説明

カートリッジクロージャ及びカートリッジクロージャを備えたカートリッジ

【課題】カートリッジを確実に閉鎖することができ、簡単な操作で個々のカートリッジを迅速かつ容易に開放することができる、カートリッジクロージャシステムを提供する。
【解決手段】材料を供給するためのカートリッジシステムであって、カートリッジ1が、複数のカートリッジ壁3とカートリッジ頭部5とを有し、該カートリッジ頭部に開口12が設けられ、かつ保持部22が配置され、保持部22内に弁20が回転可能に支承されていて、該弁は、流出開口26と接続されかつ該弁を貫通する貫通孔30を有し、弁20は、閉鎖ポジションでカートリッジ1の開口12を閉鎖し、弁の開放ポジションで貫通孔30は前記開口12と接続され、カートリッジ内容物がカートリッジから流出開口26を通して押出し可能で、弁20はその回転によって閉鎖ポジションから開放ポジションに移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料、特に医薬セメントを供給するためのカートリッジシステムであって、少なくとも1つのカートリッジが設けられていて、該少なくとも1つのカートリッジが、複数のカートリッジ壁と各1つのカートリッジ頭部とを有していて、該カートリッジ頭部にはそれぞれ少なくとも1つの開口が設けられていて、さらにカートリッジ頭部に保持部が配置されている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
ペースト状の反応性の2成分系又は多成分系は、複数の成分が意図に反して早期に反応することを阻止するために、製造後において供給されるまで別個に保存されねばならない。ペースト状の2成分系又は多成分系を供給するためのカートリッジシステムは、数十年前から公知である。先行技術文献としては例えば、CH669164A5、EP0607102A1、EP0236129A2、DE3440893A1、US4690306A、US2009/062808A1、EP0787535A1、WO2006/005206A1、EP0693437A1、EP0294672A、EP0261466A1及びEP2008707A1が挙げられる。反応性ペーストによってカートリッジを満たした後でカートリッジは、供給まで確実に閉鎖状態に保たれねばならない。ペースト状の2成分系又は多成分系の混合は、供給時に通常スタティックミキサを用いて行われる。そのための先行技術としては例えば、GB1188516A、US2125245A、US5968018A、US4068830A、US2003/179648A1、EP0664153A1及びEP0289882A1が挙げられる。この場合可動のピストンがカートリッジ底部をシールしており、次いで供給時にペーストを押し出すために使用される。カートリッジの圧送ピストンに係止装置を備えたカートリッジシステムは、EP2008707A1に基づいて公知である。
【0003】
カートリッジ頭部を閉鎖するためには、一連の解決策が提案されている。単純ではあるが極めて有効な原理は、カートリッジ頭部を回転可能なクロージャによって閉鎖することである(EP0431347A1、DE2017292A1、US3215298A)。クロージャは供給の前に回して外させられる。次いで送出管が、カートリッジ頭部におけるねじ山にねじ込まれるか、又はねじ山に似たピンシステムを用いて固定される。この場合における欠点としては、ペースト状材料を押し出すまでに、使用者は回転運動を2回実施しなくてはならない、ということがある。さらに、最初にクロージャが回して外され、送出管はその後で初めて装着されるという欠点もある。すなわちカートリッジの開放と送出管の挿入との間には、特にペースト内に揮発性成分が存在する場合には、ペーストの成分が気化してしまうことがある。
【0004】
今日、特に接着剤及びシール剤工業において頻繁に使用されているクロージャは、カートリッジ頭部においてカートリッジの壁材料が極めて薄く形成されていて、その結果この壁が容易に穿刺され得るようになっている。このような構成には、穿刺時に壁の粒子が剥離して、これがペースト状材料内に達してしまう、という欠点がある。
【0005】
医学分野では、数十年前から、ポリメチルメタクリラートの骨セメントが、全関節生体プロステーシス(Totalgelenkendoprothese)の持続的な機械的な固定のために使用されている。このような骨セメントは、粉末・液体系を基礎としている。最近は、セメントペーストの使用に基づくポリメチルメタクリラート骨セメントも提案された(DE102007050762A1、DE102008030312A1、DE102007052116A1)。このようなセメントのためには、今なお適宜なカートリッジシステムが提案されていない。全関節生体プロステーシスを固定するための骨セメントを使用する場合には、手術時に執刀医は時間的に緊迫した状態にあるということを常に考慮する必要がある。ペースト状のポリメチルメタクリラート骨セメントを供給するためのカートリッジシステムを医療の場で使用する場合には、カートリッジシステムは基本的に次のように、すなわち使用エラーを確実に防止することができ、かつ緊張状態においても迅速かつ確実に操作できるように、構成されていることが望まれている。
【0006】
ペースト状のポリメチルメタクリラート骨セメントの主要成分は、メタクリラートのモノマーである。このモノマーは容易に気化し、室温において極めて高い蒸気圧を有している。メチルメタクリラートを含有するペーストの使用時には従って、例えばエチレンオキシドによる滅菌の際における脱気時のような真空作用時において、カートリッジピストンがカートリッジ内に、気化したメチルメタクリラートによって移動させられ、極端な場合にはカートリッジから押し出されてしまうような状況に、注意を払う必要がある。
【0007】
ペースト状の多成分系をチューブバッグ(Schlauchbeutel)内に収容するようにしたカートリッジシステムが、WO2010/006455A1に基づいて公知である。この公知の構成では、シールされたチューブバッグがカートリッジ内に装入される。チューブバッグには、該チューブバッグが、揮発性の成分を含有するペーストを包装するのに適しているという利点がある。例えばアルミニウム複合バッグのような、複合材料から成るチューブバッグは、そのために特に適している。チューブバッグの開放は、送出管のねじ込み時に一緒に回転する切刃によって行われる。切刃の回転運動時にバッグは切断されて開放され、そして内容物を送出するための開口がカートリッジに形成される。ペースト状のバッグ内容物は次いで、カートリッジにおけるこれらの開口を通して、スタティックミキサに向かって押し出される。
【0008】
この公知の構成における欠点としては、チューブバッグ及び付加的にカートリッジにおけるペースト状材料の包装が、高コストで、特殊な使用例に対してしか用いられない、ということがある。特に医学分野における多くの使用例にとっては、切断されたチューブバッグの部分が剥離もしくは解離して、ペースト状成分の中に達し、これにより混合物が汚染されてしまうという問題がある。
【0009】
冒頭に述べた形式のカートリッジシステムは、EP0431347A1に基づいて公知である。この公知のカートリッジシステムでは、2つのカートリッジのカートリッジ頭部に開口が設けられており、これらの開口を通してカートリッジ内容物が押し出されるようになっている。そして開口は、カートリッジ頭部において保持部内に固定されているクロージャによって、閉鎖されている。
【0010】
この公知の構成における欠点は、クロージャが開口内に差し込まれていて、保持部内において係止されていることにより、クロージャの除去が面倒なことにある。さらに、カートリッジシステムから切り離されたクロージャが邪魔になり、またクロージャを開口の再閉鎖のために使用したい場合には、クロージャは紛失してしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】CH669164A5
【特許文献2】EP0607102A1
