カートリッジ押圧機構及びそれを備えたディスク装置
【課題】 カートリッジを押圧するに際して、カートリッジ主面の見映えを損なうことが無く、また摩耗粉の発生を抑制でき、更に、RAMカートリッジとBDカートリッジの両方について適正な押圧力で押圧することができるようにする。
【解決手段】 カートリッジC1,C2に収容されたディスクの記録及び/又は再生を行い得る記録再生位置を有するとともに、カートリッジを載置するトレイ10を記録再生位置に対応した第1位置と装置外部の第2位置との間で往復動可能に移送する移送手段を備え、少なくとも前記トレイが前記第1位置にある状態で、カートリッジをトレイに対して押圧するカートリッジ押圧機構であって、ディスクの情報記録層と平行な一対のカートリッジ主面F1,F2と、両カートリッジ主面の外縁部どうしを繋ぐカートリッジ側面S1,S2と、で形成されたカートリッジ稜部R1,R2を押圧することを特徴とする。
【解決手段】 カートリッジC1,C2に収容されたディスクの記録及び/又は再生を行い得る記録再生位置を有するとともに、カートリッジを載置するトレイ10を記録再生位置に対応した第1位置と装置外部の第2位置との間で往復動可能に移送する移送手段を備え、少なくとも前記トレイが前記第1位置にある状態で、カートリッジをトレイに対して押圧するカートリッジ押圧機構であって、ディスクの情報記録層と平行な一対のカートリッジ主面F1,F2と、両カートリッジ主面の外縁部どうしを繋ぐカートリッジ側面S1,S2と、で形成されたカートリッジ稜部R1,R2を押圧することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、映像用や音楽用あるいはコンピュータ・データ用等の情報記録媒体としてのディスクを収容したカートリッジを、当該ディスクの記録再生時などにカートリッジ移送用のトレイに対して押圧するカートリッジ押圧機構、及びかかるカートリッジ押圧機構を備えたディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の記録再生分野におけるディジタル化の進展は著しく、情報記録媒体としてのディスクについても、従来の音声のみをディジタル録音する用途から動画像と音声とをディジタル録画する用途へと、その用途の拡大が急速に進展しつつある。このため、ディスクの記録容量のより一層の増大と、より高速での安定した記録及び/又は再生を可能とする記録再生技術の確立とが求められている。尚、本明細書において、「(ディスクについて)記録及び/又は再生」とは、「(ディスクへの情報の)記録および(ディスクに記録された情報の)再生の少なくとも何れか一方」を簡略化して表現したものである。
【0003】
上記のような要請の高まりの中で、情報信号をディジタルで記録再生できる大容量のディスク型情報記録媒体として、所謂、記録型DVD(ディジタル・バーサタイル・ディスク)が脚光を浴びている。この記録型DVDとしては、ライトワンス記録(一回記録)タイプの所謂DVD−Rディスクと、書換型の所謂DVD−RAMディスク,DVD−RWディスクとが、広く知られており、この中でも特にDVD−RAMディスクは、大容量の情報記録媒体として、映像の録画あるいはコンピュータ・データの蓄積などの分野において普及が進んでいる。
これら記録型DVDは、光学的に情報の記録再生を行うものであるので、ゴミや汚れの影響を受け易く、その表面にゴミや指紋等が付着していると、安定した記録再生が不能となる場合がある。そこで、何れの記録型DVDについても、DVD収納用のカートリッジが規格で定められており、特にDVD−RAMディスクの場合、このようなカートリッジ(以下、適宜、RAMカートリッジと称する)に収納した状態で使用するタイプのものもある。
【0004】
また、近年では、高画質放送の開始に伴い、その映像を高画質で録画するためにより大容量の情報記録媒体が求められている。このため、従来の記録型DVDを記録再生する際に適用される赤色レーザ光よりも波長が短い青色レーザ光を適用することによって記録密度を飛躍的に向上させた、所謂、ブルーレイディスクと称される情報記録媒体(以下、適宜、BDと略称する)の商品化が進められている。
このブルーレイディスクの場合、波長が短い青色レーザ光を適用することで信号がより微細化されて記録密度の向上がもたらされるので、前述したように記録型DVDと同様にゴミ、汚れ及び指紋等の影響を考慮してカートリッジが検討され、従来の記録型DVDとは異なる構成のカートリッジ(以下、適宜、BDカートリッジと称する)に収納して用いられる。
【0005】
この収納カートリッジの顕著な違いとしては、シャッター構成が挙げられる。すなわち、RAMカートリッジの場合には、図9に示すように収納するDVD−RAMディスクの記録層に対向するカートリッジ主面F2の両側に係合する略コ字型の縦断面形状を有するシャッターG2を備え、略コ字型断面形状にシャッターG2を連結する連結部G2bがRAMカートリッジC2の側面から突出し、当該連結部G2bに記録再生装置のシャッターオープナー(不図示)が係合することで、シャッターG2をカートリッジ主面F2に対して矢印B−B方向に摺動させ、シャッターG2による一対のカートリッジ主面F2に備える開口窓(不図示)の開閉動作を行う。
【0006】
これに対して、図7に示すBDカートリッジの場合には、カートリッジ主面F1の一方の面には開口孔が設けられ、収納したブルーレイディスクが露出しており、他方の面には不図示のシャッターが設けられており、BDカートリッジC1の一方の側面S1から露出するオープナー係合部g1にシャッターオープナー(不図示)が係合することでシャッターが回動し、シャッターによる開口窓m1(図13参照)の開閉動作を行う。
【0007】
以上のようにシャッター構成が異なることに起因して、RAMカートリッジC2とBDカートリッジC1の外形が異なる。すなわち、図10に示すように、RAMカートリッジC2はシャッターG2の連結部G2bがある分だけシャッターG2の摺動方向(矢印B−B方向)に直交する矢印A−A方向(以下、縦方向と称す)の長さは、BDカートリッジC1よりも長くなる。一方BDカートリッジC1はシャッター係合部g1がカートリッジC1の側面S1から露出し、当該シャッター係合部g1を回動してシャッターを開閉する構成であるため、矢印B−B方向(RAMカートリッジのシャッターG2の摺動方向で、以下幅方向と称す)の長さは、RAMカートリッジC2よりも長い。
【0008】
さらに、BDカートリッジC1の場合、図13(a)及び(b)に示すように、上述のシャッターG1がBDカートリッジC1の内部下側にあるため、図13(c)のRAMカートリッジC2に比べると下側(下ハーフとも称される)の厚みが厚い。このシャッターG1は、BDディスクDがBDカートリッジC1に収納されているときは、同図(a)に示すように、シャッターG1がBDディスクDを下側で係止すべく当該BDディスクDの外周を覆い、BDディスクDを記録再生するときは、同図(b)に示すように、シャッターG1が回動することでBDカートリッジC1の開口窓m1を開放すべくBDカートリッジ外周方向に移動するものである。
【0009】
また、BDカートリッジC1の外周の厚みは、RAMカートリッジC2の外周の厚みに比べ若干(0.2mm〜0.5mm)薄い。ところで、カートリッジC1,C2を記録再生装置内に引き込んだ状態では、BDカートリッジC1及びRAMカートリッジC2に収納されたそれぞれのディスクDの高さ位置が略同一となるように制御するために、図10〜図12及び図13(c)に示すように、トレイ10上においてBDカートリッジC1を直接に載置するBDカートリッジ載置面12f上の適所に、RAMカートリッジC2を載置して支持するための複数(例えば4つ)のRAMカートリッジ載置凸部12pを備えることで、上述のカートリッジC1,C2の下ハーフの厚み差と記録再生状態のディスクDの高さとを調整している。
【0010】
尚、BDカートリッジC1では、記録再生時などにモータの駆動力で回転するディスク受け部に対しディスクDをクランプするクランパがカートリッジに内蔵されている構成も提案されているが、クランパ内蔵構成のBDカートリッジはクランパ内蔵部分(すなわち、カートリッジ中央部)の厚みが厚くなるだけで、BDカートリッジの外周の厚みはクランパの内蔵の有無によらず同一である。
従って、これらディスクDを取り扱うディスク装置としては、両方の形式のカートリッジに対応して記録再生を行えるようにすることが求められる。
【0011】
何れの形式においても、カートリッジC1,C2は、ディスクDの情報記録層と平行な一対のカートリッジ主面F1,F2と、両カートリッジ主面F1,F2の外縁部どうしを繋ぐカートリッジ側面S1,S2とで、その外形が構成され、樹脂材料を用いて成形加工により製作される。
このカートリッジC1,C2の厚さは、そのコンパクト化のために、主面F1,F2等の必要板厚を確保した上で極力薄くなるように設定されているので、記録再生時にディスクDが回転する際のカートリッジC1,C2内部の隙間はかなり小さくなる。
【0012】
従って、ディスクDの記録再生時には、ディスク装置の記録再生機構に対してカートリッジC1,C2を精度良く位置決めする必要がある。また、記録再生時には、ディスクDの回転に伴ってカートリッジC1,C2にも振動が伝わるので、かかる振動を抑制することが求められる。
このような位置決めと振動抑制のために、カートリッジ移送用のトレイに対して当該カートリッジを押圧するカートリッジ押圧機構(所謂、カートリッジ押さえ)を、ディスク装置に設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
また、カートリッジは移送用のトレイ上に載置された状態で、ディスク装置内部の記録再生位置と、装置外部のカートリッジ着脱位置との間で往復動可能に移送されるが、この移送に伴って振動が発生するため、移送中においてもカートリッジをトレイに対して押圧することが好ましい。
【特許文献1】特開2002−358710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来では、カートリッジを押圧する場合、カートリッジの上側の主面を押圧するので、樹脂製のカートリッジ表面に傷が付き易く、とりわけカートリッジの外観性に大きな影響を及ぼす上側主面に傷が付くことになるので、カートリッジの見映えが損なわれるという問題がある。特に、移送中においてもカートリッジを押圧する場合には、カートリッジ上側主面に移送方向の長い傷が付くので、非常に目立ち易くて見映えが大きく損なわれ、また、摩耗粉が発生してディスク装置内部に混入する可能性があるといった問題も生じる。
