説明

カートリッジ用プランジャ及びプランジャアセンブリ、物質を格納するシステム、並びに物質をデリバリーシステム内に充填し封止する方法

【課題】歯科用カートリッジ用プランジャを提供する。
【解決手段】プランジャ10は、第1の端部及び反対側の第2の端部を有する。プランジャは、第1と第2の端部との間に延びる通路13を備える。プランジャは、第1の端部と第2の端部との間の通路内に配置された少なくとも1つの狭窄部14を備える。狭窄部の直径は、通路内に可動自在に挿入可能なプラグの最小直径よりも小さい。カートリッジ内に閉じ込められた空気は、狭窄部とプラグ20との間に封止が確立されるまで、通路の壁面と挿入されたプラグとの間のギャップを通って逃げることができる。したがって、カートリッジは実質的に空気を含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プランジャ、プランジャアセンブリ、及び1つ又は複数の物質、好ましくは
流動性物質を格納するシステム、並びにデリバリーシステム内に物質を充填し封止する方
法を対象とする。特に、本発明は、実質的に空気を含まずにデリバリーシステム内に物質
を充填し格納するためのものである。
【背景技術】
【0002】
標準的なデリバリーシステムを製造する際に一般的に困難なのは、空隙又は空泡を含ま
ずに格納された物質を封入することである。システムのプランジャを組み立てる際に格納
システム又はデリバリーシステム内に空気が閉じ込められるのを回避する標準的なプロセ
スは、真空状態でシステムを組み立てることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、空気を完全に排除することは不可能なので、格納システム又はデリバリーシス
テム内に少量の空気が残ってしまう。更に、真空を用いることにより、物質の成分が蒸発
してしまう可能性もある。充填された物質が1mL以下などの非常に少量の場合、また、
薬剤製品の場合など、正確な用量が重要である場合、成分が蒸発することで、格納された
物質に重大な影響を与える恐れがある。
【0004】
デリバリーシステムを充填する別の従来のプロセスは、ディスペンサーの前端、即ち格
納された物質がそこを介して分配される端部から充填するものである。それにより、充填
の間プランジャは後方に押される。しかし、このプロセスは、前端からの充填が可能なシ
ステムに限定される。
【0005】
米国特許第5,178,305号は、格納シリンダーと、カートリッジの内容物に向い
た底面が排気ボアに向かって徐々に窪んでいる分配ピストンとを備えた、分配カートリッ
ジに関する。排気ボアはクロージャによって封止される。
【0006】
WO01/94028は、カートリッジの壁面に接して設置され、それを封止する第1
のピストン部分、及び第1のピストン部分と共にバルブを形成する第2のピストン部分を
備える、カートリッジ用ピストンの換気装置に関する。前記バルブは、ピストンの後側に
圧力が加えられると開き、それによって、充填組成物とピストンの間に閉じ込められた空
気が逃げることができる。この発明によれば、バルブを通る空気の流路から見てバルブの
前部であって、2つのピストン部分の間に、フィルタ部分が設けられる。このフィルタ部
分は、少なくとも1つの狭いチャネルを有し、それにより、充填材に対する侵入バリアが
形成されるとともに、バルブは確実に乾燥したままで、かつ汚れることがなくなる。
【0007】
EP−A−0344491、EP−A−0463991、FR−A−2626248、
EP−A−0497739、及び米国特許第4,951,848号を更に参照のこと。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、本発明は、カートリッジ用プランジャを提供する。プランジャは
、第1の端部及び反対側の第2の端部を有する。プランジャは、第1と第2の端部との間
に延びる通路を備える。プランジャは、第1の端部と第2の端部との間の通路内に配置さ
れた少なくとも1つの狭窄部を備える。狭窄部の直径は、通路内に可動自在に挿入可能な
プラグの最小直径よりも小さい。
【0009】
狭窄部の直径は、好ましくは、少なくとも狭窄部がプラグとの封止を成す領域において
、プラグの直径よりも小さい。更に、プランジャの通路の直径は、好ましくは、狭窄部の
位置以外の少なくとも1つの位置において、プラグの最大直径よりも大きい。これにより
、プランジャの狭窄部は、プランジャの通路内に可動自在に挿入可能なプラグとの封止を
成す。カートリッジ内に閉じ込められた空気は、狭窄部とプラグとの間に封止が確立され
るまで、通路の壁面と挿入されたプラグとの間のギャップを通って逃げることができる。
したがって、カートリッジは実質的に空気を含まないことが好ましい。本発明によれば、
実質的に空気を含まないこととは、空気が残っていても、分配される材料の目的又は効果
を妨げない程度まで空気を含まないことと定義される。
【0010】
好ましい一実施形態によれば、プランジャの狭窄部は、プラグと共に封止部を形成する
封止リップを形成する。封止リップ、プラグ、又はそれら両方は、好ましくは変形可能で
ある。したがって、プラグが通路に挿入され、封止リップに達すると、プラグは封止リッ
プを撓ませ(若しくは封止リップがプラグを撓ませ、又はそれらのどちらかが撓み)、封
止リップがプラグに接して偏向される。
【0011】
本発明は、更に、プランジャの第1の端部におけるプランジャの内表面が、通路に向か
って後方に傾斜することを包含する。換言すれば、プランジャの第1の端面は、通路に向
かって内向きに先細になっているか、又は通路に向かって徐々に窪んでいる。これは、プ
ランジャが挿入され、カートリッジ内の物質に向かって動かされると、閉じ込められた空
気を、第1の端面に沿って通路まで案内する助けとなる。
【0012】
好ましい一実施形態によれば、プランジャの後方に傾斜した第1の端面は狭窄部で終端
する。或いは、狭窄部は、プランジャの後方に傾斜した第1の端面に対して通路内の奥に
設置される。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、カートリッジ用プランジャが提供される。プランジャは
、第1の端部及び反対側の第2の端部、並びに第1と第2の端部との間に延びる通路を有
する。通路は、通路内に突出する変形可能な第1の封止リップを備える。
【0014】
本発明の第1の態様に関して記載したように、第2の態様のプランジャの第1の端面は
、好ましくは、通路に向かって後方に傾斜し、より好ましくは、変形可能な第1の封止リ