【特許文献3】EP0236129A2
【特許文献4】DE3440893A1
【特許文献5】US4690306A
【特許文献6】US2009/062808A1
【特許文献7】EP0787535A1
【特許文献8】WO2006/005206A1
【特許文献9】EP0693437A1
【特許文献10】EP0294672A
【特許文献11】EP0261466A1
【特許文献12】EP2008707A1
【特許文献13】GB1188516A
【特許文献14】US2125245A
【特許文献15】US5968018A
【特許文献16】US4068830A
【特許文献17】US2003/179648A1
【特許文献18】EP0664153A1
【特許文献19】EP0289882A1
【特許文献20】EP2008707A1
【特許文献21】EP0431347A1
【特許文献22】DE2017292A1
【特許文献23】US3215298A
【特許文献24】DE102007050762A1
【特許文献25】DE102008030312A1
【特許文献26】DE102007052116A1
【特許文献27】WO2010/006455A1
【特許文献28】EP0431347A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ゆえに本発明の課題は、上に述べた従来のカートリッジクロージャシステムの問題を排除することができる、カートリッジシステムのための単純で安価なクロージャシステムを提供することである。つまりカートリッジを確実に閉鎖することができ、しかも簡単な操作で個々のカートリッジを迅速かつ容易に開放することができる、カートリッジクロージャシステムを開発することが望まれている。さらに単数又は複数のカートリッジ頭部において送出管を送出ポジションにもたらす作業は、可能な限り僅かな作業ステップで行うことができ、使用者の操作エラーを回避できることが望まれている。さらにまた、送出される流動性材料の汚染は回避されねばならない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題を解決するために本発明の構成では、保持部内に弁が回転可能に支承されていて、該弁は、流出開口と接続されていて該弁を貫いて延びる少なくとも1つの貫通孔を有しており、弁は、閉鎖ポジションにおいて、少なくとも1つのカートリッジの少なくとも1つの開口を、特に各カートリッジのすべての開口を、密に閉鎖するようになっており、弁の開放ポジションにおいて、単数又は複数の貫通孔は前記単数又は複数の開口と接続されていて、カートリッジ内容物が単数又は複数のカートリッジから流出開口を通して押出し可能であり、弁は閉鎖ポジションから開放ポジションに、該弁の回転によって移動可能であるようにした。
【発明の効果】
【0014】
本発明の別の構成では、各カートリッジは、カートリッジ頭部に向かって移動可能な少なくとも1つの圧送ピストンを、カートリッジ内容物を前記開口を通して押し出すために有しており、該圧送ピストンは単数又は複数のカートリッジを底部側において、特に気密に閉鎖している。同様に、単数又は複数のカートリッジの内容物は、流動性材料であってよい。
【0015】
本発明の別の構成では、弁における単数又は複数の開口に、少なくとも1つのシールリングが配置されていて、弁の開放時に、カートリッジにおける前記開口から前記貫通孔に通じる少なくとも1つの液密な接続部が準備されるようになっている。
【0016】
本発明のさらに別の構成では、弁に管片が配置されていて、該管片は、送出管を固定するための固定手段を有しており、前記貫通孔は、管片を貫いて延びていて、流出開口は管片に配置されている。この場合固定手段はねじ山、特に雄ねじ山であってよい。
【0017】
さらに操作をさらに簡単にするために、本発明は、真空作用時においてもピストンの運動を確実に阻止するカートリッジクロージャシステムを備えたカートリッジシステムを提供する。多成分カートリッジシステムではさらに、カートリッジ頭部に向かっての力作用時に複数のピストンがカートリッジ内において同期的に運動し、ひいては流動性材料が均一に押し出され、これによって流動性材料相互の適正な混合比が保証されることが、望まれている。
【0018】
従って特に有利なカートリッジシステムを実現するために、本発明の別の構成では、少なくとも1つのカートリッジに対して平行に、有利には少なくとも2つのカートリッジの間に、特に有利には、周囲に複数のカートリッジが互いに平行に配置されている中空体内に、可動のロッドが圧送ピストンに対して平行に配置されており、該ロッドは、少なくとも1つのウェブ及び/又はプレートを介して圧送ピストンと堅く結合されており、ロッドは、弁に向いた側に係止手段を有していて、単数又は複数のカートリッジ壁に、又は有利には中空体の内壁に、対応係止手段が設けられており、該対応係止手段はロッドの係止手段と共働し、これにより、カートリッジ底部に向かっての、ひいては圧送ピストンに向かっての、カートリッジ外へのロッドの運動が、困難になっており、特に阻止されている。
【0019】
このような構成において有利には、単数又は複数のカートリッジ壁は、カートリッジ底部を起点として少なくとも1つのスリットを有しており、該スリットはロッドに対して平行に配置されていて、スリットの幅がウェブを収容するのに十分であり、かつ特にスリットの長さが、カートリッジ長さの少なくとも半分に達している。
【0020】
また本発明の別の構成では、弁又は管片に送出管が配置されていて、該送出管が流出開口を起点として、貫通孔を送出管先端に到るまで延長している。
【0021】
このような構成においては、送出管が固定手段、特に雌ねじ山を有していて、該固定手段によって送出管は管片の固定手段と解離可能に結合されているか又は、送出管は弁と堅く結合されていてよい。
【0022】
また、送出管はスタティックミキサを有していることができる。さらにまた、送出管は、弁の閉鎖時に、少なくとも1つのカートリッジに対して平行に、特に少なくとも2つのカートリッジの間に配置されていることができる。
【0023】
本発明の別の構成では、弁は開放ポジション及び閉鎖ポジションにおいて、カートリッジ頭部における開口に対してプレス嵌めされて配置されていて、該開口を、シール作用をもって閉鎖しているか又は、シール作用をもって貫通孔と接続している。さらにまた、カートリッジシステムは、混合物、特に医薬セメントを混合及び供給するために、少なくとも2つの互いに平行に配置されたカートリッジを、有利には互いに平行に配置された3つのカートリッジを有していてよい。
【0024】
このような構成において、弁における貫通孔は、弁が開放ポジションを占めている場合に、少なくとも2つのカートリッジの開口を流出開口と接続するようになっていてよい。さたにまた、弁は円筒形に成形されているか、楕円のベース面を備えた円筒体の形状を有しているか、又は円筒体区分の形状を有している。
【0025】
本発明によればまた、回転可能な円筒体は両方の狭幅側において閉鎖されていて、有利には一方の狭幅側から他方の狭幅側に向かって先細になっていてよい。
【0026】
さらに送出管は、回転可能な円筒体として形成された弁と送出管との間における接続箇所の直ぐ上において、保持部を形成するヨーク形の支承部の間における間隔と同じか又はそれよりも小さな外径を有している。
【0027】
本発明によればまた、1つの支承部が、第2の支承部よりも大きな内径を有しており、回転可能な円筒体から送出管への接続箇所が第1の支承部に対して次のような間隔、すなわち回転可能な円筒体と送出管との接続箇所の直ぐ上における送出管の外径のよりも小さな間隔をおいて、位置している。
【0028】
本発明によればさらに、少なくとも1つのシールリングが弁に配置されていて、この弁がカートリッジにおける開口を、弁の閉鎖ポジション及び/又は開放ポジションにおいてシールするようになっている。
【0029】
