説明

カーテンの一時保持装置

【課題】レールを天井から外さずに或いはレールの端部からキャップを外さずに、レール内部部材をレールの任意の位置に固定し、レール内部部材の後付け作業性を向上する。
【解決手段】天井に取付けられるカーテンレール11にこのレールの長手方向に延びるレール用溝11aが形成され、レール11の内部にこのレールの長手方向の任意の位置に固定されるレール内部部材12が第1磁気吸着体21を保持する。レール11に沿って移動する非磁性のランナ13に設けられた第2磁気吸着体22は、ランナ13が第1磁気吸着体21に対向する位置に到来したときに磁力によりランナ13から浮上して第1磁気吸着体21に吸着してランナ13を一時的に固定する。レール内部部材12はレール用溝11aの幅より狭い幅を有し、レール内部部材12のカーテンレール11への取付け時にレール内部部材12がレール用溝11aを通ってカーテンレール11の内部に挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンレールに沿って移動するランナをカーテンレールの長手方向の任意の位置に一時的に固定することにより、カーテンを任意の位置に一時的に保持する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カーテンレールに先頭ランナがこのレールの長手方向に移動可能に取付けられるカーテン装置において、カーテンレールに固定側係止部材が固定され、先頭ランナーに移動側係止部材が固定されたカーテンストップが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このカーテンストップでは、移動側係止部材が、固定側係止部材の傍らをカーテンレールの長手方向に通過可能に設けられる。また固定側係止部材は、固定側強磁性体又は永久磁石を保持し上面が開口しかつ底面に窓が形成された箱状の固定側本体と、固定側本体からカーテンレールの上面に延長して設けられカーテンレールに固定位置を調整可能に固定される固定アームとからなる。また移動側係止部材は、移動側強磁性体又は永久磁石を保持し底面が開口しかつ上面に窓が形成された箱状の移動側本体と、移動側本体から延長して先頭ランナに一体に固定される棒状の取付アームとからなる。更に先頭ランナのカーテンレールから垂下する部分を水平に貫通する取付孔が設けられ、棒状の取付アームが取付孔に挿入されて弾性的に固定される。
【0003】
このように構成されたカーテンストップでは、固定側係止部材をカーテンレールのカーテン全開側端部に固定すると、先頭ランナをカーテンの全開側端部に向って移動させカーテンを全開にしたとき、先頭ランナの移動側本体が保持する移動側強磁性体と、カーテンレールの固定側本体が保持する固定側強磁性体との間に、磁力が作用して先頭ランナの移動を規制する。この結果、カーテンに作用する折畳み方向への復元力程度で先頭ランナが押し戻されるおそれはなく、カーテンを閉じる操作がなされない限り、カーテンは全開状態を維持する。また移動体側本体が固定側本体に接近して固定側本体に接触することもあるけれども、衝突のような接触はないため、カーテンの開閉操作を軽快に行うことができ、カーテンストップが破損することはない。
【0004】
また、窓枠又は天井枠に取付けられたカーテンレールにフック等の吊部材を介してカーテンが吊下げられ、カーテンレールの天板のうちカーテンレールの端部付近であってカーテンを吊下げて走行するランナの移動を阻害しない位置(例えば、カーテンレールの天板上面)に接着シート等の接着材を介して係止部材が固着され、この係止部材の一部に係止片が下方に張り出して設けられ、更に係止片の下端の当接部が、カーテンの引出し又は戻りの先導を行う先頭ランナの側壁又は側壁に設けた係止バーの移動路の範囲に望ませて設けられたカーテン戻り防止構造が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。このカーテン戻り防止構造では、係止部材又は先頭ランナの係止バーのいずれか一方が強制的な押圧力により撓むことが可能に構成されるけれども、小さい押圧力では曲らないように形成される。
【0005】
このように構成されたカーテン戻り防止構造では、カーテンレールに係止部材を固着し、カーテンレールを走行する先頭ランナに係止バーを設け、係止部材又は係止バーのいずれか一方が可撓性を有するので、カーテンを強制的に移動させて、先頭ランナの係止バーが係止部材の当接部に衝突した後、係止バーが係止部材をくぐり抜けて通過することができる。その後、カーテンの戻り習性により閉じ方向に先頭ランナが移動しようとしても、係止バーが係止部材に小さい押圧力で当接することより、先頭ランナの移動が阻止されるので、カーテンの戻りを防止できるようになっている。
【0006】
更に、保持用ランナとレール取付片とからなるカーテン保持具がカーテンレールに取付けられ、保持用ランナが上方に開口した凹部を有するとともにカーテンを吊下げてカーテンレールに移動可能に取付けられ、上記凹部にマグネットが上下動可能に装入され、レール取付片がカーテンレールに対して摺動可能な締着部とマグネットに吸着可能な吸着部とを有するカーテン保持具が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。このカーテン保持具では、締着部が、レール取付片を保持用ランナより上方でカーテンレールに対して移動可能に構成されるとともに、カーテンレールに任意(所望)の位置で選択的に固定可能に構成される。具体的には、締着部は水平部と前後端の垂直部から断面略門型に形成され、その前後方向の幅は、カーテンレールの前壁及び後壁の間に嵌合して長手方向に移動可能であるけれども、水平面内では回転しないような寸法に形成されている。また保持用ランナは、この凹部に装入されたマグネットがカーテンレールに固定されたレール取付片の吸着部に対向したとき、マグネットが上昇して吸着部を吸着して停止するように構成される。更に上記マグネットはヨークで挟持され、このヨークは、マグネットとともに凹部内に上下動可能に装入される。