【0015】
特に、近年では、樹脂成形品の表面性状に関して、表面の反射を抑制して成形品により高級感を付与する等の目的で、所謂、絞付き成形により、表面に非常に微細な凹凸(絞)を形成することが知られているが、カートリッジにこの絞付き成形を採用した場合には、カートリッジ押圧による傷がより目立ち易く、また、摩耗粉の発生量も非常に多くなるという問題がある。
尚、この絞付き成形では、成形面には上述のような「絞」が形成されるが、面どうしが繋がる稜部や角部の表面まで「絞」付きとした場合には、良好な成形性を確保することが難しいので、これらの部分については、通常の樹脂成形品と同様に表面が平滑なままに保たれる場合が多いことが知られている。
【0016】
また、DVD−RAMディスクとブルーレイディスクの両方の記録再生に対応するためには、ディスク装置のカートリッジ押圧機構も、RAMカートリッジとBDカートリッジの両方について適正な押圧力で押圧することが求められるが、上述したように両者は厚さや幅寸法が異なるので、カートリッジ押さえをカートリッジ主面F1やF2に対して直交する方向に押圧する構成の場合、RAMカートリッジを基準にして押圧力を設定すると、BDカートリッジ使用時には押圧力が不足し、一方、BDカートリッジを基準にして押圧力を設定すると、RAMカートリッジ使用時には押圧力が過剰となり、適正な位置決め及び制振効果を得ることができないという問題があった。
【0017】
本発明は、かかる従来の技術課題に鑑みてなされたもので、カートリッジ主面の見映えを損なうことが無く、また摩耗粉の発生を抑制でき、更に、RAMカートリッジとBDカートリッジの両方について適正な押圧力で押圧することができるカートリッジ押圧機構を提供し、更に、かかるカートリッジ押圧機構を備えたディスク装置を提供することを、基本的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このため、本願発明に係るカートリッジ押圧機構は、カートリッジに収容された情報記録媒体としてのディスクの記録及び/又は再生を行い得る記録再生位置を有するとともに、前記カートリッジを載置するトレイを前記記録再生位置に対応した第1位置と装置外部の第2位置との間で往復動可能に移送する移送手段を備え、少なくともトレイが前記第1位置にある状態で、カートリッジをトレイに対して押圧するカートリッジ押圧機構であって、ディスクの情報記録層と平行な一対のカートリッジ主面と、両カートリッジ主面の外縁部どうしを繋ぐカートリッジ側面と、で形成されたカートリッジ稜部を押圧することを特徴としたものである。
この構成では、カートリッジは、従来のようにカートリッジ主面ではなく、カートリッジ主面とカートリッジ側面とで形成されたカートリッジ稜部で押圧される。
【0019】
本願発明に係るカートリッジ押圧機構においては、トレイが前記第2位置から装置内部に引き込まれて前記第1位置に至る移送中においても、カートリッジ稜部を押圧するようにしても良い。
この場合には、カートリッジは、移送中においてもカートリッジ押圧機構でトレイに対して押圧される。
【0020】
また、前記カートリッジ押圧機構は、カートリッジ押圧時に当該カートリッジ稜部に当接する当接部と、カートリッジ押圧時に該当接部をカートリッジ稜部に対して付勢する付勢手段と、を備えるように構成することができる。
この場合には、当接部と付勢手段とを別物として製作することができる。
【0021】
更に、前記当接部のカートリッジ稜部に対する接触面は、カートリッジ主面に対して傾斜していることが好ましい。
この場合には、当接部は、カートリッジ主面に対して傾斜した接触面でカートリッジ稜部に対して当接する。
【0022】
以上の場合において、前記カートリッジ押圧機構におけるトレイは、好ましくは、少なくとも厚さが異なる第1及び第2のカートリッジを選択的に載置させて、前記第1位置と前記第2位置との間で移送可能であり、前記第1及び第2のカートリッジの何れについてもカートリッジ稜部を押圧する。
この構成では、少なくとも厚さが異なる2種類のカートリッジに対応でき、何れのカートリッジについてもカートリッジ稜部で押圧される。
【0023】
この場合において、少なくとも前記第1の位置において、第1カートリッジの稜部と第2カートリッジの稜部とを押圧する接触面は同一に設定されている、ことが好ましい。
この構成では、当接部のカートリッジ稜部に対する接触面について、1つの接触面で両方のカートリッジ稜部の押圧に対応することができる。
【0024】
また、本願発明に係るディスク装置は、カートリッジに収容された情報記録媒体としてのディスクの記録及び/又は再生を行い得る記録再生位置を有するとともに、前記カートリッジを載置するトレイを前記記録再生位置に対応した第1位置と装置外部の第2位置との間で往復動可能に移送する移送手段と、トレイが第1の位置においてディスクを回転駆動する回転手段と、ディスクに備える情報記録層に対し情報信号の授受を行う記録再生手段とを備えたディスク装置であって、少なくともトレイが前記第1位置にある状態で、カートリッジをトレイに対して押圧するカートリッジ押圧機構として、以上のカートリッジ押圧機構の何れかを備えたことを特徴としている。
このディスク装置では、カートリッジをトレイに対して押圧するに際して、以上のカートリッジ押圧機構の何れかと同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0025】
本願発明に係るカートリッジ押圧機構によれば、カートリッジは、従来のようにカートリッジ主面ではなく、カートリッジ主面とカートリッジ側面とで形成されたカートリッジ稜部を押圧されるので、従来に比して押圧による傷が付き難く、また、押圧時のカートリッジとの接触面積を従来に比して小さくすることができるので、傷が付いても小さな傷で済み、摩耗粉の発生もそれだけ抑制できる。特に、カートリッジの外観性に大きな影響を及ぼすカートリッジ主面に傷を付けることが無く、カートリッジの見映えの低下を効果的に抑制できる。
【0026】
また、本願発明に係るディスク装置によれば、カートリッジをトレイに対して押圧するに際して、前記カートリッジ押圧機構と同様の作用効果を奏することができるので、カートリッジは、従来に比して押圧による傷が付き難く、また、傷が付いても小さな傷で済み、摩耗粉の発生もそれだけ抑制できる。特に、カートリッジ主面に傷が付くことが無く、カートリッジの見映えの低下が効果的に抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るディスク装置1の要部を示す斜視図である。この図に示すように、前記ディスク装置1は、全体として直方体の箱状の筐体2と、該筐体2の上側を覆う天板4とを備えている。筐体2の一面には、略長方形状の開口2Hが形成されており、この開口2Hから、トレイ10が筐体2の内部に対して進退動できるようになっている(矢印Y1−Y2参照)。このトレイ10は、その周縁部を構成するフレーム部11と、該フレーム部11で囲まれた基底部12とを備えており、この基底部12上に、情報記録媒体としてのディスクを収容したカートリッジが載置される。
【0028】
具体的には図示しなかったが、前記ディスク装置1には、カートリッジを載置するトレイ10をディスクの記録再生位置に対応した第1位置と、装置1の外部に位置しカートリッジの着脱を行える第2位置との間で往復動可能に移送するトレイ移送機構が設けられている。このトレイ移送機構は、例えば電動モータの動力を利用してトレイ10の移送を行うもので、従来公知の種々の方式のものを適用することができる。
尚、やはり具体的には図示しなかったが、前記ディスク装置1には、記録再生位置にあるディスクをターンテーブルに対してクランプするためのクランプ機構、及び該クランプ機構によるディスクのクランプ状態とクランプ解除状態とを切り換える切換機構等の、ディスク装置1に必要な種々の機構が設けられている。これら機構としては、従来公知の種々のタイプのものを適用することができる。
【0029】
また、前記天板4の幅方向(トレイ進退動方向と直交する方向:矢印X1−X2方向)における両側端部分の近傍には、トレイ10の進退動方向(矢印Y1−Y2方向)と平行に延びる、一対のカートリッジ押圧機構20が組み込まれている。
このカートリッジ押圧機構20は、少なくともトレイ10が前記第1位置にある状態で、トレイ10上に載置されたカートリッジを当該トレイ10に対して押圧するもので、一対のかかるカートリッジ押圧機構20を備えることにより、少なくともディスクの記録再生時においては、ディスク装置1の記録再生機構に対してカートリッジを精度良く位置決めし、また、ディスクの回転に伴ってカートリッジに生じる振動を効果的に抑制することができる。
【0030】
図2及び図3は、図1における矢印X2方向における天板4の側端部近傍に配置されるものを例にとって、前記カートリッジ押圧機構20の分解状態および天板4への組付状態をそれぞれ拡大して示す拡大斜視図である。
これらの図に示されるように、カートリッジ押圧機構20は、後述するようにカートリッジ押圧時に当該カートリッジに当接する当接部としての当接子23を備えた押圧部材21と、カートリッジ押圧時に前記当接子23をカートリッジに対して付勢する付勢手段としてのバネロッド25とを備えている。
【0031】
前記押圧部材21は、所定長さのベース板22の両端近傍に、前記当接子23をそれぞれ一体的に備えて構成されている。この一対の当接子23と前記ベース板22は、より好ましくは共に合成樹脂製で、一体物として成形されている。
一方、前記バネロッド25は、例えば所定直径に設定された円形断面の棒状体で、所定の弾性率を有する例えばステンレス鋼などの金属材料で製作されている。このバネロッド25の長さは、押圧部材21のベース板22の全長に略等しいか、好ましくは若干短く設定されている。
【0032】