流動性材料というのは、本発明では、液体材料や、粘性液体材料や、圧力負荷時にのみ流れる高粘性材料のことを意味している。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明によるカートリッジシステムの1実施形態を示す縦断面図である。
【図2】本発明によるカートリッジシステムの第2実施形態を、クロージャの開放状態において示す縦断面図である。
【図3】図2に示した本発明によるカートリッジシステムの第2実施形態を、クロージャの閉鎖状態において示す縦断面図である。
【図4】本発明によるカートリッジシステムの第3実施形態を、クロージャ及び送出管の閉鎖状態において示す縦断面図である。
【図5】図4に示した本発明によるカートリッジシステムの第3実施形態を、クロージャ及び送出管の開放状態において示す縦断面図である。
【図6】本発明によるカートリッジシステムの第4実施形態を、クロージャの開放状態において係止装置と共に示す縦断面図である。
【図7a】閉鎖されたクロージャ及び送出管を備えた、図4に示した本発明によるカートリッジシステムの第3実施形態を示す側面図である。
【図7b】開放されたクロージャ及び送出管を備えた、図5に示した本発明によるカートリッジシステムの第3実施形態を示す側面図である。
【図8】本発明によるクロージャを横断面して示す図である。
【図9】本発明によるカートリッジの第4実施形態を、クロージャの開放状態において示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に図面を参照しながら本発明の有利な実施の形態を説明する。
【0032】
図1にはカートリッジ1が長手方向で断面されて示されており、このカートリッジ1はすべての側面においてカートリッジ壁3によって画成され、前側においてカートリッジ頭部5によって画成され、かつカートリッジ底部9の方向からは圧送ピストン10によって画成されている。カートリッジ頭部5を形成している壁には、開口12が設けられており、この開口12を通して、カートリッジ1内に収容された流動性材料(図示せず)は、圧送ピストン10の押込みによって押し出されることができる。
【0033】
カートリッジ頭部5には保持部22に円筒形の弁20が配置されており、この弁20はその対称軸線を中心にして回転可能に保持部22内に支承されている。カートリッジ頭部5は、円筒体周壁区分の形の凹部(図示せず)を有しており、その結果円筒形の弁20はこの凹部に正確に適合する。開口12はこの凹部の内部に位置していない。円筒形の弁20はその円筒周面の1つの側に、流出開口26を備えた中空円筒形の管片24を有しており、この管片24の対称軸線は弁20の対称軸線に対して垂直に配置されている。管片24の外面には、送出管(図示せず)のための固定手段として働くねじ山28が配置されている。
【0034】
それ以外では中実な円筒形の弁20の内部には、貫通孔30が設けられており、この貫通孔30は管片24の、流出開口26とは反対側の開口を、円筒形の弁20を貫いて、弁20の、管片24とは反対の側に到るまで、延長している。弁20に設けられた両方の開口は、互いにずらされて配置されている。これによって、カートリッジ頭部5において、管片24のための凹部(図示せず)を設けることが可能になり、この凹部に管片24は弁20の回転時に沈み込むことができ、この際にカートリッジ頭部5における開口12が損傷することはない。同様に弁20における両方の開口は、互いに直接向かい合って、つまり互いにずらされずに配置されていてもよい。
【0035】
カートリッジ1から開口12及び貫通孔30を介して流出開口26に到るまで連続した孔が存在しているので、流動性材料はカートリッジ1の内部からこの連続した孔を通ってカートリッジシステムから押し出されることができる。カートリッジシステムのクロージャ、つまり対称軸線を中心にして回転可能に支承された弁20によって形成されるクロージャは、開放している。
【0036】
弁20がその対称軸線を中心にして例えば90°回動させられると、開口12は、円筒形の弁20の円筒周壁によって閉鎖される。これによりカートリッジシステムのクロージャは閉鎖状態を占め、流動性材料はカートリッジ1の内部から流出することができない。
【0037】
保持部22は2つの支承部22から成っていることができ、両方の支承部22が同じ構成を有している必要はない。支承部22の非対称的な形状には、弁20が特定の方向付けにおいてしか保持部22内に組み込まれ得ない、という利点がある。
【0038】
択一的に弁20は保持部22を貫いて延びていてもよく、この場合管片24は、保持部22の両方の支承部22の間に配置されているのではなく、外側に配置されている。弁20がその対称軸線を中心にして180°回転させられると、管片24は保持部22から十分な間隔をもってカートリッジ1の側方に位置する。同様に、管片24に接続されている送出管(図示せず)が、弁20のこの閉鎖されたポジションにおいてカートリッジ1のそばに配置されているような構成も可能であり、このような構成によって、カートリッジシステムのコンパクトな構造形式が得られる。
【0039】
図2には、本発明によるカートリッジシステムの第2の実施形態が断面図で示されており、このカートリッジシステムは、2つ又はそれ以上の成分から成る混合物を混合するために適している。そのためにカートリッジシステムは少なくとも2つのカートリッジ101を有しており、これらのカートリッジ101内には、混合物の、流動性材料から成る出発成分が収容されている。図2に示された2つのカートリッジ101の他に、さらに別のカートリッジが設けられていてもよく、このカートリッジは例えば図示の2つのカートリッジ101の後ろに配置されている。カートリッジ101はカートリッジ壁103によって側部を画成され、かつカートリッジ頭部105によって前側において画成されている。カートリッジ底部109の方向からはカートリッジ101は圧送ピストン110によって気密に閉鎖されており、これによりカートリッジ内容物は、圧力空気による圧送ピストン110の負荷によってカートリッジ101から押し出される。両方のカートリッジ101はウェブ111によって互いに堅く結合されている。カートリッジ頭部105には開口112が設けられている。両方の開口112の上方にはカートリッジ頭部105に弁120が配置されており、この弁120は回転軸線Aを中心にして回転可能に保持部122内に支承されており、保持部122はカートリッジ頭部105と堅く結合されている。中空体として形成されていて流出開口126と雄ねじ山128とを備えた円筒形の管片124は、弁120の片側に配置されている。保持部122はこの領域に出口を有している。そのために保持部122は2つの部分から構成されていてもよい。雄ねじ山128は、対応する雌ねじ山を備えた送出管(図示せず)を固定するために適している。
【0040】
弁120の内部には2つの貫通孔130が設けられており、これらの貫通孔130は、図2に示された弁120の開放ポジションにおいて、カートリッジ101の両方の開口112から流出開口126への連続した接続部を形成している。圧送ピストン110に圧力が加えられると、カートリッジ101内に収容された流動性材料(図示せず)は、該カートリッジ101から開口112及び貫通孔130を通して管片124内に押し出され、この管片124において両方の出発成分が1つの混合物に混合される。この混合物は、流出開口126を介して直に供給されるか、又は流出開口126に、スタティックミキサを収容する送出管(図示せず)が取り付けられていて、これにより両方の出発成分が送出管内においてより良好に混合されるようになっている。混合物は次いで、送出管の送出管先端を介して供給されることができる。
【0041】
