説明

カーテンウォール

【課題】 方立と無目との連結部において、湿式のシール材を用いることなく、高い防水性を有するカーテンウォールを提供する。
【解決手段】 上下の方立1,2と左右の無目3とを備え、上側の方立は、下端小口から室内側面が下方に延出して延出壁部11を形成しており、上側の方立と、延出壁部と、下側の方立とで囲まれた空間に左右から無目が嵌め込んであり、延出壁部は、無目の室内側面31に対向して上方立防水ブロック6を有しており、下側の方立は、上端小口に下方立防水ブロック7を有しており、左右の無目は、対向する小口にそれぞれ無目防水ブロック8を有しており、両無目防水ブロックは、互いに圧接する見込面81と、無目の室内側面と面一の室内側面82を有しており、上方立防水ブロックの室外側面61が無目防水ブロック及び無目の室内側面に圧接しており、上方立防水ブロックの下面62が下方立防水ブロックの上面71に圧接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下の方立と左右の無目とを突き合わせる連結部を有するカーテンウォールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーテンウォールの方立と無目との連結部は、湿式のシール材でシールして防水していた。しかし、湿式のシール材は、シール材により外壁が汚れること、劣化しやすいこと、養生期間が必要でありまた雨天時には施工ができず作業性が悪いこと、シール目地がポケット状になり水がたまりやすいことなどが問題であった。そこで、特許文献1のカーテンウォールは、湿式のシール材を用いず、方立と無目のそれぞれの端部にシリコンスポンジゴムを配してあり、左右の無目に配したシリコンスポンジゴム同士が当接し、さらにその上下に方立に配したシリコンスポンジゴムが当接することで防水している(図10)。こうした防水用のゴムは成形品であるから管理がしやすく、シール材のように外壁を汚すこともない。また、耐久性、作業性も良好である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−127097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のカーテンウォールにおいては、シリコンスポンジゴム同士の当接面が室外側から室内側まで連続しているから、当接面に水が浸入した場合、その水が室内側まで到達してしまうおそれがある。また、連結部周辺の水の流れについても考慮されていない。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、方立と無目との連結部において、湿式のシール材を用いることなく、高い防水性を有するカーテンウォールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1の発明は、上下の方立と左右の無目とを備え、上側の方立は、下端小口から室内側面が下方に延出して延出壁部を形成しており、上側の方立と、延出壁部と、下側の方立とで囲まれた空間に左右から無目が嵌め込んであり、延出壁部は、無目の室内側面に対向して上方立防水ブロックを有しており、下側の方立は、上端小口に下方立防水ブロックを有しており、左右の無目は、対向する小口にそれぞれ無目防水ブロックを有しており、両無目防水ブロックは、互いに圧接する見込面と、無目の室内側面と面一の室内側面を有しており、上方立防水ブロックの室外側面が無目防水ブロック及び無目の室内側面に圧接しており、上方立防水ブロックの下面が下方立防水ブロックの上面に圧接していることを特徴とする。
【0007】
本発明のうち請求項2の発明は、無目防水ブロックの上面は、無目の見込面に向けて下り勾配で傾斜していることを特徴とする。
【0008】
本発明のうち請求項3の発明は、下方立防水ブロックは、上下方向に貫通する排水部を有しており、方立は、略筒形で中空部を有しており、下方立防水ブロックの排水部が下側の方立の中空部と連通していることを特徴とする。
【0009】
本発明のうち請求項4の発明は、下側の方立の室外側に押縁が設けてあり、下側の方立に設けた押縁の上端小口に押縁防水ブロックを有しており、押縁防水ブロックの上面が無目防水ブロックの下面に圧接していることを特徴とする。
【0010】
