カートリッジ
【課題】薬液が格納されたカートリッジから薬液が漏れる可能性を低減するカートリッジを提供すること。
【解決手段】 薬液が格納されるカートリッジであって、第1の容器と、前記第1の容器内に設けられた、前記薬液が格納される第2の容器と、前記第1の容器と前記第2の容器との間に、前記第2の容器に格納される薬液により生じる気体を排気する排気路と、を備えることを特徴とする。
【解決手段】 薬液が格納されるカートリッジであって、第1の容器と、前記第1の容器内に設けられた、前記薬液が格納される第2の容器と、前記第1の容器と前記第2の容器との間に、前記第2の容器に格納される薬液により生じる気体を排気する排気路と、を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、医療の分野において、医療用器具等の被滅菌物を滅菌する滅菌装置が用いられている。
【0003】
この滅菌装置は、滅菌剤としての過酸化水素、又は過酸化水素溶液を気化させ、その気化した過酸化水素が被滅菌物に接することにより、被滅菌物を滅菌している。
【0004】
従来、滅菌装置で使用される滅菌剤は、特許文献1に記載されているように、滅菌1回分の量の滅菌剤を含むセルを複数有するカセットから、滅菌装置により1回分の量が吸い取られ、被滅菌物の滅菌に使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−158958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
気化できる滅菌剤の量は、滅菌室内の容積に応じて決定されるため、滅菌処理で用いられる滅菌剤の使用量は、滅菌室内の容積により決定される。
【0007】
また、従来、滅菌装置の種類に応じて滅菌室の容積が異なる場合がある。そのため、滅菌室の容積が異なる複数種の滅菌装置を使用する場合は、それぞれの滅菌装置にあわせた滅菌剤のカセットが必要となる。すなわち、それぞれの滅菌装置で滅菌剤の使用量が異なるため、それぞれの滅菌装置で用いるカセットをそれぞれ用意する必要があり、汎用的ではなく、それぞれのカセットを購入するコストがかかってしまうという問題があった。
【0008】
そこで、1つのボトルに滅菌処理を複数回行える量の滅菌剤が入ったカートリッジを用いることが考えられる。
【0009】
しかし、そのようなカートリッジを用いた場合、カートリッジに入れる液体の滅菌剤(例えば、過酸化水素水溶液)が多くなるため、カートリッジを保存している間にカートリッジ内の過酸化水素が分解されて発生する水や酸素の気体により、カートリッジ内の気圧が高まり、カートリッジが破損したり、液漏れを起こしてしまう可能性が高まる。また、カートリッジを落としたりして、カートリッジが破損した場合も、カートリッジ内の滅菌剤の液が漏れてしまう可能性が高まる。
【0010】
本発明は、薬液が格納されたカートリッジから薬液が漏れる可能性を低減するカートリッジを提供することカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、薬液が格納されるカートリッジであって、第1の容器と、前記第1の容器内に設けられた、前記薬液が格納される第2の容器と、前記第1の容器と前記第2の容器との間に、前記第2の容器に格納される薬液により生じる気体を排気する排気路と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、薬液が格納されたカートリッジから薬液が漏れる可能性を低減するカートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る滅菌装置の外観を正面から見た図である。
【図2】本発明に係る滅菌装置のハードウエアの構成の一例を示す図である。
【図3】本発明に係る、滅菌装置に用いられる滅菌剤のカートリッジ205を横側から見た図である。
【図4】本発明に係るカートリッジの断面1の断面図である。
【図5】本発明に係る断面2をカートリッジの下側から見たシール301の裏面の図である。
【図6】本発明に係る断面2をカートリッジの上側から見た断面図である。
【図7】本発明に係る断面3をカートリッジの上側から見た断面図である。
【図8】本発明に係る断面4をカートリッジの上側から見た断面図である。
【図9】本発明に係る断面5をカートリッジの上側から見た断面図である。
【図10】図4に示した断面図の一部(カートリッジの上部)を拡大した断面図である。
【図11】本発明に係るカートリッジの断面1の断面図である。
【図12】本発明に係る断面2をカートリッジの下側から見たシール301の裏面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を用いて、本発明に係る、滅菌装置に用いられる滅菌剤のカートリッジについて、説明する。
<第1の実施の形態>
【0015】
以下、図面を用いて、本発明の、滅菌剤のカートリッジの第1の実施形態について説明する。
【0016】
まず、図1を用いて、本発明の、滅菌剤のカートリッジが用いられる滅菌装置の外観について説明する。
【0017】
図1は、本発明の滅菌剤のカートリッジが用いられる滅菌装置の外観を正面から見た図である。
【0018】
100は、本発明に係る滅菌装置であり、101は、カートリッジ取付用扉であり、102は、表示部であり、103は、印刷部103であり、104は、滅菌室の扉である。
【0019】
カートリッジ取付用扉101は、滅菌剤(例えば、過酸化水素、又は過酸化水素溶液の液体)が充填(格納)された容器であるカートリッジを取り付けるための扉である。カートリッジ取付用扉101を開くと、カートリッジの取り付け場所があり、ユーザは、そこにカートリッジを取り付けることができるようになる。
【0020】
表示部102は、液晶ディスプレイなどのタッチパネルの表示画面である。印刷部103は、滅菌処理の履歴や滅菌結果を印刷用紙に印刷するプリンタであり、適宜、滅菌処理の履歴や滅菌結果を印刷用紙に印刷する。
【0021】
滅菌室の扉104は、例えば医療用器具などの被滅菌対象物(被滅菌物)を滅菌するために、該被滅菌物を滅菌室に入れるための扉である。滅菌室の扉104を開くと、滅菌室があり、そこに該被滅菌物を入れて、滅菌室の扉104を閉じることで、滅菌室内に被滅菌対象物を入れ、滅菌室内を密閉することができる。
【0022】
滅菌室は、所定の容量の筐体である。滅菌室内の圧力は大気圧から真空圧までの圧力を維持することが可能である。また、滅菌室内の温度は、滅菌処理中において、所定の範囲の温度に維持されている。
【0023】
次に、図2を用いて、本発明の、滅菌剤のカートリッジが用いられる滅菌装置のハードウエアの構成の一例について説明する。
【0024】
図2は、本発明に係る、滅菌剤のカートリッジが用いられる滅菌装置のハードウエアの構成の一例を示す図である。
【0025】
本発明に係る滅菌装置100は、演算処理部(MPU等)201と、表示部102と、印刷部103と、ロック動作制御部202と、抽出針動作制御部203と、滅菌室の扉101と、液センサ204と、カートリッジ205と、RF−IDリーダ/ライタ206と、液送ロータリーポンプ207と、準備室208と、気送加圧ポンプ209と、吸気用HEPAフィルタ210と、弁(V5)217と、弁(V7)226と、滅菌室(真空チャンバーとも言う)219と、気送真空ポンプ220と、排気用HEPAフィルタ221と、滅菌剤分解装置222と、液送ロータリーポンプ223と、排気蒸発炉224とから構成されている。