開口112ひいてはカートリッジシステムは、回転軸線Aを中心にした弁120の回転によって閉鎖されることができる。このような配置形式は図3に示されている。弁120を180°回転させることによってカートリッジ101の両方の開口112は閉鎖されている。流出開口126及びねじ山128を備えた管片124は、両方のカートリッジ101の間の中間室に位置決めされ、この中間室は該中間室側のカートリッジ壁103によって画成されている。そのために両方のカートリッジ101の間の間隔は、管片124の幅全体を受容するのに十分な大きさを有している。弁120は、開口112を取り囲むカートリッジ頭部105の領域に、プレス嵌めによって設置されている。そのためにカートリッジ頭部105における弁座の外形は、弁120の外形に合わせられている。管片124に送出管(図示せず)が取り付けられている場合、特に堅く取り付けられている場合には、両方のカートリッジ101の間の間隔は場合によってはさらに大きく選択されねばならない。
【0042】
このような構成は、第3実施形態として図4に示されている。ウェブ211を介して互いに結合されている2つのカートリッジ201の間には、送出管240の全幅のために十分なスペースが存在している。両方のカートリッジ201は、側部においてはカートリッジ壁203によって閉鎖され、上側においてはカートリッジ頭部205によって閉鎖され、かつ下側においては圧送ピストン210によって閉鎖されている。圧送ピストン210はカートリッジ底部209の方向からカートリッジ201内に押込み可能である。カートリッジ頭部205内には、カートリッジ201内に収容された流動性材料のための開口212が設けられている。
【0043】
保持部222には、円筒体形状の弁220が、回転軸線Aとして働く円筒体の対称軸線Aを中心にして回転可能に支承されている。弁の円筒周面には、ねじ山228を備えた管片224が設けられている。この管片224は上方に向かって開放していて、そこで流出開口226を形成している。さらに弁220には貫通孔230が配置されていて、これらの貫通孔230は、管片224とは反対側に位置している2つの開口を流出開口226と接続している。両方の開口212は弁220の円筒周壁によって閉鎖されている。閉鎖された弁220が回転軸線Aを中心にして180°回転させられると、弁220における両方の開口は、カートリッジ201の開口212と合致する。そしてこれによりカートリッジシステムは、もしくはクロージャつまり弁220は開放される。
【0044】
送出管240は内部が中空で、送出管先端242において開口している。この送出管先端242とは反対側において送出管240は、雌ねじ山として形成された固定手段244を有している。送出管240のこの雌ねじ山244は、管片224の雄ねじ山228に螺合している。択一的に送出管240が管片224と堅く結合されているような構成も可能である。送出管240の内部にはスタティックミキサ246が配置されている。
【0045】
ウェブ211は湾曲部(図平面に後方に向かって)を有している必要があり、これによって送出管240を正確に両カートリッジ201の間に正確に位置決めすることができる。両方のウェブ211はまた、弁220の回転に基づく送出管240の旋回運動を阻止してはならない。弁220が回転軸線Aを中心にして回転させられると、カートリッジシステムのクロージャは、閉鎖状態から開放状態に移動させられる。同時に送出管240もまた180°旋回させられる。カートリッジシステムのこの開放状態は図5に断面図で示されている。弁220の、管片224とは反対側に位置している開口は、弁220の開放状態において、カートリッジ201の開口212と合致している。これによって貫通孔230を介して開口212と送出管240の内部との接続部が形成されている。
【0046】
つまり外部から、例えば圧力空気によって、圧送ピストン210に力が加えられると、カートリッジ201の内容物は、開口21を通して貫通孔230と流出開口226とを介して送出管240内に搬送される。送出管240内においてスタティックミキサ246に基づいて、カートリッジ201の内容物は完全混合され、これによって得られた混合物は、送出管先端242から押し出される。
【0047】
図6には、本発明の第4実施形態が断面図で示されている。カートリッジ壁303と前側におけるカートリッジ頭部305とカートリッジ底部309の側における圧送ピストン310とによって画成された2つのカートリッジ301は、カートリッジ頭部305にそれぞれ開口312を有している。両方のカートリッジ301はウェブ311を介して互いに結合されている。カートリッジ頭部305には保持部322内に円筒形の弁320が、回転軸線Aを中心にして回転可能に支承されている。弁320の内部には貫通孔330が設けられており、これらの貫通孔330は開口312を、弁320の、該開口312とは反対側に配置された流出開口326と接続する。流出開口326の領域には管片324が弁320に配置されている。管片324は中空体であり、その内側には、雌ねじ山又は係止手段として形成された固定手段328が配置されている。
【0048】
両方のカートリッジ301の間の領域には、ロッド350が配置されており、このロッド350の先端には、係止手段352が設けられている。この係止手段352は対応係止手段354に係合することができ、この対応係止手段354は、カートリッジ301の、中間室に向けられたカートリッジ外壁303に配置されている。係止手段352が対応係止手段354に係合するや否や、カートリッジ底部309に向かってのロッド350の運動は中断される。カートリッジ底部309にはウェブ356が配置されており、このウェブ356は両方の圧送ピストン310とロッド350とを互いに堅く結合している。中間室は、少なくとも部分的に閉鎖された中空体として形成されていてもよく、この中空体の周りにカートリッジ301は配置されている。
【0049】
ウェブ356に基づいて、圧送ピストン310とロッド350とは互いに同期的に運動することしかできない。ウェブ356はスリット358を通ってカートリッジ壁303を貫いて運動することができ、これによって圧送ピストン310はカートリッジ301の内部に大きく移動することができる。択一的にウェブ356はダブル円弧として形成されていてもよく、つまりロッドを介して圧送ピストン310とロッド350とが結合されているような構成も可能であり、このような構成では、カートリッジ壁303にスリット358を設ける必要はない。
【0050】
図7aには、図4に示した送出管240が内方旋回させられて閉鎖されたカートリッジシステムが側面図で示されている。カートリッジ201の上には回転可能な弁220が保持部222内に配置されている。送出管はこの場合カートリッジ201の間に位置しているので、見えない。
【0051】
図7bには、図5に示した送出管240が外方旋回させられて開放したカートリッジシステムが側面図で示されている。送出管240は、回転可能な弁220のための保持部222の上に見える。回転可能な弁220は保持部222を介してカートリッジ201と堅く結合されている。
【0052】
図8には、本発明によるカートリッジシステムのための本発明によるクロージャにおける回転可能に支承された弁420が断面図で示されている。この弁420はその上側に、雄ねじ山428を備えた中空の管片424を有している。この管片424は流出開口426において開口している。弁420の下側には開口が設けられている。弁420全体は内部が中空である。弁420の内部における中空室と下側の開口とは一緒に、弁420を貫く貫通孔430を形成している。
【0053】
図9には、本発明によるカートリッジシステムの第5実施形態が断面図で示されている。側部においてカートリッジ壁503によって閉鎖され、上側においてカートリッジ頭部505によって閉鎖され、かつ下側において気密の圧送ピストン510によって閉されている2つのカートリッジ501は、カートリッジ頭部505に開口512を有している。カートリッジ頭部505とプレス嵌めされて円筒形の弁520が設けられており、この弁520は、カートリッジ頭部505における保持部522内において回転可能に支承されている。弁520の内部には貫通孔530が設けられており、これらの貫通孔530は弁520の開放ポジションにおいて、開口512から、弁520においてカートリッジ頭部505とは反対側に配置された流出開口(図示せず)へと通じる貫通路を形成する。カートリッジ底部509の方向から圧送ピストン510に圧力が加えられると、カートリッジ501の内容物は、弁520を通してカートリッジシステムから押し出される。
