説明

カンナビノイドの新規用途

本発明は、CB、カンナビノイド受容体の中性拮抗作用が有効な疾患および病態の治療に使用するための医薬品の製造における1種またはそれ以上のカンナビノイドの使用に関する。好ましくは、前記カンナビノイドは、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)である。好ましくは、治療される疾患および病態は、次の群:肥満、精神分裂病、癲癇、認知障害、例えばアルツハイマー病、骨疾患、過食症、II型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)関連肥満、ならびに薬物、アルコールおよびニコチンの乱用または依存症の治療から考慮される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CB1カンナビノイド受容体の中性拮抗作用が有効な(benefiting from)疾患および病態の治療に使用するための医薬品の製造における1種またはそれ以上のカンナビノイドの使用に関する。好ましくは、前記カンナビノイドは、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)である。好ましくは、治療される疾患および病態は、以下の群:肥満、精神分裂病、癲癇、認知障害、例えばアルツハイマー病、骨疾患、過食症、II型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)関連肥満、ならびに薬物、アルコールおよびニコチンの乱用または依存症の治療から考慮される。
【背景技術】
【0002】
多くの公知のカンナビノイドの作用は、それらとカンナビノイド受容体の相互作用によるものであり得る。カンナビノイド受容体が哺乳動物の器官系に存在するという発見は、さらなる研究を導いた。例えば、主として中枢神経系に存在するG蛋白結合受容体のクラスが同定されており、これらは、CB1受容体と名づけられた。
【0003】
もう1つのタイプのG蛋白結合受容体は、大体は免疫系において見出されるCB2受容体である。
【0004】
カンナビノイドは、一般に、カンナビノイド受容体アゴニストであり、これは、それらがカンナビノイド受容体とドッキングし、それを活性化することを意味する。
【0005】
周知のカンナビノイド受容体アゴニストとしては、古典的植物由来カンナビノイド Δ−9−テトラヒドロカンナビノール(THC)、非古典的カンナビノイド受容体アゴニスト R−(+)−WIN55212およびエイコサノイドまたは動物由来カンナビノイド受容体アゴニスト アナンダミドが挙げられる。これらの化合物のすべてが、CB1受容体に結合することが証明されている。
【0006】
受容体での作動作用は、多くの場合、細胞による活性反応を導く。多くの疾患の病態は、それらの受容体のアゴニストの過活性作用または過剰作用に起因する。
【0007】
研究により、カンナビノイド受容体の活性化を防止する、およびそれ自体、カンナビノイド受容体アンタゴニストとして知られている化合物の発見に至った。カンナビノイド受容体の競合アンタゴニストは、その受容体に結合するが、細胞の反応を生じさせないものである。インバースアゴニストは、受容体に作用して、アゴニストが生じさせる反応とは反対の効果を生じさせる。
【0008】
化合物SR141716A(欧州特許第0576357号に記載されている)は、CB1カンナビノイド受容体に拮抗することが示された。しかし、SR141716Aが、サイレントまたはニュートラルアンタゴニスト(Pertwee, R. G., 2003)ではなくインバースアゴニストであるという証拠がある。
【0009】
MaruaniおよびSoubrieは、米国特許第6,444,474号および欧州特許第0969835号において、欲求障害(appetency disorder)の調節におけるインバースCB1受容体アゴニスト、例えばSR141716Aの使用を開示した。
【0010】
多くのCB1含有アッセイ系において、SR141716Aは、THCなどのCB1アゴニストによって生じるものとは方向が逆である効果を、単独で生じさせる。従って、それはCB1受容体のインバースアゴニストであるという推論に至る。これは、内因性CB1受容体(アッセイ系それ自体によって生産されるCB1アゴニスト)の拮抗作用を反映する場合もあるが、CB1受容体が構成的活性であるために生じると考えられる場合もある。
【0011】
構成的活性受容体は、投与または内因生産されたアゴニストが一切不在の状態でさえ効果を誘導すると、一般に考えられている。アゴニストは、この活性を強化するが、インバースアゴニストは、それを妨害する。
【0012】
対照的に、ニュートラルアンタゴニストは、構成的活性を変化させない。ニュートラルアンタゴニストは、内因生産されたCB1アゴニスト、例えばアナンダミド、または投与されたものと相互作用するその受容体の能力のみを阻害するので、インバースアゴニストより有利である。
【0013】
内因性CB1アゴニスト、アナンダミドは、脳内で放出されて、栄養補給および食欲などのプロセスを媒介し得るという証拠がある(Di Marzo et al., 2001)。これは、この受容体のアンタゴニストが、臨床において食欲抑制薬として有効である可能性を生じさせる。
【0014】