ップ内で終端する。
【0015】
変形可能な封止リップは、好ましくは、プランジャの第2の端部から通路内に挿入可能
なプラグによって変形可能であり、通路内で動くことができる。より好ましくは、第1の
封止リップは、プラグによって、プランジャの第1の端部に向かって変形可能である。変
形可能な第1の封止リップと挿入されたプラグは封止部を形成する。或いは、第1の封止
リップは変形可能ではなく剛性であり、プラグは剛性リップによって変形可能である。
【0016】
プラグを挿入する前に、第1の封止リップの表面は、好ましくは、通路に向かって傾斜
するか、又は斜めにされる。より好ましくは、第1の封止リップは先端を備える。
【0017】
第2の態様のプランジャの通路の最小直径は、好ましくは、第1の封止リップにおいて
プラグの最小直径よりも小さい。
【0018】
本発明の第1及び第2の態様によれば、好ましくは、プランジャの外径は、プランジャ
の第1の端部におけるその縁部に向かって増加する。したがって、プランジャは、実質的
に一定の外径を有する第1の部分と、第1の部分の直径からプランジャの第1の端部に向
かって増加する直径を有する第2の部分とを備える。好ましくは、プランジャの第1の端
部における縁部は、例えばカートリッジの外壁に接して封止を成す、第2の封止リップと
して形成される。
【0019】
第1又は第2の態様のプランジャは、好ましくは円筒形状である。
【0020】
第3の態様によれば、本発明は、カートリッジ用プランジャアセンブリを提供する。プ
ランジャアセンブリは、第1の端部及び反対側の第2の端部を有し、且つ第1と第2の端
部との間に延びる通路を有するプランジャを備える。プランジャアセンブリは、通路内に
挿入可能なプラグを更に備える。プランジャアセンブリは、通路/プランジャの第1の端
部と第2の端部との間の通路内に、少なくとも1つの狭窄部を更に備える。狭窄部の直径
は、少なくとも狭窄部がプラグとの封止を成す領域において、プラグの直径よりも小さい
。狭窄部は、好ましくは、プラグと共に封止部を形成する封止リップを形成する。より好
ましくは、封止リップは変形可能である。或いは、封止リップは変形可能ではなく剛性で
あり、プラグは剛性リップによって変形可能である。本発明の第3の態様によるプランジ
ャアセンブリにおいて、通路の直径が、狭窄部の位置以外の少なくとも1つの位置で、プ
ラグの最大直径よりも大きいことも好ましい。
【0021】
組み立てられたとき、プラグをプランジャと係止する、保持要素が提供されてもよい。
好ましくは、プラグは、狭窄部がプラグとの封止を成す領域における第1の直径と、プラ
グの前端により近い第2のより大きな直径とを有する階段状の形体を備える。したがって
、プラグが通路内に挿入されると、狭窄部が段差に当接するので、プラグは、逆方向の動
きに対抗してプランジャと係止される。より好ましくは、階段状の形体は、狭窄部のリッ
プがその中に嵌合してプラグを適所に係止する凹状リングの形で提供される。更に好まし
くは、プラグがその端位置に達すると同時に通路内に挿入される前(例えば、直前)にプ
ラグが係止され、それによって、プラグをその端位置まで動かし、且つ係止位置まで戻す
ことが可能になる。或いは、プラグをプランジャと係止するため、通路が凹状リングを包
含し、プラグが突出した隆起部を包含する。
【0022】
第4の態様によれば、本発明は、物質を格納するシステムに関する。システムは、物質
を格納する区画を有する容器と、本発明によるプランジャとを備える。プランジャは、容
器区画内で変位可能である。更に、システムは、プランジャの通路内で変位可能なプラグ
も備える。好ましくは、区画はほぼ円筒形の区画である。
【0023】
上述したように、本発明による、物質を格納するシステムのプランジャは、プランジャ
の第1の端部と第2の端部との間の通路内に配置された少なくとも1つの狭窄部を備える
。狭窄部の直径は、少なくとも狭窄部がプラグに接触する領域内においてプラグの最小直
径よりも小さい。更に、プラグの直径は、好ましくは通路の直径よりも小さい。より好ま
しくは、通路の壁面とプラグとの間に空間が形成され、それによって、容器区画内に閉じ
込められた空気はこの空間を通って逃げることができ、また、プランジャが区画内で動か
されたとき、区画内の余分な物質をこの空間内に受け入れることができる。好ましくは、
プラグがプランジャの第1の封止リップに達すると、余分な物質は空間内に格納される。
【0024】
本発明による物質を格納するシステムでは、プランジャは、好ましくは、外壁に接して
封止を成すための第2の封止リップとして形成される第1の端縁部を備える。好ましくは
、第2の封止リップは容器区画の内壁と当接する。
【0025】
本発明の好ましい一実施形態によれば、プラグはその後端においてフランジを備える。
フランジの直径は、好ましくは、プランジャの第2の端部において空間を閉止するように
サイズ決めされる。したがって、フランジの直径は、プランジャの第2の端部において、
プランジャ通路の内径に一致する。
【0026】
容器は、格納された物質を分配する分配開口部を更に備えてもよい。
【0027】
格納された物質は、好ましくは、歯科用物質、例えば、樹脂で変性したガラスアイオノ
マー充填材料、複合充填材料、変性複合材料などの、歯科用ペースト又は流体である。
【0028】
本発明の好ましい一実施形態によれば、システムの容器は、異なる物質を格納する2つ
以上の区画を備える。各区画に対して、本発明によるプランジャが提供されることが好ま
しい。システムは、追加の区画に対して、プランジャの通路内で変位可能な更なるプラグ
を更に備える。この場合、プラグは、好ましくは、例えば接続バーによって互いに接続さ
れる。より好ましくは、プランジャはそれらの第2の端部で互いに接続される。更に好ま
しくは、プランジャは、プランジャと一体物として形成された接続バーによって互いに接
続される。プラグも、接続バーと一体物として形成されてもよい。好ましくは、組み立て
られたとき、プラグをプランジャと係止する保持要素が提供される。更に好ましくは、プ
ラグがその端位置に達すると同時に通路内に挿入される前(例えば、直前)にプラグが係
止され、それによって、プラグをその端位置まで動かし、且つ係止位置まで戻すことが可
能になる。
【0029】
本発明の第5の態様によれば、格納システム内に物質を充填し封止する方法が提供され
る。物質用の区画を有する容器が提供される。区画には物質が充填される。本発明による
プランジャは区画内に配置される。プランジャは、物質がプランジャの第1の封止リップ