【0054】
弁520の回転によって、開口512ひいてはカートリッジシステムを完全に閉鎖することができる。第5実施形態の配置形式では、弁520は他の実施形態とは異なり、対称軸線に対して垂直に回転させられるように方向付けられている。両方のカートリッジ501の後ろには、さらに別の開口(図示せず)を備えた別のカートリッジが配置されている。そして別の貫通孔(図示せず)が、前記別の開口から弁520を通って流出開口に向かって延びている。これによって3つのカートリッジが流出開口と接続されているので、このようなカートリッジシステムによって、3つの成分から1つの混合物を形成することができる。
【0055】
上に述べた実施形態は難なく、3つ、4つ、5つ又はそれ以上のカートリッジを備えたカートリッジシステムに一般化することができる。所望の混合物を得るために、出発成分を、等しい配合比ではなく他の混合比で混合する必要がある場合には、カートリッジ1,101,201,301,501の横断面比を混合比に合わせることができる。この場合に圧送ピストン10,110,210,310,510が同じ速度で前進運動させられると、所望の混合比で混合が行われる。等しい速度での前進運動は、すべての圧送ピストン10,110,210,310,510が単数又は複数のロッド111,211,311によって互いに堅く結合されていることによって、保証することができる。択一的に、変速装置又は適宜な伝動装置を用いて異なった圧送ピストン10,110,210,310,510を異なった速度で移動させることによって、特定の混合比を調節することも可能である。異なった圧送ピストン10,110,210,310,510の前進速度を種々変化させることによって、出発成分の混合比を、押出し中に変化させること、及び押し出される混合物の物理的な特性を異ならせることが可能である。これにより、生ぜしめられる混合物において特性勾配(Eigenschaftsgradient)が生ぜしめられる。セメント又は接着剤を例に挙げると、このようにして、均一な化合物よりも良好な耐久性を有する化合物としての結合材料を形成することができる。
【0056】
本発明によるカートリッジシステムはつまり次のことによって、すなわち、
a)送出管240が配置されており、
b)該送出管240は一端で、回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520と結合されており、
c)該回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520は、少なくとも2つの互いに接続された開口を有しており、
d)円筒体20,120,220,320,420,520における少なくとも1つの開口は、送出管240と常に接続されており、
e)回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520は、少なくとも2つのヨーク形の支承部22,122,222,322,522を有する保持部22,122,222,322,522内に支承されていて、支承部22,122,222,322,522は、単数又は複数のカートリッジ頭部5,105,205,305,505と結合されており、
f)少なくとも1つの開口12,112,212,312,512が単数又は複数のカートリッジ頭部5,105,205,305,505に設けられていて、該開口12,112,212,312,512は、単数又は複数のカートリッジ1,101,201,301,501の内室と、該カートリッジの内容物を通すように接続されており、
g)回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520と結合された送出管240は、ヨーク形の支承部22,122,222,322,522の間に配置されており、
h)円筒体20,120,220,320,420,520はその円筒軸線を中心にして少なくとも80°回転可能に配置されており、
i)回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520は、該円筒体20,120,220,320,420,520の単数又は複数の開口と単数又は複数のカートリッジ1,101,201,301,501の単数又は複数の開口12,112,212,312,512とヨーク形の支承部22,122,222,322,522と共に、少なくとも1つの弁20,120,220,320,420,520を形成している
ことによって特徴付けられている。
【0057】
本発明によれば、回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520は両方の狭幅側において閉鎖されていて、有利には円錐形に一方の狭幅側から他方の狭幅側にむかって先細に構成されていてもよい。
【0058】
さらに送出管240は、回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520と送出管240との間における接続箇所の直ぐ上において、ヨーク形の支承部22,122,222,322,522の間における間隔と同じか又はそれよりも小さな外径を有していると有利である。
【0059】
本発明によればまた、1つの支承部22,122,222,322,522が、第2の支承部22,122,222,322,522よりも大きな内径を有しており、回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520から送出管240への接続箇所が第1の支承部22,122,222,322,522に対して次のような間隔、すなわち回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520と送出管240との接続箇所の直ぐ上における送出管240の外径の1/2よりも小さな間隔をおいて、位置している。
【0060】
送出管240は、保持部22,122,222,322,522の少なくとも2つのヨーク形の支承部22,122,222,322,522内に位置している回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520を介して、単数又は複数のカートリッジ1,101,201,301,501と接続されている。本発明によるカートリッジクロージャシステムは、閉鎖状態において送出管240がカートリッジ底部9,109,209,309,509に向かって回転させられているように働く。送出管240は有利には単数又は複数のカートリッジ1,101,201,301,501に対して平行に位置している。開放のためには単に、カートリッジ底部9,109,209,309,509に向かって下方に旋回させられた送出管240が、単数又は複数のカートリッジ頭部5,105,205,305,505に向かって上方に旋回させられる。送出管240がカートリッジ底部9,109,209,309,509に向かって下方に旋回させられている場合には、円筒体20,120,220,320,420,520における単数又は複数の開口は、単数又は複数のカートリッジ頭部5,105,205,305,505の単数又は複数の開口12,112,212,312,512と合致していない。上方に向かっての送出管240の旋回によって、回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520は回転し、そして円筒体20,120,220,320,420,520における単数又は複数の開口は、カートリッジ頭部5,105,205,305,505における単数又は複数の開口12,112,212,312,512と合致する。
【0061】
