説明

カンナビノイド誘導体、その製造方法、および使用

カンナビノイド受容体1型(CB−1)および/またはカンナビノイド受容体2型(CB−2)に対して親和性を有するデルタ−8−テトラヒドロカンナビノール、デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール、およびデルタ−6a−10a−テトラヒドロカンナビノールの1’−置換カンナビノイド誘導体。CB−1および/またはCB−2受容体に対して作動薬か拮抗薬のどちらかとして活性を有する化合物は、CB−1もしくはCB−2が介在する疾患を治療するために使用されることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体として参照することにより本明細書に含める米国特許仮出願第60/472,316号(2003年5月20日出願)の利益を主張する。
【0002】
本発明は、概して、カンナビノイド受容体1型(CB−1)および/またはカンナビノイド受容体2型(CB−2)の作動薬か拮抗薬のどちらかとして活性であるデルタ−8−テトラヒドロカンナビノール(Δ−THC)、デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(Δ−THC)およびデルタ−6a−10a−テトラヒドロカンナビノール(Δ6a−10a−THC)のカンナビノイド誘導体に関し、さらにCB−1もしくはCB−2が介在する疾患を治療するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
デルタ−9−テトラヒドロカンナビノール(Δ−THC)は、メコウラム(Mechoulam)と同僚により、1964年に、マリファナの主要な活性成分として単離同定された(非特許文献1)。次の10年のうちに、CB1およびCB2受容体が、発見されて、その特性を決定され、Δ−THCの作用の原因であることが示された(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)。CB1およびCB2受容体は、それ以来、抗肥満症剤(非特許文献6)、制癌剤(非特許文献7)、鎮痛薬(非特許文献8)、および抗緑内障剤(非特許文献9、非特許文献10)を開発する潜在的治療ターゲットとして、注目を集めてきた。治療薬を開発する努力の結果として、カンナビノイド受容体に結合する構造の異なる多種化合物が同定され、これらには、古典的カンナビノイド(Δ−THC)、非古典的カンナビノイド(例、CP55,940)(非特許文献11)、ジアリールピラゾール(例、AM−251)(非特許文献12)、アミノアルキルインドール(例、WIN−55212)(非特許文献13)が含まれる。薬理学およびSARの観点から非常に広範にわたって研究されたカンナビノイド類似体は、古典および非古典的カンナビノイドである。
【0004】
古典カンナビノイド(CCB)および非古典的カンナビノイドのCB1受容体への結合親和性は、一般的に、3点および4点ファーマコフォアモデルからそれぞれ決定されることが可能である(非特許文献14)。CCB類似体の3点ファーマコフォアを形成する構造要素は、(1)芳香環のC1位におけるフェノール基(非特許文献15、非特許文献16)、(2)環外のC11メチルもしくはヒドロキシメチルを有する不飽和ΔもしくはΔC環、或いは別法として、9−β−ヒドロキシル、9−β−ヒドロキシメチル、または9−ケト官能基を含有する飽和C環(非特許文献17、非特許文献18、非特許文献19、非特許文献20)、および(3)ヘプチル類似体が最適な側鎖長を表し、3〜7個の炭素の範囲のC3脂肪族側鎖。基本のファーマコフォアモデルに加えて、C3側鎖の1’,1’−ジメチル、1’,2’−ジメチル、および1’,1’−ジチオランでの置換は、一般的に、CCBの活性を高める(非特許文献21、非特許文献22、非特許文献23、非特許文献24、非特許文献25、非特許文献26)。
【0005】
CCBのファーマコフォア要素とリガンド結合ポケット(LBP)間の相互作用に関する理解は、QSAR研究およびLBPの部位特異的変異の結果として、かなり洗練された。コンピュータ使用による研究は、CCBのC1領域における水素結合供与体/受容体対に対する必要条件を明らかにした(非特許文献27、非特許文献28、非特許文献29、非特許文献30)、提案された結果は、C1ヒドロキシルとCB1受容体中の必須なLys192との相互作用に相関することである(非特許文献31、非特許文献32)。C9領域にヒドロキシルを含有する、Tyr275とCCB間の追加の供与体/受容体対が、Δ−THCと比較して、CB1親和性の上昇の原因でありうる(非特許文献33)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。
【0006】
C1およびC9置換基の分子内の幾何学的配置は、CCBの固定された環系により、緊密に規定されている。しかしながら、QSAR研究は、C3側鎖において、適度から高度の立体配座の柔軟性を示す(非特許文献28、非特許文献34、非特許文献35、非特許文献36)。これらの研究は、CB1のLBPが、C3で疎水性置換基を好むことをはっきりと立証するが、立体配座の柔軟性に対する必要条件は、解明されないままである。この目的へ向けての進展は、一連の立体配座的に制限されたメチレンおよびメチン官能基を組み込んだΔ−THC側鎖類似体(非特許文献36)および1’−シクロプロピル類似体(非特許文献37)の研究において、報告されている。上記の研究より、該側鎖が、疎水性ポケットに折りたたまれる側鎖末端を有する芳香環の平面に対して直行する幾何学的配置を取ることが示唆される。側鎖に不飽和基を組み込んだにもかかわらず、この一連の分子中に、かなりの柔軟性が、残存する。柔軟性側鎖の立体配座を予測する際における固有のコンピュータ使用での計算制限は、X線結晶学的データも高分解能NMRデータもない場合、CB受容体の好適な側鎖の幾何学的配置およびLBP立体配置の必要条件を予測する能力をある程度制限する。
【0007】
CB−1受容体および/またはCB−2受容体が介在する疾患もしくは異常の治療に影響を与える治療目的として使用可能な化合物を同定する必要性が依然存在する。
【非特許文献1】ガオニ(Gaoni)ら著、J.Am.Chem. Soc.86:1646(1964年)
【非特許文献2】ガーナード(Gernard)ら著、Biochem.J.279:129(1991年)
【非特許文献3】スカパー(Skaper)ら著、Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:3984(1996年)
【非特許文献4】マツダ(Matsuda)ら著、ネイチャー(Nature)346:61(1990年)
【非特許文献5】マンロー(Munro)ら著、ネイチャー(Nature)365:61(1993年)
【非特許文献6】ジ・マルゾ(Di Marzo)ら著、ネイチャー(Nature)410:822(2001年)
【非特許文献7】パロラロ(Palolaro)ら著、プロスタグラジン・ロイコット・エッセント脂肪酸(Prostaglandins Leukot. Essent. Fatty Acids)66:319(2002年)
【非特許文献8】パルマー(Palmer)ら著、Chem.Phys.Lipids121:3(2002年)
【非特許文献9】ポーセラ(Porcella)ら著、Eur.J.Neurosci.13:409(2001年)
【非特許文献10】キエン(Chien)ら著、Arch.Ophthalmol.121:87(2003年)
【非特許文献11】メルビン(Melvin)ら著、Med.Chem.27:67(1984年)
【非特許文献12】ラン(Lan)ら著、J.Med.Chem.42:769(1999年)
【非特許文献13】D’アンブラ(D’Ambra)ら著、J.Med.Chem.35:124(1992年)
【非特許文献14】セルトズマン(Seltzman)著、Curr.Med.Chem.6:685(1999年)
【非特許文献15】ラズダン(Razdan)著、Pharmac.Rev.38:75(1986年)
【非特許文献16】ウリッス(Uliss)ら著、J.Med.Chem.18:213(1975年)
【非特許文献17】トマス(Thomas)ら著、Mol.Pharmacol.40:656(1991年)
【非特許文献18】ウイルソン(Wilson)ら著、J.Med.Chem.19:1165(1976年)
【非特許文献19】メルヴィン(Melvin)ら著、Mol.Pharmacol.44:1008(1993年)
【非特許文献20】メコウラム(Mechoulam)ら著、Experientia44:762(1988年)
【非特許文献21】ハフマン(Huffman)ら著、Tetrahedron53:1557(1997年)
【非特許文献22】ハフマン(Huffman)ら著、Bioorganic Med.Chem.Lett.7:2799(1997年)
【非特許文献23】グオ(Guo)ら著、J.Med.Chem.37:3867(1994年)
【非特許文献24】デバン(Devane)ら著、J.Med Chem.35:2065(1992年)
【非特許文献25】チウス(Tius)ら著、Life Sci.56:2007(2007年)
【非特許文献26】ハフマン(Huffman)ら著、J.Med.Chem.39:3875(1996年)
【非特許文献27】トーマス(Thomas)ら著、Mol.Pharmacol.40:656(1991年)
【非特許文献28】シュメッツァー(Schmetzer)ら著、J.Computer−Aided Mol.Design11:278(1997年)
【非特許文献29】レッギオ(Reggio)ら著、J.Med.Chem.32:1630(1989年)
【非特許文献30】ジョンソン(Johnson)ら著、治療薬としてのカンナビノイド(Cannabinoids as Therapeutic Agents)、フロリダ州ボーカラトーン(Boca Raton,FL)CRCプレス(CRC Press)(1986年))
【非特許文献31】ソング(Song)ら著、Mold.Pharmacol.49:891(1996年)
【非特許文献32】チン(Chin)ら著、Neurochem.70:280(1998年)
【非特許文献33】マックアリスター(McAllister)ら著、Biochem.Pharmacol.63:2121(2002年)
【非特許文献34】パパハットジス(Papahatjis)ら著、J.Med.Chem.41:1195(1998年)
【非特許文献35】ライアン(Ryan)ら著、Life Sci.56:2013(1995年)
【非特許文献36】ケイモウィッツ(Keimowitz)ら著、J.Med.Chem.43:59(2000年)
【非特許文献37】パパハットジス(Papahatjis)ら著、Bioorg.Med.Chem.Lett.12:3583(2002年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[発明の概要]
本発明は、CB−1受容体および/またはCB−2受容体で、作動薬か拮抗薬のどちらかとして活性を呈し、かつ上記の受容体が介在する疾患もしくは異常を治療するために使用されることが可能であるΔ−THC、Δ−THC、およびΔ6a−10a−THC類似体を開発することを目指している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一態様は、下式(I)
【化1】

[式中、C環は、Δ位、Δ位、またはΔ6a−10a位のいずれかに二重結合を含有し、
Xは、C(CH、C(−Y(CHY−)、CH、C(O)、
【化2】

の群から選択され、
Yは、SおよびOの群から選択され、
は、C3〜C8のシクロアルキル、チオフェニル、フラニル、ピロリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ビフェニル、2−ナフチル、チアゾリル、ベンズチアゾリル、メチルテトラゾリル、
【化3】

【化4】

の群から選択され、
およびRは、ΔもしくはΔ二重結合を含有する化合物については、メチルであり、またはΔ6a−10a二重結合を含有する化合物については、C1〜C3アルキル基およびC1〜C3アルカノールの群から独立して選択され、
は、ΔもしくはΔ二重結合を含有する化合物については、メチル、メタノール、−(CHCOOH、および−(CHCOHの群から選択され、またはΔ6a−10a二重結合を含有する化合物については、メチルであり、
は、H、OH、メトキシ、およびエトキシの群から選択され、
〜R10は、独立して、H、OH、C1〜C6アルキル、ハロ、アミノ、C1〜C2アルキルアミノ、C1〜C2ジアルキルアミノ、アミド、C1〜C2アルキルアミド、シアノ、ニトロ、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6アルコール、C1〜C6アルキルを含有するカルボキシル、C1〜C6アルキルを含有するカルボニル、C1〜C6のアルキル基を含有するエステル、C1〜C6アルキルを含有するスルホキシド、およびC1〜C6アルキルを含有するスルホンの群から選択され
11〜R13のうち少なくとも1つは、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、フルオロ、およびクロロの群から選択され、残りのR11〜R13は、Hであってもよく、
nは、2〜4の整数であり、
mは、0か1の整数である]
によるカンナビノイド類似体に関する。
【0010】
本発明の第二態様は、上式(I)による化合物と薬学的に許容できる担体を含有する組成物に関する。
【0011】
本発明の第三態様は、カンナビノイド受容体の活性を改変する方法に関し、その方法は、式(I)による化合物を提供することと、細胞のカンナビノイド受容体を上記化合物に接触させることとを含み、その方法により、前記接触が、細胞中のカンナビノイド受容体の活性を改変する。
【0012】
本発明の第四態様は、カンナビノイド受容体が介在する疾患の治療方法に関し、その方法は、化合物がカンナビノイド受容体上で作動薬として作用する式(I)の化合物を提供することと、カンナビノイド受容体が介在する疾患を治療するのに効果的な量の化合物を患者に投与することとを含む。
【0013】
本発明の第五態様は、カンナビノイド受容体が介在する疾患の治療方法に関し、その方法は、化合物がカンナビノイド受容体上で作動薬として作用する請求項1に記載の化合物を提供することと、カンナビノイド受容体が介在する疾患を治療するのに効果的な量の化合物を患者に投与することとを含む。
【0014】
本発明の第六態様は、式(I)による化合物を調製する方法に関する。
【0015】
一研究方法に従って、本発明のΔ−THCもしくはΔ−THC化合物は、式(II)
【化5】

の構造を有する中間化合物を式(IIIa)もしくは式(IIIb)
【化6】

のどちらかによる反応体と、C環のΔもしくはΔ位に二重結合を含有する請求項1に記載の化合物を形成するのに効果的な条件下で、反応させることにより、調製される。
【0016】
別の研究方法に従って、Δ6a−10a−THC類似体は、式(IV)
【化7】

の構造を有する中間化合物を酸(例、トリフルオロ酢酸もしくは臭化水素酸等)と、C環のΔ6a−10a位に二重結合を含有する本発明の化合物を形成するのに効果的な条件下で、反応させることにより、調製されることが可能である。
【0017】
本発明の数種の化合物は、CB−1受容体、CB−2受容体のどちらか、または両方に対して、実証された親和性を有し、また数種の化合物は、一方の受容体に対して他方の受容体に対するよりも大きい選択性を示す。本発明の化合物は、1個もしくはそれ以上の官能基を有する非常に多種類の1’−芳香族THCを本発明に従って調製することができる点に重要な利益を提供する。上記化合物は、特に、従来公知の1’−直鎖炭化水素のTHC類似体によっては、従来利用することが不可能であった。さらに、数種の化合物は、インビトロもしくはインビボ試験で立証されるように、CB−1および/またはCB−2受容体に対して改良された親和性、さらに、CB受容体が介在する疾患の治療に関して有効性を示した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[発明の詳細な説明]
本発明は、下式(I)
【化8】

[式中、
Xは、C(CH、C(−Y(CHY−)、CH、C(O)、
【化9】

の群から選択され、
Yは、SおよびOの群から選択され、
は、C3〜C8シクロアルキル、チオフェニル、フラニル、ピロリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ビフェニル、2−ナフチル、チアゾリル、ベンズチアゾリル、メチルテトラゾリル、
【化10】

【化11】

の群から選択され、
およびRは、ΔもしくはΔ二重結合を含有する化合物については、メチルであり、またはΔ6a−10a二重結合を含有する化合物については、C1〜C3アルキル基およびC1〜C3アルカノールの群から独立して選択され、
は、ΔもしくはΔ二重結合を含有する化合物については、メチル、メタノール、−(CHCOOH、および−(CHCOHの群から選択され、またはΔ6a−10a二重結合を含有する化合物については、メチルであり、
は、H、OH、メトキシ、およびエトキシの群から選択され、
−R10は、独立して、H、OH、C1〜C6アルキル、ハロ、アミノ、C1〜C2アルキルアミノ、C1〜C2ジアルキルアミノ、アミド、C1〜C2アルキルアミド、シアノ、ニトロ、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6アルコール、C1〜C6アルキルを含有するカルボキシル、C1〜C6アルキルを含有するカルボニル、C1〜C6のアルキル基を含有するエステル、C1〜C6アルキルを含有するスルホキシド、およびC1〜C6アルキルを含有するスルホンの群から選択され、
11〜R13のうち少なくとも1つは、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、フルオロ、およびクロロの群から選択され、残りのR11〜R13は、Hであってもよく、
nは、2〜4の整数であり、
mは、0か1のどちらかの整数である]
によるカンナビノイド類似体に関する。
【0019】
式(I)による化合物は、Δ二重結合、Δ二重結合、またはΔ6a−10a二重結合のいずれかをC環内に含有することが可能である。Δ−およびΔ−THC類似体は、B環、C環の間の6a位および10a位に、特定の立体的配置を有するが、式(I)の化合物の立体的配置は、上記に示されていない。好適なΔ−およびΔ−THC類似体の立体的配置を以下に示す。
【0020】
本明細書に使用されるように、より大きな基の(例えば、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アルコール、カルボキシル、カルボニル、エステル、スルホキシド、およびスルホン基の)アルキル基もしくはアルキル置換基は、直鎖もしくは分岐のアルキルであることが可能であり、限定することなく、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、1−メチルエチル、1−メチルプロピル、t−ブチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。直鎖アルキル基が、好ましい。C1〜C3アルキル基には、総計3個の炭素原子が含まれ、C1〜C6アルキル基には、総計6個の炭素原子が含まれる。
【0021】
好適なアルキル基は、メチル、エチル、およびプロピルである。好適なアルコキシ基は、メトキシおよびエトキシである。好適なカルボキシル基は、メチルカルボキシル、エチルカルボキシル、およびプロピルカルボキシルである。好適なアルデヒド基は、カルバルデヒドもしくはアセトアルデヒド基でありうる。好適なカルボニル基は、メタノン、エタノン、およびプロパノン基である。好適なエステル基は、メチル、エチル、またはプロピル末端基のいずれかを含有し、フェニル環に直接結合した、或いは(介在したアルキル置換基で)それらから置換された、それらのカルボニル基を有することが可能である。好適なスルホキシドは、メチル、エチル、またはプロピル末端基のいずれかを含有し、フェニル環に直接結合した硫黄を有するか、或いは(介在するアルキル置換基で)それらから置換された硫黄を有することが可能である。好適なスルホンは、メチル、エチル、またはプロピル末端基のいずれかを含有し、フェニル環に直接結合した硫黄を有するか、或いは(介在するアルキル置換基で)それらから置換された硫黄を有することが可能である。
【0022】
好適なR基は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、2−チオフェニル、3−チオフェニル、2−フラニル、3−フラニル、2−ピロリル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、4−ピロリジニル、ビフェニル、2−ナフチル、5−ピリミジニル、2−チアゾリル、2−ベンズチアゾリル、メチルテトラゾリル、フェニル、o−メチルフェニル、m−メチルフェニル、p−メチルフェニル、m,p−ジメチルフェニル、o,p−ジメチルフェニル、m−エチルフェニル、p−エチルフェニル、m,p−ジエチルフェニル、m−メタノール−フェニル、m−エタノール−フェニル、p−メタノール−フェニル、p−エタノール−フェニル、p−クロロフェニル、p−フルオロフェニル、p−ブロモフェニル、m−アミノフェニル、p−アミノフェニル、m−メチルアミノフェニル、p−メチルアミノフェニル、N,N−ジメチル−m−アミノフェニル、N,N−ジメチル−p−アミノフェニル、m−アミドフェニル、p−アミドフェニル、m−メチルアミドフェニル、p−メチルアミドフェニル、m−シアノフェニル、p−シアノフェニル、m−ニトロフェニル、p−ニトロフェニル、o−メトキシフェニル、m−メトキシフェニル、p−メトキシフェニル、m−エトキシフェニル、p−エトキシフェニル、m−メチルスルホキシド−フェニル、m−エチルスルホキシド−フェニル、p−メチルスルホキシド−フェニル、p−エチルスルホキシド−フェニル、m−メチルスルホン−フェニル、m−エチルスルホン−フェニル、p−メチルスルホン−フェニル、p−エチルスルホン−フェニル、m−メチルケトン−フェニル、p−メチルケトン、m−エチルケトン−フェニル、p−エチルケトン−フェニル、m−メタノエート−フェニル、p−メタノエート−フェニル、m−エタノエート−フェニル、p−エタノエート−フェニル、2−メチルシクロペンチル、2−メトキシシクロペンチル、2−エチルシクロペンチル、2−エトキシシクロペンチル、2−クロロシクロペンチル、2−フルオロシクロペンチル、2−メチルシクロヘキシル、2−メトキシシクロヘキシル、2−エチルシクロヘキシル、2−エトキシシクロヘキシル、2−クロロシクロヘキシル、2−フルオロシクロヘキシル、3−メチルシクロヘキシル、3−メトキシシクロヘキシル、3−エチルシクロヘキシル、3−エトキシシクロヘキシル、3−クロロシクロヘキシル、3−フルオロシクロヘキシル、3−メチルシクロヘプチル、3−メトキシシクロヘプチル、3−エチルシクロヘプチル、3−エトキシシクロヘプチル、3−クロロシクロヘプチル、3−フルオロシクロヘプチル、4−メチルシクロヘプチル、4−メトキシシクロヘプチル、4−エチルシクロヘプチル、4−エトキシシクロヘプチル、4−クロロシクロヘプチル、4−フルオロシクロヘプチル、4−メチルシクロオクチル、4−メトキシシクロオクチル、4−エチルシクロオクチル、4−エトキシシクロオクチル、4−クロロシクロオクチル、4−フルオロシクロオクチル、5−メチルシクロオクチル、5−メトキシシクロオクチル、5−エチルシクロオクチル、5−エトキシシクロオクチル、5−クロロシクロオクチル、および5−フルオロシクロオクチルである。上記の化合物のうちで、チオフェニル、置換シクロヘキシル、および置換シクロフェニル基が、最も好適である。
【0023】
好適なRおよびR基(つまり、C環が、Δ6a−10a二重結合を含む場合)として、メチル、エチル、メタノール、およびエタノールが挙げられる。RおよびRは、同一でも異なってもよい。これらのうちで、メチル、メタノール、およびエタノールが、最も好適である。
【0024】
好適なR基として、メチル、メタノール、カルボン酸、およびカルバルデヒドが挙げられる。これらのうちで、メタノールとメチルが、最も好適である。
【0025】
は、本発明の化合物の選択性に影響を与えるので、CB−1選択性化合物に対してと(例えば、OH基)、CB−2選択性化合物に対してとでは(例えば、水素、メトキシ、およびエトキシ)、異種の基が好適である。
【0026】
好適なX基は、CH、C(O)、C(CH、C(−S(CHS−)、C(−S(CHS−)、C(−O(CHO−)、およびC(−O(CHO−)である。これらのうちで、gem−ジメチル基とケト基が、最も好適である。
【0027】
特に好適な化合物として、限定することなく、下記の化合物が挙げられる。
【化12】

