説明

カーテン

【課題】 カーテン地に対して格別の予備処理を施すこと無しに、簡易な構成でありながらカーテンを開いた状態において規則的に反復する整った折り襞状態を形成し保持することが可能である上、開閉操作も容易であるカーテンを提供する。
【解決手段】 カーテンには、カーテン地の表面上方吊縁部12にあってカーテンフック取り付けに適する間隔毎に形成された所要数の吊架用タック部14を設け、そして隣接する前記吊架用タック部同士の中間であってカーテン地裏側の上方吊縁部に形成された谷折り襞形成用タック部18を設ける。このカーテン地10には織布並びに合成樹脂製の不織布等が使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の窓、ガラス戸、掃き出しガラス戸、嵌め殺し窓等の透明ないし半透明素材製仕切り部の室内側に吊り下げることにより遮光、保温、遮音等のため、並びに戸外−室内間の視界を遮蔽する目隠し等のために使用されるカーテンに関する。
【背景技術】
【0002】
カーテンは、レース地やプリント模様の施された薄い布地により装飾的見地や遮蔽を目的として昼間にも使用されるものと、主に遮光、保温、遮音等をも兼ねて室内外を確実に隔てる厚地のものとがあり、用途に応じて使い分けられることが多い。このような場合、二重のカーテンレールにそれぞれのカーテンを吊架し、季節、天候、時間帯、日射状況等を勘案し、かつ在室者の好み等に応じた使用状況が選択される。レース地のような薄手の生地によるカーテンではさほど困難性は生じないが、厚手生地の本格的カーテンにあっては、カーテンレールへの吊り下げフック取り付け部に通常2〜4山折り程度のタック部を形成し、裾側が窓やガラス戸の幅よりも十分広くなるように構成されるものが多い。
【0003】
また、窓やガラス戸を余裕のある優美な襞をもって覆うように形成されたドレープカーテンも知られている。このようなドレープカーテンの襞率、すなわちタックの形成されたカーテン吊縁部の横幅とそれより下部のカーテン地の正味幅との比は、通常1.1〜3.0倍程度に選定されるものが多く、より重厚な雰囲気を形成するように配慮されることもある。かかるカーテンは窓や戸を覆って閉められている場合の色彩、模様等を含めた美観や雰囲気も重要である。さらに、開放されて左右に折り畳まれた場合の襞の形成状態等も含め、かつカーテンレール、カーテンボックス等との関係や納まり状態も室内雰囲気にとって意外に大きな影響を与えるものである。
【0004】
カーテンに関し、特許文献1は、カーテン上縁の吊縁部の一定幅部分を一定間隔毎に横断面S字状に折り曲げてその中央部を縫着することにより、この縫着糸条を中央にして吊縁部の表裏両側にそれぞれ突設した表裏係止孔部を形成するカーテンを開示している。このような構成のカーテンによれば、吊り金具(カーテンフック)を表側または裏側いずれの係止部に取り付けるかによってカーテン地の表面または裏面のいずれか好みの面を室内側(または室外側)に向けることができる。したがって、カーテン地の色彩、模様等の好ましい面を室内側に向けるか、または室外側に向けるかが任意に選択可能である、いわゆるリバーシブルカーテンを構成することができる。この場合のカーテン襞が表裏いずれに生ずるかについては不定である。
【0005】
特許文献2は、幅方向に所定形状の襞を多数形成したカーテンにおいて、カーテンの丈方向上方に形成された襞に設けた吊下げ部間の中心線上にカーテン上端から所定長さ下方に至る折山を形成すると共に、この折山を中心として折山の下端よりカーテンの上端へ斜行するV字状の折目を形成しているカーテンを開示している。そのような構成を採用した結果、カーテンを開けた状態では、吊下げ部間に折山がやや膨らみを帯びてV字状の襞を形成し、これがカーテンの丈方向に延びる襞と連なって均整の取れたプリーツラインを保持し、またカーテンを閉めた状態では、折山とV字状の折目の筋によってカーテン上部の吊下げ部間が整然と規則的になるように確実に折り返されて納まりが良くなるように構成される。
【0006】
したがって、型崩れのない優美なプリーツラインを長く保持させて形態の安定化を図り、特にカーテンを閉めた状態における装飾性を向上させることができる。このカーテンでは、カーテン地としてポリエステル、トリアセテート、アクリル、ポリクラーク系合成繊維、またはこれらの混紡等の熱可塑性である合成繊維を使用することが好ましいとしている。そして、かかる繊維に対して金型により所望形状に形成された型紙を使用し、このような型紙にカーテン地を挟みこんで処理釜に投入し、真空減圧して高温高圧の蒸気により設定温度まで加熱蒸煮し、その後真空減圧する処理を1〜2回以上繰返すことにより好みのプリーツ形成を行うことを前提とし、得られたプリーツを長期にわたり維持されることを志向するものである。このような永続性のあるプリーツを形成するための予備処理は煩雑であり、必然的にコスト上昇につながることから主として高級品に限り適用し得るものと解される。