【0007】
このように構成されたカーテン保持具では、保持用ランナの上方に開口された凹部に装入されヨークプレートで挟持されたマグネットが、レール取付片の吸着部に対向する位置に到来すると、レール取付片を吸着するので、突起が凹部の長孔に案内されて相対的に上昇し、レール取付片の吸着部を確実に吸着できる。従って、保持用ランナは、その位置で停止し、その位置でカーテンをしっかりと保持し、開閉位置を維持できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4701242号公報(請求項1、段落[0006][0015]、[0016]、図3)
【特許文献2】特開2001−137106号公報(請求項1、段落[0006]、[0012]、[0014]、図1、図2)
【特許文献3】特開2008−289624号公報(請求項1、請求項2、請求項4、段落[0016]、[0043]、図3、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記従来の特許文献1に示されたカーテンストップでは、固定側係止部材の固定アームがカーテンレールの上面に延長して設けられており、また特許文献2に示されたカーテン戻り防止構造では、係止片をカーテンレールに取付ける係止部材がカーテンレールの天板上面に取付けられているため、カーテンレールが天井又は窓枠にビスで直接取付けてその上面が天井等に密着するタイプであると、天井等に既に取付けられたカーテンレールに固定アームや係止部材を取付ける場合、即ち固定アームや係止部材をカーテンレールに後付けする場合、天井等からカーテンレールを取外した後でなければ、カーテンレールに固定アームや係止部材を取付けることができず、固定アームや係止部材の後付け作業性が悪い不具合があった。
【0010】
一方、上記従来の特許文献3に示されたカーテン保持具では、締着部の前後方向の幅がカーテンレールの前壁及び後壁の間に嵌合して長手方向に移動可能であるけれども、水平面内では回転しないような寸法に形成されており、締着部の前後方向の幅が保持用ランナが通過するカーテンレールのレール用溝の幅より広いため、締着部をレール用溝からカーテンレールに挿入することができない。このため天井等に既に取付けられかつ両端にキャップが取付けられたカーテンレールに締着部を取付ける場合、即ち締着部をカーテンレールに後付けする場合、キャップをカーテンレールの端部から取外さなければ、カーテンレールに締着部を挿入できず、締着部の後付け作業性が悪い問題点があった。
【0011】
また、上記従来の特許文献3に示されたカーテン保持具では、保持用ランナの凹部に装入されたマグネットがレールに固定された締着部に近付くと、マグネットが締着部との間の磁力により吸引されて、マグネットが締着部に対向する直前に、マグネット上面が締着部下面より高くなる位置までマグネットが上昇する場合があり、この場合、マグネットが締着部の角部に衝突してしまい、保持ランナをカーテンレールに沿ってスムーズに移動できない問題点があった。更に、上記従来の特許文献3に示されたカーテン保持具では、カーテンレールがその天板部を貫通して天井等にビスで直接取付けるタイプであると、レール内の締着部をビスの頭部に対向する位置に移動させると、締着部がビスの頭部と干渉してしまうため、締着部をその干渉位置で固定できない問題点もあった。
【0012】
本発明の第1の目的は、カーテンレールを天井等から取外さずに、或いはカーテンレールの端部からキャップを取外さずに、レール内部部材をカーテンレールの任意の位置に固定することができ、レール内部部材の後付け作業性を向上できる、カーテンの一時保持装置を提供することにある。本発明の第2の目的は、第2磁気吸着体の第1磁気吸着体への接近時に、第2磁気吸着体の第1磁気吸着体の角部への衝突を回避できるとともに、第2磁気吸着体を第1磁気吸着体に対向する位置までスムーズに案内できる、カーテンの一時保持装置を提供することにある。本発明の第3の目的は、レール内部部材をカーテンレールに挿入した状態でカーテンレールに沿って移動させても、レール内部部材がビスの頭部と干渉せず、レール内部部材をカーテンレールの任意の位置に固定できる、カーテンの一時保持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の観点は、図1〜図3、図6及び図7に示すように、天井14又は窓枠に取付けられかつ長手方向に延びるレール用溝11aが形成されたカーテンレール11の内部にこのレール11の長手方向の任意の位置に固定可能に構成されかつ第1磁気吸着体21を保持する非磁性のレール内部部材12と、カーテンを吊下げるためにカーテンレール11に沿って移動可能に取付けられた非磁性のランナ13に設けられランナ13が第1磁気吸着体21に対向する位置に到来したときに磁力によりランナ13から浮上して第1磁気吸着体21に吸着してランナ13を一時的に固定する第2磁気吸着体22とを備え、レール内部部材12がレール用溝11aの幅より狭い幅を有し、レール内部部材12のカーテンレール11への取付け時にレール内部部材12がレール用溝11aを通ってカーテンレール11の内部に挿入されるように構成されたことを特徴とするカーテンの一時固定装置である。
【0014】