を通過するまで、物質に向かって更に前進され、その際、空気が通路内に逃げることがで
きる。プラグは、第1の封止リップがプラグに接して封止を成すまで、プランジャの通路
に押し込まれる。
【0030】
好ましくは、第1の封止リップを通過する余分な物質は、通路の壁面とプラグの間の空
間内に受け入れられる。プラグ及び第1の封止リップは、好ましくは、区画内に収容され
た物質に対して封止部を形成する。
【0031】
更なる一実施形態によれば、封止部は別個の部分として設けられ、プランジャの通路に
組み込まれる。封止部は、好ましくは、三角形の断面形状又は円形の断面形状(Oリング
)を有する。この実施形態の通路は、好ましくは(必須ではないが)階段状の形体を有し
、即ち、通路は、プランジャの前端に向かって第1の直径と、プランジャの後端に向かっ
て第2の直径とを有し、第1の直径は第2の直径よりも小さい。封止部は、第2の直径内
に受け入れられ、第1及び第2の直径の間の段差において当接し、したがって、プラグが
通路内に挿入されるとき、移動に対抗して固定される。好ましくは、プラグは、封止部を
段差に押し付ける円周フランジを備える。
【0032】
別の更なる実施形態によれば、封止部は、通路内ではなくプラグの前端に設けられる。
封止部は、好ましくは三角形の断面形状のものであり、また、好ましくは変形可能なので
、可撓性の封止リップを形成する。好ましくは、封止リップの直径は、通路の直径よりも
実質的に大きい。プラグは、好ましくは、プラグの後端がプランジャの通路内に位置し、
且つ封止リップが通路の外側に位置するようにして、プランジャと共に予め組み立てられ
る。好ましくは、封止リップは、プランジャの前端の内向きに先細になった領域内に位置
し、その際、封止リップはプランジャに接触しないので、プラグは、この段階ではプラン
ジャとの封止を成さない。
【0033】
本発明の更なる代替実施形態によれば、格納システム内に物質を充填し封止する方法が
提供される。物質用の区画を有する容器が提供される。区画には物質が充填される。第2
の代替実施形態によるプランジャアセンブリが区画内に配置される。プランジャアセンブ
リは、物質がプランジャの通路の前端に侵入するまで、物質に向かって更に前進され、そ
の際、空気は、プラグと通路の間に逃げることができる。プラグは、封止リップが通路内
に動くまで、プランジャの後端に向かって引き戻されるので、プランジャとの封止を成す
。封止リップの直径がより大きく、且つ封止リップは変形可能なので、封止リップは、通
路内に動かされると、区画に充填された物質の方向に向かって撓む。
【0034】
本発明は様々な利点を提供する。第一に、換気が提供されるので、プランジャが挿入さ
れるのと同時に区画に含まれる空気が逃げることができ、それにより、容器内に空気はほ
ぼ閉じ込められない。更に、材料の良好な封入が達成され、これは、材料の経時変化に関
して非常に重要である。第1及び第2の封止部両方によって、容器区画内の圧力が増加し
たとき(材料を放出する際)の封止部それぞれの接触面に対する接触力が増加するので、
本発明によって、(プランジャが前方に押されたときに)材料を放出する際の封止効果が
向上する。更に、本発明のプランジャ、プランジャアセンブリ、及びシステムは製造が容
易である。
【0035】
本発明のプランジャの更なる利点は、プランジャを介してシステムを充填することがで
きるので、事実上、容器とプランジャのアセンブリを予め組み立てることができる点であ
る。この場合、プランジャは容器内に配置され、このプレアセンブリは、プランジャの通
路を介して材料を容器内に充填するため、充填機内に配置される。充填後、容器とプラン
ジャのプレアセンブリはプラグによって閉止される。好ましくは、閉止は、プラグを通路
内に完全に挿入する工程と、プラグを短い距離だけ戻して、容器内の圧力を軽減する工程
とによって行われる。
【0036】
従来のシステムを上回る本発明の更なる利点は、プランジャの通路内に多量の物質を収
容することができ、それによって、プランジャが区画内に挿入されたとき、所定の位置ま
で動くことができると同時に、余分な物質がプランジャの通路内に変位されるので、製造
中の不均等な充填性能を補償することができる点である。
【0037】
余分な物質は、プラグが通路内に挿入されているとき、通路の壁面とプラグの外表面と
の間に封入される。
【0038】
これは、2つ以上の区画を有する容器を備えるシステムと組み合わせた場合の更なる利
点であるが、それは、プランジャを、所定の位置まで容器内に同時に挿入することができ
ると同時に、すべての区画から余分な物質が、互いに別々にプランジャの通路内に変位さ
れるためである。
【0039】
記載される本発明の実施形態はすべて、更に、前端からの充填(例えば、デリバリーシ
ステムの分配開口部を介しての充填)を可能にするデリバリーシステムと共に使用されて
もよい。この場合、プランジャは容器内に予め組み立てられてもよい。容器は、前端から
後端に向かって充填され、その際、空気はプランジャの通路を通って逃げる。物質がプラ
ンジャ内の封止リップを通過すると、充填が停止される。充填後、容器とプランジャのプ
レアセンブリは、その後端でプラグによって閉止される。前端は、後端を閉止する前、又
はその後に閉止されてもよい。
【0040】
或いは、容器の前端から充填している間、プランジャは容器と共に予め組み立てられな
い。この場合、前端からの充填ができないシステムに関して上述したように、容器は充填
後に閉止される。
【0041】
図1は、本発明の第1の実施形態による、カートリッジ(図示なし)用のプランジャ1
0を示す。プランジャ10は、第1の端部11及び反対側の第2の端部12を備える。プ
ランジャ10は、第1の端部11と第2の端部12の間を延びる通路13を更に備える。
図1に示されるように、通路13の直径Dは、好ましくは、通路13の実質的な長さに沿
って一定である。本発明によるプランジャ10は、第1の端部11と第2の端部12の間
で通路13内に配置された狭窄部14を更に備える。狭窄部14の直径dは、通路13の
直径Dよりも小さく、また、通路内に挿入可能なプラグ(図1には図示なし)の最小直径
よりも小さい。プランジャとプラグの組み合わせは、更に詳細に後述される。
【0042】
図1に示されるように、狭窄部14は、好ましくは封止リップとして形成される。図1
に示される好ましい実施形態では、封止リップの断面形状はほぼ三角形である。即ち、封
止リップは、好ましくは先端15で終端する傾斜した表面を備える。封止膨出部、Oリン