この場合、カートリッジ押圧時に当該カートリッジに当接する当接部(当接子23)と、カートリッジ押圧時に前記当接部をカートリッジに対して付勢する付勢手段(バネロッド25)とを別物として製作することができ、それぞれに求められる特性の材料を用いて、それぞれに求められる形態で製作することが容易になり、カートリッジ押圧機構20の設計について、高い自由度を確保することができる。
【0033】
前記天板4の側端部分の近傍には、押圧部材21の前記ベース板22の長手方向の両端近傍に位置する一対の前記当接子23を挿通させる一対の挿通穴4Hが設けられるとともに、カートリッジ押圧機構20の天板4への組付状態で前記バネロッド25の上側を係止する一対のバネ係止部20b(第1バネ押さえ)が、所定距離を隔てて設けられている。
押圧部材21のベース板22にも、バネロッド25の上側を係止する一対のバネ係止部22b(第2バネ押さえ)が一体形成され、この第2バネ押さえ22bの間隔は、天板4に設けた前記第1バネ押さえ4bの間隔よりも、例えば短く設定されている。
【0034】
天板4の側端部分の近傍に押圧部材21のベース板22を載置し、ベース板22の両端近傍の当接子23を天板4の前記挿通穴4Hから下方へ挿通させ、その状態で、バネロッド25の両端が当接子23の上面に位置し、且つ、その途中部が上記第1バネ押さえ4b及び第2バネ押さえ22bで上側から係止されるように、バネロッド25を組み付ける。
これにより、当接子23が上下方向に弾性変位できるように、押圧部材21及びバネロッド25が天板4に組み付けられる。
【0035】
本実施形態では、カートリッジ押圧時にカートリッジに当接する当接子23は、カートリッジ押圧機構20の天板4への組付時には、トレイ10の進退動方向(矢印Y1−Y2方向)と平行に延びる押圧部材21の前記ベース板22の長手方向の両端近傍に一対に設けられており、その一方は、筐体2の開口2Hの比較的近傍に位置している。
【0036】
従って、トレイ10が装置1の外部の前記第2位置から装置内部に引き込まれて前記第1位置に至る移送中においても、当該カートリッジをトレイ10に対して押圧することができる。
これにより、ディスクの記録再生時における振動だけでなく、トレイ10の移送に伴ってカートリッジに生じる振動の発生をも効果的に抑制することができるのである。
【0037】
図4は、図1におけるL4−L4線に沿った部分縦断面説明図である。また、図5はカートリッジC1又はC2をトレイ10上に載置した状態での図4と同様の部分縦断面説明図、図6は図5において当接子23とカートリッジC1又はC2との当接部分を拡大して示す拡大説明図である。
【0038】
これらの図から良く分かるように、前記当接子23は、その本体23aの上端部分に、本体23aよりも外方へ張り出す鍔部23bを有しており、カートリッジ押圧機構20の天板4への組付状態で、カートリッジC1又はC2を押圧していない場合には、バネロッド25の付勢力により、前記鍔部23bの下面が天板4の上面に接している。
そして、カートリッジをトレイ10に対して押圧する際には、その反作用により、前記バネロッド25の付勢力に抗して、本体23aが天板4の挿通穴4H内をスライドしながら、上方へ弾性変位するようになっている。
【0039】
前記当接子23は、その本体23aの先端部分(下端部分)でカートリッジC1又はC2と(具体的には、後述するようにカートリッジC1又はC2の稜部R1又はR2と)当接するのであるが、前記本体23aのカートリッジ稜部R1又はR2に対する接触面23fは、カートリッジ主面F1又はF2に対して、所定角度の傾斜角β(図6参照)を持って傾斜するように形成されている。
【0040】
つまり、当接子23は、カートリッジ主面F1又はF2に対して傾斜した接触面23fでカートリッジ稜部R1又はR2に対して当接する。従って、押圧時におけるカートリッジC1又はC2との接触状態を、確実に線接触あるいはそれに近い状態とすることができ、接触面積を従来に比して確実に小さくすることができる。これにより、カートリッジC1又はC2に傷が付いても小さな傷で済み、摩耗粉の発生もそれだけ抑制できる。
尚、図4及び図5には、上面部にターンテーブル部8aを有するディスク駆動用の電動モータ8の一部が、仮想線で表示されている。
【0041】
図7〜図9に、前記トレイ10上に載置される2種類のカートリッジが示されている。
図7は、内部にブルーレイディスク(図6参照)を収納するBDカートリッジC1の全体斜視図、図8は、該BDカートリッジC1の稜部を拡大して模式的に示した拡大斜視図、図9は、内部にDVD−RAMディスク(不図示)を収納したRAMカートリジC2の全体斜視図である。
また、図10はBDカートリッジC1又はRAMカートリッジC2を載置したトレイ10の部分的な平面説明図、図11は図10のL11−L11矢印方向から見て示した側面説明図、図12は図10のL12−L12矢印方向から見て示した側面説明図であり、ともにBDカートリッジC1の外形は想像線で、RAMカートリッジC2の外形は実線で示している。更に、図13はBDカートリッジC1内のディスクDの高さ位置およびRAMカートリッジC2内のディスクDの高さ位置を示す図で、(a)はシャッター閉状態におけるトレイ上のBDカートリッジ内のシャッター及びディスク位置を示す部分断面説明図、(b)はシャッター開状態におけるトレイ上のBDカートリッジ内のシャッター及びディスク位置を示す部分断面説明図、(c)はトレイ上のRAMカートリッジ内のディスク位置を示す部分断面説明図である。
【0042】
図13(b)及び図13(c)に示すように、記録再生装置が備えるスピンドルモータ(回転手段)で回転駆動されるRAMディスクDとBDディスクDとについて、トレイ10の基底部12の上面であるトレイ主面12f(図ではBDカートリッジC1を直接に載置させる載置面)からの高さを概ね同一にするために、前述した通り、下ハーフの厚みが厚いBDカートリッジC1の載置面12f上の適所複数箇所(本実施形態では、図10に示すように4箇所)に、所定高さ(0.5mm〜1.0mm)を有する凸部12p(RAMカートリッジ載置凸部)が設けられており、RAMカートリッジC2はこれらRAMカートリッジ載置凸部12p上に載置して支持される。このため、元来カートリッジ周縁部の厚みが厚いRAMカートリッジC2は、BDカートリッジC1に比べるとトレイ上での突出量がさらに大きくなる。なお、図5および図6では、トレイ10上に載置した状態でブルーレイディスクとRAMディスクとを総称してディスクDと示している。一方、その幅寸法については、BDカートリッジC1の最大幅W1は、RAMカートリッジC2の最大幅W2よりも大きくなっている(図10参照)。
【0043】
これらBDカートリッジC1及びRAMカートリッジC2は何れも、従来公知のものと同様の構造を備え、同様の作用をなすものであるので、これらの構造の詳細な説明および図示は省略する。
尚、クランパをBDカートリッジの内部に内蔵している構成のBDカートリッジであっても、前述したようにカートリッジ周縁部の厚みは同一であるため、本発明のカートリッジ周縁部を押圧する押圧機構は、クランパ内蔵の有無に拘わらず有効である。
【0044】
BDカートリッジC1の場合を例にとって説明すれば、図7に示されるように、BDカートリッジC1は、ブルーレイディスクの情報記録層と平行な上下一対のカートリッジ主面F1と、両カートリッジ主面の外縁部どうしを繋ぐカートリッジ側面S1とで、その外形が構成され、樹脂材料を用いて成形加工により製作されている。
【0045】
本実施形態では、前記BDカートリッジC1は、所謂、絞付き成形により成形されている。そのため、カートリッジ主面F1の表面には、非常に微細な無数の凹凸(絞)が形成されている。かかる成形法を採用したことにより、BDカートリッジC1の表面性状に関して、表面の反射を抑制して成形品により高級感を付与することができ、また、より良好な触感を付与することができる。
【0046】
ただし、この絞付き成形を行う場合、面どうしが繋がる稜部や角部およびカートリッジ側面S1の表面まで「絞」付きとした場合には、良好な成形性を確保することが難しいので、これらの部分については、通常の樹脂成形品と同様に表面が平滑なままに保たれている。
つまり、図8に模式的に示すように、カートリッジ主面F1とカートリッジ側面S1とを繋ぐカートリッジ稜部R1およびカートリッジ側面S1の表面には、微細な凹凸(絞)は形成されておらず平滑なままである。しかしながら、カートリッジ稜部R1は、カートリッジ主面F1やカートリッジ側面S1の面どうしをつなぐ境界であるため、接触面積が狭く、BDカートリッジC1を押圧する箇所に適している。尚、これは、特に絞付き成形品に限られたことではなく、通常の成形法を採用した場合についても、一般的に認められる事象である。
【0047】
以上の説明はBDカートリッジC1についてのものであったが、RAMカートリッジC2についても、カートリッジ主面F2と、両カートリッジ主面F2の外縁部どうしを繋ぐカートリッジ側面S2とで、その外形が構成され、樹脂材料を用いて成形加工により製作されている。また、カートリッジ主面F2とカートリッジ側面S2とは、カートリッジ稜部R2で繋がれている。尚、このRAMカートリッジC2においても、絞付き成形で成形するようにしても良い。
以上のように形状および寸法が異なる2種類のカートリッジC1,C2の何れをも、安定してトレイ10の基底部12上に載置することができる。
【0048】
本実施形態では、前述のように、トレイ10上に載置されたカートリッジC1又はC2を、前記カートリッジ押圧機構20により当該トレイ10に対して押圧するに際して、従来のように上側のカートリッジ主面F1又はF2ではなく、前記カートリッジ稜部R1又はR2、特にトレイ10の移送方向(図1のY1−Y2矢印方向)と略平行なカートリッジ稜部R1又はR2を押圧するようにしている。
【0049】
従来のようにカートリッジ主面F1又はF2ではなく、カートリッジ主面F1又はF2とカートリッジ側面S1又はS2とで形成されたカートリッジ稜部R1又はR2で押圧することにより、従来に比して押圧による傷が付き難く、また、押圧時におけるカートリッジC1又はC2との接触面積を従来に比して小さくすることができるので、傷が付いても小さな傷で済み、摩耗粉の発生もそれだけ抑制できる。特に、カートリッジC1又はC2の外観性に大きな影響を及ぼすカートリッジ主面F1又はF2に傷を付けることが無く、カートリッジの見映えの低下を効果的に抑制できるのである。
【0050】