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図8に示すように、レール内部部材12のうち第1磁気吸着体21を保持する部分のカーテンレール11の長手方向両側に、第1磁気吸着体21の吸着面側の面と面一の非磁性の一対の段部16b,16bが形成されたことを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図1〜図3、図6及び図7に示すように、カーテンレール11の内部にこのレール11の長手方向に延びかつ互いに対向するように一対の固定用リブ11e,11eがそれぞれ設けられ、一対の固定用リブ11e,11eの間隔がレール内部部材12の幅より広く形成され、レール内部部材12が、第1磁気吸着体21を保持する磁気吸着体ホルダ16と、磁気吸着体ホルダ16の両端に回転可能にそれぞれ取付けられカーテンレール11の長手方向に直交する回転位置で一対の固定用リブ11e,11eに係止可能に構成された一対の固定具17,17とを有することを特徴とする。
【0016】
本発明の第4の観点は、第3の観点に基づく発明であって、更に図10に示すように、レール内部部材12の位置決め時に、レール内部部材12がカーテンレール41の天板部41bを貫通して天井14又は窓枠にカーテンレール41を取付けるビス42の頭部42aと干渉しないように一対の固定用リブ41e,41eと天板部41bとの距離が設定されることを特徴とする。
【0017】
本発明の第5の観点は、第1ないし第3の観点のいずれかに基づく発明であって、更に図1及び図8に示すように、第1磁気吸着体21が永久磁石により形成されかつ第2磁気吸着体22が強磁性体又は永久磁石により形成されるか、或いは第1磁気吸着体21が強磁性体により形成されかつ第2磁気吸着体22が永久磁石により形成されたことを特徴とする。
【0018】
本発明の第6の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図1又は図12に示すように、ランナ13,63が、カーテンレール11上を転動するホイール13bを有するホイール式ランナであるか、或いはカーテンレール11上を摺動するスライダ63bを有するスライダ式ランナであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1の観点のカーテンの一時保持装置では、レール内部部材の幅をレール用溝の幅より狭く形成したので、レール内部部材のカーテンレールへの取付け時に、レール内部部材をレール用溝を通ってカーテンレールの内部に挿入できる。この結果、カーテンレールを天井等から取外さずに、或いはカーテンレールの端部からキャップを取外さずに、レール内部部材をカーテンレールの任意の位置に固定できるので、レール内部部材の後付け作業性を向上できる。
【0020】
本発明の第2の観点のカーテンの一時保持装置では、ランナに設けられた第2磁気吸着体がカーテンレールに固定された第1磁気吸着体に近付いて、第2磁気吸着体が第1磁気吸着体との間の磁力により浮上すると、第2磁気吸着体上面はレール内部部材のうち第1磁気吸着体の吸着面側の面と面一の非磁性の一対の段部下面に当接する。この結果、第2磁気吸着体上面がレール内部部材のうち第1磁気吸着体の吸着面側の面より高くなる位置まで、第2磁気吸着体が上昇することはないので、上記段部により第2磁気吸着体がレール内部部材のうち第1磁気吸着体を保持する部分の角部に衝突するのを回避でき、また上記段部が第2磁気吸着体を第1磁気吸着体に対向する位置までスムーズに案内する。
【0021】
本発明の第3の観点のカーテンの一時保持装置では、レール内部部材の磁気吸着ホルダとこのホルダの両端に回転可能に取付けられた一対の固定具とを略一直線上に延びて設けると、レール内部部材の幅がレール用溝の幅より狭くなり、レール内部部材のカーテンレールへの取付け時にレール内部部材をレール用溝を通ってカーテンレールの内部に挿入できる。その後、固定具をカーテンレールの長手方向に直交する回転位置まで回転させると、固定具が固定用リブに係止するので、レール内部部材をカーテンレールに固定できる。この結果、上記第1の観点と同様に、カーテンレールを天井等から取外さずに、或いはカーテンレールの端部からキャップを取外さずに、レール内部部材をカーテンレールの任意の位置に固定できるので、レール内部部材の後付け作業性を向上できる。
【0022】
本発明の第4の観点のカーテンの一時保持装置では、レール内部部材の位置決め時に、レール内部部材がビスの頭部と干渉しないように一対の固定用リブと天板部との距離を設定したので、レール内部部材をカーテンレールに挿入した状態でカーテンレールに沿って移動させても、レール内部部材がビスの頭部と干渉せず、レール内部部材をカーテンレールの任意の位置に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明第1実施形態のカーテンレールの一部を破断してレール内部部材及び第2磁気吸着体を露出させた状態を示すカーテンレールの正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】一対の固定具を磁気吸着体ホルダの両端に取付ける手順を示すレール内部部材の縦断面図である。
【図4】一対の固定具を磁気吸着体ホルダの両端に取付ける手順を示すレール内部部材の平面図である。
【図5】一対の固定具を磁気吸着体ホルダの両端に取付ける手順を示すレール内部部材の底面図である。
【図6】(a)はレール内部部材をカーテンレールに挿入した状態を示す図7のB−B線断面図であり、(b)は一対の固定具を回転してカーテンレールの一対の固定用リブに係止した状態を示す図7のC−C線断面図である。
【図7】(a)はレール内部部材をカーテンレールに挿入した状態を示す図6のD−D線断面図であり、(b)は一対の固定具を回転してカーテンレールの一対の固定用リブに係止した状態を示す図6のE−E線断面図である。
【図8】先頭ランナがレール内部部材に近付いていき第1及び第2磁気吸着体間に発生する磁力により第2磁気吸着体の吸着面が第1磁気吸着体の吸着面に面一の段部の下面に当接する状態を示す図2のF−F線断面図である。
