説明

カーソルの表示方法およびカーソルの表示プログラム

【課題】二次元画像の奥行き方向における位置の把握や指示をすることができるカーソルを表示するカーソルの表示方法、およびカーソルの表示プログラムの提供を目的とする。
【解決手段】三次元座標上に分布するレーザ点群データ1を所定の視点位置により示した二次元画像内において移動操作自在に注目点を指示するカーソル2を表示するカーソルの表示方法であって、
前記二次元画像内の注目点の三次元座標上における対応位置を演算し、この対応位置を含み、視点位置方向に対して直交する所定の平面状図形領域3を前記対応位置を基準にして三次元座標上に定義し、
前記視点位置から平面状図形領域3内を通過する視野領域を平面状図形領域3を基準に分割し、いずれかの分割領域内に配置されたレーザ点群データ1を非表示処理してカーソルの表示方法を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカーソルの表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
三次元座標上に分布するレーザ点群データをディスプレイの二次元画像内に擬似的に三次元表示させた場合、二次元画像の奥行き方向における位置の把握や指示が問題となる。この点、特許文献1には、レーザ点群データにカメラの撮影画像を重ね合わせて表示して奥行き方向の位置を感覚的に把握させ、この撮影画像に基づいて矢印形状のカーソルによって二次元画像内で計測画像点を指定し、この計測画像点の座標に基づいて、近傍の座標のレーザ点群データを対応点として検出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4344869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述した従来例は、融通性が低いという欠点がある。
【0005】
すなわち、従来例は、二次元画像の奥行き方向における位置の把握等にカメラの撮影画像を必須とすることから、二次元画像内でのレーザ点群データの三次元表示に合わせてカメラの撮影画像を取得しなければならない上に、このような撮影画像がない場合には奥行き方向の位置の把握等をすることができなくなってしまう。
【0006】
本発明は以上の欠点を解消すべくなされたものであって二次元画像の奥行き方向における位置の把握や指示をすることができるカーソルを表示するカーソルの表示方法の提供を目的とする。また、本願発明の他の目的は、二次元画像の奥行き方向の位置の把握や指示をすることができるカーソルを表示するカーソルの表示プログラムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば上記目的は、
三次元座標上に分布するレーザ点群データ1を所定の視点位置により示した二次元画像内において移動操作自在に注目点を指示するカーソル2を表示するカーソルの表示方法であって、
前記二次元画像内の注目点の三次元座標上における対応位置を演算し、この対応位置を含み、視点位置方向に対して直交する所定の平面状図形領域3を前記対応位置を基準にして三次元座標上に定義し、
前記視点位置から平面状図形領域3内を通過する視野領域を平面状図形領域3を基準に分割し、いずれかの分割領域内に配置されたレーザ点群データ1を非表示処理するカーソルの表示方法を提供することにより達成される。
【0008】
本発明によれば、二次元画像内に表示されるカーソル2の三次元座標上における対応位置に基づいて三次元座標上に平面状図形領域3が定義され、この領域の視点位置方向前後いずれかに配置されるレーザ点群データ1が非表示にされる。したがって、遠近法等を表現可能な広さのある面ではなく点として構成され、その複数を三次元座標に従って配置したときにも立体感を認識させることが困難なレーザ点群データ1においても、二次元画像の奥行き方向におけるカーソル2の位置をレーザ点群データ1の表示・非表示の境界により特定することができる。また、カーソル2を視点位置方向に沿って移動操作したときには、レーザ点群データ1を視点位置方向における配置に従って順次新たに表示させたり、あるいは非表示にさせたりすることができ、このような表示の変化を観察することによって、二次元画像の奥行き方向におけるレーザ点群データ1の分布、すなわちレーザ点群データ1が示す形状を容易に把握することも可能となる。
【0009】
上述した三次元座標上のカーソル2に対応する位置は、ディスプレイに示す二次元画像の二次元座標系への三次元座標系の変換、いわゆるジオメトリ処理に応じ、このジオメトリ処理と反対の処理をすることにより得ることができ、具体的には、二次元画像内に示される三次元座標系の視点位置や視点方向、視野角を利用して演算することができる。
【0010】