すなわち使用者は、送出管240を単にカートリッジ頭部5,105,205,305,505に向かって上方に、供給ポジションに旋回させるだけでよく、これにより弁20,120,220,320,420,520ひいてはカートリッジ1,101,201,301,501を開放することができる。そして使用者は送出管240を、単数又は複数のカートリッジ1,101,201,301,501と接続もしくは結合させる必要がない。これによって供給時における取付けエラーは、最初から排除されている。多成分カートリッジを使用する場合には、すべてのカートリッジ1,101,201,301,501は送出管240の回転、ひいては回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520の回転によって同期的に開放される。さらに、送出管240が単数又は複数のカートリッジ1,101,201,301,501と結合されていると有利である。これによって送出管240を供給前に、パッケージからの取出し時に紛失することがなくなる。さらにまた、送出管240のための別個のパッケージも不要になる。
【0062】
本発明によるカートリッジクロージャシステムによって使用者には、迅速で簡単かつ確実に操作できるシステムが提供される。
【0063】
支承部22,122,222,322,522には、本発明の有利な実施形態として、プラスチック技術において汎用の係止装置、例えば一方向に可動のピンとして形成された係止装置が配置されていてよい。このような係止装置は、送出管240を供給箇所において固定し、該供給箇所からの送出管240の戻り回転を阻止する。本発明の別の有利な構成では、回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520の下側面にプラスチック技術において汎用の、供給箇所からの送出管240の戻り回転を阻止する係止装置が設けられている。
【0064】
本発明によれば、回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520は両方の狭幅側において閉鎖されていて、有利には円錐形に一方の狭幅側から他方の狭幅側に向かって先細になっている。このように構成されていると、回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520を問題なく支承部22,122,222,322,522内に組み込むことができる。
【0065】
円筒体20,120,220,320,420,520はプレス嵌めによってヨーク形の支承部22,122,222,322,522内に位置するように設けられていてよい。プレス嵌めによって十分なシール作用が得られる。本発明の枠内においてさらに、カートリッジ1,101,201,301,501内に収容される流動性材料がその特性に基づいて必要とする場合には、付加的にシールリングを回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520に配置することも可能である。混合物のための複数の出発成分のうちの1つだけが、高い流動性を有していて、シールリングのない結合部が十分なシール作用を有していないような場合には、弁20,120,220,320,420,520における所属の開口12,112,212,312,512に、閉鎖ポジション及び開放ポジションのために付加的に各1つのシールリングを配属させるだけで十分である。
【0066】
本発明の別の有利な構成では、送出管240は、回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520と送出管240との間の接続箇所の直ぐ上において、ヨーク形の支承部22,122,222,322,522の間における間隔と同じか又はそれよりも小さな外径を有している。送出管240は支承部22,122,222,322,522の間において円筒体20,120,220,320,420,520を固定している。これによって円筒体20,120,220,320,420,520の脱落を阻止することができる。
【0067】
有利には、第1の支承部22,122,222,322,522は第2の支承部22,122,222,322,522に比べて大きな内径を有しており、回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520から送出管240への接続箇所の中心は、第1の支承部22,122,222,322,522は対して、次のような間隔、すなわち回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520と送出管240との接続箇所の直ぐ上における送出管240の外径の半分よりも小さな間隔をおいて位置している。このようになっていると、回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520の取付けが簡単になる。送出管240の外径の半分が、回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520と送出管240との接続箇所の中心の間隔よりも僅かに大きい場合には、送出管240は回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520を支承部22,122,222,322,522内に押し込む。これによって一方では回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520の脱落が阻止され、かつ他方では円筒体20,120,220,320,420,520は保持部22,122,222,322,522内にしっかりと押し込まれる。
【0068】
本発明の別の構成では、送出管240の軸線が単数又は複数のカートリッジ1,101,201,301,501の長手方向軸線に対して平行に位置していて、送出管240の送出管先端242におけるその出口が、単数又は複数のカートリッジ頭部5,105,205,305,505に対してずらされた方向に位置している場合には、回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520の開口は、単数又は複数のカートリッジ頭部5,105,205,305,505の開口12,112,212,312,512と共に、カートリッジ1,101,201,301,501の内室間における、流動性材料を通すための少なくとも1つの通流接続部を形成する。
【0069】
本発明の別の構成ではまた、送出管240がカートリッジ1,101,201,301,501のそば又はカートリッジ1,101,201,301,501の間の領域に位置していて、送出管240の送出管先端242が、単数又は複数のカートリッジ底部9,109,209,309,509に向けられた方向に位置している場合には、回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520の開口は、単数又は複数のカートリッジ頭部5,105,205,305,505の開口12,112,212,312,512と共に、カートリッジ1,101,201,301,501の内室間において、ペースト状材料を通さない少なくとも1つの接続部を形成する。
【0070】
本発明によるカートリッジクロージャシステムを備えた多成分用のカートリッジシステムでは、次のように、すなわち、
a)1つの内側の中空円筒体の周り、又は不規則に又は規則的に成形された1つの内側の中空体の周りに、2つ又はそれ以上のカートリッジ101,201,301,501が配置されており、これらのカートリッジ101,201,301,501の長手方向軸線が、前記1つの中空円筒体又は不規則に又は規則的に成形された中空体の軸線に対して平行であり、
b)カートリッジ頭部105,205,305,505に単数又は複数の開口112,212,312,512が配置されており、
c)送出管240が配置されており、
d)該送出管240は一端で、回転可能な円筒体120,220,320,420,520と接続されており、
e)該回転可能な円筒体120,220,320,420,520は、互いに接続された少なくとも2つの開口を有していて、少なくとも1つの開口が送出管240と通流接続されており、