グ、ほぼ方形の断面形状の平坦な封止カラー(例えば、0.5mm以下のフィルム様の厚
さまで)など、他の封止リップ、表面、又は配置も使用されてもよい。更に、通路は、そ
の長手方向軸線に沿って連続的に配置された1超過の狭窄部を備えてもよい。更に、様々
な封止リップ、表面、又は配置の組み合わせが提供されてもよい。
【0043】
図1の好ましい実施形態では、プランジャ10の第1の端部11における表面19は、
通路13に向かって後方に傾斜している。使用する際、プランジャ10は、プランジャ1
0の第1の端部11における表面19がカートリッジ内に収容された材料に面するように
して、カートリッジ内に挿入される。図1に示される実施形態では、後方に傾斜した表面
19は狭窄部14で終端するので、後方に傾斜した表面19及び狭窄部14は、通路13
に向かって徐々に窪んだ、材料に面する表面全体を形成する。したがって、更に詳細に後
述されるように、プランジャが挿入されると同時に、容器内に存在する空気を通路内に容
易に追いやることができるので、容器がプランジャ10及びプラグ20によって閉止され
ると、その中には実質的に空気は閉じ込められていない。
【0044】
プランジャ10の第1の端部11はまた、好ましくは、例えば容器の外壁に接してそれ
を封止する第2の封止リップ16として形成される。図1に示されるように、プランジャ
10の外径は、第1の端部11におけるプランジャ10の縁部に向かって増加する。
【0045】
図2は、本発明のプランジャの代替実施形態を示す。図2に示されるプランジャ10’
もまた、第1の端部11’、反対側の第2の端部12’、及びそれらの間を延びる通路1
3’を備える。しかし、図1に示される実施形態とは異なり、図2に示されるプランジャ
10’は、通路13’内に配置されているが、通路13’の後端12’に向かって位置付
けられた、即ち、プランジャ10’の第1の端面19’が通路13’に向かって後方に傾
斜しているプランジャ10’の領域から離れている狭窄部14’を備える。
【0046】
図2に示される実施形態では、狭窄部14’もまた、先端15’が形成されるようにし
て形成される。更に、プランジャ10’の外径は第1の端部11’に向かって増加してい
るので、第2の封止リップ16’が形成される。
【0047】
本発明によるプランジャアセンブリが図3に示される。図3は、図1に示される実施形
態によるプランジャ10を備えるプランジャアセンブリ30を示す。ただし、プランジャ
アセンブリ30は、この実施形態によるプランジャ10に限定されない。図2に示される
実施形態など、他のプランジャ設計も本発明に包含される。プランジャアセンブリ30は
プラグ20を更に備える。プラグ20は、第1の端部24及び第2の端部22を備える。
好ましくは、第2の端部22にフランジ21が設けられる。図3に示されるプランジャ1
0は図1に示されるプランジャ10と同一なので、プランジャ10の詳細な説明は省略す
る。
【0048】
図3に見られるように、狭窄部14の直径dは、好ましくは、少なくとも狭窄部14が
プラグ20との封止を成す領域において、プラグ20の直径Aよりも小さい。狭窄部14
とプラグ20の間の封止は、図5に更に詳細に示される。プラグの直径Aに対する狭窄部
の直径dの比は、1未満、好ましくは0.75〜0.5の範囲内である。代表的な一実施
形態では、狭窄部は1.5mmの直径を有し、プラグは2.15mmの直径を有する。こ
れらのサイズ及び比は、様々な構成要素を作成する材料、特にプランジャを作成する材料
次第であり得る。代表的な実施形態では、プランジャはポリプロピレンから作成される。
より剛性の材料(例えば、ポリアミド、ポリオキシメチレン)が使用される場合、dとA
の比は、代表的な実施形態よりも1に近くなる。好ましくは、プラグは、ポリプロピレン
から、又は、例えば、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレートなどのより剛性の
材料から作られ、その場合、dとAの比は、好ましくは、別の材料の場合に類似するか、
又は等しい。
【0049】
図3に示される実施形態では、狭窄部14の位置以外の少なくとも1つの位置において
、通路13の直径Dがプラグ20の最大直径Aよりも大きいことも好ましい。「プラグの
最大直径」という用語は、図3に明瞭に示されるように、好ましいフランジ21の直径を
包含しない。通路の直径Dに対する狭窄部の直径dの比は、1未満、好ましくは0.75
〜0.5の範囲内である。代表的な一実施形態では、狭窄部は1.5mmの直径を有し、
通路は2.5mmの直径を有する。
【0050】
図4は、本発明による、物質を格納するシステム50を示す。システム50は、容器4
0と、プランジャ10と、プラグ20とを備える。容器40は、物質42を格納する区画
41を有する貯蔵容器である。容器40は、プランジャ10をその中に挿入することがで
きる開口部44を更に備える。図4には示されないが、容器40は、物質を分配する分配
開口部を更に備えてもよい。好ましくは、そのような分配開口部は開口部44と反対側の
容器壁面に位置する。
【0051】
本発明のプランジャ10は、容器区画41内に挿入し、その中で動かすことができる。
プランジャ10が容器区画41内に挿入されると、プランジャ10の第2の封止リップ1
6が容器区画41の内壁43と当接するので、第2の封止リップ16と容器40との間に
封止部が確立される。第2の封止リップ16が設けられていない場合、プランジャの壁面
が区画の壁面43に接して封止を成すように、プランジャ10の外径は、好ましくは区画
の直径に一致する。
【0052】
更に、プラグ20は、図5を参照して更に詳細に後述されるように、プランジャ10の
通路13内に挿入することができる。
【0053】
図5は、一連の4つの図A〜Dを示す。図5では、本発明の格納システムの構成要素を
明瞭に示すため、参照番号は基本的に省略している。ただし、図5に示される格納システ
ムの構成要素は図4に示される構成要素と同一なので、図4の参照番号を図5の以下の説
明に使用する。
【0054】
図5Aに示される本発明の格納システムの構成要素は、図4に示される構成要素と同一
である。ただし、図4とは異なり、図5Aでは、プランジャ10は容器区画41内に既に
挿入されているが、物質42にはまだ達していない。
【0055】
図5Bは、容器区画41内の所望の位置まで前進されたプランジャ10を示す。図5B
に示される2つの矢印は、図5Aと比較して、プランジャがこの位置まで前進されている
