説明

カートリッジ

【課題】現像剤収容部にリブ部材を設けることなく、ユーザがカートリッジを強く握った際にトナーが漏れてしまうことを防止する。
【解決手段】現像室31bを構成する外壁面31cに設けられた中央凹部38cと、中央凹部38cを覆うように設けられた可撓性を有する現像シート18とが、装置本体100Aに対してプロセスカートリッジ7が着脱される際に、プロセスカートリッジ7を着脱するユーザが現像シート18に指を掛けられるように配設され、現像シート18に指が掛かった際の中央凹部38cの底壁及び現像シート18の撓み量は、前記底壁よりも現像シート18の方が大きくなるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真画像形成装置に用いられるカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像形成装置においては、電子写真感光体ドラム及び電子写真感光体ドラムに作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化して、このカートリッジを電子写真画像形成装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。このプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンに頼らずユーザ自身で行うことができるので、格段に操作性を向上させることができる。そこで、このプロセスカートリッジ方式は、電子写真画像形成装置において広く用いられている。
画像形成装置の画像形成動作は、次のように行われる。まず、レーザ、LEDあるいはランプなどの画像情報に対応した光が電子写真感光体ドラム(以下、感光体ドラム)に照射される。これによって、感光体ドラムに静電潜像が形成される。そして、この静電潜像が現像装置によりトナー(現像剤)を用いて現像される。さらに、感光体ドラムに形成されたトナー像が記録材へ転写される。そして、感光体ドラムに当接したクリーニング部材により、転写後に感光体ドラム上に残留しているトナーである転写残トナーがクリーニングされる。
ここで、クリーニングされた転写残トナーは、除去トナー室(現像剤収容部)に収容されるが、ユーザが除去トナー室を強く握ると除去トナー室が変形し除去トナーが漏れる恐れがある。このため、変形防止のためのリブ部材が設けられた構成がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−043537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の技術を更に発展させたものであり、現像剤収容部にリブ部材を設けることなく、ユーザがカートリッジを強く握った際にトナーが漏れてしまうことを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明にあっては、画像形成装置本体に着脱可能なカートリッジであって、現像剤を収容する収容部と、前記収容部を形成する枠体の外壁に設けられた凹部と、前記凹部を覆うように設けられたシート部材と、を有し、前記凹部と前記シート部材とは、前記シート部材上を把持された際に前記シート部材の撓み量の方が前記底壁の撓み量より大きくなるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、現像剤収容部にリブ部材を設けることなく、ユーザがカートリッジを強く握った際にトナーが漏れてしまうことを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態の画像形成装置の概略構成を示す断面図
【図2】実施形態のトナーを収納したプロセスカートリッジの概略断面図
【図3】実施形態のプロセスカートリッジ7の概略斜視図
【図4】実施形態のプロセスカートリッジ7の概略斜視図
【図5】実施形態のプロセスカートリッジ7の概略斜視図
【図6】実施形態の画像形成装置の概略斜視図
【図7】装置本体内にプロセスカートリッジが装着される場合について説明する図
【図8】従来例のプロセスカートリッジの概略斜視図
【図9】従来例においてプロセスカートリッジをユーザが握った状態を示す図
【図10】本実施形態においてプロセスカートリッジをユーザが握った状態を示す図
【図11】実施形態において現像シートと外壁面の変形量の測定方法を説明する図
【図12】実施形態において現像シートと外壁面の変形量の測定方法を説明する図
【図13】他の実施形態のプロセスカートリッジの概略断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