化合物SR141716Aは、CB1カンナビノイド受容体を活性化できないように、CB1カンナビノイド受容体と係合する。CB1受容体系の阻害は、CB1により媒介される状況、例えば気分、睡眠および疼痛緩和に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0015】
エンドカンナビノイドは、神経保護的特性および抗酸化特性を有するので、SR141716Aの使用者が、癌および卒中のリスクが高まった状態にあるという可能性もある。
【0016】
ニュートラルCB1受容体アンタゴニストは、インバースアゴニストの薬理より複雑でない薬理を有する可能性が高い。従って、単独で投与されたとき、こうしたアンタゴニストは、CB1受容体への内因性カンナビノイドの放出が進行しているカンナビノイド系の部位での効果しかなく、内因性カンナビノイド系の一部に構成的活性CB1受容体が存在することによって生じるその内因性カンナビノイド系の活性には影響を及ぼさないだろう。
【0017】
CB1受容体アンタゴニスト、特にニュートラルCB1受容体アンタゴニストは、それ自体、CB1受容体との相互作用によって生じる疾患および病態の治療に有用である可能性が高い。こうした疾患および病態としては、例えば、肥満、精神分裂病、癲癇または認知障害、例えばアルツハイマー病、骨疾患、過食症、II型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)関連肥満、ならびに薬物、アルコールもしくはニコチンの乱用または依存症の治療を挙げることができる(Pertwee, R. G., 2000)。
【0018】
インバースアンタゴニストに代わるニュートラルアンタゴニストの使用は、CB1受容体構成的活性の結果を増加させないため、発生する副作用が少ない可能性が高いので、特に有益である。
【0019】
現時点で、同定されているニュートラルCB1受容体アンタゴニストはほとんどない。インビトロでニュートラルCB1アンタゴニストとして動作する精神作用性カンナビノイドTHCの類似体は、製造された(Martin, B. R. et al. 2002)。この化合物、O−2050は、Δ−8−テトラヒドロカンナビノールのスルホンアミド類似体であり、その側鎖にアセチレンが組み込まれている。
【0020】
この類似体は、マウス精管においてニュートラルCB1受容体アンタゴニストとして動作する。しかし、O−2050は、確立されたCB1受容体アゴニスト同様、マウスにおいてインビボではCB1受容体アンタゴニストとして動作せず、マウスの自発的活性を抑制する。さらに、R=エチルまたはR=ブチルであるO−2050の類似体は、マウスにおいてインビボで典型的なCB1受容体アゴニストとして動作する。
【0021】
驚くべきことに、本出願人は、カンナビノイドテトラヒドロカンナビノバリン(THCV)が、CB1およびCB2カンナビノイド受容体のニュートラルアンタゴニストであることを示した。
【0022】
カンナビノイドTHCVは、構造的にTHCと関連がある古典的植物カンナビノイドであり、THCV分子は、THCの3−ペンチル側鎖の代わりに3−プロピル側鎖を有する。これら2つのカンナビノイドの構造を図1に示す。
【0023】
THCVがCB1受容体のニュートラルアンタゴニストとして作用するようであるという発見は、極めて驚くべきものであった。THCは、CB1アゴニストであることが知られており、従って、THCVなどの構造的に関係がある化合物も、アンタゴニストではなくアゴニストであるはずだからである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の第一の態様によれば、CB1受容体の中性拮抗作用が有効な疾患および病態の治療に使用するための医薬品の製造におけるテトラヒドロカンナビバリン(THCV)の使用が提供される。
【0025】
好ましくは、前記THCVは、肥満、精神分裂病、癲癇または認知障害、例えばアルツハイマー病、骨疾患、過食症、II型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)関連肥満の治療のための医薬品の製造において、および薬物、アルコールもしくはニコチンの乱用または依存症の治療において使用される。
【0026】
さらに好ましくは、前記THCVは、食欲抑制薬として使用するための医薬品の製造において使用される。
【0027】
ニュートラルアンタゴニストは、インバースアゴニストより副作用が少ないようである。これは、それがCB1受容体の薬物誘導性活性化を妨害するが、構成的活性CB1受容体によって生じる効果を減弱しないと予想されるためである。
【0028】
対照的に、インバースアゴニストは、CB1受容体の薬物誘導性活性化によって生じる効果ばかりでなく、構成的活性CB1受容体によって生じる効果も減弱し、そのため、ニュートラルアンタゴニストより多数の副作用を生じると予想される。
【0029】
従って、本発明の好ましい実施形態において、THCVは、CB1受容体のインバースアゴニストとして作用する任意の物質または化合物が実質的に不在の状態で、使用することができる。
【0030】
特に治療的使用に関して、THCVへの言及は、そうした化合物の医薬的に許容される塩も包含することは理解される。用語「医薬的に許容される塩」は、当業者には周知であるように、無機塩基または酸および有機塩基または酸などの医薬的に許容される非毒性塩基または酸から調製された塩またはエステルを指す。適当な無機および有機塩基の多くは当該分野において公知である。
