カーテンウォール構造
【課題】カーテンウォール構造において、外壁部よりも建物の内部側に換気及び空調のための流路切換装置を容易に設置可能とするとともに、建物構造の簡素化によるコスト低減を図る。
【解決手段】外周部を枠組みする枠材31と、高さ方向中間に配置される上部横材32と下部横材33とを有し、前記枠材31の上部側と前記上部横材32とで囲まれた枠部に上部側パネルG1が支持され、前記枠材31の下部側と前記下部横材33とで囲まれた枠部に下部側パネルG2が支持され、かつ前記上部横材32と下部横材33との間に外気取込口34が設けられたカーテンウォールパネル30を上下及び左右方向に隣接配置することにより建物の外壁部を構成し、前記外壁部よりも建物の内部側に、換気及び空調のための流路切換装置2を配設するとともに、この流路切換装置2と前記外気取込口34とを連通させる。
【解決手段】外周部を枠組みする枠材31と、高さ方向中間に配置される上部横材32と下部横材33とを有し、前記枠材31の上部側と前記上部横材32とで囲まれた枠部に上部側パネルG1が支持され、前記枠材31の下部側と前記下部横材33とで囲まれた枠部に下部側パネルG2が支持され、かつ前記上部横材32と下部横材33との間に外気取込口34が設けられたカーテンウォールパネル30を上下及び左右方向に隣接配置することにより建物の外壁部を構成し、前記外壁部よりも建物の内部側に、換気及び空調のための流路切換装置2を配設するとともに、この流路切換装置2と前記外気取込口34とを連通させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁部よりも建物の内部側に、換気及び空調のための流路切換装置を配設したカーテンウォール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、下記特許文献1に示されるように、窓部を室外側ガラスと室内側ガラスとにより二重構造とし、両ガラス間に空気層を設けるとともに、窓部の上部及び下部にそれぞれ流路切換装置を備え、この流路切換装置の切り換えによって、夏期において下部側から室外空気を空気層に導入させて上部側から室外に排気する流路と、冬期において下部側から室内空気を空気層に導入させて上部側から室内に戻す流路と、中間期において室外空気を室内に取り入れ可能な流路とに切換可能としたカーテンウォール構造が知られている。
【0003】
かかるカーテンウォール構造では、例えば夏期にはガラス窓から差し込む日射熱による熱負荷を軽減し、冬期には太陽熱で暖められた空気を室内に循環するというように、季節毎に効率的な省エネルギー化が図られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−291689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載のカーテンウォール構造では、換気及び空調のための流路切換装置は、カーテンウォール構造内に形成される取付用空間に設置されるものであるため、この流路切換装置を設置するには窓部を室外側ガラスと室内側ガラスとの二重構造とし、両ガラス間に空気層を設けるダブルスキンカーテンウォール構造とする必要があった。従って、通常のシングルスキンのカーテンウォール構造では、壁面の見込み厚が薄く流路切換装置を設置するための空間を確保できないため、前述のような夏期にガラス窓から差し込む日射熱の熱負荷を軽減するための流路切換装置を設けることができなかった。
【0006】
また、上記特許文献1記載のカーテンウォール構造では、前述の通り窓部をダブルスキンとし、さらに1フロアにつき窓部の上部及び下部の両方にそれぞれ流路切換装置を備える必要があるため設備コストが嵩む問題があった。設備コストに対する省エネ効果としては、強い日射が差し込む南側の壁面に対しては有効であるものの、南西側や西側の壁面等では日射条件によっては十分な省エネルギー化が図れない場合があり、過剰設備によるコスト高が指摘されていた。
【0007】
そこで本発明の主たる課題は、カーテンウォール構造において、外壁部よりも建物の内部側に、換気及び空調のための流路切換装置を容易に設置可能とするとともに、建物構造の簡素化によるコスト低減を図ったカーテンウォール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、外周部を枠組みする枠材と、高さ方向中間に配置される上部横材と下部横材とを有し、前記枠材の上部側と前記上部横材とで囲まれた枠部に上部側パネルが支持され、前記枠材の下部側と前記下部横材とで囲まれた枠部に下部側パネルが支持され、かつ前記上部横材と下部横材との間に外気取込口が設けられたカーテンウォールパネルを上下及び左右方向に隣接配置することにより建物の外壁部を構成し、
前記外壁部よりも建物の内部側に、換気及び空調のための流路切換装置を配設するとともに、この流路切換装置と前記外気取込口とを連通させたことを特徴とするカーテンウォール構造が提供される。
【0009】
上記請求項1記載の発明では、外壁部よりも建物の内部側に、換気及び空調のための流路切換装置を配設するとともに、この流路切換装置と外気取込口とを連通させてあるため、従来のように窓部をダブルスキンカーテンウォール構造とした上で、このカーテンウォール自体に流路切換装置を組み込むという構造ではなく、シングルスキンのカーテンウォール構造においても換気及び空調のための流路切換装置を設けることができ、壁面構造の簡素化によるコスト低減が図れるようになる。また、前記従来構造の場合は、上下方向に隣接するカーテンウォールパネル間に流路切換装置を設置する空間を設けるようにしていたが、この場合は、設置空間を精度良く確保するための精度管理が煩雑であったが、本発明では、外周部を枠組みする枠材と、高さ方向中間に配置される上部横材と下部横材とを有し、前記枠材の上部側と前記上部横材とで囲まれた枠部に上部側パネルが支持され、前記枠材の下部側と前記下部横材とで囲まれた枠部に下部側パネルが支持され、かつ前記上部横材と下部横材との間に、予め、外気取込口が設けられたカーテンウォールパネルを使用しているため、流路切換装置の設置空間を考慮することなく、一般的なカーテンウォール工法どおり、パネルを上下左右方向に隣接配置するだけの工事で済むようになる。
【0010】
請求項2に係る本発明として、外周部を枠組みする枠材と、高さ方向中間に配置される横材とを有し、前記枠材の上部側と前記横材とで囲まれた枠部に上部側パネルが支持され、前記枠材の下部側と前記横材とで囲まれた枠部に下部側パネルが支持され、かつ前記横材に室内外を連通する外気取込口が設けられたカーテンウォールパネルを上下及び左右方向に隣接配置することにより建物の外壁部を構成し、