gem−ジメチル−シクロペンチル−Δ−THC
【化13】

gem−ジメチル−シクロヘキシル−Δ−THC
【化14】

gem−ジメチル−シクロヘプチル−Δ−THC
【化15】

gem−ジメチル−フェニル−Δ−THC
【化16】

gem−ジメチル−p−メチルフェニル−Δ−THC
【化17】

gem−ジメチル−m−メチルフェニル−Δ−THC
【化18】

gem−ジメチル−2−チオフェニル−Δ−THC
【化19】

gem−ジメチル−m−クロロフェニル−Δ−THC
【化20】

gem−ジメチル−p−クロロフェニル−Δ−THC
【0028】
本発明は、さらに、式(I)の化合物を製造する方法に関する。
【0029】
Δ−THC類似体を、一般的に、下記のスキーム1で明示される合成プロトコルに従って、調製することが可能である。
【化21】

【0030】
Δ−THC類似体を、一般的に、下記のスキーム2に規定されるメント−ジエン−オール合成を利用する2段階の閉環反応に従って、調製することが可能である。
【化22】

【0031】
Δ6a−10aTHC類似体を、一般的に下記のスキーム3で図示するように、ベータケトエステルを用いて、ラセミ混合物か光学的に純粋な異性体としてのどちらかとして、調製することができる。
【化23】

【0032】
スキーム1〜3の各々において、X置換基は、ジチオラニル、gem−ジメチル、またはメチレンでありうる。これらの置換基を、下記のスキーム4a〜4cに示すように、レソルシノールに導入することが可能である。レソルシノールを、上記のスキーム1〜3に導入することが可能である。
【化24】

【0033】
一例として、Xとしてケト置換基を含有する本発明の化合物を、Xとしてジチオラニルを含有する化合物から合成することが可能である。この反応のスキームは、スキーム4dとして下記に示す。
【化25】

【0034】
上記の化合物は、本発明のΔ−もしくはΔ−THC類似体を表すが、本発明のΔ6a−10a−THC類似体に同一の手順を採用することができる。
【0035】
一例として、Xとして択一的な置換基を含有する本発明の化合物を、Xとしてケト置換基を含有する化合物から合成することが可能である(例えば、スキーム4dにおいて合成される)。これらの反応のスキームを、スキーム4e〜4gとして下記に示す。
【化26】

【0036】
上記の化合物は、本発明のΔ−もしくはΔ−THC類似体を表すが、本発明のΔ6a−10a−THC類似体に同一の手順を採用することができる。
【0037】
一例として、R位にヒドロキシル基以外を含有する本発明の化合物を、下記のスキーム5aおよび5bに示すスキームに従って、調製できる。
【化27】

【0038】
スキーム5aおよび5bにおける上記の化合物は、本発明のΔ−もしくはΔ−THC類似体を表すが、本発明のΔ6a−10a−THC類似体に同一の手順を採用することができる。
【0039】
一例として、R位にカルボキシル基もしくはアルデヒド基を含有する本発明のΔ−もしくはΔ−THC類似体を、下記のスキーム6aおよび6bにそれぞれ示すスキームに従って、調製することができる。
【化28】

【化29】

【0040】
カルボキシル基かアルデヒド基のどちらかは、標準条件(例えば、NaBHもしくはLiAlH)下で、還元されて、メタノール基を生成することが可能である。
【0041】
スキーム1〜3の各々において、R置換基は、複素環、好ましくは複素芳香環でありうる。これらの複素環R置換基は、下記のスキーム7に示すレソルシノール誘導体の調製を考慮に入れて、グリニャール反応により導入されうる。本発明の化合物の調製のために、レソルシノールを上記のスキーム1〜3に導入することが可能である。
【化30】

【0042】
スキーム7において、複素環は、未置換であることが示される。しかしながら、レソルシノールの生成に先立って、環置換基を上記環に導入することができることを十分認識すべきである。スキーム7に図示する単一のヘテロ原子を含有する6員環は、上記のRヘテロ原子環のいずれかを表すことを意図する。
【0043】
本発明のさらなる態様は、カンナビノイド受容体の活性を改変し、カンナビノイド受容体が介在する疾患、症状、または異常を治療するため、式(I)の化合物を使用することに関する。
【0044】
上記の点において、本発明は、式(I)による1種もしくはそれ以上の化合物と1種の薬学的に許容できる担体とを含有する組成物にも関する。
【0045】
1種もしくはそれ以上の化合物が、投与の本来の目的を達成するのに効果的な量で、存在する。個々の必要性は異なるが、各成分の有効量の至適範囲の決定は、当分野の技術の範囲内である。1種もしくはそれ以上の投与される化合物の量は、患者および投与方法により変わり、いずれかの有効量でありうる。典型的な用量は、1日に最大3回で約0.01〜約100mg/kg・体重、さらに好ましくは約0.01〜約1.0mg/kg・体重である。本発明の化合物の投与に関する治療計画は、当業者により、容易に決定されうる。投与される化合物の量は、広範囲にわたって変わり、患者の体重1Kg当たり1日に約0.01〜20mgの有効量を単位投与剤形において提供し、所望の効果を達成しうる。単回用量は、1回の用量当たり、約1mg〜約1000mgが好ましい。
【0046】
薬学的に許容できる担体は、適切な助剤、担体、賦形剤、安定剤、またはそれらの組み合わせのいずれかであることが可能であり、該医薬組成物は、固体もしくは液体形状(例、錠剤、カプセル剤、粉末製剤、溶液、懸濁液、またはエマルション等)でありうる。通常、上記組成物は、約0.01〜99パーセント、好ましくは約20〜75パーセントの活性化合物を、助剤、担体および/または賦形剤と一緒に含有しうる。
【0047】
治療的経口投与に関しては、活性化合物が、賦形剤と共に組み込まれ、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液、シロップ剤等の剤形で使用されうる。
【0048】
固形の単位投与剤形(例えば、錠剤もしくはカプセル剤)は、従来型でありうる。例えば、上記化合物は、1種もしくはそれ以上の潤滑剤および/または不活性充填剤(例、ラクトース、スクロース、またはコーンスターチ等)と組み合わされることが可能である。別の実施形態において、上記の化合物は、従来型錠剤の基剤(例、ラクトース、スクロース、またはコーンスターチ等)と共に、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチンのような結合剤、崩壊剤(例、コーンスターチ、バレイショデンプン、またはアルギン酸等)、ステアリン酸もしくはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤と組み合わせて、錠剤にされる。
【0049】
液体の経口剤形は、甘味料(例、コーンシロップ、サッカリン、アスパルテーム等)、天然もしくは人工香料、場合により1種もしくはそれ以上の色素と共に、水性もしくはアルコールベースの担体を含有することができる。
【0050】
注入ができる使用に適切な剤形には、コロイド分散液、マイクロエマルション、および無菌の注入可能な分散液もしくはマイクロエマルションの即席調合のための、無菌の粉末製剤が含まれる。全ての場合において、剤形は、無菌であるのが望ましく、容易にシリンジで扱える程度の流動性であるのが望ましく、製造および保管条件下において、安定しているのが望ましく、細菌および菌類等の微生物の汚染作用に対して、保護されるのが望ましい。上記活性化合物の溶液もしくは懸濁液は、ヒドロキシプロピルセルロース等の界面活性剤と適切に混合した水中で調製されうる。分散液も、グリセロール、液状ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物を油中に溶かした中で調製されうる。具体的な油は、石油、動物、植物、または合成由来の油であり、例えば、落花生油、大豆油、または鉱油である。一般的に、水、食塩水、水性デキストロースおよび関連した糖溶液、およびグリコール(例、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコール等)を、予備処方として、マイクロエマルションと組み合わせて利用することができる。通常の保管および使用条件下で、上記の製剤は、微生物の成長を防ぐために防腐剤を含有する。
【0051】
エアロゾルとしての使用に関して、溶液もしくは懸濁液中の本発明の化合物を、適切な推進剤、例えば、従来型助剤と共に炭化水素推進剤(例、プロパン、ブタン、またはイソブタン等)と一緒に加圧エアロゾル容器内に入れてもよい。本発明の物質を、加圧しない形態(例、ネブライザもしくはアトマイザ)で投与してもよい。
【0052】
行われる治療に応じて、本発明の化合物もしくは組成物は、経口的に、局所に、経皮的に、非経口的に、皮下に、静脈内に、筋肉内に、腹腔内に、鼻腔内に点滴注入することにより、腔内もしくは嚢内に点滴注入することにより、眼内に、動脈内に、病変内局に、または粘膜(例、鼻、咽頭、および気管支等の粘膜)への塗布により、投与されうる。
【0053】
本発明の1つの好適な組成物は、下記の成分を含有するマイクロエマルション製剤である。
【0054】
【表1】