【図9】先頭ランナに磁気吸着体受け具を介して第2磁気吸着体を取付ける直前の状態を示す分解斜視図である。
【図10】本発明第2実施形態のカーテンの一時固定装置を示す図1に対応する断面図である。
【図11】(a)はレール内部部材をカーテンレールの一対の固定用リブに仮止めした状態を示す図6(a)に対応する断面図であり、(b)はレール内部部材をカーテンレールの一対の固定用リブに本止めした状態を示す図6(b)に対応する断面図である。
【図12】本発明第3実施形態のカーテンレールの一部を破断してレール内部部材及び第2磁気吸着体を露出させた状態を示すカーテンレールの正面図である。
【図13】図12のG−G線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
<第1の実施の形態>
図1及び図2に示すように、カーテンの一時固定装置は、カーテンレール11の内部にこのレール11の長手方向の任意の位置に固定可能に構成されたレール内部部材12と、カーテンレール11に沿って移動可能に取付けられたランナ13に設けられた第2磁気吸着体22とを備える。カーテンレール11は天井14に取付けられ、かつレール11の長手方向に延びるレール用溝11aが形成される。またカーテンレール11は横断面が略伏せC字状に形成される。具体的には、カーテンレール11は、天板部11bと、この天板部11bの両側縁に垂設された一対の側板部11c,11cと、一対の側板部11c,11cの下縁にカーテンレール11の長手方向に延びかつ互いに対向するようにそれぞれ水平方向に延びて設けられた複数のカーテンランナ13のホイール13bが転動する一対の底片部11d,11dと、一対の側板部11c,11cの上部内面にカーテンレール11の長手方向に延びかつ互いに対向するようにそれぞれ水平方向に延びて設けられた一対の固定用リブ11e,11eとを有する(図1、図2及び図6〜図8)。一対の側板部11c,11cは下方に向うに従って互いに近付く方向に湾曲して形成される。また一対の底片部11d,11dの間にはカーテンレール11の長手方向に延びかつ後述のランナ本体13aが遊挿される上記レール用溝11aが形成され、一対の固定用リブ11e,11eの間にはカーテンレール11の長手方向に延びかつレール内部部材12が遊挿される固定用溝11fが形成される。更にカーテンレール11は、非磁性のアルミニウム合金やプラスチックの押出し加工又は引抜き加工、或いは非磁性のステンレス鋼板(オーステナイト系)のフォーミング加工等によりそれぞれ形成される。
【0026】
一方、レール内部部材12は、カーテンレール11の内部にこのレール11の長手方向の任意の位置に固定可能に構成される(図1及び図2)。具体的には、レール内部部材12は、第1磁気吸着体21を保持する磁気吸着体ホルダ16と、磁気吸着体ホルダ16の両端に回転可能にそれぞれ取付けられた一対の固定具17,17とを有する(図3〜図7)。磁気吸着体ホルダ16及び一対の固定具17,17は、非磁性のポリアセタール、高密度ポリエチレン、ナイロン、ポリカーボネート等のプラスチックにより形成される。磁気吸着体ホルダ16は、上面が開放された細長い箱状に形成された箱状部16aと、箱状部16aの長手方向の両端に箱状部16aと一体的に設けられた一対の段部16b,16bと、一対の段部16b,16bの箱状部16aに対向する面とは反対側の面にそれぞれ設けられた一対の挟持部16c,16cとからなる。箱状部16a、段部16b及び挟持部16cはプラスチックにより一体的に形成される。箱状部16aには第1磁気吸着体21が収容される。第1磁気吸着体21は、この実施の形態では、永久磁石である。なお、箱状部16aには、比較的小型で強力な磁力を発生するために2個の永久磁石が直列に収容される。これにより永久磁石の周囲の磁束密度が高められる。また一対の段部16b,16bの下面は、第1磁気吸着体21が収容された箱状部16aのうち第1磁気吸着体21の吸着面側の下面、即ち箱状部16aの底壁16d下面と面一に形成される。更に一対の段部16b,16bは、箱状部16aの第2磁気吸着体22側の端面から、第1磁気吸着体21に近付いてきた第2磁気吸着体22が浮上する直前の第2磁気吸着体22の箱状部16a側の端面にかけて形成される。なお、図3及び図4中の符号16eは箱状部16aに形成された複数の爪状突起であり、これらの爪状突起16eにより永久磁石が箱状部16aに収容された状態に保持される。また図5中の符号16fは、箱状部16aの底壁16dに形成された複数の角孔である。これらの角孔16fは、磁気吸着体ホルダ16の射出成形用金型の構造上、複数の爪状突起16eを形成するために、箱状部16aの底壁16dにこれらの爪状突起16eに対向して不可避的に形成される。
【0027】
一方、固定具17は、長方形板状の固定具本体17aと、固定具本体17aの上面中央に突設された頭部付き軸部17bと、固定具本体17aの下面中央に形成された十字穴付き突起17cと、固定具本体17aの長手方向の両端部下面にそれぞれ突設された一対のフック部17d,17eとを有する(図3〜図7)。固定具本体17a、頭部付き軸部17b、十字穴付き突起17c及びフック部17d,17eはプラスチックにより一体的に形成される。頭部付き軸部17bは、磁気吸着体ホルダ16の挟持部16cに回転可能に挟持される。また十字穴付き突起17cの十字穴17fには十字ねじ回し(プラスドライバ)の先端が挿入される。この十字ねじ回しを回すことにより、固定具17を磁気吸着体ホルダ16の挟持部16cを中心に回転させることができるようになっている。また一対のフック部17d,17eのうち一方のフック部17dは固定具本体17aの長手方向の一端部下面にその一端側に向って略逆L字状に突設され、他方のフック部17eは固定具本体17aの長手方向の他端部下面にその他端側に向って略L字状に突設される。