説明

カーテンウオール

【課題】カーテンウオールが面外方向に向かう荷重を受けた時に、左右に隣接した突出部を有した縦枠と突出部を有しない縦枠に面外方向の変位差が生じないカーテンウオールとする。
【解決手段】カーテンウオールユニット1の枠体4の一方の縦枠10は突出部20を有し、他方の縦枠11は突出部20を有しないものとし、この左右に隣接した一方の縦枠10と他方の縦枠11に亘って係止部品30を取付けて、前述の両方の縦枠10,11が面外方向に相対的に動かないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンウオールユニットを上下、左右に連続して建物躯体に取付けるようにしたユニット式のカーテンウオールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠体にパネル体を装着したカーテンウオールユニットを、建物躯体に上下、左右に連続して取付けるユニット式のカーテンウオールにおいて、その枠体の左右一方の縦枠に、装飾やゴンドラレール等のために突出部を設けたものが提案されている。
例えば、特許文献1に開示されたように、枠体の左右一方の縦枠に装飾縁を設けたユニット式のカーテンウオールが提案されている。
【特許文献1】特開平7−113279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した従来のカーテンウオールは、強風雨やゴンドラ等により面外方向(室内外側方向)に向かう荷重を受け、この荷重で枠体の縦枠が面外方向にたわむことがある。
前記枠体の一方の縦枠は装飾縁を有しているので面外方向の剛性が、他方の縦枠の面外方向の剛性よりも強いので、一方の縦枠の面外方向のたわみ量は、他方の縦枠の面外方向のたわみ量よりも小さい。
一方、左右に隣接したカーテンウオールユニットは、装飾縁を有した一方の縦枠と装飾縁を有しない他方の縦枠が左右に隣接するようにしてある。
このために、カーテンウオールが面外方向に向かう荷重を受けた時に、左右に隣接した縦枠に面外方向の変位差が生じてしまう。
つまり、装飾縁を有しない縦枠の面外方向のたわみ量が大きいので、面外方向に大きく変位するが、装飾縁を有する縦枠の面外方向のたわみ量が小さいので、面外方向の変位が小さく、面外方向の変位差が生じる。
【0004】
前述のように、左右に隣接した縦枠に面外方向の変位差が生じると、その左右に隣接した縦枠間の水密性能が低下することがある。
【0005】
本発明の目的は、カーテンウオールが面外方向に向かう荷重を受けた時に、左右に隣接した突出部を有した縦枠と、突出部を有しない縦枠に、面外方向の変位差が生じないようにしたカーテンウオールとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、枠体にパネル体を取付けた複数のカーテンウオールユニットを、建物躯体に上下、左右に連続して取付けたカーテンウオールであって、
前記各枠体は、突出部を有した左右一方の縦枠と、突出部を有しない左右他方の縦枠を備え、左右に隣接した枠体は、その突出部を有した縦枠と突出部を有しない縦枠が左右に隣接し、
この左右に隣接した突出部を有した縦枠と突出部を有しない縦枠を、係止部品で面外方向に相対的に動かないように連結したことを特徴とするカーテンウオールである。
【0007】
本発明においては、係止部品は、突出部を有し左右一方の縦枠に取付けられる第1ブラケットと、左右他方の縦枠に取付けられる第2ブラケットを備え、
前記第1ブラケットと第2ブラケットが面外方向に動かないように嵌合して連結するようにできる。
このようにすれば、係止部品のブラケットと突出部を縦枠に取付けるブラケットが兼用であるから、部品点数が少ないと共に、係止部品、突出部の縦枠への取付け作業が容易である。
【0008】
本発明においては、係止部品は、左右一方の縦枠に取付けられる第1ブラケットと、左右他方の縦枠に取付けられる第2ブラケットを備え、その第1ブラケットと第2ブラケットは面内方向に移動することで面外方向に動かないように嵌合し、
前記左右一方の縦枠と左右他方の縦枠とに、面内方向に移動することで圧接するシール材を相対向してそれぞれ取付けるようにできる。
このようにすれば、左右一方のカーテンウオールユニットを建物躯体に取付けた後に、左右他方のカーテンウオールユニットを左右一方に向けて移動して建物躯体に取付けることで、係止部品の第1ブラケットと第2ブラケットが連結すると共に、シール材が接して左右の縦枠間を水密できる。
したがって、カーテンウオールユニットを左右方向に連続して取付ける作業が簡単である。
【0009】
本発明においては、第1ブラケットは面内方向に開口した凹部を有し、第2ブラケットは面内方向に向かう凸部を有し、
この凹部と凸部が嵌合することで面外方向に動かないように連結されるようにできる。
このようにすれば、凸部と凹部の嵌合によって突出部を有した縦枠と突出部を有しない縦枠が相対的に面外方向に動かないようにしっかりと連結することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カーテンウオールが面外方向に向かう荷重を受けた時に、左右に隣接した突出部を有しない縦枠が突出部を有した縦枠よりも大きく面外方向にたわもうとするが、前述の2つの縦枠相互は係止部品によって相対的に面外方向に動けないので、前述の2つの縦枠は面外方向に同一量だけたわむ。