本発明は、電子写真画像形成装置に用いられるカートリッジに関するものである。ここで、電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成方式を用いて記録材に画像を形成するものである。そして、電子写真画像形成装置の例としては、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えば、レーザビームプリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。また、カートリッジとは、像担持体と、像担持体に作用するプロセス手段としての現像手段及びクリーニング手段のうちの少なくともひとつとが、一体的にカートリッジ化され、画像形成装置本体に対して着脱可能とされたものであるとよい。また、現像手段又はクリーニング手段がカートリッジ化され、画像形成装置本体に対して着脱可能とされたものであってもよい。
【0009】
以下に、本実施形態について説明する。
(画像形成装置の全体構成)
まず、電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置)100の全体構成について、図2を用いて説明する。
図2は、本実施形態の画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。図2に示すように、4個のプロセスカートリッジ7(7Y,7M,7C,7K)が装着部材(不図示)によって画像形成装置100に着脱可能に装着されている。図2において、プロセスカートリッジ7は、画像形成装置100の設置状態において、装置本体100A内に水平方向に対して傾斜して併設(並設)されている。
ここで、本実施例では、画像形成装置本体(以下、装置本体)100Aに対するプロセスカートリッジ7の装着方向上流側を前側(前側面側、手前側)、装着方向下流側を奥側(奥側面側)と定義する。また、装置本体100Aに対するプロセスカートリッジ7の装着方向(本実施例では、感光体ドラム1や現像ローラ(現像剤担持体)25の回転軸方向と同方向)を長手方向とする。また、装置本体100Aの設置状態における鉛直方向を上下方向とする。
また、各プロセスカートリッジや転写手段の構成及び動作は、用いる現像剤(以下、トナー)の色が異なることを除いては実質的に同じである。したがって、以下の説明において特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために図2において符号に与えた添字Y,M,C,Kを省略して、総括的に説明する。
【0010】
各プロセスカートリッジ7には、像担持体としての電子写真感光体ドラム(以下、感光体ドラム)1と、感光体ドラム1の周囲に帯電ローラ2と、現像ローラ25と、クリーニング部材6等のプロセス手段が一体的に配置されている。帯電ローラ2は、感光体ドラム1の表面を一様に帯電させるものであり、現像ローラ25は、感光体ドラム1に形成され
た潜像をトナーによって現像して可視像化するものである。そして、クリーニング部材6は、感光体ドラム1に形成されたトナー像(現像剤像)が記録材に転写した後に、感光体ドラム1に残留したトナーを除去するものである。
また、プロセスカートリッジ7の下方には、画像情報に基づいて感光体ドラム1に選択的な露光を行い、感光体ドラム1に潜像を形成するためのスキャナユニット3が設けられている。
【0011】
装置本体100Aの下部には、記録材Sを収納したカセット17が装着されている。そして、記録材Sが2次転写ローラ70、定着部74を通過して装置本体100Aの上方へ搬送されるように記録材搬送手段が設けられている。すなわち、カセット17内の記録材Sを1枚ずつ分離給送する給送ローラ54、給送された記録材Sを搬送する搬送ローラ対76、感光体ドラム1に形成される潜像と記録材Sとの同期を取るためのレジストローラ対55が設けられている。
【0012】
また、プロセスカートリッジ7の上方には各感光体ドラム1上(像担持体上)に形成されたトナー画像を転写させるための中間転写手段(1次転写手段)としての中間転写ユニット5が設けられている。中間転写ユニット5には駆動ローラ56、従動ローラ57、各色の感光体ドラム1に対向する位置に1次転写ローラ58、2次転写ローラ70に対向する位置に対向ローラ59が設けられ、これらのローラに転写ベルト(中間転写ベルト)9が掛け渡されている。
【0013】