【0055】
本発明の化合物は、上記に規定した化合物のように、種々の濃度/投与量で、マイクロエマルション製剤に導入されうる。試験において、1mg/服用量の(0.1w/wパーセント)の投与量が使用された。
【0056】
本発明の別の好適な組成物は、以下の成分を有する配合物である。水素化ダイズホスファチジルコリン(HSPC、50モル%)、コレステロール(45モル%)、およびジステアリルホスホチジルエタノールアミン−PEG2000コンジュゲート(DSPE−PEG2000、5モル%)。本発明の化合物は、上記に規定した化合物のように、種々の濃度/投与量で、リポソーム製剤に導入されうる。
【0057】
本発明の化合物は、CB−1および/またはCB−2受容体に結合して、これらの受容体の作動薬か拮抗薬のどちらかとして、作用するので、本発明の化合物を使用して、上記の受容体の一方もしくは両方の活性を改変することができる。本発明のこの方法は、細胞のカンナビノイド受容体を本発明の化合物に接触させることにより実施され、それによって、上記接触が細胞内のカンナビノイド受容体の活性を改変する。
【0058】
カンナビノイド受容体を有する細胞を、エキソビボ(すなわち、作動薬もしくは拮抗薬としての化合物の活性を決めるためのアッセイを実施するため)もしくはインビボ(すなわち、カンナビノイド受容体が介在する疾患の治療又は予防のため)のどちらかに位置づけることができる。CB−1受容体は、中枢神経系、心臓、血管内皮、子宮、精巣、輸精管、小腸または膀胱で発現することが明らかにされている。CB−2受容体は、脾臓、および白血球、B−細胞、マクロファージのような種々の血液細胞に発現することが実証されている。本発明の本態様に従って処理した細胞は、上記の細胞の1つであり得、もしくは上記組織の1つにて存在しうる。
【0059】
あるカンナビノイド受容体に対して、別のカンナビノイド受容体と比べて選択性のある化合物を用いることが望ましい場合もある。CB−1受容体選択性の化合物は、少なくとも4:1のK比(CB1/CB2)を表すことが好ましく、さらに好ましくは少なくとも10:1、最も好ましくは少なくとも20:1である。CB−2受容体選択性の化合物は、少なくとも4:1のK比(CB2/CB1)を表すことが好ましく、さらに好ましくは少なくとも10:1、最も好ましくは少なくとも20:1である。
【0060】
カンナビノイド受容体が介在する疾患の治療や予防は、本発明の化合物を提供し、さらに、該疾患の治療や予防のために、化合物もしくは該化合物を含有する組成物を患者に有効量投与することにより、実現することができる。
【0061】
多数の用法が、カンナビノイド受容体調節因子として、さらに、特にCB受容体作動薬、CB受容体拮抗薬、CB受容体作動薬、CB受容体拮抗薬として同定された。
【0062】
CB受容体調節因子は、呼吸器の疾病(例えば、慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、喘息、気管支炎等)や、免疫調節系の疾病や疾患(例えば、移植片拒絶反応、関節リュウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患、ループス、移植片対宿主拒絶反応、T細胞介在性の過敏性症候群、乾癬、橋本甲状腺炎、ギラン・バレー症候群、癌、接触性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、虚血、または再灌流障害)の治療において有用であることが証明された(レフテリス(Leftheris)らの米国特許第6,653,304号明細書、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。
【0063】
CB−1受容体作動薬は、脳卒中および頭蓋大脳外傷等の神経変性障害の予防および治療(ミッテンドルフ(Mittendorf)らの米国特許第6,284,788号明細書、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)、高血圧、末梢血管障害、狭心症および出血性ショックの治療(クノス(Kunos)らの米国特許第5,939,429号明細書、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)、細胞増殖性の疾患(例えば、乳癌や前立腺癌)の治療(グザン(Guzman)、Nature Reviews Cancer 3:745−755(2003年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)に有用であることが証明された。
【0064】
CB−1受容体作動薬は、神経刺激性の病状、特に脱髄を伴う疾患(例えば、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群)、ウイルス性脳炎、脳血管障害、または頭蓋外傷の予防又は治療(ブーリエ(Bourrie)らの米国特許第6,642,258号明細書、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)、眼疾患(例、緑内障等)、肺疾患(例、喘息や慢性気管支炎等)、アレルギー疾患(例、アレルギー性鼻炎、接触皮膚炎、アレルギー性結膜炎等)、炎症(例、関節炎、炎症性腸疾患、疼痛等)、免疫系障害(ループス、エイズ、同種移植拒絶反応等)、中枢神経系疾患(例、トゥーレット症候群、パーキンソン病、ハンチントン病、てんかん、種々の精神障害(例えば、うつ病、躁うつ病等)等)、および嘔吐の予防又は治療(マーティン(Martin)らの米国特許第6,509,367号明細書、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)、摂食障害(例、食欲不振および必須でない食品(例えば、糖類、炭水化物、アルコール、薬等)の消費を含む消費障害等)の治療(マルアニ(Maruani)らの米国特許第6,344,474号明細書、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)、低血圧症(例、敗血症に関係する低血圧等)の治療(クノス(Kunos)らの米国特許第5,939,429号明細書、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)、うつ病、認知機能の低下、覚醒状態の低下、記憶力の低下、1つもしくはそれ以上の原因がアルツハイマー病に関係する知覚の低下、頭蓋骨損傷、老年性認知症、脳腫瘍の治療(クリナン(Cullinan)らの米国特許第5,747,524号明細書、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)において有用であることが証明された。
【0065】
CB−2受容体調節因子は、細胞増殖性の疾患(例、癌等)の治療(バースタイン(Burstein)らの米国特許第6,448,288号明細書、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)において有効であることが証明された。
【0066】
CB−2受容体作動薬は、免疫介在の免疫障害(例、関節リュウマチ、全身性エリテマトーデス、乾癬、湿疹、多発性硬化症、糖尿病、甲状腺炎等)、骨形成/再形成障害(例、骨粗しょう症、強直性脊椎炎、痛風、痛風を伴う関節炎、および変形性関節症等)、および腎虚血の治療(シャン(Xiang)らの米国特許第6,100,259号明細書、(ベンダー(Bender)らの米国特許第5,948,777号明細書、それらの各々は、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)において有効であることが証明された。
【0067】
本発明の化合物の薬理学的な活性(つまり、作動薬、逆作動薬、拮抗薬等)は、環状AMP結合試験や35S(GTPγS)結合試験等の当技術分野で公知の標準的なインビトロの測定法を用いて測定可能である(例えば、パートウィー(Pertwee)、Curr.Med.Chem.6(8):635−664(1999年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)を参照のこと)。
【実施例】
【0068】
以下の実施例は、本発明の実施形態を例証するために提供され、その範囲を決して限定しない。
【0069】
実施例1〜4の材料と方法
材料
全ての薬品および試薬を、シグマ・アルドリッチ社(Sigma−Aldrich)もしくはフィッシャー・サイエンティフィック社(Fisher Scientific Inc.)から購入した。使用直前に、金属ナトリウムもしくは水素化カルシウムで蒸留して、無水溶媒を調製した。全ての反応を乾燥条件下、かつアルゴン雰囲気下で、実施した。シリカゲル60(200〜425メッシュ)をフラッシュクロマトグラフィーに用いた。H NMR、13C NMRおよび2Dスペクトルを、バリアン・イノバ500型(Varian 500 Inova)MHz NMRで獲得し、特定した構造と一致した。特に明記しない限り、全てのNMRをCDCl中で記録した。HRMSは、ノックスビルのテネシー大学の質量分析センター(Mass Spectrometry Center,University of Tennessee,Knoxville)で測定したが、通常のマススペクトルは、ブルカー・エスクァイア・イオントラップ(Bruker ESQUIRE Ion Trap)LC/MS(n)システムで測定した。IRスペクトルは、パーキン・エルマーのモデル(Perkin−Elmer Model)1605FT赤外線分光光度計で測定した。シリカゲルプレート(メルク(Merck)TLCプレート、シリカゲル60、F254)で、薄層クロマトグラフィーを行った。
【0070】
NMRによる研究および分子モデリング
5−mmHCN3重共鳴プローブを用いて、バリアン・イノバ500型分光計で、23℃、500MHzで全てのスペクトルを獲得した。プロトンと炭素の両方の化学シフトは、DMSOの残留溶媒ピーク(プロトン:2.49ppm、炭素:40ppm)を基準とした。2次元のNOESY測定に関して、合計512の自由誘導減衰(fid)を間接的な次元(indirect dimension)に対して、2秒の繰り返し遅延(recycle delay)で、記録した。データ処理および解析のために、シビル(Sybyl)ソフトウェアのトリアド(TRIAD)NMRパッケージを使用した。NOESYスペクトルのピークを特定して、TRIAD標準関数を用いて積分した。次に、これらのピーク積分を用いて28の距離制限を作り出すために、MARDIGRASを使用した。5つの混合時間の各々からの結果は、かなり類似した距離制限を示すので、分子に対する最終セットの距離制限を得るために、5種類の混合時間を平均して、各距離制限を求めた。次に、結果の制限を検定し、距離における誤差が、NOE制限に対する正規誤差に一致することを裏付けた。x<2.5Åは、±0.1Åであり、x≦3.0Åは、±0.2Åであり、x≦3.5Åは、±0.3Åであり、およびx≧3.5は、±0.4Åであった。
【0071】
1fs(フェムト秒)の時間工程およびMARDIGRASにより生じた制限を用いる4工程のシミュレートしたアニーリングを以下のように28に実施した:(1)300Kで1ピコセカンド(ps)動力学、(2)500Kまで1ピコセカンド加熱、(3)700Kまで相をさらに1ピコセカンド加熱、(4)500Kまで1ナノセカンド(ns)平衡状態に置く。追加のパラメーターには、ガスタイガー・ヒュッケル(Gasteiger−Hueckel)電荷を有するトリポス力場(Tripos force field)、8Å非結合遮断、および距離依存性の誘電率関数が含まれる。動的実行の全工程中に、実験で獲得したNOE距離制限を加え、環の幾何学的配置を維持するために、芳香族炭素を集合体として定めた。動的実行の位相(1)間に1000fs間隔で、かつ加熱および冷却期間中に1回、分子幾何学的配置をサンプル抽出した。さらなる解析のために合計1,007の立体配座を収集し、それぞれ20回の動的シュミレーションをこれらに施し、平均的立体配座を得た。次に、規定の集合体も実験で定めたNOE距離制限もない、0.005Kcal・mol−1・Å−1の許容勾配で、これらの平均的立体配座を最小にして、最終の平均的立体配座を得た。
【0072】
量子力学的計算
GAMESS計算化学パッケージを用いて、8プロセッサおよび4GBのメモリーを有するSGI オリジン(Origin)2000で、量子力学的計算を実施した。メンフィス大学(University of Memphis)で修正されたMOLDENの1つのバージョンを用いるB3LYP/6−31G(p,d)結果から、分子軌道表面を計算した(シャフトナー(Schaftenaar),G.ら、J.Comput.−Aided Mol.Design 14:123(2000年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。最終の幾何学的最適化法である、AM1およびPM3半経験的波関数を用いて、ポテンシャルエネルギー表面を計算した。
【0073】
受容体結合試験
ヒトCB1受容体を導入したHEK293細胞の細胞膜(Lot#1929,Bmax:1.7pmol/mgタンパク質、[H]CP55,940結合のK値:186pM)およびヒトCB2受容体を導入したCHO−K1細胞の細胞膜(Lot#1930,Bmax:3.3pmol/mgタンパク質、[H]CP55,940結合のK値:0.12nM)は、パーキン・エルマー・ライフサイエンス社(Perkin−Elmer Life Sciences,Inc.)より購入した。比放射能が120Ci/mmolである[H]CP55,940は、パーキン・エルマーライフサイエンス社(Perkin−Elmer Life Sciences,Inc.)より入手した。その他の全ての薬品および試薬類はシグマ・アルドリッチ社(Sigma−Aldrich)より入手した。アッセイを、細孔のサイズが1.2μのガラス繊維フィルター(親水性、GFCフィルター)を装着した96−ウェルプレート(ミリポア社(Millipore Inc.)より入手)で実施した。フィルターを0.05%のポリエチレンイミン溶液に染み込ませ、アッセイを実施する前に、脱イオン水で5回洗浄を行った。96−ウェルの吸引ろ過マニホールド(ミリポア社(Millipore Inc.))を用いて、ろ過を行い、ピペットチップで切り出したフィルターは、試験の最後にシンチレーションバイアル(scintillation vial)に直接入れ、バイアルは5mlのシンチレーション混合Ecolite(+)(フィッシャー・サイエンティフィック(Fisher Scientific))で満たした。カウントは、ベックマン・シンチレーション(Beckmann Scintillation)計数器モデルのLS6500で行った。試薬溶液は、DMSOで調製し、放射性リガンドはエタノールで溶解した。
【0074】
培養緩衝液は、50mMのTRIS−HCl、5mMのMgCl、2.5mMのEDTA、0.5mg/mlの脂肪酸を含まないウシ血清アルブミンを入れ、pH7.4に調整した。
【0075】
CB1受容体の結合プロトコルは、以下の通りである。8μgの膜(培養緩衝液で1:8に希釈(20μl))を、5μlの薬液(10−4M〜10−12M)と5μlの5.4nM[H]CP55,940を添加し、総量を200μlにし、30Cで90分間培養した。非特異的な結合は、10μMのWIN55,212−2(K=4.4nM)を用いて測定した。膜は、フィルター処理し、フィルターは、氷冷した培養緩衝液0.2mlで7回洗浄し、減圧下で空気乾燥させた。
【0076】
CB2受容体の結合プロトコルは、以下の通り通りである。15.3μgの膜(培養緩衝液で1:20に希釈(20μl))を、5μlの薬液(10−4M〜10−12M)と5μlの10nM[H]CP55,940を添加し、総量を200μlにし、30Cで90分間培養した。非特異的な結合は、10μMのWIN55,212−2(K=4.4nM)を用いて測定した。膜は、フィルター処理し、フィルターは、氷冷した培養緩衝液0.2mlで7回洗浄し、減圧下で空気乾燥させた。
【0077】
データの集積及び統計分析は、以下の要領で行った。10−4M〜10−12Mの範囲の種々濃度の薬物を、各実験に対して三重反復で、添加し、個々のモルIC50値をグラフパッドプリズム(GraphPad Prism)を用いて測定した。各薬物に対するK値は、Cheng and Prusoff式(チェン(Cheng),Y.ら、Biochem.Pharmacol.22:3099(1973年)、(それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)を用いて算出し、最終データは、2回以上の実験ごとのK±S.E.M.として示した。
【0078】
実施例1 1’−シクロアルカン官能基を含有するΔ−THC類似体の合成
側鎖修飾したΔ−THCの類似体の合成を、シス−Δ−p−メンテン−1,8−ジオールと適切に置換したレソルシノールとの酸触媒のカップリング反応により、実施した。(パパハットジス(Papahatjis),D.P.ら、J.Med.Chem.41:1195(1998年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。図7に要約するように、3,5−ジメトキシベンゾニトリルを適切なハロゲン化アルキルもしくはハロゲン化シクロアルキルのグリニャールと反応させた後、結果として生成したイミンのHCl加水分解により、前駆体レソルシノールを合成し、ケトン5〜8を得た(シンガー(Singer),M.ら、J.Med.Chem.41:4400(1998年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。次に、これらのケトンを、BF・EtOの存在下で、エタン−1,2−ジチオールと反応させ、対応するジチオラン9〜12を得るか(パパハットジス(Papahatjis),D.P.ら、J.Med.Chem.41:1195(1998年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)、またはこれらのケトンをジメチル亜鉛およびTiClと反応させて、対応するgem−ジメチル中間生成物13〜15を得る(シンガー(Singer),M.ら、J.Med.Chem.41:4400(1998年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。BBrを用いて0℃で12〜16時間、中間生成物のアリールエーテルを脱保護して、5−置換レソルシノール16〜22を生成した。レソルシノールと、プラサード・エンド・デブ(Prasad and Dev)の方法(プラサード(Prasad),R.Sら、テトラヘドロン(Tetrahedron)32:1437(1976年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)に従って、p−トルエンスルホン酸の一水和物の存在下で、(+)−Δ−カランから調製したシス−Δ−p−メンテン−1,8−ジオールとの反応により、対応するΔ−THC類似体23〜29を得た。
【0079】
化合物5:1−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−ペンタン−1−オン
オーブン内で1時間乾燥させたMgターニング(1.12g、46.7ミリモル)とドライTHF(32ml)に、1−ブチルブロミド(4.46g、32.5ミリモル)を加え、還流で30分間反応させた。グリニャールの生成後、3,5−ジメトキシベンゾニトリル(4g、24.5ミリモル)を加え、混合液を4時間還流した。反応物を15分間氷で冷却した後、40mlの6NHClを徐々に加え、混合液を16時間還流した。THFを除去し、EtOAc(60ml)と6NHCl(15ml)中に、残渣を溶解した。その層を分離し、EtOAc(4×20ml)で、水層を抽出した。混合したEtOAc抽出物を抽出し、飽和NaHCO、水および塩水で洗浄した。乾燥後、有機相を濃縮させ、EtOAc/ヘキサン(5:25)で溶出したシリカゲルに残渣を通し、3.52g(64.7%)の化合物5を白色固体として得た。R= 0.43 (ヘキサン:エチルアセタート9:1); IR (KBrペレット)2956,1601,1206,1067,755 cm−1H NMR δ 7.09 (d, J = 2.31 Hz, 2H), 6.64 (t, J = 2.31 Hz, 1H), 3.84 (s, 6H), 2.92 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 1.71 (q, J = 7.71 Hz, 2H), 1.40 (s, J = 7.71 Hz, 2H), 0.95 (t, J = 7.32 Hz, 3H); 13C NMR δ 200.51, 161.10, 139.33, 106.17, 105.29, 55.83, 38.70, 26.84, 22.71, 14.17; MS: (ESI, Pos.) m/z 245 ([M + 23])。
【0080】
化合物6:シクロペンチル−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−メタノン
適切な臭化アルキルを用いて、化合物5に関して記載した3,5−ジメトキシベンゾニトリルから、化合物6を同様に調製した。透明なオイルとして収量2.90g(50.2%)。R= 0.58 (ヘキサン:エチルアセタート 9:1); IR (KBrニート) 2956, 1604, 1204, 1067, 755 cm−1H NMR δ 7.11 (d, J = 2.31 Hz, 2H), 6.63 (t, J = 2.29 Hz, 1H), 3.83 (s, 6H), 3.70−3.60 (m, 1H), 1.95−1.87 (m, 4H), 1.75−1.59 (m, 4H); 13C NMR δ 202.71, 161.06, 139.23, 106.57, 105.11, 55.80, 46.72, 30.35, 26.54; MS: (ESI, Pos.) m/z 257 ([M + 23])。
【0081】
化合物7:シクロヘキシル−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−メタノン
適切な臭化アルキルを用いて、化合物5に関して記載した3,5−ジメトキシベンゾニトリルから、化合物7を同様に調製した。透明なオイルとして収量19.3g(63.3%)。 R= 0.43 (ヘキサン:エチルアセタート 9:1); IR (KBrニート) 2936, 1594, 1200, 1059, 734 cm−1H NMR δ 7.08 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 6.63 (t, J = 2.25 Hz, 1H), 3.83 (s, 6H), 3.24−3.14 (m, 1H), 2.05−1.71 (m, 5H), 1.54−1.19 (m, 5H); 13C NMR δ 203.73, 161.12, 138.61, 106.35, 104.92, 55.77, 45.99, 30.39, 29.73, 27.12, 26.17, 26.05; MS: (ESI, Pos.) m/z 271 ([M + 23])。
【0082】
化合物8:シクロヘプチル−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−メタノン
適切な臭化アルキルを用いて、化合物5に関して記載した3,5−ジメトキシベンゾニトリルから、化合物8を同様に調製した。透明なオイルとして収量11.0g(45.6%)。R= 0.58 (ヘキサン:エチルアセタート 9:1); IR (KBrニート), 2941, 1592, 1201, 1063, 757 cm−1H NMR δ 7.07 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 6.64 (t, J = 2.4 Hz, 1H), 3.84 (s, 6H), 3.40−3.32 (m, 1H), 1.96−1.52 (m, 12H)。 13C NMR δ 204.16, 161.12, 138.72, 106.40, 104.96, 55.80, 46.99, 46.66, 31.59, 31.13, 28.55, 28.36, 28.08, 27.04; MS: (ESI, Pos.) m/z 285 ([M + 23])。
【0083】
化合物9:2−ブチル−2−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−[1,3]ジチオラン
無水CHCl(58ml)中に化合物5(3.52g、15.9ミリモル)を溶かして攪拌した溶液に、BF−EtO(0.58ml、4.8ミリモル)とエタン−1,2−ジチオール(2.71g、28.8ミリモル)を加え、室温で16時間攪拌した後、有機相を、10% NaOH(20ml)で、続いて水 と塩水で、抽出した。有機相を乾燥させ、濃縮させて、EtOAc/ヘキサン(5:10)で溶出したシリカゲルに、残渣を通し、透明なオイルとして4.50g(95.2%)の化合物9を得た。R= 0.51 (ヘキサン:エチルアセタート 9:1); IR (ニート) 2955, 1205, 1067 694 cm−1H NMR δ 6.89 (d, J = 2.22 Hz, 2H), 6.34 (t, J = 2.21 Hz, 1H), 3.81 (s, 6H)。 3.40−3.20 (m, 4H), 2.33 (t, J = 7.53 2H), 1.31−1.20 (m, 4H), 0.85 (t, J = 6.78 Hz, 3H)。 13C NMR δ 160.56, 148.04, 106.01, 98.74, 74.58, 55.60, 45.92, 39.33, 30.23, 23.03, 14.13; MS: (ESI, Pos.) m/z 299 (M)。
【0084】
化合物10:2−シクロペンチル−2−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−[1,3]ジチオラン
化合物9に関しての上記と同一の手順を用いて、化合物6から化合物10を調製した。オイルとして、収量2.92g(87%)。R= 0.52 (ヘキサン:エチルアセタート 92:8); IR (ニート) 2955, 1206, 1066, 694 cm-H NMR δ 6.98 (d, J = 2.19 Hz, 2H), 6.34 (t, J = 2.25 Hz, 1H), 3.80 (s, 6H), 3.35−3.09 (m, 4H), 2.82−2.71 (m, 1H), 1.80−1.43 (m, 8H)。 13C NMR δ 160.03, 149.37, 106.37, 98.35, 79.474, 55.35, 52.14, 38.79, 31.17, 25.73; MS: (ESI, Pos.) m/z 333 ([M + 23])。
【0085】
化合物11:2−シクロヘキシル−2−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−[1,3]ジチオラン
化合物9に関しての上記と同一の手順を用いて、化合物7から化合物11を調製した。オイルとして、収量16.8g(89.6%)。R= 0.43 (ヘキサン:エチルアセタート 92:8); IR (ニート) 2930, 1198, 1062, 698 cm−1H NMR δ 6.94 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 6.33 (t, J = 2.25 Hz, 1H), 3.80 (s, 6H), 3.33−3.09 (m, 4H), 2.17−2.09 (m, 1H), 1.92−1.88 (m, 2H), 1.73−1.58 (m, 3H), 1.27−0.97 (m, 5H)。 13C NMR δ 160.20, 148.17, 107.00, 98.59, 80.97, 55.60, 50.71, 39.07, 31.18, 26.91, 26.35; MS: (ESI, Pos.) m/z 347 ([M + 23])。
【0086】
化合物12:2−シクロヘプチル−2−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−[1,3]ジチオラン
化合物9に関しての上記と同一の手順を用いて、化合物8から化合物12を調製した。オイルとして、収量3.60g(79.2%)。R= 0.56 (ヘキサン:エチルアセタート 92:8); IR (ニート) 2925, 1206, 1067, 832, 693 cm−1H NMR δ 6.94 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 6.32 (t, J = 2.25 Hz, 1H), 3.80 (s, 6H), 3.31−3.10 (m, 4H), 2.40−2.32 (m, 1H), 1.96−1.30 (m, 12H)。 13C NMR δ 160.38, 148.94, 106.52, 98.48, 81.99, 70.21, 55.60, 51.27, 45.22, 39.34, 32.82, 29.80, 28.04, 27.77; MS: (ESI, Pos.) m/z 361 ([M + 23])。
【0087】
化合物13:1−(1−シクロペンチル−1−メチル−エチル)−3,5−ジメトキシ−ベンゼン
添加漏斗を備える乾燥した3口フラスコに、無水CHCl(80ml)を加え、−40℃まで冷却した。CHCl(102ml、102ミリモル)中にTiClを溶かした1M溶液を添加漏斗に移し、冷却したCHCl溶液に−40℃の温度を保ちながら徐々に加えた。溶液を−50℃まで冷却し、添加漏斗を介して、トルエン(51ml、102ミリモル)中にジメチル亜鉛を溶かした2M溶液を、−40℃〜−50℃の温度を維持しながら、出来るだけ迅速に加えた。添加が完了した際に、粘性の赤い溶液を激しく10分間攪拌した後に、乾燥CHCl(20ml)中に化合物6(4.01g、17.1ミリモル)を溶かした溶液を、−45℃〜−35℃の温度を維持しながら、急激に加えた。次に、温度を−10℃まで徐々に2時間かけて、持続して攪拌しながら、上昇させた。混合物を氷/水(200ml)中に注ぎ、CHCl(4×50ml)で、水層を抽出した。混合した有機抽出物を、飽和NaHCO、水および塩水で洗浄し、乾燥させ、濃縮させた。EtOAc/ヘキサン(1:9)で溶出したシリカゲルに残渣を通し、透明なオイルとして、2.75g(65.0%)の化合物13を得た。R= 0.50 (ヘキサン:エチルアセタート 95:5); IR (ニート) 2955, 1457, 1422, 1205, 1067, 831 cm−1H NMR δ 6.53 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 6.30 (t, J = 2.25, 1H), 3.79 (s, 6H), 1.55−1.38 ( m, 7H), 1.25 (s, 6H), 1.21−1.15 (m, 2H); 13C NMR δ 160.50, 153.36, 105.30, 96.76, 55.45, 51.80, 39.90, 27.94, 25.97, 25.82; MS: (ESI, Pos.) m/z 249 ([M + H])。
【0088】
化合物14:1−(1−シクロヘキシル−1−メチル−エチル)−3,5−ジメトキシ−ベンゼン
化合物13に関しての上記と同一の手順を用いて、化合物7から化合物14を調製した。オイルとして、収量3.69g(70.3%)。 R= 0.55 (ヘキサン:エチルアセタート 95:5); IR (ニート) 2932, 1457, 1422, 1208, 1066 702 cm−1H NMR δ 6.48 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 6.35 (t, J = 2.1 Hz, 1H), 3.80 (s, 6H), 1.72−1.55 (m, 6H), 1.45−1.39 (m, 1H), 1.21 (s, 6H), 1.18−1.05 (m, 2H), 0.97−0.85 (m, 2H); 13C NMR δ 160.52, 153.48, 105.35, 96.64, 55.44, 49.28, 41.06, 28.18, 27.44, 26.96, 25.50; MS: (ESI, Pos.) m/z 263 ([M + H])。
【0089】
化合物15:1−(1−シクロヘプタン−1−メチル−エチル)−3,5−ジメトキシ−ベンゼン
化合物13に関しての上記と同一の手順を用いて、化合物8から化合物15を調製した。オイルとして、収量3.61g(72.3%)。R= 0.50 (ヘキサン:エチルアセタート 95:5) IR (ニート) 2934, 1455, 1422, 1206, 1067, 701 cm−1H NMR δ 6.50 (d, J = 2.5 Hz, 2H), 6.29 (t, J = 2.25 Hz, 1H), 3.80 (s, 6H), 1.73−1.69 (m, 1H), 1.65−1.50 (m, H), 1.48−1.38 (m, H), 1.37−1.28 (m, H), 1.18 (s, 6H); 13C NMR δ 160.33, 153.83, 104.94, 96.41, 55.21, 49.21, 42.03, 29.52, 28.06, 27.95, 25.19; MS: (ESI, Pos.) m/z 277 ([M + H])。
【0090】
化合物16:5−(2−ブチル−[1,3]ジチオラン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオール
三臭化ホウ素(32.9mlの1M溶液、32.9ミリモル)を、CHCl(546ml)中に化合物9(4.51g、3.23ミリモル)を溶かした溶液に、−78℃でのアルゴン下で、加えた。次に、反応温度を徐々に3時間かけて0℃まで上昇させた。0℃で、12〜14時間かもしくは反応が終了するまで攪拌を続けた。未反応の三臭化ホウ素を、メタノールを加えて除去し、溶媒を除去し、残留オイルをジエチルエーテルで希釈した。有機相を、飽和NaHCO、水および塩水で洗浄し、乾燥させ、濃縮させた。ジエチルエーテル/ヘキサン(4:6)で溶出したシリカゲルに残渣を通し、蝋質の固体として、0.675g(74.1%)の化合物16を得た。R= 0.28 (ヘキサン:エチルアセタート 8:2) H NMR δ 6.79 (d, J = 2.5 Hz, 2H), 6.23 (t, J = 2H, 1H), 5.30 (br s, 2H), 3.38−3.19 (m, 4H), 2.25 (t, J = 9.75 Hz, 2H), 1.29−1.18 (m, 4H), 0.83 (t, J = 7 Hz, 3H); 13C NMR δ 156.24, 148.45, 107.23, 101.50, 73.90, 45.50, 39.01, 29.96, 22.74, 13.86; MS: (ESI, Neg.) m/z 269 ([M − H])。
【0091】
化合物17:5−(2−シクロペンチル−[1,3]ジチオラン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオール
化合物16に関しての上記と同一の手順を用いて、化合物10から化合物17を調製した。蝋質の固体として、収量0.67g(74.1%)。R= 0.28 (ヘキサン:エチルアセタート 8:2); H NMR δ 6.89 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 6.23 (t, J = 2.1 Hz, 1H), 5.68 (br s, 2H), 3.34−3.07 (m, 4H), 2.78−2.67 (m, 1H), 1.71−1.38 (m, 8H); 13C NMR δ 156.26, 150.31, 108.13, 101.59, 79.28, 52.27, 39.02, 31.39, 25.94; MS: (ESI, Pos.) m/z 305 ([M + 23])。
【0092】
化合物18:5−(2−シクロヘキシル−[1,3]ジチオラン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオール
化合物16に関しての上記と同一の手順を用いて、化合物11から化合物18を調製した。蝋質の固体として、収量0.853g(62.2%)。R= 0.27 (ヘキサン:エチルアセタート 8:2); H NMR δ 6.78 (d, J = 0.9 Hz, 2H), 6.19 (t, J = 1.95 Hz, 1H), 4.14 (br s, 2H), 3.32−3.07 (m, 4H), 2.15−2.06 (m, 1H), 1.96−1.58 (m, 4H), 1.19−1.00 (m, 4H); 13C NMR δ 156.95, 147.94, 107.39, 101.12, 80.58, 60.83, 50.56, 38.82, 30.92, 26.77, 26.24, 21.08, 14.17; MS: (ESI, Neg.) m/z 295 ([M − H])。
【0093】
化合物19:5−(2−シクロヘプチル−[1,3]ジチオラン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジオール
化合物16に関しての上記と同一の手順を用いて、化合物12から化合物19を調製した。蝋質の固体として、収量0.582g(41.5%)。R= 0.28 (ヘキサン:エチルアセタート 8:2); H NMR δ 6.85 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 6.22 (t, J = 2.25 Hz, 1H), 5.16 (br s, 2H), 3.31−3.07 (m, 4H), 2.35−2.28 (m, 1H), 1.97−1.29 (m, 12H); 13C NMR δ 156.07, 149.33, 107.65, 101.25, 50.92, 39.00, 32.55, 27.70, 27.43; MS: (ESI, Pos.) m/z 333 ([M + 23])。
【0094】
化合物20:5−(1−シクロペンチル−1−メチル−エチル)−ベンゼン−1,3−ジオール
化合物16に関しての上記と同一の手順を用いて、化合物13から化合物20を調製した。粘性オイルとして、収量1.29g(72.9%)。R= 0.28 (ヘキサン:ジエチルエーテル 6:4); H NMR δ 6.44 (d, J = 2.1 Hz, 2H), 6.20 (t, J = 2.1 Hz, 1H), 5.70 (br s, 2H), 2.02−1.98 (m, 1H), 1.57−1.35 (m, 6H), 1.18 (s, 6H); 13C NMR δ 156.22, 154.66, 105.10, 99.83, 53.24, 50.33, 36.21, 24.99, 24.75; MS: (ESI, Neg.) m/z 219 ([M − H])。
【0095】
化合物21:5−(1−シクロヘキシル−1−メチル−エチル)−ベンゼン−1,3−ジオール
化合物16に関しての上記と同一の手順を用いて、化合物14から化合物21を調製した。粘性オイルとして、収量1.11g(61.9%)。R= 0.28 (ヘキサン:ジエチルエーテル 6:4); H NMR δ 6.38 (d, J = 2 Hz, 2H), 6.17 (t, J = 2.25 Hz, 1H), 4.82 (br s, 2H), 1.71−1.68 (m, 2H), 1.63−1.60 (m, 1H), 1.53−1.51 (m, 2H), 1.42−1.36 (m, 1H), 1.17 (s, 6H), 1.16−1.03(m, 3H), 0.94−0.86 (m, 2H); 13C NMR δ 156.32, 154.45, 106.56, 100.02, 49.21, 40.85, 28.12, 27.39, 26.91, 25.39, 14.40; MS: (ESI, Neg.) m/z 233 ([M − H])。
【0096】
化合物22:5−(1−シクロヘプチル−1−メチル−エチル)−ベンゼン−1,3−ジオール
化合物16に関しての上記と同一の手順を用いて、化合物15から化合物22を調製した。粘性オイルとして、収量0.442g(24.7%)。R= 0.26 (ヘキサン:ジエチルエーテル 6:4); H NMR δ 6.40 (d, J = 2 Hz, 2H), 6.17 (t, J = 2 Hz, 1H), 4.74 (br s, 2H), 1.68−1.50 (m, 7H), 1.48−1.39 (m, 2H), 1.35−1.25 (m, 2H), 1.15 (s, 6H), 1.14−1.08 (m, 2H); 13C NMR δ 156.15, 154.78, 106.13, 99.74, 49.22, 41.79, 29.46, 28.01, 27.88, 25.06; MS: (ESI, Neg.) m/z 247 ([M − H])。
【0097】
化合物23:3−(2−ブチル−[1,3]ジチオラン−2−イル)−6,6,9−トリメチル−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[c]クロメン−1−オール
乾燥ベンゼン(20ml)中に化合物16(650mg、2.4ミリモル)を溶かした溶液に、シス−メンタ−2−エン−1,8−ジオール(408mg、2.4ミリモル)を加え、続いてp−トルエンスルホン酸の一水和物(19mg、0.099ミリモル)を加えた。反応混合物を80℃で4時間攪拌した。反応混合物を冷却し、エーテルで希釈し、飽和NaHCO、水および塩水で洗浄した。乾燥させた後、それを濃縮させた。3%ジエチルエーテル−石油エーテルで溶出したシリカゲル(1.9cm×25cm)に残渣を通し、薄黄色の蝋質の固体として、254mg(26.3%)の化合物23を得た。R= 0.22 (石油エーテル:ジエチルエーテル 9:1) H NMR δ 6.77 (d, J = 2 Hz, 1H), 6.63 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 5.44 (d, J = 4 Hz, 1H), 4.82 (s, 1H), 3.37−3.24 (m, 4H), 3.22−3.18 (m, 1H), 2.73−2.68 (m, 1H), 2.31−2.27 (m, 2H), 2.17−2.18 (m, 1H), 1.86−1.79 (m, 3H), 1.71 (s, 3H), 1.40 (s, 3H), 1.29− 1.23 (m, 6H), 1.12 (s, 3H), 0.86−0.84 (m, 3H); 13C NMR δ 154.81, 154.65, 144.23, 134.95, 119.53, 112.11, 109.55, 106.69, 77.17, 73.98, 45.87, 44.97, 39.40, 37.11, 36.03, 31.83, 30.18, 28.09, 27.81, 23.73, 23.04, 18.80, 14.17; HRMS (FAB), m/z, C2332の計算値404.1844, 実測値404.1844。
【0098】
化合物24:ジチオラニル−シクロペンチルΔ−THCすなわち3−(2−シクロペンチル−[1,3]ジチオラン−2−イル)−6,6,9−トリメチル−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[c]クロメン−1−オール
化合物23に関しての上記と同一の手順を用いて、化合物17から化合物24を調製した。薄黄色の蝋質の固体として、収量55mg(14.6%)。R= 0.22 (石油エーテル:ジエチルエーテル 9:1) H NMR δ 6.86 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 6.70 (d, J = 2Hz, 1H), 5.43 (d, J = 4Hz, 1H), 4.76 (br s, 1H), 3.33−3.12 (m, 5H), 2.77−2.66 (m, 1H), 2.15−2.12 (m, 1H), 1.88−1.78 (m, 3H), 1.70 (s, 3H), 1.68−1.67 (m, 2H), 1.60−1.59 (m, 3H), 1.53−1.42 (m, 5H), 1.38 (s, 3H), 1.10 (s, 3H); 13C NMR δ 154.55, 154.33, 146.82, 134.95, 119.53, 111.90, 110.12, 107.31, 79.00, 52.40, 44.98, 39.12, 36.06, 31.83, 31.41, 31.34, 28.08, 27.80, 25.91, 23.71, 18.77; HRMS (FAB), m/z, C2432の計算値416.1844, 実測値416.1841。
【0099】
化合物25:ジチオラニル−シクロヘキシルΔ−THCすなわち3−(2−シクロヘキシル−[1,3]ジチオラン−2−イル)−6,6,9−トリメチル−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[c]クロメン−1−オール
化合物23に関しての上記と同一の手順を用いて、化合物18から化合物25を調製した。薄黄色の固体として、収量193mg(22.2%)。R= 0.22 (石油エーテル:ジエチルエーテル9:1) H NMR δ 6.81 (d, J = 2 Hz, 1H), 6.65 (d, J = 2 Hz, 1H), 5.44 (d, J = 5 Hz, 1H), 4.79 (br s, 1H), 3.28−3.10 (m, 5H), 2.72−2.66 (m, 1H), 2.16−2.06 (m, 2H), 1.93−1.79 (m, 5H), 1.72−1.67 (m, 1H), 1.70 (s, 3H), 1.61−1.58 (m, 1H), 1.29−1.02 (m, 6H), 1.38 (s, 3H), 1.11 (s, 3H); 13C NMR δ 154.48, 154.25, 145.36, 134.97, 119.54, 111.94, 110.44, 107.62, 80.35, 77.11, 66.14, 50.61, 44.99, 39.14, 36.07, 31.85, 31.07, 31.00, 28.10, 27.83, 26.88, 26.36, 23.74, 18.81, 15.50, 11.94; HRMS (FAB), m/z, C2534の計算値430.2000, 実測値430.2000。
【0100】
化合物26:ジチオラニル−シクロヘプチルΔ−THCすなわち3−(2−シクロヘプチル−[1,3]ジチオラン−2−イル)−6,6,9−トリメチル−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[c]クロメン−1−オール
化合物23に関しての上記と同一の手順を用いて、化合物19から化合物26を調製した。薄黄色の固体として、収量61mg(14.2%)。R= 0.22 (石油エーテル:ジエチルエーテル9:1) H NMR δ 6.82 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 6.67 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 5.426 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 4.88 (br s, 1H), 3.28−3.11 (m, 5H), 2.72−2.66 (m, 1H), 2.33−2.28 (m, 1H), 2.16−2.13 (m, 1H), 1.93−1.79 (m, 7H), 1.70 (s, 3H), 1.39 (s, 3H), 1.11 (s, 3H), 1.93−1.28 (m, 8H); 13C NMR δ 154.32, 154.18, 145.80, 134.69, 119.25, 111.59, 109.66, 106.87, 81.16, 76.85, 50.93, 44.67, 39.06, 35.78, 32.54, 32.47, 31.57, 27.78, 27.71, 27.54, 27.48, 23.46, 18.52; HRMS (FAB), m/z, C2636の計算値444.2157, 実測値444.2170。
【0101】
化合物27:gem−ジメチル−シクロペンチルΔ−THCすなわち3−(1−シクロペンチル−1−メチル−エチル)−6,6,9−トリメチル−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[c]クロメン−1−オール
化合物23に関しての上記と同一の手順を用いて、化合物20から化合物27を調製した。薄黄色の固体として、収量334mg(41.6%)。R= 0.32 (石油エーテル:ジエチルエーテル95:5); H NMR δ 6.42 (d, J = 1 Hz, 1H), 6.26 (d, J = 2 Hz, 1H), 5.43(d, J = 5 Hz, 1H), 4.66 (br s, 1H), 3.21−3.17 (m, 1H), 2.72−2.67(m, 1H), 2.16−2.13 (m, 1H), 2.06−1.99 (m, 1H), 1.94−1.76 (m, 6H), 1.70 (s, 3H), 1.39 (s, 3H), 1.22−1.13 (m, 2H), 1.11 (s, 3H), 1.18 (s, 6H); 13C NMR δ 154.8, 154.45, 150.68, 135.00, 119.58, 110.38, 108.60, 106.03, 76.90, 51.77, 45.11, 39.22, 36.25, 31.75, 28.13, 27.90, 27.86, 25.85, 25.76, 23.74, 18.76; HRMS (FAB), m/z, C2434の計算値354.2558, 実測値354.2566。
【0102】
化合物28:gem−ジメチル−シクロヘキシルΔ−THCすなわち3−(1−シクロヘキシル−1−メチル−エチル)−6,6,9−トリメチル−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[c]クロメン−1−オール
化合物23に関しての上記と同一の手順を用いて、化合物21から化合物28を調製した。薄黄色の固体として、収量298mg(37.9%)。R= 0.33 (石油エーテル:ジエチルエーテル95:5) H NMR δ 6.37 (d, J = 2 Hz 1H), 6.22 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 5.43 (d, J = 5 Hz, 1H), 4.65(br s, 1H), 3.21−3.17 (m, 1H), 2.72−2.67(m, 1H), 2.18−2.13 (m, 1H), 1.91−1.77 (m, 3H), 1.71(s, 3H), 1.67−1.67 (m, 2H), 1.61−1.50 (m, 4H), 1.39 (s, 3H), 1.41−1.36 (m, 1H), 1.16 (s, 3H), 1.15 (s, 3H), 1.10−1.03 (m, 3H), 0.92−0.75 (m, 2H); 13C NMR δ 154.32, 154.23, 150.54, 134.76, 119.34, 110.08, 108.44, 105.80, 76.66, 48.84, 44.87, 40.155, 36.03, 31.51, 27.89, 27.63, 27.18, 26.72, 25.26, 24.93, 23.50, 18.53; HRMS (FAB), m/z, C2536の計算値368.2715, 実測値368.2715。
【0103】
化合物29:gem−ジメチル−シクロヘプチルΔ−THCすなわち3−(1−シクロヘプチル−1−メチル−エチル)−6,6,9−トリメチル−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[c]クロメン−1−オール
化合物23に関しての上記と同一の手順を用いて、化合物22から化合物29を調製した。薄黄色の蝋質の固体として、収量341mg(42.9%)。R= 0.33 (石油エーテル:ジエチルエーテル95:5) H NMR δ 6.39 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 6.2 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 5.43 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 4.67 (br s, 1H), 3.21−3.17 (m, 1H), 2.72−2.67 (m, 1H), 2.16−2.10 (m, 1H), 1.91−1.79 (m, 3H), 1.70 (s, 3H), 1.67−1.51 (m, 8H), 1.47−1.41 (m, 2H), 1.38−1.26 (m, 3H), 1.14 (s, 6H), 1.11 (s, 3H), 1.12−1.07 (m, 1H); 13C NMR δ 154.40, 154.29, 151.11, 134.77, 119.35, 110.05, 109.76, 108.31, 105.67, 76.65, 49.13, 44.89, 41.36, 36.05, 31.54, 29.48, 29.45, 28.16, 28.05, 27.94, 27.90, 27.87, 27.63, 25.15, 24.93, 23.50, 22.95, 18.52; HRMS (FAB), m/z, C2638の計算値382.2872, 実測値382.2878。
【0104】
実施例2 受容体結合試験
ヒトCB1カンナビノイド受容体を導入したHEK293細胞の細胞膜、およびヒトCB2カンナビノイド受容体を導入したCHO−K1細胞の細胞膜を、受容体結合試験に用いた。Δ−THC類似体23〜29とΔ−THCの濃度を高めることによる、CB1受容体およびCB2受容体製剤からの[H]CP55,940の置換を用いて、立体配座的な偏りのプローブの結合親和性を測定した(表1参照)。hCB1受容体およびhCB2受容体についてのΔ−THCのK値は、報告値のrCB1で47.6nM、mCB2で39.3nM(親和比CB1/CB2=1.21)(ブッシュ−ピーターソン(Busch−Ptersen),J.ら、J.Med.Chem.39:3790(1996年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)と比較して、それぞれ28.5nM、25.0nM(親和比CB1/CB2=1.14)であった。LBPプローブは、Δ−THCに関連する受容体のサブタイプに対する結合親和性において、3〜143倍の増強を示した。gem−ジメチル類似体27〜29とペンチルジチオラン23は、CB1受容体とCB2受容体の両方に対し、ナノモル(nM)以下の親和性を有した。これは、極めて強力な1’,1’−ジメチルヘプチル−Δ−THC(DMHT、K=0.77nM)に匹敵する(マーチン(Martin),B.R.ら、Pharmacol.Biochem.Behav.43:295(1993年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。この種の化合物のうちで、1’,1’−ジメチルシクロペンチル(27)が、CB1受容体に対し最も高い親和性を有し(K=0.34nM)、さらに、1’,1’−ジメチルシクロヘプチル、(29)は、CB2受容体に対しより強い親和性を示した(K=0.22nM)。化合物29のみ、相対的に高い親和性にもかかわらず、受容体のサブタイプ間で適度な選択性を示した。受容体のサブタイプ間で有意な選択性(例えば、10:1を上回る等)を示した化合物は無かった。
【0105】
表1:CB1およびCB2受容体に対するΔ−THCと類似体23〜29の結合親和性
【表2】