したがって、左右に隣接した突出部を有した縦枠と突出部を有しない縦枠に、面外方向の変位差が生じることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1と図2に示すように、複数のカーテンウオールユニット1を、建物躯体2、例えば床スラブにファスナー3で上下、左右に連続して取付けてユニット式のカーテンウオールとしてある。
前記カーテンウオールユニット1は、枠体4にパネル体5を装着してある。
前記枠体4は、左の縦枠10、右の縦枠11と上横枠12と下横枠13と中間横枠14を方形状に連結してある。
前記縦枠10,11の上部寄りがファスナー3で建物躯体2に取付けてある。
上下に隣接した枠体4の下横枠13と上横枠12が連結部品8で面外方向(室内外側方向)に相対的に動かないように連結してある。
この連結部品8は、上向きの突部を有した第1部品8aと下向きの凹部を有した第2部品8bを有し、その第1部品8aの突部と第2部品8bの凹部を嵌合して面外方向に相対的に動かないように連結する。
前記左の縦枠10が突出部20を有し、右の縦枠11は突出部20を有していない。
前記パネル体5はガラスやパネルであるが、開閉自在な障子でも良い。
【0012】
前記左右に隣接したカーテンウオールユニット1,1における左右に隣接した左の縦枠10と右の縦枠11とに亘って係止部品30が取付けてあり、この係止部品30で左の縦枠10と右の縦枠11が面外方向(室内外側方向)に相対的に動かないように連結されている。
前記係止部品30は、縦枠の長手方向(上下方向)に間隔を置いた複数位置に取付けてある。この位置と数は任意である。
【0013】
このようであるから、カーテンウオールが面外方向に向かう荷重を受けた時に、突出部20を有しない右の縦枠11が突出部20を有した左の縦枠10よりも面外方向に大きくたわもうとするが、係止部品30によって左右の縦枠10,11は面外方向に相対的に動かないように連結されているので、右の縦枠11と左の縦枠10の面外方向のたわみ量が同じで、面外方向の変位差が生じない。
【0014】
前記係止部品30は、図3に示すように、突出部20を有した第1ブラケット31と、この第1ブラケット31に面外方向に動かないように嵌合した第2ブラケット32を備えている。
前記第1ブラケット31が左の縦枠10の面外方向の室外側部に、面外方向に動かないように固着して取付けられ、突出部20が左の縦枠10よりも面外方向の室外側に突出するようにしてある。
前記第2ブラケット32が右の縦枠11の面外方向の室外側部に、面外方向に動かないように固着して取付けられる。
【0015】
このように、係止部品30の第1ブラケット31は突出部20を縦枠に取付けるブラケットを兼用しているので、部品点数が少なく、係止部品30、突出部20の取付け作業が簡単である。
なお、突出部20を縦枠に取付けるブラケット(第1ブラケット31)は複数(例えば8コ)有り、そのいずれかのブラケット(例えば3コ)に第2ブラケット32を嵌合して係止部品30としてある。
【0016】
前記第1ブラケット31と第2ブラケット32は、面内方向(パネル体5に沿った左右方向)に相対的に移動することで、面外方向に動かないように嵌合するようにしてある。
なお、面外方向に動かないように嵌合とは、面外方向に全く動かない場合でも良いが、作業性などを考慮して面外方向に僅かに動く場合も含むとする。
例えば、第1ブラケット31は面内方向に開口した凹部31aを有し、第2ブラケット32は面外方向に向かう凸部32aを有している。
【0017】
前記縦枠10,11の面外方向の中間部には一次シール材(レインバリア)6が装着され、面外方向の室内側部には二次シール材7が装着してある。
この一次シール材6、二次シール材7は上横材12、下横材13にも装着され、それらは枠体4の周囲に連続して装着してある。
そして、左右に隣接した左の縦枠10の一次シール材6、二次シール材7と、右の縦枠11の一次シール材6、二次シール材7は面内方向に接して左右に隣接した左右の縦枠10,11間を水密している。
【0018】
このようであるから、左右一方のカーテンウオールユニット1を建物躯体2に取付けた後に、左右他方のカーテンウオールユニット1を面内方向に向けて移動して第1・第2ブラケット31,32を嵌合すると共に、一次シール材6、二次シール材7をそれぞれ接するように取付けできる。
したがって、カーテンウオールユニット1を左右方向に連続して取付ける作業が簡単である。
【0019】
しかも、カーテンウオールが面外方向に向かう荷重を受けた時に、係止部品30によって左右の縦枠10,11に面外方向の変位差が生じないようにするので、前述の一次シール材6、二次シール材7が面外方向にずれることがなく常に接しているから、左右に隣接した縦枠間の水密性が低下することがない。
【0020】
次に、突出部20と係止部品取付部を詳細に説明する。
