説明

カーテンの昇降コードガイド部材

【課題】 極めて低コストで得られ、カーテンを洗濯する際の昇降コードの着脱操作が容易な昇降コードガイド部材を提供する。
【解決手段】 カーテンの一方の面に縦方向に縫着されるテープ部材2と、このテープ部材2の表面に縦方向に所定の相互間隔をおいて取り付けられる複数のリング部材3とを具備させて昇降コードガイド部材1を構成する。テープ部材3は、面ファスナテープで構成する。リング部材3には、昇降コード14を挿通させる挿通部4を有するリング部材本体5と、リング部材本体5に固着された面ファスナ片6とを具備させ、この面ファスナ片6を面ファスナテープに係合させて着脱自在に構成する。リング部材3のファスナ片6は、リング部材本体に接着し、又は縫着して固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カーテンの昇降コードガイド用リングテープに関する。
【背景技術】
【0002】
カーテンの昇降コードガイド用リングテープは、カーテンに縦方向に縫着されるテープの表面に、カーテンの昇降コードを挿通する複数の合成樹脂製のリングを一定間隔で取り付けたものである。カーテンの下裾部には重りが取り付けられ、昇降コードの下端は最下段のリングに係止される。昇降コードを引き上げることにより、重り入りの下裾部が順次上段のリングを押し上げて行き、上下のリング間のカーテン布を順次折り曲げつつカーテンを上方へ引き上げるものである。
従来の昇降コードガイド用リングテープとして、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1の図12に記載されたリングテープは、幅数センチに一体に織成されたテープ基体に、二重織り部分が一定間隔おきに形成され、この二重織り部分に、合成樹脂製のリングが取り付けられたものである。
上記従来例の欠点は、テープとして、リングを取り付けるための特殊な織り方のものが必要であるため、コストが高くつくことである。また、何らかの原因で、二重織り部分の間隔がずれることがあり、長尺テープ上での間隔のわずかなずれは始端部付近と終端部付近とで大きな差となってあらわれるから、そのままカーテンに逢着すると、リングの取り付け高さに左右で誤差が生じ体裁を損ねるという問題点がある。このため、テープの縫着作業は、二重織り部分の高さ位置がカーテンの横方向に揃うように注意を払いながら慎重に行う必要がある。
特許文献1の図1ないし図11に記載されたものは、リングが第一、第二の2部材で構成される。第一部材は、昇降コード挿通孔を持ち、テープの表面側に配置される。第二部材は、テープの裏面側に配置される。第一部材又は第二部材のいずれか一方に形成された突起がテープを貫通して、他方に形成された貫通孔に挿入され、その突出先端部が打撃により押し潰されて第一、第二の2部材が互いに結合される。
このリングテープは、特殊織のテープを用いないが、リングの固着作業が必ずしも容易でなく、低コスト化の障害となる。また、リングが固着されるため、カーテンの洗濯の際に昇降コードを着脱する操作が容易でないという問題点がある。
さらに、テープ上でのリングの固着間隔にずれがあったり、カーテンへの縫着後に何らかの原因で左右のリングテープ上のリングの固着高さにずれが生じることがあったりしても、これを事後に矯正することができないという問題点がある。また、使用者が任意にカーテンの吊り上げ位置を変更して変化を楽しむこともできない。
【特許文献1】特開2003−111664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、高価な特殊織のテープを用いず、またリング固着作業が不要で、極めて低コストで得られ、さらにカーテンを洗濯する際の昇降コードの着脱操作が容易で、リングの取付位置を任意に選択できる昇降コードガイド部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明においては、上記課題を解決するため、カーテンの一方の面に縦方向に縫着されるテープ部材と、このテープ部材の表面に縦方向に所定の相互間隔をおいて取り付けられる複数のリング部材とを具備させて昇降コードガイド部材を構成する。テープ部材は、面ファスナテープで構成する。リング部材には、昇降コードを挿通させる挿通部を有するリング部材本体と、リング部材本体に固着された面ファスナ片とを具備させ、この面ファスナ片を面ファスナテープに係合させて着脱自在に構成する。
上記リング部材のファスナ片は、リング部材本体に接着し、又は縫着して固定することができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明においては、面ファスナテープを用いるので、高価な特殊織のテープを用いる必要がない。またリング部材は、面ファスナ片を介して面ファスナテープに極めて容易に着脱できるので、リング固着作業が不要で、極めて低コストで得られる。カーテンを洗濯する際には、昇降コードをリング部材もろともカーテンから取り外すことができ、その後の装着も容易である。リング部材の装着位置は、任意に選択、変更できるので、カーテン布への面ファスナテープの縫着時に、リング部材の装着位置を意に介することなく、迅速に作業を進めることができるし、使用者がカーテンの引き上げ形態を任意に変更して装飾的変化を楽しむことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の昇降コードガイド部材の使用状態の正面図、図2は本発明の昇降コードガイド部材一部の側面図、図3は本発明の昇降コードガイド部材一部の斜視図である。
【0007】