本発明のうち請求項5の発明は、上下左右に腕部が延びる十字形のブラケットを備え、上下の方立及び左右の無目は、ブラケットの各腕部に連結してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のうち請求項1の発明によれば、上側の方立の延出壁部に無目の室内側面に対向して上方立防水ブロックが設けてあり、無目防水ブロックの室内側面が上方立防水ブロックの室外側面に圧接していることから、水が上方立防水ブロックより室内側に浸入するのを確実に防ぐことができる。また、無目の室内側面が上方立防水ブロックの室外側面に圧接していることから、方立に対する無目の水平方向の角度変位の許容範囲が拡大し、多少のズレが有る場合でも防水性を確保できる。
【0012】
本発明のうち請求項2の発明によれば、無目防水ブロックの上面が傾斜しているので、水が連結部から左右方向に導かれる。また、方立及び無目に嵌め込まれたガラスパネルが層間変位した場合でも、上記の傾斜によりガラスパネルと無目防水ブロックとの衝突を回避できる。
【0013】
本発明のうち請求項3の発明によれば、無目防水ブロックの互いに圧接する見込面に水が浸透した場合でも、その水は下方立防水ブロックの排水部から下側の方立の中空部へと導かれ、当該連結部の一段下の連結部に到達し、無目防水ブロックにより左右方向に導かれる。
【0014】
本発明のうち請求項4の発明によれば、押縁に設けた押縁防水ブロックが無目防水ブロックに圧接しているので、押縁の上端部からの水の浸入を防ぐ。
【0015】
本発明のうち請求項5の発明によれば、十字形のブラケットのそれぞれの腕部に上下の方立及び左右の無目を連結すればよいので、連結部における方立及び無目の位置決めが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のカーテンウォールの連結部の斜視図である。
【図2】連結部の組み立て途中の斜視図である。
【図3】連結部の組み立て途中の斜視図である。
【図4】連結部の組み立て後の外観の斜視図である。
【図5】図7のA−A線断面図であり、連結部の横断面図である。
【図6】図7のB−B線断面図であり、連結部の縦断面図である。
【図7】カーテンウォールの正面図である。
【図8】無目防水ブロックの詳細図である。
【図9】ガラスパネルが層間変位した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。このカーテンウォールは、図7に示すように、格子状に組んだ方立1,2及び無目3にガラスパネルPを嵌め込んだもので、上側の方立1、下側の方立2及び左右の無目3を突き合わせる連結部Jを有する。そして図5に示すように、方立1は略四角筒形状で中空部12を有し、室外側には押縁4を取り付けるための取付溝13が形成してあり、室内側にはブラケット100をネジ止めするための溝状のネジ止め部14が形成してある。押縁4は、断面が略T字形状で方立1の取付溝13に取り付けてあり、方立1と押縁4のそれぞれに設けたタイト材TによりガラスパネルPを挟み込んで固定してある。また図6に示すように、無目3は略四角筒形状で室外側に向けて下向きに傾斜した補強材32を有し、室外側に延出部33が形成してあり、室内側にはブラケット100をネジ止めするためのネジ止め部34が形成してある。押縁10は断面が略F字形状で、無目3の延出部33の先端部に形成した係合部36に係合して取り付けてあり、無目3と押縁10のそれぞれに設けたタイト材TによりガラスパネルPを挟み込んで固定してある。そして、ブラケット100はその室内側端において躯体Fにネジ止めしてある。
【0018】
続いて、連結部Jの詳細について、組み立て後及び組み立て途中の斜視図である図1〜図4に基づいて説明する。ただし、これらの図において、タイト材及びガラスパネルについては省略した。この連結部Jにおいて、上側の方立1の下端小口からは室内側面が下方に延出して、延出壁部11を形成している。延出壁部11の室外側には、略平板形状の上方立防水ブロック6を接着して設けてある。一方、下側の方立2の上端小口には、略コ字形状の下方立防水ブロック7が、前側に開口する向きに設けてある。下方立防水ブロック7は、左右方向中央で二分割されており、下面には突出部(図示省略)を備え、この突出部を方立2の中空部22に差し込んである。そしてコ字形状の中央の欠損部分を上下に貫通する排水部72とし、排水部72は中空部22と連通している。さらに、左右の無目3の対向する小口には、それぞれ無目防水ブロック8が設けてある。