前記左右の縦枠10,11は、図3に示すように、面外方向に向かう基板15と、この基板15の面外方向室内側部に設けた取付部16、面外方向中間部に設けた第1・第2シール材取付部17,18、面外方向室外側部に設けたブラケット取付部19を有する同一断面形状である。
前記取付部16が前述のファスナー3で建物躯体2に取付けられる。
前記第1シール材取付部17に二次シール材7、第2シール材取付部18に一次シール材6がそれぞれ取付けられる。
前記ブラケット取付部19に第1・第2ブラケット31,32が取付けられる。
前記突出部20は、面外方向に向かう第1板21と第2板22を複数の連結片23で一体に連結した中空部を有すると共に、室外側部にゴンドラガイド部24を有した長尺材である。
【0021】
前記ブラケット取付部19は図4に示すように、面内方向の外側に向かう第1外向片19aと第2外向片19bと、この第1・第2外向片19a,19bの突出方向中間に設けた相対向した第1・第2支持片19c,19dを有している。
前記第1ブラケット31は、面外方向に向かう取付片33と、この取付片33の面外方向両端部に設けた第1・第2外向片34,35でほぼコ字形状の縦枠取付部36と、この縦枠取付部36(第2外向片35)に設けた突出部取付部37を備え、その突出部取付部37が前記突出部20の連結片23にボルト38で固着して取付けてある。
前記取付片33が、前記第1・第2外向片19a,19b間に嵌合すると共に、第1・第2支持片19c,19dに接し、その取付片33からボルト39を裏板40に螺合し、その裏板40を第1・第2支持片19c,19dに接して第1ブラケット31の縦枠取付部36を縦枠10のブラケット取付部19に取付けている。
【0022】
前記第2ブラケット32は、面外方向に向かう取付片41と、この取付片41に設けた面内方向外側に向かう第1・第2外向片42,43を備え、この取付片41からボルト44を裏板45に螺合し、その裏板45と取付片41とで第1・第2支持片19c,19dを挟持するように取付けられる。
前記第1・第2外向片42,43が前述の凸部32aで、第1ブラケット31の第1・第2外向片34,35間(前述の凹部31a)に嵌合するようにしてある。
前記第1・第2ブラケット31,32は金属製であるから、直接に接触すると金属きしみ音などが発生することがあるので、第2ブラケット32の第1・第2外向片42,43に非金属部材から成る緩衝材46、例えばゴムパッキンを取付け、この緩衝材46が第1ブラケット31の第1・第2外向片34,35に接するようにしてある。
【0023】
前述の実施の形態では、第1ブラケット31を突出部20と別体としたが、一体としても良い。
また、突出部20を縦枠10に取付けるブラケットと係止部品30の第1ブラケット31を別部品としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態を示すカーテンウオールの一部外観図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B拡大断面図である。
【図4】図3のC部拡大図である。
【符号の説明】
【0025】
1…カーテンウオールユニット、2…建物躯体、3…ファスナー、4…枠体、5…パネル体、6…一次シール材、7…二次シール材、10…縦枠、11…縦枠、20…突出部、30…係止部品、31…第1ブラケット、31a…凹部、32…第2ブラケット、32a…凸部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体にパネル体を取付けた複数のカーテンウオールユニットを、建物躯体に上下、左右に連続して取付けたカーテンウオールであって、
前記各枠体は、突出部を有した左右一方の縦枠と、突出部を有しない左右他方の縦枠を備え、左右に隣接した枠体は、その突出部を有した縦枠と突出部を有しない縦枠が左右に隣接し、
この左右に隣接した突出部を有した縦枠と突出部を有しない縦枠を、係止部品で面外方向に相対的に動かないように連結したことを特徴とするカーテンウオール。
【請求項2】
係止部品は、突出部を有し左右一方の縦枠に取付けられる第1ブラケットと、左右他方の縦枠に取付けられる第2ブラケットを備え、
前記第1ブラケットと第2ブラケットが面外方向に動かないように嵌合して連結するようにした請求項1記載のカーテンウオール。
【請求項3】
係止部品は、左右一方の縦枠に取付けられる第1ブラケットと、左右他方の縦枠に取付けられる第2ブラケットを備え、その第1ブラケットと第2ブラケットは面内方向に移動することで面外方向に動かないように嵌合し、
前記左右一方の縦枠と左右他方の縦枠とに、面内方向に移動することで圧接するシール材を相対向してそれぞれ取付けた請求項1又は2記載のカーテンウオール。
【請求項4】
第1ブラケットは面内方向に開口した凹部を有し、第2ブラケットは面内方向に向かう凸部を有し、
この凹部と凸部が嵌合することで面外方向に動かないように連結されるようにした請求項2又は3記載のカーテンウオール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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