ことを示す。図5Bでは、容器内に格納された物質42のうち少量が、狭窄部14を越え
てプランジャ10の通路13内に変位していることが分かる。
【0056】
図5Cは、プラグ20がプランジャ10の通路13内に挿入されていることを示す。プ
ラグ20は、ある位置まで押されており、そこで、その前端24は封止リップ14と既に
接触している。図5Cは、封止リップ14が既に、プラグ20によって容器の内部に向か
ってわずかに撓んでいることを明瞭に示す。
【0057】
図5Cには更に、プラグ20の直径Aがプランジャ10の通路13の直径Dよりも小さ
く、そのため、通路13の壁面とプラグ20の間に空間17(図5Dを参照)が形成され
ていることが示される。余分な材料は空間17内に格納される。
【0058】
図5Cでは、区画は、プランジャ10及びプラグ20によって完全に閉止されている。
プラグ20をプランジャ10内へ更に動かすと、図5Dに上向きの2つの黒い矢印によっ
て示されるように、プランジャ10は押し戻される。材料42は実質的に圧縮不能なので
、プランジャ10は、容器40内に格納された材料の内部に蓄積する圧力によって押し戻
される。プラグ20がその後端22にフランジ21を備える場合、プラグ20は、好まし
くは、プランジャ10の第2の端部12がプラグ20のフランジ21に達するまでプラン
ジャ10に押し込まれるので、プラグ20とプランジャ10との間にある空間17の上端
は、フランジ21によって閉止される(図5Dを参照)。したがって、余分な物質は空間
17内で保持される。
【0059】
図面には示されないが、好ましくは、プラグ20はプランジャ10に完全に押し込まれ
、残留圧力を軽減するため、短い距離だけ戻される。この残留圧力は、容器壁面の特定の
弾性に起因し、且つ、容器内に蓄積している圧力と摩擦力が均衡することに起因するもの
であり、その摩擦力は、封止部14に対してプラグ20を動かし、またプランジャ10を
容器内に押し戻すために打ち勝たなければならないものである。
【0060】
図8に示されるように、プラグ20は、好ましくは、狭窄部リップ14がその中に嵌合
してプラグ20をプランジャ10内の適所で係止する、より小さな直径を有する階段状の
形体又は凹状リング25を備える。
【0061】
図5から更に、プランジャ10の第1の端面19と容器40に収容された物質42との
間の空間内に存在する空気は、狭窄部14を通って、且つ通気路13を通って逃げること
ができることが分かる。プランジャ10の表面19は後方に傾斜した形状であるため、ま
た、狭窄部14の表面は傾斜しているため、空気があっても通気路の方へ押し上げられる
ので、余分な材料が通路に流れ込むとき、容器内には空気はほとんど閉じ込められない(
図5Bを参照)。最初は、封止リップが撓んでいないので、プランジャが物質に押し込ま
れるとき、プランジャは空気が閉じ込められたままになる構造を有さない。しかし、封止
リップは、プラグが挿入された後、改善された封止部を形成する。容器内の材料は、封止
リップ14とプラグ20の間の封止によって、また第2の封止リップ16と容器壁面の間
の封止によって、完全に封止される。
【0062】
封止リップ14は材料の方に向いている(図5Dを参照)ので、材料内の圧力が増加す
ると、例えば、材料がプランジャ及びプラグによって前方に押され、分配開口部(図示な
し)を介して分配されるとき、封止効果はより一層増加する。第2の封止リップを提供す
るテーパーも、リップに対する圧力が増加すると封止効果を増加させる。付加的な封止効
果、並びにプランジャ内でのプラグの係止は、凹状リング25(図8を参照)によって提
供される。直径に段差があるため、プラグは狭窄部14に接して係止されるので、プラン
ジャ10を前方に押す継続的な圧力によって、物質がプラグを押し戻し、狭窄部14との
封止係合が外れることはない。
【0063】
図6は、本発明の格納システムの代替実施形態を示す。図6に示される実施形態では、
容器40は、第1の物質42a用の第1の区画41aと、第2の物質42b用の第2の区
画41bとを備える。第1のプランジャ10aは第1の区画41a用に提供され、第2の
プランジャ10bは第2の区画41b用に提供される。図6に示される好ましい実施形態
では、2つのプランジャ10a及び10bは、接続バー18によって互いに接続される。
好ましくは、2つのプランジャ10a及び10bは一体物として形成される。
【0064】
区画を封止するため、第1のプラグ20a及び第2のプラグ20bが提供される。2つ
のプラグ20a及び20bは、好ましくは接続バー23によって接続される。好ましくは
、接続バー23には保持要素26(図9を参照)が設けられる。保持要素26は、プラン
ジャ10a、10bの壁面の後端において、対応する窪み19と係合する。係合が確立さ
れると、プラグ20a、20bとプランジャ10a、10bとの間の相対位置はほぼ固定
される。
【0065】
図7は、2つの異なる物質を、図6の格納システムの2つの区画内にどのように封止す
ることができるかを示す。図7の4つの図に示される構成要素は図6に示される構成要素
と同一なので、明瞭にするため、図7では参照番号を省略している。
【0066】
図7Aは、最初の位置にある、本発明のこの実施形態における格納システムの構成要素
を示す。図7Aは図6と同一である。図7Aに見られるように、2つの区画には、物質が
異なる充填レベルまで充填されている。
【0067】
図7Bでは、プランジャは、その所望の位置まで既に前進されている。異なる区画の充
填レベルが異なっているので、異なる量の余分な物質が狭窄部を通過しており、今度は各
プランジャの通路内に含まれている。次の工程では、2つのプラグが、封止リップに達し
、それを撓ませて封止部を形成するまで、通路内に挿入されている(図7C)。各プラン
ジャの通路内に含まれる余分な物質は、プラグとプランジャ壁面との間の空間内に格納さ
れる。最終工程(図7Dを参照)では、プランジャは区画に更に押し込まれるので、プラ
ンジャの接続バーがプラグの接続バーに接触するまで、実質的に圧縮不能な材料がプラン
ジャを持ち上げる。
【0068】
図面には示されないが、好ましくは、プラグはプランジャに完全に押し込まれ、次に、
残留圧力を軽減するため、短い距離だけ戻される。この残留圧力は、容器壁面の特定の弾
性に起因し、且つ、容器内に蓄積している圧力と摩擦力が均衡することに起因するもので
あり、その摩擦力は、封止に対してプラグを動かし、またプランジャを容器区画内に押し
戻すために打ち勝たなければならないものである。
【0069】