前記外壁部よりも建物の内部側に、換気及び空調のための流路切換装置を配設するとともに、この流路切換装置と前記外気取込口とを連通させたことを特徴とするカーテンウォール構造が提供される。
【0011】
上記請求項2記載の発明は、外気取込口を形成する第2の形態例であり、具体的には、枠材の高さ方向中間に横材を配置し、この横材に室内外を連通する外気取込口(通孔)を設けるようにしたものである。
【0012】
請求項3に係る本発明として、前記流路切換装置は、空調設備との連通口、室内との連通口、室内側の窓部上部との連通口及び前記外気取込口を通じた外気との連通口を備えたケーシングと、前記ケーシング内に回動自在に設けられ、ケーシング内を流通する空気の流路を切り換える切換本体とを備え、
前記切換本体の切り換えにより、前記窓部上部連通口と空調設備連通口とを連通させ、窓部上部の室内空気を前記空調設備に供給する循環空調モードと、前記外気連通口と空調設備連通口とを連通させ、外気を前記空調設備に供給する換気空調モードと、前記外気連通口と室内連通口及び窓部上部連通口とを連通させ、外気を室内に供給する自然換気モードとに切換可能としてある請求項1、2いずれかに記載のカーテンウォール構造が提供される。
【0013】
上記請求項3記載の発明は、前記流路切換装置の具体的な構成と各種運転モードにおける流路の切り換え状態について規定したものである。特に、循環空調モードでは、窓部上部連通口と空調設備連通口とを連通させ、窓部上部の室内空気を空調設備に供給するため、夏期にガラス窓から差し込む日射熱の熱負荷が軽減できるようになる。
【0014】
請求項4に係る本発明として、前記上部側パネルは、ガラス又は外壁ボードのいずれかからなる請求項1〜3いずれかに記載のカーテンウォール構造が提供される。
【0015】
上記請求項4記載の発明では、例えば前記外気取込口を各階の天井パネルより上部側に設けた場合、上部側パネルとしてはガラスでもよいが、天井パネルによって室内への日射が遮られるため外壁ボードを使用するようにしてもよい。
【0016】
請求項5に係る本発明として、前記下部側パネルは、ガラスからなる請求項1〜4いずれかに記載のカーテンウォール構造が提供される。
【0017】
上記請求項5記載の発明では、下部側パネルは、建物の窓部を構成するようにガラスを使用するのが望ましい。
【0018】
請求項6に係る本発明として、前記上部横材及び下部横材は、連結材によって連結することにより一体的に形成されている請求項1記載のカーテンウォール構造が提供される。
【0019】
上記請求項6記載の発明では、前記上部横材及び下部横材を連結材によって連結することにより一体的に形成することによって、外気取込口の枠材をユニット化でき、施工性及びメンテナンス性の向上が図れるようになる。
【0020】
請求項7に係る本発明として、前記外気取込口にはガラリを配設してある請求項1〜6いずれかに記載のカーテンウォール構造が提供される。
【0021】
請求項8に係る本発明として、前記外気取込口の外側には、庇が取り付けてある請求項1〜7いずれかに記載のカーテンウォール構造が提供される。
【発明の効果】
【0022】
以上詳説のとおり本発明によれば、シングルスキンのカーテンウォール構造において換気及び空調のための流路切換装置を容易に設置可能にするとともに、建物構造の簡素化によるコスト低減を図ったカーテンウォール構造が提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るカーテンウォール構造1の正面図である。
【図2】流路切換装置2を備えた建物の縦断面図である。
【図3】その要部拡大図である。
【図4】流路切換装置2の縦断面図である。
【図5】流路切換装置2の斜視図である。
【図6】切換本体8の斜視図である。
【図7】循環空調モードにおける流路切換装置2の縦断面図である。
【図8】換気空調モードにおける流路切換装置2の縦断面図である。
【図9】自然換気モードにおける流路切換装置2の縦断面図である。
【図10】停止モードにおける流路切換装置2の縦断面図である。
【図11】外気取込口34の他の形成例を示す横材断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
〔カーテンウォール構造〕
本発明に係るカーテンウォール構造1は、図1及び図2に示されるように、外周部を枠組みする枠材31と、高さ方向中間に配置される上部横材32と下部横材33とを有し、前記枠材31の上部側と前記上部横材32とで囲まれた枠部に上部側ガラスG1が支持され、前記枠材31の下部側と前記下部横材33とで囲まれた枠部に下部側ガラスG2が支持され、かつ前記上部横材32と下部横材33とを上下方向に間隔を空けて設けることにより、これらの間に外気取込口34が設けられたカーテンウォールパネル30を上下及び左右方向に隣接配置することにより建物の外壁部を構成したものである。そして、この外壁部よりも建物の内部側に、換気及び空調のための流路切換装置2を配設するとともに、この流路切換装置2と前記外気取込口34とを連通させるようにしてある。
【0025】
以下、具体的に詳述すると、
先ず建物構造としては、図2に示されるように、外壁を前記カーテンウォールパネル30で構成するとともに、各階にスラブSが配設され、各階の窓部の上方に対応する位置、詳細には天井パネルPとスラブSとの間に、前記外気取込口34が設けられている。また、各階の窓部近傍の室内側には、日射を遮るとともに窓部との間の空気温度の上昇を図り、上昇流の生起及びそれによる換気の効率化によって熱負荷の軽減を図るためにブラインドBが配設されている。
【0026】
図2及び図3に示されるように、前記上部側ガラスG1は、前述の通り外気取込口34が各階の窓部上方に設けられる関係上、ほぼ各階の天井パネルPから天井スラブSにかけて設けられるようになる。従って、上部側ガラスG1は、複層ガラス(ペアガラス)としてもよいが、前記天井パネルPによって室内への日射が遮られるため、単板ガラスを使用してもよい。また、ガラスではなく、外壁ボードとすることもできる。
【0027】
一方、前記下部側ガラスG2は、ほぼ各階の床から天井パネルPにかけて設けられ、窓部を構成するものであるから、室内の断熱等を考慮して複層ガラス(ペアガラス)とすることが好ましい。
【0028】
