説明

カートリッジ

【課題】像担持体からの剥離部材の離間を抑制する。
【解決手段】カートリッジは、現像剤像が形成される感光体ドラム61と、感光体ドラム61を回転可能に受ける左右の側壁部と、感光体ドラム61の軸方向に沿って延びて左右の側壁部を連結する連結壁部150とを有し、左右の側壁部と連結壁部150とにより感光体ドラム61を囲む下フレーム100と、左右の側壁部と連結壁部150とに囲まれた感光体ドラム61を覆うように下フレーム100に取り付けられる上フレーム200と、連結壁部150から感光体ドラム61に向けて突出する剥離部162を有し、当該剥離部162により感光体ドラム61から用紙を剥離する剥離部材160とを備える。上フレーム200には、連結壁部150を押圧して弾性変形させることで剥離部162を感光体ドラム61に近づける押圧部250が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体から記録シートを剥離する剥離部材を備えたカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、現像剤像が形成される感光体などの像担持体の表面から用紙を剥離するための紙剥離爪(剥離部材)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭53−139847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記したような剥離部材が設けられている壁は、像担持体の軸方向に沿って長く延びているため、軸方向の中央付近が像担持体に対して近接または離間する方向に撓みやすくなっている。そして、この壁が特に像担持体から離間する方向に撓んだ場合、剥離部材も像担持体から離れてしまうので、像担持体の表面から用紙を剥離するという機能が低下するおそれがあった。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、像担持体からの剥離部材の離間を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明のカートリッジは、現像剤像が形成される像担持体と、像担持体を回転可能に受ける一対の第1壁部と、像担持体の軸方向に沿って延びて一対の第1壁部を連結する第2壁部とを有し、一対の第1壁部と第2壁部とにより像担持体を囲む第1フレームと、一対の第1壁部と第2壁部とに囲まれた像担持体を覆うように第1フレームに取り付けられる第2フレームと、第2壁部から像担持体に向けて突出する剥離部を有し、当該剥離部により像担持体から記録シートを剥離する剥離部材とを備えている。
第2フレームには、第2壁部を押圧して弾性変形させることで剥離部を像担持体に近づける押圧部が設けられている。
【0007】
このような構成によれば、第2フレームに、第2壁部を押圧して弾性変形させることで剥離部(剥離部材)を像担持体に近づける押圧部が設けられていることで、像担持体からの剥離部(剥離部材)の離間を抑制することができる。これにより、像担持体から記録シートを確実に剥離することができる。
【0008】
前記したカートリッジにおいて、押圧部は、前記軸方向の中央に設けられていることが好ましい。
【0009】
軸方向の中央は第2壁部が撓んだときの変形量が最も大きくなる部分なので、押圧部が軸方向の中央に設けられていることで、押圧部の押圧により、剥離部が像担持体から離間する方向へ第2壁部が撓むことを効果的に抑制することができる。これにより、像担持体からの剥離部の離間を効果的に抑制することができる。
【0010】
前記した各カートリッジにおいては、第2フレームの前記軸方向の中央に、当該第2フレームが第1フレームに取り付けられたときに第2壁部と係合する係合部が設けられていてもよい。
この場合、押圧部は、前記軸方向において係合部に隣接して設けられている構成とすることができる。
【0011】
このような構成によれば、第2フレームを第1フレームに取り付ける際に、押圧部および係合部の位置が確認しやすくなるので、係合部を第2壁部に係合させつつ、押圧部により第2壁部を押圧させた状態に組むことが容易となる。
【0012】
前記したカートリッジにおいて、押圧部は、前記軸方向において係合部の両側に設けられている構成とすることができる。
【0013】
このような構成によれば、押圧部が軸方向において係合部の一方側だけに設けられる構成と比較して、押圧部による第2壁部の押圧を安定させることができる。また、係合部の両側に押圧部が隣接して設けられることで、係合部にバランスよく力がかかることになるので、係合部と第2壁部との係合も安定させることができる。
【0014】
前記した押圧部が係合部に隣接して設けられているカートリッジにおいて、係合部は、第2フレームから延びる撓み変形可能な延出部と、延出部の端部に設けられて第2壁部に係止される爪部とを有し、押圧部は、第2フレームから延出部に沿って延びる基部と、基部から押圧方向に向けて突出する押圧突部とを有する構成とすることができる。
【0015】
このような構成によれば、押圧部と係合部が隣接して設けられている形態において、撓み変形可能な延出部を有する係合部の第2壁部への係合を容易としつつ、例えば、基部を厚く形成するなどすることで押圧部全体の剛性を高めることができる。これにより、押圧部により第2壁部を効率的に、かつ、安定して押圧することができる。
【0016】
