説明

カーテン吊り具

【課題】 カーテンを安定的に吊り止めると同時にひだ部を整形して膨らみを持った美しい形状に保つカーテン吊り具を提供する。
【解決手段】 吊り具本体2は、上下方向に直線的に伸びる基幹部4、その上部に背面側設けられた上部挿入杆5、下部背面側に設けられた下部挿入杆6から成る。基幹部4の前側に、下方へ移動できるようにフック体3をラチェット係合させる。上部挿入杆5には、一体に左右一対の翼8を設ける。翼8は、上部挿入杆5と共にカーテンのひだ部内に挿入され、ひだ部に美しい膨らみを付与すると共に、吊り具1の上下方向の軸周りの回転を防止して、カーテンに対する吊り具1の安定的な係止に寄与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カーテンを吊り止めると同時に、ひだ部を整形して体裁を整えることかできるカーテン吊り具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーテンを吊り止めると同時にひだを整形して見栄えを良くすることができるカーテン吊り具が特許文献1に記載されている。このカーテン吊り具は、ランナの吊り環に掛け止め可能なフックと、カーテンの上部に形成されたひだ部へ上方から下向きに挿入される下向きの挿入杆と、カーテンのひだ部へ下方から上向きに挿入される上向きの係止突片とを備える。上部の挿入杆には、ひだの内側へ挿入される一対の翼を有する整形部材が着脱可能に取り付けられる。
【特許文献1】実開平5−28280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のカーテン吊り具においては、二枚の翼が、上下にわたってほぼ同幅の長方形状で、大きく挿入杆から延出する構成であるため、挿入杆と共に上方からひだ部へ挿入する際に、収縮状態にあるひだ部に翼の下縁が当接して作業が難渋するという問題点がある。翼は、二枚が平面視でV字状に延出し、先端がひだ部の頂点に到達しているため、比較的大きな長さを必要とし、大型化を余儀なくされるという問題点がある。
また、一般にカーテン吊り具は、全てカーテンの窓側の面に対してフックを直角に延出させる状態を維持することが、カーテンを整然と美しく吊る上で望ましいが、従来、吊り具が上下方向の軸周りに回転して、カーテンの窓側の面に対して左右いずれかに倒れてしまう現象が生じている。
したがって、この出願に係る発明は、翼を上部挿入杆と共にひだ部へ挿入する作業が容易で、比較的小型でもカーテンを美しく整形することができ、またカーテンに対して上下方向の軸周りに回転することなく、カーテンの窓側の面に対してフックを常時直角に延出させる状態を維持できるカーテン吊り具を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための弾性合成樹脂製のカーテン吊り具1は、ランナの吊り環に掛け止め可能なフック13と、カーテン21の上部に室内側へ突出するように形成されたひだ部22へ上方から下向きに挿入される下向きの上部挿入杆5と、カーテン21のひだ部22へ下方から上向きに挿入される上向きの下部挿入杆6とを備え、上部挿入杆5は、ひだ部22の内側へ挿入される左右一対の翼8を具備する。一対の翼8は、基部が上部挿入杆5に沿うようにこれと一体に形成され、下縁9が上部挿入杆5の下部から上方に向かって徐々に左右へ広がる。
【発明の効果】
【0005】
この出願に係る発明のカーテン吊り具1によれば、一対の翼8の基部が上部挿入杆5に沿うようにこれと一体に形成され、その下縁9が上部挿入杆5の下部から上方に向かって徐々に左右へ広がるように構成されるため、翼8は、下端部から、その下縁10によってひだ部22を徐々に押し広げながら、ひだ部22の内側に円滑に挿入される。
翼8の少なくとも上部挿入杆5に近接した一部が、カーテンの室内側の面24にほぼ平行に広がる構成である場合には、当該平行部分が、ひだ部22の一部をカーテンの室内側の面24に引き寄せて、室内側の面24に沿うことにより、基幹部4の軸周り回転を防止し、フック13を転倒させることなく、カーテン吊り具1を安定的にカーテン21に係止することができる。
以上添付図面の符号を参照して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は本発明に係るカーテン吊り具の斜視図、図2は図1のカーテン吊り具の正面図、図3は図1のカーテン吊り具の側面図、図4は図1のカーテン吊り具の背面図、図5は図1のカーテン吊り具の平面図、図6は図1のカーテン吊り具のカーテンへの装着状態の側面図、図7は図1のカーテン吊り具のカーテンへの装着状態の平面図、図8はカーテン吊り具を装着する前のカーテンのひだ部の平面図である。
【0007】
図6ないし図8に示すように、カーテン21は、窓側の面23とその反対の室内側の面24とを有し、上縁部に、横方向に相互間隔を置いて複数のひだ部22を有する。ひだ部22は、カーテン21の室内側の面から突出しており、柔らかい膨らみを持った状態で室内側から見て独特の美観を呈する。この発明に係るカーテン吊り具1は、カーテン21の窓側の面23に沿うように、ひだ部22に対応する位置に装着される。
【0008】
カーテン吊り具1は、弾性合成樹脂製の本体2と同じく弾性合成樹脂製のフック体3とからなる。
【0009】
本体2は、上下方向に直線的に伸び、装着時にカーテン21の窓側の面23に沿う基幹部4と、基幹部4のカーテン21に沿う面である背面側の上部に設けられた上部挿入杆5と、同じく背面側の下部に設けられた下部挿入杆6と、反対の前面側の上下にわたって設けられたラチェット係合部7とを有する。
【0010】
