、それにより酵母に対してのこの細菌株の強力な増殖阻害能力が説明される可能性があるからである。
【0087】
(方法)
Ess-1及び他のラクトバチルス株を45 mlのdMRSブロス(酢酸ナトリウムの添加なしのMRSブロス)中で18時間培養し、15分間、10℃、3,000 rpmで遠心分離した。上清を滅菌濾過し(0.22 μm, Millex, Billerica, MA, USA)、液体クロマトグラフィーを使用しての解析のためにSteins Laboratorium A7S (Loddekoping, Sweden)に送るまで、-55℃で凍結した。
【0088】
(結果)
図3において理解できるように、株Ess-1は他の試験された細菌株よりも多くの琥珀酸及び多くの酢酸を産生し、このことが、酵母の増殖に関するこの株の優れた阻害能力に対する一つの理由であるかもしれない。
【0089】
[実施例5]
(凍結乾燥を通しての、かつ保存中のEss-1の生存)
(目的)
本実験の目的は、Ess-1が凍結乾燥で生存し、その後保存後も生存したままでいるかどうかを決定することである。
【0090】
(方法)
Ess-1をMRS中で成育し、20 %トレハロース懸濁液中に10倍に濃縮した。懸濁液をプラスチックジャーの中に-55℃で凍結した。24時間後、このジャーを凍結乾燥機械(Hetosicc, Heto Birkerod, Denmark)中に入れ、48時間処理した。最終産物を粉末化し、保存用気密容器中に配置した。ストレスを上昇させるために、容器を37℃に設置した。サンプルを0週、2週、5週及び11週で取り出した。生存している細菌を、塩化ナトリウム溶液中にこの粉末を懸濁させることによってカウントし、寒天プレート上で観察した。
【0091】
(結果)
株Ess-1は凍結乾燥ウェルでよく生存し、かつ11週間安定であり、生存は1 logのみがこの期間で減少しただけであった。保存して17週後、この生存は4.5 logだけ下がった。これは大変良好な細菌の生存を指し示すものであり、室温または冷蔵後で通常の保存を行った場合、これらの温度では生存の減少はいっそうゆっくりとなる。
【0092】
[実施例6]
(凍結乾燥した細菌を含むカプセルの膣への投与後の株Ess-1の生存)
(目的)
膣への投与後のEss-1の生存及びコロニー形成を調査すること。
【0093】
(方法)
Ess-1をMRS中で生育し、20%トレハロース懸濁液中に10倍に濃縮し、前述したように凍結乾燥した。この物質の粉末化後、粉末をゼラチンカプセル中(サイズ2, Apoteket AB, Gothenburg, Sweden)に充填し、カプセルあたり約1x109のCFUの濃度にした。この研究に4人の志願者が参加し、一生理期間に対して1週間あたり1カプセルが用いられ、生理に先立つ日に投与が開始された。対象者は、カプセル投与に先立って、1週間に1度、自分たち自身で膣内3 cmで滅菌綿のピンを5回回転させることにより膣用サンプルを取った。サンプルを寒天プレート上で培養し、Ess-1に形態学的に類似しているバンコマイシン耐性ラクトバチルスであったので、Ess-1とみなし、カウントした。
【0094】
(結果)
どの女性でも、研究開始時、バンコマイシン耐性ラクトバチルスの強力な増殖はなかった。すべての女性において、続く生理の日に受け取った2回目のサンプルによりEss-1がコロニー形成した。さらに、何人かの女性たち及び別の女性たちの特定のサンプルにおいて、研究を通してEss-1が発見された。したがって、膣用カプセルは、生理周期を通して膣にコロニー形成させるために使用することが可能である。このデータを表2に提示する。
【0095】
【表2】

【0096】
[実施例7]
(尿管感染などの感染を引き起こす細菌の阻害)
(目的)
本研究の目的は、尿管感染などの感染を引き起こす細菌の増殖を阻害する物質をEss-1が産生するかどうかを調査することである。
【0097】
(方法)
改良寒天重層法を使用した。Ess-1を20時間MRSブロスで生育させた。1 mlの細菌培養物を2 ml、7.5 Mの酢酸ナトリウム溶液及び22 mlのMRS寒天と50℃で混合し、ペトリ皿中に満たして凝結させた。このプレートを20時間、37℃で嫌気的にインキュベーションした。6.5 Mのリン酸二水素カリウム溶液0.75 mlと混合した24 mlのM17寒天のさらなる層を該MRS層の上に満たして凝結させた。Steer’s stealのピンのレプリケーターを、病原体の一晩の培養物を含むBertraniトレイのウェル中に浸し、最上の寒天層上にスタンプした。このプレートを放置して30分間乾燥させ、読み込む前に24時間37℃でインキュベーションした。滅菌MRSブロスをコントロールとして使用した。インキュベーション後に最上の寒天層上でpHを記録し、その増殖を「増殖」または「非増殖」にカテゴライズした。病原性の株(全部で23株)を、尿管感染を有する女性から単離した;それらには大腸菌(4)、Klebsiella sp.(4)、E. faecalis (3)、Enterobacter (4)、グループB ストレプトコッカス(3)、S. aureus (2)、S. saprophyticus (1)及びP. mirabilis (2)が含まれた。
【0098】