【0026】
演算処理部(MPU等)201は、演算処理を行い、滅菌装置100を構成する各ハードウエアを制御する。
【0027】
表示部102、印刷部103、カートリッジ取付用扉101は、既に図1を用いて説明しているため、ここでは説明を省略する。
【0028】
ロック動作制御部202は、カートリッジ取付用扉101の施錠、開錠の動作を行う部であり、カートリッジ取付用扉101を施錠することにより、カートリッジ取付用扉101を開かないようにし、また、カートリッジ取付用扉101を開錠することにより、カートリッジ取付用扉101を開けることができるようにする。
【0029】
カートリッジ205は、滅菌剤(過酸化水素、又は過酸化水素溶液の液体)が充填され、密閉された容器である。また、カートリッジ205の下側にはRF−IDの記憶媒体を備えており、その記憶媒体には、該カートリッジを識別する情報としてのシリアル番号と、該カートリッジの製造年月日、該カートリッジが初めて滅菌装置で使用された日時(初回使用日時)、該カートリッジ内に充填されている滅菌剤の残量が記憶されている。
【0030】
抽出針動作制御部203は、カートリッジ内の滅菌剤を吸引するための抽出針(注射針)をカートリッジの上部から刺すために、当該抽出針を動作する部である。すなわち、抽出針は、滅菌剤を吸引するためのストロー(細い筒)である。
【0031】
すなわち、カートリッジ内の滅菌剤を吸引するための抽出針(注射針)をカートリッジの上部から刺す場合は、抽出針(注射針)をカートリッジに向けて、該カートリッジの上部から降ろすように動作することで、抽出針(注射針)をカートリッジの上部から刺すことができる。また、抽出針(注射針)をカートリッジから抜く場合は、該カートリッジの上部に抽出針(注射針)を上げるように動作することで、抽出針(注射針)をカートリッジから抜くことができる。
【0032】
液センサ204は、カートリッジ205内の液体の滅菌剤が、抽出針(注射針)から液送ロータリーポンプ207、液送ロータリーポンプ223に導通している管(導管)を通っているかを検出する装置である。具体的には、該管に赤外線を照射して得られるスペクトルから滅菌剤が該管を通っているかを検出することができる。
【0033】
RF−IDリーダ/ライタ206は、カートリッジ205の下側に備え付けられているRF−IDから、シリアル番号、製造年月、初回使用日時、滅菌剤の残量を読み取ることができる装置である。また、RF−IDリーダ/ライタ206から、カートリッジ205の下側に備え付けられているRF−IDに、初回使用日時、滅菌剤の残量を書き込むことができる装置である。また、RF−IDリーダ/ライタ206は、カートリッジ取付用扉101の裏にあるカートリッジの取り付け場所の下部に設置されており、カートリッジ205の下側に備え付けられているRF−IDを読み取ること、及び初回使用日時、滅菌剤の残量等のデータをRF−IDに書き込むことが可能である。
【0034】
液送ロータリーポンプ207は、準備室208と導管により導通しており、また、液センサ204と導管により導通している。液送ロータリーポンプ207は、カートリッジ205内の液体の滅菌剤をポンプにより吸引して、導管を通して滅菌剤を準備室208に送る装置である。また、液送ロータリーポンプ207は、液センサ204と連携して、カートリッジ205から、滅菌剤の所定量を吸引することができる。
【0035】
準備室208は、液送ロータリーポンプ207と、気送加圧ポンプ209と、滅菌室219と、それぞれ導管により導通している。準備室208は、液送ロータリーポンプ207から導管を通じて送り込まれた滅菌剤を、滅菌室(真空チャンバー)219に送り込む前に、送り込み処理のタイミングを制御するために滅菌剤の準備を行うスペースである。
【0036】
また、準備室208と滅菌室219の間の導管の間には弁(5)217が設けられている。
【0037】
気送加圧ポンプ209は、それぞれ、準備室208と、吸気用HEPAフィルタ210と、導管により導通している。気送加圧ポンプ209は、滅菌装置100の外気(空気)を、吸気用HEPAフィルタ210を介して、吸気用HEPAフィルタ210との導管により導通して準備室208に送る装置である。
【0038】
吸気用HEPAフィルタ210は、それぞれ、気送加圧ポンプ209と、滅菌室219と、導管により導通している。吸気用HEPAフィルタ210は、滅菌装置100の外の外気(空気)中のちりやほこり、雑菌などを、HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタでフィルタリングして空気を清浄する。そして、その清浄された空気は、気送加圧ポンプ209により導管を通して準備室208に送られる。また、清浄された空気は、滅菌室219との導管により導通して滅菌室219に送り込まれる。すなわち、吸気用HEPAフィルタ210は、滅菌装置100の外の外気(空気)と導通している。そのため、気送加圧ポンプ209と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管と、滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管は、吸気用HEPAフィルタ210を介して、外気(空気)と導通している。
【0039】
また、吸気用HEPAフィルタ210と滅菌室219との間の導管には、弁(V7)226が設けられている。
【0040】
弁(V5)217は、準備室208と、滅菌室219との間の導管に設けられた弁であって、弁を開けることで準備室208と滅菌室219との間の導管による導通を可能にし、弁を閉めることで準備室208と滅菌室219との間の導管による導通を不可能にする弁である。
【0041】
弁(V7)226は、滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管に設けられた弁であって、弁を開けることで滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管による導通を可能にし、弁を閉めることで滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管による導通を不可能にする弁である。すなわち、弁(V7)226は、滅菌室219と外気(大気)との導通を開閉できる弁である。
【0042】
滅菌室(真空チャンバーとも言う)219は、図1でも説明したが、例えば医療用器具などの被滅菌対象物を滅菌する所定の容量の筐体である。滅菌室内の圧力は大気圧から真空圧までの圧力を維持することが可能である。また、滅菌室内の温度は、滅菌処理中において、所定の範囲の温度に維持されている。また、滅菌室219内には、圧力センサーが備えられており、圧力センサーにより滅菌室219内の圧力(気圧)を測定することができる。滅菌装置100は、この圧力センサーにより測定された滅菌室219内の気圧を用いて、滅菌室219内等の圧力(気圧)が所定の気圧になっているかを判定する。
【0043】
気送真空ポンプ220は、滅菌室219内の空間の気体を吸引して、空間内を減圧し真空状態(大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間内の状態)にする装置である。
【0044】
気送真空ポンプ220は、滅菌室219との間で導管により導通されており、排気用HEPAフィルタ221との間で導管により導通されている。
【0045】
排気用HEPAフィルタ221は、気送真空ポンプ220との間で導管により導通されている。また、排気用HEPAフィルタ221は、排気蒸発炉224との間で導管により導通されている。また、排気用HEPAフィルタ221は、滅菌剤分解装置222との間で導管により導通されている。また、排気用HEPAフィルタ221は、準備室208との間で導管により導通されている。
【0046】
排気用HEPAフィルタ221は、気送真空ポンプ220により、滅菌室219内等から吸引された気体を、気送真空ポンプ220との間の導管から送られた気体内のちりやほこり、雑菌などを、HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタでフィルタリングして、吸引された気体を清浄する。そして、清浄された気体は、滅菌剤分解装置222と排気用HEPAフィルタ221との間の導管を通り、滅菌剤分解装置222に送られ、滅菌剤分解装置222により該気体に含まれる滅菌剤の分子を分解し、分解後の分子を滅菌装置100の外に放出する。
【0047】
また、排気用HEPAフィルタ221は、排気蒸発炉224から、排気蒸発炉224と排気用HEPAフィルタ221との間の導管を通り送られてくる気化された滅菌剤を清浄する。そして、その洗浄された滅菌剤(気体)は、滅菌剤分解装置222と排気用HEPAフィルタ221との間の導管を通り、滅菌剤分解装置222に送られ、滅菌剤分解装置222により該気体に含まれる滅菌剤の分子を分解し、分解後の分子を滅菌装置100の外に放出する。
【0048】
滅菌剤分解装置222は、排気用HEPAフィルタ221との間の導管により導通されている。滅菌剤分解装置222は、滅菌剤分解装置222と排気用HEPAフィルタ221との間の導管から送られてくる気体に含まれる滅菌剤の分子を分解して、分解して生成される分子を滅菌装置100の外に放出する。
【0049】
滅菌剤分解装置222は、例えば、滅菌剤が過酸化水素、又は過酸化水素溶液である場合、気化された過酸化水素を、二酸化マンガン等を触媒として用いて、水と酸素に分解することができる装置である。
【0050】
液送ロータリーポンプ223は、排気蒸発炉224と導管により導通しており、また、液センサ204と導管により導通している。
【0051】
液送ロータリーポンプ223は、カートリッジ205内の全ての液体の滅菌剤をポンプにより吸引して、液センサ204と液送ロータリーポンプ223との間の導管を通して送られるその全ての滅菌剤を、液送ロータリーポンプ223と排気蒸発炉224との間の導管を通して、排気蒸発炉224に送る装置である。
【0052】
排気蒸発炉224は、液送ロータリーポンプ223と導管により導通しており、また、排気用HEPAフィルタ221と導管により導通している。
【0053】
排気蒸発炉224は、液送ロータリーポンプ223と排気蒸発炉224との間の導管を通して送られる、カートリッジ205内の全ての液体の滅菌剤を、排気蒸発炉224に備え付けられたヒーターにより加熱し、その滅菌剤の全てを気化させる。そして、気化された滅菌剤は、排気用HEPAフィルタ221と排気蒸発炉224との間の導管を通して、排気用HEPAフィルタ221に送られる。
【0054】
このように、滅菌装置100は、カートリッジ205内に格納されている滅菌剤を廃棄する場合には、液送ロータリーポンプ223が、カートリッジ205内に格納されている滅菌剤を吸い出して、排気蒸発炉224に滅菌剤を入れ、排気蒸発炉224で滅菌剤を気化させて、排気用HEPAフィルタ221に送る。そして、滅菌装置100は、排気用HEPAフィルタ221で清浄された気体(滅菌剤)を滅菌剤分解装置222で分解して、生成される水と酸素を外部に放出する。これにより、カートリッジ205内に格納されている滅菌剤を廃棄することが可能となる。
【0055】
滅菌装置100は、カートリッジ205の下側にはRF−IDの記憶媒体から読み取った、該カートリッジを識別する情報としてのシリアル番号、該カートリッジの製造年月日、該カートリッジが初めて滅菌装置で使用された日時(初回使用日時)、該カートリッジ内に充填されている滅菌剤の残量から、カートリッジ205内に格納されている全ての滅菌剤を廃棄すべきか否かを判定して、廃棄すると判定された場合には、上述した廃棄処理を行う。これは、例えば、滅菌剤の入ったカートリッジの製造年月日から、所定期間が経過した場合には、カートリッジ内の滅菌剤による滅菌効果が十分に得られない場合があるため、滅菌装置100は、滅菌剤の入ったカートリッジの製造年月日から、所定期間が経過した場合には、カートリッジ内の滅菌剤を廃棄する処理を行う。
【0056】
また、滅菌剤の入ったカートリッジが初めて滅菌装置で使用された日時(初回使用日時)から、所定期間が経過した場合には、カートリッジ内の滅菌剤による滅菌効果が十分に得られない場合があるため、滅菌装置100は、滅菌剤の入ったカートリッジが初めて滅菌装置で使用された日時(初回使用日時)から、所定期間が経過した場合には、カートリッジ内の滅菌剤を廃棄する処理を行う。これは、カートリッジ内の滅菌剤を抽出するために抽出針(細い管)がカートリッジ内に刺されると、滅菌剤の分解を促進する物質が混入してしまうおそれがあり、滅菌剤の分解が促進されてしまう場合がある。そのため、滅菌装置100は、滅菌剤の入ったカートリッジが初めて滅菌装置で使用された日時(初回使用日時)から、所定期間が経過した場合には、カートリッジ内の滅菌剤を廃棄する処理を行う。
【0057】
また、カートリッジ内に充填されている滅菌剤の残量が、1回分の滅菌処理を行うだけの量よりも少ない場合には、カートリッジ内の滅菌剤による滅菌処理が行えないため、滅菌装置100は、カートリッジ内に充填されている滅菌剤の残量が、1回分の滅菌処理を行うだけの量よりも少ない場合には、カートリッジ内の滅菌剤を廃棄する処理を行う。
【0058】
本発明の滅菌剤のカートリッジが用いられる滅菌装置100内の全ての弁は、滅菌処理開始時は、全て閉まっている状態である。
【0059】
滅菌処理を開始すると、本発明の滅菌剤のカートリッジが用いられる滅菌装置は、液送ロータリーポンプ207を用いて、カートリッジ205内の滅菌剤(過酸化水素水溶液)を吸い出して、準備室208に入れる。準備が整ったタイミング(気送真空ポンプ220により滅菌室219内を所定の気圧まで減圧したタイミング)で準備室208の滅菌剤を、弁(V5)217を開けて滅菌室219に入れることにより、当該滅菌剤が気化して、気化された滅菌剤が滅菌室219内にある被滅菌対象部に接触して、被滅菌対象物を滅菌することができる。
【0060】
そして、弁(V7)226を開けることにより、吸気用HEPAフィルタ210を介して、外気の空気が滅菌室219内に入ってくる。
【0061】
これにより、被滅菌対象物の内腔に気化した滅菌剤が多く入るため、該内腔に対する滅菌作用の効果が高まる。そして、気送真空ポンプ220で滅菌室219内のガスが吸引され、排気用HEPAフィルタ221を介して滅菌剤分解装置222に送られ、水と酸素に分解されて、外部に放出される。
【0062】
次に、図3を用いて、本発明に係る、滅菌装置に用いられる滅菌剤(過酸化水素水溶液)のカートリッジ205について説明する。本実施例では、滅菌剤として、過酸化水素水溶液を用いることとして説明する。
【0063】
図3は、本発明に係る、滅菌装置に用いられる滅菌剤のカートリッジ205を横側から見た図である。
【0064】
図3に示すカートリッジは、1つのボトルに滅菌処理を複数回行える量の滅菌剤が入ったカートリッジである。
【0065】
図3に示すカートリッジには、滅菌剤として用いられる過酸化水素などの薬液が格納される。
【0066】
図3に示すように、カートリッジは、第1の容器303と、その第1の容器303の蓋302と、蓋の上側のシール301とがある。
【0067】
第1の容器303の外観は、コップの形状をしている。また、この第1の容器303の材質(材料)は、滅菌剤である過酸化水素に対して耐性のあるポリプロピレン(プラスチック)である。この第1の容器303は、後述する第2の容器409を保護するためにも設けられている。
【0068】
蓋302は、第1の容器303の上側に第1の容器303を閉じるため蓋である。すなわち、蓋302は、第1の容器303の外周の淵と接着している。また、この蓋の材質は、滅菌剤である過酸化水素に対して耐性のあるポリプロピレン(プラスチック)である。
【0069】
シール301は、紙と両面テープから構成されており、蓋302に両面テープで張り付けられている。このシールの紙には、商品名などのカートリッジを識別する情報が記載されている。
【0070】
カートリッジの上側から見て、カートリッジの中心点でのカートリッジの断面を断面1とする。
【0071】
次に、図4を用いて、本発明に係るカートリッジの内部構造について説明する。
【0072】
図4は、本発明に係るカートリッジの断面1の断面図である。
【0073】
蓋302には、中心点に穴402があり、この穴402は、カートリッジ内の滅菌剤を吸引するための抽出針(注射針)をカートリッジの上側からカートリッジ内部に入れるための挿入口である。
【0074】
穴402は、本発明の第2の排気機構の適用例である。
【0075】
カートリッジ内の気体をカートリッジの外に排気する排気路の少なくとも一部は、第2の容器内から排気される気体を第1の容器内から排気する穴402(第2の排気機構)を有する第1の容器の蓋に構成されている。
【0076】
また、蓋302には、第2の容器409を固定するためのリブ405が設けられている。
【0077】
このように、蓋302は、第1の容器の蓋であって、滅菌装置により、過酸化水素水溶液を抽出されるための抽出針を挿入されるための穴402を有する。
【0078】
第1の容器303には、第2の容器409を固定するためのリブ408が設けられている。
【0079】
図4に示すように、第1の容器303の内部空間に、第2の容器409が入っている。
【0080】
すなわち、第2の容器409は、第1の容器内に設置されており、過酸化水素水溶液などの滅菌剤(薬液)を入れる容器である。
【0081】
この第2の容器409の内部には、液体の滅菌剤(過酸化水素水溶液)412が入っている。第2の容器409の材質は、滅菌剤である過酸化水素に対して耐性のあるポリエチレン(プラスチック)である。
【0082】
この第2の容器409と、第1の容器303との間の空間には、滅菌剤412を吸着する吸着剤407が充填されている。吸着剤407の材質は、滅菌剤と反応しない鉱石の一種であるバーミキュライトである。また、吸着剤407の代わりに、滅菌剤を分解するための触媒である二酸化マンガンや活性炭など分解剤を充填してもよい。吸着剤407には、吸着剤407だけではなく、滅菌剤を分解する物質である分解剤も充填している。
【0083】
このように、第1の容器と第2の容器との間の空間に、第2の容器内から排気される気体を吸着するための吸着剤が充填されている。
【0084】
また、第1の容器と第2の容器との間の空間に、更に、第2の容器内から排気される気体を分解するための分解剤が充填されている。
【0085】
このように、吸着剤、及び分解剤が充填されているため、有害な薬剤がカートリッジの外に流出する可能性を低減させることができる。
【0086】
また、第1の容器303の下部には、RF−ID413が埋め込まれている。
【0087】
第2の容器409の容器口には、キャップ411が装着されている。キャップ411の内部にはネジ410があり、キャップ411を回すことで、キャップ411を固定している。
【0088】
すなわち、キャップ411は、第2の容器の容器口、及び前記インナーパッキンを塞ぐ第2の容器のキャップである。
【0089】
また、このキャップ411には、中心点に穴406があり、この穴406は、カートリッジ内の滅菌剤を吸引するための抽出針(注射針)をカートリッジの上側からカートリッジ内部に入れるための挿入口となる。
【0090】
すなわち、穴406は、過酸化水素水溶液を抽出されるための抽出針を挿入するための穴である。
【0091】
また、このキャップ411と、キャップ411が固定された第2の容器409との間には、液体は通さないが、気体が通過することができる隙間がある。
【0092】
第2の容器409の容器口とキャップ411との間には、第2の容器409内の液体が外に漏れないようにするためのインナーパッキン401が設けられている。このインナーパッキン401の材質は、防水性と透湿性をあわせ持つ材料である。例えば、ポリテトラフルオロエチレンを延伸加工したフィルムとポリウレタンポリマーを複合化して作られたゴアテックス(アメリカのWLゴア&アソシエイツ社の商標名)を用いる。この材質は、1平方センチメートルに約14億個の微細な孔を含む材料であり、気体は通すものの、液体は通さない性質を有する材料である。そのため、第2の容器409内の気体を、第1の容器303と第2の容器409との間の空間に通すことが可能となる。そのため、本発明の滅菌剤のカートリッジで用いられるインナーパッキンは、ゴアテックスに限るものではなく、その他の防水透湿性素材であってもよい。たとえば、ゴアテックスは、多孔質タイプの防水透湿性素材であるが、DIAPLEXのように無孔質タイプの防水透湿性素材であってもよい。
【0093】
インナーパッキン401は、本発明の第1のパッキンの適用例である。本発明において、パッキンとは、カートリッジ内に詰められた液漏れを防ぐための詰め物(インナーパッキン401、パッキン403)を含む。
【0094】
このように、カートリッジ内の気体をカートリッジの外に排気する排気路の少なくとも一部は、第2の容器の容器口に設けられた防水透湿性を有する第1のパッキン(インナーパッキン401)に構成される。
【0095】
すなわち、インナーパッキン401は、第2の容器の容器口に第2の容器内を塞ぐ、気体は通し液体は通さない性質を有する材質(材料)である。
【0096】
また、キャップ411と蓋302との間には、パッキン403が設けられている。
【0097】
パッキン403は、本発明の第2のパッキンの適用例である。
【0098】
このパッキン403の材質は、緩衝材として用いられる発泡ポリエチレンである。パッキン403は、蓋302、キャップ411、第2の容器409、第1の容器303などの各部品の寸法誤差を吸収すること、及び、抽出針(注射針)をカートリッジから抜く際に針に着いた滅菌剤を落とすことのために用いる。また、パッキン403は、第1の容器303内部の気体を外部に排出するための経路を有する。
【0099】
パッキン403は、カートリッジを構成する各部品の寸法誤差を吸収するため、蓋302とキャップ411との間で圧力がかかり、圧縮(圧着)されている。そのため、パッキンに切れ目などが無い限り気体や液体を通すことは難しくなる。そこで、後で詳しく説明するが、ここで用いるパッキン403には、切れ目が入っており、第2の容器409と、第1の容器303との間の空間の気体が外部に排出されるようになっている。
【0100】
この切れ目は、本発明の第1の排気機構の適用例である。
【0101】
このように、カートリッジ内の気体をカートリッジの外に排気する排気路の少なくとも一部は、第2の容器内から排気される気体を第1の容器内から排気する前記第1の容器に圧着されている第1の排気機構(切れ目)を有するパッキン403(第2のパッキン)に構成される。
【0102】
図4に示すように、カートリッジは、カートリッジの上側から、シール301、蓋302、パッキン403、キャップ411、インナーパッキン401、第2の容器409、第1の容器303の順番で重なって構成されている。
【0103】
断面2は、シール301と、蓋302との間の断面である。断面3は、パッキン403と、蓋302との間の断面である。断面4は、キャップ411とパッキン403との間の断面である。断面5は、キャップ411とインナーパッキン401との間の断面である。
【0104】
次に、図5を用いて、本発明に係る断面2をカートリッジの下側から見たシール301の裏面について説明する。
【0105】
図5は、本発明に係る断面2をカートリッジの下側から見たシール301の裏面の図である。
【0106】
図5に示す通り、シール301は、カートリッジの形に合わせて円形をしている。
【0107】
図5に示すように、シール301の裏面は、蓋302と接着するための接着面であり、接着するための両面テープ(接着剤)が塗られている。図5に示す斜線部には、両面テープが塗られていることを示している。
【0108】
また、シール301の裏は、シールの円の中心点から円周にかけて両面テープが塗られていない両面テープなし部がある。この両面テープなし部は、蓋302と接着しないため、第1の容器303内の気体を外部に排気するための排気経路となる。
【0109】
シール301は、蓋302に接着可能なシールであって、蓋の穴402の位置から排気する排気経路として蓋302に接着不可能な部(両面テープなし部)を有するシールである。
【0110】
蓋302に接着不可能な部(両面テープなし部)は、本発明の第3の排気機構の適用例である。
【0111】
シール301は、第1の容器の蓋302に接着可能なシールであって、第1の容器の蓋302の穴(第2の排気機構)から排気される気体を第1の容器から排気する「蓋302に接着不可能な部(両面テープなし部)(第3の排気機構)」を有するシールに構成される。
【0112】
具体的には、シール301の第3の排気機構は、第1の容器の蓋の第2の排気機構から前記シールの縁まで前記第1の容器の蓋に接着しない非接着部(両面テープなし部)である。
【0113】
次に、図6を用いて、本発明に係る断面2をカートリッジの上側から見た断面について説明する。
【0114】
図6は、本発明に係る断面2をカートリッジの上側から見た断面図である。
【0115】
図6に示すように、第1の容器303の形にあわせた円の蓋302の中心点には、蓋の穴402が空いており、この穴は、カートリッジ内の滅菌剤を吸引するための抽出針(注射針)をカートリッジの上側からカートリッジ内部に入れるための挿入口である。
【0116】
次に、図7を用いて、本発明に係る断面3をカートリッジの上側から見た断面について説明する。
【0117】
図7は、本発明に係る断面3をカートリッジの上側から見た断面図である。
【0118】
円形状の第1の容器303の中心点を中心として、パッキン403が設けられている。
【0119】
このパッキン403には、図7に示すように切り込みが入っており、パッキンが無い部分701がある。
【0120】
この切り込みは、キャップの穴406までは到達しないが、蓋の穴402には到達する切り込みである。
【0121】
図7に示すように、蓋の穴402は、キャップの穴406よりも大きい穴である。
【0122】
パッキンが無い部分701は、蓋の穴402の部分の領域までパッキンが無い部分701があるが、キャップの穴406の部分の領域には、パッキンが無い部分701はない(すなわち、パッキンがある)。
【0123】
したがって、パッキン403は、蓋の穴402と、第1の容器303と第2の容器409との間の空間とが導通可能な排気経路(パッキンが無い部分701)を有する。
【0124】
このように、抽出針が挿入されるためのキャップの穴406が、パッキンが無い部分701と導通できないように、パッキン403が構成されているため、第2の容器409内の気体が、インナーパッキン401を通過して、キャップの穴406から出ないようにすることができる。そのため、第2の容器409内の気体に、仮に、過酸化水素が含まれていたとしても、カートリッジからは排出されにくくなっている。
【0125】
すなわち、蓋の穴402は、抽出針を挿入するためのキャップの穴406よりも大きい穴であり、パッキン403が有する排気経路(パッキンが無い部分701)は、パッキン403の縁から、蓋の穴402の位置と、抽出針が挿入されるためのキャップの穴406の位置との間までの長さである。
【0126】
次に、図8を用いて、本発明に係る断面4をカートリッジの上側から見た断面について説明する。
【0127】
図8は、本発明に係る断面4をカートリッジの上側から見た断面図である。
【0128】
キャップ411には、その中心にキャップの穴406がある。
【0129】
キャップの穴406は、カートリッジ内の滅菌剤を吸引するための抽出針(注射針)をカートリッジの上側からカートリッジ内部に入れるための挿入口である。
【0130】
次に、図9を用いて、本発明に係る断面5をカートリッジの上側から見た断面について説明する。
【0131】
図9は、本発明に係る断面5をカートリッジの上側から見た断面図である。
【0132】
図9に示すように、キャップ411と第2の容器409の容器口との間に、容器口を全てふさぐようにインナーパッキン401が設けられている。
【0133】
次に、図10を用いて、本発明に係るカートリッジ内の気体を外部に排出するための機構について説明する。
【0134】
図10は、図4に示した断面図の一部(カートリッジの上部)を拡大した断面図である。
【0135】
図10に示す点線は、第2の容器409内から外部に排出される気体の流れを示している。
【0136】
図10に示す通り、第2の容器409内の気体は、インナーパッキン401を通過し、キャップ411と第2の容器409の容器口との間を通過して、第1の容器303と第2の容器409との間の空間に到達する。ここで、到達した気体の中に、仮に、滅菌剤(過酸化水素)が含まれている場合は、吸着剤407により吸着される。また、吸着剤407に、滅菌剤を分解する分解剤が含まれているので、当該気体に含まれる滅菌剤を分解剤により分解する。例えば、気体に含まれる滅菌剤が過酸化水素である場合、分解剤として二酸化マンガンを用いて、過酸化水素を水と酸素に分解して生成する。
【0137】
また、第1の容器303と第2の容器409との間の空間に到達した気体(分解剤により分解され生成された生成物(水や酸素)を含む)は、キャップ411と蓋302との間の空間を通り、パッキン403へと到達する。パッキン403には、蓋の穴402の部分の領域までパッキンが無い部分701(切れ目)があるため、パッキン403に到達した気体は、その空間を通り、蓋の穴402へと抜ける。
【0138】
すなわち、パッキン403(第2のパッキン)において、パッキン403が無い部分701(切れ目)(第1の排気機構)は、第2の容器内から排気される、第1の容器と第2の容器との間の気体と、第1の容器の蓋の穴と導通可能に構成される。
【0139】
第1の容器の蓋の穴402は、本発明の第2の排気機構の適用例である。
【0140】
具体的には、パッキン403(第2のパッキン)の切れ目(第1の排気機構)は、第2の容器内から排気される、第1の容器と第2の容器との間の気体と、第2のパッキンが接する部分(パッキン403の縁、又は縁周辺)から、第1の容器の蓋の穴(第2の排気機構)に達し、第2の容器のキャップの穴に達しない長さのパッキン403(第2のパッキン)の切れ目である。
【0141】
また、シール301には、両面テープなし部があり、その部分が、蓋302とシール301が接着していないため、排気経路となっている。
【0142】
そのため、蓋の穴402へと抜けた気体は、両面テープなし部(排気経路)を通り、カートリッジ外に放出される。
【0143】
このようにして、カートリッジ内の気体をカートリッジ外に排出する経路を設けることで、カートリッジ内の滅菌剤(過酸化水素)が分解して生じた水や酸素により、第2の容器409内の内圧が上昇し、第2の容器409が破損したり、第2の容器409の容器口とキャップ411との間から滅菌剤が漏れることなどを防止することができる。
【0144】
さらに、カートリッジ内の滅菌剤(例えば、過酸化水素)が分解されて発生する水や酸素(生成物)の気体により、カートリッジ内の気圧が高まり、カートリッジが破損したり、カートリッジ内の滅菌剤がカートリッジの外に漏れてしまう可能性を低減させることができる。
【0145】
次に、図11を用いて、本発明に係るカートリッジの内部にカートリッジ内の滅菌剤を吸引するための抽出針(注射針)を挿入した際の構造について説明する。
【0146】
図11は、本発明に係るカートリッジの断面1の断面図である。
【0147】
滅菌装置100が、抽出針(注射針)をカートリッジに向けて、該カートリッジの上部から降ろすように動作することで、蓋の穴402、キャップの穴406に抽出針(注射針)が挿入される。
【0148】
このとき、シール301、パッキン403、インナーパッキン401は、注射針により貫通され、滅菌装置100は、第2の容器409に下部に注射針の先端が来るように動作する。
【0149】
このように、シール301、パッキン403、インナーパッキン401は、注射針により貫通可能な材質である。また、注射針による貫通が難しいキャップ411や蓋302には、予め挿入口が、キャップの穴、蓋の穴として設けられている。
<第2の実施の形態>
【0150】
以下、図面を用いて、本発明の滅菌剤のカートリッジの第2の実施形態について説明する。
【0151】
第2の実施形態は、第1の実施形態で説明したカートリッジのシール301のみが異なり、カートリッジに係る他の構成については第1の実施の形態と同様であるため、ここでは、第2の実施形態のシール301のみについて説明する。
【0152】
次に、図12を用いて、本発明に係る断面2をカートリッジの下側から見たシール301の裏面について説明する。
【0153】
図12は、本発明に係る断面2をカートリッジの下側から見たシール301の裏面の図である。
【0154】
図12に示す通り、シール301は、カートリッジの形に合わせて円形をしている。
【0155】
図12に示すように、シール301の裏面は、蓋302と接着するための接着面であり、接着するための両面テープ(接着剤)が塗られている。
【0156】
図12に示す両面テープ(接着面)には、両面テープが塗られていることを示している。
【0157】
また、シール301の裏は、シールの円の中心点から円周にかけてらせん状に両面テープが塗られていない両面テープなし部がある。この両面テープなし部は、蓋302と接着しないため、第1の容器303内の気体を外部に排気するための排気経路となる。
【0158】
シール301は、蓋302に接着可能なシールであって、蓋の穴402の位置から排気する排気経路として蓋302に接着不可能な部(両面テープなし部)を有するシールである。
【0159】
蓋302の接着不可能な部(両面テープなし部)は、本発明の第3の排気機構の適用例である。
【0160】
具体的には、シールの第3の排気機構は、第1の容器の蓋の穴(第2の排気機構)から、らせん状にシールの縁まで第1の容器の蓋に接着しない非接着部(両面テープなし部)である。
【0161】
図12に示すように、両面テープなし部が、シールの円の中心点から円周にかけてらせん状に両面テープが塗られていないため、もし、第2の容器に格納された滅菌剤の液体が、第2の容器から漏れて、更に、第1の容器と第2の容器と空間から、第2のパッキンが切れて無くなっている部分701を経由して、蓋の穴402からカートリッジの外に漏れだそうとしたとしても、らせん状の排気経路の途中でその滅菌剤の液体がカートリッジの外に漏れだすことを止めることができる。それゆえ、カートリッジに格納された滅菌剤の液体がカートリッジの外に漏れだす可能性を低減させることができるようになる。
【0162】
また、上述した第1の実施の形態、及び、第2の実施の形態では、本発明に係るカートリッジを滅菌装置で用いるカートリッジとして説明したが、上述した第1の実施の形態、及び、第2の実施の形態のカートリッジを、例えば、半導体製造装置で用いるカートリッジとして用いることもできる。半導体製造装置で用いるカートリッジの中には、上述したように、例えば、過酸化水素水溶液などの薬液が格納されており、その薬液をカートリッジから吸い出して半導体製造装置で用いることが可能である。
【0163】
以上、本発明によれば、滅菌装置に用いられる過酸化水素水溶液が入ったカートリッジから、過酸化水素水溶液が漏れる可能性を低減するカートリッジを提供することが可能となる。
また、本発明によれば、カートリッジ内の気圧が高まり、カートリッジが破損したり、液漏れを起こしてしまうおそれを低減させることができる。また、カートリッジを落としたりして、カートリッジが破損した場合も、カートリッジ内の滅菌剤の液が漏れてしまうおそれを低減させることができる。
【符号の説明】
【0164】
100 滅菌装置
101 カートリッジ取付用扉
102 表示部
103 印刷部
104 滅菌室の扉
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、医療の分野において、医療用器具等の被滅菌物を滅菌する滅菌装置が用いられている。
【0003】
この滅菌装置は、滅菌剤としての過酸化水素、又は過酸化水素溶液を気化させ、その気化した過酸化水素が被滅菌物に接することにより、被滅菌物を滅菌している。
【0004】
従来、滅菌装置で使用される滅菌剤は、特許文献1に記載されているように、滅菌1回分の量の滅菌剤を含むセルを複数有するカセットから、滅菌装置により1回分の量が吸い取られ、被滅菌物の滅菌に使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−158958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
気化できる滅菌剤の量は、滅菌室内の容積に応じて決定されるため、滅菌処理で用いられる滅菌剤の使用量は、滅菌室内の容積により決定される。
【0007】
また、従来、滅菌装置の種類に応じて滅菌室の容積が異なる場合がある。そのため、滅菌室の容積が異なる複数種の滅菌装置を使用する場合は、それぞれの滅菌装置にあわせた滅菌剤のカセットが必要となる。すなわち、それぞれの滅菌装置で滅菌剤の使用量が異なるため、それぞれの滅菌装置で用いるカセットをそれぞれ用意する必要があり、汎用的ではなく、それぞれのカセットを購入するコストがかかってしまうという問題があった。
【0008】
そこで、1つのボトルに滅菌処理を複数回行える量の滅菌剤が入ったカートリッジを用いることが考えられる。
【0009】
しかし、そのようなカートリッジを用いた場合、カートリッジに入れる液体の滅菌剤(例えば、過酸化水素水溶液)が多くなるため、カートリッジを保存している間にカートリッジ内の過酸化水素が分解されて発生する水や酸素の気体により、カートリッジ内の気圧が高まり、カートリッジが破損したり、液漏れを起こしてしまう可能性が高まる。また、カートリッジを落としたりして、カートリッジが破損した場合も、カートリッジ内の滅菌剤の液が漏れてしまう可能性が高まる。
【0010】
本発明は、薬液が格納されたカートリッジから薬液が漏れる可能性を低減するカートリッジを提供することカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、薬液が格納されるカートリッジであって、第1の容器と、前記第1の容器内に設けられた、前記薬液が格納される第2の容器と、前記第1の容器と前記第2の容器との間に、前記第2の容器に格納される薬液により生じる気体を排気する排気路と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、薬液が格納されたカートリッジから薬液が漏れる可能性を低減するカートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る滅菌装置の外観を正面から見た図である。
【図2】本発明に係る滅菌装置のハードウエアの構成の一例を示す図である。
【図3】本発明に係る、滅菌装置に用いられる滅菌剤のカートリッジ205を横側から見た図である。
【図4】本発明に係るカートリッジの断面1の断面図である。
【図5】本発明に係る断面2をカートリッジの下側から見たシール301の裏面の図である。
【図6】本発明に係る断面2をカートリッジの上側から見た断面図である。
【図7】本発明に係る断面3をカートリッジの上側から見た断面図である。
【図8】本発明に係る断面4をカートリッジの上側から見た断面図である。
【図9】本発明に係る断面5をカートリッジの上側から見た断面図である。
【図10】図4に示した断面図の一部(カートリッジの上部)を拡大した断面図である。
【図11】本発明に係るカートリッジの断面1の断面図である。
【図12】本発明に係る断面2をカートリッジの下側から見たシール301の裏面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を用いて、本発明に係る、滅菌装置に用いられる滅菌剤のカートリッジについて、説明する。
<第1の実施の形態>
【0015】
以下、図面を用いて、本発明の、滅菌剤のカートリッジの第1の実施形態について説明する。
【0016】
まず、図1を用いて、本発明の、滅菌剤のカートリッジが用いられる滅菌装置の外観について説明する。
【0017】
図1は、本発明の滅菌剤のカートリッジが用いられる滅菌装置の外観を正面から見た図である。
【0018】
100は、本発明に係る滅菌装置であり、101は、カートリッジ取付用扉であり、102は、表示部であり、103は、印刷部103であり、104は、滅菌室の扉である。
【0019】
カートリッジ取付用扉101は、滅菌剤(例えば、過酸化水素、又は過酸化水素溶液の液体)が充填(格納)された容器であるカートリッジを取り付けるための扉である。カートリッジ取付用扉101を開くと、カートリッジの取り付け場所があり、ユーザは、そこにカートリッジを取り付けることができるようになる。
【0020】
表示部102は、液晶ディスプレイなどのタッチパネルの表示画面である。印刷部103は、滅菌処理の履歴や滅菌結果を印刷用紙に印刷するプリンタであり、適宜、滅菌処理の履歴や滅菌結果を印刷用紙に印刷する。
【0021】
滅菌室の扉104は、例えば医療用器具などの被滅菌対象物(被滅菌物)を滅菌するために、該被滅菌物を滅菌室に入れるための扉である。滅菌室の扉104を開くと、滅菌室があり、そこに該被滅菌物を入れて、滅菌室の扉104を閉じることで、滅菌室内に被滅菌対象物を入れ、滅菌室内を密閉することができる。
【0022】
滅菌室は、所定の容量の筐体である。滅菌室内の圧力は大気圧から真空圧までの圧力を維持することが可能である。また、滅菌室内の温度は、滅菌処理中において、所定の範囲の温度に維持されている。
【0023】
次に、図2を用いて、本発明の、滅菌剤のカートリッジが用いられる滅菌装置のハードウエアの構成の一例について説明する。
【0024】
図2は、本発明に係る、滅菌剤のカートリッジが用いられる滅菌装置のハードウエアの構成の一例を示す図である。
【0025】
本発明に係る滅菌装置100は、演算処理部(MPU等)201と、表示部102と、印刷部103と、ロック動作制御部202と、抽出針動作制御部203と、滅菌室の扉101と、液センサ204と、カートリッジ205と、RF−IDリーダ/ライタ206と、液送ロータリーポンプ207と、準備室208と、気送加圧ポンプ209と、吸気用HEPAフィルタ210と、弁(V5)217と、弁(V7)226と、滅菌室(真空チャンバーとも言う)219と、気送真空ポンプ220と、排気用HEPAフィルタ221と、滅菌剤分解装置222と、液送ロータリーポンプ223と、排気蒸発炉224とから構成されている。
【0026】
演算処理部(MPU等)201は、演算処理を行い、滅菌装置100を構成する各ハードウエアを制御する。
【0027】
表示部102、印刷部103、カートリッジ取付用扉101は、既に図1を用いて説明しているため、ここでは説明を省略する。
【0028】
ロック動作制御部202は、カートリッジ取付用扉101の施錠、開錠の動作を行う部であり、カートリッジ取付用扉101を施錠することにより、カートリッジ取付用扉101を開かないようにし、また、カートリッジ取付用扉101を開錠することにより、カートリッジ取付用扉101を開けることができるようにする。
【0029】
カートリッジ205は、滅菌剤(過酸化水素、又は過酸化水素溶液の液体)が充填され、密閉された容器である。また、カートリッジ205の下側にはRF−IDの記憶媒体を備えており、その記憶媒体には、該カートリッジを識別する情報としてのシリアル番号と、該カートリッジの製造年月日、該カートリッジが初めて滅菌装置で使用された日時(初回使用日時)、該カートリッジ内に充填されている滅菌剤の残量が記憶されている。