前記した各カートリッジは、像担持体の表面を帯電させる帯電手段を備え、帯電手段は、像担持体と第2壁部との間に配置されている構成とすることができる。
また、前記した各カートリッジは、像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備え、クリーニング手段は、像担持体と第2壁部との間に配置されている構成とすることができる。
【0017】
このような帯電手段やクリーニング手段が像担持体と第2壁部との間に配置される構成では、像担持体と第2壁部との間に帯電手段などを配置するためのスペースを確保するため、第2壁部に補強用のリブなどを設けることができないので、第2壁部が撓みやすくなる。本発明は、そのような構成において有効である。
【0018】
前記した各カートリッジにおいて、剥離部の先端は、像担持体の表面に接触していることが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、像担持体の表面に記録シートが張り付いた場合であっても、像担持体から記録シートを効率的に剥離することができる。
【0020】
前記した各カートリッジにおいて、剥離部材は、第2壁部の前記軸方向一端から他端に向けて長く延びる形状に形成され、第2壁部に取り付けられる取付部と、当該取付部から像担持体に向けて突出する少なくとも1つの剥離部とを有する構成とすることができる。
【0021】
このような構成によれば、第2壁部に取り付けられる取付部が第2壁部の軸方向一端から他端に向けて長く延びる形状に形成されているので、第2壁部に1つの剥離部材を取り付けることで、カートリッジに剥離部材(剥離部)を設けることが可能となる。これにより、第2壁部に複数の剥離部材を取り付ける構成と比較して、カートリッジの製造工程を簡略化することができる。
【0022】
また、本発明のカートリッジにおいて、剥離部材は、第2壁部に取り付けられる取付部と、当該取付部から像担持体に向けて突出する少なくとも1つの剥離部とを有し、前記軸方向に並んで複数取り付けられている構成とすることもできる。
【0023】
このような構成によれば、剥離部材が軸方向に並んで複数取り付けられているので、剥離部材の取付工程において、各剥離部材(剥離部)の軸方向の間隔を調整することが可能となり、公差などに応じて最適な位置に剥離部を配置することができる。
【0024】
前記した各カートリッジにおいて、剥離部は、前記軸方向に並んで複数設けられていてもよい。
【0025】
このような構成によれば、像担持体の軸方向の全体において、像担持体から記録シートを良好に剥離することができる。
【0026】
前記した各カートリッジは、像担持体に形成された現像剤像を記録シートに転写する転写手段を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、カートリッジの第2フレームに、第2壁部を押圧して弾性変形させることで剥離部を像担持体に近づける押圧部が設けられているので、像担持体からの剥離部(剥離部材)の離間を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】カートリッジの一例としてのプロセスカートリッジが装着されたレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】プロセスカートリッジの断面図である。
【図3】プロセスカートリッジを構成する感光体カートリッジの上フレームと下フレームの斜視図である。
【図4】下フレームの後部を下側から見た斜視図である。
【図5】図3のA部拡大図である。
【図6】図3のB部拡大図である。
【図7】感光体カートリッジの斜視図(a)と、(a)のB部拡大図(b)である。
【図8】図7(a)のX−X拡大断面図である。
【図9】変形例に係る感光体カートリッジの拡大断面図である。
【図10】変形例に係る剥離部材が取り付けられた下フレームの後部を下側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、実施形態に係るカートリッジの一例としてのプロセスカートリッジ5が着脱可能に装着されるレーザプリンタ1(画像形成装置)の概略構成について説明した後、プロセスカートリッジ5の詳細な構成について説明する。
【0030】
また、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0031】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、記録シートの一例としての用紙Sを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙S上にトナー像(現像剤像)を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙S上のトナー像を熱定着する定着装置8とを主に備えている。
【0032】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙機構33と、レジストローラ34とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、用紙押圧板32によって上方に寄せられ、給紙機構33によってプロセスカートリッジ5に向けて供給され、レジストローラ34を通って感光体ドラム61と転写ローラ63との間に搬送される。