Δ−THCおよびその類似体に対するK値を、三重反復試験を実施したn≧2の独立した実験から得た。括弧内に平均値の標準誤差を示す。
【0106】
1’,1’−ジメチルを1’,1’−ジチオラン基で置換すると、意外にも、CB1とCB2受容体に対する両方の親和性を低下させる結果となる。この系列は、合成した1’,1,−ジメチル類似体内で観察された親和性に類似せず、1’,1’−ジチオランヘプチル−Δ−THC(DTHT、K=0.32nM)(パパハットジス(Papahatjis),D.P.ら、J.Med.Chem.41:1195(1998年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)より際立って高いKを有した。この系列の化合物のうちで、炭素数が等しい25は、受容体の構造上の必要条件が立体制約に関係することを示すK値(1.86nM)を有した。1’,1’−ジチオランペンチル類似体23は、炭素数の等しい24と比較して、CB1とCB2受容体に対してそれぞれ4.7倍、11倍大きい親和性を有した。27〜29と比較して、CB1に対しての24〜26の親和性が2〜28倍低減したことを組み合わせたこれらのデータは、この系列がLBPの立体制約を定めるのに役立つことを示唆する。さらに、ジチオラン系列の立体必要条件を基準として、妥当な受容体のサブタイプの選択性は、26のCB1受容体に対するK値が1.76nM、24のCB2受容体に対するK値が2.74nMであることを考慮する場合に、観察される。両系列に関する受容体結合の研究の総体的な結果は、これらのΔ−THC類似体は、CCBに関するLBPのSARの開発に役立つであろうと示唆する。
【0107】
実施例3 NMRと分子モデリングによる研究
CB1とCB2受容体の両方のジメチル−シクロアルキル類似体の結合親和性は、1’,1’−ジメチルヘプチルTHC(DMHT、K=0.77nM)類似体のかなり高い結合親和性に匹敵する。これらの化合物の分子モデリング解析から、DMHTと環状炭素数が等しい化合物28の4.55Åと比較すると、DMHTの直線寸法は、7.72Åであることがわかる。側鎖の直線距離の差3.17Åは、LBP内に疎水性楕円体と特徴づけることができるC3置換基の存在領域があることを示唆する。これが、直鎖類似体の側鎖を収容するのと同じポケットであるかどうか明らかでない。しかしながら、楕円ポケットの潜在的な存在が、三環系に関して、環状側鎖の相対的な形状を特徴づけることを重要なものとした。この努力の一面が、1Dおよび2D高磁界NMR分光法を利用して、相対的な側鎖の幾何学的配置を推定した。さらに、分子モデリング用の距離制限を得るために、28に関する広範囲にわたるNOESY研究を実施した。
【0108】
1D、gHSQC、gHMBC、およびgCOSY実験を利用して、類似体23〜29における構成プロトンの化学シフトを最初に特定した。これらの特定に基づいて、プロトンの相対的な空間配向を2D NOESY実験を介して、検定した。全ての誘導体において、三環系プロトンを相互に連結するNOEのネットワークを観察した。27〜29に関するNOESY実験は、芳香環のH2およびH4プロトンとジメチルおよびシクロアルキルメチンプロトン間の強いNOEを示す(図1)。さらに、シクロアルキルのメチンに対してα位のメチレンは、芳香族プロトンに対して中間的なNOEを示す。ジチオランメチレンのそれぞれに対して2つの弱いNOEの顕著な付加を示すジチオランのプローブ24〜26に関しても、同様のパターンが観察される。ジチオランメチレンにこれらのNOEが存在することと、これらのプロトンのため観察される3.07〜3.33ppm間の多重線(つまり、ジアステレオトピックプロトン)(図2)とから、環柔軟性が制限され、上記のプロトンが芳香族の遮蔽/脱遮蔽円錐形の独特な領域に存在することがわかる。LBPプローブのため観察されたNOEパターンおよび強度は、C3側鎖の立体配座的な偏りを示唆する。
【0109】
数理モデルを組み合わせたNOE強度の定性解析から、シクロアルキル官能基は、溶解状態で芳香環から離れて延びて、環に折り重ならないこと(つまり、H4’−H6’とH2/H4プロトン間のNOEのはっきりした欠如)がわかる(図1)。相対的な環の配向をさらに正確に検定するために、100ミリ秒間隔で300〜700ミリ秒の混合時間を用いてのNOESY実験を28で実施した。この類似体は、DMHTと炭素数が同じなので、この類似体を研究のために選択した。スペクトルは、シクロヘキシルからH2およびH4プロトンに現れる8つのシグナルの部分母集団を伴うはっきりと分割した41のNOEを示した。これらの重なりのない積分は、TRIPOS TRIADソフトウェアと、次に、結果として26距離制限のウエブとなるMARDIGRASを用いる制限の生成とを利用して、ピークを明白に特定した(図3)(SYBYL、バージョン6.8、ミズリー州セントルイスのトライポス社(Tripos,Inc.St.Louis,MO)(2001年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。これらの制限を利用して、モデルを、限定した分子動力学の1nsに組み込み、実験によるNMRデータと関連してねじれ配座異性体の母集団を決めた。その結果として得た立体配座は、おそらく、C3−C1’−C2’−C3’(τ)結合に対して、41〜319度のねじれ角度間の変換によって、シクロヘキサンメチンと芳香族プロトンの1つとの間に単一の制限解除を示し、シミュレートしたアニーリング研究において観察された2つのねじれ母集団を表す(図4)。グリッドサーチを用いて複数のねじれを生じさせても(multiple torsional driving)、これらの幾何学的配置を予測することはできなかった。幾何学的配置により、電子効果が、NMR研究において観察される立体配座をもたらすことがわかる。従って、量子力学的計算を採用して、構造的偏りを動かす電子効果を考察する。
【0110】
実施例4 量子力学的計算
gem−ジメチルが、立体配座的に偏った側鎖と芳香環との間の相互作用を最大にする配座異性体を受け入れるだろうとする仮定は、妥当であるようだ。しかしながら、NMRによって予測されるシクロヘキシル類似体28の立体配座と分子動力学は、分子の力学的計算(つまり静電場解析および立体解析)を基準として説明できなかった。この問題点に取り組むために、半経験的および密度汎関数理論(DFT)計算を採用し、取りうる可能な配座異性体を決定的に評価し、実験結果における電子寄与の重大さを確定した。
【0111】
GAMESS計算化学パッケージにより、AM1とPM3の両方を半経験的パラメーター化して、幾何学的配置の最適化を実施した(シュミト(Schmidt)、M.W.ら、J.Comput.Chem.14:1347(1993年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。最適化した立体配座で、ヘッシアンを計算して、停止点を確認した。これらの最適化構造を用い、全ての他の幾何学的パラメーターを一定とし、C2−C3−C1’−C2’(τ)およびC3−C1’−C2’−C3’(τ)結合の周りでの回転の関数とし、AM1とPM3の両方を使用して、ポテンシャルエネルギー表面(PES)を計算した。両方の半経験的ポテンシャルエネルギー表面は、τおよびτ結合(図5)に関して相対的に自由な回転が存在することを示す。PM3表面上のさらに顕著な「稜線(ridges)」は、PM3パラメーター化で生成される、AM1と比べて、より拡散した電子密度から生じる。PESの4本の大きなピークは、シクロヘキシル基上のメチレン水素とTHC部のC2水素との近似衝突の結果である。これらのうち最も激しい衝突は、1.03Å離れた2個の水素原子から生じる。
【0112】
類似体28の極小を表すPESに6つの領域があり、それは、A(141,56)、B(259,301)、C(270,180)、D(323,56)、E(40,305)、およびF(108,190)として、(θτ1,φτ2)による順序対の角度により、明示できる。PM3レベルでの幾何学的配置の最適化を実施し、上記の各点に最も近い極小値を決定し、次に、B3LYP汎関数と6−31G(p,d)基底を用いて、DFTエネルギーを計算した。さらに、τ結合に関して180゜回転により得られる対応する配座異性体(A’,B’等と称する)を同じ方法で同定した。τ二面角に対する値の範囲は、力学では41〜319の範囲を予測するが、量子力学的計算では56〜305度である。B3LYP/6−31G(p,d)レベル(ヒーリー(Hehre),W.J.ら、J.Chem.Phys.2257:56(1972年);ハリハラン(Hariharan),P.C.ら、Theoret.Chimica Acta 28:213(1973年)、それらは、参照されそれらの完全な形で本明細書に組み込まれている)での、6つの最低エネルギー立体配座の相対エネルギーを、下の表2に示す。但し、上記の構造間での最大のエネルギー差が、僅か0.6kcal/モル(およそ8.8ミリハートリー)であることから、全ての配座異性体が、熱の影響を受けやすいことがわかる。分子モデリング結果と量子力学的結果の間に観察された偏差は、2つの方法間に一致を認めるに十分に小さく、つまり10%以内である。
【0113】
表2:gem−ジメチル類似体のポテンシャルエネルギー表面上の6つの最低エネルギー間の相対エネルギー差(kcal/モル)(ハフマン(Huffman)ら、J.Med Chem.39:3875(1996年))
【表3】