図3に示されるように、前記上部横材32は、上面に上部側ガラスG1との嵌合溝32aを有する枠材であり、前記下部横材33も同様に、下面に下部側ガラスG2との嵌合溝33aを有する枠材である。前記上部横材32及び下部横材33はそれぞれ、室内側に所定長さだけ延在させることにより室内側への流路を形成し、その室内側端面には流路切換装置2の外気連通口7に接続するダクトを固定するためのボルト32b、33bが突出状態で複数設けられている。
【0029】
前記外気取込口34は、外壁部よりも建物の内部側に配設される換気及び空調のための流路切換装置2(後段で詳述)に連通させるようにしている。
【0030】
このように、本発明に係るカーテンウォール構造1では、従来のように窓部をダブルスキンカーテンウォール構造とした上で、このカーテンウォール構造内に流路切換装置を組み込む構成ではないため、シングルスキンのカーテンウォール構造であっても流路切換装置2を設けることが可能となる。
【0031】
前記上部横材32及び下部横材33は、外気取込口34の両側部及びその中間部を連結材(図示せず)によって連結することにより一体的に形成されることが好ましい。これにより外気取込口34の枠材がユニット化でき、施工性及びメンテナンス性の向上が図れるようになる。
前記外気取込口34には、図3に示されるように、開口部にアルミ製のガラリ35が取り付けられるとともに、雨除けなどのため外側に突出する庇36が取り付けられている。前記庇36は、図示例では外気取込口34の外側下部に取り付けてあるが、外側上部に取り付けることができる。
【0032】
〔流路切換装置2の構造〕
前記流路切換装置2は、図2に示されるように、建物の内部に各階毎に設けられ、換気及び空調のための各種運転モードに応じた流路に切り換えるためのものである。図示例では前記流路切換装置2は、各階のカーテンウォールパネル30の近傍において、天井スラブSの下面側に取付け用ブラケット20を介して固設されるとともに、天井パネルP内に収納されている。
【0033】
前記流路切換装置2は、図3及び図4に示されるように、空調設備との連通口4、室内との連通口5、室内側の窓部上部との連通口6及び外気との連通口7を備えたケーシング3と、前記ケーシング3内に回動自在に設けられ、ケーシング3内を流通する流路を切り換える切換本体8とを備えている。前記ケーシング3は、図5に示されるように、変形多角形状断面の中空体とされ、ほぼカーテンウォールパネルに対応する長さ寸法を有し、両端面の開口が端面封鎖板3Aによって封鎖されている。前記各連通口4〜7は、部材長手方向に長いスリット状の開口とされる。
【0034】
前記空調設備連通口4は、図示しない空調設備の給気側に接続され、その途中にエアフィルタなどの機能を有するチャンバーボックス4Aが配設されている(図2参照)。前記室内連通口5は、必要に応じて流路途中にファンを設け、天井パネルP部に設けられる吹出口5Aに接続されている。前記窓部上部連通口6は、カーテンウォールパネル30の室内側近傍の上部、好ましくはカーテンウォールパネル30とブラインドBとの間の上部に設けられた吸込口6Aに接続されている。前記外気連通口7は、建物壁面の外気と連通する外気取込口34に接続されている。前記外気連通口7と外気取込口34とは図示例のようにダクト7Bを介して接続しても、或いは直接的に近接するように接続してもよい。なお、図3に示されるように、前記外気取込口7Aには、アルミ製ガラリ35が設けられるとともに、その内側に鳥の侵入を防止するための防鳥ネット7Dが設けられている。
【0035】
前記流路切換装置2は、詳細には図4に示されるように、断面中空円状のケーシング3の周面に時計回りに、前記空調設備連通口4、室内連通口5、窓部上部連通口6、外気連通口7の順で各連通口4〜7を備えるとともに、このケーシング3内の同心軸部に軸部材9を備えることにより、ケーシング3内に周回流路10が形成されている。
【0036】
前記周回流路10には、空調設備連通口4と室内連通口5との間を仕切るように固定仕切板11が固設されている。固定仕切板11の内周面側及び外周面側の端部にはそれぞれシール材保持部11a、11aが設けられ、それぞれ固形シール材12、12が取り付けられ、これら固形シール材12,12がケーシング3の内面と軸部材9の外面とに夫々接触するようになっている。前記固定仕切板11は、ケーシング3の軸方向両端部を塞ぐ前記端面封鎖板3Aに固定ネジによって固定されている。
【0037】
前記周回流路10には、前記切換本体8が前記軸部材9を回転中心として周回流路方向に沿って回動自在に配置されている。かかる切換本体8は、中空軸状の軸部材9内部に内設されたチューブラモータ19により、軸部材9とともに回転駆動されることにより流路を切換可能としている。
【0038】
前記切換本体8は、図4に示されるように、周回流路10を仕切るように設けられた回転仕切板13と、この回転仕切板13から周方向に所定の間隔を空けた位置に前記周回流路を開放しながら前記連通口を塞ぐように設けられた回転閉塞体14とから構成されている。前記回転仕切板13の外縁部及び前記回転閉塞体14の外周面両側部にはそれぞれ、ケーシング3の軸方向に沿ってシール材保持部13a、14a、14aが設けられ、それぞれ周回流路10の外周面に摺接する固形シール材15、16が取り付けられている。
【0039】
図4に示されるように、前記回転仕切板13と回転閉塞体14との間には離間部17が設けられるとともに、図6に示されるように、前記回転閉塞体14を軸部材9に連結するリブ18に軸方向に複数の開口18A、18A…が設けられることによって、周回流路を開放するための流路が形成されている。これによって、前記離間部17から周回流路10内に流入した空気は、前記開口18Aを通って周回流路10に流通できるようになっている。
【0040】
〔運転モード〕
前記流路切換装置2は、前記切換本体8の切り換え(回転駆動)により、換気及び空調のための以下の4つの運転モードに応じて流路を切り換えている。以下、各種運転モードについて詳しく説明する。
【0041】
(循環空調モード)
本運転モードは、特に夏期に下部側ガラスG2から差し込む日射熱による熱負荷を軽減するため、日射熱により下部側ガラスG2近傍の加熱された空気を窓部上部から吸い込み空調設備に供給するものである。
【0042】