カートリッジC1又はC2の成形に絞付き成形を採用した場合には、カートリッジ押圧による傷がより目立ち易く、また、摩耗粉の発生量も非常に多くなるのであるが、かかる絞付き成形法で成形した場合において、実際には表面に「絞」が形成されないカートリッジ稜部R1又はR2で押圧するので、摩耗粉の発生抑制や見映えの低下抑制に、とりわけ効果的である。
【0051】
また、ディスクの記録再生時のみならず、カートリッジC1又はC2の移送中においても当該カートリッジC1又はC2をトレイ10に対して押圧する場合には、前述のように、トレイ10の移送に伴ってカートリッジC1又はC2に生じる振動の発生をも効果的に抑制することができるのであるが、その反面、従来のようにカートリッジ主面F1又はF2で押圧したのでは、カートリッジ上側主面F1又はF2に移送方向の長い傷が付き、非常に目立ち易くて見映えが大きく損なわれ、また、摩耗粉の発生量も多くなるのである。
しかし、本実施形態では、カートリッジ移送中に押圧する場合でも、カートリッジ稜部R1又はR2で押圧することにより、カートリッジC1又はC2の外観性に大きな影響を及ぼすカートリッジ主面F1又はF2に傷を付けることが無く、カートリッジの見映えの低下を効果的に抑制できる。摩耗粉の発生量も少なくて済む。
【0052】
トレイ10は、前述のように、上下方向位置が異なる上側および下側の2つのベース面12f,12pを備えることにより、少なくとも厚さが異なる、更には、前述のように形状および寸法が異なる2種類のカートリッジC1,C2の何れをも安定して載置することができる。
すなわち、このディスク装置1では、少なくとも厚さが異なる2種類のカートリッジC1,C2を選択的にトレイ10上に載置させて、ディスクの記録再生位置に対応した第1位置と、装置1の外部に在りカートリッジ着脱位置に対応した第2位置との間で、往復させて移送できる。
【0053】
そして、ディスクの記録再生時だけでなくカートリッジ移送中においてもカートリッジC1C2をトレイ10の基底部12に対して押圧し、しかも、2種類のカートリッジC1,C2の何れについても、上側のカートリッジ主面F1,F2ではなく、カートリッジ稜部R1,R2を押圧するように構成されている。
【0054】
ブルーレイディスクBDとDVD−RAMディスク(不図示)の両方のディスクの記録再生に対応するためには、ディスク装置1のカートリッジ押圧機構20も、BDカートリッジC1とRAMカートリッジC2の両方について適正な押圧力で押圧することが求められるが、両者は厚さや幅寸法が異なるので、RAMカートリッジC2を基準にして押圧力を設定すると、BDカートリッジC1の使用時には押圧力が過剰となって一層傷が付き易く、一方、BDカートリッジC1を基準にして押圧力を設定すると、RAMカートリッジC2の使用時には押圧力が不足して、適正な位置決め及び制振効果を得ることができなくなる。
【0055】
そこで、本実施形態では、カートリッジ押圧機構20の前記当接子23のカートリッジ稜部R1又はR2に対する接触面23fは、BDカートリッジC1のトレイ載置状態における稜部R1とRAMカートリッジC2のトレイ載置状態における稜部R2とに接する仮想面Pkと同一になるように、各部の位置や形状および寸法などが設定されている。
換言すれば、この仮想面Pkは、当接子23の接触面23fと同じく、カートリッジ主面F1又はF2に対して所定角度の傾斜角βを持って傾斜していることになる。
【0056】
このように設定したことにより、当接子23のカートリッジ稜部R1又はR2に対する接触面23fについて、1つの接触面23fで両方のカートリッジ稜部R1又はR2の押圧に対応することができる。しかも、当接子23がカートリッジ稜部R1又はR2を押圧する際には、その反作用により、前記バネロッド25の付勢力に抗して、本体23aが天板4の挿通穴4H内をスライドしながら上方へ弾性変位するが、この当接子23の上方への弾性変位量Eは、BDカートリッジC1を押圧する場合とRAMカートリッジC2を押圧する場合とで等しくなり、両場合についてカートリッジC1,C2を同等の弾性力で押圧することができる。
従って、この弾性押圧力を適正な値に設定することにより、BDカートリッジC1とRAMカートリッジC2の両方について、過不足のない適正な押圧力で押圧することができるのである。
【0057】
以上、説明したように、本実施形態に係るディスク装置1によれば、トレイ10上に載置されたカートリッジC1又はC2を、カートリッジ押圧機構20により当該トレイ10に対して押圧するに際して、従来のように上側のカートリッジ主面F1又はF2ではなく、前記カートリッジ稜部R1又はR2を押圧するようにしたことにより、従来に比して押圧による傷が付き難く、また、押圧時におけるカートリッジC1又はC2との接触面積を従来に比して小さくすることができるので、傷が付いても小さな傷で済み、摩耗粉の発生もそれだけ抑制できる。特に、カートリッジC1又はC2の外観性に大きな影響を及ぼすカートリッジ主面F1又はF2に傷を付けることが無く、カートリッジの見映えの低下を効果的に抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、例えば、映像用や音楽用あるいはコンピュータ・データ用等の情報記録媒体としてのディスクを収容したカートリッジを、当該ディスクの記録再生時などにカートリッジ移送用のトレイに対して押圧するカートリッジ押圧機構、及びかかるカートリッジ押圧機構を備えたディスク装置において利用することができ、カートリッジ主面の見映えを損なうことが無く、また摩耗粉の発生を抑制でき、更に、RAMカートリッジとBDカートリッジの両方について適正な押圧力で押圧することができる。
【0059】
尚、本発明は、以上の実施態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更や改良を加え得るものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係るディスク装置の要部を示す斜視図である。
【図2】前記ディスク装置に組み込まれるカートリッジ押圧機構の分解状態を拡大して示す部分拡大斜視図である。
【図3】前記カートリッジ押圧機構の天板への組付状態を拡大して示す部分拡大斜視図である。
【図4】図1におけるL4−L4線に沿った部分縦断面説明図である。
【図5】カートリッジをトレイ上に載置した状態での図4と同様の部分縦断面説明図である。
【図6】図5において当接子とカートリッジとの当接部分を拡大して示す拡大説明図である。
【図7】BDカートリッジの全体斜視図である。
【図8】BDカートリッジの稜部を拡大して模式的に示した拡大斜視図である。
【図9】RAMカートリッジの全体斜視図である。
【図10】BDカートリッジ又はRAMカートリッジを載置したトレイの部分的な平面説明図である。
【図11】図10におけるL11−L11矢印方向からの側面説明図である。
【図12】図10におけるL12−L12矢印方向からの側面説明図である。
【図13】(a)はシャッター閉状態におけるトレイ上のBDカートリッジ内のシャッター及びディスク位置を示す部分断面説明図、(b)はシャッター開状態におけるトレイ上のBDカートリッジ内のシャッター及びディスク位置を示す部分断面説明図、(c)はトレイ上のRAMカートリッジ内のディスク位置を示す部分断面説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1 ディスク装置
10 トレイ
20 カートリッジ押圧機構
21 押圧部材
22 ベース板
23 当接子
23f (当接子の)接触面
25 バネロッド
C1 BDカートリッジ
C2 RAMカートリッジ
D ディスク
F1,F2 カートリッジ主面
Pk 仮想面
R1,R2 カートリッジ稜部
S1,S2 カートリッジ側面
β (当接子の接触面の)傾斜角
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、映像用や音楽用あるいはコンピュータ・データ用等の情報記録媒体としてのディスクを収容したカートリッジを、当該ディスクの記録再生時などにカートリッジ移送用のトレイに対して押圧するカートリッジ押圧機構、及びかかるカートリッジ押圧機構を備えたディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の記録再生分野におけるディジタル化の進展は著しく、情報記録媒体としてのディスクについても、従来の音声のみをディジタル録音する用途から動画像と音声とをディジタル録画する用途へと、その用途の拡大が急速に進展しつつある。このため、ディスクの記録容量のより一層の増大と、より高速での安定した記録及び/又は再生を可能とする記録再生技術の確立とが求められている。尚、本明細書において、「(ディスクについて)記録及び/又は再生」とは、「(ディスクへの情報の)記録および(ディスクに記録された情報の)再生の少なくとも何れか一方」を簡略化して表現したものである。
【0003】
上記のような要請の高まりの中で、情報信号をディジタルで記録再生できる大容量のディスク型情報記録媒体として、所謂、記録型DVD(ディジタル・バーサタイル・ディスク)が脚光を浴びている。この記録型DVDとしては、ライトワンス記録(一回記録)タイプの所謂DVD−Rディスクと、書換型の所謂DVD−RAMディスク,DVD−RWディスクとが、広く知られており、この中でも特にDVD−RAMディスクは、大容量の情報記録媒体として、映像の録画あるいはコンピュータ・データの蓄積などの分野において普及が進んでいる。
これら記録型DVDは、光学的に情報の記録再生を行うものであるので、ゴミや汚れの影響を受け易く、その表面にゴミや指紋等が付着していると、安定した記録再生が不能となる場合がある。そこで、何れの記録型DVDについても、DVD収納用のカートリッジが規格で定められており、特にDVD−RAMディスクの場合、このようなカートリッジ(以下、適宜、RAMカートリッジと称する)に収納した状態で使用するタイプのものもある。
【0004】
また、近年では、高画質放送の開始に伴い、その映像を高画質で録画するためにより大容量の情報記録媒体が求められている。このため、従来の記録型DVDを記録再生する際に適用される赤色レーザ光よりも波長が短い青色レーザ光を適用することによって記録密度を飛躍的に向上させた、所謂、ブルーレイディスクと称される情報記録媒体(以下、適宜、BDと略称する)の商品化が進められている。