【0033】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に配置され、図示しないレーザ発光部や、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。この露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、感光体ドラム61の表面で高速走査されることで、感光体ドラム61の表面を露光する。
【0034】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、感光体カートリッジ6と、現像カートリッジ7とから構成されている。
【0035】
感光体カートリッジ6は、像担持体の一例としての感光体ドラム61と、帯電手段の一例としての帯電器62と、転写手段の一例としての転写ローラ63とを主に備えている。
【0036】
現像カートリッジ7は、感光体カートリッジ6に対して着脱自在となっており、感光体カートリッジ6に装着された状態、すなわち、プロセスカートリッジ5の一部として本体筐体2に対し着脱可能に装着されるように構成されている。この現像カートリッジ7は、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナー(現像剤)を収容するトナー収容部74と、アジテータ75とを主に備えている。
【0037】
プロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、アジテータ75によって撹拌されながら、まず供給ローラ72に供給され、次いで供給ローラ72から現像ローラ71に供給される。そして、現像ローラ71の回転に伴って、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0038】
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像(現像剤像)が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Sが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙S上に転写される。
【0039】
定着装置8は、プロセスカートリッジ5の後方に配置され、符号を省略して示すハロゲンヒータ、定着ベルト、ニップ板などを有する加熱ユニット81と、加熱ユニット81のニップ板との間で定着ベルトを挟持する加圧ローラ82とを主に備えている。この定着装置8では、用紙S上に転写されたトナー像を、用紙Sが加熱ユニット81と加圧ローラ82との間を通過する間に熱定着させている。トナー像が熱定着された用紙Sは、排紙ローラ23によって排紙トレイ22上に排出される。
【0040】
<プロセスカートリッジの詳細構成>
図2に示すように、プロセスカートリッジ5、より詳細には、プロセスカートリッジ5を構成する感光体カートリッジ6は、感光体ドラム61や帯電器62、転写ローラ63のほか、クリーニング手段の一例としてのクリーニングユニット64と、第1フレームの一例としての下フレーム100と、第2フレームの一例としての上フレーム200とを主に備えている。
【0041】
図3に示すように、下フレーム100は、一対の第1壁部の一例としての左側壁部110および右側壁部120と、感光体ドラム61の軸方向(左右方向)に沿って延びる底壁部130、前側壁部140および第2壁部の一例としての連結壁部150と、剥離部材160(図4参照)とを主に有して構成されている。
【0042】
左側壁部110および右側壁部120は、左右方向において対向しており、その下部が底壁部130によって連結され、前部が前側壁部140によって連結され、後部が連結壁部150によって連結されている。また、左右の側壁部110,120の後部は、感光体ドラム61を回転可能に支持する(受ける)とともに、クリーニングユニット64を支持している。
【0043】
なお、本実施形態において、左右の側壁部110,120と連結壁部150とは、感光体ドラム61やクリーニングユニット64の左右および後方を取り囲むように、平面視略U形状に設けられている。また、図示は省略するが、現像カートリッジ7は、左右の側壁部110,120、前側壁部140および感光体ドラム61によって囲まれたスペースに対して着脱可能に装着されることとなる。
【0044】
図4において後部を下側から見上げるように示す下フレーム100の連結壁部150は、略上下方向に延びる後壁部151と、略前後方向に延びる下壁部152とを有している。下壁部152の下面には、剥離部材160が貼着などにより左右方向に並んで複数取り付けられている。
【0045】
剥離部材160は、感光体ドラム61から用紙Sを剥離する部材であり、本実施形態においては、合成紙や合成紙と同等の柔らかさを有する紙などの紙により形成されている。各剥離部材160は、それぞれ、下壁部152に取り付けられる取付部161と、取付部161から前方に向けて突出する1つの剥離部162とを有して構成されている。
【0046】
取付部161は、左右方向に長い略矩形状に形成され、その左右方向中央付近の前端部には、当該取付部161が取り付けられた下壁部152の前端部152Aから感光体ドラム61に向けて突出するように剥離部162が設けられている。
【0047】