循環空調モードでは、図7に示されるように、切換本体8を回転駆動させることによって、前記回転仕切板13を室内連通口5と窓部上部連通口6との間に位置させて回転仕切板13及び固定仕切板11で挟まれた室内連通口5を塞ぐとともに、前記回転閉塞体14を外気連通口7を塞ぐように位置させる。これにより、切換本体8の離間部17を通じて窓部上部連通口6と空調設備連通口4とが連通し、空調設備のファンの吸込力によって、窓部上部の室内空気が空調設備に供給されるようになる。
ここで、本循環空調モードでは、前記窓部上部連通口6と空調設備連通口4とは、各流路の流路方向中心線の成す角度αが鈍角となるように設けられ、窓部上部の室内空気が円滑に空調設備連通口4に流れるようになっている。
【0043】
(換気空調モード)
本運転モードは、日射熱による熱負荷が弱い時期や、外気を取り入れることによる換気を行いつつ空調を行いたい場合などにおいて、外気を空調設備に供給するものである。
【0044】
換気空調モードでは、図8に示されるように、切換本体8を回転駆動させることによって、前記回転仕切板13を室内連通口5と窓部上部連通口6との間に位置させて回転仕切板13及び固定仕切板11で挟まれた室内連通口5を塞ぐとともに、前記回転閉塞体14を窓部上部連通口6を塞ぐように位置させる。これにより、外気連通口7と空調設備連通口4とが連通し、空調設備のファンの吸込力によって外気が空調設備に供給されるようになる。
【0045】
(自然換気モード)
本運転モードは、春秋等の中間期に外気を直接室内に供給したい場合や夏期に夜間の低温の外気を室内に取り込みたい場合、昼間でも室内換気が必要な場合などに行われるものである。
自然換気モードでは、図9に示されるように、切換本体8を回転駆動させることによって、前記回転仕切板13を外気連通口7と空調設備連通口4との間に位置させて回転仕切板13及び固定仕切板11で挟まれた空調設備連通口4を塞ぐようにする。これにより、外気連通口7と室内連通口5及び窓部上部連通口6とが連通し、室内外の圧力差による自然換気又は流路途中に設けたファンによる強制換気が行われる。
【0046】
ここで、本運転モードでは、窓部上部連通口6が開放されているため、次の構成を採用することにより、窓部上部連通口6への流通を低減している。第1には、窓部上部連通口6は他の連通口より断面積を小さくすることにより、窓部上部連通口6への空気流量を低減するとともに、圧力損失の増加による空気の進入を抑制している。第2には、外気連通口7と室内連通口5とを各流路の流路方向中心線の成す角度βが鈍角となるように、即ち直線的流路とすることにより、外気連通口7から室内連通口5に空気を流れ易くしている。第3には、窓部上部連通口6と窓部上部の吸込口6Aとを接続するダクトに1又は複数のエルボを設け、管路の圧力損失の増加による空気の進入を抑制している。
【0047】
(停止モード)
本モードは、流路切換装置2における空気の流れを停止するものである。停止モードでは、図10に示されるように、切換本体8を回転駆動させることによって、前記循環空調モードと同様に窓部上部連通口6と空調設備連通口4とを連通させた状態で、空調設備の給気ファンを停止して空気の流通を停止する。
【0048】
〔他の形態例〕
上記形態例では、外気取込口34は、枠材31の高さ方向中間に上部横材32と下部横材33とを配置し、前記枠材31の上部側と前記上部横材32とで囲まれた枠部に上部側ガラスG1を支持し、前記枠材31の下部側と前記下部横材33とで囲まれた枠部に下部側ガラスG2を支持し、前記上部横材32と下部横材33との隙間により形成するようにしたが、前記上部横材32と下部横材33に代えて、図11に示される横材21を配置し、枠材31の上部側と前記横材21とで囲まれた枠部に上部側ガラスG1を支持し、前記枠材31の下部側と前記横材21とで囲まれた枠部に下部側ガラスG2を支持し、前記横材21に室内外を連通する開口21a、21a…を設けることにより外気取込口34を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…カーテンウォール構造、2…流路切換装置、3…ケーシング、4…空調設備連通口、5…室内連通口、6…窓部上部連通口、7…外気連通口、8…切換本体、9…軸部材、10…周回流路、11…固定仕切板、13…回転仕切板、14…回転閉塞体、17…離間部、21…横材、30…カーテンウォールパネル、31…枠材、32…上部横材、33…下部横材、34…外気取込口、B…ブラインド、G1…上部側ガラス、G2…下部側ガラス、P…天井パネル、S…スラブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁部よりも建物の内部側に、換気及び空調のための流路切換装置を配設したカーテンウォール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、下記特許文献1に示されるように、窓部を室外側ガラスと室内側ガラスとにより二重構造とし、両ガラス間に空気層を設けるとともに、窓部の上部及び下部にそれぞれ流路切換装置を備え、この流路切換装置の切り換えによって、夏期において下部側から室外空気を空気層に導入させて上部側から室外に排気する流路と、冬期において下部側から室内空気を空気層に導入させて上部側から室内に戻す流路と、中間期において室外空気を室内に取り入れ可能な流路とに切換可能としたカーテンウォール構造が知られている。
【0003】
かかるカーテンウォール構造では、例えば夏期にはガラス窓から差し込む日射熱による熱負荷を軽減し、冬期には太陽熱で暖められた空気を室内に循環するというように、季節毎に効率的な省エネルギー化が図られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−291689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載のカーテンウォール構造では、換気及び空調のための流路切換装置は、カーテンウォール構造内に形成される取付用空間に設置されるものであるため、この流路切換装置を設置するには窓部を室外側ガラスと室内側ガラスとの二重構造とし、両ガラス間に空気層を設けるダブルスキンカーテンウォール構造とする必要があった。従って、通常のシングルスキンのカーテンウォール構造では、壁面の見込み厚が薄く流路切換装置を設置するための空間を確保できないため、前述のような夏期にガラス窓から差し込む日射熱の熱負荷を軽減するための流路切換装置を設けることができなかった。
【0006】
