説明

カーテンコーター

【課題】
本発明の目的は、出口幅に渡る塗布媒体を均一に分配することを確保するカーテンコーターを提案することである。
【解決手段】
液体またはペースト状の塗布媒体を重力下においてに移動するカーテンの形で、移動する紙または板状織物上に吐出するためのカーテンコーターであって、吐出幅に沿って延びており、少なくとも1つの供給ラインを経て前記塗布媒体が供給される第1の分配チャンバー、および流出方向において、前記塗布媒体を区分された流れに分断する流出チャネルを有し、かつ出口スロットを経てカーテンとして塗布媒体を吐出する第2の分配チャンバーを有するノズル本体から構成され、前記流出方向において、前記第2の分配チャンバーは、調整点および拡張チャンバーを通過する複数の方向変更する流路を有するカーテンコーター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提である液体またはペースト状の塗布媒体を吐出するためのカーテンコーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(DE10 2009036853)は、コーターの反対方向に塗布媒体の圧力および/または容量配分が均一化されるのを確保する一般的なカーテンコーターを開示している。この目的のために、第1および第2の分配チャンバーが順々に流出方向に配置され、区分された流れに再分割された流出スロットがこれらの間に渡って延びている。
カーテンコーターを使用して紙または板状織物を塗布する間、塗布混合物は織物幅全体のわたってできる限り均一に塗布されるように意図される。塗布厚さは織物表面全体にわたってできるだけ均一でなければならない。このための基本的な前提条件は、容量流出及び速度に関して出口幅にわたる塗布混合物の均一な分配がなされることである。例えば、8〜10mの大きな作用幅で、2〜10g/mの低い塗布重量の場合、この目的は実行することが特に難しい。塗布の均一な分配が達成される塗布染料の粘性及び塗布容量に関する大きなばらつきのような操作の不安定性は、塗布の均一な分配が達成される場合にさらなる要求を構成する。
【0003】
特許文献2(DE197 55625)は、ノズル体が望ましい作用幅に対応する長さを有する2つの壁のような部位から構成されるカーテンコーターを開示している。前記2つの部位が一緒に結合された後、その部位の1つの長い側に組み込まれるのは、分配チャンバーを構成する長手方向の溝である。その分配チャンバーに接続されるのは、作用幅に渡って延びている塗布染料が排出される排出路である。不安定な条件下で中断が無く小さい容量の塗布染料を幅の広い紙または板状の織物に均一に塗布するためには、例えば、分配チャンバーにおける流出条件が供給される流出容量によって影響される。この目的のために、それぞれ供給される塗布染料の流出容量の調整部を有する、少なくとも2つの供給チャネルが分配チャンバーに接続される。ホース締め付けバルブまたは隔壁バルブは流出容量調整のために使用される。したがって、それぞれの供給チャネルの流出容量は別々に調整される。第2の分配チャンバーは、さらなる均一化の目的のため、分配チャンバーと出口チャネルの間に配置される。次いで、第1の分配チャンバーと第2の分配チャンバーの間には、追加の流出チャネルがある。横軸側面調整のための追加の作動要素が要求されることが欠点である。個別の区分からの個々の部分的な流れは出口スロットにおいて均一な薄膜流出を形成するために結合されないことも欠点である。出口スロットおよびカーテンにおいては、しまが生じてしまい、塗布欠陥の原因となり、製造中断の原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE10 2009036853
【特許文献2】DE197 55 625
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、出口幅に渡る塗布媒体を均一に分配することを確保するカーテンコーターを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、クレーム1に記載の特徴的事項によって達成される。
このように、カーテンにおいて均一な薄膜流出を形成する区分された流れ(部分的流れ)を結合し、しまの発生を回避するカーテンコーターが提案される。したがって、カーテンコーター横軸側面における塗布媒体の圧力および/または容量分配を均一化が均一な薄膜流出と共に組み合わされる。
入り組んだ流路パターンが特に好ましい。
本発明のさらなる改良は、下記の説明およびクレームの記載から得ることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、出口幅に渡る塗布媒体を均一に分配することを確保するカーテンコーターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】カーテンコーターのノズル本体の断面模式図を示す。
【図2】本発明の第1の実施態様の第2の分配チャンバーの斜視図を示す。
【図3】本発明の第2の実施態様の第2の分配チャンバーの斜視図を示す。
