説明

カートリッジ式ディスペンサー容器

【技術課題】
カートリッジ式ディスペンサー容器において、空気のとり入れ口からゴミや汚水が内部に入り込むのを防止すると共にカートリッジの取付状態が音と手応えで確認でき、ガタツキが発生しないようにする。
【解決手段】
容器本体2の蓋体3のスカート部3bの内面3cにねじ無し部Wを形成し、このねじ無し部Wの中央に縦型の吸気溝3eを形成し、空気はこの吸気溝3eを経由して容器本体2内に吸入されるようにする。
このようにすると、吸気溝3eは表に現れないことから、ディスペンサー4を駆動してカートリッジ9が収縮し、容器本体2内に空気を吸入するときに、吸気溝3eからゴミや汚れが内部に侵入することはない。また、カートリッジ9のストッパー12は蓋体3側のストッパー11、11a間に収まることから、ガタツキが発生しないと共に取付時にカチットした音と手応えで取り付け状態を感知できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプー、リンス、液体石けん等を定量ずつ注出可能なディスペンサーを取り付けた容器であって、前記シャンプー等の内容物は柔軟に収縮可能なカートリッジ内に収容されていて、一つのカートリッジの使用が終ると次のカートリッジを付け替えて使用可能なディスペンサー容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
収縮式のカートリッジを付け替えるディスペンサー容器の場合、容器が密閉されているとカートリッジが収縮できないことから、容器内に空気をとり込むことが必要となる。
【0003】
そこで、特開2000−211671号公報に掲載されている詰替用液体容器の場合には、容器本体の底部を開放したままとなし、この底部から空気を容器内に自由に入り込む内容のものが紹介されている。
【0004】
また、実開昭59−80261号公報には、容器の底部を閉塞し、ここに空気孔4を設けてこの空気孔4から空気をとり込む内容のものが紹介されている。
【0005】
また、特開2001−335087号公報には、容器の底部に通気孔13を形成した内容のものが紹介されている。
【0006】
しかし、上記3例の場合、いずれも容器の底部に空気のとり入れ口又は孔が形成されているため、容器内に外からゴミや汚水が流入して不衛生となり勝ちである。
【0007】
特に、底に小さな通気孔を形成した実開昭59−80261号公報及び特開2001−335087号公報の場合には、浴室のように多湿の環境下においてはこの孔がゴミや汚れで塞がれてしまい、通気性が悪化し、ポンプの駆動がスムーズに行われなくなるという問題がある。
【0008】
また、容器を移動する場合、底の孔から容器内に侵入した汚水が流れ出てきて手や衣服を汚したりするという問題がある。
【0009】
また、前記特開2001−335089号公報には、蓋体の中央に形成したカートリッジ取付穴内にカートリッジストッパーを形成しているが、このストッパーは1個のために反対方向へのガタツキが生じるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−211671号公報
【特許文献2】実開昭59−80261号公報
【特許文献3】特開2001−335087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は斯る点に鑑みて提供されるものであって、その目的は、通気孔から容器内にゴミや汚れが侵入したり、ゴミや汚れで通気孔が塞がれたりしないと共にカートリッジを取り付けたあとでガタツキが発生しないカートリッジ式ディスペンサー容器を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、カートリッジ式ディスペンサー容器として、下縁にスカート部を形成すると共にこのスカート部の内面に雌ねじを形成して成る蓋体を容器本体の上部開口部の周縁に形成した雄ねじに螺合させることにより容器本体の開口部を覆い、かつこの蓋体の中央に形成されたカートリッジの首部挿入穴に液体を充填した柔軟性を有するカートリッジの首部を装着して成るディスペンサー容器において、前記蓋体のスカート部の内面に形成した雌ねじの山を円周において一部切り欠いてねじ無し部を形成すると共にこのねじ無し部に縦溝を形成し、この縦溝を前記ディスペンサーの駆動に連れてカートリッジが収縮するときに外から前記容器本体内に空気をとり込むための吸気溝として成ることを特徴とするものである。