また、平面状図形領域3は、上述したレーザ点群データ1の三次元座標の視覚的な特定のしやすさを考慮してその形状や大きさを決定することが可能で、例えば、後述する実施の形態に示すように、カーソル2が指示する注目点を図心とする正面視矩形形状にすることができ、その一辺の長さについてレーザ点群データ1の配置間隔の数倍程度のものにすることができる。
【0011】
平面状図形領域3を基準にしたレーザ点群データ1の非表示処理は、隠面処理と同様の手法により行うことが可能で、例えばZバッファ法のように各画素についての視点位置からの距離を参照して平面状図形領域3よりも近い、または遠いレーザ点群データ1だけを描画するようにしたり、あるいはZソート法のように二次元画像内の奥行き方向に平面状図形領域3を含めて順番に描画したりして行うことが可能である。
【0012】
また、以上のレーザ点群データ1の表示に対し、上述した従来例におけるように撮影画像4を重畳表示すれば、離散的に配置されるために全体形状が感覚的に把握しづらいレーザ点群データ1間の隙間の状態を撮影画像4に基づいて認識させることができ、多数のレーザ点群データ1により示される全体形状を直感的に把握することができる。また、これにより平面状図形領域3は、断面形状を表すものとして認識することも可能になる。レーザ点群データ1と撮影画像4の重畳表示は、撮影画像4をいわゆる壁紙のようにレーザ点群データ1の背後に表示するほか、撮影画像4やレーザ点群データ1の一方あるいは双方を半透過表示して行うことができる。
【0013】
さらに、カーソル2は、注目点を直接的に指示する印5を含めて表示することが位置の正確な特定のためにも望ましく、この場合、印5の三次元座標上での移動操作は、三次元座標上の特定の一または二の座標軸方向の移動操作と、残余の座標軸方向への移動操作とを別個に行えるようにすることにより、マウスなどの二次元座標系に対する汎用の入力装置を利用することが可能になる。この場合、一方の移動操作により指定された座標を保持して他方の移動操作に従って印5を移動させることにより、特定の座標軸上でのレーザ点群データ1の分布を効率的に把握することができる。なお、上述した印5は、点状やクロスマークなど適宜に構成することが可能である。
【0014】
加えて、上述した平面状図形領域3は、視点位置方向に対して直交する姿勢、例えば、二次元座標の座標面に並行な姿勢、あるいは図心からの面法線が視点位置を通る姿勢に定義することにより、二次元画像の奥行き方向の位置を感覚的に把握しやすくされるが、この姿勢を変更操作自在にすれば、レーザ点群データ1の分布などが特定の方向性を持っているときに、その位置を効率的に把握、指示することができる。また、このように平面状図形領域3の姿勢を変更操作自在にすれば、例えば上述した撮影画像4に重ねたときに、撮影画像4での撮影位置からの視点では障害物などにより捉えにくいはずのレーザ点群データ1の分布を知ることができる。
【0015】
また、平面状図形領域3の少なくとも外縁部を識別可能に表示すれば、二次元画像内における配置を直感的に把握しやすくすることができる。具体的には、外縁部に枠線を配置して構成するほか、その全体を着色することによっても可能である。また、平面状図形領域3を半透明にすることで上述した非表示処理に代えることも可能で、この場合には半透過表示によって平面状図形領域3の前後でのレーザ点群データ1分布をも把握することができる。
【0016】
さらに、以上のレーザ点群データ1をディスプレイ上で表示する疑似三次元表示ウィンドウ6に加えて、平面状図形領域3内を別のウィンドウ(拡大表示ウィンドウ7)で拡大表示したときには、微細なレーザ点群データ1を良好に把握することが可能になる。また、平面視の撮影画像を表示するウィンドウ(平面表示ウィンドウ8)を設け、平面状図形領域3の平面座標上における位置を以上のカーソル2とは別個のカーソル9として表示させれば、平面状図形領域3の位置を把握しやすくすることができる。
【0017】
以上のカーソルの表示方法は、
コンピュータを、三次元座標上に分布するレーザ点群データ1を所定の視点位置により示した二次元画像内において移動操作自在に注目点を指示するカーソル2を表示するカーソルの表示手段として機能させるためのカーソルの表示プログラムであって、
前記二次元画像内の注目点の三次元座標上における対応位置を演算する対応位置演算手段10、
前記対応位置を含み、視点位置方向に対して直交する所定の平面状図形領域3を前記対応位置を基準にして三次元座標上に定義する図形定義手段11、
前記視点位置から平面状図形領域3内を通過する視野領域を平面状図形領域3を基準に分割し、いずれかの分割領域内に配置されたレーザ点群データ1を非表示処理する非表示処理手段12、