【0031】
本発明の範囲は、CB1受容体中性拮抗作用の望ましい活性を保持するTHCVの誘導体にもわたる。出発原料と実質的に同じ活性を保持する、またはさらに好ましくは改善された活性を示す誘導体は、当該分野において周知の医薬品化学の基本原理に従って製造することができる。こうした誘導体は、それらが治療上有効であるために十分な活性を保持する限り、出発原料より低い活性度を示してもよい。誘導体は、例えば溶解度改善、毒性低減、摂取向上などの医薬活性薬剤において望ましい他の特性における改善を示すことがある。
【0032】
好ましくは、THCVは、少なくとも1種の大麻植物由来の抽出物(エキス)である。
【0033】
さらに好ましくは、上記少なくとも1種の大麻植物由来のTHCV抽出物は、植物性原薬である。
【0034】
1つの実施形態において、上記少なくとも1種の大麻植物由来のTHCV抽出物は、超臨界または亜臨界CO2での抽出により製造される。
【0035】
あるいは、上記少なくとも1種の大麻植物由来のTHCV抽出物は、植物原料を、当該植物原料中のカンナビノイドの1種またはそれ以上を蒸発させて蒸気を作るために十分な100℃より高い温度で加熱ガスと接触させること、およびその蒸気を凝縮して抽出物を作ることにより製造される。
【0036】
好ましくは、上記少なくとも1種の大麻植物由来のTHCV抽出物は、その植物中のすべての天然カンナビノイドを含む。
【0037】
あるいは、THCVは、実質的に純粋なまたは単離された形態である。
【0038】
カンナビノイドの「実質的に純粋な」製剤は、HPLCプロフィールの面積正規化によって判定して、90%より高い、さらに好ましくは95%より高い、さらに好ましくは96%より高い、さらに好ましくは97%より高い、さらに好ましくは98%より高い、さらに好ましくは99%より高い、および最も好ましくは99.5%より高い(所望のカンナビノイドの)クロマトグラフ純度を有する製剤と定義する。
【0039】
好ましくは、本発明で使用する実質的に純粋なTHCVには、大麻植物において自然に発生するカンナビノイドを含む他の任意の天然または合成カンナビノイドが実質的にない。これに関連して、「実質的にない」は、HPLCによりTHCV以外のカンナビノイドを検出できないことを意味すると解釈することができる。
【0040】
本発明のもう1つの態様において、THCVは、合成物の形態である。
【0041】
好ましくは、THCVは、1またはそれ以上の医薬的に許容される担体、賦形剤または希釈剤をさらに含む医薬組成物として調合される。
【0042】
本発明は、適当な医薬的に許容される担体、例えば希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤などと一緒に医薬剤形に調合されたTHCVまたはその医薬的に許容される塩もしくは誘導体を含む医薬組成物も包含する。この剤形は、条件、例えばpH、浸透度、味、粘度、無菌性、親油性、溶解度などを向上させるために、他の医薬的に許容される賦形剤を含有することがある。希釈剤、担体または賦形剤の選択は、所望の剤形に依存し、そしてまたその剤形は、患者への所望の投与経路に依存し得る。
【0043】
適する剤形としては、固体剤形、例えば錠剤、カプセル、粉末、分散性顆粒、カシェ剤および坐剤(徐放性および遅延放出調合物を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。粉末および錠剤は、一般に、約5%から約70%活性成分を含む。適する固体担体および賦形剤は、当該分野において一般に知られており、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトースなどが挙げられる。錠剤、粉末、カシェ剤およびカプセルは、すべて、経口投与に適する剤形である。
【0044】
液体剤形としては、溶液、懸濁液およびエマルジョンが挙げられる。液体形製剤は、静脈内、脳内、腹腔内、非経口または筋肉内注射または注入により投与することができる。滅菌注射用調合物は、非毒性で医薬的に許容される希釈剤または溶媒中の活性薬剤の滅菌溶液または懸濁液を含むことができる。液体剤形としては、経鼻、口腔内または舌下投与のための溶液または噴霧剤も挙げられる。吸入に適するエアロゾル製剤としては、医薬的に許容される担体、例えば不活性圧縮ガスと併せることができる、溶液および粉末形の固体を挙げることができる。
【0045】
クリーム、ローション、エアロゾルおよび/またはエマルジョンなどの、経皮投与用の剤形も包含する。これらの剤形は、マトリックスまたはレザバータイプの経皮パッチに含めることができ、これらは、当該分野において一般に知られている。
【0046】
医薬製剤は、標準的な医薬調合手順に従って、単位剤形で適便に調製することができる。単位用量当たりの活性化合物の量は、活性化合物の性質および所望の薬剤投与計画によって様々である。一般に、これは、0.1mgから1000mgの範囲内である。
【0047】
本発明の第二の態様によれば、THCVによるCB1カンナビノイド受容体の中性拮抗作用が有効な疾患または病態の治療方法が提供される。この方法は、治療上有効量のTHCVをその必要がある被験者に投与することを含む。
【0048】
