説明

カートリッジ

【課題】画像形成装置本体の収容室に装着された状態におけるがたつきを必要最小限に抑えつつ、収容室に対して円滑に着脱することができるカートリッジを提供すること。
【解決手段】カートリッジ3は、一対の区画面9によって区画された収容室10に対して、一対の区画面9の対向方向(幅方向)に直交する上下方向に沿って着脱自在である。カートリッジ3の筐体22において、一対の区画面9の両方に接触する部分には、収容室10に対するカートリッジ3の装着方向における最上流端50が存在する。前後方向から見たときの筐体22の左側面22Lの輪郭は、最上流端50の右端53を曲率中心とし、最上流端50の幅方向両端を結ぶ線分55を曲率半径とする第1円弧51の内側に配置される。前後方向から見たときの筐体22の右側面22Rの輪郭は、最上流端50の左端54を曲率中心とし、線分55を曲率半径とする第2円弧52の内側に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に装備されるカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
カートリッジとして、画像形成のために機能するプロセスカートリッジが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のプロセスカートリッジは、複数設けられ、画像形成装置に装備されている。各プロセスカートリッジには、異なる色の現像剤が収容されている。
ここで、特許文献1に記載の画像形成装置には、複数のプロセスカートリッジを水平方向に並列配置された状態で保持するトレイが備えられている。トレイは、画像形成装置の装置本体に対して水平方向に沿って引き出し自在であり、装置本体からトレイが引き出された状態において、プロセスカートリッジをトレイから引き上げることによって取り出すことができる。
【0003】
そして、トレイは、所定間隔を隔てて対向配置された一対の側壁を備えており、トレイに保持された状態にある各プロセスカートリッジは、一対の側壁の間に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−165026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の画像形成装置において、トレイに保持された状態にある各プロセスカートリッジは、トレイの各側壁に対して、僅かな隙間を隔てて対向している。そして、プロセスカートリッジおよび各側壁における互いの対向面は、上下方向に平坦である。
そのため、プロセスカートリッジをトレイから引き上げる際に、プロセスカートリッジの姿勢が少しでも傾くと、プロセスカートリッジがトレイの各側壁に引っ掛かり、プロセスカートリッジを円滑に引き上げることができないおそれがある。逆にプロセスカートリッジをトレイに上から取り付ける際にも、同様の不具合が生じ得る。
【0006】
だからと言って、プロセスカートリッジを円滑に引き上げる(取り付ける)ことができるように、トレイの各側壁とプロセスカートリッジとの隙間を大きくし過ぎると、プロセスカートリッジが、一対の側壁の間に配置された状態において不必要にがたつき易い。このようにプロセスカートリッジががたつき易い状態で、たとえば、各側壁を介して装置本体からプロセスカートリッジに駆動力や電力を供給する場合には、位置の安定しないプロセスカートリッジに駆動力や電力を安定して供給することは困難である。よって、一対の側壁の間に配置された状態におけるプロセスカートリッジのがたつきは、最小限に抑える必要がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、画像形成装置の装置本体の収容室に装着された状態におけるがたつきを必要最小限に抑えつつ、収容室に対して円滑に着脱することができるカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、画像形成装置の装置本体において所定間隔を隔てて対向配置された一対の区画面によって区画された収容室に対して、一対の前記区画面の対向方向に直交する第1方向に沿って着脱自在に装着され、前記対向方向に長手で現像剤を収容する筐体を備えるカートリッジであって、前記筐体の前記対向方向における一対の側面において、前記対向方向および前記第1方向の両方に直交する第2方向から見たときの一方の前記側面の輪郭は、前記筐体で一対の前記区画面の両方に接触する部分において、前記収容室に対する前記カートリッジの装着方向最上流端の前記対向方向における他方の端を曲率中心とし、かつ、前記最上流端の前記対向方向における両端を結ぶ線分を曲率半径とする第1円弧上または前記第1円弧の内側に配置され、前記第2方向から見たときの他方の前記側面の輪郭は、前記最上流端の前記対向方向における一方の端を曲率中心とし、かつ、前記線分を曲率半径とする第2円弧上または前記第2円弧の内側に配置されることを特徴としている。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、駆動力が伝達されることによって駆動する駆動部材と、前記側面に形成され、前記第1方向に沿う平坦面と、前記平坦面に設けられ、前記装置本体から駆動力を受けて前記駆動部材に伝達する伝達部とを備えていることを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記筐体に設けられ、前記第2方向における前記平坦面の端から前記平坦面よりも前記対向方向における外側へ突出し、前記第2方向から見たときの前記側面の輪郭をなすリブを備えていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記平坦面は、前記側面において凹設された部分に設けられていることを特徴としている。
また、請求項5に記載の発明は、請求項2ないし4のいずれかに記載の発明において、前記筺体の前記装着方向上流側端部において、前記対向方向において中央から外れた位置に、把持部を1つ備えていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、請求項2ないし5のいずれかに記載の発明において、一対の前記側面のうち前記伝達部が設けられた前記側面とは別の前記側面に設けられ、前記装置本体から電力を受ける電極を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、このカートリッジは、画像形成装置の装置本体において一対の区画面によって区画された収容室に対して、一対の区画面の対向方向(以下では、単に「対向方向」ということがある。)に直交する第1方向に沿って着脱自在に装着される。