として機能させることを特徴とするカーソルの表示プログラムをコンピュータ上で実行し、コンピュータをカーソル表示装置として機能させることにより実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、三次元座標上に分布するレーザ点群データの二次元画像内における奥行き方向の位置の把握や指示をカーソルを用いて良好に実現することができるために、例えばレーザ測量の作業効率を向上させることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るカーソル表示を行うレーザ点群データ表示装置のハードウェア構成図である。
【図2】本発明に係るカーソル表示のフローチャートを示す図である。
【図3】ディスプレイにおける表示画像を示す図である。
【図4】カーソルの表示状態を説明する要部拡大図である。
【図5】変形例および他の実施の形態を示す図である。
【図6】変形例および他の実施の形態でのディスプレイにおける表示画像を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1ないし図4にレーザ点群データ1をカメラにより撮影した撮影画像4と重ね合わせて表示するレーザ点群データ表示装置Aに対して、本発明を適用した実施の形態を示す。この実施の形態においてレーザ点群データ表示装置Aは、道路台帳の作成を目的として、上述した従来例のように自動車から道路をレーザ計測したレーザ点群データ1とカメラ撮影した撮影画像4とを重畳表示する。
【0021】
このレーザ点群データ表示装置Aは、レーザ点群データ1を撮影画像4と重畳表示するソフトウェアをインストールしたコンピュータにより構成されるもので、レーザ計測で特定された三次元座標計測点により構成されるレーザ点群データ1を入力するレーザ点群データ入力手段20と、カメラによる撮影画像4を入力する撮影画像入力手段21と、この撮影画像4の標定データを入力する撮影画像標定データ入力手段22とを有する入力部23を備える。上記標定データは具体的には、カメラの三次元座標上の撮影位置や撮影方向、焦点距離として構成される。
【0022】
以上の入力部23から入力されたデータは、演算部24の三次元表示処理手段25、すなわち上述したようにレーザ点群データ1を撮影画像4と重畳表示するソフトウェアによる演算処理に従ってディスプレイ上に疑似的に三次元表示される二次元画像を出力可能で、この実施の形態においては二次元画像を出力部26から図外のディスプレイに出力させることにより表示することができるようにされる。三次元表示処理手段25による演算処理は、具体的には、撮影画像入力手段21から入力された撮影画像4を表示するとともに、この撮影画像4に対応するものとして撮影画像標定データ入力手段22から入力された標定データに対応する視点位置、視点方向、視野角に従って三次元座標上のレーザ点群データ1を投影演算処理、すなわち視点座標系に変換処理し、これを上述した撮影画像4に重畳表示させて構成される。この重畳表示は、例えば撮影画像4上にレーザ点群データ1を表示させ、レーザ点群データ1の背後に撮影画像4を隠れるように配置するほか、レーザ点群データ1の表示を半透明にして背後の撮影画像4を半透過表示させることも可能である。なお、上述した視点座標系のレーザ点群データ1は、ディスプレイの画面に合わせて最終的にはスクリーン座標系に変換される。
【0023】
また、以上の三次元表示処理手段25は、図3に示すように、ディスプレイの表示画像内に複数のウィンドウを設定した上で、そのウィンドウの一つ(図3において左上部分)に上述したレーザ点群データ1と撮影画像4を重畳表示する疑似三次元表示ウィンドウ6を設定する以外に、他のウィンドウの一つ(図3において右上部分)に上空を飛行する飛行機から道路を撮影した撮影画像4’を表示する平面表示ウィンドウ8を設定したり、また他のウィンドウの一つ(図3において右下部分)に後述するカーソル2位置での断面方向寸法を表示する断面方向寸法表示ウィンドウ27を設定したり、さらに他のウィンドウ(図3において左下部分)にカーソル2位置を基準にして視点位置方向を三次元座標軸方向に切り替えて表示する視点位置方向切替ウィンドウ28を設定するなどの付加機能を備える。これらの付加機能に応じて、三次元表示処理手段25は、図示しないウィンドウレイアウト手段や平面表示処理手段、断面方向寸法表示処理手段、視点位置方向切替表示処理手段を備えて構成される。
【0024】
なお、図3において視点位置方向切替ウィンドウ28は、視点位置を三次元座標系のX軸方向、およびY軸方向に切り替えた2種が形成される。また、上述した平面表示ウィンドウ8での撮影画像4’の表示のために、上述した撮影画像入力手段21からは、道路上空を飛行する飛行機から道路をカメラ撮影した撮影画像4’が入力され、同様に撮影画像標定データ入力手段22からは、この飛行機での撮影位置などの標定データが入力され、これらのデータはそれぞれ上述した平面表示処理部による処理対象であることが分かるように適宜のコードを付されることなどによりレーザ点群データ1と重畳表示される撮影画像4等と識別される。加えて、図3において34は道路、35は交差点を示す道路標示である。