【特許文献1】特開平7−289416号公報
【特許文献2】特開平7−255589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、カーテン地に対して格別の予備処理を施すこと無しに、簡易な構成でありながらカーテンを開いた状態において規則的に反復する整った折り襞状態を形成して保持することが可能である上、開閉操作も容易であるカーテンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、カーテン地の表面上方吊縁部12にあってカーテンフック取り付けに適する間隔毎に形成された所要数の吊架用タック部14A、14B、14C・・・と、そして隣接する前記吊架用タック部同士の中間であってカーテン地裏面の上方吊縁部に形成された谷折り襞形成用タック部18A、18B、18C・・・と、を設けたカーテンであることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記谷折り襞形成用タック部18がカーテン地一山折りの基部の固着により形成され、前記吊架用タック部14がカーテン地二山折りの基部の固着により形成されるカーテンであることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記谷折り襞形成用タック部18がカーテン地一山折りの基部の固着により形成され、前記吊架用タック部14がカーテン地一山折りの基部の固着により形成されるカーテンであることを特徴とする。なお、前記カーテン地山折り形成のための固着部は、カーテン地の周縁部における折り畳まれた部分(折り線部分)の基部のみでなく、基部に加えて当該タック部の中央部等とすることができる。また、請求項4に記載の発明は前記谷折り襞形成用タック18の側面形状が逆三角錐状であるカーテンであることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記カーテン地が天然繊維又は化学繊維からなる織布であり、前記吊架用タック部14及び前記谷折り襞形成用タック部18それぞれの基部の固着が縫着処理により実施されるカーテンであることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記カーテン地がポリエステルその他の合成樹脂系素材による不織布であり、前記吊架用タック部14及び前記谷折り襞形成用タック部18それぞれの基部の固着が熱溶着処理により実施されるカーテンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の開示に際して、本発明に係るカーテンの使用者(居住者)が室内側に立って室外側を向いたものと仮定し、したがってカーテンの「表面」とは室内側、「裏面」とは窓ないしガラス戸等に接する室外側を指すものとする。また、「山折り襞」とは室内側が凸となるように形成される襞、そして「谷折り襞」とは室内側を凹として室外側が凸を形成する襞を指すものとする。これら表現は、相対的なもので、カーテンの表裏を反転して吊架すれば全て反対となるものであることを前提とする。さらに「カーテンを閉じる」とはカーテンを展開してガラス窓やガラス戸を覆うこと、そして「カーテンを開く」とは窓や戸を覆っていたカーテンを左右端いずれかの方向に引いて山折り襞および谷折り襞を交互に形成するように折り畳むことを指すものとする。
【0014】
本発明に係るカーテンは、カーテンレールの吊架具に吊架するためにカーテン地の一面(表面)の吊縁部に形成される複数山、例えば二山又は一山折りの吊架用タック部14と、これら隣接する吊架用タック部の中間であってカーテン地の他面(裏面)側に形成される複数山例えば二山又は一山折りの谷折り襞形成用タック部18とを備えている。交互に形成されるそれぞれのタック部を、一山折り又は二山折りとすることにより、加工上の煩雑さを軽減することが可能であると共に、襞率を調整することによって高級感の演出、カーテン地の節減等が任意に可能となる。したがって、簡素な構成で製作労力並びにコストを低減し得るにも拘わらず、従来品に対して見劣りのしない実用的カーテンが提供可能となる。
【0015】
ここで、「襞率」とは、折り山のピッチと布地の固さ等を考慮して決定されるものでカーテン布地量を決定するための比率であるが、一般的カーテンにおいてはこの襞率を2倍(2mの仕上がり巾に対して裾部分巾が4m)としている。襞率が高い場合は高級カーテンとされている。本発明においては、吊架用タック部14を二山折りとし谷折り襞形成用タック部18を一山折りとすることによりカーテンの高級感を演出でき、一方、吊架用タック部及び谷折り襞形成用タック部のいずれも一山折りとすることにより一般的な2倍襞率のカーテンを作成することができ、加工処理上の煩雑さをより軽減することが可能となる。特に、カーテン地としてポリエステル系、アクリル系等の合成素材による不織布を使用する場合は、タック部の形成加工処理としての高周波ミシンその他手段による熱溶着処理が容易に実施可能となる。