ここで、カートリッジの筐体において、一対の区画面の両方に接触する部分には、収容室に対するカートリッジの装着方向最上流端(以下では、単に「最上流端」ということがある。)が存在する。また、対向方向および第1方向の両方に直交する方向は、第2方向と定義される。
【0013】
そして、カートリッジの筐体の対向方向における一対の側面において、第2方向から見たときの一方の側面の輪郭は、最上流端の対向方向における他方の端を曲率中心とし、かつ、最上流端の対向方向における両端を結ぶ線分を曲率半径とする第1円弧上または第1円弧の内側に配置される。
さらに、一対の側面において、第2方向から見たときの他方の側面の輪郭は、最上流端の対向方向における一方の端を曲率中心とし、かつ、前記線分を曲率半径とする第2円弧上または第2円弧の内側に配置される。
【0014】
このような構成とは異なり、第2方向から見たときに、一対の側面の輪郭のどちらかが第1円弧および第2円弧のうち対応する円弧の外側に配置されると、少しでも姿勢が傾いた状態でカートリッジが収容室に対して着脱される場合には、カートリッジがどちらかの側面において区画面に引っ掛かるおそれがある。
しかし、本発明によれば、第2方向から見たときに、一対の側面の輪郭のそれぞれが第1円弧および第2円弧のうち対応する円弧上または円弧の内側に配置されているので、カートリッジが収容室に対して着脱されるときに、カートリッジの姿勢がいくら傾いていても、カートリッジが区画面に引っ掛かるおそれはない。
【0015】
そして、第2方向から見たときの一対の側面の輪郭が第1円弧および第2円弧のうち対応する円弧に近づくようにしておけば、カートリッジが収容室に装着された状態において、側面と対応する区画面との間隔を狭くすることができ、カートリッジが収容室に装着された状態においてがたつくことを最小限に抑えることができる。
以上の結果、画像形成装置の装置本体の収容室に装着された状態におけるカートリッジのがたつきを必要最小限に抑えつつ、収容室に対してカートリッジを円滑に着脱することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、カートリッジでは、筐体の側面に、第1方向に沿う平坦面が形成されている。そして、この平坦面に、装置本体から駆動力を受けてカートリッジの駆動部材に伝達する伝達部が設けられているので、伝達部が曲面に設けられる場合に比べて、伝達部と装置本体側とを安定した状態で連結し、装置本体から伝達部に安定して駆動力を供給することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、第2方向における平坦面の端から平坦面よりも対向方向における外側へ突出するリブを筐体に設けるだけで、第2方向から見たときの側面の輪郭を簡易に構成することができる。
請求項4に記載の発明によれば、平坦面を、側面において凹設された部分に設けることで、簡易に構成することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、収容室に対するカートリッジの装着方向における筺体の上流側端部において、対向方向において中央から外れた位置には、把持部が1つ備えられている。そのため、片手で把持部を把持すること(いわゆるワンハンド)によって収容室に対してカートリッジを着脱できて使い勝手がよい。だが、対向方向において中央から外れた位置にある把持部を把持して収容室に対してカートリッジを着脱する際には、カートリッジの姿勢が必ず傾く。
【0019】
しかし、本発明では、第2方向から見たときに、筐体の一対の側面の輪郭のそれぞれが第1円弧および第2円弧のうち対応する円弧上または円弧の内側に配置されているので、カートリッジが収容室に対して着脱されるときに、カートリッジの姿勢がいくら傾いていても、カートリッジが区画面に引っ掛かるおそれはない。
請求項6に記載の発明によれば、一対の側面のうち伝達部が設けられた側面とは別の側面には、装置本体から電力を受ける電極が設けられている。これにより、着脱時に抵抗となり、カートリッジの姿勢を不安定にさせる電極を、操作性を損なわせずにカートリッジの筐体の一端(前記別の側面)に集中させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のカートリッジが装着された画像形成装置の一例としてのプリンタの一実施形態を右前から見た模式的な斜視図である。
【図2】ホルダを右前から見た斜視図である。
【図3】(a)は、カートリッジを右後から見た斜視図であり、(b)は、カートリッジを左後から見た斜視図である。
【図4】カートリッジをホルダに対して着脱する手順を説明するための斜視図である。
【図5】(a)は、全てのカートリッジが装着されたホルダを左前から見た斜視図であり、(b)は、ホルダに装着されたカートリッジの1つを左前から見た斜視図である。
【図6】全てのカートリッジが装着されたホルダを右前から見た斜視図である。
【図7】全てのカートリッジが装着されたホルダの底面図である。
【図8】カートリッジが装着されたホルダの正断面図である。
【図9】図8において、カートリッジがホルダに対して着脱される様子を示している。
【図10】図8に比較例を適用した図である。
【図11】図8に変形例1を適用した図である。
【図12】(a)は、変形例2に係るカートリッジを右前から見た斜視図であり、(b)は、変形例2に係るカートリッジを左前から見た斜視図である。
【図13】図8に変形例2を適用した図である。
【図14】(a)は、変形例3に係るカートリッジを右前から見た斜視図であり、(b)は、変形例4に係るカートリッジを右前から見た斜視図であり、(c)は、変形例5に係るカートリッジを左後から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.プリンタの構成