治療される疾患または病態は、肥満、精神分裂病、癲癇もしくは認知障害、例えばアルツハイマー病、骨疾患、過食症、II型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)関連肥満、あるいは薬物、アルコールもしくはニコチンの乱用または依存症からなる群より選択される。
【0049】
本発明の第三の態様によれば、美容上有益な体重減少方法が提供される。この方法は、有効量のTHCVを被験者に投与することによる被験者の食欲の抑制を含む。
【0050】
一定の状況下、食欲抑制薬は、ヒト被験者において、医療または治療上その被験者に必ずしも有効ではない、美容上有益な体重減少を達成するために利用することができる。このような状況での食欲抑制薬の投与を、被験者への医療的または治療的処置と解釈することはできない。
【0051】
本発明の第四の態様によれば、1またはそれ以上のタイプのカンナビノイド受容体の中性拮抗作用が有効な疾患または病態の治療に使用するための医薬品の製造におけるニュートラルカンナビノイド受容体アンタゴニストの使用が提供される。
【0052】
好ましくは、上記ニュートラルカンナビノイド受容体アンタゴニストは、CB1カンナビノイド受容体の中性拮抗作用が有効な疾患または病態の治療に使用するための医薬品の製造において使用され、ここで、前記CB1受容体での前記カンナビノイド受容体アンタゴニストの解離定数は、約75nMである。
【0053】
好ましくは、上記ニュートラルカンナビノイド受容体アンタゴニストは、CB2カンナビノイド受容体の中性拮抗作用が有効な疾患または病態の治療に使用するための医薬品の製造において使用され、ここで、前記CB2受容体での前記カンナビノイド受容体アンタゴニストの解離定数は、約62nMである。
【0054】
用語「約」は、引用されている値の±10%以内を指す。
【0055】
本発明のある態様を、単なる例示として、添付図面を参照しながらさらに説明する。

具体的開示
【実施例1】
【0056】
THCVがCB1またはCB2受容体に対して有する作用の調査。
【0057】
CB1受容体は多いが、CB2受容体は多くない、健康な脳組織から調製した膜(Howlett et al. 2002に総説されている)を用いて実験を行った。
【0058】
hCB2受容体でトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を用いてさらなる実験を企てた。これらの膜を使用して、[3H]CP55940 CB2結合部位を置換するTHCVの能力を調査した。
【0059】
これらの実験を用いて、THCVが、CB1もしくはCB2受容体のアゴニストまたはアンタゴニストとして作用するのかを判定した。
【0060】
単離されたマウス精管[カンナビノイド受容体アゴニスト、例えばR−(+)−WIN55212、CP55940、THCおよび2−アラキドノイルエタノールアミド(アナンダミド)が、電気誘発収縮を抑制できる組織(Devane et al., 1992; Pertwee et al., 1995)]でも実験を行った。
【0061】
カンナビノイド受容体アゴニストは、接合部前ニューロン性カンナビノイドCB1受容体に対して作用して、収縮性神経伝達物質、ATP、(接合部後P2Xプリノセプターに作用する)、およびノルアドレナリン、(接合部後α1−アドレノセプターに作用する)、(Trendeleberg et al., 2000)の放出を阻害することにより電気誘発収縮を阻害すると考えられる。
【0062】
接合部前で動作し、少なくとも部分的にはCB1受容体非依存性であるように見えるメカニズムによりマウス精管の電気誘発収縮を阻害する、(−)−7−ヒドロキシ−カンナビジオール−ジメチルヘプチル[植物性カンナビノイド、(−)−カンナビジオールの合成類似体]でも、実験を行った。

方法:
放射リガンド置換アッセイ
【0063】
当該アッセイは、Ross et al. (1999b)によって以前に説明された濾過手順を用いて、[3H]CP55940、1mg ml-1ウシ血清アルブミン(BSA)および50mM Trisバッファ、全アッセイ量500μLで行った。
【0064】
脳膜(反応管当たり33μgのタンパク質)またはトランスフェクトされたhCB2細胞(反応管当たり25μgのタンパク質)、いずれかの添加により、結合を開始させた。
【0065】
すべてのアッセイは、37℃で60分間行い、その後、氷冷洗浄バッファ(50mM Trisバッファ、1mg ml-1ウシ血清アルブミン、pH7.4)の添加、ならびに4℃で少なくとも24時間、洗浄バッファに浸漬しておいた24ウエルサンプリングマニホールドおよびGF/Bフィルターを使用する真空濾過によって停止させた。
【0066】
各反応管を1.2ml分の洗浄バッファで6回洗浄した。フィルターを60分間、オーブン乾燥させ、その後、5mlのシンチレーション液中に置いた。液体シンチレーションスペクトル分析によって、放射活性を定量した。
【0067】
特異的結合は、1μMの非標識CP55940の存在下で発生した結合と不在下で発生した結合との相違と定義した。THCVは、DMSO中10mMの保存溶液として保管し、すべてのアッセイ管におけるビヒクル濃度は、0.1% DMSOであった。
【0068】