上部挿入杆5は、基幹部4の上端部から後方へほぼ逆U字状に屈曲して下方へ延出し、図3に示すように、カーテン21のひだ部22に下向きに挿入される。下部挿入杆6は、基幹部4の下端部から後方へ略U字状に屈曲して上向きに延出しており、カーテン21のひだ部22へ上向きに挿入される。上部挿入杆5と下部挿入杆6は、カーテン21のひだ部22へ挿入されることにより、基幹部4の背面との間に縫合部25を挟み、協働して本体2をカーテン21に係止する。
【0011】
左右一対の翼8は、薄板状で、上部挿入杆5から、カーテン21の室内側の面24とほぼ平行になるように左右に広がって一体に延出する。翼8は、図5に示す平面視において左右先端に向かうにしたがってカーテン21の室内側の面24からわずかに離れるように緩く湾曲し、図4に示す背面視においてほぼ逆三角形状である。翼8の下縁9は、上部挿入杆5の下部から上方に向かって弧を描いて徐々に左右へ広がる。翼8の上縁10は、上部挿入杆5の上端よりやや下方の位置からほぼ水平に延び、左右の端の円弧状端縁11を介して下縁9に連続する。
【0012】
フック体3は、基幹部4に対してラチェット式に一方向へ移動自由に係合するラチェット係合部12と、そこから前方へ延出したフック13とを具備する。ラチェット係合部12は、基幹部4のラチェット係合部7に係合するラチェット爪14を具備する。
【0013】
上記実施形態のカーテン吊り具1をカーテン21に装着する場合には、例えば、上部挿入杆5をカーテン21のひだ部22へ上方から下方に向けて挿入し、次いで、下部挿入杆6をカーテン21のひだ部22へ下方から上方に向けて挿入する。する。上部挿入杆5をカーテン21のひだ部22へ挿入するとき、同時に翼8がひだ部22の内側に差し込まれる。ひだ部22は、上部挿入杆5を挿入する前には、一般に図8に示すように圧縮された状態にある。これに上部挿入杆5を翼8と共に挿入すると、翼8は、下端部から、その円弧状の下縁10によってひだ部22を徐々に押し広げながら、その内側に円滑に挿入される。ひだ部22は、縫合部25の左右両側がカーテン21の室内側の面24に沿うように引き寄せられる結果、全体に膨らみが付与され、美しい外観を呈する。また、翼8が、カーテン21の室内側の面24に沿うので、吊り具1におけるカーテン21に対する基幹部4の軸周りの相対回転が防止され、吊り具1をカーテン21に安定して係止することができる。
【0014】
なお、翼8は、平面視において湾曲することなく全体をカーテン21の室内側の面24とほぼ平行となる平板状に構成することができる。またフック13は基幹部4と一体のものとして構成することができる。
カーテンのひだ部の形状は、図示する「三つひだ」の他、図示しない「二つひだ」、「一つひだ」、「箱ひだ」、「ゴブレットひだ」などと称される各種形状のものがあるが、本発明に係るカーテン吊り具は、いずれのひだ形状のカーテンにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るカーテン吊り具の斜視図である。
【図2】図1のカーテン吊り具の正面図である。
【図3】図1のカーテン吊り具の側面図である。
【図4】図1のカーテン吊り具の背面図である。
【図5】図1のカーテン吊り具の平面図である。
【図6】図1のカーテン吊り具のカーテンへの装着状態の側面図である。
【図7】図1のカーテン吊り具のカーテンへの装着状態の平面図である。
【図8】カーテン吊り具を装着する前のカーテンのひだ部の平面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 カーテン吊り具
2 本体
3 フック体
4 基幹部
5 上部挿入杆
6 下部挿入杆
7 ラチェット係合部
8 翼
9 下縁
10 上縁
11 円弧状端縁
12 ラチェット係合部
13 フック
14 ラチェット爪
21 カーテン
22 ひだ部
23 窓側の面
24 室内側の面
25 縫合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランナの吊り環に掛け止め可能なフックと、カーテンの上部に室内側へ突出するように形成されたひだ部へ上方から下向きに挿入される下向きの上部挿入杆と、カーテンのひだ部へ下方から上向きに挿入される上向きの下部挿入杆とを備え、上部挿入杆にはひだの内側へ挿入される左右一対の翼が設けられている弾性合成樹脂製のカーテン吊り具において、
前記一対の翼は、基部が前記上部挿入杆に沿うように上部挿入杆と一体に形成され、下縁が上部挿入杆の下部から上方に向かって徐々に左右へ広がることを特徴とするカーテン吊り具。
【請求項2】
上下方向に直線的に伸び、装着時にカーテンの窓側の面に沿う基幹部を具備し、
前記フックは、前記基幹部の前部から窓側へ延出するように設けられ、
前記上部挿入杆は、前記基幹部の上端部から後方へほぼ逆U字状に屈曲して下向きに延出し、
前記下部挿入杆は前記基幹部の下端部から後方へほぼU字状に屈曲して上向きに延出し、
前記一対の翼は、少なくとも前記上部挿入杆に近接した一部が、カーテンの室内側の面にほぼ平行に広がり、当該平行部分が、ひだ部の一部を介してカーテンの室内側の面に沿うことにより、前記基幹部の軸周り回転が防止されることを特徴とする請求項1に記載のカーテン吊り具。
【請求項3】
前記一対の翼は、全体がカーテンの室内側の面にほぼ平行に広がり、ひだ部の一部をカーテンの室内側の面に引き寄せることにより、ひだ部に膨らみを付与することを特徴とする請求項1に記載のカーテン吊り具。
【請求項4】
前記一対の翼は、下縁が上部挿入杆の下部から上方に向かって弧を描いて徐々に左右へ広がることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のカーテン吊り具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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