このブルーレイディスクの場合、波長が短い青色レーザ光を適用することで信号がより微細化されて記録密度の向上がもたらされるので、前述したように記録型DVDと同様にゴミ、汚れ及び指紋等の影響を考慮してカートリッジが検討され、従来の記録型DVDとは異なる構成のカートリッジ(以下、適宜、BDカートリッジと称する)に収納して用いられる。
【0005】
この収納カートリッジの顕著な違いとしては、シャッター構成が挙げられる。すなわち、RAMカートリッジの場合には、図9に示すように収納するDVD−RAMディスクの記録層に対向するカートリッジ主面F2の両側に係合する略コ字型の縦断面形状を有するシャッターG2を備え、略コ字型断面形状にシャッターG2を連結する連結部G2bがRAMカートリッジC2の側面から突出し、当該連結部G2bに記録再生装置のシャッターオープナー(不図示)が係合することで、シャッターG2をカートリッジ主面F2に対して矢印B−B方向に摺動させ、シャッターG2による一対のカートリッジ主面F2に備える開口窓(不図示)の開閉動作を行う。
【0006】
これに対して、図7に示すBDカートリッジの場合には、カートリッジ主面F1の一方の面には開口孔が設けられ、収納したブルーレイディスクが露出しており、他方の面には不図示のシャッターが設けられており、BDカートリッジC1の一方の側面S1から露出するオープナー係合部g1にシャッターオープナー(不図示)が係合することでシャッターが回動し、シャッターによる開口窓m1(図13参照)の開閉動作を行う。
【0007】
以上のようにシャッター構成が異なることに起因して、RAMカートリッジC2とBDカートリッジC1の外形が異なる。すなわち、図10に示すように、RAMカートリッジC2はシャッターG2の連結部G2bがある分だけシャッターG2の摺動方向(矢印B−B方向)に直交する矢印A−A方向(以下、縦方向と称す)の長さは、BDカートリッジC1よりも長くなる。一方BDカートリッジC1はシャッター係合部g1がカートリッジC1の側面S1から露出し、当該シャッター係合部g1を回動してシャッターを開閉する構成であるため、矢印B−B方向(RAMカートリッジのシャッターG2の摺動方向で、以下幅方向と称す)の長さは、RAMカートリッジC2よりも長い。
【0008】
さらに、BDカートリッジC1の場合、図13(a)及び(b)に示すように、上述のシャッターG1がBDカートリッジC1の内部下側にあるため、図13(c)のRAMカートリッジC2に比べると下側(下ハーフとも称される)の厚みが厚い。このシャッターG1は、BDディスクDがBDカートリッジC1に収納されているときは、同図(a)に示すように、シャッターG1がBDディスクDを下側で係止すべく当該BDディスクDの外周を覆い、BDディスクDを記録再生するときは、同図(b)に示すように、シャッターG1が回動することでBDカートリッジC1の開口窓m1を開放すべくBDカートリッジ外周方向に移動するものである。
【0009】
また、BDカートリッジC1の外周の厚みは、RAMカートリッジC2の外周の厚みに比べ若干(0.2mm〜0.5mm)薄い。ところで、カートリッジC1,C2を記録再生装置内に引き込んだ状態では、BDカートリッジC1及びRAMカートリッジC2に収納されたそれぞれのディスクDの高さ位置が略同一となるように制御するために、図10〜図12及び図13(c)に示すように、トレイ10上においてBDカートリッジC1を直接に載置するBDカートリッジ載置面12f上の適所に、RAMカートリッジC2を載置して支持するための複数(例えば4つ)のRAMカートリッジ載置凸部12pを備えることで、上述のカートリッジC1,C2の下ハーフの厚み差と記録再生状態のディスクDの高さとを調整している。
【0010】
尚、BDカートリッジC1では、記録再生時などにモータの駆動力で回転するディスク受け部に対しディスクDをクランプするクランパがカートリッジに内蔵されている構成も提案されているが、クランパ内蔵構成のBDカートリッジはクランパ内蔵部分(すなわち、カートリッジ中央部)の厚みが厚くなるだけで、BDカートリッジの外周の厚みはクランパの内蔵の有無によらず同一である。
従って、これらディスクDを取り扱うディスク装置としては、両方の形式のカートリッジに対応して記録再生を行えるようにすることが求められる。
【0011】
何れの形式においても、カートリッジC1,C2は、ディスクDの情報記録層と平行な一対のカートリッジ主面F1,F2と、両カートリッジ主面F1,F2の外縁部どうしを繋ぐカートリッジ側面S1,S2とで、その外形が構成され、樹脂材料を用いて成形加工により製作される。
このカートリッジC1,C2の厚さは、そのコンパクト化のために、主面F1,F2等の必要板厚を確保した上で極力薄くなるように設定されているので、記録再生時にディスクDが回転する際のカートリッジC1,C2内部の隙間はかなり小さくなる。
【0012】
従って、ディスクDの記録再生時には、ディスク装置の記録再生機構に対してカートリッジC1,C2を精度良く位置決めする必要がある。また、記録再生時には、ディスクDの回転に伴ってカートリッジC1,C2にも振動が伝わるので、かかる振動を抑制することが求められる。
このような位置決めと振動抑制のために、カートリッジ移送用のトレイに対して当該カートリッジを押圧するカートリッジ押圧機構(所謂、カートリッジ押さえ)を、ディスク装置に設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
また、カートリッジは移送用のトレイ上に載置された状態で、ディスク装置内部の記録再生位置と、装置外部のカートリッジ着脱位置との間で往復動可能に移送されるが、この移送に伴って振動が発生するため、移送中においてもカートリッジをトレイに対して押圧することが好ましい。
【特許文献1】特開2002−358710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来では、カートリッジを押圧する場合、カートリッジの上側の主面を押圧するので、樹脂製のカートリッジ表面に傷が付き易く、とりわけカートリッジの外観性に大きな影響を及ぼす上側主面に傷が付くことになるので、カートリッジの見映えが損なわれるという問題がある。特に、移送中においてもカートリッジを押圧する場合には、カートリッジ上側主面に移送方向の長い傷が付くので、非常に目立ち易くて見映えが大きく損なわれ、また、摩耗粉が発生してディスク装置内部に混入する可能性があるといった問題も生じる。
【0015】
特に、近年では、樹脂成形品の表面性状に関して、表面の反射を抑制して成形品により高級感を付与する等の目的で、所謂、絞付き成形により、表面に非常に微細な凹凸(絞)を形成することが知られているが、カートリッジにこの絞付き成形を採用した場合には、カートリッジ押圧による傷がより目立ち易く、また、摩耗粉の発生量も非常に多くなるという問題がある。
尚、この絞付き成形では、成形面には上述のような「絞」が形成されるが、面どうしが繋がる稜部や角部の表面まで「絞」付きとした場合には、良好な成形性を確保することが難しいので、これらの部分については、通常の樹脂成形品と同様に表面が平滑なままに保たれる場合が多いことが知られている。
【0016】
また、DVD−RAMディスクとブルーレイディスクの両方の記録再生に対応するためには、ディスク装置のカートリッジ押圧機構も、RAMカートリッジとBDカートリッジの両方について適正な押圧力で押圧することが求められるが、上述したように両者は厚さや幅寸法が異なるので、カートリッジ押さえをカートリッジ主面F1やF2に対して直交する方向に押圧する構成の場合、RAMカートリッジを基準にして押圧力を設定すると、BDカートリッジ使用時には押圧力が不足し、一方、BDカートリッジを基準にして押圧力を設定すると、RAMカートリッジ使用時には押圧力が過剰となり、適正な位置決め及び制振効果を得ることができないという問題があった。
【0017】
本発明は、かかる従来の技術課題に鑑みてなされたもので、カートリッジ主面の見映えを損なうことが無く、また摩耗粉の発生を抑制でき、更に、RAMカートリッジとBDカートリッジの両方について適正な押圧力で押圧することができるカートリッジ押圧機構を提供し、更に、かかるカートリッジ押圧機構を備えたディスク装置を提供することを、基本的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このため、本願発明に係るカートリッジ押圧機構は、カートリッジに収容された情報記録媒体としてのディスクの記録及び/又は再生を行い得る記録再生位置を有するとともに、前記カートリッジを載置するトレイを前記記録再生位置に対応した第1位置と装置外部の第2位置との間で往復動可能に移送する移送手段を備え、少なくともトレイが前記第1位置にある状態で、カートリッジをトレイに対して押圧するカートリッジ押圧機構であって、ディスクの情報記録層と平行な一対のカートリッジ主面と、両カートリッジ主面の外縁部どうしを繋ぐカートリッジ側面と、で形成されたカートリッジ稜部を押圧することを特徴としたものである。
この構成では、カートリッジは、従来のようにカートリッジ主面ではなく、カートリッジ主面とカートリッジ側面とで形成されたカートリッジ稜部で押圧される。
【0019】
本願発明に係るカートリッジ押圧機構においては、トレイが前記第2位置から装置内部に引き込まれて前記第1位置に至る移送中においても、カートリッジ稜部を押圧するようにしても良い。
この場合には、カートリッジは、移送中においてもカートリッジ押圧機構でトレイに対して押圧される。
【0020】
また、前記カートリッジ押圧機構は、カートリッジ押圧時に当該カートリッジ稜部に当接する当接部と、カートリッジ押圧時に該当接部をカートリッジ稜部に対して付勢する付勢手段と、を備えるように構成することができる。
この場合には、当接部と付勢手段とを別物として製作することができる。
【0021】
更に、前記当接部のカートリッジ稜部に対する接触面は、カートリッジ主面に対して傾斜していることが好ましい。
この場合には、当接部は、カートリッジ主面に対して傾斜した接触面でカートリッジ稜部に対して当接する。
【0022】