転写ベルト9はすべての感光体ドラム1に対向し、且つ接するように循環移動する。そして、転写ベルト9が循環移動した状態で、1次転写ローラ58に電圧が印加されることにより、感光体ドラム1から転写ベルト9上に一次転写が行われる。そして、転写ベルト9内に配置された対向ローラ59と2次転写ローラ70への電圧印加により、転写ベルト9のトナーを記録材Sに転写する。
【0014】
画像形成に際しては、各感光体ドラム1が回転し、帯電ローラ2によって一様に帯電された感光体ドラム1にスキャナユニット3から選択的な露光が行われる。これによって、感光体ドラム1に静電潜像が形成される。その潜像は、現像ローラ25によって現像される。このようにして、各感光体ドラム1に各色トナー像が形成される。この画像形成と同期して、記録材Sは、対向ローラ59と2次転写ローラ70とが転写ベルト9を介在させて当接している2次転写位置に、レジストローラ対55によって搬送される。
【0015】
そして、2次転写ローラ70へ転写バイアス電圧が印加されることで、転写ベルト上の各色トナー像が記録材Sに2次転写される。このようにして、記録材Sにカラー画像が形成される。カラー画像が形成された記録材Sは、定着部74によって加熱、加圧されてトナー像が定着される。その後、記録材Sは、排出ローラ72によって排出部75に排出される。尚、定着部74は、装置本体100Aの上部に配置されている。
【0016】
(プロセスカートリッジ)
次に、本実施形態のプロセスカートリッジ7について、図1、図3〜図5を用いて説明する。
図1は、トナーを収納したプロセスカートリッジ7の概略断面図である。図3〜5は、本実施形態のプロセスカートリッジ7の概略斜視図である。図1に示すように、プロセスカートリッジ7は、ドラムユニット26(26Y,26M,26C,26K)と、現像手段としての現像ユニット4(4Y,4M,4C,4K)と、を有する。
ドラムユニット26は、感光体ドラム1と、帯電ローラ2、及びクリーニング部材6を備えている。そして、現像ユニット4は、現像ローラ25を備えている。
【0017】
感光体ドラム1の周上には、前述した通り帯電ローラ2、クリーニング部材6が配置されている。さらに、クリーニング部材6によって感光体ドラム1表面から除去された残留トナーは除去トナー室27aに落下する。また、除去トナー室27aの除去トナーが漏れることを防止するスクイシート(ドラム当接シート)21が感光体ドラム1に当接するように設けられている。そして、駆動源である本体駆動モータ(不図示)の駆動力がドラムユニット26に伝達されることにより、感光体ドラム1が画像形成動作に応じて回転駆動される。
【0018】
帯電ローラ2は、帯電ローラ軸受28を介し、ドラムユニット26に回転可能に取り付けられており、帯電ローラ加圧部材46により感光体ドラム1に向かって加圧され、感光体ドラム1に従動回転する。
現像ユニット4は、感光体ドラム1と接触して図1に示す矢印B方向に回転する現像ローラ25と、現像ローラ25を支持する現像枠体31とから構成される。現像ローラ25は、現像枠体31の両側にそれぞれ取り付けられた現像前軸受12、現像奥軸受13を介して、回転自在に現像枠体31に支持されている(図5参照)。
また、現像ローラ25の周囲には、現像ローラ25に接触して図1に示す矢印C方向に回転するトナー供給ローラ34と、現像ローラ25上のトナー層を規制するための現像ブレード35とがそれぞれ配置されている。
【0019】
また、現像ローラ25に当接した現像枠体31からトナーが漏れることを防止するための吹き出し防止シート(現像当接シート)20が配置されている。吹き出し防止シート20は、現像ローラ25に当接する当接側20aとは反対側の他端側20bが現像枠体31の固定面31hに、固定部材(例えば両面テープ)により固定されている。
また、現像枠体31においては、現像ローラ25とトナー供給ローラ34が配置された現像室31bを形成(構成)するための外壁面(外壁、端面)31cが、吹き出し防止シート20を固定するための固定面31hとともに長手方向に沿って形成されている。ここで、現像室31bは、トナーを収容するための収容部に相当し、現像ローラ25は現像室31bに収容されたトナーを担持する。
さらに、現像枠体31のトナー収納室31aには、収容されたトナーを撹拌するとともに、現像室31b内のトナー供給ローラ34へトナーを搬送するためのトナー搬送部材36が設けられている。そして、プロセスカートリッジ7を装置本体100Aに装着する方法が示されたラベル(以下、現像シート)18がシート部材として外壁面31cに貼り付けられている。
【0020】