3H]CP55940についての結合パラメーターは、マウス脳膜では2336 fmol mg-1タンパク質(Bmax)および2.31nM(Kd)であり(Thomas et al., 2004)、hCB2被トランスフェクト細胞では72570 fmol/mgタンパク質(Bmax)および1.043nM(Kd)であった。

35S]GTPγS結合アッセイ
【0069】
カンナビノイドCB1受容体へのアゴニスト誘導[35S]GTPγS結合を測定するための方法は、Kurkinen et al. (1997)およびBreivogel et al. (2001)の方法を適用した。
【0070】
被トランスフェクトカンナビノイドCB2受容体へのアゴニスト誘導[35S]GTPγS結合を測定するために用いた条件は、MacLennan et al. (1998)およびGriffin et al. (1999)によって用いられたものを適用した。
【0071】
当該アッセイは、[35S]GTPγSおよびGDPの存在下、GTPγS結合バッファ(50mM Tris−HCl;50mM Tris塩基;5mM MgCl2;1mM EDTA;100mM NaCl;1mM DTT;0.1% BSA)を用い、500μlの最終量で行った。結合は、その反応管への[35S]GTPγSの添加によって開始させた。非特異的結合を、30μM GTPγSの存在下で測定した。
【0072】
薬物を、アッセイ中、60分間、30℃でインキュベートした。Trisバッファ(50mM Tris−HCl;50mM Tris塩基;0.1% BSA)を使用する急速真空濾過法により反応を停止させ、液体シンチレーションスペクトル分析により放射活性を定量した。
【0073】
当該アッセイにおける、[35S]GTPγSおよびGDPの存在濃度は、そのアッセイをマウスの脳で行うか、被トランスフェクト細胞膜で行うのかによって異なった。マウス脳膜でアッセイを行ったときは、0.1nMの[35S]GTPγSおよび30μMのGDPが存在し、これに対して、被トランスフェクト細胞膜でアッセイを行ったときに存在したときの対応する濃度は、それぞれ、1nMおよび320μMであった。
【0074】
加えて、マウス脳膜は、30分間、30℃で、0.5U ml-1のアデノシンデアミナーゼとともにプレインキュベートして、内因性アデノシンを除去した。アゴニストおよびアンタゴニストは、DMSO中1または10mMの保存溶液として保管し、すべてのアッセイ管中のビヒクル濃度は、0.11% DMSOであった。

精管実験
【0075】
精管は、体重31〜59gのアルビノMF1マウスから得た。それらの組織を4mlの器官槽(organ bath)に縦に取り付けた。次に、それらを、ばらつきのない振幅を有する収縮が得られるまで交互の刺激期間(2分)と休止期間(10分)に曝す、漸増強度の電気刺激、続いて平衡の手順(Thomas et al., 2004)に付した。これらの収縮は、単相性および等尺性であり、ならびに110%最大電圧の0.5sパルス列(列周波数 0.1Hz;パルス周波数 5Hz;パルス持続時間 0.5ms)によって誘発した。
【0076】
フェニレフリンを用いた実験の場合を除き、すべての薬物添加は、平衡期間後に器官槽に行い、これらの添加間にウォッシュアウトは無かった。ほとんどの実験では、可能性のあるアンタゴニストまたはそのビヒクルを最初に適用した。これに、28分後、2分電気刺激期間が続き、その終了時に濃度系列のうち最低濃度の単収縮阻害剤、R−(+)−WIN55212、CP55940、THC、アナンダミド、(−)−7−ヒドロキシ−カンナビジオール−ジメチルヘプチルまたはクロニジンを適用した。
【0077】
休止期間後、組織を2分間、電気刺激し、その後、単収縮阻害剤をさらに添加した。
【0078】
この薬物添加、休止および2分刺激のサイクルを繰り返して、累積濃度−反応曲線を作成した。組織ごとに1種類の濃度−反応曲線を作成した。停止期間は、クロニジンについては3分、R−(+)−WIN55212、CP55940およびアナンダミドについては13分、THCおよびTHCVについては28分、ならびに(−)−7−ヒドロキシ−カンナビジオール−ジメチルヘプチルについては58分であった。
【0079】
カプサイシンでの実験も行った。この薬物を3分間隔で添加し、これらの添加と添加の間、組織への電気刺激を休止させなかった。
【0080】
一部の実験では、他の化合物を事前に一切添加せず、薬物添加、28分休止および2分刺激のサイクルを再び用いて、THCVについての累積濃度−反応曲線を作成した。
【0081】
β,γ−メチレン−ATPでの実験の場合、平衡手順後に電気刺激を印加しなかった。β,γ−メチレン−ATPの対数濃度−反応曲線をウォッシュアウトなしで累積的に作成した。β,γ−メチレン−ATPの最初の添加の30分前にTHCV、WINまたは薬物ビヒクルを添加し、この各々の後続の添加は、前の用量の効果がプラトーに達した直後に行った(1〜2分の投与サイクル)。
【0082】
各組織に1回だけフェニレフリン添加を行い、これは、THCV、WINまたは薬物ビヒクルの添加の30分後に行った。

データ分析
【0083】
値は、平均および変動性、例えば標準誤差(s.e.mean)として、または95%信頼限界(95% confidence)として表す。特異的結合部位からの放射リガンドの50%置換を生じさせるTHCVの濃度(IC50値)を、GraphPad Prism 4を用いて計算した。その解離定数(Ki値)は、Cheng & Prusoff (1973)の式を用いて計算した。