図6及び7に示される格納システムの実施形態は、容器区画内の不正確な充填に対する
許容誤差と異なる充填レベルとを補償するため有利である。2つの区画に精密に均等な量
又は均等な充填レベルの材料を充填することは非常に困難なため、このことは有益である

【0070】
これは、本発明が、システムが使用されるとき(例えば、プランジャアセンブリを移動
させることによって、区画内に格納された物質が単一の分配開口部を介して放出されると
き)に互いに混合される構成成分で充填された、2つ以上の区画を有するデリバリーシス
テムと組み合わせて使用される場合に特に有利である。この場合、個々の区画の充填量は
、互いに対して所定の比(例えば、1:1、2:1、3:1など)以内でなければならな
い。
【0071】
複式プランジャ装置(図6及び7のような)が使用される場合、プランジャは、両方の
区画に空気がほぼなくなるまで(上述の、且つ図7Bに示されるやり方で)物質に向かっ
て同時に前進される。複式プラグ装置は、プランジャ装置の通路に押し込まれ、結果とし
て区画を封止する(図7C及び7D)。図7Dに見られるように、個々の区画の充填量の
比は、充填システムではなくデリバリーシステムの幾何学形状によって画定される。
【0072】
図6及び7に示される格納システムに対する代替実施形態では、プランジャは、異なる
長さ、異なる直径のものであり、或いは、プランジャ(互いに接続されない)は区画内の
異なる位置まで挿入される。これは、構成成分がデリバリーシステムから完全に放出され
た後に混合するため、構成成分を不均等な比率で提供するのに格納システムが使用される
場合に有利である。したがって、本発明は、例えば約1:2〜約1:10の比で、2つの
区画内に実質的に異なる量の材料が存在する、2つの区画内に材料を有するシステムを包
含する。
【0073】
図10は、本発明の更なる代替実施形態による、物質を格納するシステムを示す。図1
0の実施形態のシステムも、2つの材料を格納する2つの区画を含む。この実施形態では
、これら2つの区画は容器400内に同心状に配置される。参照番号411は内側区画を
示し、これは、環状の区画410に取り囲まれている。
【0074】
同様に、プランジャ100は、内側プランジャ部分102と、環状の外側プランジャ部
分101とを備える。プランジャ部分101、102は両方とも同心状に配置される。外
側プランジャ部分101は、ほぼ円筒形状であり、その内表面に封止リップ140を備え
る。内側プランジャ部分102はほぼ逆U字形であり、且つほぼ環状である。その外表面
には封止リップ141が設けられる。封止リップ140及び141は、外側区画410と
関連付けられた第1の狭窄部を形成する。環状のプランジャ部分102の内表面は、内側
区画411と関連付けられた狭窄部142を備える。同心状の配置は別として、プランジ
ャ100及び設けられた狭窄部は、本発明の他の実施形態を参照して上述したように配置
され、寸法が決められる。
【0075】
プラグ200は、内側プラグ部分201及び外側の環状プラグ部分202を備える。プ
ラグ部分201、202は両方とも同心状に配置される。環状の外側プラグ部分202と
内側の円筒形状のプラグ部分201とは、接続プレート又はディスク230によって接続
される。図10に示されるように、プランジャの狭窄部は、プランジャの通路を通って延
びるプラグ部分に接して封止を成す。
【0076】
プランジャ100は、好ましくは一体物として形成され、プランジャ部分101、10
2は、好ましくは、それらの後端においてスポークによって接続される。プランジャ10
0のスポークの領域において、プラグ200の接続ディスク230は窪んでいるので、ス
ポーク及びディスクは、共に組み立てられると互いと係合する(図示なし)。
【0077】
2つの区画と分配カニューレ81とを有する代表的な容器80が、図11及び12に示
される。本発明によるプランジャ82とプラグ83のアセンブリも、これらの図面に示さ
れる。本発明のシステムと共に使用される同様の容器が、WO2005/016783に
示されている。
【0078】
図13a及び13bは、本発明の更なる実施形態によるプランジャアセンブリを示す。
封止部14’’は、別個の部品として設けられ、プランジャ10’’の通路13’’に組
み込まれる。封止部14’’は、好ましくは、三角形の断面形状(図示なし)又は円形の
断面形状(Oリング)を有する。この実施形態の通路13’’は、好ましくは(必須では
ないが)階段状の形体を有し、即ち、通路は、プランジャ10’’の第1の前端に向かっ
て第1の直径D1と、プランジャ10’’の後端に向かって第2の直径D2とを有し、第
1の直径D1は第2の直径D2よりも小さい。封止部14’’は、第2の直径D2内に受
け入れられ、第1の直径D1と第2の直径D2の間の段差95において当接し、したがっ
て、プラグ20’’が通路13’’内に挿入されるときの変位に抵抗して固定される。
【0079】
図13aでは、プラグ20’’は、プランジャ10’’の通路13’’にはまだ完全に
挿入されていない。図13bは、プラグ20’’が通路13’’内に挿入された後の、本
発明のこの実施形態のプランジャアセンブリを示す。この段階では、プラグ20’’は、
直径D2を有する通路の壁面とプラグ24’’との間で封止部14’’を圧縮することに
よって、プランジャ10’’との封止を成す。好ましくは、プラグ20’’は、封止部を
段差95に押し付けるため、円周フランジ28’’を備える。
【0080】
図14a及び14bは、本発明の更なる実施形態によるプランジャアセンブリを示す。
封止部14’’’はプラグ20’’’の前端に設けられる。封止部14’’’は、好まし
くは三角形の断面形状のものであり、且つ好ましくは変形可能であり、したがって、可撓
性の封止リップを形成する。好ましくは、封止リップ14’’’の直径A’’’は通路1
3’’’の直径D’’’よりも実質的に大きい。プラグ20’’’は、好ましくは、プラ
グ20’’’の後端がプランジャ10’’’の通路13’’’内に位置し、封止リップ1
4’’’が通路13’’’の外側に位置するようにして、プランジャ10’’’と共に予
め組み立てられる。好ましくは、封止リップ14’’’は、プランジャ10’’’の前端
における内側に向かって先細になった領域19’’’内に位置し、その際、封止リップ1
4’’’はプランジャ10’’’とは接しないので、この段階(図14aに示される)で
はプラグ20’’’はプランジャ10’’’との封止を成さない。
【0081】
図14bは、プラグ20’’’がプランジャ10’’’の後端に向かって引き戻されて