(結果)
Ess-1はすべての病原体の増殖を阻害し、コントロールプレートではすべての病原体が良好に増殖した。pHは最上の寒天層で6.0であったので、増殖にはなんら影響を与えるものではないだろう。
【受託番号】
【0099】
受入番号(DSMZ): DSM 11918, ラクトバチルムスプランタルムLB 931
受入番号(DSMZ): DSM 17851, 発酵乳酸桿菌Ess-1
[寄託書]


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、受入番号がDSM 17851を割り当てられている、発酵乳酸桿菌株Ess-1。
【請求項2】
医学的用途のための、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、受入番号がDSM 17851を割り当てられている、発酵乳酸桿菌株Ess-1。
【請求項3】
カンジダ症の予防及び/または治療のための医薬組成物の製造のための、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、受入番号がDSM 17851を割り当てられている、発酵乳酸桿菌株Ess-1の使用。
【請求項4】
膣カンジダ症の予防及び/または治療のための医薬組成物の製造のための、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、受入番号がDSM 17851を割り当てられている、発酵乳酸桿菌株Ess-1の使用。
【請求項5】
鵝口瘡の予防及び/または治療のための医薬組成物の製造のための、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、受入番号がDSM 17851を割り当てられている、発酵乳酸桿菌株Ess-1の使用。
【請求項6】
食道炎の予防及び/または治療のための医薬組成物の製造のための、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、受入番号がDSM 17851を割り当てられている、発酵乳酸桿菌株Ess-1の使用。
【請求項7】
尿管感染などの細菌感染の予防及び/または治療のための医薬組成物の製造のための、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、受入番号がDSM 17851を割り当てられている、発酵乳酸桿菌株Ess-1の使用。
【請求項8】
経口投与用医薬組成物の製造のための、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、受入番号がDSM 17851を割り当てられている、発酵乳酸桿菌株Ess-1の使用。
【請求項9】
任意で医薬的に許容可能な担体、賦形剤及び/または希釈剤を伴う、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、受入番号がDSM 17851を割り当てられている、発酵乳酸桿菌株Ess-1を含む医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬的に許容可能な担体が粉末または他の形態でのトレハロースまたはラクトバチルス成長因子である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記発酵乳酸桿菌株Ess-1を、凍結乾燥させ、スプレー乾燥させまたは空気乾燥させるなど、乾燥させる、請求項9または10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
用量あたり発酵乳酸桿菌株Ess-1を、104から1011コロニー形成ユニット(cfu)、より好ましくは106から1010cfu、さらにより好ましくは108から1010cfuで含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
さらに他のプロバイオティクス細菌を含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記他のプロバイオティクス細菌が、ラクトバチルスプランタルムLB931などの乳酸産生細菌である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
懸濁液、スプレー、クリーム、粉末、坐薬、カプセル、経口用サプリメントまたは膣用挿入物である、請求項9から14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
経口投与用である、請求項9から15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、受入番号がDSM 17851を割り当てられている、発酵乳酸桿菌株Ess-1を含む衛生用物品。
【請求項18】
酢酸、プロピオン酸、乳酸、アスコルビン酸、フェニルアラニン、クエン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、琥珀酸及び/またはそれらの塩などの、有機酸及び/またはそれらの塩をさらに含む、請求項17に記載の衛生用物品。
【請求項19】