括弧内の数字は、角度(θτ1,φτ2)の順序対
【0114】
しかしながら、NMRデータは、溶媒相に好適な立体配座があることを示し、電子寄与が重要であると示唆する。図6Bは、gem−ジメチル類似体28のHOMO軌道図(B3LYP/6−31G(p,d)計算から)を示す。この立体配座に、C3’炭素原子に結合する水素原子と関係する軌道ローブが存在する。このローブの形状は、反結合性シグマ軌道を示唆し、水素原子と芳香環の電子密度間の反発相互作用を示す。芳香環に関係する軌道ローブの形状の評価により、この水素相互作用に関連する変形がわかる。図6Aは、前述の如くτ角に関して180度回転し、そして続いて再最適化した後の同一化合物のHOMO軌道図を示す。この場合に、本発明者らは、芳香環とそれに最も近い水素原子の間に上記のような2つの反発があり、それが、0.28kcal/モルのエネルギーの増加を起こすと気づく。このエネルギーは小さいが、溶媒相に好適な立体配座を生じるのに十分であるだろう。B3LYP汎関数の特性および6−31G(p,d)基底での拡散関数の存在のため、この特徴を観察できる。実験結果と比較して、本発明者らは、NMRスペクトルにおける偏りは、芳香環とシクロヘキシル基の末端水素間の電子相互作用の結果であり、このような反発の数を最小限に抑える立体配座が好ましいと推測することができる。
【0115】
実施例1〜4の考察
新規のΔ−THC類似体の設計と合成は、CB1およびCB2受容体の側鎖LBPポケットのプローブを見込んだ。公知の高親和性リガンドと同一の炭素数を有するが、縮小した直線寸法を有するシクロアルキル側鎖から、側鎖ポケットの幾何学的配置を洞察しうると仮定した。この目的のために、7種の新規なΔ−THC類似体を合成し、ヒトのCB1およびCB2受容体に対する結合親和性を試験した。ジメチルシクロアルキル類似体27〜29は、優れた効力のあるCB1類似体(例、DHMT(0.77nM)、1’,2’−ジメチルヘプチル(0.46〜0.84nM)等)に匹敵するK値(0.34〜0.94nM)を有した。対照的に、1’,1’−ジチオラン環のシクロアルキル類似体への導入は、ジメチル系列と比較して、受容体結合を低減させた。注目すべき例外は、23であり、CB1およびCB2受容体との結合において各々33倍と47倍の増加が、Δ−THCに対して観察される。異種系列からおよび異種の受容体製剤から得られる受容体結合データを比較する際に注意する必要がある。しかしながら、我々のアッセイで判明したrCB1に対するhCB1の親和性の比は、1.67であり、一方、mCB2に対するhCB2の親和性の比は、1.57であった。この比を因子として含めると、本化合物は、依然として、他の公知の高親和性のCBリガンドに匹敵している。
【0116】
CB1親和性において最も著しい違いは、シクロペンチルおよびペンチル化合物23、24、および27において生じる。興味深いことに、24が、11〜28倍のCB1親和性の低下を有するのに反して、23と27は、CB1受容体に対して高親和性を有する。24に関してK値が増加した物理的根拠は、シクロペンチル基を受容体と最適反応させないジチオラン環のために、τの制約された回転に原因を求めることができる。τとτに関しての回転に対するこの制限は、NMRに基づいては予測されず、28に関する量子力学的計算から、27は受容体の相互作用を最大にする幾何学的配置を取り入れることが可能であることがわかる。特に、τに関する立体配座の柔軟性にもかかわらず、シクロヘキシル基の立体的な大きさは、τに関しての自由回転を妨げる。類似体23は、環状類似体に関連した立体制約によって、制限されず、それ自体は、受容体の有利な立体配座を取り入れる。CB1受容体に対する24〜26の親和性と対照的に、ジチオラン環は、CB2受容体により同様に容認されるようではなく、つまり24および26に対する親和性を7倍および33倍低下させる。このCB1親和性に関するデータと組み合わせると上記は、受容体サブタイプ間のLBP側鎖の必要条件が、立体的な大きさに影響を受けやすいことを示唆する。
【0117】
シクロアルキル側鎖が、直鎖−Δ−THC類似体(例えば、DMHT)に相当する親和性でCB1受容体とCB2受容体の両方に結合するとする上記研究の結論は、群を抜いて重要である。環状側鎖類似体の最大直線寸法の解析は、DMHTに対して7.72Åであるのと比較して、27に対しての3.90Åから29に対しての4.99Åの範囲である。受容体結合データと組み合わせたこれらの距離から、楕円面の疎水性ポケットの存在が示されるが、その距離からは、該ポケットが、直線状の側鎖類似体によって占有されたポケットを表すかどうか不明である。三環系に関係して、溶液中のC3側鎖の配向は、NMRと量子力学的計算を基準として、芳香環の平面から124度と推定する。これらの研究結果から、Δ−THC類似体の溶液中での立体配座が、洞察され、それが、上記のCBリガンドのLBP空間制限に反映される。リガンドが、溶液または結晶構造と異なる立体配座において受容体に結合するので、LBP内のC3側鎖の配位を決定的に定義することは不可能である。さらに、多くの高親和性リガンドは、機能アッセイにおいて低い有効性を示すので、類似体の親和性が、リガンド有効性と相関することは不可能である(グリフィン(Griffin),G.ら、Br.J.Pharmacol.132:525−35(2001年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。上記系列の化合物に関する機能アッセイにより、結局CB受容体のLBDおよび上記の類似体の特性の構造上の必要条件を高めることが可能になるだろう。
【0118】
ジチオラン誘導体24および26は、低減された親和性を有するが、類似体27〜29は、CB1およびCB2受容体に対して、公知の高親和性CCBリガンドに相当する親和性を有する。受容体結合のデータから、上記系列の化合物に関する側鎖の結合ポケットが、疎水性楕円面として特徴付けられることが示される。関数の強度は、結合親和性と相関させる必要はないが、K値は、受容体構造の一部を指示し、より高い親和性の類似体を生成するCCB構造に関して改良を提供する。CCBに関するSAR研究と組み合わせた、上記の化合物の機能活性の定量により、このクラスのCB受容体類似体の開発を洞察できるようになるのが望ましい。さらに、前述の研究より、楕円面ポケットが直線状の側鎖CB類似体により占有されるのと同じポケットであるか否かを明らかにされうる。
【0119】
実施例5 1’−フェニル官能基を含有するΔ−THC類似体の合成
古典的カンナビノイドの側鎖は、3,5−ジメトキシベンゾニトリルと適切なグリニャール試薬とを反応させ、中間生成物のイミン塩をケトンに酸加水分解して、作られることが多い(シンガー(Singer)ら、J.Med.Chem.41:4400(1998年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。図8A〜Bに示す通り、アルキルグリニャール試薬と比較して芳香族グリニャール試薬の低減された反応性のため、出発物質として、3,5−ジメトキシベンズアルデヒドを選択し、これと臭化マグネシウムフェニルを反応させ、対応するアルコール(37)を得た(フレネッテ(Frenette)ら、J.Org.Chem.56:3083(1991年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。PCCを用いるアルコールの酸化により、主要な中間生成物ケトン(38)を得た(フレネッテ(Frenette)ら、J.Org.Chem.56:3083(1991年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。三フッ化ホウ素の存在下で、ケトンをエタンジチオールと反応させて、ジチオラン基をC1’位(40)に導入した(パパハットジス(Papahatjis)ら、J.Med.Chem.41:1195(1998年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。ケトン中間生成物をさらにジメチル亜鉛および四塩化チタンと反応させて、C1’位(39)にジメチル置換基を形成した(シンガー(Singer)ら、J.Med.Chem.41:4400(1998年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。中間生成物(40)をラネーニッケルで脱硫して、メチレン中間生成物(41)を得た(ソンドヘイマー(Sondheimer)ら、Tetrahedron.Lett.80:3995(1958年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。1−置換3,5−ジメトキシ中間生成物(39〜41)を三臭化ホウ素で脱保護して、対応するレソルシノール(42〜44)を得た(シンガー(Singer)ら、J.Med.Chem. 41:4400(1998年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。次に、p−トルエンスルホン酸の存在下で、それらを(+)−Δ−カランから調製したシス−Δ−p−メンテン−1,8−ジオールと反応させて、これらのレソルシノール(42〜44)からΔ−THC類似体(33〜35)を得た(プラサード(Prasad)ら、Tetrahedron 32:1437(1976年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。類似体(34)を硝酸銀で脱保護して、C1’位(37)にケトン官能基を有するΔ−THC類似体を得た(リース(Reece)ら、Tetrahedron,24:4249(1968年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。
【0120】
化合物33:gem−ジメチル−フェニル−Δ−THC
= 0.42 (塩化メチレン: ヘキサン 50:50), R = 0.6 (エチルアセタート:石油エーテル10:90), H NMR (CDCl) δ 7.14 ppm (m, 5H), 6.36 ppm (d, J = 1.8 Hz, 1H), 5.91 ppm (d, J = 2.1 Hz, 1H), 5.35 ppm (d, J = 6 Hz, 1H), 4.44 ppm (s, 1H), 3.1 ppm (m, 1H), 2.61 ppm (m, 1H), 2.05 ppm (m, 1H), 1.75 ppm (m, 3H), 1.62 ppm (s, 3H), 1.54 ppm (m, 6H), 1.31 ppm (s, 3H), 1.04 ppm (s, 3H); MS: (ESI, Neg), m/z 361 ([M−1]). HRMS (FAB), m/z C2530の計算値362.2246, 実測値362.2239。
【0121】
化合物34:ジチオラニル−フェニル−Δ−THC
= 0.22 (塩化メチレン: ヘキサン 50:50), R = 0.58 (エチルアセタート:石油エーテル20:80), H NMR (CDCl) δ 7.54 ppm (m, 2H), 7.18 ppm (m, 3H), 6.65 ppm (d, J = 2.1 Hz, 1H), 6.39 ppm (d, J = 2.1 Hz, 1H), 5.35 ppm (d, J = 4.2 Hz, 1H), 4.61 ppm (s, 1H), 3.32 ppm (m, 4H), 3.1 ppm (m, 1H), 2.62 ppm (m, 1H), 2.06 ppm (m, 1H), 1.76 ppm (m, 3H), 1.62 ppm (s, 3H), 1.29 ppm (s, 3H), 1.03 ppm (s, 3H); MS: (ESI, Neg), m/z 423 ([M−1]). HRMS (FAB), m/z C2528の計算値 424.1531, 実測値424.1533。
【0122】
化合物35:メチレン−フェニル−Δ−THC
= 0.34 (塩化メチレン: ヘキサン 50:50), R = 0.42 (エチルアセタート:石油エーテル10:90), H NMR (CDCl) δ 7.22 ppm (m, 3H), 7.13 ppm (m, 2H), 6.22 ppm (m, 1H), 5.98 ppm (m, 1H), 5.35 ppm (d, J = 6 Hz, 1H), 4.52 ppm (s, 1H), 3.74 ppm (s, 2H), 3.1 ppm (m, 1H), 2.62 ppm (m, 1H), 2.07 ppm (m, 1H), 1.75 ppm (m, 3H), 1.62 ppm (s, 3H), 1.29 ppm (s, 3H), 1.03 ppm (s, 3H); MS: (ESI, Neg), m/z 333 ([M−1]). HRMS (FAB), m/z C2326の計算値334.1933, 実測値334.1928。
【0123】
化合物36:メタノン−フェニル−Δ−THC
= 0.2 (塩化メチレン: ヘキサン 60:40), R = 0.47 (エチルアセタート:石油エーテル20:80), H NMR (CDCl) δ 7.82 ppm (m, 2H), 7.58 ppm (m, 1H), 7.48 ppm (m, 2H), 6.92 ppm (d, J = 1.8 Hz, 1H), 6.83 ppm (d, J = 1.5 Hz, 1H), 5.48 ppm (m, 2H), 3.34 ppm (m, 1H), 2.81 ppm (m, 1H), 2.18 ppm (m, 1H), 1.88 ppm (m, 3H), 1.74 ppm (s, 3H), 1.41 ppm (s, 3H), 1.12 ppm (s, 3H); MS: (ESI, Neg), m/z 347 ([M−1]). HRMS (FAB), m/z C2324の計算値348.1725,実測値348.1717。
【0124】
HEK293 EBNA細胞にヒト受容体を導入した膜調製物を用いて、フェニル側鎖を有するこれらの新規なΔ−THC類似体のCB1およびCB2結合親和性を測定した。競合放射性リガンド(competing radioactive ligand)としてトリチウム化したCP55,940を用いて、受容体結合試験を実施し、非特異的結合を決定するために10μmWIN 55212−2を使用した(ナディプラム(Nadipuram)ら、Bioorg.Med.Chem.11:3121(2003年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。
【0125】
これらの新規な類似体のCB2結合親和性は、0.9〜86nmの範囲であり、一方CB1結合親和性は、12〜297nMの範囲であった(下記の表3)。興味深いことに、これらの化合物は、リード化合物(32)と比べた場合、かなり異なる結合の特性を示した。ジメチル類似体(33)は、CB2受容体に対して13倍の選択性で、CB1受容体とCB2受容体との両方に良好な結合親和性を示した。この選択性は、両方のサブタイプをほぼ等しい親和性で結合させるリード化合物(32)と対照的である。ケトン類似体(36)は、Δ−THCと比較すると、CB2受容体に対して同様の結合親和性を示すが、CB1受容体に対する結合親和性は、ほぼ10倍低下する。ジチオラン類似体(34)は、サブタイプの選択性を示さないが、1’−シクロヘキシル同族体(CB1 K=1.86nM、CB2 K=1.05nM)と比較して、10倍の親和性の低下があった(ナディプラム(Nadipuram)ら、Bioorg.Med.Chem.11:3121(2003年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。メチレン類似体(5)は、Δ−THCと比較すると、両方のサブタイプに対して、かなり低減された結合親和性を示した。
【0126】
表3 CB1およびCB2受容体に対する化合物33〜36の親和性(K
【表4】