無目防水ブロック8の形状は、図8(a)に示すものであり、前後方向に延びる胴部85と、胴部85の他方の無目3と対向する側に形成した見込面81と、胴部85の室内側に形成した室内側面82と、胴部85の室外側に形成した室外側面86と、室外側面86の下端の下面84と、胴部85の下側に形成したリブ87とを有し、胴部85とリブ87の間に溝部88が形成されている。また、胴部85の上面83は、見込面81側に向けて上向きに傾斜しており、見込面81の下端面89は、見込面81側に向けて下向きに傾斜している。このように形成した無目防水ブロック8は、図8(b)に示すように、無目3の補強材32及び延出部33を溝部88に挿入して無目3の小口に取り付けてある。この際、上面83は、見込面81側から、無目3の見込面である補強材32及び延出部33に向けて下り勾配で傾斜し、室内側面82は無目3の室内側面31と面一になり、室外側面86は無目3の延出部33の室外側面35と略面一になる。また、連結部J近傍において、無目3の室外側面には排水窓37を形成してあり、延出部33には室外側面35及び係合部36の一部を切り欠いた切欠部38が形成してある。さらに、無目3の押縁10には、室内側面と見込面のそれぞれに排水孔10a,10bが形成してある。また、下側の方立2に設けた押縁5の上端小口には、押縁防水ブロック9が設けてある。押縁防水ブロック9は、縦断面が台形で、下面には突出部(図示省略)を備え、この突出部を押縁5の上端に差し込んである。なお、各防水ブロックは、シリコンスポンジゴムからなる。
【0019】
そして、これらの方立1,2及び無目3を、ブラケット100により連結する。ブラケット100は十字形で、上下左右に延びる腕部101を有している。まず、下側の方立2を、ブラケット100の下側の腕部101にネジ止めする(図2の状態)。続いて、上側の方立1を、ブラケット100の上側の腕部101にネジ止めする(図3の状態)。この際、上方立防水ブロック6の下面62が、下方立防水ブロック7の上面71に圧接する。そしてこの状態では、上側の方立1、その延出壁部11及び下側の方立2が左右方向から見て略コ字形になっており、その開口部に左右の無目3が嵌るように、それぞれブラケット100の左右の腕部101にネジ止めする(図1の状態)。この際、両無目防水ブロック8の見込面81が互いに圧接し、また上方立防水ブロック6の室外側面61が無目防水ブロック8の室内側面82及び無目3の室内側面31に圧接する。また、下側の方立2の取付溝23に押縁5を取り付け、押縁5の押縁防水ブロック9の上面91が無目防水ブロック8の下面84に圧接する。さらに、上側の方立1の取付溝13及び左右の無目3の延出部33にそれぞれ押縁4,10を取り付け、上側の押縁4の下端が押縁防水ブロック9に圧接し、上下の押縁4,5及び左右の押縁10は面一となる。なお、上側の方立1の下端と左右の無目3との間及び上側の押縁4と左右の押縁10との間はシール材Sによりシールしてある(図4の状態)。
【0020】
このように構成したカーテンウォールの連結部Jにおいては、上側の方立1の延出壁部11に設けた上方立防水ブロック6が無目3の室内側面31に対向しており、無目防水ブロック8の室内側面82が上方立防水ブロック6の室外側面61に圧接していることから、水が上方立防水ブロック6より室内側に浸入するのを確実に防ぐことができる。また、無目3の室内側面31が上方立防水ブロック6の室外側面61に圧接していることから、方立1,2に対する無目3の水平方向の角度変位の許容範囲が拡大し、多少のズレが有る場合でも防水性を確保できる。さらに、無目防水ブロック8の胴部85の上面83が傾斜しているので、図1中の一点鎖線で示すように、水が連結部Jから左右の無目3の補強材32又は延出部33に導かれる。補強材32に導かれた水は、補強材32が室外側に向けて下向きに傾斜しているから、排水窓37を通って延出部33へ流れる。そして延出部33に導かれた水は、切欠部38又は押縁10の排水孔10a,10bを通って室外側に排水される。さらに、互いに圧接する見込面81に水が浸透した場合でも、その水は下方立防水ブロック7の排水部72から下側の方立2の中空部22へと導かれ、当該連結部Jの一段下の連結部に到達し、無目防水ブロックにより左右方向に導かれる。また、下側の押縁5に設けた押縁防水ブロック9の上面91が無目防水ブロック8の下面84に圧接しているので、押縁5の上端部からの水の浸入を防ぐことができる。