【0013】
更に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカートリッジ式ディスペンサー容器において、前記吸気溝を複数個所形成して成ることを特徴とするものである。
【0014】
更に、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のカートリッジ式ディスペンサー容器において、前記蓋体のカートリッジの首部挿入穴の内周面に大突起部と小突起部を形成し、この小突起部は乗り越え、大突起部は乗り越え不能のストッパーをカートリッジ側の首部であって、ねじ部の根元の外周面に形成して成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上のとおり、ディスペンサー容器において、その空気をとり入れるための吸気溝を蓋体側であって、そのスカート部の内側に形成した雌ねじ部に縦溝として形成した。
【0016】
このことにより、ディスペンサーを駆動すると、空気は容器本体内に蓋体のスカート部の下縁の内側から吸気溝を経由してスカート部内の上部に至り、ここから容器本体内に流入する。
【0017】
この結果、空気の吸気溝の入口は容器の外に露出していないことから、ディスペンサーを駆動してカートリッジが収縮し、容器本体内が負圧に変化しても、ゴミや汚れが吸気溝を経由して容器本体内に流入したり、吸気溝がゴミ等で詰ったりする心配がない。
【0018】
また、空気はスカート部において下方から吸気溝内に入り、吸気溝を上昇して容器本体内に流入するため、汚れた水やゴミ等が空気と一緒になって容器本体内に流入することもないことから、使用に際して手を濡らしたり、衣服を汚したりする心配がない。
【0019】
また、吸気溝はスカート部分の円周において複数箇所に形成することにより、スムーズな空気の流入を担保し、カートリッジの収縮作用とディスペンサーの円滑な作動を担保することができる。
【0020】
また、蓋体のディスペンサー取付穴内に大突起と小突起から成るストッパーを設けたことにより、カートリッジを取り付けたときに、このカートリッジ側のストッパーがこの大突起と小突起間に入り込み、ガタツキが発生しないと共に、小突起を乗り越える時にカチットした音と手応えが生じ、これによりカートリッジが完全に固定されたことを感知できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るディスペンサー容器を分解した状態を示す斜視図。
【図2】ディスペンサー容器を組み立てた状態の断面図。
【図3】蓋体の内面を示す正面図。
【図4】A−A’線断面図。
【図5】吸気溝部分を示す断面図。
【図6】吸気溝部分の正面図。
【図7】蓋体とディスペンサーの取付状態を感知できるストッパーの説明図。
【図8】ディスペンサー駆動時のカートリッジの収縮と吸気状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、シャンプー、リンス、液体洗剤等の容器であって、ディスペンサーを用いて前記シャンプー等を定量ずつ注出することができ、かつ前記シャンプー等はカートリッジに充填されていて、使い切ると新しいカートリッジに付け替えて使用できるディスペンサー容器である。
【0023】
また、本発明のディスペンサー容器は、容器本体内にカートリッジを密閉して取り付ける構造のため、ディスペンサーを駆動してカートリッジ内から内容物を吸い出すと、これに連れてカートリッジが収縮し、容器本体内が減圧されることから、この減圧された分の空気が容器本体内に吸入される構造である。
【0024】
そして、本発明は、この空気が容器本体内に吸入される構造について、新規な提案を行うもので、空気の吸入と共にゴミや汚水等が容器本体内に吸入されるのを防止する構造に特徴がある。
【0025】
また、本発明は、カートリッジの取り付け状態を音と手応えで感知することができると共にガタツキが発生しない構造となっている。
【実施例】
【0026】
以下、添付図面に基づいて本発明の構造を詳細に説明する。
図1は、本発明が実施されたディスペンサー容器の分解図であって、このディスペンサー容器1は、硬質の樹脂を用いて成形された円筒状の容器本体2の上部開口部の外に雄ねじ部1aを形成した有底状のものである。
【0027】