ラクトバチルスプランタルムLB931などの他の乳酸産生細菌をさらに含む、請求項19または20に記載の衛生用物品。
【請求項20】
製品あたり発酵乳酸桿菌株Ess-1を、104から1011コロニー形成ユニット(cfu)、より好ましくは106から1010cfu、さらにより好ましくは108から1010cfuで含む、請求項17から19のいずれか一項に記載の衛生用物品。
【請求項21】
生理用ナプキン、パンティライナー、生理用パンティまたはタンポンなどの女性向け衛生用製品;女性向け挿入物;幼児または失禁する成人用のおむつおよびパンツおむつ;失禁用パッド;またはおむつ用挿入物などの吸収用物品である、請求項17から20のいずれか一項に記載の衛生用物品。
【請求項22】
洗面タオル、パッチ、ウェットティッシュ、ナプキン、おしぼりまたはペーパータオルなどの衛生用組織である、請求項17から20のいずれか一項に記載の衛生用物品。
【請求項23】
おしぼり、ペーパータオル、生理用ナプキン、パンティライナー、生理用パンティ及びタンポンなどの女性向け衛生用製品;女性向け挿入物;幼児または失禁する成人用のおむつまたはパンツおむつ;失禁用パッド;またはおむつ用挿入物などの衛生用物品を製造するための、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、受入番号DSM 17851が割り当てられている、発酵乳酸桿菌株Ess-1の使用。
【請求項24】
衛生用物品が、生理用ナプキン、パンティライナー、生理用パンティまたはタンポンなどの女性向け衛生用製品;女性向け挿入物;幼児または失禁する成人用のおむつおよびパンツおむつ;失禁用パッド;またはおむつ用挿入物などの吸収用物品である、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
衛生用物品が洗面タオル、パッチ、ウェットティッシュ、ナプキン、おしぼりまたはペーパータオルなどの衛生用組織である、請求項23に記載の使用。
【請求項26】
懸濁液、スプレー、クリーム、粉末、坐薬、カプセル、錠剤、経口用サプリメントまたは膣用挿入物などの医薬組成物を製造するための、ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、受入番号DSM 17851が割り当てられている、発酵乳酸桿菌株Ess-1の使用。
【請求項27】
ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、受入番号DSM 17851が割り当てられている発酵乳酸桿菌株Ess-1を、それらを必要としている対象に対して、治療に有効量での投与を含む、カンジダ症を治療し及び/または予防するための方法。
【請求項28】
ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、受入番号DSM 17851が割り当てられている発酵乳酸桿菌株Ess-1を、それらを必要としている対象に対して、治療に有効量での投与を含む、尿管感染などの細菌感染を治療し及び/または予防するための方法。
【請求項29】
前記発酵乳酸桿菌株Ess-1を請求項9から16のいずれか一項に規定される医薬組成物を介して前記対象に投与する、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記発酵乳酸桿菌株Ess-1を、請求項17から22のいずれか一項に規定される衛生用物品を配置することにより、前記対象の皮膚に密着させて前記対象に投与する、請求項27から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、受入番号DSM 17851が割り当てられている発酵乳酸桿菌株Ess-1を、前記医薬組成物に対して添加する工程を含む、カンジダ症及び/または細菌感染の治療及び/または予防のための医薬組成物の製造方法。
【請求項32】
ドイチェ ザンムルンク フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクルトゥレン ゲーエムベーハーに寄託されており、受入番号DSM 17851が割り当てられている発酵乳酸桿菌株Ess-1を、前記衛生用物品に対して添加する工程を含む、カンジダ症及び/または細菌感染の治療及び/または予防のための衛生用物品の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2010−509911(P2010−509911A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537109(P2009−537109)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【国際出願番号】PCT/SE2006/001311
【国際公開番号】WO2008/060198
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(506215320)エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー (157)
【Fターム(参考)】