【0016】
なお、本発明において吊架用タック部の山を三山以上の折りに形成すること、並びに谷折り襞形成用タック部の山を二山以上の折りに形成することは任意である。また、本発明においては、図1(C)に示すように前記谷折り襞形成用タック18の側面形状が逆三角錐状に形成される。このような形状に形成することにより、カーテン地に襞がより美しく形成される。
【0017】
このように構成されたカーテンをカーテンレールに吊架するには、吊縁部領域に形成された隣接する吊架用タック部それぞれの両山折り部中間にカーテンフックを取り付け、これらカーテンフックをカーテンレールの吊架具に順次架ければよい。それぞれのカーテン地表面に形成された吊架用タック部下方は室内側に突出する山折り襞を形成する。これに対し、これら吊架用タック部の中間でカーテン地裏面の吊縁部に形成されている谷折り襞形成用タック部の下方には室外側が凹となる谷折り襞が形成されることになる。そのため、カーテンを開く際に折り畳まれるカーテン下方はこれらの吊架用タック部並びに谷折り襞形成用タック部のそれぞれに誘導された山折り襞および谷折り襞が、カーテンの表裏交互に規則正しく折り畳まれ、整然とした折り襞状態が得られる。
【0018】
本発明係るカーテン地は、綿、麻、これらとその他天然素材等の混紡である天然素材製の織布、またはポリエステル系、トリアセテート系、アクリル系の合成繊維等による合成繊維による織布とすることも可能である。このような織布をカーテン地とする場合、手縫いないしミシンによる縫製処理が行われる。カーテン地の色彩や模様については、必要に応じて従来のカーテン地と同様の選択ないし処理を行うことができる。
【0019】
また、本発明においては、カーテン地としてポリエステル系、アクリル系等の合成素材による不織布を使用することができる。このような合成素材による不織布を素材とするカーテン地とする場合、吊架用タック部並びに谷折り襞形成用タック部の形成に当たって、高周波ミシンその他の手段による熱溶着が可能となる。
【0020】
このような不織布のカーテン地では上述の各タック部の加工が容易である特徴に加えて、カーテンの左右端並びに下端縁等の周縁部にほつれ(解れ)が生じないため、生地周縁部を細く折り込んで該当部分を縫着するようないわゆる纏り(まつり)縫いや纏り縫い等に類する格別の周縁部処理は不要である。さらに、標準寸法のカーテン地によるカーテンを製作しておき、接着剤、熱融着テープ等により複数枚を接合することにより、任意巾のカーテンを容易に形成することができる。
【0021】
不織布カーテン地の原反は価格も低廉である上、製作に要する労力並びに所要時間も大幅に低減されるため大幅なコスト低減が可能となる。なお、不織布の周縁部では上述のようにほつれが生じないことから、使用者が取り付け部の寸法に合わせて鋏やカッターにより容易に裁断して所望寸法に応じたサイズ調整を行うことも可能である。このように、低廉かつ寸法調整が可能であることから、賃貸・分譲のマンションやアパート等における日除け用や応急ないし臨時的なカーテンとしても適しているが、カーテン地の厚さ、色彩、模様等を若干考慮することにより長期間の使用にも十分耐えうるカーテンとすることができる。
【0022】
なお、不織布ではカーテン地の製造過程において、適宜染料や顔料を添加することにより任意の色彩とすることができることはもとより、カーテン地原反に対してプリントその他の手法により模様等を付加することも容易であり、使用場所の雰囲気や好みにマッチする色彩や模様のカーテンを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図を参照しつつ本発明に係るカーテンの好適な実施例を開示する。図1は、本発明に係るカーテンを第三角法により作図した平面図(A)、正面図(B)、側面図(C)として描いた構成図である。なお、本図においては吊架用タック部14が二山折りに形成された例を示しており、吊架用タック部14を一山折りとした場合は一山折りに形成された谷折り襞形成用タック部18と同様の形状となるので示していない。
【0024】
図1の平面図(A)において下側に長方形状に描かれた二山折りに形成された吊架用タック部14A、14B、14Cは、カーテン地の上方吊縁部12の所定部位において、二山折りタック部に相当するカーテン地巾を手前側に引き出し、その中央をカーテン地面まで折り戻した後に形成される折り線部(固着部)16に沿って吊縁部12に固着したものである。このような固着は、カーテン地素材が織布の場合はミシン縫いまたは手縫いによる縫着処理、カーテン地がポリエステルその他の合成樹脂素材による不織布の場合は高周波ミシンその他の熱源による熱溶着処理により、それぞれ固着することができる。