おり、封止リップ14’’’が通路13’’’内に動かされている段階の、本発明のこの
実施形態によるプランジャアセンブリを示す。この段階では、プラグ20’’’はプラン
ジャ10’’’との封止を成す。封止リップ14’’’の直径A’’’がより大きく、ま
た封止リップは変形可能なので、封止リップ14’’’は、通路内へ変位させる際、プラ
ンジャ11’’’の前端の方向に向かって撓んでいる。
【0082】
本発明を、そのいくつかの実施形態を参照して記載してきた。上述の詳細な説明は、単
に明瞭な理解のために提供されたものである。その説明から、不必要な限定が解釈される
べきではない。本発明の範囲から逸脱することなく、記載の実施形態において多数の変更
を行うことができる。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載された正確な詳細及
び構造に限定されるべきではなく、特許請求の範囲の文言によって記載される構造及びそ
れらの等価物によって限定される。
【0083】
本発明の好ましい実施形態の以下の説明及び図面から、更なる利点が明らかになるであ
ろう。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の好ましい一実施形態によるプランジャを示す。
【図2】本発明の代替実施形態によるプランジャを示す。
【図3】本発明によるカートリッジ用プランジャアセンブリの分解図を示す。
【図4】本発明による、物質を格納するシステムの分解図を示す。
【図5a】本発明による格納システム(概略図)に物質を充填し封止する方法を示す。
【図5b】本発明による格納システム(概略図)に物質を充填し封止する方法を示す。
【図5c】本発明による格納システム(概略図)に物質を充填し封止する方法を示す。
【図5d】本発明による格納システム(概略図)に物質を充填し封止する方法を示す。
【図6】本発明の代替実施形態による、物質を格納するシステムを示す。
【図7a】図6による格納システム(概略図)に物質を充填し封止する方法を示す。
【図7b】図6による格納システム(概略図)に物質を充填し封止する方法を示す。
【図7c】図6による格納システム(概略図)に物質を充填し封止する方法を示す。
【図7d】図6による格納システム(概略図)に物質を充填し封止する方法を示す。
【図8】プラグを改善した図4のシステムを示す。
【図9】追加の保持要素を有する図6のシステムを示す。
【図10】本発明の更なる代替実施形態による、物質を格納するシステムを示す。
【図11】2つの区画と分配カニューレとを有する容器の断面図。
【図12】図11の容器の斜視図を示す。
【図13a】本発明の更なる実施形態によるカートリッジ用プランジャアセンブリを示す。
【図13b】本発明の更なる実施形態によるカートリッジ用プランジャアセンブリを示す。
【図14a】本発明の更なる実施形態によるカートリッジ用プランジャアセンブリを示す。
【図14b】本発明の更なる実施形態によるカートリッジ用プランジャアセンブリを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部及び反対側の第2の端部を有し、かつ前記第1と第2の端部との間に延びる
通路を備えると共に、前記第1の端部と前記第2の端部との間で前記通路内に配置された
少なくとも1つの狭窄部を備えるカートリッジ用プランジャであって、前記狭窄部の直径
が、前記通路内に可動自在に挿入可能なプラグの最小直径よりも小さい、プランジャ。
【請求項2】
前記狭窄部の直径が、少なくとも前記狭窄部が前記プラグとの封止を成す領域において
、前記プラグの直径よりも小さい、請求項1に記載のプランジャ。
【請求項3】
前記通路の直径が、前記狭窄部の位置以外の少なくとも1つの位置において、前記プラ
グの最大直径よりも大きい、請求項1に記載のプランジャ。
【請求項4】
前記狭窄部が、前記プラグで封止部を形成するための封止リップを形成する、請求項1
に記載のプランジャ。
【請求項5】
前記封止リップが変形可能である、請求項4に記載のプランジャ。
【請求項6】
前記第1の端部における前記プランジャの表面が、前記通路に向かって後方に傾斜して
いる、請求項1に記載のプランジャ。
【請求項7】
前記後方に傾斜している表面が前記狭窄部で終端する、請求項6に記載のプランジャ。
【請求項8】
第1の端部と、反対側の第2の端部とを有し、前記第1と第2の端部との間に延びる通
路を備えるカートリッジ用プランジャであって、前記通路が、前記通路内に突出する変形
可能な第1の封止リップを備える、プランジャ。
【請求項9】
前記第1の端部における前記プランジャの表面が、前記通路に向かって後方に傾斜して
いる、請求項8に記載のプランジャ。
【請求項10】
前記後方に傾斜している表面が、前記変形可能な第1の封止リップ内で終端する、請求
項9に記載のプランジャ。
【請求項11】
前記第1の封止リップが、前記第2の端部から前記通路内に可動自在に挿入可能なプラ
グによって変形可能である、請求項8に記載のプランジャ。
【請求項12】
前記第1の封止リップが、前記プランジャの前記第1の端部に向かって押されるプラグ
によって変形可能である、請求項11に記載のプランジャ。
【請求項13】
前記変形可能な第1の封止リップ及び前記挿入されるプラグが封止部を形成する、請求
項11に記載のプランジャ。
【請求項14】
前記第1の封止リップの表面が前記通路に向かって傾斜している、請求項8に記載のプ
ランジャ。
【請求項15】
前記第1の封止リップにおける前記通路の最小直径が、前記プラグの最小直径よりも小
さい、請求項8に記載のプランジャ。
【請求項16】
前記第1の封止リップが弾性である、請求項8に記載のプランジャ。
【請求項17】
前記プランジャの外径が、前記第1の端部における前記プランジャの縁部に向かって増
加する、請求項8に記載のプランジャ。
【請求項18】
前記プランジャの前記第1の端縁部が、外壁面に接して封止を成す第2の封止リップと
して形成される、請求項17に記載のプランジャ。
【請求項19】
カートリッジ用プランジャアセンブリであって、
第1の端部と、反対側の第2の端部とを有し、前記第1と第2の端部との間に延びる通
路を備えるプランジャと;
前記通路内に挿入可能なプラグと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記通路内の少なくとも1つの狭窄部と、を
備え、
前記狭窄部の直径が、少なくとも前記狭窄部が前記プラグとの封止を成す領域において
、前記プラグの直径よりも小さい、アセンブリ。