剥離部162は、略三角形状に形成されている。剥離部材160は、剥離部162の前端(先端)が感光体ドラム61の表面に接触するように、下壁部152に取り付けられている。画像形成時において、感光体ドラム61と転写ローラ63との間から搬出された用紙Sは、剥離部162の先端に当接することで、感光体ドラム61から剥離する。
【0048】
本実施形態においては、それぞれ1つの剥離部162を有する剥離部材160が、下壁部152に左右方向に並んで複数取り付けられているため、剥離部162は、左右方向に並んで複数設けられている。
【0049】
図3に示すように、連結壁部150の後壁部151には、左右方向における中央付近に、上フレーム200の後述する係合部240が係合する被係合部170が設けられている。被係合部170は、図5に示すように、後壁部151の後面よりも前方に向けて凹む形状をなす凹部171と、凹部171の上部で凹部171を跨ぐように形成された被押圧壁172とから構成され、後壁部151(連結壁部150)と一体に形成されている。係合部240は、凹部171と被押圧壁172によって形成された穴部173に係合する。
【0050】
図3に戻り、上フレーム200は、上壁部210と、上壁部210の左右両端から下方に向けて延びる左壁部220および右壁部230とを主に有して構成されている。この上フレーム200は、帯電器62(図3では図示省略)を支持しており、左右の側壁部110,120と連結壁部150とに囲まれた感光体ドラム61やクリーニングユニット64を上から覆うようにして下フレーム100に取り付けられる(図7(a)も参照)。
【0051】
上壁部210の後端部には、左右方向における中央付近に、係合部240と、押圧部250とが設けられている。
【0052】
係合部240は、上フレーム200が下フレーム100に取り付けられたときに、連結壁部150と係合する部分である。図6に示すように、係合部240は、上壁部210の後端部から下方に向けて延びる前後方向に撓み変形可能な延出部241と、延出部241の下端部から後方に向けて突出し、連結壁部150(被押圧壁172の下端)に係止される爪部242とを有して構成されている。
【0053】
押圧部250は、左右方向において係合部240に隣接して係合部240の両側に設けられている。より詳細に、押圧部250は、上壁部210の後端部における係合部240の左右両側から、係合部240の延出部241に沿うように下方に向けて延びる基部251と、基部251の後面から後方(押圧方向)に向けて突出するリブ状の押圧突部252とを有して構成されている。
【0054】
押圧突部252は、上下方向に沿って延びており、各基部251に2つずつ、合計4つ設けられている。この押圧突部252は、係合部240の延出部241の後面よりも後側に突出している。
【0055】
図8に示すように、クリーニングユニット64は、感光体ドラム61の表面をクリーニングするユニットであり、クリーニングローラ64Aと、回収ローラ64Bと、掻き取りフィルム64Cと、クリーニングローラ64Aなどを支持するフレーム64Dとを主に備えている。
【0056】
感光体ドラム61の表面に付着した紙粉などは、クリーニングローラ64Aによって回収され、回収ローラ64Bの表面に移動する。そして、回収ローラ64Bの表面に付着した紙粉などは、掻き取りフィルム64Cによって掻き落とされ、フレーム64Dに設けられた貯留部64Eに貯留される。
【0057】
本実施形態において、クリーニングユニット64は、下フレーム100に形成される、感光体ドラム61と連結壁部150(後壁部151)との間のスペースに配置され、下フレーム100に支持されている。
【0058】
次に、以上説明したプロセスカートリッジ5、より詳細には、プロセスカートリッジ5を構成する感光体カートリッジ6の組み立ての概略と押圧部250の作用について説明する。
【0059】
図3に示すように、まず、下フレーム100に、転写ローラ63(図2参照)や感光体ドラム61、クリーニングユニット64、剥離部材160などを組み付けるとともに、上フレーム200に帯電器62などを組み付ける。
【0060】
次に、図7(a),(b)に示すように、上フレーム200の係合部240を下フレーム100の被係合部170に係合させて、上フレーム200を下フレーム100に組み付ける。なお、本実施形態においては、下フレーム100と上フレーム200を組み付けた後に、両フレーム100,200に設けられた貫通孔を通して、感光体ドラム61に軸61A(金属棒)を挿入する。
【0061】
図7(b)に示すように、係合部240が被係合部170に係合すると、押圧部250の押圧突部252が連結壁部150の被押圧壁172を後方に向けて押圧することとなる。図8に示すように、連結壁部150は、被押圧壁172(後壁部151の上部)が後方に向けて押圧されることで、その全体が弾性変形して図示反時計回り方向に向けてねじれることとなる。これにより、下壁部152の前端部152Aが前斜め上方に向けて変位するので、下壁部152に取り付けられた剥離部材160の剥離部162の先端が感光体ドラム61の表面に近づき、押し当てられることとなる。
【0062】
以上によれば、本実施形態において以下のような作用効果を得ることができる。
上フレーム200に、連結壁部150を押圧して弾性変形させることで剥離部162(剥離部材160)を感光体ドラム61に近づける押圧部250が設けられていることで、感光体ドラム61からの剥離部162の離間を抑制することができる。これにより、感光体ドラム61から用紙Sを確実に剥離することができる。
【0063】