【0025】
この吊架用タック部14Aの右側に形成された隣接する吊架用タック部14Bとの中間で裏面側には谷折り襞形成用タック部18A、18B等が、裏面に突出させた一山折りのタックの基部に形成される折り線部(固着部)16’を固着することにより形成される。これら吊架用タック部14A、14B並びに谷折り襞形成用タック部18A、18B両者間の関係は、さらに図1(A)の平面図および図1(C)の側面図により立体的に確認可能である。
【0026】
谷折り襞形成用タック部18A、18Bは、カーテンを開いて左右いずれかの端部側に折り畳む際、手前(F)側が凹となる谷折り襞(V)を形成し易くすることを目的とするものである。本実施例においては、谷折り襞形成用タック部の側面形状を逆三角錐状としているが、谷折り襞形成用タック部の寸法、形状等は、襞率やカーテン地素材の柔軟度を考慮しつつ比較的自由に選択可能である。すなわち、その形状は逆三角錐状に限定されることはなく、細長い台形状、長方形状等でもよく、寸法も吊架用タック部14A、14Bに比して小さめ、同寸法さらには大きめであってもよい。これら両タック部14、18の下方には、それぞれ仮想線である二点鎖線で示した山折り襞の凸部分形成領域(M)並びに破線で示した谷折り襞の凹部形成領域(V)が形成される。
【0027】
なお、カーテン地として天然素材ないし合成繊維または混紡による織布を使用する場合は、折り線部(固着部)16、16’は、主として工業用ミシンによる縫製加工が行われる。また、カーテン地としてポリエステルその他合成樹脂素材による不織布を使用する場合には、高周波ミシンその他の発熱源を備えた適宜手段による熱溶着とすることができる。
【0028】
図2は上述のように形成されたカーテンを吊下げるために、吊架用タック部14に対してカーテンフック22を取り付ける状態を示すものである。また、図3(A)は、閉められていた(ガラス戸等の内面を覆っていた)カーテン吊架用タック部14を点線矢印Cの運動方向に移動させて開く(折り畳む)過程をカーテンレール20の上方から見た図である。吊架用タック部14がカーテンレール20の下側、そして谷折り襞形成用タック部18が上側に図示されている。
【0029】
吊架用タック部14は小さな台形状に図示されているが、例えばカーテン地を二山折りにしてその基部を固着させた構造である。これら吊架用タック部14の上端側に図示した扁平楕円の下半分体はカーテンの山折り襞の態様を示したものである。またカーテンレール20の上方に細長楕円の上半分体26は、砲弾状のように図示された谷折り襞形成用タック部18を先端として室外側(窓側)に向けて突出形成される谷折り襞の状態を模式的に図示したものである。
【0030】
図3(B)は図(A)における左向き破線矢印Cのように運動せしめられ、カーテンがほぼ完全に折り畳まれた状態を図示したものである。実際のカーテンでは、カーテンレール20に摺動可能に収容されている吊下げ具(図示していない)に対し吊架用タック部14が吊架されるため、カーテンの大部分がカーテンレール20の下方側に位置している。これら隣接する吊架用タック部14A、14B、14C・・・の中間部裏面に形成される谷折り襞形成用タック部18A、18B、18B、18C・・・は、カーテンに谷折り襞26(V)が形成されるように作用する。
【0031】
したがって、谷折り襞形成用タック部18は、カーテンレール20より谷折り襞の寸法に応じて離隔する方向(図上方側)に変位する。谷折り襞形成用タック部18はそれぞれのタック部間隔に応じて図(A)の間隔D1から図(B)の大きな間隔D2のように移動する。このように、室内側には吊架用タック部14による山折り襞24(M)が、そして室外側には谷折り襞形成用タック18が存在するため、ほぼ中間で逆U字状に折り曲げられ、室内側から見た場合のいわゆる谷折り襞26(V)がごく自然に形成される。
【0032】
上述したように、カーテンレール20に吊架するためのカーテンフック22(図2参照)を取り付ける吊架用タック部14とそれら隣接する吊架用タック部14の中間裏面側に形成された谷折り襞形成用タック部18によってそれぞれ誘導されるように、山折り襞24(M)と谷折り襞26(V)とが交互に形成される。その結果、カーテンを閉めた(展開した)状態になんら影響を与えること無く、カーテンが折り畳まれる際に山折り襞および谷折り襞が交互に整然と形成されることになる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係るカーテンは、薄地ないし厚地にかかわらず織布又は不織布等の幅広い種類のカーテン地によってカーテンを作成する際、カーテン地に対し折り癖を付ける為の格別の前処理、例えば加湿、加熱、加圧ないし減圧等を繰り返すような各種の処理が不要であるにも拘らず、カーテンを開く際に谷折り襞と山折り襞とが交互に整然と形成される。このように谷折り襞と山折り襞とが整然と形成される結果、カーテンを閉めるための展開、逆にカーテンを開くための折り畳みが極めて円滑かつ整然と進行し、それぞれの各動作が終了した後の納まりも合理的なものとなる。