また、上記特許文献1記載のカーテンウォール構造では、前述の通り窓部をダブルスキンとし、さらに1フロアにつき窓部の上部及び下部の両方にそれぞれ流路切換装置を備える必要があるため設備コストが嵩む問題があった。設備コストに対する省エネ効果としては、強い日射が差し込む南側の壁面に対しては有効であるものの、南西側や西側の壁面等では日射条件によっては十分な省エネルギー化が図れない場合があり、過剰設備によるコスト高が指摘されていた。
【0007】
そこで本発明の主たる課題は、カーテンウォール構造において、外壁部よりも建物の内部側に、換気及び空調のための流路切換装置を容易に設置可能とするとともに、建物構造の簡素化によるコスト低減を図ったカーテンウォール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、外周部を枠組みする枠材と、高さ方向中間に配置される上部横材と下部横材とを有し、前記枠材の上部側と前記上部横材とで囲まれた枠部に上部側パネルが支持され、前記枠材の下部側と前記下部横材とで囲まれた枠部に下部側パネルが支持され、かつ前記上部横材と下部横材との間に外気取込口が設けられたカーテンウォールパネルを上下及び左右方向に隣接配置することにより建物の外壁部を構成し、
前記外壁部よりも建物の内部側に、換気及び空調のための流路切換装置を配設するとともに、この流路切換装置と前記外気取込口とを連通させたことを特徴とするカーテンウォール構造が提供される。
【0009】
上記請求項1記載の発明では、外壁部よりも建物の内部側に、換気及び空調のための流路切換装置を配設するとともに、この流路切換装置と外気取込口とを連通させてあるため、従来のように窓部をダブルスキンカーテンウォール構造とした上で、このカーテンウォール自体に流路切換装置を組み込むという構造ではなく、シングルスキンのカーテンウォール構造においても換気及び空調のための流路切換装置を設けることができ、壁面構造の簡素化によるコスト低減が図れるようになる。また、前記従来構造の場合は、上下方向に隣接するカーテンウォールパネル間に流路切換装置を設置する空間を設けるようにしていたが、この場合は、設置空間を精度良く確保するための精度管理が煩雑であったが、本発明では、外周部を枠組みする枠材と、高さ方向中間に配置される上部横材と下部横材とを有し、前記枠材の上部側と前記上部横材とで囲まれた枠部に上部側パネルが支持され、前記枠材の下部側と前記下部横材とで囲まれた枠部に下部側パネルが支持され、かつ前記上部横材と下部横材との間に、予め、外気取込口が設けられたカーテンウォールパネルを使用しているため、流路切換装置の設置空間を考慮することなく、一般的なカーテンウォール工法どおり、パネルを上下左右方向に隣接配置するだけの工事で済むようになる。
【0010】
請求項2に係る本発明として、外周部を枠組みする枠材と、高さ方向中間に配置される横材とを有し、前記枠材の上部側と前記横材とで囲まれた枠部に上部側パネルが支持され、前記枠材の下部側と前記横材とで囲まれた枠部に下部側パネルが支持され、かつ前記横材に室内外を連通する外気取込口が設けられたカーテンウォールパネルを上下及び左右方向に隣接配置することにより建物の外壁部を構成し、
前記外壁部よりも建物の内部側に、換気及び空調のための流路切換装置を配設するとともに、この流路切換装置と前記外気取込口とを連通させたことを特徴とするカーテンウォール構造が提供される。
【0011】
上記請求項2記載の発明は、外気取込口を形成する第2の形態例であり、具体的には、枠材の高さ方向中間に横材を配置し、この横材に室内外を連通する外気取込口(通孔)を設けるようにしたものである。
【0012】
請求項3に係る本発明として、前記流路切換装置は、空調設備との連通口、室内との連通口、室内側の窓部上部との連通口及び前記外気取込口を通じた外気との連通口を備えたケーシングと、前記ケーシング内に回動自在に設けられ、ケーシング内を流通する空気の流路を切り換える切換本体とを備え、
前記切換本体の切り換えにより、前記窓部上部連通口と空調設備連通口とを連通させ、窓部上部の室内空気を前記空調設備に供給する循環空調モードと、前記外気連通口と空調設備連通口とを連通させ、外気を前記空調設備に供給する換気空調モードと、前記外気連通口と室内連通口及び窓部上部連通口とを連通させ、外気を室内に供給する自然換気モードとに切換可能としてある請求項1、2いずれかに記載のカーテンウォール構造が提供される。
【0013】
上記請求項3記載の発明は、前記流路切換装置の具体的な構成と各種運転モードにおける流路の切り換え状態について規定したものである。特に、循環空調モードでは、窓部上部連通口と空調設備連通口とを連通させ、窓部上部の室内空気を空調設備に供給するため、夏期にガラス窓から差し込む日射熱の熱負荷が軽減できるようになる。
【0014】
請求項4に係る本発明として、前記上部側パネルは、ガラス又は外壁ボードのいずれかからなる請求項1〜3いずれかに記載のカーテンウォール構造が提供される。
【0015】
上記請求項4記載の発明では、例えば前記外気取込口を各階の天井パネルより上部側に設けた場合、上部側パネルとしてはガラスでもよいが、天井パネルによって室内への日射が遮られるため外壁ボードを使用するようにしてもよい。
【0016】
請求項5に係る本発明として、前記下部側パネルは、ガラスからなる請求項1〜4いずれかに記載のカーテンウォール構造が提供される。
【0017】
上記請求項5記載の発明では、下部側パネルは、建物の窓部を構成するようにガラスを使用するのが望ましい。
【0018】
請求項6に係る本発明として、前記上部横材及び下部横材は、連結材によって連結することにより一体的に形成されている請求項1記載のカーテンウォール構造が提供される。
【0019】
上記請求項6記載の発明では、前記上部横材及び下部横材を連結材によって連結することにより一体的に形成することによって、外気取込口の枠材をユニット化でき、施工性及びメンテナンス性の向上が図れるようになる。
【0020】
請求項7に係る本発明として、前記外気取込口にはガラリを配設してある請求項1〜6いずれかに記載のカーテンウォール構造が提供される。
【0021】
請求項8に係る本発明として、前記外気取込口の外側には、庇が取り付けてある請求項1〜7いずれかに記載のカーテンウォール構造が提供される。
【発明の効果】
【0022】
以上詳説のとおり本発明によれば、シングルスキンのカーテンウォール構造において換気及び空調のための流路切換装置を容易に設置可能にするとともに、建物構造の簡素化によるコスト低減を図ったカーテンウォール構造が提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るカーテンウォール構造1の正面図である。