【請求項20】
前記狭窄部が、前記プラグとの封止を成す封止リップを形成する、請求項19に記載の
アセンブリ。
【請求項21】
前記封止リップが変形可能である、請求項20に記載のアセンブリ。
【請求項22】
前記通路の直径が、前記狭窄部の位置以外の少なくとも1つの位置において、前記プラ
グの最大直径よりも大きい、請求項19に記載のアセンブリ。
【請求項23】
物質を格納する区画を備える容器と、
前記容器区画内において変位可能である、請求項1〜18のいずれか一項に記載のプラ
ンジャと、
前記プランジャの通路内で可動自在であるプラグと、を備える物質を格納するシステム

【請求項24】
前記第2の封止リップが、前記容器区画の内壁と当接する、請求項23に記載のシステ
ム。
【請求項25】
前記プラグの直径が、前記通路の直径よりも小さい、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
通気路の壁面と前記プラグとの間に空間が形成され、それによって前記区画内の余分な
物質を前記空間内に受け入れ可能である、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記プラグが、前記第1の封止リップに達すると、余分な物質が前記空間内に封止され
る、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記プラグが、その後端において少なくとも1つのフランジを備える、請求項23に記
載のシステム。
【請求項29】
前記フランジの直径が、前記プランジャの前記第2の端部において前記空間を閉止する
ようにサイズ決めされる、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記容器が、前記物質を分配する分配開口部を備える、請求項23に記載のシステム。
【請求項31】
前記システムが前記物質を更に包含し、前記物質が歯科用材料である、請求項23に記
載のシステム。
【請求項32】
前記歯科用材料が流体歯科材料である、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記流体歯科材料が歯科充填材料である、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記歯科充填材料が、歯科用ガラスアイオノマー成分を含む、請求項33に記載のシス
テム。
【請求項35】
前記歯科充填材料が、歯科用複合成分を含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項36】
前記容器が、別の物質を格納する更なる区画と、前記更なる区画内で変位可能である請
求項1から20のいずれか一項に記載の更なるプランジャと、前記更なるプランジャの前
記通気路内で変位可能な更なるプラグと、を備える、請求項23に記載のシステム。
【請求項37】
前記プラグが、互いに接続される、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記プラグが、接続バーによって接続される、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記プランジャが、それらの第2の端部において互いに接続される、請求項36に記載
のシステム。
【請求項40】
前記プランジャが、接続バーによって接続される、請求項36に記載のシステム。
【請求項41】
前記プランジャが、一体物に形成される、請求項36に記載のシステム。
【請求項42】
物質を格納する区画を備える容器と、
前記容器区画と共に予め組み立てられる、請求項1から18のいずれか一項に記載のプ
ランジャと、を備える物質を格納するシステム。
【請求項43】
i)物質用の区画を有する容器を提供する工程と、
ii)前記区画に前記物質を充填する工程と
iii)請求項1から18のいずれか一項に記載のプランジャを前記区画内に配置する
工程と、
iv)前記物質が、前記第1の封止リップを通過するまで前記プランジャを前記物質に
向かって前進させる工程であって、それによって前記通気路内に空気を逃がす工程;及び
v)前記第1の封止リップが、プラグに接して封止を成すまで、前記プラグを前記プラ
ンジャの前記通気路に押し込む工程と、を含む格納システム内に物質を充填し封止する方
法。
【請求項44】
工程iv)と工程v)との間に、前記第1の封止リップを通過する前記余分な物質が、
前記通気路の前記壁面と前記プラグとの間の前記空間に受け入れられる、請求項43に記
載の方法。
【請求項45】
前記プラグと前記第1の封止リップとの間に封止部が形成される、請求項43に記載の
方法。
【請求項46】
追加工程vi)において、前記プラグが短い距離だけ前記プランジャに対して押し戻さ
れることによって、前記第1の封止リップが前記プラグに接して依然封止を成す、請求項
43に記載の方法。
【請求項47】
i)各物質用の区画を有する容器を提供する工程と、
ii)各区画に関連する物質を充填する工程であって、その際、前記区画には異なる量
の物質が充填される工程と、
iii)請求項1から18のいずれか一項に記載のプランジャを各区画内に配置する工
程と、
iv)前記物質が、前記第1の封止リップを通過するまで前記プランジャを前記物質に
向かって前進させる工程であって、それによって前記通気路内に空気を逃がす工程と、
v)前記第1の封止リップが、プラグに接して封止を成すまで、前記プランジャの前記
通気路に前記プラグを押し込む工程と、を含む物質を格納システム内に充填し封止する方
法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【図14a】
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【図14b】
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【公開番号】特開2013−63312(P2013−63312A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−267317(P2012−267317)
【出願日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【分割の表示】特願2008−535674(P2008−535674)の分割
【原出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】