そして上側の押縁4の下端が押縁防水ブロック9に圧接しているから、上下の押縁4,5の間にシール材を用いる必要がなく、また上側の押縁4により無目防水ブロック8及び押縁防水ブロック9が覆い隠され、さらに上下の押縁4,5と左右の押縁10とが面一となるから、外観が良好である。そしてこのように押縁4,5,10を設けることで、室外側から浸入する水に対して、まず押縁4,5,10が防水機能を発揮し、そこから浸入したとしても、さらにその室内側の無目防水ブロック8、上方立防水ブロック6及び下方立防水ブロック7が防水機能を発揮する二重の防水構造となるので、防水性が非常に高い。さらに、十字形のブラケット100のそれぞれの腕部101に上下の方立1,2及び左右の無目3を連結すればよいので、連結部Jにおける方立1,2及び無目3の位置決めが容易である。
【0021】
また、図9に示すように、方立及び無目に嵌め込まれたガラスパネルPが層間変位した場合でも、無目防水ブロック8の上面83及び下端面89が傾斜しているから、ガラスパネルPと無目防水ブロック8との衝突を回避できる。
【0022】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。各防水ブロックの形状は、上記の作用効果を奏するものであれば、方立や無目の形状等に合わせて適宜変更できる。また、各防水ブロックの素材は、他の部材と圧接して水の浸入を防ぐことができるものであればどのようなものでもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 方立(上側)
2 方立(下側)
3 無目
5 押縁(下側)
6 上方立防水ブロック
7 下方立防水ブロック
8 無目防水ブロック
9 押縁防水ブロック
11 延出壁部
12,22 中空部
31 室内側面(無目)
61 室外側面(上方立防水ブロック)
62 下面(上方立防水ブロック)
71 上面(下方立防水ブロック)
72 排水部
81 見込面(無目防水ブロック)
82 室内側面(無目防水ブロック)
83 上面(無目防水ブロック)
84 下面(無目防水ブロック)
91 上面(押縁防水ブロック)
100 ブラケット
101 腕部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下の方立と左右の無目とを備え、上側の方立は、下端小口から室内側面が下方に延出して延出壁部を形成しており、上側の方立と、延出壁部と、下側の方立とで囲まれた空間に左右から無目が嵌め込んであり、延出壁部は、無目の室内側面に対向して上方立防水ブロックを有しており、下側の方立は、上端小口に下方立防水ブロックを有しており、左右の無目は、対向する小口にそれぞれ無目防水ブロックを有しており、両無目防水ブロックは、互いに圧接する見込面と、無目の室内側面と面一の室内側面を有しており、上方立防水ブロックの室外側面が無目防水ブロック及び無目の室内側面に圧接しており、上方立防水ブロックの下面が下方立防水ブロックの上面に圧接していることを特徴とするカーテンウォール。
【請求項2】
無目防水ブロックの上面は、無目の見込面に向けて下り勾配で傾斜していることを特徴とする請求項1記載のカーテンウォール。
【請求項3】
下方立防水ブロックは、上下方向に貫通する排水部を有しており、方立は、略筒形で中空部を有しており、下方立防水ブロックの排水部が下側の方立の中空部と連通していることを特徴とする請求項1又は2記載のカーテンウォール。
【請求項4】
下側の方立の室外側に押縁が設けてあり、下側の方立に設けた押縁の上端小口に押縁防水ブロックを有しており、押縁防水ブロックの上面が無目防水ブロックの下面に圧接していることを特徴とする請求項1、2又は3記載のカーテンウォール。
【請求項5】
上下左右に腕部が延びる十字形のブラケットを備え、上下の方立及び左右の無目は、ブラケットの各腕部に連結してあることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のカーテンウォール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−21372(P2011−21372A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166885(P2009−166885)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)
【Fターム(参考)】