【図2】流路切換装置2を備えた建物の縦断面図である。
【図3】その要部拡大図である。
【図4】流路切換装置2の縦断面図である。
【図5】流路切換装置2の斜視図である。
【図6】切換本体8の斜視図である。
【図7】循環空調モードにおける流路切換装置2の縦断面図である。
【図8】換気空調モードにおける流路切換装置2の縦断面図である。
【図9】自然換気モードにおける流路切換装置2の縦断面図である。
【図10】停止モードにおける流路切換装置2の縦断面図である。
【図11】外気取込口34の他の形成例を示す横材断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
〔カーテンウォール構造〕
本発明に係るカーテンウォール構造1は、図1及び図2に示されるように、外周部を枠組みする枠材31と、高さ方向中間に配置される上部横材32と下部横材33とを有し、前記枠材31の上部側と前記上部横材32とで囲まれた枠部に上部側ガラスG1が支持され、前記枠材31の下部側と前記下部横材33とで囲まれた枠部に下部側ガラスG2が支持され、かつ前記上部横材32と下部横材33とを上下方向に間隔を空けて設けることにより、これらの間に外気取込口34が設けられたカーテンウォールパネル30を上下及び左右方向に隣接配置することにより建物の外壁部を構成したものである。そして、この外壁部よりも建物の内部側に、換気及び空調のための流路切換装置2を配設するとともに、この流路切換装置2と前記外気取込口34とを連通させるようにしてある。
【0025】
以下、具体的に詳述すると、
先ず建物構造としては、図2に示されるように、外壁を前記カーテンウォールパネル30で構成するとともに、各階にスラブSが配設され、各階の窓部の上方に対応する位置、詳細には天井パネルPとスラブSとの間に、前記外気取込口34が設けられている。また、各階の窓部近傍の室内側には、日射を遮るとともに窓部との間の空気温度の上昇を図り、上昇流の生起及びそれによる換気の効率化によって熱負荷の軽減を図るためにブラインドBが配設されている。
【0026】
図2及び図3に示されるように、前記上部側ガラスG1は、前述の通り外気取込口34が各階の窓部上方に設けられる関係上、ほぼ各階の天井パネルPから天井スラブSにかけて設けられるようになる。従って、上部側ガラスG1は、複層ガラス(ペアガラス)としてもよいが、前記天井パネルPによって室内への日射が遮られるため、単板ガラスを使用してもよい。また、ガラスではなく、外壁ボードとすることもできる。
【0027】
一方、前記下部側ガラスG2は、ほぼ各階の床から天井パネルPにかけて設けられ、窓部を構成するものであるから、室内の断熱等を考慮して複層ガラス(ペアガラス)とすることが好ましい。
【0028】
図3に示されるように、前記上部横材32は、上面に上部側ガラスG1との嵌合溝32aを有する枠材であり、前記下部横材33も同様に、下面に下部側ガラスG2との嵌合溝33aを有する枠材である。前記上部横材32及び下部横材33はそれぞれ、室内側に所定長さだけ延在させることにより室内側への流路を形成し、その室内側端面には流路切換装置2の外気連通口7に接続するダクトを固定するためのボルト32b、33bが突出状態で複数設けられている。
【0029】
前記外気取込口34は、外壁部よりも建物の内部側に配設される換気及び空調のための流路切換装置2(後段で詳述)に連通させるようにしている。
【0030】
このように、本発明に係るカーテンウォール構造1では、従来のように窓部をダブルスキンカーテンウォール構造とした上で、このカーテンウォール構造内に流路切換装置を組み込む構成ではないため、シングルスキンのカーテンウォール構造であっても流路切換装置2を設けることが可能となる。
【0031】
前記上部横材32及び下部横材33は、外気取込口34の両側部及びその中間部を連結材(図示せず)によって連結することにより一体的に形成されることが好ましい。これにより外気取込口34の枠材がユニット化でき、施工性及びメンテナンス性の向上が図れるようになる。
前記外気取込口34には、図3に示されるように、開口部にアルミ製のガラリ35が取り付けられるとともに、雨除けなどのため外側に突出する庇36が取り付けられている。前記庇36は、図示例では外気取込口34の外側下部に取り付けてあるが、外側上部に取り付けることができる。
【0032】
〔流路切換装置2の構造〕
前記流路切換装置2は、図2に示されるように、建物の内部に各階毎に設けられ、換気及び空調のための各種運転モードに応じた流路に切り換えるためのものである。図示例では前記流路切換装置2は、各階のカーテンウォールパネル30の近傍において、天井スラブSの下面側に取付け用ブラケット20を介して固設されるとともに、天井パネルP内に収納されている。
【0033】
前記流路切換装置2は、図3及び図4に示されるように、空調設備との連通口4、室内との連通口5、室内側の窓部上部との連通口6及び外気との連通口7を備えたケーシング3と、前記ケーシング3内に回動自在に設けられ、ケーシング3内を流通する流路を切り換える切換本体8とを備えている。前記ケーシング3は、図5に示されるように、変形多角形状断面の中空体とされ、ほぼカーテンウォールパネルに対応する長さ寸法を有し、両端面の開口が端面封鎖板3Aによって封鎖されている。前記各連通口4〜7は、部材長手方向に長いスリット状の開口とされる。
【0034】
前記空調設備連通口4は、図示しない空調設備の給気側に接続され、その途中にエアフィルタなどの機能を有するチャンバーボックス4Aが配設されている(図2参照)。前記室内連通口5は、必要に応じて流路途中にファンを設け、天井パネルP部に設けられる吹出口5Aに接続されている。前記窓部上部連通口6は、カーテンウォールパネル30の室内側近傍の上部、好ましくはカーテンウォールパネル30とブラインドBとの間の上部に設けられた吸込口6Aに接続されている。前記外気連通口7は、建物壁面の外気と連通する外気取込口34に接続されている。前記外気連通口7と外気取込口34とは図示例のようにダクト7Bを介して接続しても、或いは直接的に近接するように接続してもよい。なお、図3に示されるように、前記外気取込口7Aには、アルミ製ガラリ35が設けられるとともに、その内側に鳥の侵入を防止するための防鳥ネット7Dが設けられている。
【0035】
前記流路切換装置2は、詳細には図4に示されるように、断面中空円状のケーシング3の周面に時計回りに、前記空調設備連通口4、室内連通口5、窓部上部連通口6、外気連通口7の順で各連通口4〜7を備えるとともに、このケーシング3内の同心軸部に軸部材9を備えることにより、ケーシング3内に周回流路10が形成されている。