以上の場合において、前記カートリッジ押圧機構におけるトレイは、好ましくは、少なくとも厚さが異なる第1及び第2のカートリッジを選択的に載置させて、前記第1位置と前記第2位置との間で移送可能であり、前記第1及び第2のカートリッジの何れについてもカートリッジ稜部を押圧する。
この構成では、少なくとも厚さが異なる2種類のカートリッジに対応でき、何れのカートリッジについてもカートリッジ稜部で押圧される。
【0023】
この場合において、少なくとも前記第1の位置において、第1カートリッジの稜部と第2カートリッジの稜部とを押圧する接触面は同一に設定されている、ことが好ましい。
この構成では、当接部のカートリッジ稜部に対する接触面について、1つの接触面で両方のカートリッジ稜部の押圧に対応することができる。
【0024】
また、本願発明に係るディスク装置は、カートリッジに収容された情報記録媒体としてのディスクの記録及び/又は再生を行い得る記録再生位置を有するとともに、前記カートリッジを載置するトレイを前記記録再生位置に対応した第1位置と装置外部の第2位置との間で往復動可能に移送する移送手段と、トレイが第1の位置においてディスクを回転駆動する回転手段と、ディスクに備える情報記録層に対し情報信号の授受を行う記録再生手段とを備えたディスク装置であって、少なくともトレイが前記第1位置にある状態で、カートリッジをトレイに対して押圧するカートリッジ押圧機構として、以上のカートリッジ押圧機構の何れかを備えたことを特徴としている。
このディスク装置では、カートリッジをトレイに対して押圧するに際して、以上のカートリッジ押圧機構の何れかと同様の作用効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0025】
本願発明に係るカートリッジ押圧機構によれば、カートリッジは、従来のようにカートリッジ主面ではなく、カートリッジ主面とカートリッジ側面とで形成されたカートリッジ稜部を押圧されるので、従来に比して押圧による傷が付き難く、また、押圧時のカートリッジとの接触面積を従来に比して小さくすることができるので、傷が付いても小さな傷で済み、摩耗粉の発生もそれだけ抑制できる。特に、カートリッジの外観性に大きな影響を及ぼすカートリッジ主面に傷を付けることが無く、カートリッジの見映えの低下を効果的に抑制できる。
【0026】
また、本願発明に係るディスク装置によれば、カートリッジをトレイに対して押圧するに際して、前記カートリッジ押圧機構と同様の作用効果を奏することができるので、カートリッジは、従来に比して押圧による傷が付き難く、また、傷が付いても小さな傷で済み、摩耗粉の発生もそれだけ抑制できる。特に、カートリッジ主面に傷が付くことが無く、カートリッジの見映えの低下が効果的に抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るディスク装置1の要部を示す斜視図である。この図に示すように、前記ディスク装置1は、全体として直方体の箱状の筐体2と、該筐体2の上側を覆う天板4とを備えている。筐体2の一面には、略長方形状の開口2Hが形成されており、この開口2Hから、トレイ10が筐体2の内部に対して進退動できるようになっている(矢印Y1−Y2参照)。このトレイ10は、その周縁部を構成するフレーム部11と、該フレーム部11で囲まれた基底部12とを備えており、この基底部12上に、情報記録媒体としてのディスクを収容したカートリッジが載置される。
【0028】
具体的には図示しなかったが、前記ディスク装置1には、カートリッジを載置するトレイ10をディスクの記録再生位置に対応した第1位置と、装置1の外部に位置しカートリッジの着脱を行える第2位置との間で往復動可能に移送するトレイ移送機構が設けられている。このトレイ移送機構は、例えば電動モータの動力を利用してトレイ10の移送を行うもので、従来公知の種々の方式のものを適用することができる。
尚、やはり具体的には図示しなかったが、前記ディスク装置1には、記録再生位置にあるディスクをターンテーブルに対してクランプするためのクランプ機構、及び該クランプ機構によるディスクのクランプ状態とクランプ解除状態とを切り換える切換機構等の、ディスク装置1に必要な種々の機構が設けられている。これら機構としては、従来公知の種々のタイプのものを適用することができる。
【0029】
また、前記天板4の幅方向(トレイ進退動方向と直交する方向:矢印X1−X2方向)における両側端部分の近傍には、トレイ10の進退動方向(矢印Y1−Y2方向)と平行に延びる、一対のカートリッジ押圧機構20が組み込まれている。
このカートリッジ押圧機構20は、少なくともトレイ10が前記第1位置にある状態で、トレイ10上に載置されたカートリッジを当該トレイ10に対して押圧するもので、一対のかかるカートリッジ押圧機構20を備えることにより、少なくともディスクの記録再生時においては、ディスク装置1の記録再生機構に対してカートリッジを精度良く位置決めし、また、ディスクの回転に伴ってカートリッジに生じる振動を効果的に抑制することができる。
【0030】
図2及び図3は、図1における矢印X2方向における天板4の側端部近傍に配置されるものを例にとって、前記カートリッジ押圧機構20の分解状態および天板4への組付状態をそれぞれ拡大して示す拡大斜視図である。
これらの図に示されるように、カートリッジ押圧機構20は、後述するようにカートリッジ押圧時に当該カートリッジに当接する当接部としての当接子23を備えた押圧部材21と、カートリッジ押圧時に前記当接子23をカートリッジに対して付勢する付勢手段としてのバネロッド25とを備えている。
【0031】
前記押圧部材21は、所定長さのベース板22の両端近傍に、前記当接子23をそれぞれ一体的に備えて構成されている。この一対の当接子23と前記ベース板22は、より好ましくは共に合成樹脂製で、一体物として成形されている。
一方、前記バネロッド25は、例えば所定直径に設定された円形断面の棒状体で、所定の弾性率を有する例えばステンレス鋼などの金属材料で製作されている。このバネロッド25の長さは、押圧部材21のベース板22の全長に略等しいか、好ましくは若干短く設定されている。
【0032】
この場合、カートリッジ押圧時に当該カートリッジに当接する当接部(当接子23)と、カートリッジ押圧時に前記当接部をカートリッジに対して付勢する付勢手段(バネロッド25)とを別物として製作することができ、それぞれに求められる特性の材料を用いて、それぞれに求められる形態で製作することが容易になり、カートリッジ押圧機構20の設計について、高い自由度を確保することができる。
【0033】
前記天板4の側端部分の近傍には、押圧部材21の前記ベース板22の長手方向の両端近傍に位置する一対の前記当接子23を挿通させる一対の挿通穴4Hが設けられるとともに、カートリッジ押圧機構20の天板4への組付状態で前記バネロッド25の上側を係止する一対のバネ係止部20b(第1バネ押さえ)が、所定距離を隔てて設けられている。
押圧部材21のベース板22にも、バネロッド25の上側を係止する一対のバネ係止部22b(第2バネ押さえ)が一体形成され、この第2バネ押さえ22bの間隔は、天板4に設けた前記第1バネ押さえ4bの間隔よりも、例えば短く設定されている。
【0034】
天板4の側端部分の近傍に押圧部材21のベース板22を載置し、ベース板22の両端近傍の当接子23を天板4の前記挿通穴4Hから下方へ挿通させ、その状態で、バネロッド25の両端が当接子23の上面に位置し、且つ、その途中部が上記第1バネ押さえ4b及び第2バネ押さえ22bで上側から係止されるように、バネロッド25を組み付ける。
これにより、当接子23が上下方向に弾性変位できるように、押圧部材21及びバネロッド25が天板4に組み付けられる。
【0035】
本実施形態では、カートリッジ押圧時にカートリッジに当接する当接子23は、カートリッジ押圧機構20の天板4への組付時には、トレイ10の進退動方向(矢印Y1−Y2方向)と平行に延びる押圧部材21の前記ベース板22の長手方向の両端近傍に一対に設けられており、その一方は、筐体2の開口2Hの比較的近傍に位置している。
【0036】
従って、トレイ10が装置1の外部の前記第2位置から装置内部に引き込まれて前記第1位置に至る移送中においても、当該カートリッジをトレイ10に対して押圧することができる。
これにより、ディスクの記録再生時における振動だけでなく、トレイ10の移送に伴ってカートリッジに生じる振動の発生をも効果的に抑制することができるのである。
【0037】
図4は、図1におけるL4−L4線に沿った部分縦断面説明図である。また、図5はカートリッジC1又はC2をトレイ10上に載置した状態での図4と同様の部分縦断面説明図、図6は図5において当接子23とカートリッジC1又はC2との当接部分を拡大して示す拡大説明図である。
【0038】
これらの図から良く分かるように、前記当接子23は、その本体23aの上端部分に、本体23aよりも外方へ張り出す鍔部23bを有しており、カートリッジ押圧機構20の天板4への組付状態で、カートリッジC1又はC2を押圧していない場合には、バネロッド25の付勢力により、前記鍔部23bの下面が天板4の上面に接している。
そして、カートリッジをトレイ10に対して押圧する際には、その反作用により、前記バネロッド25の付勢力に抗して、本体23aが天板4の挿通穴4H内をスライドしながら、上方へ弾性変位するようになっている。
【0039】
前記当接子23は、その本体23aの先端部分(下端部分)でカートリッジC1又はC2と(具体的には、後述するようにカートリッジC1又はC2の稜部R1又はR2と)当接するのであるが、前記本体23aのカートリッジ稜部R1又はR2に対する接触面23fは、カートリッジ主面F1又はF2に対して、所定角度の傾斜角β(図6参照)を持って傾斜するように形成されている。
【0040】
つまり、当接子23は、カートリッジ主面F1又はF2に対して傾斜した接触面23fでカートリッジ稜部R1又はR2に対して当接する。従って、押圧時におけるカートリッジC1又はC2との接触状態を、確実に線接触あるいはそれに近い状態とすることができ、接触面積を従来に比して確実に小さくすることができる。これにより、カートリッジC1又はC2に傷が付いても小さな傷で済み、摩耗粉の発生もそれだけ抑制できる。
尚、図4及び図5には、上面部にターンテーブル部8aを有するディスク駆動用の電動モータ8の一部が、仮想線で表示されている。
【0041】