Δ−THCおよびその類似体に対するK値を3つの独立した実験から得た。各実験は二度繰り返して実施され、3つの値の平均として値を示し、平均値の標準誤差を括弧内に示す
【0127】
1’−フェニル置換Δ−THC類似体の結合親和性は、CB1およびCB2受容体の結合ポケットの官能基の必要条件を洞察できる幾分新しい力を提供する。非常に価値のある構造上の情報を、CB2受容体に妥当な選択性を示す本発明者らのジメチルおよびケトン類似体から少しずつ収集することができる。シクロヘキシルΔ−THC類似体に関する本発明者らの以前のデータ(ナディプラム(Nadipuram)ら、Bioorg.Med.Chem.11:3121(2003年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)と組み合わせた上記のデータにより、CB2受容体のサブサイトの結合ポケットは、CB1受容体と比較すると、シクロアルキル側鎖と、固定された芳香族側鎖の両方とも許容できることがわかる。33および36の選択性は、ハフマン(Huffman)らにより公表された短鎖C3類似体の数種もかなりのCB2選択性を示す(ハフマン(Huffman)ら、Bioorg.Med.Chem.10:4119(2002年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)ことを検討する場合、興味深い。該短鎖類似体が、本発明者らの1−ヒドロキシ類似体と比べて、主に1−デオキシおよび1−メトキシ化合物であることを考慮すると、2つの構造型の比較は難しい。それにもかかわらず、本発明者らの1−ヒドロキシ化合物の妥当な選択性は、フェニル側鎖と芳香族アミノ酸間の良好な相互作用の存在がCB2受容体の結合ポケットにありうることを示唆する場合がある。全てを直接比較することは難しいが、芳香族残基は、CB1受容体のLBPに存在すると提案されている(パパハットジス(Papahatjis)ら、J.Med.Chem.41:1195(1998年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。対照的に、シクロヘキシル(ナディプラム(Nadipuram)ら、Bioorg.Med.Chem.11:3121(2003年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)および直鎖誘導体(パパハットジス(Papahatjis)ら、J.Med.Chem.41:1195(1998年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)と比較して、これらの化合物により示される低減されたCB1結合親和性は、リガンド−受容体の相互作用を最大にする立体配座を取り入れることは不可能であると示唆している。極性のC1’ケト基の存在は、パパハットジス(Papahatjis)と同僚により以前に提案されたようにCB1親和性(パパハットジス(Papahatjis)ら、J.Med.Chem.41:1195(1998年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)を減少させる場合もある。置換C1’フェニル基を利用したさらなる研究より、このクラスのΔ−THC類似体のSARを洞察するさらなる力が提供されるのが望ましい。これらの研究を機能アッセイと組み合わせることが、CB1およびCB2受容体のLBPの構造上の必要条件における違いについてのさらに良好な理解に役立つのが望ましく、そしてさらに多くの選択性化合物を開発する一助となりうる。
【0128】
実施例6 1’−フェニルΔ−THC類似体のNMR解析と電子構造解析
8つのプロセッサーと4GBの総メモリーを備えるシリコン・グラフィックス・オリジン(Silicon Graphics Origin)2000上でGAMESS(シュミト(Schmidt),M.W.ら、J.Comput.Chem.14:1347(1993年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)の計算化学パッケージを用いて、全ての計算を実施した。初期の幾何学的立体配置の最適化を、PM3半経験的ハミルトニアンと続いて数値ヘッシアンを用いて実施して、各構造が極小であることを立証した。次に、結果としての構造をポテンシャルエネルギー表面の計算の基準点とした。
【0129】
C3−C1’結合の周りのねじれと、C1’とその結合に関しての前面のフェニル基の回転とを表すように、2つの二面角の角を選んだ。以下、これらの2つの角を各々τおよびτと表す。PM3理論レベルで、各ねじれ角度0〜360度について10度インクリメントで、ポテンシャルエネルギー表面(PES)計算を実施した。全ての他の幾何学的パラメーターを初期のPM3幾何学的最適化から得た値に固定した。最適化構造は、PDB(タンパク質データバンク)ファイルの形式において補足的情報として入手可能である。2つのねじれ角度を、下記の通り、対応するPDBファイル中の一組の4個の原子に基づいて決定する。化合物34(ジチオラニル−フェニル−Δ−THC)(τ:6,1,19,40 τ:40,19,41,49);化合物33(gem−ジメチル−フェニル−Δ−THC)(τ:2,1,19,20 τ:20,19,41,42);化合物35(メチレン−フェニル−Δ−THC)(τ:2,1,19,20 τ:20,19,41,42);化合物36(メタノン−フェニル−Δ−THC)(τ:2,1,19,39 τ:39,19,40,41)。結果として得られたエネルギーを、最低エネルギー構造に関して標準化し、結果として得られたポテンシャルエネルギー表面を、顕著な特質を強調するように対数目盛を用いて図10〜13にプロットする。暗い色は、低エネルギーの領域を表し、明るい色は、高エネルギーの領域を表す。
【0130】
各PES上で極小値を特定し、PM3ハミルトニアンを用いて幾何学的最適化を施した。数値ヘッシアン計算により極小と確認できないこのセットからの構造を、続いての計算で、破棄した。
【0131】
B3LYP/6−31G(p,d)を用いる密度汎関数理論計算(リー(Lee)ら、物理総説(Physical Review)B,37:785(1988年);ヒーリー(Hehre)ら、J.Chem.Phys.56:2257(1972年);ハリハラン(Hariharan)ら、Theoret.Chimica Acta、28:213(1973年)、それらは、参照されそれらの完全な形で本明細書に組み込まれている)を、特定した各極小値で実施した。メンフィス大学(University of Memphis)で修正されたMOLDEN(シャフトナー(Schaftenaar)ら、J.Comput.−Aided Mol.Design、14:123(2000年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)の1つのバージョンを用いるDFT結果から、分子軌道表面を生成した。
【0132】
5−mmのHCN3重共鳴プローブを用いるVarian Inova−500分光計上で、23℃、500MHzで、全てのスペクトルを取得した。プロトンと炭素の両方の化学シフトは、CDClの残留溶媒ピーク(プロトン:7.24ppm、炭素:77ppm)を基準とした。2次元NOESY測定に関して、合計1024フィッド(fids)を間接的な次元に対して、2秒の繰り返し遅延、500ms混合時間で、記録した。Sybyl(SYBYL、バージョン6.8、ミズリー州セントルイスのトライポス社(Tripos,Inc.St.Louis,MO)(2001年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)ソフトウェア内のTRIAD NMRパッケージをデータ処理と解析のために使用した。NOESYスペクトルのピークを特定し、TRIAD標準関数を用いて積分した。次に、これらのピーク積分を用いて距離制限を作り出すために、MARDIGRASを使用した。次に、結果の制限を検定し、距離における誤差が、NOE制限に対する正規誤差に一致することを裏付けた。x<2.5Åは、±0.1Åであり、x≦3.0Åは、±0.2Åであり、x≦3.5Åは、±0.3Åであり、およびx≧3.5は、±0.4Åであった。
【0133】
MARDIGRASにより生じた制限を用いる、10サイクルのシミュレートしたアニーリングを、実施例5のフェニル化合物(例えば、化合物33、34、35、および36)の各々に実施した。1000Kまで1ピコセカンド間、加熱して、次に、200Kまで急激に冷却した後、5ピコセカンド間、平衡させた。シミュレートしたアニーリングを実行する全ての工程中に、実験から得られたNOE距離制限を利用した。次に、実験から得たNOE距離制限を用いず、0.005kcal・mol−1・Å−1の許容勾配で、唯一の回転異性体のこれらの平均した立体配座を最小にして、最終の平均立体配座を得た。さらなるパラメーターとして、MMFF94電荷を有するトリポス力場(Tripos force filed)、8Å非結合遮断、および距離依存性の誘電率関数が含まれる。
【0134】
各フェニル誘導体は、かなりの配座柔軟性を示した。その結果、非常に多数の極小値をもたらした。表4(下記)は、識別された極小値の完全なセットと、kcal/モルでの上記構造の相対的DFTエネルギーと、さらに各極小値に対するHOMO−LUMOエネルギーギャップを示す。HOMO−4からLUMO+4に及ぶ最低エネルギー立体配座に対する軌道エネルギーを下の表5に示す。最低エネルギーの極小値と表6に示す結果から得るNMRの比較から、上記分子の最も可能性のある立体配座を真に理解するには、さらに高度な手法が必要であることがはっきりと示される。
【0135】
表4:各カンナビノイド誘導体の極小値。個々の極小値は、2つのねじれ角度、τとτ(各々C3−C1’とC1’−C2’結合に関しての回転を示す)により、特定される。
【表5−1】

【表5−2】

【0136】
表5:最低エネルギーの極小値に対する軌道エネルギー(eV)。gem−ジメチル−シクロヘキシル−Δ−THCおよびジチオラン−シクロヘキシル−Δ−THCの結果を、比較のため記載する。
【表6】

【0137】
表6:理論上の構造パラメーターとNMR観測した構造との比較
【表7】

【0138】
各誘導体に対して可能性のある極小値の数を示すことにより、本発明者らは、第一に、全ポテンシャルエネルギー表面がこれらの分子に利用可能かどうかを決定した。第一次近似においてこの論点を検討するために、ポテンシャルエネルギー表面上に最低エネルギー構造を取り、τ(図9)に関して分子前面を回転させることにより、各分子の回転エネルギー障壁をプロットした。化合物34(ジチオラン誘導体)と化合物36(メタノン誘導体)は、かなり大きい回転エネルギー障壁を有するのに反して、化合物33(gem−ジメチル誘導体)と化合物35(メチレン誘導体)は、各々3kcal/モル未満の回転エネルギー障壁を有する。これにより、化合物33と化合物35は、全ポテンシャルエネルギー表面を利用できるが、化合物34と化合物36は、ポテンシャルエネルギー表面上で特定の穴に制限されうることがわかる。
【0139】
図10〜13を検討すると、ポテンシャルエネルギー表面の興味深い特質が、明らかになる。化合物34と化合物36の回転に対する大きな障壁を除いて、化合物36のτに関しての回転に関連するエネルギーは、ほんの少し存在し、化合物34に関するエネルギーは、それより僅かに多いだけである。このことから、ポテンシャルエネルギー表面上の特定の穴内で、これらの2個の分子が、かなりの配座自由を有することがわかる。化合物36の場合において、カルボニル基と環Aとの間のπ共役結合を考慮することにより、上記のことを説明できる。軌道の重なりが再生成されるまで、C3−C1’結合に関して、分子の最前部が自由に回転するのに必要な軌道の重なりが破壊されるので、共役力が回転に対して大きな障害を作る。化合物34の場合において、この相互作用を説明する共役は存在しない。事実、ジチオラン誘導体の合成の理論的根拠は、前面部の回転を束縛するのに十分な立体的な大きさを提供することであった。ポテンシャル穴内の回転の自由は、カンナビノイドの電子構造への硫黄原子の影響により、説明できる。ジチオラン誘導体(図14)に関するHOMOを検分すると、この軌道と関連する電子密度が、カンナビノイド主鎖の環Aに中心を置くことがわかる。しかしながら、この分子に関するLUMO(図15)は、置換フェニル環とジチオラン結合の硫黄原子を含むよう電子密度をシフトする。該硫黄原子は、ポテンシャル穴内にかなり大きな振動を与えるフェニル環間の「電子橋」のように作用する。
【0140】
これは、これらの分子の配座自由をいくらか洞察することができるが、依然としてNMR実験の十分な説明をしていない。適切な解釈をするために、各々分子に対して利用可能な全ての立体配座を考慮する必要がある。各極小値のヘッシアンを計算する際に、298.15Kでの総ギブズ自由エネルギーを決定した。これらのエネルギーを用いて、可能性のある構造に関してマクスウェル−ボルツマンの平均を適用して、これらの各分子に対する「平均構造」を得ることができる。下表に示される結果と共に4つの方法において上記マクスウェル−ボルツマン解析を適用した。最初の列は、ポテンシャルエネルギー表面における完全な配座自由を仮定したマクスウェル−ボルツマン平均を表す。この解析のために、ポテンシャルエネルギー表面における0.59kcal/モルの最低エネルギーの立体配座内の全ての構造を考慮した。第二列は、τに関しての自由回転から得られ、最低エネルギー構造と確定したポテンシャルエネルギー穴の限界に、τを制限した全ての構造を表す。同様に、第三列は、τに関しての自由状態を表し、同じ方法で、τを制限する。最後の列は、分子が、ポテンシャルエネルギー表面に他のいかなる穴も探らないと仮定して、特定のポテンシャルエネルギー穴内に特定された全極小値の平均を表す。
【0141】
表7:平均した側鎖の幾何学的配置のための構造上のパラメーター
【表8】