【0084】
正味のアゴニスト誘導[35S]GTPγS結合値は、他(Ross et al., 1999a)で詳述されているように、(アゴニストの存在下で得られる)アゴニスト刺激値から(アゴニスト不在下で得られる)基底結合値を引くことによって計算した。
【0085】
精管の電気誘発単収縮反応の阻害は、百分率に置き換えて表し、これは、単収縮阻害剤の各添加後の単収縮反応の振幅を阻害剤の最初の添加直後のその振幅と比較することにより計算した。フェニレフリンおよびβ,γ−メチレン−ATPに対する収縮反応は、張力(g)の増加として表した。
【0086】
EC50、最大効果(Emax)および標準誤差についての値またはこれらの値の95%信頼限界は、S字型濃度−反応曲線についての等式を用いる線形回帰分析(GraphPad Prism)により計算した。
【0087】
精管または[35S]GTPγS結合アッセイにおけるTHCVによるアゴニストの拮抗作用についての見掛けの解離定数(KB)は、濃度、B、の競合的可逆的アンタゴニストの存在下で特定のサイズの反応を惹起するアゴニストの濃度をそのアンタゴニスト不在下で同じ反応を生じさせる同じアゴニストの濃度で割ったものと定義される濃度比から、Schild解析により計算した。
【0088】
濃度比および見掛けのKB値を決定するために、および対数濃度−反応プロットが平行から有意に外れているかどうかを立証するために使用した方法は、他(Pertwee et al., 2002)で詳述されている。対応のないデータについてのスチューデント両側t−検定、または一元配置分散分析(ANOVA)、それに続くダネット検定(GraphPad Prism)を用いて、平均値を比較した。0.05より小さいP値を有意とみなした。

結果:
放射リガンド実験
【0089】
THCVは、一部位競合曲線に二部位競合曲線より有意に良好に当てはまる(P<0.05;GraphPad Prism 4)様式で、マウス脳およびCHO−hCB2細胞膜における特異的結合部位からの[3H]CP55940を置換した。
【0090】
その平均Ki値は、それぞれ、75.4nMおよび62.8nMであった。
【0091】
THCVは、マウス脳膜における特異的部位からの[3H]R−(+)−WIN55212および[3H]SR141716Aも置換した。その平均EC50値と括弧内に示す95%信頼限界は、それぞれ、61.3nM(48.6および77.3nM; n=4〜7)および86.8nM(63.8および188.1nM; n=4〜6)である。
【0092】
3H]CP55940の置換についてのTHCVの対応するEC50値は、98.2(69.6および138.6nM; n=4〜8)である。
【0093】
マウス脳およびCHO−hCB2膜への[35S]GTPγS結合を強化するCP55940の能力は、THCVにより減弱された。THCVは、1μMで、このカンナビノイド受容体アゴニストの対数濃度反応曲線において有意な右方向シフトを生じさせ、このシフトは、平行からは有意に外れていなかった。
【0094】
この拮抗作用についての見掛けのKB値の平均(例えば、マウス脳膜におけるCP55940の拮抗作用についてのSR141716Aの、およびCHO−hCB2細胞膜におけるCP55940の拮抗作用についてのSR144528の見掛けのKB値の平均である)を表1に示す。1μMで、THCVは、マウス脳膜へのGTPγS結合の強化のための、R−(+)−WIN55212の対数濃度反応曲線における有意な平行右方向シフトも生じさせた。
【0095】
【表1】


精管実験
【0096】
THCVは、12.7μM(6.9および23.2μM)のEC50で、マウスの単離された精管の電気誘発収縮の濃度関連阻害を生じさせた。
【0097】
この効果は、100nM(n=7、データは示していない)のSR141716Aによって減弱されなかったので、CB1受容体によって媒介された可能性は低い。このCB1選択的アンタゴニストと同じまたはそれを上回る濃度が、同じバイオアッセイにおいて確立されたCB1受容体アゴニストに拮抗することは、以前に判明している(Pertwee et al., 1995; Ross et al., 2001)。
【0098】
電気誘発収縮の顕著な阻害を生じさせた濃度である31.6μMで、THCVは、P2受容体アゴニスト、β,γ−メチレン−ATPと、α1−アドレノセプターアゴニスト、塩酸フェニレフリンとの両方に対する精管の収縮反応も減弱させた。
【0099】
対照的に、電気誘発収縮に対する検出可能な阻害効果を有さなかった濃度である1μMでは、THCVは、β,γ−メチレン−ATP(n=8、データは示していない)によって誘導される収縮の振幅に関しても、フェニレフリンによって誘導される収縮の振幅に関しても、有意な減少を一切誘導しなかった。これらの発見は、THCVが、少なくとも一部は、内因的に放出されたATPおよびノルアドレナリンに対する収縮反応を遮断するように接合部後で作用することにより、精管の電気誘発収縮を阻害したことを示唆している。
【0100】