図1は、本発明のカートリッジが装着された画像形成装置の一例としてのプリンタの一実施形態を右前から見た模式的な斜視図である。なお、方向について言及する場合には、図示した方向矢印を参照する(他の図についても同様)。ここで、左右方向と幅方向とは同じであり、上下方向と垂直方向とは同じである。そして、水平方向は、幅方向および前後方向を含んでいる。
【0022】
図1に示すプリンタ1は、たとえばレーザプリンタである。そして、プリンタ1は、装置本体の一例としての本体ケーシング2を備えている。本体ケーシング2内には、複数(ここでは4つ)のカートリッジ3が、前後方向に沿って並列配置された状態で収容されている。
そして、本体ケーシング2内には、これらのカートリッジ3を保持するホルダ4が設けられている。ホルダ4は、これらのカートリッジ3を保持した状態で、本体ケーシング2に対して、たとえば前側から引出可能である。ホルダ4が本体ケーシング2から引き出された状態で、各カートリッジ3を、ホルダ4に対して上方から着脱することができる。
【0023】
また、ホルダ4は、本体ケーシング2の一部として、本体ケーシング2に一体化(固定)されていてもよい。この場合、本体ケーシング2の上面を開放して、ホルダ4を上方へ露出させ、各カートリッジ3を、ホルダ4(換言すれば、本体ケーシング2)に対して上方から着脱することができる。
次に、ホルダ4およびカートリッジ3のそれぞれを詳説する。
(1)ホルダ
図2は、ホルダを右前から見た斜視図である。
【0024】
図2に示すホルダ4は、平面視において前後方向に長手の矩形をなす枠体形状である。
詳しくは、ホルダ4は、幅方向において所定間隔を隔てて対向配置される一対の側板5と、一対の側板5の前端部間に架設される前板6と、一対の側板5の後端部間に架設される後板7と、前板6と後板7との間で前後に等間隔で並列配置されて側板5間に架設される3枚の仕切板8とを一体的に備えている。前板6、後板7および3枚の仕切板8は、いずれも、ほぼ同じ大きさを有する幅方向に長手の矩形状であり、前後方向に薄い。
【0025】
一対の側板5のうち、左側の側板5を左側板5Lといい、右側の側板5を右側板5Rという。各側板5は、前後方向に長手の矩形状であり、幅方向において薄い。
一対の側板5において幅方向で互いに対向する面(左側板5Lでは右側面であり、右側板5Rでは左側面である。)は、幅方向において所定間隔を隔てて対向配置された一対の区画面9をなしている。ここで、一対の区画面9の対向方向Xは、幅方向である。ちなみに、対向方向Xに直交する方向は、上下方向(垂直方向)であり、第1方向Yと定義される。また、対向方向Xおよび第1方向Yの両方に直交する方向は、前後方向であり、第2方向Zと定義される。
【0026】
以下では、左側の区画面9(左側板5Lの右側面)を左区画面9Lといい、右側の区画面9(右側板5Rの左側面)を右区画面9Rということがある。いずれの区画面9も、前後上下に沿って平坦な垂直面である。
そして、一対の側板5(詳しくは一対の区画面9)と前板6と後板7とによって囲まれた空間は、3枚の仕切板8によって、前後に並ぶ4つの収容室10に仕切られている。4つの収容室10の大きさは等しく、各収容室10は、幅方向に長手の直方体形状に区画されている。各収容室10は、上方および下方の両方へ向けて開放されている。
【0027】
詳しくは、各収容室10は、前後方向において、隣り合う前板6および最前列の仕切板8、隣り合う仕切板8同士、または、隣り合う最後尾の仕切板8および後板7によって区画されており、幅方向において、一対の区画面9によって区画されている。
ここで、左側板5Lにおいて、前後方向で各収容室10に一致する部分のそれぞれには、金属製の板ばね材等からなる3つの電極11が設けられている。各収容室10に対応する3つの電極11のうち、2つの電極11は、前後に並んで配置されている一方で、残り1つの電極11は、他の2つの電極11に対して後下側へ離れて配置されている。
【0028】
そして、各電極11は、左区画面9Lに露出されて、対応する収容室10内に臨みつつ、左側板5Lの左側面にも露出されている(後述する図5(a)参照)。各電極11は、弾性力を有し、対応する収容室10内に向けて右下側へ少し突出している。また、各電極11は、左側板5Lの左側面から露出された部分において(図5(a)参照)、本体ケーシング2の電源(図示せず)に接続されている。
【0029】
また、右側板5Rにおいて、前後方向で各収容室10に一致する部分のそれぞれには、挿通穴12と切欠き13とが形成されている。各挿通穴12は、右側板5Rを幅方向において貫通する丸穴であり、対応する収容室10に連通している。各切欠き13は、上向きに膨出する略半円形状をなし、右側板5Rを幅方向において貫通して、対応する収容室10に連通している。各収容室10に対応する挿通穴12および切欠き13において、切欠き13は、右側板5Rの下端に位置し、挿通穴12は、切欠き13の後上側(右側板5Rの上端部側)に位置している。
【0030】
また、前板6の前側面の幅方向中央位置には、略U字状のハンドル14が一体的に設けられている。上述したようにホルダ4を本体ケーシング2から引き出す場合にハンドル14が把持される。
(2)カートリッジ
図3において、(a)は、カートリッジを右後から見た斜視図であり、(b)は、カートリッジを左後から見た斜視図である。
【0031】
図3に示すカートリッジ3は、プリンタ1(図1参照)での画像形成に用いられる現像剤(ここではトナー)を少なくとも収容していればよい。ここで例示しているカートリッジ3は、静電潜像が形成される感光ドラム20と、感光ドラム20の静電潜像にトナーを供給して静電潜像を現像する現像ローラ21とを備えたプロセスカートリッジである。なお、カートリッジ3は、感光ドラム20を備えずに現像ローラ21を備えた現像カートリッジであってもよい。
【0032】
感光ドラム20および現像ローラ21は、駆動部材の一例として機能し、後述するように駆動力が伝達されることによって、それぞれの中心軸を中心として回転駆動する。
そして、カートリッジ3は、その外郭をなして感光ドラム20および現像ローラ21を回転自在に支持する筐体22を備えている。筐体22は、幅方向(上述した対向方向X)に長手のボックス形状であり、トナーを収容している。
【0033】
筐体22の外表面は、水平方向に沿って略平坦な上面および下面と、垂直方向に沿って略平坦な前面および後面と、左側面22Lおよび右側面22Rとによって区画されている。