特に、本実施形態では、剥離部162の先端が感光体ドラム61の表面に接触しているので、仮に、感光体ドラム61の表面に用紙Sが張り付いた場合であっても、感光体ドラム61から用紙Sを効率的に剥離することができる。
【0064】
さらに、本実施形態では、剥離部162が左右方向に並んで複数設けられているので、感光体ドラム61の軸方向の全体において、感光体ドラム61から用紙Sを良好に剥離することができる。
【0065】
また、本実施形態では、連結壁部150が撓んだときの変形量が最も大きい左右方向の中央に、押圧部250が設けられているので、剥離部162が感光体ドラム61から離間する方向へ連結壁部150が撓むことを効果的に抑制することができる。これにより、感光体ドラム61からの剥離部162の離間を効果的に抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態では、押圧部250が左右方向において係合部240に隣接して設けられているので、上フレーム200を下フレーム100に取り付ける際に、押圧部250および係合部240の位置が確認しやすくなる。これにより、係合部240を連結壁部150(被係合部170)に係合させつつ、押圧部250により連結壁部150を押圧させた状態に組むことが容易となる。
【0067】
なお、押圧部250と係合部240が隣接して設けられていることで、係合部240と押圧部250はともに被係合部170の穴部173に係合する構成となっている。そして、係合部240の延出部241の上下の長さが押圧部250の基部251の上下の長さよりも大きくなっているので、まず、係合部240が穴部173に挿入され、次いで、押圧部250が穴部173に挿入されていくこととなる。すなわち、本実施形態では、押圧部250と係合部240が隣接して設けられていることで、係合部240を押圧部250のガイドとして機能させることができる。
【0068】
また、本実施形態では、押圧部250が係合部240の左右両側に設けられているので、押圧部250が左右一方側だけに設けられる構成と比較して、押圧部250による連結壁部150の押圧を安定させることができる。また、係合部240の左右両側に押圧部250が隣接して設けられることで、係合部240にバランスよく力がかかることになるので、係合部240と連結壁部150との係合も安定させることができる。
【0069】
また、本実施形態では、係合部240の延出部241と押圧部250の基部251とが独立して設けられているので、撓み変形可能な延出部241を有する係合部240の連結壁部150への係合を容易としつつ、例えば、基部251を厚く形成するなどすることで押圧部250全体の剛性を高めることができる。これにより、押圧部250により連結壁部150を効率的に、かつ、安定して押圧することができる。
【0070】
さらに、本実施形態では、剥離部材160が左右方向に並んで複数取り付けられているので、剥離部材160の取付工程において、各剥離部材160(剥離部162)の左右方向の間隔をある程度自由に調整することが可能となる。これにより、公差などに応じて最適な位置に剥離部162を配置することができる。
【0071】
なお、前記実施形態のような構成では、感光体ドラム61と連結壁部150との間にクリーニングユニット64を配置するためのスペースを確保するために、連結壁部150に補強用のリブなどを設けることができないので、連結壁部150が前後方向に撓みやすくなっている。したがって、連結壁部150の撓みを抑制する本発明は、前記実施形態のような構成において特に有効である。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0073】
前記実施形態では、押圧部250が左右方向(像担持体の軸方向)の中央付近に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、押圧部は、像担持体の軸方向の一端寄りに設けられていてもよいし、軸方向の中央を挟んで両側に1つずつまたは複数設けられていてもよい。
【0074】
前記実施形態では、押圧部250が係合部240に隣接して設けられていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、係合部が軸方向の一端寄りに設けられ、押圧部が軸方向の他端寄りに設けられていてもよい。また、係合部および押圧部のうちの一方が軸方向の中央に設けられ、他方が軸方向の中央を挟んで軸方向の両側に設けられていてもよい。
【0075】
前記実施形態では、連結壁部150は、押圧部250により後壁部151の上部が後方に向けて押圧されることで、その全体が弾性変形してねじれることで、剥離部162が感光体ドラム61に近づくように構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、連結壁部150’は、押圧部250’により後端部が上方に向けて押圧されることで、特に左右方向中央が弾性変形して上方に向けて撓み、これによって前端部が上方に変位することで、剥離部162の先端が感光体ドラム61に近づくように構成されていてもよい。
【0076】
なお、補足すると、図9に示す変形例において、連結壁部150’は、前記実施形態の下壁部152のみから構成されるような左右方向に長い略板状に形成されている。また、押圧部250’は、上フレーム200の左右方向中央付近に設けられており、上壁部210の後端部から下方に向けて延びるアーム部251’と、アーム部251’の下端部から前方に向けて突出し、連結壁部150’の後端部の下面に係合する爪部252’とから構成されている。