図3に示すように、ドラムユニット26に圧入された前支持ピン14、奥支持ピン15によって現像ユニット4はドラムユニット26に対して揺動可能に取り付けられている。また、クリーニング枠体27には、感光体ドラム1を回転自在に支持するドラム前軸受10、ドラム奥軸受11が設けられている。ドラム奥軸受11には、感光体ドラム1に結合されたドラムカップリング16が支持されている。また、ドラム前軸受10には、フランジ85が支持されている。
【0021】
また、図4に示すように、現像ユニット4には、現像枠体31と現像ローラ25とトナー供給ローラ(不図示)を回転自在に支持する現像前軸受12、現像奥軸受13が設けられている。そして、現像シート18には、外壁面31cに貼り付けられる貼付側の全面に粘着面が設けられており、現像シート18は、外壁面31cに貼り付けられることで現像枠体31に固定される。
現像シート18としては、ポリスチレンシートやPET(ポリエチレンテレフタレート)といった可撓性を有する部材が用いられる。本実施形態では、現像シート18は表示ラベルとして、ポリスチレンシートに印刷を施すことで、操作ラベルや、色ラベルや、識別ラベルとして用いられている。操作ラベルは、プロセスカートリッジ7の取り扱い(操作
方法)を説明するためのものである。色ラベルは、現像容器内のトナーの色情報を示すためのものである。識別ラベルは、プロセスカートリッジの識別番号等の識別情報を示すためのものである。ここで、現像シート18の材質は前述した材質に限定するものでは無く、可撓性を有するシート部材であればよい。
【0022】
図5は、現像シートを不図示にした現像ユニット4の概略斜視図である。ここで現像ローラ25の両端に設けられた芯金25a,25b、トナー供給ローラ34の両端に設けられた芯金34a(34bは不図示)と係合するために、現像前軸受12には係合穴12d,12eが、現像奥軸受13には係合穴13d,13eが設けられている。そして、これらの芯金と係合穴が係合することで、現像ローラ25とトナー供給ローラ34が、現像前軸受12、現像奥軸受13によって回転可能に支持されている。
【0023】
また、現像枠体31の外壁面31cの長手方向両端部には、現像前軸受12と現像奥軸受13に設けられた位置決め穴12a,13aに係合するボス31d,31eが設けられている。
また、現像枠体31の両側面(長手方向両端面)壁には、現像前軸受12の係合穴12b,12c、現像奥軸受13の係合穴13b,13cと係合するためのボス31f,31g(現像奥軸受13と係合するボスは不図示)が設けられている。
そして、これらボスと係合穴が係合することで、現像前軸受12と現像奥軸受13が現像枠体31に固定される構成となっている。
【0024】
よって、外壁面31cの長手方向両端部は、現像前軸受12と現像奥軸受13によって支持されているため、外壁面31cの長手方向両端部は外壁面31cに対して垂直方向の力を受けた際にも長手方向中央部よりも変形しにくい構成となっている。
また、現像枠体31の外壁面31cには、現像ローラ25の長手方向において、両端部に位置するリブで仕切られた複数の端部凹部38a,38bと、中央部分に設けられた中央凹部38cが形成されている。そして、現像シート18は、この端部凹部38a,38b、中央凹部38cを覆うように設けられている。特に、現像シート18と中央凹部38cは、装置本体100Aに対してプロセスカートリッジ7が着脱される際に、プロセスカートリッジ7を着脱するユーザが現像シート18に指を掛けられるように配設されている。
ここで、外壁面31cの中央凹部38cの現像シート18が貼り付けられていない面積は、端部凹部38a,38bよりも大きくなっている。よって現像シート18は、外壁面31cに対しては、端部凹部38a,38bの方が中央凹部38cよりも貼り付け面積が多く、現像シート18の撓み量が小さい構成となっている。
【0025】
(プロセスカートリッジの画像形成装置本体への装着機構)
次に、本実施形態のプロセスカートリッジ7を装置本体100A内へ装着する装着機構について図6,7を用いて説明する。
図6は、本実施形態の画像形成装置の概略斜視図である。図6において、装置本体100Aの手前側には開閉可能な前カバー73が設けられている。前カバー73が開くと、水平方向に対して傾斜して並設された4個のプロセスカートリッジ7(7Y〜7K)の装着部22(22Y〜22K)が露出する。
各装着部22の上側と下側には、装置本体100Aの手前側から奥側に延びている装着上ガイド80(80Y〜80K)と、装着下ガイド81(81Y〜81K)がそれぞれ設けられている。
【0026】
そして、クリーニング枠体27のドラム奥軸受11に設けられた上ガイド部11cが、装置本体100Aの装着上ガイド80に係合した状態で、図中矢印E方向に押し込まれる。同様に、ドラムユニット26に設けられた下ガイド部27bが、装置本体100Aの装