ここで、左側面22Lおよび右側面22Rは、筐体22の幅方向(対向方向X)における一対の側面の一例をなしている。そして、左側面22Lを、一方の側面の一例とすると、右側面22Rは、他方の側面の一例となる。逆に、右側面22Rを、一方の側面の一例とすると、左側面22Lは、他方の側面の一例となる。以下では、左側面22Lを、一方の側面の一例とし、右側面22Rを、他方の側面の一例とする。
【0034】
左側面22Lおよび右側面22Rのいずれも、垂直方向(上述した第1方向Y)に沿う平坦面ではない。詳しくは、以降で説明する。
まず、図3(a)に示すように、右側面22Rには、幅方向内側(左側)へ凹設された部分(右凹部23という。)が、2つ形成されている。
2つの右凹部23のうち、一方の右凹部23は、右側面22Rの上側後端部に設けられた第1右凹部23Aとされ、他方の右凹部23は、第1右凹部23Aの前下側で右側面22Rの下端部に設けられた第2右凹部23Bとされる。右側から見て、第1右凹部23Aは、円形状であり、第2右凹部23Bは、上側へ膨出する半円形状である。
【0035】
そして、右側面22Rにおいて、各右凹部23には、垂直方向(第1方向Y)に沿う平坦面(右平坦面24という。)が形成されている(設けられている)。右平坦面24は、各右凹部23の底をなしている。
第1右凹部23Aの右平坦面24には、第1右凹部23Aに完全に収まるように第1伝達部25が設けられ、第2右凹部23Bの右平坦面24には、第2右凹部23Bに完全に収まるように第2伝達部26が設けられている。第1伝達部25および第2伝達部26は、伝達部の一例として機能する。そして、第1伝達部25および第2伝達部26は、右側面22Rよりも幅方向内側(左側)にあり、右側面22Rより幅方向外側(右側)へはみ出ていない(後述する図8を参照)。
【0036】
第1伝達部25および第2伝達部26は、ともに、右側から見たときに円形をなす幅方向に薄い円板形状である。第1伝達部25および第2伝達部26のそれぞれの右側面には、左側へ窪む溝27が形成されている。各溝27は、第1伝達部25および第2伝達部26のうち対応する伝達部の円中心を通って、伝達部の径方向に沿って直線状に延びている。
【0037】
そして、第1伝達部25は、現像ローラ21の回転軸の右端部に連結され、現像ローラ21に対して一体化されている。第2伝達部26は、感光ドラム20の回転軸の右端部に連結され、感光ドラム20に対して一体化されている。後述するように、第1伝達部25は、本体ケーシング2(図1参照)から駆動力を受けて現像ローラ21に伝達し、第2伝達部26は、本体ケーシング2から駆動力を受けて感光ドラム20に伝達する。
【0038】
一方、図3(b)に示すように、左側面22L(筐体22の幅方向における一対の側面のうち第1伝達部25および第2伝達部26が設けられた右側面22Rとは別の側面)には、幅方向内側(右側)へ凹設された部分(左凹部28という。)が、前後方向に並んで2つ形成されている。
2つの左凹部28のうち、前側の左凹部28を第1左凹部28Aといい、後側の左凹部28を第2左凹部28Bという。第1左凹部28Aの前後方向寸法は、第2左凹部28Bの前後方向寸法の約2倍である。
【0039】
そして、左側面22Lにおいて、各左凹部28には、垂直方向(第1方向Y)に沿う平坦面(左平坦面29という。)が形成されている(設けられている)。左平坦面29は、各左凹部28の底をなしている。
各左凹部28の左平坦面29には、電極30が設けられている。詳しくは、第1左凹部28Aの左平坦面29には、2つの電極30が前後に並んで設けられており、第2左凹部28Bの左平坦面29には、電極30が1つ設けられている。そして、各電極30は、左側面22Lよりも幅方向内側(右側)にあり、左側面22Lより幅方向外側(左側)へはみ出ていない(後述する図8を参照)。各電極30は、後述するように本体ケーシング2(図1参照)から電力を受けて筐体22内の部材(上述した感光ドラム20や現像ローラ21)に供給する。
【0040】
そして、筐体22の下面では、感光ドラム20の下側外周面が下方に露出されている。
そして、筐体22の上面の幅方向両端部には、幅方向外側へ突出する凸部31が一体的に設けられている。凸部31は、筐体22の上面において対応する(幅方向で同じ側にある)幅方向端部の前後方向における全域に接続されている。そして、左側の凸部31Lは、左側面22Lよりも左側へ突出しており、右側の凸部31Rは、右側面22Rよりも右側へ突出している。
【0041】
また、筐体22の上面(左右の凸部31も含む)において、幅方向において中央から外れた(ここでは右側へ外れた)位置に、1つの把持部32が一体的に設けられている(図1も参照)。
また、筐体22の上面において、把持部32を避けた位置に、幅方向に細長い通過穴33が形成されている(図1参照)。画像形成時において、本体ケーシング2から発せられたレーザビームが、各カートリッジ3の通過穴33を通過して、感光ドラム20の外周面に上から照射され、これにより、感光ドラム20の外周面に静電潜像が形成される。
(3)ホルダに対するカートリッジの着脱
図4は、カートリッジをホルダに対して着脱する手順を説明するための斜視図である。
【0042】
以下では、ホルダ4に対するカートリッジ3の着脱を説明するが、上述したように、ホルダ4が本体ケーシング2(図1参照)に対して引出可能であれば、本体ケーシング2から引き出されたホルダ4に対してカートリッジ3を着脱する。一方、ホルダ4が本体ケーシング2に固定されている場合には、本体ケーシング2の上面を開放することで上方に露出されたホルダ4に対してカートリッジ3を着脱する。
【0043】
図4に示すように、各カートリッジ3は、ホルダ4(詳しくは、対応する収容室10であり、図2参照)に対して、上方から、上下方向(上述した第1方向Y)に沿って着脱自在に装着される。そのため、ホルダ4(収容室10)に対するカートリッジ3の装着方向Sは、第1方向Yに沿って下側へ向かう方向である。よって、上述したカートリッジ3の筐体22の上面は、筐体22の、装着方向Sにおける上流側端部となる。
【0044】