【0077】
当該変形例において、下フレーム100(連結壁部150’)および上フレーム200(押圧部250’)は、上フレーム200が下フレーム100に組み付けられたとき、爪部252’が連結壁部150’の後端部を上方に向けて押圧可能な寸法に形成されている。また、爪部252’は、前記実施形態の係合部240と同様の機能(上フレーム200を下フレーム100に係止する機能)も有している。
【0078】
なお、前記実施形態(図8参照)の構成によれば、押圧部250(基部251)の上下の長さを、図9に示す押圧部250’(アーム部251’)の上下の長さよりも短くすることができるので、押圧部250の強度を確保することができる。これにより、押圧部250による連結壁部150の押圧を安定させることができるので、感光体ドラム61からの剥離部162の離間を安定的に抑制することができる。
【0079】
前記実施形態では、同一形状の複数の剥離部材160が連結壁部150(第2壁部)に取り付けられていたが、本発明はこれに限定されず、剥離部材の形状は異なっていてもよい。例えば、図4を参考にして説明すると、連結壁部150の左右方向両端に前記実施形態の剥離部材160を取り付け、左右方向中央付近に取付部161の左右の長さが長い剥離部材(図4の中央の4つの剥離部材160が一体に形成されたような剥離部材)を取り付けてもよい。
【0080】
前記実施形態では、連結壁部150に剥離部材160が左右方向に並んで複数取り付けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図10に示すように、連結壁部150(下壁部152)に剥離部材160’が1つだけ取り付けられていてもよい。
【0081】
補足すると、図10に示す変形例において、剥離部材160’は、連結壁部150の左右方向に沿って長く延びる略矩形状に形成された取付部161’と、取付部161’から感光体ドラム61に向けて突出する複数の剥離部162’とを有して構成されている。このような剥離部材160’によれば、連結壁部150に1つだけ取り付けることで一度に剥離部162’を設けることが可能となるので、複数の剥離部材160を取り付ける構成と比較して、カートリッジの製造工程を簡略化することができる。
【0082】
前記実施形態では、剥離部162の先端が感光体ドラム61(像担持体)の表面に接触していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、像担持体から記録シートを剥離する機能を十分に果たせるのであれば、剥離部は、先端が像担持体の表面との間に所定の隙間を有する状態で設けられていてもよい。
【0083】
前記実施形態では、剥離部162が左右方向(像担持体の軸方向)並んで複数設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、像担持体から記録シートを剥離する機能を十分に果たせるのであれば、剥離部は1つだけであってもよい。
【0084】
前記実施形態では、剥離部材160が合成紙などの紙により形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、剥離部材は、像担持体から記録シートを剥離する機能を十分に果たせるのであれば、その他の材料、例えば、PETなどの樹脂製のフィルムにより形成されていてもよい。
【0085】
前記実施形態では、感光体ドラム61(像担持体)と連結壁部150との間にクリーニングユニット64が配置されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図8を参考にして説明すると、プロセスカートリッジ5がクリーニングユニット64を備えない構成である場合、感光体ドラム61と連結壁部150との間に帯電器62を配置してもよい。これによると、感光体ドラム61の上方には部材が配置されない構成が実現できるので、左右の側壁部110,120の上下方向の寸法を小さくすることで、プロセスカートリッジ5(感光体カートリッジ6)の小型化が可能となる。
【0086】
前記実施形態では、帯電手段として帯電器62を例示したが、帯電器は、スコロトロン型帯電器であってもよいし、コロトロン型帯電器であってもよいし、鋸歯帯電器であってもよい。また、帯電手段は、帯電器に限定されず、例えば、帯電ローラなどであってもよい。
【0087】
前記実施形態では、クリーニング手段として、下フレーム100に組み付けられるクリーニングユニット64を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図8を参考にして説明すると、下フレーム100にトナーを貯留するための貯留部などを直接形成し、下フレーム100が、クリーニング手段の他の例としてのクリーニングローラ64Aや回収ローラ64B、掻き取りフィルム64Cなどを直接支持するように構成されていてもよい。また、感光体の表面からトナーなどを回収する部材は、ローラに限定されず、例えば、ブレード状の部材などであってもよい。
【0088】
前記実施形態では、転写手段として転写ローラ63を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、転写チャージャなどであってもよい。
【0089】
前記実施形態では、カートリッジとして、現像カートリッジ7が感光体カートリッジ6に対して着脱自在なプロセスカートリッジ5を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、カートリッジは、前記実施形態の感光体カートリッジ6であってもよいし、前記実施形態の感光体カートリッジ6と現像カートリッジ7が一体(着脱不能)に形成されたプロセスカートリッジであってもよい。
【0090】
前記実施形態では、本発明のカートリッジが使用される画像形成装置として、モノクロ画像を形成するレーザプリンタ1を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、カラー画像を形成するプリンタであってもよい。また、画像形成装置は、プリンタに限定されず、例えば、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。
【0091】
前記実施形態では、記録シートとして、普通紙やはがきなどの用紙Sを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 レーザプリンタ
2 本体筐体
5 プロセスカートリッジ
61 感光体ドラム
62 帯電器
63 転写ローラ
64 クリーニングユニット
100 下フレーム
110 左側壁部
120 右側壁部
150 連結壁部
160 剥離部材
161 取付部
162 剥離部
200 上フレーム
240 係合部
241 延出部
242 爪部
250 押圧部
251 基部
252 押圧突部
S 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤像が形成される像担持体と、
前記像担持体を回転可能に受ける一対の第1壁部と、前記像担持体の軸方向に沿って延びて前記一対の第1壁部を連結する第2壁部とを有し、前記一対の第1壁部と前記第2壁部とにより前記像担持体を囲む第1フレームと、
前記一対の第1壁部と前記第2壁部とに囲まれた前記像担持体を覆うように前記第1フレームに取り付けられる第2フレームと、
前記第2壁部から前記像担持体に向けて突出する剥離部を有し、当該剥離部により前記像担持体から記録シートを剥離する剥離部材と、を備えたカートリッジであって、
前記第2フレームには、前記第2壁部を押圧して弾性変形させることで前記剥離部を前記像担持体に近づける押圧部が設けられていることを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
前記押圧部は、前記軸方向の中央に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記第2フレームには、前記軸方向の中央に、当該第2フレームが前記第1フレームに取り付けられたときに前記第2壁部と係合する係合部が設けられ、
前記押圧部は、前記軸方向において前記係合部に隣接して設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記押圧部は、前記軸方向において前記係合部の両側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記係合部は、前記第2フレームから延びる撓み変形可能な延出部と、前記延出部の端部に設けられて前記第2壁部に係止される爪部とを有し、
前記押圧部は、前記第2フレームから前記延出部に沿って延びる基部と、基部から押圧方向に向けて突出する押圧突部とを有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記像担持体の表面を帯電させる帯電手段を備え、
前記帯電手段は、前記像担持体と前記第2壁部との間に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備え、
前記クリーニング手段は、前記像担持体と前記第2壁部との間に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記剥離部の先端は、前記像担持体の表面に接触していることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記剥離部材は、前記第2壁部の前記軸方向一端から他端に向けて長く延びる形状に形成され、前記第2壁部に取り付けられる取付部と、当該取付部から前記像担持体に向けて突出する少なくとも1つの前記剥離部とを有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記剥離部材は、前記第2壁部に取り付けられる取付部と、当該取付部から前記像担持体に向けて突出する少なくとも1つの前記剥離部とを有し、前記軸方向に並んで複数取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記剥離部は、前記軸方向に並んで複数設けられていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記像担持体に形成された現像剤像を記録シートに転写する転写手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−50492(P2013−50492A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186887(P2011−186887)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】