3は容器本体2の開口部2aを閉じるための蓋体であって、この蓋体3は、図2、図3に示すように、前記容器本体2の上部開口部2aに形成された雄ねじ部1aに螺合する雌ねじ部3dをスカート部3bの内面3cに形成し、中央にカートリッジ9の首部9aが突き出るための穴3aを形成し、この穴3a内に回転防止用の大突起ストッパー11と小突起ストッパー11aを形成した構造である。
【0028】
更に、前記スカート部3bの内面3cであって、雌ねじ部3dの部分には、対向する位置2ヶ所に雌ねじ部3dを切り欠いたねじ無し部Wを形成し、このねじ無し部Wの中央には、スカート部3bの内面3cに縦溝を形成してこの縦溝を吸気溝3eとした構造である。
【0029】
なお、本実施例においては、ねじ無し部Wと吸気溝3eは180°位置に2ヶ所であるが、1ヶ所又は3ヶ所以上に形成しても良く、この数は任意である。同様に、大突起ストッパー11と小突起11aの位置の数も任意である。
【0030】
4はディスペンサーであって、このディスペンサー4はプッシュ部4bを押すとポンプ4aが駆動して吸引管7の先端8から内容物を吸引するもので、ディスペンサー4の取付部5内には後述するカートリッジ9の取付ねじ10を螺合するためのねじ部6が形成されている。
【0031】
9はシャンプーを充填したカートリッジであって、このカートリッジ9は柔軟性を有し、内圧が低下すると内側に変形収縮する材質のもので作られており、この口部9aには前記ねじ部6に螺合するねじ部10と、首部に前記大突起ストッパー11と小突起ストッパー11a間に係合するストッパー12を180°間隔で形成した構成である。
【0032】
上記構成において、吸気溝3e部分の構成を図3〜図5を用いて更に詳しく説明すると、吸気溝3eは、蓋体3のスカート部3bの内面3cに形成した雌ねじ部3dにおいて形成したねじ無し部Wの中央に縦溝形態で形成されている。
【0033】
この結果、ディスペンサー4を駆動すると、容器本体1側の雄ねじ部1aはそのままであるが、雌ねじ部3dにねじ無し部Wが形成されているため、このW部分においては、ねじの螺合が無く、空間部3fが図5に示すように形成され、かつこの部分に吸気溝3eが形成されていることから、空気は図2及び図5において矢印aで示すように吸気溝3eから容器本体1内に流入し、カートリッジ9の収縮を可能にする。
【0034】
カートリッジ9の交換は、蓋体3をとり外し、ディスペンサー4を廻してねじ部6と10の螺合を解くとディスペンサー4から使い切ったカートリッジ9を取り外すことができるので、新しいカートリッジをディスペンサー4のねじ部6にねじ込み、蓋体3を容器本体1に取り付けることにより行う。
【0035】
また、カートリッジ9側のストッパー12は、図6(A)の状態においてカートリッジ9を時計方向に回転すると、小突起ストッパー11aはカチット乗り越え、図6(B)のように大突起ストッパー11では止められ、このストッパー11、11a間に位置し、妄りにガタツキが生じるのを防止する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下縁にスカート部を形成すると共にこのスカート部の内面に雌ねじを形成して成る蓋体を容器本体の上部開口部の周縁に形成した雄ねじに螺合させることにより容器本体の開口部を覆い、かつこの蓋体の中央に形成されたカートリッジの首部挿入穴に液体を充填した柔軟性を有するカートリッジの首部を装着して成るディスペンサー容器において、前記蓋体のスカート部の内面に形成した雌ねじの山を円周において一部切り欠いてねじ無し部を形成すると共にこのねじ無し部に縦溝を形成し、この縦溝を前記ディスペンサーの駆動に連れてカートリッジが収縮するときに外から前記容器本体内に空気をとり込むための吸気溝として成るカートリッジ式ディスペンサー容器。
【請求項2】
前記吸気溝を複数個所形成して成る請求項1に記載のカートリッジ式ディスペンサー容器。
【請求項3】
前記蓋体のカートリッジの首部挿入穴の内周面に大突起部と小突起部を形成し、前記小突起部は乗り越え、大突起部は乗り越え不能のストッパーをカートリッジ側の首部であって、ねじ部の根元の外周面に形成して成る請求項1に記載のカートリッジ式ディスペンサー容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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