【図4】多層織物コーティングのための滝状ノズルの断面模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、液体またはペースト状の塗布媒体を重力下において実質的に移動するカーテンの形で移動する紙または板状織物上に吐出するためのカーテンコーターに関するものである。
図1が示すように、吐出幅に沿って延びている第1の分配チャンバー1を有するノズル本体を有するカーテンコーターを示している。この分配チャンバー1は少なくとも1つの供給線(図示しない)によって塗布媒体が供給されている。このノズル本体はさらに、出口スロット4を経てカーテンとして塗布媒体を吐出する第2の分配チャンバー3を有する。第1及び第2の分配チャンバー3の間に、塗布媒体を区分された流れ2−1、2−2、2−3に分断させる追加の流出チャネル2が配置されている。ここで、流出方向Sはカーテンコーターの横軸方向に垂直方向である。
【0010】
流出方向Sにおいて、第2の分配チャンバー3は、調整点3−1及び拡大チャンバー3−2を貫通する、複数の方向変化を有する流路を有する。図1に示すように、流出チャネル2の後には第1の調整点3−1が続くことが好ましい。この第1の調整点3−1は、例えば、流路を減少させる流出ループにより形成される。調整点3−1はしたがって局部的流路狭小点である。流路におけるこの減少は、流出チャネル2の流出中央線に対して、偏って形成されている。第1の調整点3−1の後には、流出方向Sにおいて第1の拡張チャンバー3−2が続くことが好ましく、そこでは、流路の断面積が調整点3−1に比較して大きくなっている。この流出断面積は好ましくはほぼ流出チャネル2の流出断面積以上である。第1の拡張チャンバー3−2の後には、流出中央線2に対して再度横方向に相殺するように偏った第2の調整点3−1が続くことが好ましい。第2の調整点3−1の後には、第2の拡張チャンバー3−2が続き、この第2の調整点3−1に対して横方向に相殺するように偏った第3の調整点3−1が続くことが好ましい。出口スロット4の前には、上流に配置された拡張チャンバー3−2より大きくしてよい拡張チャンバー3−2がさらに配置されることが好ましい。調整点3−1の配置のため、流路は複数の方向変更点を有し、これによって区分された流れ2−1、2−2、2−3の端部の結合を確保し、拡張チャンバー3−2は前記流出の適切な中間的な緩和を確保する。この結果、区分された流れ2−1、2−2、2−3からの分配チャンバー3における均一な薄膜流出の形成を確保する。ここで、調整点3−1の配列により流路パターンを決めることができる。
【0011】
流出方向においては、調整点3−1及び拡張チャンバー3−2は好ましくは交互に配列される。調整点3−1及び拡張チャンバー3−2は、好ましくはそれぞれ機械(カーテンコーター)と同じ幅で形成することが好ましい。例えば、流路における方向の変化は、規則的であることが好ましい。
第2の分配チャンバー3は入り組んだものであることが好ましい。
調整点3−1は流出ループを連続的に形成し、それぞれの場合、拡張チャンバー3−2は2つの流出ループ間に配列されている。
少なくとも3つの調整点3−1および2つの拡張チャンバー3−2が流出方向Sにおいて次から次へと配列されることが好ましい。
【0012】
図2は、流出チャネル2が区分された流れ2−1、2−2、2−3の複数の個別の案内チャネルに分解されていることを示している。例示的な実施態様の図3が示すように、区分された流れ2−1、2−2、2−3の案内チャネルは、それぞれ区分された流れ2−1、2−2、2−3が出口側で一緒になるように導かれて拡散器5−1、5−2、5―3に合流する。
区分された流れ2−1、2−2、2−3は、好ましくは第1の分配チャンバー1から右角度で、コーターの横方向に延びる。また、区分された流れ2−1、2−2、2−3は好ましくは列に配置される。
【0013】
出口側における区分された流れ2−1、2−2、2−3の端部と第2の分配チャンバー6の間には、第2分配チャンバーへの侵入前に個別区分された流れ2−1、2−2、2−3が再び一緒になるように、流出チャネル6の残りの部分高さが機械(カーテンコーター)の幅の流出スロットとして形成され得る。
流出と接触しているカーテンコーターの部分は、機械的に、かつ化学的に負荷がかかる。したがって、防錆性の鉄鋼、例えば、Moを含まないCr−Ni鋼、Moを含むCr−Ni鋼またはフェライト・オーステナイト・2相鋼から製造することが有利である。
あるいは、ノズル本体は熱可塑性樹脂から構成することができる。立体的な安定性、化学的安定性(0.1%下の低膨張性)の要求を満たすために、PEI、PEEK、PPSU、PTFE、PVDF、POM〜DIN EN ISO 1043−1のような高特性樹脂(アモルファス及び部分結晶性)がノズル本体を製造するための材料として好ましい。
【0014】
本発明にしたがって記載されるノズル本体は、スライド・ダイ法またはスロット・ダイ法にしたがったカーテンコートに使用することができる。