カートリッジ3が収容室10に対して着脱される際には、把持部32が把持される。ここで、上述したように、把持部32は、カートリッジ3の筐体22の上面において、幅方向中央から右側に外れた位置に1つ設けられている。そのため、この把持部32を把持すると、カートリッジ3が収容室10に対して着脱される際、前後方向(上述した第2方向Z)から見て、カートリッジ3全体が、左側が右側より低くなるように、傾く(図4における最も前側のカートリッジ3を参照)。
【0045】
図4では、最も前側のカートリッジ3だけがホルダ4に対して完全に装着されていない。
図5において、(a)は、全てのカートリッジが装着されたホルダを左前から見た斜視図であり、(b)は、ホルダに装着されたカートリッジの1つを左前から見た斜視図である。図6は、全てのカートリッジが装着されたホルダを右前から見た斜視図である。図7は、全てのカートリッジが装着されたホルダの底面図である。
【0046】
そして、図5(a)に示すように4つ全てのカートリッジ3がホルダ4に対して完全に装着されると、各カートリッジ3では、筐体22の左右の凸部31において、左側の凸部31Lが、ホルダ4の左側板5Lに対して上から引っ掛かっており、右側の凸部31Rが、ホルダ4の右側板5Rに対して上から引っ掛かっている。これにより、全てのカートリッジ3では、各カートリッジ3がホルダ4(対応する収容室10であり、図2参照)に対して位置決めされており、カートリッジ3が収容室10に装着された状態が維持されている。
【0047】
この状態で、各カートリッジ3では、筐体22において左右の凸部31より下側の部分(図3参照)が、対応する収容室10(図2参照)内に収まっている。そして、各カートリッジ3では、筐体22の左側面22L(図3参照)が、ホルダ4の左側板5L(図2参照)の右側面(左区画面9L)に対して右から対向しており、筐体22の右側面22R(図3参照)が、ホルダ4の右側板5R(図2参照)の左側面(右区画面9R)に対して左から対向している(後述する図8も参照)。
【0048】
そして、この状態では、各カートリッジ3において、図6に示すように、第1伝達部25が、ホルダ4の右側板5Rの対応する挿通穴12から右側へ露出され、第2伝達部26が、ホルダ4の右側板5Rの対応する切欠き13から右側へ露出されている。
また、各カートリッジ3では、図7に示すように、筐体22の下面に露出された感光ドラム20の下側外周面が、下方へ向けて開放された収容室10から下方に露出されている。そのため、画像形成時において、各カートリッジ3では、感光ドラム20において現像された静電潜像(トナー像)が、下方へ露出された感光ドラム20の下側外周面から、記録媒体に転写される。
【0049】
そして、図5(a)に示すようにホルダ4にカートリッジ3が装着された状態では、カートリッジ3の筐体22の左側面22Lにおける3つの電極30(図3(b)参照)が、図5(b)に示すように、ホルダ4の左側板5Lにおいて対応する電極11(図2も参照)に接続されている。詳しくは、各電極11は、自己の弾性力によって、筐体22の左側面22Lの左凹部28内に入り込み、対応する電極30に対して左側から圧接している(図7も参照)。これにより、上述した本体ケーシング2の電源(図示せず)から、電極11を介して、各電極30に電力が供給され得る。
【0050】
ここで、図6に示すように、本体ケーシング2には、ホルダ4の右側板5Rの右側に、4つの第1入力部40と、4つの第2入力部41とが設けられている。
4つの第1入力部40は、等しい間隔を隔てて前後に並んでおり、各第1入力部40は、右側から見て、前後方向において同じ位置にある挿通穴12と一致している。
4つの第2入力部41は、4つの第1入力部40より低い位置(下方)に配置されている。4つの第2入力部41は、等しい間隔を隔てて前後に並んでおり、各第2入力部41は、右側から見て、前後方向において同じ位置にある切欠き13と一致している。
【0051】
第1入力部40および第2入力部41は、ともに、前後方向に長手の円柱形状であり、それぞれの左側面には、左側へ突出する突起42が一体的に設けられている。各突起42は、第1入力部40および第2入力部41のうち対応する入力部の円中心を通って、入力部の径方向に沿って直線状に延びている。
そして、第1入力部40および第2入力部41は、それぞれの後端部において、本体ケーシング2の駆動源(図示せず)に接続されている。そのため、画像形成時には、第1入力部40および第2入力部41のそれぞれは、駆動源(図示せず)が発生した駆動力を受けて、それぞれの円中心を中心として回転する。
【0052】
そして、第1入力部40および第2入力部41のそれぞれは、左右方向に進退自在である。図6では、第1入力部40および第2入力部41のいずれも、退避位置にあり、ホルダ4の右側板5Rより右側にある。
進出位置にある第1入力部40および第2入力部41は、図1および図7に示されている。図1に示すように進出位置にある第1入力部40および第2入力部41は、退避位置にあったとき(図6参照)よりも左側へ移動している。
【0053】
そして、進出位置にある各第1入力部40は、対応する(右側から見て一致する位置にある)挿通穴12に対して右側から挿通され、進出位置にある各第2入力部41は、対応する(右側から見て一致する位置にある)切欠き13に対して右側から挿通されている。これにより、1つの第1入力部40と1つの第2入力部41とが、対応する収容室10(図2参照)内に臨んでいる。
【0054】
詳しくは、この状態で、第1入力部40では、突起42(図6参照)が、収容室10に装着された対応するカートリッジ3の第1伝達部25の溝27(図6参照)に対して右側から嵌っている(図7も参照)。また、第2入力部41では、突起42(図6参照)が、収容室10に装着された対応するカートリッジ3の第2伝達部26の溝27(図6参照)に対して右側から嵌っている(図7も参照)。
【0055】
つまり、図7に示すように、進出位置にある第1入力部40は、対応するカートリッジ3の第1伝達部25(図6参照)に連結され、進出位置にある第2入力部41は、対応するカートリッジ3の第2伝達部26に連結されている。
そのため、画像形成時には、上述したように第1入力部40および第2入力部41のそれぞれが、駆動源(図示せず)が発生した駆動力を受けて回転すると、第1入力部40から第1伝達部25に駆動力が伝達され、第2入力部41から第2伝達部26に駆動力が伝達される。これにより、第1入力部40および第2入力部41と同様に、各カートリッジ3では、図3(a)を参照して、第1伝達部25および第2伝達部26も回転する。