【0142】
表6および表7を検討すると、NMRデータを解釈する手段が提供される。ポテンシャルエネルギー表面に完全な配座自由を有すると理論上予測される化合物33および化合物35を考慮すると、確かに、低エネルギー構造だけを取ることにより予測される平均構造が、実験構造とかなり一致することがわかる。このことは、表6に示すように、最低エネルギー構造を単に取ることに基づいた予測と全く対照的である。同様に、単一のポテンシャル穴内で化合物36を平均するマクスウェル−ボルツマンから得られた結果を検討すると、実験結果とかなり一致することがわかる。化合物34の取り扱いにおいて、唯一の不一致が生じる。この場合における単一ポテンシャル穴に解析を限定すると、153.7度のτ角度を予測するが、NMR実験から、325.1度の角度が実測される。ジチオラン閉環は、2つの段階のプロセスであるので、利用可能な各ポテンシャルエネルギー穴から生成物が生じ、計算で予測される高回転のエネルギー障壁により依然として配座的に制限されると、考えられる。硫黄原子の作用は、個々の穴内でかなりの回転の自由を提供し、完全な配座自由が推定される場合と同じにNMR実験において現れる配座異性体の分布を作り出す。ゆえに、化合物33および化合物35でのように、最低エネルギー構造のみを取ると、NMR実験とかなり一致する。マクスウェル−ボルツマン分配関数を用いて、全ポテンシャルエネルギー表面を積分すると、τおよびτに対する予測値と実験値とのずれをさらに見抜けるようになるだろう。しかしながら、この積分をするには、全ての点でヘッシアンおよび熱力学エネルギーを計算する必要がある。
【0143】
上記のカンナビノイド誘導体の興味深い特徴の1つは、それらの電子構造である。フェニル環の側鎖への付加は、シクロヘキシル誘導体の独自なHOMOエネルギーとLUMOエネルギー間のエネルギーを備えるいくつかの新規の軌道を導入することに、本発明者らは注目する(図7参照)。化合物34とgem−ジメチル−シクロヘキシル−Δ−THC、および化合物33とジチオラニル−シクロヘキシル−Δ−THCを比較すると、フロンティア軌道の軌道エネルギーは、「圧縮され」、僅かなHOMO−LUMOギャップを提供し、同じエネルギー領域内に追加の状態を加えることがわかる。化合物35と化合物36に類似の軌道構造が存在することがわかり、化合物36の追加のπ共役が、LUMOエネルギーを結合軌道になるまで下げることに本発明者らは注目する。空軌道のエネルギーを過大評価するDFTの傾向を考慮する場合に、この結果は、さらに興味深くさえなる。
【0144】
各カンナビノイドの最低エネルギー構造に対するB3LYP/6−31G(p,d)理論レベルでのHOMOおよびLUMOの軌道図を、図14〜21に示す。フェニル誘導体の各々に対して、現研究において、LUMOは、環Aと前面のフェニル環の電子密度に直接重なりを持つ非古典的なπ系を提供することがわかる。LUMOエネルギーが結合している化合物34と化合物36の場合において、これは、2つの環構造間の電子伝達に関するメカニズムを提供する。化合物33および化合物35におけるLUMOに対して低エネルギー(各々0.2eVより低い)を付与するならば、同じメカニズムが、これらの分子にも同様に有効であると思われる。このようなπ系の存在は、典型的なnからπへの遷移が存在しない場合において、電子伝達を介する分子蛍光のメカニズムが存在することを示唆する。さらに、これらの新規な化合物の蛍光に関する調査が計画されているので、他の箇所で、報告されるだろう。
【0145】
結論
NMR実験において実測された構造は、溶液中での構造の時間平均を表すと本発明者らは確信している。PES上の穴の浅い特徴のため、τおよびτに関しての「ロッキング」モードは、試験観察に対して信頼できると確信する理由が存在する。これは、このクラスの化合物の実測したNMR構造に対する最も良好な我々の知識、最初の理論的な正当化を表す重要な観察である。さらに、主にPESの最低エネルギー構造に集中させる伝統的な研究方法は、NMR実測値を適切に解釈するのに不十分であるとわかる。
【0146】
新規なフェニル置換の古典的カンナビノイドの電子構造に関するこの新しい理解は、このクラスのカンナビノイドを超える含意を有することを本発明者らは確信している。構造的に異なるピラゾールとアルキルアミノインドールカンナビノイドリガンドと、全リガンドによって共有される部位から、独自のLBPサブサイトの相互作用を詳細に説明する研究者の努力とを考える場合、上記のことは、最も明らかである。リガンドとのLBP相互作用に関して、まだ合意は見えていない。それは、一つには、全てのクラスのカンナビノイドリガンドの電子特性を研究することを目指した限られた研究が原因でありうる。本発明者らの研究方法は、分子力学の方法によって容易く評価できない未確認の相似性を同定しうると、確信している。電子効果は、これらの新規なカンナビノイドの幾何学的配置において、明らかに役割を果たす。これらの理解は、リガンドの設計およびリガンドの合成方法において、新しい研究方法を導くだろうと思われる。しかしながら、今のところまだ、これらの計算に基づいたQSARモデルを開発する試みがされていない。E−QSAR(電子の定量的構造活性相関)モデルの将来の開発は、今後、これらや他の薬剤の薬剤作用を理解する際に重要な役割を果たすと、本発明者らは確信している。
【0147】
実施例7 置換1’−フェニルΔ−THC類似体および1’−チオフェン−2−イルΔ−THC類似体の合成
置換−臭化マグネシウムフェニルかチオ臭化マグネシウムフェニルかのどちらかを用いて、対応するアルコールを得たことを除いて、ほぼ実施例5に記載した通り、化合物を合成した。PCCでのアルコールの酸化により、主要な中間ケトンを得た(フレネッテ(Frenette)ら、J.Org.Chem.56:3083(1991年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。ケトン中間生成物をジメチル亜鉛および四塩化チタンと反応させて、C1’位にジメチル置換基を形成した(シンガー(Singer)ら、J.Med.Chem.41:4400(1998年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。p−メチルフェニル(化合物50)、m−メチルフェニル(化合物51)、p−フルオロフェニル(化合物52)、p−クロロフェニル(化合物53)、m−クロロフェニル(化合物54)、およびチオフェニル(化合物55)を含有する1’−置換のgem−ジメチルΔ−THC類似体を、p−トルエンスルホン酸の存在下で、それらとシス−Δ−p−メンテン−1,8−ジオールを反応させて、対応するレソルシノールから得た(プラサード(Prasad)ら、Tetrahedron32:1437(1976年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)。
【0148】
化合物50:gem−ジメチル−p−メチルフェニル−Δ−THCすなわち6,6,9−トリメチル−3−(1−メチル−1−p−トリル−エチル)−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[c]クロメン−1−オール
収量:白色発砲体として0.5449g(55.6%)。R = 0.33 (塩化メチレン−ヘキサン、 1:1)。 H NMR (500 MHz, CDCl): δ (ppm) 1.11 (s, 3H), 1.37 (s, 3H), 1.59 (m, 6H), 1.69 (s, 3H), 1.81 (m, 3H), 2.14 (m, 1H), 2.31 (s, 3H), 2.67 (m, 1H), 3.16 (m, 1H), 4.53 (s, 1H), 5.42 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 5.98 (d, J = 2 Hz, 1H), 6.43 (d, J = 2 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.143 (d, J = 8 Hz, 2H); MS: (ESI, Neg) m/z 375.4 [(M−1)]。
【0149】
化合物51:gem−ジメチル−m−メチルフェニル−Δ−THCすなわち6,6,9−トリメチル−3−(1−メチル−1−m−トリル−エチル)−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[c]クロメン−1−オール
収量: 黄色のオイルとして0.139g(28.8%)。R = 0.34 (塩化メチレン−ヘキサン、1:1)。 H NMR (500 MHz, CDCl): δ (ppm) 1.12 (s, 3H), 1.38 (s, 3H), 1.59 (m, 6H), 1.69 (s, 3H), 1.82 (m, 3H), 2.14 (m, 1H), 2.31 (s, 3H), 2.68 (m, 1H), 3.17 (m, 1H), 4.52 (s, 1H), 5.42 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 5.97 (d, J = 2 Hz, 1H), 6.43 (d, J = 2 Hz, 1H), 6.98 (m, 1H), 7.05 (m, 2H), 7.15 (m, 1H); MS: (ESI, Neg) m/z 375.5 [(M−1)]。
【0150】
化合物52:gem−ジメチル−p−クロロフェニル−Δ−THCすなわち3−[1−(4−クロロ−フェニル)−1−メチル−エチル]−6,6,9−トリメチル−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[c]クロメン−1−オール
収量:白色発砲体として、0.6334g(50.4 %)。R = 0.41 (塩化メチレン−ヘキサン、1:1)。 H NMR (500 MHz, CDCl): δ (ppm) 1.04 (s, 3H), 1.30 (s, 3H), 1.51 (m, 6H), 1.62 (s, 3H), 1.75 (m, 3H), 2.07 (m, 1H), 2.61 (m, 1H), 3.09 (m, 1H), 4.49 (s, 1H), 5.35 (d, J = 5 Hz, 1H), 5.89 (d, J = 2 Hz, 1H), 6.30 (d, J = 2 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.15 (d, J = 9 Hz, 2H); MS: (ESI, Neg) m/z 395.9 [(M−1)]。
【0151】
化合物53:gem−ジメチル−m−クロロフェニル−Δ−THCすなわち3−[1−(3−クロロ−フェニル)−1−メチル−エチル]−6,6,9−トリメチル−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[c]クロメン−1−オール
収量:白色固体として、0.6597g(50.6 %)。R = 0.37 (塩化メチレン−ヘキサン、1:1)。 H NMR (500 MHz, CDCl): δ (ppm) 1.04 (s, 3H), 1.30 (s, 3H), 1.51 (m, 6H), 1.62 (s, 3H), 1.75 (m, 3H), 2.07 (m, 1H), 2.61 (m, 1H), 3.09 (m, 1H), 4.51 (s, 1H), 5.35 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 5.89 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 6.31 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.07 (m, 3H), 7.17 (m, 1H); MS: (ESI, Neg) m/z 395.9 [(M−1)]。
【0152】
化合物54:gem−ジメチル−p−フルオロフェニル−Δ−THCすなわち3−[1−(4−フルオロ−フェニル)−1−メチル−エチル]−6,6,9−トリメチル−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[c]クロメン−1−オール
収量:薄いピンク色の発砲体として、0.5919g(45.5 %)。R = 0.37 (塩化メチレン−ヘキサン、1:1)。 H NMR (500 MHz, CDCl): δ (ppm) 1.04 (s, 3H), 1.30 (s, 3H), 1.51 (m, 6H), 1.62 (s, 3H), 1.75 (m, 3H), 2.07 (m, 1H), 2.61 (m, 1H), 3.09 (m, 1H), 4.49 (s, 1H), 5.35 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 5.90 (d, J = 2 Hz, 1H), 6.32 (d, J = 2 Hz, 1H), 6.86 (m, 2H), 7.12 (m, 2H); MS: (ESI, Neg) m/z 379.5 [(M−1)]。
【0153】
化合物55:gem−ジメチル−チオフェニル−Δ−THCすなわち6,6,9−トリメチル−3−(1−メチル−1−チオフェン−2−イル−エチル)−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[c]クロメン−1−オール
収量: 白色発砲体として、0.1176g(21.9 %)。R = 0.37 (塩化メチレン−ヘキサン1:1)。 H NMR (500 MHz, CDCl): δ (ppm) 1.04 (s, 3H), 1.30 (s, 3H), 1.63 (m, 9H), 1.74 (m, 3H), 2.07 (m, 1H), 2.61 (m, 1H), 3.10 (m, 1H), 4.50 (s, 1H), 5.35 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 6.04 (d, J = 2 Hz, 1H), 6.38 (d, J = 2 Hz, 1H), 6.76 (dd, J = 1.5 Hz, 3.5 Hz, 1H), 6.84 (m, 1H), 7.07 (dd, J = 1 Hz, 5 Hz, 1H); MS: (ESI, Neg) m/z 367.4 [(M−1)]。
【0154】
実施例8 受容体結合試験
(実施例1〜4)の材料と方法と実施例2において記載した通り、化合物50〜55に関して、受容体結合試験を実施し、CB−1受容体とCB−2受容体への結合親和性を測定した(下表8参照)。
【0155】
hCB1受容体とhCB2受容体についてのΔ−THCのK値は、報告値のrCB1で47.6nM、mCB2で39.3nM(親和比CB1/CB2=1.21)(ブッシュ−ピーターソン(Busch−Ptersen),J.ら、J.Med.Chem.39:3790(1996年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)と比較して、それぞれ28.5nM、25.0nM(親和比CB1/CB2=1.14)であった。Δ−THCと比較すると、gem−ジメチル−p−フルオロフェニルΔ−THC類似体(CB−2受容体に対しての親和性の増強が見られた)を除いて、全ての化合物において、CB−1受容体とCB−2受容体の両方に対して親和性の増強が見られた。この点以外では、これらの類似体は、Δ−THCと比較して、受容体サブタイプに対する結合親和性が93倍まで増強した。注目すべき点は、gem−ジメチル−p−メチルフェニル類似体とgem−ジメチル−2−チオフェン類似体の両方が、CB−2受容体に対しある程度選択性を備え、CB−2受容体に対してナノモル以下の親和性を持った点である。これらの化合物の両方が、gem−ジメチル−フェニルΔ−THC類似体と比較して、CB−1受容体とCB2受容体に対する親和性の上昇を示した。もちろん、gem−ジメチル−p−クロロフェニル類似体も、CB−2受容体に対して選択性の上昇を示した。
【0156】
表8:CB1およびCB2受容体に対するΔ−THCと置換フェニル類似体50〜55の結合親和性
【表9】