更にレール内部部材12はレール用溝11aの幅及び固定用溝11fの幅より狭い幅を有する。即ち、磁気吸着体ホルダ16の幅及び固定具17の幅はレール用溝11aの幅及び固定用溝11fの幅より狭く形成される。具体的には、一対の固定具17,17を磁気吸着体ホルダ16の両端にそれぞれ取付け、一対の固定具17,17が磁気吸着体ホルダ16の長手方向に延びる一直線状の挿入位置に回転させた状態で、磁気吸着体ホルダ16及び固定具17の幅は略同一になるとともに、これらの幅はレール用溝11aの幅及び固定用溝11fの幅より狭く形成される。これによりレール内部部材12のカーテンレール11への取付け時に、レール内部部材12がレール用溝11a及び固定用溝11fを通ってカーテンレール11の内部に挿入され、この状態で固定具17をカーテンレール11の長手方向に直交する回転位置まで十字ねじ回しを用いて回転させることにより、固定具17の一対のフック部17d,17eをカーテンレール11の一対の固定用リブ11e,11eに係止可能に構成される。
【0028】
なお、図3〜図6中の符号16gは磁気吸着体ホルダ16の一対の挟持部16c,16c近傍に形成された係止穴であり、符号17gは一対の固定具本体17a,17aの下面にそれぞれ形成された係止ピンである。一対の固定具17,17を磁気吸着体ホルダ16の両端にそれぞれ取付け、一対の固定具17,17が磁気吸着体ホルダ16の長手方向に延びる一直線状の挿入位置に回転させた状態で、係止ピン17gが係止穴16gに係止することにより、固定具17が磁気吸着体ホルダ16に対して一直線状に一時的に保持される。またこの状態で固定具17の十字穴17fに十字ねじ回しを挿入して、この十字ねじ回しを回すと、固定具17の樹脂弾性により比較的容易に係止ピン17gが係止穴16gから離脱できるようになっている。また図2、図5及び図6中の符号17hは固定具本体17aの4つのコーナ部下面のうち互いに対向する2つのコーナ部下面にそれぞれ形成された傾斜面である。これらの傾斜面17hは、固定具17を下面側から見て、十字穴17fを中心とする先端右側のコーナ部下面にそれぞれ形成される。またこれらの傾斜面17hは固定具本体17aの先端に向うに従って固定具本体17aの厚さが次第に薄くなるように形成される。これにより固定具17を図6の破線矢印の方向に回転させたときに、固定具17の一対のフック部17d,17eが一対の固定用リブ11e,11eに係止する方向に上記傾斜面17hが案内するように構成される。一方、固定具17を図6の破線矢印とは反対の方向に回転させると、固定具17の一対のフック部17d,17eが一対の固定用リブ11e,11eに係止する方向に上記傾斜面17hが案内するように構成される。
【0029】
ランナ13は、この実施の形態では、カーテンレール11上を転動するホイール13bを有するホイール式ランナである。本発明のランナ13は、カーテンの上縁を所定の間隔をあけて保持する複数のランナのうちカーテンの上縁先端部を保持する先頭ランナである。この先頭ランナ13は、カーテンレール11のレール溝11aにカーテンレール11に沿って移動可能に遊挿されるランナ本体13aと、ランナ本体13aに回転可能に取付けられた一対のホイール13b,13bとを有する(図1、図2、図8及び図9)。ランナ本体13a及びホイール13bは非磁性の高密度ポリエチレン、熱可塑性エラストマー(スチレン系、オレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系)、ナイロン、ポリプロピレン等のプラスチックにより形成される。ランナ本体13aは、カーテン吊下げ用フック(図示せず)が係合するフック係合孔13cが形成された直方体状の基部13dと、基部13dの上面にその長手方向に所定の間隔をあけてそれぞれ突設された一対の取付片13e,13fとからなる。また一対のホイール13b,13bは、基部13dの一対の取付片13e,13fに回転軸13gを介して回転可能にそれぞれ取付けられ、これらのホイール13b,13bはカーテンレール11の底片部11d上を転動可能に構成される。回転軸13gは非磁性のアルミニウム合金やステンレス鋼(オーステナイト・フェライト系、フェライト系、マルテンサイト系、析出硬化系)等により形成されたかしめピンにより形成される。
【0030】
一方、第2磁気吸着体22は、この実施の形態では、鋼板、ステンレス鋼板(オーステナイト・フェライト系、フェライト系、マルテンサイト系、析出硬化系)等の強磁性体により形成される。また第2磁気吸着体22として、上記強磁性体により形成された平頭リベットを用いてもよい。この第2磁気吸着体22は、第1磁気吸着体21にその磁力により吸着される長方形板状の吸着片22aと、吸着片22aのうちカーテンレール11の長手方向に直交する両側面から垂下された一対の取着片22b,22bとを有する(図1、図2、図8及び図9)。吸着片22a及び取着片22bは鋼板等の強磁性体のプレス加工により一体的に形成される。また吸着片22aのうちカーテンレール11の長手方向の両端部は下方に所定の曲率半径で曲げられる。更に一対の取着片22b,22bの中央には、抜止め突起22cがそれぞれ外方に向って突設される。
【0031】