f)回転可能な円筒体120,220,320,420,520は、少なくとも2つのヨーク形の支承部122,222,322,522内に支承されていて、該支承部122,222,322,522は少なくとも1つのカートリッジ頭部105,205,305,505と結合されており、
g)少なくとも1つの開口112,212,312,512がカートリッジ頭部105,205,305,505に設けられていて、該開口112,212,312,512が複数のうちの少なくとも1つのカートリッジ101,201,301,501の内室と通流接続されており、
h)回転可能な円筒体120,220,320,420,520に接続された送出管240は、ヨーク形の支承部122,222,322,522の間に配置されており、
i)円筒体120,220,320,420,520はその円筒体軸線Aを中心にして少なくとも80°回転可能に配置されており、
j)カートリッジ101,201,301,501は圧送ピストン110,210,310,510によって閉鎖されており、
k)該圧送ピストン110,210,310,510は、カートリッジ底部109,209,309,509とは反対側において単数又は複数のウェブ111,211,311によって互いに結合されており、
l)内側の中空円筒体又は不規則に又は規則的に成形された内側の中空体内に、ロッド350が圧送ピストン110,210,310,510の長手方向において配置されていて、該ロッド350は一端で少なくとも1つのウェブ111,211,311に固定されており、ロッド350は少なくとも圧送ピストン110,210,310,510の長さに相当する長さを有しており、
m)ロッド350は、カートリッジ頭部105,205,305,505に向いた側に歯列を有しており、
n)ロッド350は、内側の中空円筒体又は不規則に又は規則的に成形された内側の中空体内の横断面に比べて小さな横断面を有しており、
o)内側の中空円筒体とカートリッジ101,201,301,501とは、その長さの半分まで、少なくとも1つのスリット358によって接続されていて、該スリット358は単数又は複数のウェブ111,211,311の横断面に比べて小さな横断面を有しており、
p)内側の中空円筒体又は不規則に又は規則的に成形された内側の中空体の端部において、カートリッジ底部109,209,309,509に向いた側に、フレキシブルな係止手段354が配置されていて、該係止手段354は歯列を備えたロッド350の横断面よりも小さいか又はそれと同じ横断面を有している。
【0071】
カートリッジシステムを閉鎖する方法は、次のことによって、すなわち、送出管240の送出管先端242を、単数又は複数のカートリッジ頭部5,105,205,305,505に向かって回転させて、回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520の開口を、単数又は複数のカートリッジ頭部5,105,205,305,505の開口12,112,212,312,512と合致しない位置にもたらすことによって、特徴付けられている。
【0072】
本発明によるカートリッジシステムを開放する方法は、次のことによって、すなわち、単数又は複数のカートリッジ頭部5,105,205,305,505に向かう方向とは逆向きに位置している送出管240の送出管先端242を、カートリッジ頭部5,105,205,305,505に向かって、回転させて、送出管240を、単数又は複数のカートリッジ頭部1,101,201,301,501の軸線に対して垂直又はほぼ垂直に位置するように、かつ送出管先端242が単数又は複数のカートリッジ頭部5,105,205,305,505とは逆向きになるようにし、この際に回転可能な円筒体20,120,220,320,420,520の開口は、単数又は複数のカートリッジ頭部5,105,205,305,505の開口12,112,212,312,512の上に位置していて、これによってペースト状材料を通流させる少なくとも1つの接続部を形成することによって、特徴付けられている。
【0073】
本発明によるカートリッジシステムは、1成分カートリッジシステム及び多成分カートリッジシステムを一時的に閉鎖するために適している。本発明によるカートリッジシステムは、ペースト状の接着剤、シール剤、食料品、医薬品、歯科材料、無機の骨セメント及びポリメチルメタクリラートの骨セメントの一時的な保存及び後の供給のために、使用されることができる。
【0074】
上に述べた本発明の特徴的な構成はすべて、種々様々な実施形態において本発明を実現するために個々に用いられても又は任意に組み合わせることもできる。
【符号の説明】
【0075】
1,101,201,301,501 カートリッジ、 3,103,203,303,503 カーリッジ壁、 5,105,205,305,505 カートリッジ頭部、 9,109,209,309,509 カートリッジ底部、 10,110,210,310,510 圧送ピストン、 111,211,311 ウェブ、 12,112,212,312,512 開口、 20,120,220,320,420,520 弁/円筒体、 22,122,222,322,522 保持部/支承部、 24,124,224,324,424 管片、 26,126,226,326,426 流出開口、 28,128,228,328,428 固定手段/ねじ山、 30,130,230,330,430,530 貫通孔、 240 送出管、 242 送出管先端、 244 固定手段、 246 スタティックミキサ、 350 ロッド、 352 係止手段、 354 対応係止手段、 356 ウェブ、 358 スリット、 A 回転軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料、特に医薬セメントを供給するためのカートリッジシステムであって、少なくとも1つのカートリッジ(1,101,201,301,501)が設けられていて、該少なくとも1つのカートリッジ(1,101,201,301,501)が、複数のカートリッジ壁(3,103,203,303)と各1つのカートリッジ頭部(5,105,205,305,505)とを有していて、該カートリッジ頭部(5,105,205,305,505)にはそれぞれ少なくとも1つの開口(12,112,212,312,512)が設けられていて、さらにカートリッジ頭部(5,105,205,305,505)に保持部(22,122,222,322,522)が配置されている形式のものにおいて、
保持部(22,122,222,322,522)内に弁(20,120,220,320,420,520)が回転可能に支承されていて、該弁(20,120,220,320,420,520)は、流出開口(26,126,226,326,426)と接続されていて該弁(20,120,220,320,420,520)を貫いて延びる少なくとも1つの貫通孔(30,130,230,330,430,530)を有しており、弁(20,120,220,320,420,520)は、閉鎖ポジションにおいて、少なくとも1つのカートリッジ(1,101,201,301,501)の少なくとも1つの開口(12,112,212,312,512)、特に各カートリッジ(1,101,201,301,501)のすべての開口(12,112,212,312,512)を、密に閉鎖するようになっており、弁(20,120,220,320,420,520)の開放ポジションにおいて、単数又は複数の貫通孔(30,130,230,330,430,530)は前記単数又は複数の開口(12,112,212,312,512)と接続されていて、カートリッジ内容物が単数又は複数のカートリッジ(1,101,201,301,501)から流出開口(26,126,226,326,426)を通して押出し可能であり、弁(20,120,220,320,420,520)は閉鎖ポジションから開放ポジションに、該弁(20,120,220,320,420,520)の回転によって移動可能であることを特徴とする、カートリッジシステム。
【請求項2】