【0056】
ここで、上述したように、第1伝達部25が現像ローラ21に対して一体化され、第2伝達部26が感光ドラム20に対して一体化されていることから、第1伝達部25および第2伝達部26の回転に伴い、第1伝達部25から現像ローラ21に駆動力が伝達され、第2伝達部26から感光ドラム20に駆動力が伝達される。これにより、感光ドラム20および現像ローラ21は、上述したように回転駆動する。
【0057】
そして、画像形成が終了して、カートリッジ3へのトナーの補充のためにカートリッジ3をホルダ4(対応する収容室10であり、図2参照)から離脱させる際には、カートリッジ3の離脱に先立って、進出位置にあった第1入力部40および第2入力部41(図1参照)は、右側へ移動して、図6に示すそれぞれの退避位置まで退避する。
図8は、カートリッジが装着されたホルダの正断面図である。図9は、図8において、カートリッジがホルダに対して着脱される様子を示している。
【0058】
次に、図8を参照して、カートリッジ3の筐体22の左側面22Lおよび右側面22Rについて詳説する。ここで、説明の便宜上、図8では、ホルダ4の電極11(図2参照)および上述した第1入力部40および第2入力部41(図6参照)の図示が省略されている(後述する図9、図10、図11および図13においても同様。ただし、図9では、電極11は図示されている。)。
【0059】
図8では、ホルダ4(対応する収容室10)に装着されたカートリッジ3を前後方向(上述した第2方向Z)から見たときの左側面22Lおよび右側面22Rの輪郭が示されている。
まず、筐体22において、ホルダ4の一対の区画面9の両方に接触する(接触し得る)部分は、左右の凸部31のすぐ下の部分であり、この部分において、上述した装着方向S(下側へ向かう方向)における最上流端50は、点線で示された部分である。
【0060】
そして、図8では、第1円弧51と、第2円弧52が示されている。
第1円弧51の曲率中心は、最上流端50の幅方向(上述した対向方向X)における右端53(他方の端)であり、第1円弧51の曲率半径は、最上流端50の幅方向における両端(右端53および左端54)を結ぶ線分55である。
第2円弧52の曲率中心は、最上流端50の幅方向における左端54(一方の端)であり、第2円弧52の曲率半径は、第1円弧51と同様に、線分55である。
【0061】
そして、左側面22Lは、前後方向(第2方向Z)から見たときの輪郭が第1円弧51の内側に配置されるように、右下側へ傾斜している。ここで、前後方向から見たときの左側面22Lの輪郭は、第1円弧51上にあってもよいが(この場合、左側面22Lの輪郭は、第1円弧51に沿った円弧状になる。)、左側面22Lは、少なくとも、その輪郭が第1円弧51の外側へはみ出ないように、形成されている。
【0062】
また、右側面22Rは、前後方向(第2方向Z)から見たときの輪郭が第2円弧52の内側に配置されるように、左下側へ傾斜している。ここで、前後方向から見たときの右側面22Rの輪郭は、第2円弧52上にあってもよいが(この場合、右側面22Rの輪郭は、第2円弧52に沿った円弧状になる。)、右側面22Rは、少なくとも、その輪郭が第2円弧52の外側へはみ出ないように、形成されている。
【0063】
以上の構成によれば、図9に示すように、カートリッジ3が収容室10に対して着脱されるときに、カートリッジ3の姿勢がいくら傾いていても、カートリッジ3が区画面9に引っ掛かるおそれはない。
具体的には、カートリッジ3を収容室10から離脱するときには、右側に偏って配置された把持部32を把持して引き上げる。これにより、カートリッジ3は、上述した左端54を支点として、把持部32側(カートリッジ3の右側部分)が上昇するように、回動する。
【0064】
そのため、カートリッジ3を収容室10から離脱するときにカートリッジ3の姿勢が傾くが、この際、カートリッジ3において、筐体22の左側面22Lおよび右側面22Rは、第1円弧51(図8参照)および第2円弧52の内側(第1円弧51上および第2円弧52上も含む)で移動し、ホルダ4の区画面9に接触しない。そして、引き続き左側面22Lおよび右側面22Rが区画面9に接触しない状態でカートリッジ3が収容室10より上方まで移動すると、収容室10に対するカートリッジ3の離脱が完了する。
【0065】
逆に、カートリッジ3を収容室10に装着するときには、把持部32を把持してカートリッジ3を下ろす。この際、カートリッジ3の姿勢は、左端54が右端53より低くなるように傾いており、カートリッジ3では、左端54が、最初にホルダ4(詳しくは、左区画面9Lの上端)に接触する。そして、引き続きカートリッジ3を下ろすと、カートリッジ3は、左端54を支点として、把持部32側(カートリッジ3の右側部分)が下降するように、回動する。
【0066】
この際、カートリッジ3の姿勢は引き続き傾いているが、カートリッジ3において、筐体22の左側面22Lおよび右側面22Rは、第1円弧51(図8参照)および第2円弧52の内側(第1円弧51上および第2円弧52上も含む)で移動し、ホルダ4の区画面9に接触しない。そして、カートリッジ3において右端53側(詳しくは右側の凸部31R)がホルダ4(右側板5R)に接触するまでカートリッジ3が回動すると、カートリッジ3の回動が停止し、収容室10に対するカートリッジ3の装着が完了する(図8参照)。
【0067】
そして、図8を参照して、第2方向Z(前後方向)から見たときの一対の側面(左側面22Lおよび右側面22R)の輪郭が第1円弧51および第2円弧52のうち対応する円弧に近づくようにしておくとよい。そうすれば、カートリッジ3が収容室10に装着された状態において、左側面22Lおよび右側面22Rのそれぞれと、対応する区画面9(左区画面9Lまたは右区画面9R)との間隔を狭くすることができ、カートリッジ3が収容室10に装着された状態において幅方向にがたつくことを最小限(たとえば1〜3mm程度の常識的な範囲におけるがたつき)に抑えることができる。
【0068】
以上の結果、プリンタ1の本体ケーシング2の収容室10に装着された状態におけるカートリッジ3のがたつきを必要最小限に抑えつつ、収容室10に対してカートリッジ3を円滑に着脱することができる。