上記第2磁気吸着体22は磁気吸着体受け具23を介してランナ13に取付けられる。ランナ本体13aの基部13dには、一方の取付片13eの下方に位置するように角孔13hが形成される。磁気吸着体受け具23は非磁性のポリアセタール、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等のプラスチックにより形成される。磁気吸着体受け具23は、ランナ本体13aの基部13dの角孔13hに挿入される係合部23aと、係合部23aの基端に連結された水平片23bと、水平片23bの先端に連結された垂直片23cと、垂直片23cの上端に連結された水平板部23dと、水平板部23dの中央に立設された垂直板部23eと、垂直板部23eを囲むように垂直板部23eに連結された枠部23fとを有する(図1、図2、図8及び図9)。係合部23a、水平片23b、垂直片23c、水平板部23d、垂直板部23e及び枠部23fはプラスチックにより一体的に形成される。係合部23aは、略矢印形状の輪郭部のみが残されて内部がくり抜かれ、比較的容易に弾性変形できるように形成される。また垂直板部23eと枠部23fとの間には、第2磁気吸着体22の一対の取着片22b,22bを遊挿可能な一対の遊挿孔23g,23gが形成される。一対の遊挿孔23g,23gに遊挿された一対の取着片22b,22bは枠部23fに対して浮上するように構成されるとともに、第2磁気吸着体22が浮上したときに第2磁気吸着体22の抜止め突起22cが枠部23fの下縁に係止することにより、第2磁気吸着体22が枠部23fから離脱しないようになっている。更に係合部23aをランナ本体13aの角孔13hに挿入したときに、水平板部23d、垂直板部23e及び枠部23fがランナ本体13aの一対の取付片13e,13fの間に位置するように構成される。これによりランナ13がカーテンレール11に沿って移動して第1磁気吸着体21に対向する位置に到来したときに、第1磁気吸着体21の磁力により第2磁気吸着体22がランナ13から浮上して第1磁気吸着体21に吸着するように構成される。
【0032】
なお、図1、図2、図8及び図9中の符号13iはランナ本体13aの基部13dの厚さ方向に膨出して形成された膨出部である。この膨出部13iの形成により基部13d内に空洞部13jが形成され、この空洞部13jにはカーテンの全開状態でカーテンを一時的に固定するマグネット24及びヨーク26(マグネット24の吸着力を増幅する継鉄)が収容される。図示しないがカーテンレール11の先端にはキャップが取付けられ、このキャップには鋼板製の吸着板が取付けられる。折畳まれたカーテンを全開にすると、マグネット24を挟持するヨーク26が鋼板性の吸着板に吸着して、カーテンが全開状態に固定されるようになっている。
【0033】
このように構成されたカーテンの一時保持装置の組立手順を説明する。先ず先頭ランナ13の一対の取付片13e,13fに回転軸13gを介してホイール13bを取付ける。また図示しないが他のランナの取付片にも回転軸を介してホイールを取付ける。次いで磁気吸着体受け具23の一対の遊挿孔23g,23gに第2磁気吸着体22の一対の取着片22b,22bを遊挿した後、この磁気吸着体受け具23の係合部23aを先頭ランナ13の角孔13hに挿入する。次にカーテンレール11のレール溝11aに先頭ランナ13を含む複数のランナを挿入した後、カーテンレール11の両端に鋼板製の吸着板付きのキャップをそれぞれ取付ける。この状態でカーテンレール11をビス(図示せず)を用いて天井14に取付ける。更にレール内部部材12の磁気吸着体ホルダ16の箱状部16aに2個の第1磁気吸着体21,21を収容し、磁気吸着体ホルダ16の両端に一対の固定具17,17を取付けた後に、レール内部部材12をカーテンレール11に取付ける。具体的には、一対の固定具17,17が磁気吸着体ホルダ16の長手方向に延びる一直線状の挿入位置に回転させて、固定具17の係止ピン17gを磁気吸着体ホルダ16の係止穴16gに係止させる。これにより固定具17が磁気吸着体ホルダ16に対して一直線状に一時的に保持される。
【0034】
そして十字ねじ回しの先端を一対の固定具17,17のうち一方の固定具17の十字穴17fに挿入して、十字ねじ回しでレール内部部材12を保持した状態で、レール内部部材12をカーテンレール11に挿入する。このとき一直線上に一時的に保持されたレール内部部材12の幅はレール用溝11aの幅及び固定用溝11fの幅より狭いので、レール内部部材12をレール用溝11a及び固定用溝11fを通ってカーテンレール11内に速やかに挿入できる。カーテンレール11に挿入したレール内部部材12を任意(所望)の位置に移動させた後、十字ねじ回しを図6(a)の破線矢印の方向に回すと、固定具17の樹脂弾性により固定具17の係止ピン17gが磁気吸着体ホルダ16の係止穴16gから比較的容易に離脱する。そして固定具17の一対のフック部17d,17eが一対の固定用リブ11e,11eに係止する方向に一対の固定具17,17の傾斜面17h,17hが案内するので、固定具17の一対のフック部17d,17eがカーテンレール11の長手方向に直交する回転位置で一対の固定用リブ11e,11eに速やかに係止する(図6(b)及び図7(b))。十字ねじ回しを一方の固定具17,17の十字穴17fから抜いて他方の固定具17の十字穴17fに挿入して上記と同様に回すことにより、他方の固定具17の一対のフック部17d,17eがカーテンレール11の長手方向に直交する回転位置で一対の固定用リブ11e,11eに速やかに係止する。この結果、既に天井14に取付けられたカーテンレール11を天井14から取外さずに、或いは既に天井14に取付けられたカーテンレール11の端部からキャップを取外さずに、レール内部部材12をカーテンレール11の任意(所望)の位置に固定できるので、レール内部部材12の後付け作業性を向上できる。
【0035】