各カートリッジ(1,101,201,301,501)は、カートリッジ頭部(5,105,205,305,505)に向かって移動可能な少なくとも1つの圧送ピストン(10,110,210,310,510)を、カートリッジ内容物を前記開口(12,112,212,312,512)を通して押し出すために有しており、該圧送ピストン(10,110,210,310,510)は単数又は複数のカートリッジ(1,101,201,301,501)を底部側において、特に気密に閉鎖している、請求項1記載のカートリッジシステム。
【請求項3】
弁(20,120,220,320,420,520)における単数又は複数の開口に、少なくとも1つのシールリングが配置されていて、弁(20,120,220,320,420,520)の開放時に、カートリッジ(1,101,201,301,501)における前記開口(12,112,212,312,512)から前記貫通孔(30,130,230,330,430,530)に通じる少なくとも1つの液密な接続部が準備される、請求項1又は2記載のカートリッジシステム。
【請求項4】
弁(20,120,220,320,420,520)に管片(24,124,224,324,424)が配置されていて、該管片(24,124,224,324,424)は、送出管(240)を固定するための固定手段(28,128,228,328,428)を有しており、前記貫通孔(30,130,230,330,430,530)は、管片(24,124,224,324,424)を貫いて延びていて、流出開口(26,126,226,326,426)は管片(24,124,224,324,424)に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項5】
固定手段(28,128,228,328,428)はねじ山、特に雄ねじ山(28,128,228,428)である、請求項4記載のカートリッジシステム。
【請求項6】
少なくとも1つのカートリッジ(1,101,201,301,501)に対して平行に、有利には少なくとも2つのカートリッジ(1,101,201,301,501)の間に、特に有利には、周囲に複数のカートリッジ(1,101,201,301,501)が互いに平行に配置されている中空体内に、可動のロッド(350)が圧送ピストン(10,110,210,310,510)に対して平行に配置されており、該ロッド(350)は、少なくとも1つのウェブ(356)及び/又はプレートを介して圧送ピストン(10,110,210,310,510)と堅く結合されており、ロッド(350)は、弁(20,120,220,320,420,520)に向いた側に係止手段(352)を有していて、単数又は複数のカートリッジ壁(3,103,203,303,503)に、又は有利には中空体の内壁に、対応係止手段(354)が設けられており、該対応係止手段(354)はロッド(350)の係止手段(352)と共働し、これにより、カートリッジ底部(9,109,209,309,509)に向かっての、ひいては圧送ピストン(10,110,210,310,510)に向かっての、カートリッジ(1,101,201,301,501)外へのロッド(350)の運動が、困難になっており、特に阻止されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項7】
単数又は複数のカートリッジ壁(3,103,203,303,503)は、カートリッジ底部(9,109,209,309,509)を起点として少なくとも1つのスリット(358)を有しており、該スリット(358)はロッド(350)に対して平行に配置されていて、スリット(358)の幅がウェブ(356)を収容するのに十分であり、かつ特にスリット(358)の長さが、カートリッジ長さの少なくとも半分に達している、請求項6記載のカートリッジシステム。
【請求項8】
弁(20,120,220,320,420,520)又は管片(24,124,224,324,424)に送出管(240)が配置されていて、該送出管(240)が流出開口(26,126,226,326,426)を起点として、貫通孔(30,130,230,330,430,530)を送出管先端(242)に到るまで延長している、請求項1から7までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項9】
送出管(240)が固定手段(244)、特に雌ねじ山(244)を有していて、該固定手段(244)によって送出管(240)は管片(24,124,224,324,424)の固定手段(228)と解離可能に結合されているか又は、送出管(240)は弁(20,120,220,320,420,520)と堅く結合されている、請求項8記載のカートリッジシステム。
【請求項10】
送出管(240)はスタティックミキサ(246)を有している、請求項8又は9記載のカートリッジシステム。
【請求項11】
送出管(240)は、弁(20,120,220,320,420,520)の閉鎖時に、少なくとも1つのカートリッジ(1,101,201,301,501)に対して平行に、特に少なくとも2つのカートリッジ(1,101,201,301,501)の間に配置されている、請求項8から10までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項12】
弁(20,120,220,320,420,520)は開放ポジション及び閉鎖ポジションにおいて、カートリッジ頭部(5,105,205,305,505)における開口(12,112,212,312,512)に対してプレス嵌めされて配置されていて、該開口(12,112,212,312,512)を、シール作用をもって閉鎖しているか又は、シール作用をもって貫通孔(30,130,230,330,430,530)と接続している、請求項1から11までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項13】
カートリッジシステムは、混合物、特に医薬セメントを混合及び供給するために、少なくとも2つの互いに平行に配置されたカートリッジ(1,101,201,301,501)を、有利には互いに平行に配置された3つのカートリッジ(1,101,201,301,501)を有している、請求項1から12までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。
【請求項14】
弁(20,120,220,320,420,520)における貫通孔(30,130,230,330,430,530)は、弁(20,120,220,320,420,520)が開放ポジションを占めている場合に、少なくとも2つのカートリッジ(1,101,201,301,501)の開口(12,112,212,312,512)を流出開口(26,126,226,326,426)と接続する、請求項13記載のカートリッジシステム。
【請求項15】
弁(20,120,220,320,420,520)は円筒形に成形されているか、楕円のベース面を備えた円筒体の形状を有しているか、又は円筒体区分の形状を有している、請求項1から14までのいずれか1項記載のカートリッジシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−235103(P2011−235103A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103862(P2011−103862)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(508316210)ヘレーウス メディカル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Medical GmbH
【住所又は居所原語表記】Philipp−Reis−Str. 8/13, D−61273 Wehrheim, Germany
【Fターム(参考)】