【0036】
前記周回流路10には、空調設備連通口4と室内連通口5との間を仕切るように固定仕切板11が固設されている。固定仕切板11の内周面側及び外周面側の端部にはそれぞれシール材保持部11a、11aが設けられ、それぞれ固形シール材12、12が取り付けられ、これら固形シール材12,12がケーシング3の内面と軸部材9の外面とに夫々接触するようになっている。前記固定仕切板11は、ケーシング3の軸方向両端部を塞ぐ前記端面封鎖板3Aに固定ネジによって固定されている。
【0037】
前記周回流路10には、前記切換本体8が前記軸部材9を回転中心として周回流路方向に沿って回動自在に配置されている。かかる切換本体8は、中空軸状の軸部材9内部に内設されたチューブラモータ19により、軸部材9とともに回転駆動されることにより流路を切換可能としている。
【0038】
前記切換本体8は、図4に示されるように、周回流路10を仕切るように設けられた回転仕切板13と、この回転仕切板13から周方向に所定の間隔を空けた位置に前記周回流路を開放しながら前記連通口を塞ぐように設けられた回転閉塞体14とから構成されている。前記回転仕切板13の外縁部及び前記回転閉塞体14の外周面両側部にはそれぞれ、ケーシング3の軸方向に沿ってシール材保持部13a、14a、14aが設けられ、それぞれ周回流路10の外周面に摺接する固形シール材15、16が取り付けられている。
【0039】
図4に示されるように、前記回転仕切板13と回転閉塞体14との間には離間部17が設けられるとともに、図6に示されるように、前記回転閉塞体14を軸部材9に連結するリブ18に軸方向に複数の開口18A、18A…が設けられることによって、周回流路を開放するための流路が形成されている。これによって、前記離間部17から周回流路10内に流入した空気は、前記開口18Aを通って周回流路10に流通できるようになっている。
【0040】
〔運転モード〕
前記流路切換装置2は、前記切換本体8の切り換え(回転駆動)により、換気及び空調のための以下の4つの運転モードに応じて流路を切り換えている。以下、各種運転モードについて詳しく説明する。
【0041】
(循環空調モード)
本運転モードは、特に夏期に下部側ガラスG2から差し込む日射熱による熱負荷を軽減するため、日射熱により下部側ガラスG2近傍の加熱された空気を窓部上部から吸い込み空調設備に供給するものである。
【0042】
循環空調モードでは、図7に示されるように、切換本体8を回転駆動させることによって、前記回転仕切板13を室内連通口5と窓部上部連通口6との間に位置させて回転仕切板13及び固定仕切板11で挟まれた室内連通口5を塞ぐとともに、前記回転閉塞体14を外気連通口7を塞ぐように位置させる。これにより、切換本体8の離間部17を通じて窓部上部連通口6と空調設備連通口4とが連通し、空調設備のファンの吸込力によって、窓部上部の室内空気が空調設備に供給されるようになる。
ここで、本循環空調モードでは、前記窓部上部連通口6と空調設備連通口4とは、各流路の流路方向中心線の成す角度αが鈍角となるように設けられ、窓部上部の室内空気が円滑に空調設備連通口4に流れるようになっている。
【0043】
(換気空調モード)
本運転モードは、日射熱による熱負荷が弱い時期や、外気を取り入れることによる換気を行いつつ空調を行いたい場合などにおいて、外気を空調設備に供給するものである。
【0044】
換気空調モードでは、図8に示されるように、切換本体8を回転駆動させることによって、前記回転仕切板13を室内連通口5と窓部上部連通口6との間に位置させて回転仕切板13及び固定仕切板11で挟まれた室内連通口5を塞ぐとともに、前記回転閉塞体14を窓部上部連通口6を塞ぐように位置させる。これにより、外気連通口7と空調設備連通口4とが連通し、空調設備のファンの吸込力によって外気が空調設備に供給されるようになる。
【0045】
(自然換気モード)
本運転モードは、春秋等の中間期に外気を直接室内に供給したい場合や夏期に夜間の低温の外気を室内に取り込みたい場合、昼間でも室内換気が必要な場合などに行われるものである。
自然換気モードでは、図9に示されるように、切換本体8を回転駆動させることによって、前記回転仕切板13を外気連通口7と空調設備連通口4との間に位置させて回転仕切板13及び固定仕切板11で挟まれた空調設備連通口4を塞ぐようにする。これにより、外気連通口7と室内連通口5及び窓部上部連通口6とが連通し、室内外の圧力差による自然換気又は流路途中に設けたファンによる強制換気が行われる。
【0046】
ここで、本運転モードでは、窓部上部連通口6が開放されているため、次の構成を採用することにより、窓部上部連通口6への流通を低減している。第1には、窓部上部連通口6は他の連通口より断面積を小さくすることにより、窓部上部連通口6への空気流量を低減するとともに、圧力損失の増加による空気の進入を抑制している。第2には、外気連通口7と室内連通口5とを各流路の流路方向中心線の成す角度βが鈍角となるように、即ち直線的流路とすることにより、外気連通口7から室内連通口5に空気を流れ易くしている。第3には、窓部上部連通口6と窓部上部の吸込口6Aとを接続するダクトに1又は複数のエルボを設け、管路の圧力損失の増加による空気の進入を抑制している。
【0047】
(停止モード)
本モードは、流路切換装置2における空気の流れを停止するものである。停止モードでは、図10に示されるように、切換本体8を回転駆動させることによって、前記循環空調モードと同様に窓部上部連通口6と空調設備連通口4とを連通させた状態で、空調設備の給気ファンを停止して空気の流通を停止する。
【0048】
〔他の形態例〕