このように組立てられたカーテンの一時固定装置の動作を説明する。折畳まれたカーテンの先端縁を持ってカーテンを展開する方向に引っ張ると、先頭ランナ13に設けられた第2磁気吸着体22がカーテンレール11に固定された第1磁気吸着体21に近付いて、第2磁気吸着体22が第1磁気吸着体21との間の磁力により浮上する。このとき第2磁気吸着体22上面はレール内部部材12のうち第1磁気吸着体21の吸着面側の面と面一の非磁性の一対の段部16b下面に当接する。この結果、第2磁気吸着体22上面がレール内部部材12のうち第1磁気吸着体21の吸着面側の面より高くなる位置まで、第2磁気吸着体22が上昇することはないので、上記段部16bにより第2磁気吸着体22がレール内部部材12のうち第1磁気吸着体21を保持する部分の角部に衝突するのを回避できる。そして上記段部16bが第2磁気吸着体22を第1磁気吸着体21に対向する位置までスムーズに案内し、第2磁気吸着体22が第1磁気吸着体21に対向する位置でカーテンが一時的に固定される。
【0036】
<第2の実施の形態>
図10及び図11は本発明の第2の実施の形態を示す。図10及び図11において図2及び図6と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、レール内部部材12の位置決め時に、レール内部部材12がカーテンレール41の天板部41bを貫通して天井14にカーテンレール41を取付けるビス42の頭部42aと干渉しないように一対の固定用リブ41e,41eと天板部41bとの距離が設定される。具体的には、一対の固定用リブ41e,41eと天板部41bとの距離が第1の実施の形態より大きく形成される。またカーテンレール41は、第1の実施の形態のカーテンレールと同様に、天板部41bと、この天板部41bの両側縁に垂設された一対の側板部41c,41cと、一対の側板部41c,41cの下縁にカーテンレール41の長手方向に延びかつ互いに対向するようにそれぞれ水平方向に延びて設けられた複数のカーテンランナのホイールが転動する一対の底片部41d,41dと、一対の側板部41c,41cの上部内面にカーテンレール41の長手方向に延びかつ互いに対向するようにそれぞれ水平方向に延びて設けられた一対の固定用リブ41e,41eとを有する。一対の底片部41d,41dの間にはカーテンレール41の長手方向に延びるレール用溝41aが形成され、一対の固定用リブ41e,41eの間にはカーテンレール41の長手方向に延びる固定用溝41fが形成される。また天板部41bにはカーテンレール41の長手方向に所定の間隔をあけて複数の通孔41gが形成され、これらの通孔41gにはビス42が挿通される。更に図11(a)に示すように、固定具17を磁気吸着体ホルダ16に対して一直線状に延びる挿入位置から磁気吸着体ホルダ16に対して所定の角度θ(45度〜60度程度)だけ回した仮止め位置に保持すると、十字穴17fに挿入した十字ねじ回しをカーテンレール41の長手方向に力を加えると、固定具17が磁気吸着体ホルダ16とともにカーテンレール41の長手方向にスライドするけれども、図11(b)に示すように、固定具17を磁気吸着体ホルダ16に対して90度回した本止め状態にすると、十字穴17fに挿入した十字ねじ回しをカーテンレール41の長手方向に力を加えても、固定具17が磁気吸着体ホルダ16とともにカーテンレール41の長手方向にスライドしないように構成される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0037】
このように構成されたカーテンの一時保持装置のレール内部部材12をカーテンレール41に取付ける手順を説明する。一対の固定具17,17が磁気吸着体ホルダ16の長手方向に延びる一直線状の挿入位置に回転させて、固定具17の係止ピン17gを磁気吸着体ホルダ16の係止穴16gに係止させることにより、固定具17が磁気吸着体ホルダ16に対して一直線状に一時的に保持される。この状態で十字ねじ回しの先端を一対の固定具17,17のうち一方の固定具17十字穴17fに挿入して、十字ねじ回しでレール内部部材12を保持した状態で、レール内部部材12をカーテンレール41に挿入する。そして固定具17を磁気吸着体ホルダ16に対して所定の角度θ(45度〜60度程度)回した仮止め位置に保持し、十字穴17fに挿入した十字ねじ回しをカーテンレール41の長手方向に力を加えると、固定具17が磁気吸着体ホルダ16とともにカーテンレール41の長手方向にスライドするので、レール内部部材12を任意(所望)の位置までスライドさせる。このときレール内部部材12がビス42の頭部42aに干渉しないので、レール内部部材12を任意(所望)の位置までスムーズにスライドさせることができる。レール内部部材12の位置決めが完了したら、固定具17を磁気吸着体ホルダ16に対して90度回した本止め状態にする。これによりレール内部部材12はカーテンレール41の長手方向に移動しなくなり、カーテンレール41に固定される。上記以外の取付手順及び動作は第1の実施の形態の取付手順及び動作と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0038】
<第3の実施の形態>
図12及び図13は本発明の第3の実施の形態を示す。図12及び図13において図1及び図2と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、ランナ63が、カーテンレール11上を摺動するスライダ63bを有するスライダ式ランナである。本発明のランナ63は、カーテンの上縁を所定の間隔をあけて保持する複数のランナのうちカーテンの上縁先端部を保持する先頭ランナである。この先頭ランナ63は、カーテンレール11のレール溝11aにカーテンレール11に沿って移動可能に遊挿されるランナ本体63aと、ランナ本体63aに回転可能に取付けられた一対のスライダ63b,63bとを有する。ランナ本体63a及びスライダ63bは非磁性の高密度ポリエチレン、熱可塑性エラストマー(スチレン系、オレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系)、ナイロン、ポリプロピレン等のプラスチックにより形成される。ランナ本体63aは、カーテン吊下げ用フック(図示せず)が係合するフック係合孔63cが形成された直方体状の基部63dと、基部63dの上面にその長手方向に所定の間隔をあけて上方に向ってそれぞれ突設された一対の垂直軸63e,63fとからなる。また一対のスライダ63b,63bは、基部63dの一対の垂直軸63e,63fに回転可能にそれぞれ取付けられ、これらのスライダ63b,63bはカーテンレール11の底片部11d上をスライド可能に構成される。更にランナ本体63aの基部63dには、一方の垂直軸63eの下方に位置するように角孔63gが形成され、この角孔63gに磁気吸着体受け具23の係合部23aが挿入される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0039】