【0025】
さらに、レーザ点群データ表示装置Aには、マウスやキーボードなどで構成される入力装置29が接続されるとともに、上述した演算部24は、上記入力装置29の操作に従ってディスプレイの二次元画像上にカーソル2を移動自在に表示させるために、対応位置演算手段10、図形定義手段11、カーソル描画手段30、非表示処理手段12を有する。上記入力装置29は、例えばマウスが移動操作されたときにその移動量や移動方向を検出し、ディスプレイの二次元画像上におけるカーソル2の移動量データ等としてレーザ点群データ表示装置Aに出力するカーソル操作手段31を有する。
【0026】
また、対応位置演算手段10は、カーソル操作手段31から取得したカーソル2の移動量データ等に従ってディスプレイの二次元画像上におけるカーソル2による指示点の二次元座標が特定されると、この二次元座標、すなわちスクリーン座標に基づいて上述した視点座標を取得する。この視点座標は、上述した視点座標系からスクリーン座標系への変換とは逆の変換をすることにより、スクリーン座標から演算により取得することができる。
【0027】
図形定義手段11は、対応位置演算手段10により取得された視点座標に従い、予め設定された所定の平面状図形領域3を視点座標系上に定義するもので、この実施の形態においては、視点座標を図心とする所定の平面状図形領域3が定義される。この平面状図形領域3は、矩形で、その厚さは極めて薄く、図4に示すように例えば一辺がレーザ点群データ1の配置間隔の5ないし10倍程度の正方形あるいは長方形として設定される。
【0028】
カーソル描画手段30は、上述したカーソル2の指示点のスクリーン座標に指示点を直接的に示す印5を描画し、かつ、この印5を通って標高方向に延びる指示線32を描画するとともに、印5に付帯して背景板33を上述した平面状図形領域3に描画する。この実施の形態においては図4(a)に示すように、上述した印5としては円柱の斜視図のような図柄が予め設定され、また、背景板33は不透過にされ、撮影画像4に重ねても見分けやすいように、例えば紫色などに着色される。また、このカーソル描画手段30は、上述した入力装置29を介して入力されるカーソル2の表示、非表示のモード選択に従い、カーソル2を描画する以外に、描画しないことも可能にされる。
【0029】
非表示処理手段12は、この実施の形態においてはカーソル描画手段30により描画された印5や背景板33の陰になって視点位置からは見えないレーザ点群データ1を非表示処理するもので、レーザ点群データ1にその視点位置に基づいていわゆる隠面処理を行う。具体的には、例えばZソート法にならい、視点位置と全てのレーザ点群データ1および背景板33(平面状図形領域3)との距離を求めた後、視点からの距離が遠い順に描画することにより、背景板33の背後に隠れるレーザ点群データ1を非表示にする。
【0030】
以上のレーザ点群データ表示装置Aによる表示動作を図2を用いて以下に説明する。先ず、入力部23からレーザ点群データ1、撮影画像4、撮影画像4の標定データが入力されると、三次元表示処理手段25によりレーザ点群データ1と撮影画像4の表示処理がなされ(ステップS1)、これによりディスプレイにレーザ点群データ1と撮影画像4とが重畳表示される。次に、対応位置演算手段10によりカーソル2のスクリーン座標からカーソル2の視点座標が求められ(ステップS2)、この視点座標に基づいて図形定義手段11により平面状図形領域3が定義される(ステップS3)。この後、カーソル描画手段30におけるカーソル2の表示、非表示モードの選択を確認し(ステップS4)、非表示モードが選択されているときには、これで表示動作が完了する。一方、表示モードが選択されている場合には、カーソル描画手段30によりカーソル2、すなわち指示点を示す印5と背景板33が描画されるとともに、非表示処理手段12により印5や背景板33の背後に隠れるレーザ点群データ1が非表示処理される(ステップS5)。
【0031】
したがってレーザ点群データ表示装置Aの操作者は、図3に示すように、二次元画像上の注目点にカーソル2を合わせると、二次元画像内の奥行き方向におけるその位置について、レーザ点群データ1と背景板33との表示の境界により把握することができる。また、図4(a)に示すように、撮影画像4を重畳表示しない場合においても、背景板33の位置をレーザ点群データ1の分布パターンから感覚的に把握することができる。
【0032】