着下ガイド81に係合した状態で、図中矢印E方向に押し込まれる。
なお、上ガイド部11cは、プロセスカートリッジ7の奥側の上方に配置されている。そして、下ガイド部27bはプロセスカートリッジ7の手前側から奥側へ向かって、プロセスカートリッジ7の底面に配置されている。
【0027】
図7(a)は、プロセスカートリッジ7が装置本体100A内に装着される前の状態を説明するための図である。
図7(a)に示すように、プロセスカートリッジ7は、装置本体100Aの前側板82に設けられた装着部22より矢印E方向に装着される。その際に、プロセスカートリッジ7のクリーニング枠体27に一体に設けられた下ガイド部27bが、装置本体100Aに設けられた装着下ガイド81に乗せられた状態でガイドされながら装着される。装着下ガイド81は、プロセスカートリッジ7を取り外し可能に装着する為の装着部材である。
【0028】
図7(b)は、プロセスカートリッジ7が装置本体100A内に装着されている装着動作途中の状態であって、装着完了前の状態を説明するための図である。
装置本体100Aに設けられた装着下ガイド81のうち装着方向(矢印E方向)下流には、装着方向下流に向かうに連れて上方に傾斜した傾斜部81aが設けられている。また、クリーニング枠体27のうち装着方向上流端部には、装着方向上流に向かうに連れて下方に傾斜した傾斜部27cが設けられている。
プロセスカートリッジ7が装置本体100Aに装着される際には、クリーニング枠体27の下ガイド部27bが傾斜部81aに乗り上がり、更に傾斜部27cが装着下ガイド81に乗り上がる。これにより、プロセスカートリッジ7は中間転写ユニット5に近づく方向(上方向)に移動する。
【0029】
図7(c)は、プロセスカートリッジ7が装置本体100Aに装着された状態を説明するための図である。
プロセスカートリッジ7が中間転写ユニット5に近づく方向に移動した状態で更にプロセスカートリッジ7の装着が続けられると、クリーニング枠体27に一体に設けられた突き当て部27dが、装置本体100Aの奥側板83に当接する。それによって、プロセスカートリッジ7の装置本体100Aへの装着が完了する。
【0030】
この状態において、ドラム奥軸受11の被押圧部11aが奥側板83に設けられた奥押圧部材91と当接し、加圧バネ92により上方に押し上げられる。そして、ドラム奥軸受11の上部に設けられたカートリッジ位置決め部11bが奥側板83の突き当て部(位置決め部)83aに当接し、プロセスカートリッジ7の奥側の装置本体100Aに対する位置が決まる。
【0031】
また、ドラム前軸受10の被引張り部10aが前側板82に設けられた引張り部材93と係合する。前側板82に設けられた引張りバネ94により、引張り部材93が上方に持ち上げられ、これにより、被引張り部10aも上方に持ち上げられる。
そして、ドラム前軸受10の突き当て部(位置決め部)10bが前側板82の位置決め部82bに当接し、プロセスカートリッジ7の手前側の装置本体100Aに対する位置決めされる。
そして、プロセスカートリッジ7を装置本体100Aから取り出す際は、上記とは逆の手順で行われる。
【0032】
ここで図8,9を用いて従来例について説明する。
図8は、従来例のプロセスカートリッジの概略斜視図である。図9は、装置本体から取り出されたプロセスカートリッジをユーザが握った状態を示す長手方向中央部分の概略断面図である。なお、図8,9の従来例において、本実施形態の構成と同様の構成部分につ
いては、説明の便宜上、同一の符号を付すこととする。
【0033】
従来では、図8に示すように、外壁面31cの変形防止のために、外壁面31c全域にリブ38dを配置することで、外壁面31c全体の強度を上げる方法が取られていた。リブ38d上にラベル40が貼り付けられている。
図9に示すように、外壁面31cの強度を上げても、ユーザが現像ユニット4の外壁面31cを握った際に外壁面31cが変形することで、現像ユニット4内の内圧が上がり、吹き出し防止シート20と現像ローラ25との当接部からトナーTが漏れることがあった。
【0034】
図10は、本実施形態において、装置本体100Aから取り出されたプロセスカートリッジ7をユーザが握った状態を示す長手方向中央部分の概略断面図である。
これに対して本実施形態においては、図10に示すように、現像枠体31の外壁面31cに設けられた中央凹部38cを覆うように現像シート18が外壁面31cに貼り付けられている。そして、ユーザの手99が現像ユニット4を握った際に、ユーザの手99が現像シート18に掛かることになる。
【0035】