このように構成されたカーテンの一時保持装置では、スライダ63bを取付ける垂直軸63e,63fがランナ本体63aの基部63dと一体的に形成されているため、回転軸がランナ本体の基部と別部材である第1の実施の形態より部品点数を少なくすることができるとともに、スライダ63bを垂直軸63e,63fに嵌入するだけで済み垂直軸63e,63fをかしめる作業が不要であるため、先頭ランナ63を含むランナの組立作業が第1の実施の形態より向上できる。上記以外の一時保持装置の取付手順及び動作は、第1の実施の形態の取付手順及び動作と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。なお、上記第1〜第3の実施の形態では、カーテンレールを天井に取付けたが、カーテンレールを窓枠に取付けてもよい。また、上記第1〜第3の実施の形態では、第1磁気吸着体を永久磁石により形成しかつ第2磁気吸着体を強磁性体により形成したが、第1磁気吸着体を永久磁石により形成しかつ第2磁気吸着体を永久磁石により形成してもよく、或いは第1磁気吸着体を強磁性体により形成しかつ第2磁気吸着体を永久磁石により形成してもよい。
【符号の説明】
【0040】
11,41 カーテンレール
11a,41a レール用溝
11b,41b 天板部
11e,41e 固定用リブ
12 レール内部部材
13,63 先頭ランナ(ランナ)
13b ホイール
14 天井
16 磁気吸着ホルダ
16b 段部
17 固定具
21 第1磁気吸着体
22 第2磁気吸着体
63b スライダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井(14)又は窓枠に取付けられかつ長手方向に延びるレール用溝(11a,41a)が形成されたカーテンレール(11,41)の内部にこのレール(11,41)の長手方向の任意の位置に固定可能に構成されかつ第1磁気吸着体(21)を保持する非磁性のレール内部部材(12)と、
カーテンを吊下げるために前記カーテンレール(11,41)に沿って移動可能に取付けられた非磁性のランナ(13,63)に設けられ前記ランナ(13,63)が前記第1磁気吸着体(21)に対向する位置に到来したときに磁力により前記ランナ(13,63)から浮上して前記第1磁気吸着体(21)に吸着して前記ランナ(13,63)を一時的に固定する第2磁気吸着体(22)とを備え、
前記レール内部部材(12)が前記レール用溝(11a,41a)の幅より狭い幅を有し、前記レール内部部材(12)の前記カーテンレール(11,41)への取付け時に前記レール内部部材(12)が前記レール用溝(11a)を通って前記カーテンレール(11,41)の内部に挿入されるように構成された
ことを特徴とするカーテンの一時固定装置。
【請求項2】
前記レール内部部材(12)のうち前記第1磁気吸着体(21)を保持する部分の前記カーテンレール(11,41)の長手方向両側に、前記第1磁気吸着体(21)の吸着面側の面と面一の非磁性の一対の段部(16b,16b)が形成された請求項1記載のカーテンの一時固定装置。
【請求項3】
前記カーテンレール(11,41)の内部にこのレール(11,41)の長手方向に延びかつ互いに対向するように一対の固定用リブ(11e,11e,41e,41e)がそれぞれ設けられ、前記一対の固定用リブ(11e,11e,41e,41e)の間隔が前記レール内部部材(12)の幅より広く形成され、
前記レール内部部材(12)が、前記第1磁気吸着体(21)を保持する磁気吸着体ホルダ(16)と、前記磁気吸着体ホルダ(16)の両端に回転可能にそれぞれ取付けられ前記カーテンレール(11,41)の長手方向に直交する回転位置で前記一対の固定用リブ(11e,11e,41e,41e)に係止可能に構成された一対の固定具(17,17)とを有する請求項1記載のカーテンの一時固定装置。
【請求項4】
前記レール内部部材(12)の位置決め時に、前記レール内部部材(12)が前記カーテンレール(41)の天板部(41b)を貫通して前記天井(14)又は窓枠に前記カーテンレール(41)を取付けるビス(42)の頭部(42a)と干渉しないように前記一対の固定用リブ(41e,41e)と前記天板部(41b)との距離が設定される請求項3記載のカーテンの一時固定装置。
【請求項5】
前記第1磁気吸着体(21)が永久磁石により形成されかつ前記第2磁気吸着体(22)が強磁性体又は永久磁石により形成されるか、或いは前記第1磁気吸着体(21)が強磁性体により形成されかつ前記第2磁気吸着体(22)が永久磁石により形成された請求項1ないし3いずれか1項に記載のカーテンの一時固定装置。
【請求項6】
前記ランナ(13,63)が、前記カーテンレール(11)上を転動するホイール(13b)を有するホイール式ランナであるか、或いは前記カーテンレール(11)上を摺動するスライダ(63b)を有するスライダ式ランナである請求項1記載のカーテンの一時固定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate