説明

カートリッジ及びそれを用いたカートリッジ式ガンディスペンサ

【課題】カートリッジ型容器の手軽さとフィルム容器に匹敵するコストでしかも前面に設けられた複数の開口弁を具有する蓋と本体フィルムの袋の内にペースト状食品を充填密閉したカートリッジを提供する。
【解決手段】蓋と本体フィルムからなる円柱状カートリッジで、蓋には吐出口の複数の開口弁を設け、剥離可能なカバーフィルムで密封され、カートリッジ袋内にペースト状食品を収納、密封してあるカートリッジとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジを押圧させて内容物を注出させるための手持ち式ディスペンサに用いるペースト状物の内容物が充填されているカートリッジに係り、それを用いるガンディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
ファーストフードでは、調理に際して各種の食品ソースは比較的少量のソースをそれぞれ多数の一人前づつに盛り付けなければならない。ソースは通常はマヨネーズを基にして各種のスパイスや他の材料を加えて独自の風味、質感を持ったソースである。それら材料はマヨネーズと同様の粘度であったり、固形具材が配合されている場合もある。これらのペースト状食品をカートリッジに詰込み、コーキングガンと同様な手持ち式ディスペンサで分配することが便利であることが分かつている。
【0003】
ディスペンサはその作動引き金を握る度毎に同じ距離だけ前進するプランジャーによりカートリッジの後方から押出し、前面に設けられた複数の開口弁からハンバーガーのパンズに均一に盛り付けられる。
【0004】
これらの専用のカートリッジが特許公告平3−23436号公報(特許文献1)で、また、特許公告平7−94266号公報(特許文献2)で開示されており、既に広く用いられている。これらのカートリッジの使い勝手は問題はないものの、カートリッジのコスト並びに使用後の空のカートリッジが環境に与える問題が考えられ、軟質容器を用いた押出し方法が提案されている(特開昭53−61483(特許文献3))。
【0005】
軟質容器に充填したペースト状食品は容器のコスト並びに使用後の容器の問題は解決できるものの、盛り付け時のオペレーションは開口口が釘状物で作成する構造のため、複数の開口を確保することが出来ないばかりか、弁構造でないためにオペレーションでの使い勝手は評価できるものではなかった。
【0006】
開口口がキャップやアルミ箔等でヒートシールされた容器が特許2944116号公報(特許文献4)で開示されている。しかし、複数かつ均一な盛り付けについては考えられていないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許公告平3−23436号公報
【特許文献2】特許公告平7−94266号公報
【特許文献3】特開昭53−61483号公報
【特許文献4】特許2944116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、カートリッジ型容器の手軽さとフィルム容器に匹敵するコストでしかも前面に設けられた複数の開口弁を具有する蓋と本体フィルムの溶着する方法において製された袋の内にペースト状食品を充填密閉したカートリッジ並びに該カートリッジを具備する手持ち式ガンディスペンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るカートリッジは、手持ち式ガンディスペンサに用いる蓋と本体フィルムが溶着されてなる円柱状カートリッジであって、蓋には吐出口の複数の開口弁を設け、剥離可能なカバーフィルムで密封され、蓋の立下りの外周と本体フィルムの溶着方法において、本体フィルムの直径よりも若干小さな径の円筒状の保持具の頭部の該直径方向に拡張可能なシール受け台に蓋の立下り部を被せて保持し、該蓋に本体フィルムを被せて、シール位置を合わせ、前記保持具の頭部のシール受け台を直径方向に拡張させ、拡張させた状態で第一溶着を行い、次いで該第一溶着したカートリッジ袋を四分の一回転させて第二溶着を行ったカートリッジ袋内にペースト状食品を収納し、本体フィルムの開口部を密封してあることを特徴とする。
【0010】
さらに、前記のペースト状食品を収納したカートリッジであって、該カートリッジを蓋の外形と略等しい内径の筒状体に嵌入させ、該筒状体を装着し、該カートリッジの底部をカートリッジの長さ方向に内容積が略無くなるまでピストンロッドにより押潰すピストンを装着したピストンロッドを所定ピッチずつ押動させる操作部を具有していることを特徴とするカートリッジ式ガンディスペンサを提供することにより前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る前面に複数の開口弁を具有する蓋と本体フィルムを溶着して製されたカートリッジ袋の内にペースト状食品を充填密閉したカートリッジは従来のカートリッジ型の容器と同様の使い勝手並びに従来のディスペンサが略そのまま使用できる。また、開口弁を具備していることから一度に複数を均等に盛り付けることが可能である安価な袋で供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るカートリッジ使用の一実施例を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例のカートリッジの断面説明図である。
【図3】本発明に係るカートリッジ袋を構成を説明する説明図である。
【図4】本発明に係るカートリッジ袋の製造の工程を説明する一実施例の説明図である。
【図5】筒状体を用いずに本発明に係るカートリッジを使用する他の実施例を示す斜視図である。
【図6】カートリッジ袋にペースト状食品を充填し、本体フィルムの開口部を折り畳みヒートシールした形状(イ)を示し、同(ロ)は、本体フィルムのサイドにガゼットを設けたシールした形状を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を以下、図面をもとに説明する。
本発明に係るカートリッジは、ポリプロピレンの成型品である蓋2とナイロンとポリプロピレンの本体フィルム1とが蓋2の立下がり部と本体フィルム1が熱溶着されている。
【0014】
まず、本体フィルム1は、ナイロンとポリプロピレンの共押出しインフレーションフィルムを用いることができるがフィルムの樹脂組成は特に限定されず、ポリエチレンやポリエステルなど、従来用いられている樹脂を選択することができる。また、該本体フィルム1はインフレーションフィルムをそのまま所望の長さにカットしたフィルムが好ましいが、サイズの異なるインフレーション押出し成型法やTダイ押出し成型法等によってフラットな形状に製膜されたフィルムの端部同士をヒートシール等して筒状に成型したものであってもよい。
【0015】
また、蓋2は、ポリプロピレンのフラットなフィルムに立下がりを成型して切断したものであるが、その材質は開口弁を形成するために弁機能に必要な厚みを有することが好ましい。材質は筒状フィルム1に熱溶着することからポリプロピレン、ポリエチレンを主に選択することができる。
【0016】
次に、本体フィルム1、蓋2から本発明に係るカートリッジ袋を製造する方法について、図4をもとに説明する。
【0017】
まず、本体フィルム1の直径よりも若干小さな径の円筒状の保持具10で、該保持具10の頭部には直径方向に拡張可能に分割されたシール受け台11を有している。分割されたシール受け台11は分割部にクサビを挿入する方式で拡張し、その直径を保持する構造としてある。そこで、シール受け台11が閉じた状態でその上面に蓋2を被せるように載置する。
【0018】
次いで、所定の長さに切断された本体フィルム1を載置した蓋2に被せて、該蓋2のシール位置と該筒状フィルム1のシール位置をあわせる。次に、シール受け台11を拡張させると蓋2の立下がり部が押し広げられ、被せられた本体フィルム1の内面に密着させることができる。この際、蓋2を載置後、シール受け台11に載置された該蓋2の固定を兼ねる本体フィルム1の挿入ガイド12を用いると本体フィルム1の挿入が容易となることから良い。シール受け台11が拡張することで、蓋2と本体フィルム1は固定される。その状態で該蓋2と該本体フィルム1が重ねられた状態で外側から挟み込み形状に2つ割の温度管理されたヒーターブロック14を押し当てて第1の熱シールを行う。
【0019】
第1の熱シール終了後のカートリッジ袋を略90度の回転移動させ、第1の熱シールと同様の第2の熱シールを行う。このように第1の熱シールと第2の熱シールとに分けて熱シールを行うことにより、2つ割のヒーターブロック14の間隙を確実にヒートシールを行うことができる。最後にヒートシールが完了したカートリッジ袋を保持具10から取り外すことによりカートリッジ袋を完成することができる。蓋2に本体フィルム1を被せて、シール受け台11を拡張させ、蓋2と本体フィルム1が密着状態でシールをすることができるため皺によるピンホールも発生を防止できるものである。
【0020】
図2は、本発明の一実施例のカートリッジ8の断面説明図であり、本発明に係るカートリッジ8とカートリッジ8の直径方向を規制するための筒状体7に嵌入した状態を断面図で示した。カートリッジ8は、図6に示したように、カートリッジ8にペースト状食品を本体フィルム開口部5から充填し、該本体フィルム1の開口部5を扁平に折り畳みヒートシールする。この際、図6(ロ)に示すように、本体フィルム1のサイドにガゼットをとって扁平に折り畳むと、シール部の形状が円形に近づくため、ガンディスペンサに使用する際にカートリッジ8が使いやすくなり、更にピンホールも発生しにくくなる。
【0021】
また、カートリッジ8の前面の複数の開口弁3は、あらかじめ蓋2の窪み部に十文字、或いはアスタリクス形状の切り込みで開口弁3を設けておき、その外側部に開口弁3を剥離可能なカバーフィルム4で密封してあるとペースト状食品を充填密封後にガンディスペンサ20にて使用する際にカバーフィルム4を削除するだけで用いることができる。