この時、外壁面31cに中央凹部38cが設けられていることにより、外壁面31cに貼り付けられた現像シート18は撓むことが可能となる。さらに、プロセスカートリッジを着脱するユーザの指が現像シート18に掛かった際の中央凹部38cの底壁(この底壁の裏側に、後述する内壁面31iが設けられている)及び前記シート部材の撓み量は、次のように構成されている。すなわち、底壁よりも現像シート18の方が大きくなるように構成されている。
これにより、ユーザが現像ユニット4を握った際に、ユーザの手99により現像枠体31に力が掛かったとしても、外壁面31cに力が伝わることを低減でき、外壁面31cが変形することを防止できる。
よって、現像シート18が撓むことで、外壁面31cに掛かる力を低減することができるので、現像ユニット4からトナーTが漏れることを防止できる。
ここで従来では、ユーザの手99により現像枠体31に局所的に力が掛かっていた。これに対して、本実施例では、ユーザの手99により現像シート18に力が掛かった場合(ユーザに現像シート18上(シート部材上)を把持された場合)、現像シート18が撓むことで、現像シート18に力を吸収させ、現像シート18が取り付けられている外壁面31cの取付部に力を分散させることができる。これにより、ユーザの手99により現像枠体31に力が掛かった場合に、外壁面31cに力が伝わることを低減でき、外壁面31cが変形することを防止できるものである。
【0036】
次に、現像シート18と外壁面31cの変形量(撓み量)の測定方法について説明する。図11,12は、本実施形態において、現像シート18と外壁面31cの変形量の測定方法について説明するための概略断面図である。
図11,12に示すように、現像シート18に対して垂直方向に、例えばテストフィンガー(IEC60950(国際電気標準規格)準拠)の先端形状と同サイズの測定子60により現像シート18を図中矢印F方向に加圧する。
そして、現像シート18にダイヤルゲージ61を当接させ、外壁面31cのうち中央凹部38cの底壁の裏側となる内壁面(現像室31bを構成する内壁面)31iにダイヤルゲージ62を当接させて、それぞれの変形量を測定する。
このような測定方法により、現像シート18の変形量の方が、外壁面31cの内壁面31iの変形量よりも大きくなることが確認できる。
【0037】
以上説明したように本実施形態によれば、ユーザが現像ユニット4を握った際に、現像シート18が撓むことにより、現像枠体31の外壁面31cが変形することを低減でき、
現像室31bの内圧が上昇することを防止することができる。したがって、現像ローラ25と吹き出し防止シート20との当接部からトナーTが漏れることを防止できる。
なお、現像シート18における中央凹部38c上の位置をユーザが把持しやすいように、中央凹部38cは長手方向において3cm以上の大きさを有することが望ましく、より望ましくは5cm以上、さらに望ましくは10cm以上の大きさを有することが望ましい。
【0038】
[他の実施形態]
図13は他の実施形態のプロセスカートリッジの概略断面図である。
上述した実施形態では、シート部材として、現像枠体31に固定された現像シート18について説明したが、これに限るものではない。シート部材としては、例えば、図13に示すような、操作ラベルとしてクリーニング枠体27に設けられたクリーニングシート19であってもよい。クリーニングシート19は、クリーニング枠体27の外壁にクリーニング枠体凹部39を覆うように設けられている。
このようなクリーニングシート19においても、上述した現像シート18と同様の構成とすることで、クリーニング枠体27の除去トナー室27aに回収された除去トナーがスクイシート21から漏れることを防止できる。このような場合には、除去トナー室27aが収容部に相当する。なお、クリーニングシート19における中央凹部38c上の位置をユーザが把持しやすいように、中央凹部38cは長手方向において3cm以上の大きさを有することが望ましく、より望ましくは5cm以上、さらに望ましくは10cm以上の大きさを有することが望ましい。
また、上述した実施形態では、外壁面31cに中央凹部38cが設けられることで、中央凹部38cを覆う現像シート18が撓むことができるものであった。しかし、現像シート18を外壁面31cに取り付けた際に、現像シート18が撓むことができる空間(凹部)が存在するように構成されるものであれば、外壁面31cに中央凹部38cを設けるものでなくてもよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、プロセスカートリッジを4つ使用した場合について説明したが、この使用個数は特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定されるものであれば良い。
また、上述した実施形態では、現像装置としての現像ユニット4と、クリーニング装置としてのドラムユニット26とが一体的に構成されたプロセスカートリッジ7について説明したが、このようなプロセスカートリッジに限定されるものではない。画像形成装置本体に着脱可能に設けられ、トナーを収容する収容部を有するカートリッジであれば本発明を好適に適用することができ、カートリッジとしては現像装置やクリーニング装置であってもよい。
また、上述した実施形態では、プロセスカートリッジの上方に転写ベルトが配置されていたが、このような配置に限定されるものではない。
【0040】
また、上述した実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、これに限定されるものではない。画像形成装置としては、例えば複写機、ファクシミリ装置等であっても良く、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等であっても良い。
また、上述した実施形態では、中間転写体を使用し、該中間転写体に各色のトナー像を順次重ねて転写し、該中間転写体に担持されたトナー像を記録材に一括して転写する構成の画像形成装置を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、記録材担持体を使用し、該記録材担持体に担持された記録材に各色のトナー画像を順次重ねて転写する構成の画像形成装置であっても良い。
これらの画像形成装置に本発明を適用することにより、上述した実施形態同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0041】
7…プロセスカートリッジ、18…現像シート、31b…現像室、31c…外壁面、38c…中央凹部、100A…装置本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に着脱可能なカートリッジであって、
現像剤を収容する収容部と、
前記収容部を形成する枠体の外壁に設けられた凹部と、
前記凹部を覆うように設けられたシート部材と、
を有し、
前記凹部と前記シート部材とは、前記シート部材上を把持された際に前記シート部材の撓み量の方が前記底壁の撓み量より大きくなるように構成されていることを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
前記シート部材は、カートリッジの識別情報、操作方法、色情報のうち少なくとも一つを表示するラベルであることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記凹部は、前記カートリッジの長手方向において3cm以上の大きさを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記凹部は、前記カートリッジの長手方向において5cm以上の大きさを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記凹部は、前記カートリッジの長手方向において10cm以上の大きさを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記凹部は、前記カートリッジの長手方向における中央部に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
更に、前記収容部に収容された現像剤を担持して静電潜像を現像する現像剤担持体を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
更に、静電潜像を担持する像担持体を有することを特徴とする請求項7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
更に、像担持体上の現像剤を除去するクリーニング部材を備え、
前記収容部は、前記クリーニング部材によって除去された現像剤を収容することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−29818(P2013−29818A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−128948(P2012−128948)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】