Δ−THCとその類似体についてのK値を、三重反復試験を実施したn≧2の独立した実験から得た。括弧内に平均値の標準誤差を示す。
【0157】
実施例9 出血性ショックの治療のためのgem−ジメチル−シクロヘキシルΔ−THC類似体の使用
ワーグナー(Wagner)らにより改変されたラットの出血性ショックモデル(ネイチャー(Nature)390:518−521(1997年)、それは、参照されその完全な形で本明細書に組み込まれている)を用いて、選択性血管収縮作用を発現する複合薬剤を試験した。スプラグ・ドーレイ(Sprague−Dawley)雄ラット(300〜350g、4月齢)に、最初にイソフロ(isoflo)を用いて麻酔をかけた後、ウレタン(0.7g/kg腹腔内、次に0.3g/kg静脈内)を注入して麻酔をかけた。対流加熱によって、体温を約37℃に保った。上記動物を、後足を固定板に縛って、仰臥位に拘束した。切開されて大腿部の神経血管束がむき出しになっている左肢の鼠蹊部を削ぎ落とした。左大腿部の静脈と動脈にP50チューブを用いてカニューレを挿入し、4−0蚕糸を用いて適所でしっかり縛った。腹部−頸部領域において、正中切開を行い、潜在組織を横方向に二等分して、頚動脈をむき出しにした。血圧と心拍数を監視するために、1.4F(0.56mm)のミラー(Millar)カテーテル圧力変換器を動脈に挿入した。それを4−0蚕糸を用いて適所でしっかり縛った。左大腿部静脈を薬剤注入のために用い、左大腿部動脈を出血およびサンプリングのために用いた。上記動物は、平均血圧が40mmHgに安定するまで、外科的処置の後、段階的出血を被った。初期の薬剤注入は、ショックの導入の5分後にもしくはショック導入の直前に、生体内の顕微鏡検査の試験において決定されるmg/kg服用量に基づいて投与される。これらの試験の終点は、動物の最期または動物が重篤な苦痛状態である場合の安楽死である。生存期間、血圧、および心拍数を記録して、賦形剤のみを与えられた対照動物と比較した。1試験に当たり最小6動物を使用し、平均生存期間を決定した。賦形剤かもしくは1種類の薬剤のどちらかを投与された対照群に対して少なくとも2倍の生存期間である複合薬剤を、合格と決めた。好結果の反応を最大4時間モニターした。
【0158】
gem−ジメチル−シクロヘキシルΔ−THCを用いる実験を、12mg/kgのgem−ジメチル−シクロヘキシルΔ−THCもしくはΔ−THCと2mg/kgのNS−398(COX−2インヒビター)を用いて、行った。上記の実験の結果を図22に示す。未処置動物の比較を図23に示す。出血性ショックを受け、二重療法、つまり、カンナビノイド受容体1作動薬/COX−2インヒビターで治療した動物は、対照動物に比べて、生存期間においてかなりの増大を表した。しかしながら、高親和性CB1リガンドgem−ジメチル−シクロヘキシルΔ−THCで治療した動物は、基礎量MAP濃度の85パーセント以内に達するΔMAPに急激な増加を示した後、Δ−THCに対する反応に対応するΔMAPにおいて低減を示した。全体的な特徴の一覧により、新規なカンナビノイド類似体は、出血性ショックの二重療法において、より大きい有効性を提供することがわかる。
【0159】
実施例10 C6神経膠腫細胞を用いたインビトロにおけるgem−ジメチル−フェニルΔ−THC類似体のIC50の測定
gem−ジメチル−フェニルΔ−THC類似体の細胞毒性に関するIC50の測定のため、投与量逐次漸増法でC6神経膠腫に対する化合物の細胞毒性作用を測定した。C6神経膠腫細胞は、Hams/F12培養液を加え、総量100μl、細胞密度が70%で96−ウェル平底プレートを三重反復試験で、37℃で一晩培養し、プレートに接着させた。培養の際、0.1〜9uMの段階的濃度の化合物で処理した。すべての薬物刺激は、0.5%DMSOを処方した適当な補充培養液で行った。ただし、血清成分による薬物の結合を防ぐため、血清濃度は1%に制限した。薬物を添加した後、セルタイター(CellTiter)96R非放射性細胞増殖試験(Non−Radioactive Cell Proliferation assay)(G5421、ウィスコンシン州マディソンのプロネガ社(Promega,Madison,WI))を用いて48時間後の細胞死を分析した。各タイムポイントの培養中の生存細胞の割合は、ラブ・システムス・マルティスキャン・バイオクロマティック・エリサ(Lab Systems Multiskan Biochromatic Elisa)プレートリーダー(バージニア州のヴィエナ(Vienna,Virginia))を用いて、MTS反応の492nmでの吸光度の比較によって計測した。記載した全ての数値は、3つのデータポイントの平均を意味し、これらの測定の結果は図24に示した。
【0160】
多形性膠芽腫(GBM)は、数ヶ月単位で高悪性化する神経膠腫の患者の大部分の中間生存期間でのすべての初期脳腫瘍の中で、最も一般的で、悪性が強い。多くの抗新生物剤は、インビトロでの活性が良い。しかしながら、用途をCNSに限定して送達することは困難である。gem−ジメチル−フェニルΔ−THCについて観察されたIC50、8μM濃度で5時間以内に起こった完全な細胞死、カンナビノイドのCNS透過性がよく確認されていることにより、抗神経膠腫剤用途での新規カンナビノイドの使用が支持された。
【0161】
好適な実施形態は、本明細書に詳細に記載され、説明されているが、様々な変形、追加、代替等が、本発明の精神を逸脱することなく、可能であり、以下の特許請求の範囲に規定される範囲内であると考えられることは、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】シクロヘキシル環上の芳香族プロトンH2/H4とメチレン、H3’/H7’、およびメチンプロトン、H2’間のNOEを示す化合物28の部分的な2次元NOESYスペクトル(混合時間300ミリ秒)である。
【図2】ジチオラン基のジアステレオトピックなメチレンプロトンを示す化合物25の部分的な1次元NMRスペクトルである。
【図3】2次元NOESY実験から導かれるNOE制限(黄色の破線)を示す化合物28の立体図である。炭素原子は、白色で、水素原子は、シアンで示し、酸素原子は、赤である。
【図4】分子動力学の研究において同定された2つのシクロヘキシル側鎖の立体配座を示す化合物28の立体図である。炭素原子は、白色で、水素原子は、シアンで示し、酸素原子は、赤である。
【図5】ねじれパラメーターθπ1およびφπ2の関数としての化合物28の算出したPM3ポテンシャルエネルギー表面である。記載するエネルギーは、ハートリー(Hartrees)における算出生成熱である。AM1ポテンシャルエネルギー表面は、同一の特質を有する。
【図6A−B】B3LYP/6−31G(p,d)理論レベルで算出したHOMOの軌道図を図示する。シクロヘキシル水素原子上に中心を置く軌道ローブの形状は、水素の1s原子軌道に関連して反結合性σ軌道を示唆する。図6Aは、環Aの2つのシクロヘキシル水素原子と芳香族軌道ローブ間の反発相互作用を例証するが、図6Bは、上記の相互作用の一方のみを示す。芳香環に関連したシクロヘキシル水素原子と電子密度との間のかなりの反発を支える環Aに関連した軌道ローブの顕著な歪がある。
【図7】1’−シクロアルキル置換基を有する本発明の各種Δ−THC類似体を調製するのに用いる合成スキームである。
【図8A−B】1’−フェニル置換基を有する本発明の各種Δ−THC類似体を調製するのに用いる合成スキームである。
【図9】フェニル誘導体の各々に対するC3−C1’結合に関しての回転に対するエネルギーを図示する。最低エネルギー構造の前面の幾何学的配置を固定することにより、曲線が得られ、ポテンシャルエネルギー表面の垂直断面図を表す。曲線は、化合物34および化合物36の幾分大きな回転障壁にもかかわらず、かなり大きな配座の柔軟性を示唆する。記号一覧に使用される通り、KM−222は化合物34を意味し、KM−222は化合物33を意味し、KM−224は、化合物35を意味し、そしてKM−233は化合物36を意味する。
【図10】化合物34の算出したPM3ポテンシャルエネルギー表面を図示する。但し、表面の大きな浅い穴、例えば、(170,50)付近の穴は、かなり大きな配座の自由を示す。
【図11】化合物33の算出したPM3ポテンシャルエネルギー表面を図示する。但し、この表面の狭くてまた浅い多数の穴は、多数の極小値を示す。13個の極小値(表4参照)は、PM3計算値を介してこの面に、特定される。
【図12】化合物35の算出したPM3ポテンシャルエネルギー表面を図示する。但し、多くの対称性が、各穴に存在し、この面の別々の穴の間に類似性が存在する。化合物34のポテンシャルエネルギー表面の場合のように、この面上の穴は、かなり広い。
【図13】化合物36の算出したPM3ポテンシャルエネルギー表面を図示する。但し、この表面の狭くて深い多数の穴は、環Aからのπ系を有するC1’位のカルボニル酸素間の強いπ相互作用に起因する。16個の極小値(表4参照)は、PM3計算値を介してこの面に、特定される。
【図14】表4に規定される化合物34(C)の最低エネルギーの配座異性体のHOMO軌道図を示す。
【図15】表4に規定される化合物34(C)の最低エネルギーの配座異性体のLUMO軌道図を示す。
【図16】表4に規定される化合物33(H)の最低エネルギーの配座異性体のHOMO軌道図を示す。
【図17】表4に規定される化合物33(H)の最低エネルギーの配座異性体のLUMO軌道図を示す。
【図18】表4に規定される化合物35(H)の最低エネルギーの配座異性体のHOMO軌道図を示す。
【図19】表4に規定される化合物35(H)の最低エネルギーの配座異性体のLUMO軌道図を示す。
【図20】表4に規定される化合物36(M)の最低エネルギーの配座異性体のHOMO軌道図を示す。
【図21】表4に規定される化合物36(M)の最低エネルギーの配座異性体のLUMO軌道図を示す。
【図22】出血性ショックプロトコル中の、NS−398(2mg/kg)を組み合わせた化合物25もしくはΔ−THC(12mg/kg)の投与時間に対する平均血圧の変化を示すグラフである。化合物25は、Δ−THCおよびNS−398の陽性対照に対する改良された作用を実証する。図22の記号説明の通り、AN−155は化合物25を意味し、NS−398はCOX−2インヒビターを意味する。
【図23】出血性ショックプロトコル中の、Δ−THCおよびNS−398の陽性対照に対する陰性対照の投与時間に対する平均血圧の変化を示すグラフである。
【図24】C6神経膠腫細胞上のgem−ジメチル−フェニルΔ8−THC(化合物33)の細胞障害性の効果についてのIC50を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(1)による化合物
【化1】

[式中、
Xは、C(CH、C(−Y(CHY−)、CH、C(O)、
【化2】

の群から選択され、
Yは、SおよびOの群から選択され、
は、C3〜C8のシクロアルキル、チオフェニル、フラニル、ピロリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ビフェニル、2−ナフチル、チアゾリル、ベンズチアゾリル、メチルテトラゾリル、
【化3】


の群から選択され、
およびRは、ΔもしくはΔ二重結合を含有する化合物については、メチルであり、Δ6a−10a二重結合を含有する化合物については、C1〜C3アルキル基およびC1〜C3アルカノールの群から独立して選択され、
は、ΔもしくはΔ二重結合を含有する化合物については、メチル、メタノール、−(CHCOOH、および−(CHCOHの群から選択され、Δ6a−10a二重結合を含有する化合物については、メチルであり、
は、H、OH、メトキシ、およびエトキシの群から選択され、
〜R10は、独立して、H、OH、C1〜C6アルキル、ハロ、アミノ、C1〜C2アルキルアミノ、C1〜C2ジアルキルアミノ、アミド、C1〜C2アルキルアミド、シアノ、ニトロ、C1〜C6アルコキシ、C1〜C6アルコール、C1〜C6アルキルを含有するカルボキシル、C1〜C6アルキルを含有するカルボニル、C1〜C6のアルキル基を含有するエステル、C1〜C6アルキルを含有するスルホキシド、およびC1〜C6アルキルを含有するスルホンの群から選択され、
11〜R13のうち少なくとも1つは、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、フルオロ、およびクロロの群から選択され、残りのR11〜R13は、Hであってもよく、
nは、2〜4の整数であり、
mは、0か1の整数である]。
【請求項2】
、RおよびRが、メチルであり、かつRが、OHである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが、C(CHである請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、C5〜C7シクロアルキル、
【化4】

である請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が、2−チオフェン、フェニル、p−メチルフェニル、またはm−メチルフェニルである請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
Xが、C(−Y(CHY−)である請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
Xが、CHである請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
Xが、C(O)である請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
が、C5〜C7シクロアルキル、
【化5】

である請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が、C3〜C8シクロアルキル、
【化6】

である請求項2に記載の化合物。
【請求項11】
が、フェニル、o−メチルフェニル、m−メチルフェニル、p−メチルフェニル、m,p−ジメチルフェニル、o,p−ジメチルフェニル、m−エチルフェニル、p−エチルフェニル、m,p−ジエチルフェニル、p−クロロフェニル、p−フルオロフェニル、p−ブロモフェニル、m−アミノフェニル、p−アミノフェニル、m−メチルアミノフェニル、p−メチルアミノフェニル、N,N−ジメチル−m−アミノフェニル、N,N−ジメチル−p−アミノフェニル、m−シアノフェニル、p−シアノフェニル、m−ニトロフェニル、p−ニトロフェニル、o−メトキシフェニル、m−メトキシフェニル、p−メトキシフェニル、m−エトキシフェニル、p−エトキシフェニル、m−ヒドロキシフェニル、p−ヒドロキシフェニル、m−メチルスルホン−フェニル、p−メチルスルホン−フェニル、m−エチルスルホン−フェニル、p−エチルスルホン−フェニル、m−メチルスルホキシド−フェニル、p−メチルスルホキシド−フェニル、m−エチルスルホキシド−フェニル、またはp−エチルスルホキシド−フェニルである請求項2に記載の化合物。
【請求項12】
が、2−チオフェニル、3−チオフェニル、2−フラニル、3−フラニル、2−ピロリル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、4−ピロリジニル、ビフェニル、2−ナフチル、5−ピリミジニル、2−チアゾリル、2−ベンズチアゾリル、またはメチルテトラゾリルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項13】
C環が、Δ8二重結合を含有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
C環が、Δ9二重結合を含有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
C環が、Δ6a−10a二重結合を含有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物と薬学的に許容できる担体とを含んでなる組成物。
【請求項17】
前記組成物がマイクロエマルション製剤の剤形である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
リポソーム製剤が、ポリエチレングリコール300、エタノール、ポリソルベート80、トコフェロールアセタート、およびジナトリウムEDTA溶液を含んでなる請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記担体が、油である請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
前記担体が、水素化ダイズホスファチジルコリン、コレステロール、およびジステアリルホスホチジルエタノールアミン−PEG2000コンジュゲートを含んでなる配合物である請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
カンナビノイド受容体の活性を調節する方法であって、
請求項1に記載の化合物を提供することと、
細胞のカンナビノイド受容体を前記化合物に接触させることとを含んでなり、
これにより、前記接触が、細胞中のカンナビノイド受容体の活性を調節する方法。
【請求項22】
前記細胞が、エキソビボである請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記細胞が、インビボである請求項21に記載の方法。
【請求項24】
カンナビノイド受容体が、CB−1受容体である請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記細胞が、中枢神経系、心臓、血管内皮、子宮、精巣、輸精管、小腸または膀胱からのものである請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物が、少なくとも4:1であるK比[CB1/CB2]にて前記CB−1受容体に対して選択的である請求項24に記載の方法。
【請求項27】
カンナビノイド受容体が、CB−2受容体である請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記細胞が、脾臓、白血球、B−細胞、またはマクロファージからのものである請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記化合物が、少なくとも4:1であるK比[CB2/CB1]にて前記CB−2受容体に対して選択性である請求項23に記載の方法。
【請求項30】
カンナビノイド受容体が介在する疾患を治療する方法であって、
請求項1に記載の化合物を提供すること、ここで該化合物が、カンナビノイド受容体に対して作動薬として作用する、
カンナビノイド受容体が介在する疾患を治療するのに効果的な量の前記化合物を患者に投与することと
を含んでなる方法。
【請求項31】
前記投与が、経口的に、局所に、経皮的に、非経口的に、皮下に、静脈内に、筋肉内に、腹腔内に、鼻腔内に点滴注入することにより、腔内もしくは嚢内に点滴注入することにより、眼内に、動脈内に、病変内局に、または粘膜への塗布により実施される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記投与量が、約1mg〜約1000mg/1回の用量である請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記投与を周期的に繰り返すことをさらに含んでなる請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物が、前記CB−1受容体の作動薬である請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記化合物が、少なくとも4:1であるK比[CB1/CB2]にて前記CB−1受容体に対して選択性である請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記カンナビノイド受容体が介在する疾患が、神経変性障害、高血圧、末梢血管障害、狭心症、および出血性ショック、および細胞増殖性の疾患の群から選択される請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記神経変性障害が、脳卒中または頭蓋大脳外傷である請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記細胞増殖性の疾患が、乳癌もしくは前立腺癌である請求項36に記載の方法。
【請求項39】
カンナビノイド受容体が、CB−2受容体である請求項30に記載の方法。
【請求項40】
前記化合物が、少なくとも4:1であるK比[CB2/CB1]にて前記CB−2受容体に対して選択性である請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記カンナビノイド受容体が介在する疾患が、免疫介在の免疫障害、骨形成/再形成障害、および腎虚血の群から選択される請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記免疫介在の免疫障害が、関節リュウマチ、全身性エリテマトーデス、乾癬、湿疹、多発性硬化症、糖尿病、および甲状腺炎の群から選択される請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記骨形成/再形成障害が、骨粗しょう症、強直性脊椎炎、痛風、痛風を伴う関節炎、および変形性関節症の群から選択される請求項41に記載の方法。
【請求項44】
カンナビノイド受容体が介在する疾患を治療する方法であって、
請求項1に記載の化合物を提供することと、ここで該化合物が、カンナビノイド受容体に対して拮抗薬として作用する、
カンナビノイド受容体が介在する疾患を治療するのに効果的な量の前記化合物を患者に投与することと
を含んでなる方法。
【請求項45】
前記投与が、経口的に、局所に、経皮的に、非経口的に、皮下に、静脈内に、筋肉内に、腹腔内に、鼻腔内に点滴注入することにより、腔内もしくは嚢内に点滴注入することにより、眼内に、動脈内に、病変内局に、または粘膜への塗布により、実施される請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記投与量が、約1mg〜約1000mg/1回の用量である請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記投与を周期的に繰り返すことをさらに含んでなる請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記化合物が、前記CB−1受容体の拮抗薬である請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記化合物が、少なくとも4:1であるK比[CB1/CB2]にて前記CB−1受容体に対して選択性である請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記カンナビノイド受容体が介在する疾患が、脱髄を伴う神経刺激性の病状、ウイルス性脳炎、脳血管障害、頭蓋外傷、眼疾患、肺疾患、アレルギー疾患、炎症性疾患、免疫系障害、中枢神経系疾患、嘔吐、摂取障害、低血圧症、うつ病、認知機能の低下、覚醒状態の低下、記憶力の低下、および知覚の低下の群から選択される請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記脱髄を伴う神経刺激性の病状が、多発性硬化症およびギラン・バレー症候群の群から選択される請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記眼疾患が、緑内障である請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記肺疾患が、喘息および慢性気管支炎の群から選択される請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記アレルギー疾患が、アレルギー性鼻炎、接触皮膚炎、およびアレルギー性結膜炎の群から選択される請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記炎症性疾患が、関節炎、炎症性腸疾患、および疼痛の群から選択される請求項50に記載の方法。
【請求項56】
前記免疫系障害が、ループス、エイズ、および同種移植拒絶反応の群から選択される請求項50に記載の方法。
【請求項57】
前記中枢神経系疾患が、トゥーレット症候群、パーキンソン病、ハンチントン病、てんかん、および精神障害の群から選択される請求項50に記載の方法。
【請求項58】
前記摂食障害が、食欲不振、および必須でない食品の消費を含む消費障害の群から選択される請求項50に記載の方法。
【請求項59】
カンナビノイド受容体が、CB−2受容体である請求項44に記載の方法。
【請求項60】
前記化合物が、少なくとも4:1であるK比[CB2/CB1]にて前記CB−2受容体に対して選択性である請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記カンナビノイド受容体が介在する疾患が、細胞増殖性の疾患である請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記細胞増殖性の疾患が、癌である請求項61に記載の方法。
【請求項63】
Δ−THCもしくはΔ−THC類似体を製造する方法であって、
式(II)
【化7】

の構造を有する中間化合物を式(IIIa)もしくは式(IIIb)
【化8】

のどちらかによる反応体と、C環のΔもしくはΔ位に二重結合を含有する請求項1に記載の化合物を形成するのに効果的な条件下で、反応させることを含んでなる方法。
【請求項64】
前記反応から得られるR位にメチル基を有する化合物を、アルデヒド、カルボキシル、またはメタノールのいずれかでメチル基を置換するのに効果的な条件下で、反応させることをさらに含んでなる、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記反応から得られるR位にヒドロキシル基を有する化合物を、水素、メトキシ、またはエトキシのいずれかでヒドロキシル基を置換するのに効果的な条件下で、反応させることをさらに含んでなる、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記反応から得られるX位にケト基を有する化合物をアルカン−ジオール、アルカン−ジチオール、または1,2−フェニル−ジチオールのいずれかと、C(−Y(CHY−)、
【化9】

でそれぞれケト基を置換するのに効果的な条件下で反応させることをさらに含んでなる、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
Δ6a−10a−THC類似体を製造する方法であって、
式(IV)
【化10】

の構造を有する中間化合物を適切な酸と、C環のΔ6a−10a位に二重結合を含有する請求項1に記載の化合物を形成するのに効果的な条件下で反応させることを含んでなる方法。
【請求項68】
式(IV)による化合物が、式(V)
【化11】

による中間生成物をZがRもしくはRと同一であるZ−Mg
Iと、効果的な条件下で、反応させることにより調製される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
式(VI)
【化12】

による化合物を、式(V)による化合物を形成するのに効果的条件下で、式(VII)
【化13】

による化合物と反応させることを含んでなる請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記反応から得られるR位にヒドロキシル基を有する化合物を、水素、メトキシ、またはエトキシのいずれかでヒドロキシル基を置換するのに効果的な条件下で、反応させることをさらに含んでなる、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記反応から得られるX位にケト基を有する化合物をアルカン−ジオール、アルカン−ジチオール、または1,2−フェニル−ジチオールのいずれかと、C(−Y(CHY−)、
【化14】

でそれぞれケト基を置換するのに効果的な条件下で、反応させることをさらに含んでなる請求項67に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A−B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2007−501279(P2007−501279A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533257(P2006−533257)
【出願日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/015885
【国際公開番号】WO2004/113320
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(398058245)ユニバーシティ・オブ・テネシー・リサーチ・ファウンデイション (3)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OFTENNESSEE RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】