図1において、レール11は、例えば窓の上縁に沿って水平方向に固定され、カーテン布12は、上縁部においてレール11の一方の面に、面ファスナ13を介して吊り止められる。カーテン布12の下縁には、ウェイトバー18が挿入される。
【0008】
昇降コード14は、カーテン布12の横方向に所定の相互間隔を置いて昇降コードガイド部材1にガイドされ、カーテン布12に沿って垂下するように複数本設けられる。昇降コード14の上端側は、ガイド部材15を介して直角に屈折し、レール11内を水平に伸び、レール11の一端側に固定されたロック装置16を経て結束具17により束ねられる。
【0009】
昇降コードガイド部材1は、テープ部材2とリング部材3からなる。テープ部材2は、カーテン布12の一方の面に、横方向の所定の相互間隔を置いて複数が縦方向に縫着される。リング部材3は、テープ部材2の表面に、縦方向に所定の相互間隔をおいて複数取り付けられる。
【0010】
テープ部材2は、面ファスナテープからなる。リング部材3は、昇降コード14を挿通させる挿通部4を有するリング部材本体5と、リング部材本体5に固着された面ファスナ片6とを具備する。リング部材本体5は、合成樹脂で一体成形される。面ファスナ片6は、テープ部材2に対して任意位置に係合、離脱自在であり、リング部材本体5は、面ファスナ片6を介してテープ部材2の任意位置に固定できる。テープ部材2上におけるリング部材3を係止する位置は予め定まっていないから、テープ部材2の縫着作業時は、縦方向の位置決めのみに配慮すれば足り、迅速に進められる。
【0011】
面ファスナ片6は、リング部材本体5に接着剤を用いて接着することができるし、リング部材本体5の形状を変えて逢着することもできる。
【0012】
カーテン布12に沿って垂下する昇降コード14は、各昇降コードガイド部材1のリング部材3を通って下端において最下段のリング部材3に係止される。
【0013】
昇降コード14の上端側を引き下ろすと、カーテン布12が下縁部から引き上げられ、順次上段のリング部材3までのカーテン布12を折り曲げつつ上昇する。昇降コード14は、ロック装置16により任意の位置で止めることができる。
【0014】
カーテン布12の洗濯が必要なときには、昇降コード14もろともリング部材3をテープ部材2から外した上で、カーテン布12をレール11から外すことができる。洗濯終了後には、カーテン布12をレール11係止した後、昇降コード14を通したままのリング部材3を、予め目印を付してあるテープ部材2上の所定位置へ係合させる。これで、リング部材3の取り付けと昇降コード14のセットとが同時に完了する。高価な特殊織のテープを用いず、またリング部材3は、面ファスナ片6を介して面ファスナテープに極めて容易に着脱できるので、リングの固着作業が不要で、極めて低コストで得られる。リング部材3の取り付け位置は、テープ部材2に対してではなく、カーテン布12に対する正確な位置として決定できる。使用者が、リング部材3の取り付け位置を変更してカーテンの形態変化を楽しむこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
この発明は、カーテンを上下方向に開閉させるためにレールからカーテンに沿って垂下するように伸びる昇降コードをガイドするリングテープとして利用される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の昇降コードガイド部材の使用状態の正面図である。
【図2】本発明の昇降コードガイド部材一部の側面図である。
【図3】本発明の昇降コードガイド部材一部の斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
1 昇降コードガイド部材
2 テープ部材(面ファスナテープ)
3 リング部材
4 挿通部
5 リング部材本体
6 面ファスナ片
11 レール
12 カーテン布
13 面ファスナ
14 昇降コード
15 ガイド部材
16 ロック装置
17 結束具
18 ウェイトバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテンの一方の面に縦方向に縫着されるテープ部材と、このテープ部材の表面に縦方向に所定の相互間隔をおいて取り付けられる複数のリング部材とを具備し、カーテンの一方の面に沿って垂下する昇降コードをリング部材に挿通させてガイドするための部材であって、
前記テープ部材は、面ファスナテープからなり、
前記リング部材は、昇降コードを挿通させる挿通部を有するリング部材本体と、リング部材本体に固着された面ファスナ片とを具備し、この面ファスナ片を前記面ファスナテープに係合させて着脱自在に構成されることを特徴とする昇降コードガイド部材。
【請求項2】
前記リング部材のファスナ片が、リング部材本体に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の昇降コードガイド部材。
【請求項3】
前記リング部材のファスナ片が、リング部材本体に縫着されていることを特徴とする請求項1に記載の昇降コードガイド部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−236566(P2007−236566A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−61873(P2006−61873)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(500454611)東邦繊維興業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】