電気誘発収縮を阻害した濃度より十分に低い濃度では、THCVは、濃度に関連した、およびR−(+)−WIN55212の最大効果(Emax)の有意な変化を一切伴わない(P>0.05;ANOVA、その後のダネット検定;n=6〜9)様式で、単収縮反応のR−(+)−WIN55212誘導阻害を妨害した。R−(+)−WIN55212の対数濃度反応曲線においてTHCVによって生じる右方向シフトは、平行からは有意に外れず、ならびに有意に1と異ならない傾きを有するSchildプロットをもたらす。THCVの見かけのKB値の平均をTallarida法により計算すると(Pertwee et al., 2002)、表2に示すとおり1.5nMとなった。電気誘発収縮を顕著に減弱させる濃度である1μMでのR−(+)−WIN55212は、精管の収縮を誘導するβ,γ−メチレン−ATP(n=7または10、データは示していない)またはフェニレフリンの能力を低下させなかった。
【0101】
【表2】

【0102】
THCVは、10、100および1000nMでアナンダミドに拮抗し、ならびに100nMでメタナンダミドおよびCP55940に拮抗することが明らかになった。これらの単収縮阻害剤の対数濃度反応曲線においてTHCVによって生じた右方向シフトは、平行から有意に外れなかった。10nMのTHCVによるアナンダミドの拮抗作用についての見かけのKB値の平均と、括弧内に示すその95%信頼限界は、1.4nM(0.36および7.50nM)である。100nMのTHCVによるアナンダミド、メタナンダミドおよびCP55940の拮抗作用についての見かけのKB値の平均は、表2に記載する。
【0103】
100nMで、THCVは、電気誘発収縮を阻害するクロニジン、カプサイシンおよび(−)−7−ヒドロキシ−カンナビジオール−ジメチルヘプチルの能力を低下させなかった。これは、THCVが、精管における単収縮阻害剤のアンタゴニストとして少なくともある程度の選択性を有することを示している。
【0104】
100nMのTHCVも、カンナビノイド受容体アゴニスト、THC(n=11;データは示していない)に拮抗しなかった。しかし、1μMで、THCVは、平行から有意に外れないTHCの対数濃度曲線における有意な右方向シフトを生じさせた(THCに対するその見かけのKB値については、表2参照)。
【0105】
このデータから、低用量のTHCVとTHCとの同時投与は、THCの高用量効果、例えば心拍数および精神活性度増加を改善できる可能性がある。低用量のTHCVは、CB1受容体の克服可能な(surmountable)競合アンタゴニストとして作用し、そのため、THCの高用量効果の一部を遮断する。部分アゴニストの効力および有効度が、受容体密度とともに増大すること、および克服可能な競合アンタゴニストの効力が、受容体密度の影響を受けないことは、当該分野において十分に確立されている。THCVの用量は、THCの治療効果を防止するには十分でないが、THCの高い投与量による副作用を予防するには十分な用量である。

結論:
【0106】
・Δ9−テトラヒドロカンナビバリン(THCV)は、脳およびCHO−hCB2細胞膜上の特異的結合部位からの[3H]CP55940を置換した(それぞれ、Ki=75.4および62.8nM)。これは、THCVが、CB1およびCB2受容体のいずれのアンタゴニストでもあることを示している。
【0107】
・THCV(1μM)は、これらの膜への[35S]GTPγS結合のCP55940誘導性強化にも拮抗した(それぞれ、見掛けのKB=93.1および10.1nM)。これは、THCV(1μM)が、相当強力な競合アンタゴニストであることを示している。このKB値は、THCVが、CB1受容体よりもCB2受容体のアンタゴニストとしての効力のほうが大きいことを示している。
【0108】
・マウス精管において、電気誘発収縮を阻害するΔ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)の能力は、THCVによって拮抗され、その見掛けのKB値は、マウス脳膜への[35S]GTPγS結合のCP55940−およびR−(+)−WIN55212誘導性強化に対するその拮抗についての見掛けのKB値に近かった。
【0109】
・THCVは、より低い見掛けのKB値(それぞれ、1.5、1.2、4.6および10.3nM)であるが、精管においてR−(+)−WIN55212、アナンダミド、メタナンダミドおよびCP55940にも拮抗した。これは、THCVが、競合的、克服可能な様式で作用することを示している。
【0110】
・THCVは、電気誘発収縮の振幅におよびマウス脳膜またはCHO−hCB2細胞膜に結合する[35S]GTPγSの能力に単独では影響を及ぼさない濃度で、カンナビノイドに対するその拮抗作用を生じさせた。これは、THCVが、ニュートラルカンナビノイド受容体アンタゴニストであることを示唆している。
【0111】
・THCV(100nM)は、精管の電気誘発収縮のクロニジン、カプサイシンまたは(−)−7−ヒドロキシ−カンナビノール−ジメチルヘプチル誘導阻害を妨害しなかった。これは、THCVが選択性を有することを示唆している。
【0112】
・塩酸フェニレフリンまたはβ,γ−メチレン−ATPに対する精管の収縮反応は、1μM THCVまたはR−(+)−WIN55212によって減少しなかった。これは、THCVが結合部前部位でR−(+)−WIN55212と相互作用することを示唆している。
【0113】
・31.6μMで、THCVは、塩酸フェニレフリンおよびβ,γ−メチレン−ATPに対する収縮反応を減少させず、3μMより上では、SR141716A依存的様式で精管の電気誘発収縮を阻害した。