図7〜図9に、前記トレイ10上に載置される2種類のカートリッジが示されている。
図7は、内部にブルーレイディスク(図6参照)を収納するBDカートリッジC1の全体斜視図、図8は、該BDカートリッジC1の稜部を拡大して模式的に示した拡大斜視図、図9は、内部にDVD−RAMディスク(不図示)を収納したRAMカートリジC2の全体斜視図である。
また、図10はBDカートリッジC1又はRAMカートリッジC2を載置したトレイ10の部分的な平面説明図、図11は図10のL11−L11矢印方向から見て示した側面説明図、図12は図10のL12−L12矢印方向から見て示した側面説明図であり、ともにBDカートリッジC1の外形は想像線で、RAMカートリッジC2の外形は実線で示している。更に、図13はBDカートリッジC1内のディスクDの高さ位置およびRAMカートリッジC2内のディスクDの高さ位置を示す図で、(a)はシャッター閉状態におけるトレイ上のBDカートリッジ内のシャッター及びディスク位置を示す部分断面説明図、(b)はシャッター開状態におけるトレイ上のBDカートリッジ内のシャッター及びディスク位置を示す部分断面説明図、(c)はトレイ上のRAMカートリッジ内のディスク位置を示す部分断面説明図である。
【0042】
図13(b)及び図13(c)に示すように、記録再生装置が備えるスピンドルモータ(回転手段)で回転駆動されるRAMディスクDとBDディスクDとについて、トレイ10の基底部12の上面であるトレイ主面12f(図ではBDカートリッジC1を直接に載置させる載置面)からの高さを概ね同一にするために、前述した通り、下ハーフの厚みが厚いBDカートリッジC1の載置面12f上の適所複数箇所(本実施形態では、図10に示すように4箇所)に、所定高さ(0.5mm〜1.0mm)を有する凸部12p(RAMカートリッジ載置凸部)が設けられており、RAMカートリッジC2はこれらRAMカートリッジ載置凸部12p上に載置して支持される。このため、元来カートリッジ周縁部の厚みが厚いRAMカートリッジC2は、BDカートリッジC1に比べるとトレイ上での突出量がさらに大きくなる。なお、図5および図6では、トレイ10上に載置した状態でブルーレイディスクとRAMディスクとを総称してディスクDと示している。一方、その幅寸法については、BDカートリッジC1の最大幅W1は、RAMカートリッジC2の最大幅W2よりも大きくなっている(図10参照)。
【0043】
これらBDカートリッジC1及びRAMカートリッジC2は何れも、従来公知のものと同様の構造を備え、同様の作用をなすものであるので、これらの構造の詳細な説明および図示は省略する。
尚、クランパをBDカートリッジの内部に内蔵している構成のBDカートリッジであっても、前述したようにカートリッジ周縁部の厚みは同一であるため、本発明のカートリッジ周縁部を押圧する押圧機構は、クランパ内蔵の有無に拘わらず有効である。
【0044】
BDカートリッジC1の場合を例にとって説明すれば、図7に示されるように、BDカートリッジC1は、ブルーレイディスクの情報記録層と平行な上下一対のカートリッジ主面F1と、両カートリッジ主面の外縁部どうしを繋ぐカートリッジ側面S1とで、その外形が構成され、樹脂材料を用いて成形加工により製作されている。
【0045】
本実施形態では、前記BDカートリッジC1は、所謂、絞付き成形により成形されている。そのため、カートリッジ主面F1の表面には、非常に微細な無数の凹凸(絞)が形成されている。かかる成形法を採用したことにより、BDカートリッジC1の表面性状に関して、表面の反射を抑制して成形品により高級感を付与することができ、また、より良好な触感を付与することができる。
【0046】
ただし、この絞付き成形を行う場合、面どうしが繋がる稜部や角部およびカートリッジ側面S1の表面まで「絞」付きとした場合には、良好な成形性を確保することが難しいので、これらの部分については、通常の樹脂成形品と同様に表面が平滑なままに保たれている。
つまり、図8に模式的に示すように、カートリッジ主面F1とカートリッジ側面S1とを繋ぐカートリッジ稜部R1およびカートリッジ側面S1の表面には、微細な凹凸(絞)は形成されておらず平滑なままである。しかしながら、カートリッジ稜部R1は、カートリッジ主面F1やカートリッジ側面S1の面どうしをつなぐ境界であるため、接触面積が狭く、BDカートリッジC1を押圧する箇所に適している。尚、これは、特に絞付き成形品に限られたことではなく、通常の成形法を採用した場合についても、一般的に認められる事象である。
【0047】
以上の説明はBDカートリッジC1についてのものであったが、RAMカートリッジC2についても、カートリッジ主面F2と、両カートリッジ主面F2の外縁部どうしを繋ぐカートリッジ側面S2とで、その外形が構成され、樹脂材料を用いて成形加工により製作されている。また、カートリッジ主面F2とカートリッジ側面S2とは、カートリッジ稜部R2で繋がれている。尚、このRAMカートリッジC2においても、絞付き成形で成形するようにしても良い。
以上のように形状および寸法が異なる2種類のカートリッジC1,C2の何れをも、安定してトレイ10の基底部12上に載置することができる。
【0048】
本実施形態では、前述のように、トレイ10上に載置されたカートリッジC1又はC2を、前記カートリッジ押圧機構20により当該トレイ10に対して押圧するに際して、従来のように上側のカートリッジ主面F1又はF2ではなく、前記カートリッジ稜部R1又はR2、特にトレイ10の移送方向(図1のY1−Y2矢印方向)と略平行なカートリッジ稜部R1又はR2を押圧するようにしている。
【0049】
従来のようにカートリッジ主面F1又はF2ではなく、カートリッジ主面F1又はF2とカートリッジ側面S1又はS2とで形成されたカートリッジ稜部R1又はR2で押圧することにより、従来に比して押圧による傷が付き難く、また、押圧時におけるカートリッジC1又はC2との接触面積を従来に比して小さくすることができるので、傷が付いても小さな傷で済み、摩耗粉の発生もそれだけ抑制できる。特に、カートリッジC1又はC2の外観性に大きな影響を及ぼすカートリッジ主面F1又はF2に傷を付けることが無く、カートリッジの見映えの低下を効果的に抑制できるのである。
【0050】
カートリッジC1又はC2の成形に絞付き成形を採用した場合には、カートリッジ押圧による傷がより目立ち易く、また、摩耗粉の発生量も非常に多くなるのであるが、かかる絞付き成形法で成形した場合において、実際には表面に「絞」が形成されないカートリッジ稜部R1又はR2で押圧するので、摩耗粉の発生抑制や見映えの低下抑制に、とりわけ効果的である。
【0051】
また、ディスクの記録再生時のみならず、カートリッジC1又はC2の移送中においても当該カートリッジC1又はC2をトレイ10に対して押圧する場合には、前述のように、トレイ10の移送に伴ってカートリッジC1又はC2に生じる振動の発生をも効果的に抑制することができるのであるが、その反面、従来のようにカートリッジ主面F1又はF2で押圧したのでは、カートリッジ上側主面F1又はF2に移送方向の長い傷が付き、非常に目立ち易くて見映えが大きく損なわれ、また、摩耗粉の発生量も多くなるのである。
しかし、本実施形態では、カートリッジ移送中に押圧する場合でも、カートリッジ稜部R1又はR2で押圧することにより、カートリッジC1又はC2の外観性に大きな影響を及ぼすカートリッジ主面F1又はF2に傷を付けることが無く、カートリッジの見映えの低下を効果的に抑制できる。摩耗粉の発生量も少なくて済む。
【0052】
トレイ10は、前述のように、上下方向位置が異なる上側および下側の2つのベース面12f,12pを備えることにより、少なくとも厚さが異なる、更には、前述のように形状および寸法が異なる2種類のカートリッジC1,C2の何れをも安定して載置することができる。
すなわち、このディスク装置1では、少なくとも厚さが異なる2種類のカートリッジC1,C2を選択的にトレイ10上に載置させて、ディスクの記録再生位置に対応した第1位置と、装置1の外部に在りカートリッジ着脱位置に対応した第2位置との間で、往復させて移送できる。
【0053】
そして、ディスクの記録再生時だけでなくカートリッジ移送中においてもカートリッジC1C2をトレイ10の基底部12に対して押圧し、しかも、2種類のカートリッジC1,C2の何れについても、上側のカートリッジ主面F1,F2ではなく、カートリッジ稜部R1,R2を押圧するように構成されている。
【0054】
ブルーレイディスクBDとDVD−RAMディスク(不図示)の両方のディスクの記録再生に対応するためには、ディスク装置1のカートリッジ押圧機構20も、BDカートリッジC1とRAMカートリッジC2の両方について適正な押圧力で押圧することが求められるが、両者は厚さや幅寸法が異なるので、RAMカートリッジC2を基準にして押圧力を設定すると、BDカートリッジC1の使用時には押圧力が過剰となって一層傷が付き易く、一方、BDカートリッジC1を基準にして押圧力を設定すると、RAMカートリッジC2の使用時には押圧力が不足して、適正な位置決め及び制振効果を得ることができなくなる。
【0055】
そこで、本実施形態では、カートリッジ押圧機構20の前記当接子23のカートリッジ稜部R1又はR2に対する接触面23fは、BDカートリッジC1のトレイ載置状態における稜部R1とRAMカートリッジC2のトレイ載置状態における稜部R2とに接する仮想面Pkと同一になるように、各部の位置や形状および寸法などが設定されている。
換言すれば、この仮想面Pkは、当接子23の接触面23fと同じく、カートリッジ主面F1又はF2に対して所定角度の傾斜角βを持って傾斜していることになる。
【0056】
このように設定したことにより、当接子23のカートリッジ稜部R1又はR2に対する接触面23fについて、1つの接触面23fで両方のカートリッジ稜部R1又はR2の押圧に対応することができる。しかも、当接子23がカートリッジ稜部R1又はR2を押圧する際には、その反作用により、前記バネロッド25の付勢力に抗して、本体23aが天板4の挿通穴4H内をスライドしながら上方へ弾性変位するが、この当接子23の上方への弾性変位量Eは、BDカートリッジC1を押圧する場合とRAMカートリッジC2を押圧する場合とで等しくなり、両場合についてカートリッジC1,C2を同等の弾性力で押圧することができる。