【0034】
特に、ポリエステルその他の合成樹脂素材による不織布のカーテン地を用いる場合、カーテン頂部に位置する吊縁部をはじめ、吊架用タック部や谷折り襞形成用タック部を形成するに際して高周波ミシンその他の熱源を利用し、迅速かつ容易な熱溶着処理が実施できる。また、不織布の場合、通常の織布とは異なり周縁部のほつれなどは生じないため、カーテン全体の製作及び加工等の処理は簡潔となる。同様の理由で、大き目のカーテン地を用いて標準サイズのカーテンを製作しておき、現場合わせによって裁断することにより最適寸法のカーテンを容易に得ることも可能である。また、不織布には素材そのものに染料ないし顔料を配合することにより適宜色彩のカーテン地を得ることができ、さらにプリント処理やカラースプレイ等による装飾を付加することも容易であるため、使用場所に応じた好ましいカーテンを低コストで提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るカーテンの構成例を示す平面図(A)、正面図(B)及び側面図(C)である。
【図2】本発明に係るカーテンにおけるカーテンフックの取り付け状態を示す側面図である。
【図3】本発明に係るカーテンをカーテンレールに吊架し、カーテンの折り畳み進行状態(A)及び折り畳み状態(B)を図示した平面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 カーテン地(カーテン)
12 吊縁部
14A、14B、14C、・・・ 吊架用タック部
16、16’ 折り線部(固着部)
18A、18B、18C、・・・ 谷折り襞形成用タック部
20 カーテンレール
22 カーテンフック
24 山折り襞
26 谷折り襞
M 山折り襞形成領域(山折り襞)
V 谷折り襞形成領域(谷折り襞)
F カーテン表面(室内側)
R カーテン裏面(室外側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテン地の表面上方吊縁部にあってカーテンフック取り付けに適する間隔毎に形成された所要数の吊架用タック部と、そして隣接する前記吊架用タック部同士の中間であってカーテン地裏面の上方吊縁部に形成された谷折り襞形成用タック部と、を設けたことを特徴とするカーテン。
【請求項2】
前記谷折り襞形成用タック部がカーテン地一山折りの基部の固着により形成され、前記吊架用タック部がカーテン地二山折りの基部の固着により形成される、ことを特徴とする請求項1に記載のカーテン。
【請求項3】
前記谷折り襞形成用タック部がカーテン地一山折りの基部の固着により形成され、前記吊架用タック部がカーテン地一山折りの基部の固着により形成される、ことを特徴とする請求項1に記載のカーテン。
【請求項4】
前記谷折り襞形成用タックの側面形状が逆三角錐状である、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のカーテン。
【請求項5】
前記カーテン地が天然繊維又は化学繊維からなる織布であり、前記吊架用タック部及び前記谷折り襞形成用タック部それぞれの基部の固着が縫着処理により実施される、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のカーテン。
【請求項6】
前記カーテン地がポリエステルその他の合成樹脂系素材による不織布であり、前記吊架用タック部及び前記谷折り襞形成用タック部それぞれの基部の固着が熱溶着処理により実施される、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のカーテン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−219759(P2009−219759A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69537(P2008−69537)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(508082821)株式会社イフ・コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】