【0114】
結論として、THCVは、ニュートラル競合CB1およびCB2受容体アンタゴニストとして作用する。精管において、THCVは、THCよりも強力に幾つかのカンナビノイドに拮抗し、また、脳膜よりもこの組織においてのほうがCP55940およびR−(+)−WIN55212に対して効力が大きかった。
【0115】
参考文献:


【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】カンナビノイドテトラヒドロカンナビバリン(THCV)およびテトラヒドロカンナビノール(THC)の二次元構造を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CB1カンナビノイド受容体の中性拮抗作用が有効な疾患および病態の治療に使用するための医薬品の製造におけるテトラヒドロカンナビジバリン(THCV)の使用。
【請求項2】
肥満、精神分裂病、癲癇もしくは認知障害、例えばアルツハイマー病、骨疾患、過食症、II型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)関連肥満の治療のための医薬品の製造における、または薬物、アルコールもしくはニコチンの乱用もしくは依存症の治療における、請求項1に記載のTHVCの使用。
【請求項3】
食欲抑制薬として使用するための医薬品の製造における、請求項2に記載のTHCVの使用。
【請求項4】
前記THCVが、少なくとも1種の大麻植物から調製される抽出物の形態である、先行する請求項のいずれかに記載のTHCVの使用。
【請求項5】
少なくとも1種の大麻植物から調製される抽出物が、植物性原薬の形態である、請求項4に記載のTHCVの使用。
【請求項6】
少なくとも1種の大麻植物から調製される抽出物が、超臨界または亜臨界CO2での抽出により製造される、請求項4または5に記載のTHCVの使用。
【請求項7】
少なくとも1種の大麻植物から調製される抽出物が、植物原料を、当該植物原料中のカンナビノイドの1またはそれ以上を蒸発させて蒸気を作るために十分な100℃より高い温度で加熱ガスと接触させること、および前記蒸気を凝縮して抽出物を作ることにより製造される、請求項4または5に記載のTHCVの使用。
【請求項8】
少なくとも1種の大麻植物から調製される抽出物が、前記少なくとも1種の大麻植物中のすべての天然カンナビノイドを含む、請求項4から7のいずれかに記載のTHCVの使用。
【請求項9】
前記THCVが、実質的に純粋なまたは単離された形態である、請求項1に記載のTHVCの使用。
【請求項10】
前記THCVが、合成物の形態である、請求項1に記載のTHVCの使用。
【請求項11】
前記THCVが、1またはそれ以上の医薬的に許容される担体、賦形剤または希釈剤をさらに含む医薬組成物として調合される、先行する請求項のいずれかに記載のTHCVの使用。
【請求項12】
治療上有効量のTHCVをその必要がある被験者に投与することを含む、THCVによるCB1カンナビノイド受容体の中性拮抗作用が有効な疾患または病態の治療方法。
【請求項13】
疾患または病態が、肥満、精神分裂病、癲癇、認知障害、例えばアルツハイマー病、骨疾患、過食症、II型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)関連肥満、および薬物、アルコールもしくはニコチンの乱用または依存症からなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
有効量のTHCVを被験者に投与することによる被験者の食欲の抑制を含む、美容上有益な体重減少方法。
【請求項15】
1またはそれ以上のタイプのカンナビノイド受容体の中性拮抗作用が有効な疾患または病態の治療に使用するための医薬品の製造におけるニュートラルカンナビノイド受容体アンタゴニストの使用。
【請求項16】
CB1カンナビノイド受容体の中性拮抗作用が有効な疾患または病態の治療に使用するための医薬品の製造におけるニュートラルカンナビノイド受容体アンタゴニストの使用であって、前記CB1受容体での前記カンナビノイド受容体アンタゴニストの解離定数が約75nMである、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
CB2カンナビノイド受容体の中性拮抗作用が有効な疾患または病態の治療に使用するための医薬品の製造におけるニュートラルカンナビノイド受容体アンタゴニストの使用であって、前記CB2受容体での前記カンナビノイド受容体アンタゴニストの解離定数が約62nMである、請求項15に記載の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2008−520559(P2008−520559A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540721(P2007−540721)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004388
【国際公開番号】WO2006/054057
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(502327779)ジーダブリュー ファーマ リミテッド (5)
【Fターム(参考)】