従って、この弾性押圧力を適正な値に設定することにより、BDカートリッジC1とRAMカートリッジC2の両方について、過不足のない適正な押圧力で押圧することができるのである。
【0057】
以上、説明したように、本実施形態に係るディスク装置1によれば、トレイ10上に載置されたカートリッジC1又はC2を、カートリッジ押圧機構20により当該トレイ10に対して押圧するに際して、従来のように上側のカートリッジ主面F1又はF2ではなく、前記カートリッジ稜部R1又はR2を押圧するようにしたことにより、従来に比して押圧による傷が付き難く、また、押圧時におけるカートリッジC1又はC2との接触面積を従来に比して小さくすることができるので、傷が付いても小さな傷で済み、摩耗粉の発生もそれだけ抑制できる。特に、カートリッジC1又はC2の外観性に大きな影響を及ぼすカートリッジ主面F1又はF2に傷を付けることが無く、カートリッジの見映えの低下を効果的に抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、例えば、映像用や音楽用あるいはコンピュータ・データ用等の情報記録媒体としてのディスクを収容したカートリッジを、当該ディスクの記録再生時などにカートリッジ移送用のトレイに対して押圧するカートリッジ押圧機構、及びかかるカートリッジ押圧機構を備えたディスク装置において利用することができ、カートリッジ主面の見映えを損なうことが無く、また摩耗粉の発生を抑制でき、更に、RAMカートリッジとBDカートリッジの両方について適正な押圧力で押圧することができる。
【0059】
尚、本発明は、以上の実施態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更や改良を加え得るものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係るディスク装置の要部を示す斜視図である。
【図2】前記ディスク装置に組み込まれるカートリッジ押圧機構の分解状態を拡大して示す部分拡大斜視図である。
【図3】前記カートリッジ押圧機構の天板への組付状態を拡大して示す部分拡大斜視図である。
【図4】図1におけるL4−L4線に沿った部分縦断面説明図である。
【図5】カートリッジをトレイ上に載置した状態での図4と同様の部分縦断面説明図である。
【図6】図5において当接子とカートリッジとの当接部分を拡大して示す拡大説明図である。
【図7】BDカートリッジの全体斜視図である。
【図8】BDカートリッジの稜部を拡大して模式的に示した拡大斜視図である。
【図9】RAMカートリッジの全体斜視図である。
【図10】BDカートリッジ又はRAMカートリッジを載置したトレイの部分的な平面説明図である。
【図11】図10におけるL11−L11矢印方向からの側面説明図である。
【図12】図10におけるL12−L12矢印方向からの側面説明図である。
【図13】(a)はシャッター閉状態におけるトレイ上のBDカートリッジ内のシャッター及びディスク位置を示す部分断面説明図、(b)はシャッター開状態におけるトレイ上のBDカートリッジ内のシャッター及びディスク位置を示す部分断面説明図、(c)はトレイ上のRAMカートリッジ内のディスク位置を示す部分断面説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1 ディスク装置
10 トレイ
20 カートリッジ押圧機構
21 押圧部材
22 ベース板
23 当接子
23f (当接子の)接触面
25 バネロッド
C1 BDカートリッジ
C2 RAMカートリッジ
D ディスク
F1,F2 カートリッジ主面
Pk 仮想面
R1,R2 カートリッジ稜部
S1,S2 カートリッジ側面
β (当接子の接触面の)傾斜角
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジに収容された情報記録媒体としてのディスクの記録及び/又は再生を行い得る記録再生位置を有するとともに、前記カートリッジを載置するトレイを前記記録再生位置に対応した第1位置と装置外部の第2位置との間で往復動可能に移送する移送手段を備え、少なくとも前記トレイが前記第1位置にある状態で、前記カートリッジを前記トレイに対して押圧するカートリッジ押圧機構であって、
前記ディスクの情報記録層と平行な一対のカートリッジ主面と、両カートリッジ主面の外縁部どうしを繋ぐカートリッジ側面と、で形成されたカートリッジ稜部を押圧することを特徴とするカートリッジ押圧機構。
【請求項2】
請求項1記載のカートリッジ押圧機構であって、
前記トレイが前記第2位置から装置内部に引き込まれて前記第1位置に至る移送中においても、前記カートリッジ稜部を押圧することを特徴とするカートリッジ押圧機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカートリッジ押圧機構であって、
カートリッジ押圧時に当該カートリッジ稜部に当接する当接部と、カートリッジ押圧時に該当接部を前記カートリッジ稜部に対して付勢する付勢手段とを備えている、
ことを特徴とするカートリッジ押圧機構。
【請求項4】
請求項3記載のカートリッジ押圧機構であって、
前記当接部の前記カートリッジ稜部に対する接触面は、前記カートリッジ主面に対して傾斜していることを特徴とするカートリッジ押圧機構。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一に記載のカートリッジ押圧機構であって、
前記トレイは、少なくとも厚さが異なる第1及び第2のカートリッジを選択的に載置させて、前記第1位置と前記第2位置との間で移送可能であり、
前記第1及び第2のカートリッジの何れについても前記カートリッジ稜部を押圧する前記接触面を備える、
ことを特徴とするカートリッジ押圧機構。
【請求項6】
請求項5記載のカートリッジ押圧機構であって、
少なくとも前記第1の位置において、前記第1カートリッジの稜部と前記第2カートリッジの稜部とを押圧する前記接触面は同一に設定されている、
ことを特徴とするカートリッジ押圧機構。
【請求項7】
カートリッジに収容された情報記録媒体としてのディスクの記録及び/又は再生を行い得る記録再生位置を有するとともに、前記カートリッジを載置するトレイを前記記録再生位置に対応した第1位置と装置外部の第2位置との間で往復動可能に移送する移送手段と、前記トレイが前記第1の位置において前記ディスクを回転駆動する回転手段と、前記ディスクに備える情報記録層に対し情報信号の授受を行う記録再生手段とを備えたディスク装置であって、
少なくとも前記トレイが前記第1位置にある状態で、前記カートリッジを前記トレイに対して押圧するカートリッジ押圧機構として、前記請求項1から請求項6の何れか一に記載のカートリッジ押圧機構を備えたことを特徴とするディスク装置。
【請求項1】
カートリッジに収容された情報記録媒体としてのディスクの記録及び/又は再生を行い得る記録再生位置を有するとともに、前記カートリッジを載置するトレイを前記記録再生位置に対応した第1位置と装置外部の第2位置との間で往復動可能に移送する移送手段を備え、少なくとも前記トレイが前記第1位置にある状態で、前記カートリッジを前記トレイに対して押圧するカートリッジ押圧機構であって、
前記ディスクの情報記録層と平行な一対のカートリッジ主面と、両カートリッジ主面の外縁部どうしを繋ぐカートリッジ側面と、で形成されたカートリッジ稜部を押圧することを特徴とするカートリッジ押圧機構。
【請求項2】
請求項1記載のカートリッジ押圧機構であって、
前記トレイが前記第2位置から装置内部に引き込まれて前記第1位置に至る移送中においても、前記カートリッジ稜部を押圧することを特徴とするカートリッジ押圧機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカートリッジ押圧機構であって、
カートリッジ押圧時に当該カートリッジ稜部に当接する当接部と、カートリッジ押圧時に該当接部を前記カートリッジ稜部に対して付勢する付勢手段とを備えている、
ことを特徴とするカートリッジ押圧機構。
【請求項4】
請求項3記載のカートリッジ押圧機構であって、
前記当接部の前記カートリッジ稜部に対する接触面は、前記カートリッジ主面に対して傾斜していることを特徴とするカートリッジ押圧機構。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一に記載のカートリッジ押圧機構であって、
前記トレイは、少なくとも厚さが異なる第1及び第2のカートリッジを選択的に載置させて、前記第1位置と前記第2位置との間で移送可能であり、
前記第1及び第2のカートリッジの何れについても前記カートリッジ稜部を押圧する前記接触面を備える、
ことを特徴とするカートリッジ押圧機構。
【請求項6】
請求項5記載のカートリッジ押圧機構であって、
少なくとも前記第1の位置において、前記第1カートリッジの稜部と前記第2カートリッジの稜部とを押圧する前記接触面は同一に設定されている、
ことを特徴とするカートリッジ押圧機構。
【請求項7】
カートリッジに収容された情報記録媒体としてのディスクの記録及び/又は再生を行い得る記録再生位置を有するとともに、前記カートリッジを載置するトレイを前記記録再生位置に対応した第1位置と装置外部の第2位置との間で往復動可能に移送する移送手段と、前記トレイが前記第1の位置において前記ディスクを回転駆動する回転手段と、前記ディスクに備える情報記録層に対し情報信号の授受を行う記録再生手段とを備えたディスク装置であって、
少なくとも前記トレイが前記第1位置にある状態で、前記カートリッジを前記トレイに対して押圧するカートリッジ押圧機構として、前記請求項1から請求項6の何れか一に記載のカートリッジ押圧機構を備えたことを特徴とするディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−310942(P2007−310942A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137779(P2006−137779)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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