上記形態例では、外気取込口34は、枠材31の高さ方向中間に上部横材32と下部横材33とを配置し、前記枠材31の上部側と前記上部横材32とで囲まれた枠部に上部側ガラスG1を支持し、前記枠材31の下部側と前記下部横材33とで囲まれた枠部に下部側ガラスG2を支持し、前記上部横材32と下部横材33との隙間により形成するようにしたが、前記上部横材32と下部横材33に代えて、図11に示される横材21を配置し、枠材31の上部側と前記横材21とで囲まれた枠部に上部側ガラスG1を支持し、前記枠材31の下部側と前記横材21とで囲まれた枠部に下部側ガラスG2を支持し、前記横材21に室内外を連通する開口21a、21a…を設けることにより外気取込口34を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…カーテンウォール構造、2…流路切換装置、3…ケーシング、4…空調設備連通口、5…室内連通口、6…窓部上部連通口、7…外気連通口、8…切換本体、9…軸部材、10…周回流路、11…固定仕切板、13…回転仕切板、14…回転閉塞体、17…離間部、21…横材、30…カーテンウォールパネル、31…枠材、32…上部横材、33…下部横材、34…外気取込口、B…ブラインド、G1…上部側ガラス、G2…下部側ガラス、P…天井パネル、S…スラブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部を枠組みする枠材と、高さ方向中間に配置される上部横材と下部横材とを有し、前記枠材の上部側と前記上部横材とで囲まれた枠部に上部側パネルが支持され、前記枠材の下部側と前記下部横材とで囲まれた枠部に下部側パネルが支持され、かつ前記上部横材と下部横材との間に外気取込口が設けられたカーテンウォールパネルを上下及び左右方向に隣接配置することにより建物の外壁部を構成し、
前記外壁部よりも建物の内部側に、換気及び空調のための流路切換装置を配設するとともに、この流路切換装置と前記外気取込口とを連通させたことを特徴とするカーテンウォール構造。
【請求項2】
外周部を枠組みする枠材と、高さ方向中間に配置される横材とを有し、前記枠材の上部側と前記横材とで囲まれた枠部に上部側パネルが支持され、前記枠材の下部側と前記横材とで囲まれた枠部に下部側パネルが支持され、かつ前記横材に室内外を連通する外気取込口が設けられたカーテンウォールパネルを上下及び左右方向に隣接配置することにより建物の外壁部を構成し、
前記外壁部よりも建物の内部側に、換気及び空調のための流路切換装置を配設するとともに、この流路切換装置と前記外気取込口とを連通させたことを特徴とするカーテンウォール構造。
【請求項3】
前記流路切換装置は、空調設備との連通口、室内との連通口、室内側の窓部上部との連通口及び前記外気取込口を通じた外気との連通口を備えたケーシングと、前記ケーシング内に回動自在に設けられ、ケーシング内を流通する空気の流路を切り換える切換本体とを備え、
前記切換本体の切り換えにより、前記窓部上部連通口と空調設備連通口とを連通させ、窓部上部の室内空気を前記空調設備に供給する循環空調モードと、前記外気連通口と空調設備連通口とを連通させ、外気を前記空調設備に供給する換気空調モードと、前記外気連通口と室内連通口及び窓部上部連通口とを連通させ、外気を室内に供給する自然換気モードとに切換可能としてある請求項1、2いずれかに記載のカーテンウォール構造。
【請求項4】
前記上部側パネルは、ガラス又は外壁ボードのいずれかからなる請求項1〜3いずれかに記載のカーテンウォール構造。
【請求項5】
前記下部側パネルは、ガラスからなる請求項1〜4いずれかに記載のカーテンウォール構造。
【請求項6】
前記上部横材及び下部横材は、連結材によって連結することにより一体的に形成されている請求項1記載のカーテンウォール構造。
【請求項7】
前記外気取込口にはガラリを配設してある請求項1〜6いずれかに記載のカーテンウォール構造。
【請求項8】
前記外気取込口の外側には、庇が取り付けてある請求項1〜7いずれかに記載のカーテンウォール構造。
【請求項1】
外周部を枠組みする枠材と、高さ方向中間に配置される上部横材と下部横材とを有し、前記枠材の上部側と前記上部横材とで囲まれた枠部に上部側パネルが支持され、前記枠材の下部側と前記下部横材とで囲まれた枠部に下部側パネルが支持され、かつ前記上部横材と下部横材との間に外気取込口が設けられたカーテンウォールパネルを上下及び左右方向に隣接配置することにより建物の外壁部を構成し、
前記外壁部よりも建物の内部側に、換気及び空調のための流路切換装置を配設するとともに、この流路切換装置と前記外気取込口とを連通させたことを特徴とするカーテンウォール構造。
【請求項2】
外周部を枠組みする枠材と、高さ方向中間に配置される横材とを有し、前記枠材の上部側と前記横材とで囲まれた枠部に上部側パネルが支持され、前記枠材の下部側と前記横材とで囲まれた枠部に下部側パネルが支持され、かつ前記横材に室内外を連通する外気取込口が設けられたカーテンウォールパネルを上下及び左右方向に隣接配置することにより建物の外壁部を構成し、
前記外壁部よりも建物の内部側に、換気及び空調のための流路切換装置を配設するとともに、この流路切換装置と前記外気取込口とを連通させたことを特徴とするカーテンウォール構造。
【請求項3】
前記流路切換装置は、空調設備との連通口、室内との連通口、室内側の窓部上部との連通口及び前記外気取込口を通じた外気との連通口を備えたケーシングと、前記ケーシング内に回動自在に設けられ、ケーシング内を流通する空気の流路を切り換える切換本体とを備え、
前記切換本体の切り換えにより、前記窓部上部連通口と空調設備連通口とを連通させ、窓部上部の室内空気を前記空調設備に供給する循環空調モードと、前記外気連通口と空調設備連通口とを連通させ、外気を前記空調設備に供給する換気空調モードと、前記外気連通口と室内連通口及び窓部上部連通口とを連通させ、外気を室内に供給する自然換気モードとに切換可能としてある請求項1、2いずれかに記載のカーテンウォール構造。
【請求項4】
前記上部側パネルは、ガラス又は外壁ボードのいずれかからなる請求項1〜3いずれかに記載のカーテンウォール構造。
【請求項5】
前記下部側パネルは、ガラスからなる請求項1〜4いずれかに記載のカーテンウォール構造。
【請求項6】
前記上部横材及び下部横材は、連結材によって連結することにより一体的に形成されている請求項1記載のカーテンウォール構造。
【請求項7】
前記外気取込口にはガラリを配設してある請求項1〜6いずれかに記載のカーテンウォール構造。
【請求項8】
前記外気取込口の外側には、庇が取り付けてある請求項1〜7いずれかに記載のカーテンウォール構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−132719(P2011−132719A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292182(P2009−292182)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】
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