図10は、図8に比較例を適用した図である。
本発明の上記構成とは異なり、第2方向Z(前後方向)から見たときに、一対の側面(左側面22Lおよび右側面22R)の輪郭のどちらかが第1円弧51および第2円弧52のうち対応する円弧の外側に配置される場合が、図10に示される。この場合には、少しでも姿勢が傾いた状態でカートリッジ3が収容室10に対して着脱されると、カートリッジ3がどちらかの側面(左側面22Lまたは右側面22R)において区画面9に引っ掛かり、カートリッジ3が傾いた状態で左右の区画面9に挟まってロックするおそれがある。
【0069】
そして、本発明では、図3(a)に示すように、カートリッジ3において、筐体22の右側面22Rに、第1方向Y(上下方向)に沿う右平坦面24が形成されている。そして、右平坦面24に、本体ケーシング2から駆動力を受けてカートリッジ3の感光ドラム20および現像ローラ21に伝達する第1伝達部25および第2伝達部26が設けられている。
【0070】
そのため、第1伝達部25および第2伝達部26が曲面に設けられる場合に比べて、第1伝達部25および第2伝達部26と本体ケーシング2側(第1入力部40および第2入力部41)とを安定した状態で連結し(図1、図6および図7参照)、本体ケーシング2から第1伝達部25および第2伝達部26に安定して駆動力を供給することができる。
また、右平坦面24を、右側面22Rにおいて凹設された部分(右凹部23)に設けることで、簡易に構成することができる。
【0071】
そして、図4に示すように、収容室10に対するカートリッジ3の装着方向Sにおける筐体22の上流側端部(筐体22の上面)において、対向方向X(幅方向)において中央から外れた位置には、把持部32が1つ備えられている。そのため、片手で把持部32を把持すること(いわゆるワンハンド)によって収容室10に対してカートリッジ3を着脱できて使い勝手がよい。だが、幅方向において中央から外れた位置にある把持部32を把持して収容室10に対してカートリッジ3を着脱する際には、カートリッジ3の姿勢が必ず傾く(最も前側のカートリッジ3を参照)。
【0072】
しかし、本発明では、図8において上述したように、第2方向Z(前後方向)から見たときに、筐体22の一対の側面(左側面22Lおよび右側面22R)の輪郭のそれぞれが第1円弧51および第2円弧52のうち対応する円弧上または円弧の内側に配置されている。そのため、カートリッジ3が収容室10に対して着脱されるときに、カートリッジ3の姿勢がいくら傾いていても、カートリッジ3が区画面9に引っ掛かるおそれはない(図9参照)。
【0073】
また、図3を参照して、筐体22の幅方向における一対の側面のうち第1伝達部25および第2伝達部26が設けられた右側面22Rとは別の左側面22Lには、本体ケーシング2から電力を受ける電極30が設けられている。
これにより、着脱時に抵抗となり、カートリッジ3の姿勢を不安定にさせる電極30を、操作性を損なわせずにカートリッジ3の筐体22の一端(左側面22L)に集中させることができる。
2.変形例
(1)変形例1
図11は、図8に変形例1を適用した図である。
【0074】
上記実施形態では、ホルダ4(収容室10)にカートリッジ3が装着された場合に、筐体22の上面に設けられた左右の凸部31がホルダ4の左側板5Lおよび右側板5Rに対して上から引っ掛かっている(図8参照)。
これに対し、図11に示すように、筐体22において左右の凸部31を取り除いてもよい。この場合、ホルダ4の左右の側板5のそれぞれの下端部には、各収容室10内へ向けて幅方向内側へ突出する突起70が一体的に設けられている。
【0075】
そして、ホルダ4(収容室10)にカートリッジ3が装着された場合には、カートリッジ3は、左右の突起70の上に載置されることで、ホルダ4(対応する収容室10)に対して位置決めされ、カートリッジ3が収容室10に装着された状態が維持される。なお、この状態で、各突起70は、カートリッジ3の筐体22の下面に露出された感光ドラム20に干渉していない。
【0076】
そして、変形例1の場合においても、上記実施形態と同様に、第2方向Z(前後方向)から見たときに、筐体22の一対の側面(左側面22Lおよび右側面22R)の輪郭のそれぞれが第1円弧51および第2円弧52のうち対応する円弧上または円弧の内側に配置されている。
(2)変形例2
図12において、(a)は、変形例2に係るカートリッジを右前から見た斜視図であり、(b)は、変形例2に係るカートリッジを左前から見た斜視図である。図13は、図8に変形例2を適用した図である。
【0077】
上記実施形態では、カートリッジ3の筐体22において、図3に示すように第1伝達部25、第2伝達部26および電極30が設けられる平坦面(右平坦面24および左平坦面29)は、筐体22の対応する側面(左側面22Lまたは右側面22R)において凹設された部分(右凹部23または左凹部28)に設けられている。そのため、左側面22Lおよび右側面22Rのそれぞれにおいて、対応する右平坦面24および左平坦面29の占める割合が比較的小さい。
【0078】
このような上記実施形態に代え、図12に示すように、筐体22にリブ60を設けることが考えられる。リブ60は、右平坦面24および左平坦面29のそれぞれに設けられている。
図12(a)に示す右平坦面24においては、右平坦面24の前後方向(上述した第2方向Z)における両端のそれぞれにリブ60が設けられ、各リブ60は、右平坦面24の前後方向における端から、右平坦面24よりも幅方向(上述した対向方向X)における外側(右側)へ突出している。
【0079】
図12(b)に示す左平坦面29においては、左平坦面29の前後方向(第2方向Z)における両端のそれぞれにリブ60が設けられ、各リブ60は、左平坦面29の前後方向における端から、左平坦面29よりも幅方向(対向方向X)における外側(左側)へ突出している。
そして、図13に示すように、右平坦面24および左平坦面29のそれぞれに設けられたリブ60が、前後方向(第2方向Z)から見たときの対応する左側面22Lまたは右側面22Rの輪郭をなしている。
【0080】