図5は、本発明に係るカートリッジ8に筒状体7を使用せずにガンディスペンサの開口部に専用のカバーを取り付けたフルカバー式ガンディスペンサ21の一実施例を示す。
【実施例】
【0022】
蓋2は厚みが300ミクロンのポリプロピレンの板を直径78ミリ立下がり15ミリで中央に直径50ミリで1ミリの窪み部がある。窪み部には対辺15ミリのアスタリクス形状の切込みが設けられた開口弁3を4箇所を形成してある。開口弁3が設けられた窪み部は外部にPET/PPのカバーフィルム4で周囲が覆われている。このカバーフィルム4はイージーピールとなっており、はがし取ることにより開口弁3がそのまま使用できる構造となっている。
【0023】
次に、本体フィルム1はナイロンとポリプロピレンの共押出しインフレーションフィルムで、厚みは70ミクロン、折径は124ミリ、長さは200ミリとした。
【0024】
次に蓋2と本体フィルム1のシール方法を説明する。
シール装置は、高さが250ミリの直径76ミリの円筒状の保持具10で、該保持具10の頭部は直径79ミリ、厚さ15ミリの円盤が2つ割にされており、閉じると対辺は76ミリとなり、拡張レバー13にて79ミリに拡張が可能な構造のシール受け台11であり、その下はスカート部となっている。
【0025】
まず、シール受け台11に蓋2を被せるように載置する。該蓋2の上に挿入ガイド12を載置して本体フィルム1を挿入ガイド12に被せるようにすることにより、蓋2の立下りと本体フィルム1の取り付けが容易に出来る。シール位置を合わせて、シール受け台11の拡張レバー14を操作してシール受け台11を拡張させて、蓋2の立下り部と本体フィルム1を密着させる。
【0026】
シール受け台11に形状をあわせた温度管理されたヒーターブロック14でシール受け台11を挟み込み蓋2の立下り部と本体フィルム1の内面を熱シールする。ヒーターブロック14を解放冷却後、蓋2、本体フィルム1を90度回転させ、再度ヒーターブロック14でシール受け台11を挟み込み、熱シールを行う。ヒーターブロック14を開放冷却後に完成したカートリッジ袋を保持具10から取り外してカートリッジ袋を完成させた。なお、90度の回転並びに完成品の取り外しはシール受け台11の拡張は閉じるとよりスムーズにできる。
【0027】
次に、フィルム開口部5からマヨネーズ540gを極力気泡が混入しないように充填した。
フィルム開口部5は扁平に折り畳み極力気泡を排除して、更に扁平に折り畳んだ両辺を2センチのガセットをとってヒートシールをして本発明に係るカートリッジ8を製した。
これらのカートリッジ8を筒状体7に嵌入させ、ガンディスペンサ20に使用すると、使用に際し、開口弁3のカバーフィルム4を剥がすだけでスムーズに使用することができた。
【符号の説明】
【0028】
1 本体フィルム
2 蓋
3 開口弁
4 カバーフィルム
5 フィルム開口部
5A,5B フィルム開口部シール
6 溶着部
7 筒状体
8 カートリッジ
10 保持具
11 シール受け台
12 挿入ガイド
13 拡張レバー
14 ヒーターブロック
20 ガンディスペンサ
21 フルカバー式ガンディスペンサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち式ガンディスペンサに用いる蓋と本体フィルムが溶着されてなる円柱状カートリッジであって、蓋には吐出口の複数の開口弁を設け、剥離可能なカバーフィルムで密封され、蓋の立下りの外周と本体フィルムの溶着方法において、本体フィルムの直径よりも若干小さな径の円筒状の保持具の頭部の該直径方向に拡張可能なシール受け台に蓋の立下り部を被せて保持し、該蓋に本体フィルムを被せて、シール位置を合わせ、前記保持具の頭部のシール受け台を直径方向に拡張させ、拡張させた状態で第一溶着を行い、次いで該第一溶着したカートリッジ袋を四分の一回転させて第二溶着を行ったカートリッジ袋内にペースト状食品を収納し、本体フィルムの開口部を密封してあることを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
請求項1記載のペースト状食品を収納したカートリッジであって、該カートリッジを蓋の外形と略等しい内径の筒状体に嵌入させ、該筒状体を装着し、該カートリッジの底部をカートリッジの長さ方向に内容積が略無くなるまでピストンロッドにより押潰すピストンを装着したピストンロッドを所定ピッチずつ押動させる操作部を具有していることを特徴とするカートリッジ式ガンディスペンサ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−163172(P2010−163172A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4634(P2009−4634)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】