また、上述したステップS2以降は、カーソル2の移動毎に繰り返され、したがってレーザ点群データ表示装置Aの操作者は、マウスを操作してレーザ点群データ1のディスプレイ奥行き方向への分布状況を確認することができる。
【0033】
さらに、上述したレーザ点群データ1と撮影画像4の表示処理(ステップS1)においては、図3に示すように、以上のレーザ点群データ1と撮影画像4の重畳表示とは別ウィンドウにて、上述した平面表示処理手段により飛行機からの道路の撮影画像4’表示が、断面方向寸法表示処理手段により平面状図形領域3での断面方向寸法表示が、視点位置方向切替表示処理手段によりカーソル2の指示点を中心にして視点位置を切り替えた視点切り替え表示が行われる。なお、平面表示処理手段は、レーザ点群データ1と重畳表示される撮影画像4の撮影位置などを基準にして飛行機からの撮影画像4’を選定し、また、この撮影画像4’上に上述したカーソル2の平面座標に対応する平面座標で別個のカーソル9を表示するとともに、上述した平面状図形領域3の平面座標に対応する平面座標で平面状図形領域3を線状に表示する。また、断面方向寸法表示処理手段は、平面状図形領域3の直交座標軸を縦横軸にして標高値等の目盛りとともに表示するとともに、平面状図形領域3の前後方向あるいはその一方向における所定範囲内に分布するレーザ点群データ1を断面方向寸法表示ウィンドウ27に投影し、標高データを表示する。加えて、視点位置方向切替表示処理手段は、重畳表示におけるX軸方向に視点位置を切り替えたときのカーソル2の指示点近傍のレーザ点群データ1や、同様にY軸方向に視点位置を切り替えたときのレーザ点群データ1を表示するもので、またこれらを拡大して表示する。
【0034】
レーザ点群データ1と撮影画像4を重畳表示する疑似三次元表示ウィンドウ6内におけるカーソル2の移動は、図示しないキーボードのカーソル移動キーやマウスホイールによる上下方向いずれかの入力により標高方向についてのみ操作可能にされ、平面座標上での移動操作については、上述した平面表示ウィンドウ8内に表示される別のカーソル9をマウスで操作することにより、このカーソル9の平面座標に追随することで実現される。このようなカーソル2の移動は、例えば、マウスとカーソル移動キーにそれぞれ移動座標軸方向を設定しておき、これらから出力されるカーソル移動量データに基づくカーソル2の三次元座標上の位置を演算した上で、それぞれのウィンドウ6、8内でその表示に反映させることにより実現することができる。
【0035】
なお、以上の実施の形態においてはカーソル2の表示、非表示モードの確認を平面状図形領域3の定義後に行う場合を示したが、視点座標を求める前に行うことも可能で、この場合には本来不要な視点座標の演算などを省くことができる。
【0036】
図4(b)に本発明の変形例を示す。なお、この変形例、および後述する実施の形態において、上述した実施の形態と同一の構成要素は図中に同一の符号を付して説明を省略する。この変形例において、カーソル描画手段30は、背景板33を半透明に設定し、背景板33の背後に隠れるレーザ点群データ1を半透過表示により可視化する。したがってこの変形例においては、背景板33の背後におけるレーザ点群データ1分布をも把握することができ、背景板33の位置をより正確に把握することが可能となる。
【0037】
図5および図6に本発明の他の実施の形態を示す。この実施の形態は図化処理装置Bを示すもので、上述したレーザ点群データ表示装置Aに対して演算部24に製図手段35を加えて構成される。この図化処理装置Bは、例えばCAD装置に上述したレーザ点群データ表示装置Aを組み込むことにより構成される。
【0038】
したがって操作者はレーザ点群データ1の配置に応じて道路などを描画することができる。なお、図6において36は作図ウィンドウ、37はCAD装置のツールパレットであり、所定の描画コマンドをアイコン等へのクリック操作に応じて実行することができる。
【0039】
また、この実施の形態において、背景板33は、その平面上の任意の直交座標軸回りに回転操作可能にされる。図形定義手段11は入力装置29からの背景板33の回転姿勢の入力操作に応じて平面状図形領域3を所定の回転姿勢で定義し、この回転姿勢に応じてカーソル描画手段30が背景板33を視点座標上に描画し、その視点座標に応じて非表示処理手段12がレーザ点群データ1を非表示処理する。
【0040】
したがって図6に示すように、レーザ点群データ1と撮影画像4を重畳表示する視点位置に対し、背景板33を異なる視点位置に正対する姿勢に配置することができ、その姿勢において背後に隠れるレーザ点群データ1を識別することができる。これにより例えば図6に示すように、視点方向に対して交差する方向に延びる道路の側縁を容易に把握することができる。
【0041】