図4は、液体または粘性媒体の移動する紙または板状織物への多層塗布のためのカーテンコーターを示す。ノズル本体は、塗布される層のための別々の媒体流体10、11を形成し、段階的なノズル本体の出口スロット4の出口においてカーテン12を形成するために一緒になるように導かれる。この目的のために、上記の複数のノズル本体が互いに近くに配列されるが、ここでは、2つの場合が例示される。滴下縁14を有する供給注ぎ口13の上方で、カーテン12が出口スロット4から現れて移動する織物15上に流出し、塗布装置下で、輸送方向Tに移動する。図1〜図3の例示の実施態様から離れて、図4の例示の実施態様においては、流出方向Sは上方に向いている。図1〜図3によれば、流出方向Sは下方に向いている。あるいは、本明細書において、上記説明は対応する方法によって適用される。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明によれば、出口幅に渡る塗布媒体を均一に分配することを確保するカーテンコーターを提供することができ、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0016】
1 第1の分配チャンバー
2 流出
2−1 区分された流れ
2−2 区分された流れ
2−3 区分された流れ
3 第2の流出チャネル
3−1 調整点
3−2 調整点
3−3 調整点
4 出口スロット
5−1 拡散器
5−2 拡散器
5−3 拡散器
10 分離された媒体流体
11 分離された媒体流体
12 カーテン
13 出口スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体またはペースト状の塗布媒体を重力下において移動するカーテンの形で、移動する紙または板状織物上に吐出するためのカーテンコーターであって、
吐出幅に沿って延びており、少なくとも1つの供給ラインを経て前記塗布媒体が供給される第1の分配チャンバー(1)、および流出方向において、前記塗布媒体を区分された流れ(2−1、2−2、2−3)に分断する流出チャネルを(2)有し、かつ出口スロット(4)を経てカーテンとして塗布媒体を吐出する第2の分配チャンバー(3)を有するノズル本体から構成され、
前記流出方向(S)において、前記第2の分配チャンバー(3)は、調整点(3−1)および拡張チャンバー(3−2)を通過する複数の方向変更する流路を有するカーテンコーター。
【請求項2】
前記方向変更は規則的であることを特徴とする請求項1に記載のカーテンコーター。
【請求項3】
前記第2の分配チャンバー(3)は入り組んだ形であることを特徴とする請求項1または2に記載のカーテンコーター。
【請求項4】
前記調整点(3−1)および前記拡張チャンバー(3−2)はそれぞれ前記カーテンコーターの幅と同じになるように形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカーテンコーター。
【請求項5】
前記調整点(3−1)および前記拡張チャンバー(3−2)は流出方向において、交互に配列されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカーテンコーター。
【請求項6】
前記調整点(3−1)の前記配列が流路パターンを決めることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のカーテンコーターであって、前記調整点によって流路パターンが決まることを特徴とするカーテンコーター。
【請求項7】
前記調整点(3−1)は連続した流出ループを形成し、それぞれの流出ループについて拡張チャンバー(3−2)が2つの流出ループ間に配列されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のカーテンコーター。
【請求項8】
少なくとも3つの調整点および2つの拡張チャンバーが流出方向に次々と配列されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のカーテンコーター。
【請求項9】
前記流出チャネル(2)は、それぞれ前記出口側において区分された流れ(2−1、2−2、2−3)が一緒になるための拡散器(5−1、5−2、5−3)に出口側で統合する複数の個別の案内チャネルに分断されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のカーテンコーター。
【請求項10】
前記区分された流れ(2−1、2−2、2−3)は前記第1の分配チャンバーから右角度で前記塗布器の横方向に延びていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のカーテンコーター。
【請求項11】
前記区分された流れ(2−1、2−2、2−3)は列をなして配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のカーテンコーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−99738(P2013−99738A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−228334(P2012−228334)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【出願人】(507392808)アンドリッツ キスタース ゲーエムベーハー (8)
【氏名又は名称原語表記】Andritz Kuesters GmbH
【住所又は居所原語表記】Eduard−Kuesters−Str.1,47805 Krefeld,Germany
【Fターム(参考)】