つまり、左平坦面29のリブ60(図13における左側のリブ60)の左端面が、上述した実施形態における左側面22Lをなし、前後方向から見たときに、上述した第1円弧51上または第1円弧51の内側に配置される。また、右平坦面24のリブ60(図13における右側のリブ60)の右端面が、上述した実施形態における右側面22Rをなしており、前後方向から見たときに、上述した第2円弧52上または第2円弧52の内側に配置される。
【0081】
このようなリブ60を筐体22に設けるだけで、第2方向Z(前後方向)から見たときの筐体22の幅方向側面(左側面22Lおよび右側面22R)の輪郭を簡易に構成することができる。
(3)その他
図14において、(a)は、変形例3に係るカートリッジを右前から見た斜視図であり、(b)は、変形例4に係るカートリッジを右前から見た斜視図であり、(c)は、変形例5に係るカートリッジを左後から見た斜視図である。
【0082】
カートリッジ3に設けられた把持部32に関し、図14(a)に示す変形例3に係るカートリッジ3のように、筐体22の上面において、この上面の幅方向中央を基準として対称となるように、把持部32を幅方向において間隔を隔てて2つ設けてもよい。この場合、2つの把持部32を持つことにより、傾きの少ない安定した姿勢(できるだけ水平方向に沿った姿勢)でカートリッジ3をホルダ4(収容室10)に対して着脱することができる。
【0083】
変形例3と同様の効果を奏するために、図14(b)に示す変形例4に係るカートリッジ3のように、筐体22の上面の幅方向中央に、把持部32を1つ設けてもよい。ただし、把持部32の持ち方や、筐体22内のトナーの偏りによるカートリッジ3の重心のずれや、左側面22Lの電極30とホルダ4の電極11(図7参照)との摩擦といった要因によって、すぐにカートリッジ3が傾くので、水平方向に沿った姿勢を常に保った状態でカートリッジ3をホルダ4(収容室10)に対して着脱することは、現実には難しい。
【0084】
そして、カートリッジ3の筐体22の左側面22Lにおいて左平坦面29に設けられた各電極30(図3(b)参照)は、図14(c)に示す変形例5に係るカートリッジ3のように、左平坦面29でなく、左側面22Lに設けられてもよい。ただし、この場合、各電極30の左側面は、左側面22Lから幅方向外側(左側)へ突出しないように、少なくとも左側面22Lと面一となっている必要がある。
【0085】
ここで、上述したように、左側面22Lが右下側へ傾斜していることから(図8参照)、変形例5に係るカートリッジ3では、各電極30の左側面も右下側へ傾斜している。そのため、各電極30に対して、ホルダ4の左側板5Lにおいて対応する電極11(図2参照)が上述したように左側から圧接すると(図7参照)、電極11が電極30を押す力の一部がカートリッジ3に対して上向きに作用し、カートリッジ3が不用意に上方へずれるおそれがある。そこで、収容室10に装着されたカートリッジ3が上方へずれないように、収容室10に装着されたカートリッジ3(図8参照)を爪などの係止部材によってホルダ4に係止しておくとよい。
【符号の説明】
【0086】
1 プリンタ
2 本体ケーシング
3 カートリッジ
9 区画面
10 収容室
20 感光ドラム
21 現像ローラ
22 筐体
22L 左側面
22R 右側面
23 右凹部
24 右平坦面
25 第1伝達部
26 第2伝達部
30 電極
32 把持部
50 最上流端
51 第1円弧
52 第2円弧
53 右端
54 左端
55 線分
60 リブ
S 装着方向
X 対向方向
Y 第1方向
Z 第2方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体において所定間隔を隔てて対向配置された一対の区画面によって区画された収容室に対して、一対の前記区画面の対向方向に直交する第1方向に沿って着脱自在に装着され、前記対向方向に長手で現像剤を収容する筐体を備えるカートリッジであって、
前記筐体の前記対向方向における一対の側面において、
前記対向方向および前記第1方向の両方に直交する第2方向から見たときの一方の前記側面の輪郭は、前記筐体で一対の前記区画面の両方に接触する部分において、前記収容室に対する前記カートリッジの装着方向最上流端の前記対向方向における他方の端を曲率中心とし、かつ、前記最上流端の前記対向方向における両端を結ぶ線分を曲率半径とする第1円弧上または前記第1円弧の内側に配置され、
前記第2方向から見たときの他方の前記側面の輪郭は、前記最上流端の前記対向方向における一方の端を曲率中心とし、かつ、前記線分を曲率半径とする第2円弧上または前記第2円弧の内側に配置されることを特徴とする、カートリッジ。
【請求項2】
駆動力が伝達されることによって駆動する駆動部材と、
前記側面に形成され、前記第1方向に沿う平坦面と、
前記平坦面に設けられ、前記装置本体から駆動力を受けて前記駆動部材に伝達する伝達部と
を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記筐体に設けられ、前記第2方向における前記平坦面の端から前記平坦面よりも前記対向方向における外側へ突出し、前記第2方向から見たときの前記側面の輪郭をなすリブを備えていることを特徴とする、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記平坦面は、前記側面において凹設された部分に設けられていることを特徴とする、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記筺体の前記装着方向上流側端部において、前記対向方向において中央から外れた位置に、把持部を1つ備えていることを特徴とする、請求項2ないし4のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項6】
一対の前記側面のうち前記伝達部が設けられた前記側面とは別の前記側面に設けられ、前記装置本体から電力を受ける電極を備えていることを特徴とする、請求項2ないし5のいずれかに記載のカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−197654(P2010−197654A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41888(P2009−41888)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】