さらに、この実施の形態においては、ディスプレイの表示画面にはカーソル2の指示点周辺を拡大表示する拡大表示ウィンドウ7が三次元表示処理手段25により設定される。これにより操作者は撮影画像4に重畳表示される微細なレーザ点群データ1の分布を明確に把握することができる。上述したように背景板33を回転させた場合においても、拡大表示を視点位置に直交する向きに設定すれば、撮影画像4との重合表示を見やすくすることができる。
【0042】
なお、以上においては自動車を利用して取得したレーザ点群データ1を表示対象としたが、航空機等を利用して取得したものなど様々なレーザ点群データ1を対象にすることが可能である。また、背景板33の回転操作機能や、カーソル2の指示点周辺を拡大表示する拡大表示ウィンドウ7の設定は、図化処理装置Bではなくレーザ点群データ表示装置Aに対しても加えてもよく、これによりレーザ点群データ1をより見やすくすることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 レーザ点群データ
2 カーソル
3 平面状図形領域
4 撮影画像
5 印
6 疑似三次元表示ウィンドウ
7 拡大表示ウィンドウ
8 平面表示ウィンドウ
9 他のカーソル
10 対応位置演算手段
11 図形定義手段
12 非表示処理手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元座標上に分布するレーザ点群データを所定の視点位置により示した二次元画像内において移動操作自在に注目点を指示するカーソルを表示するカーソルの表示方法であって、
前記二次元画像内の注目点の三次元座標上における対応位置を演算し、この対応位置を含み、視点位置方向に対して直交する平面状図形領域を前記対応位置を基準にして三次元座標上に定義し、
前記視点位置から平面状図形領域内を通過する視野領域を平面状図形領域を基準に分割し、いずれかの分割領域内に配置されたレーザ点群データを非表示処理するカーソルの表示方法。
【請求項2】
前記二次元画像上には、レーザ点群データが示す対象を前記視点位置を撮影位置にして撮影した撮影画像が、レーザ点群データに重畳して表示される請求項1記載のカーソルの表示方法。
【請求項3】
前記二次元画像内には、三次元座標上の特定の一または二の座標軸方向の座標を保持して残余の座標軸方向に移動操作自在に注目点を指示する印が表示される請求項1または2記載のカーソルの表示方法。
【請求項4】
前記平面状図形領域を三次元座標の座標軸周りに回転操作自在にした請求項1ないし3のいずれかに記載のカーソルの表示方法。
【請求項5】
前記平面状図形領域を半透明に設定し、視点位置から見て平面状図形領域の背後に隠れる分割領域内に配置されたレーザ点群データを非表示処理に代えて半透過表示した請求項1ないし4のいずれかに記載のカーソルの表示方法。
【請求項6】
前記二次元画像内には、三次元座標上に分布するレーザ点群データを所定の視点位置により表示する疑似三次元表示ウィンドウに加え、
前記平面状図形領域内を拡大表示する拡大表示ウィンドウが設定される請求項1ないし5のいずれかに記載のカーソルの表示方法。
【請求項7】
前記二次元画像内には、平面視の撮影画像を表示する平面表示ウィンドウが設定され、
該平面表示ウィンドウ内に平面座標に基づいて平面状図形領域の位置を示す他のカーソルが表示される請求項6記載のカーソルの表示方法。
【請求項8】
コンピュータを、三次元座標上に分布するレーザ点群データを所定の視点位置により示した二次元画像内において移動操作自在に注目点を指示するカーソルを表示するカーソルの表示手段として機能させるためのカーソルの表示プログラムであって、
前記二次元画像内の注目点の三次元座標上における対応位置を演算する対応位置演算手段、
前記対応位置を含み、視点位置方向に対して直交する所定の平面状図形領域を前記対応位置を基準にして三次元座標上に定義する図形定義手段、
前記視点位置から平面状図形領域内を通過する視野領域を平面状図形領域を基準に分割し、いずれかの分割領域内に配置されたレーザ点群データを非表示処理する非表示処理手段、
として機能させることを特徴とするカーソルの表示プログラム。




【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−215956(P2011−215956A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84360(P2010−84360)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【特許番号】特許第4796194号(P4796194)
【特許公報発行日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000135771)株式会社パスコ (102)
【Fターム(参考)】