【0030】
抽出針動作制御部203は、カートリッジ内の滅菌剤を吸引するための抽出針(注射針)をカートリッジの上部から刺すために、当該抽出針を動作する部である。すなわち、抽出針は、滅菌剤を吸引するためのストロー(細い筒)である。
【0031】
すなわち、カートリッジ内の滅菌剤を吸引するための抽出針(注射針)をカートリッジの上部から刺す場合は、抽出針(注射針)をカートリッジに向けて、該カートリッジの上部から降ろすように動作することで、抽出針(注射針)をカートリッジの上部から刺すことができる。また、抽出針(注射針)をカートリッジから抜く場合は、該カートリッジの上部に抽出針(注射針)を上げるように動作することで、抽出針(注射針)をカートリッジから抜くことができる。
【0032】
液センサ204は、カートリッジ205内の液体の滅菌剤が、抽出針(注射針)から液送ロータリーポンプ207、液送ロータリーポンプ223に導通している管(導管)を通っているかを検出する装置である。具体的には、該管に赤外線を照射して得られるスペクトルから滅菌剤が該管を通っているかを検出することができる。
【0033】
RF−IDリーダ/ライタ206は、カートリッジ205の下側に備え付けられているRF−IDから、シリアル番号、製造年月、初回使用日時、滅菌剤の残量を読み取ることができる装置である。また、RF−IDリーダ/ライタ206から、カートリッジ205の下側に備え付けられているRF−IDに、初回使用日時、滅菌剤の残量を書き込むことができる装置である。また、RF−IDリーダ/ライタ206は、カートリッジ取付用扉101の裏にあるカートリッジの取り付け場所の下部に設置されており、カートリッジ205の下側に備え付けられているRF−IDを読み取ること、及び初回使用日時、滅菌剤の残量等のデータをRF−IDに書き込むことが可能である。
【0034】
液送ロータリーポンプ207は、準備室208と導管により導通しており、また、液センサ204と導管により導通している。液送ロータリーポンプ207は、カートリッジ205内の液体の滅菌剤をポンプにより吸引して、導管を通して滅菌剤を準備室208に送る装置である。また、液送ロータリーポンプ207は、液センサ204と連携して、カートリッジ205から、滅菌剤の所定量を吸引することができる。
【0035】
準備室208は、液送ロータリーポンプ207と、気送加圧ポンプ209と、滅菌室219と、それぞれ導管により導通している。準備室208は、液送ロータリーポンプ207から導管を通じて送り込まれた滅菌剤を、滅菌室(真空チャンバー)219に送り込む前に、送り込み処理のタイミングを制御するために滅菌剤の準備を行うスペースである。
【0036】
また、準備室208と滅菌室219の間の導管の間には弁(5)217が設けられている。
【0037】
気送加圧ポンプ209は、それぞれ、準備室208と、吸気用HEPAフィルタ210と、導管により導通している。気送加圧ポンプ209は、滅菌装置100の外気(空気)を、吸気用HEPAフィルタ210を介して、吸気用HEPAフィルタ210との導管により導通して準備室208に送る装置である。
【0038】
吸気用HEPAフィルタ210は、それぞれ、気送加圧ポンプ209と、滅菌室219と、導管により導通している。吸気用HEPAフィルタ210は、滅菌装置100の外の外気(空気)中のちりやほこり、雑菌などを、HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタでフィルタリングして空気を清浄する。そして、その清浄された空気は、気送加圧ポンプ209により導管を通して準備室208に送られる。また、清浄された空気は、滅菌室219との導管により導通して滅菌室219に送り込まれる。すなわち、吸気用HEPAフィルタ210は、滅菌装置100の外の外気(空気)と導通している。そのため、気送加圧ポンプ209と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管と、滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管は、吸気用HEPAフィルタ210を介して、外気(空気)と導通している。
【0039】
また、吸気用HEPAフィルタ210と滅菌室219との間の導管には、弁(V7)226が設けられている。
【0040】
弁(V5)217は、準備室208と、滅菌室219との間の導管に設けられた弁であって、弁を開けることで準備室208と滅菌室219との間の導管による導通を可能にし、弁を閉めることで準備室208と滅菌室219との間の導管による導通を不可能にする弁である。
【0041】
弁(V7)226は、滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管に設けられた弁であって、弁を開けることで滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管による導通を可能にし、弁を閉めることで滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管による導通を不可能にする弁である。すなわち、弁(V7)226は、滅菌室219と外気(大気)との導通を開閉できる弁である。
【0042】
滅菌室(真空チャンバーとも言う)219は、図1でも説明したが、例えば医療用器具などの被滅菌対象物を滅菌する所定の容量の筐体である。滅菌室内の圧力は大気圧から真空圧までの圧力を維持することが可能である。また、滅菌室内の温度は、滅菌処理中において、所定の範囲の温度に維持されている。また、滅菌室219内には、圧力センサーが備えられており、圧力センサーにより滅菌室219内の圧力(気圧)を測定することができる。滅菌装置100は、この圧力センサーにより測定された滅菌室219内の気圧を用いて、滅菌室219内等の圧力(気圧)が所定の気圧になっているかを判定する。
【0043】
気送真空ポンプ220は、滅菌室219内の空間の気体を吸引して、空間内を減圧し真空状態(大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間内の状態)にする装置である。
【0044】
気送真空ポンプ220は、滅菌室219との間で導管により導通されており、排気用HEPAフィルタ221との間で導管により導通されている。
【0045】
排気用HEPAフィルタ221は、気送真空ポンプ220との間で導管により導通されている。また、排気用HEPAフィルタ221は、排気蒸発炉224との間で導管により導通されている。また、排気用HEPAフィルタ221は、滅菌剤分解装置222との間で導管により導通されている。また、排気用HEPAフィルタ221は、準備室208との間で導管により導通されている。
【0046】
排気用HEPAフィルタ221は、気送真空ポンプ220により、滅菌室219内等から吸引された気体を、気送真空ポンプ220との間の導管から送られた気体内のちりやほこり、雑菌などを、HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタでフィルタリングして、吸引された気体を清浄する。そして、清浄された気体は、滅菌剤分解装置222と排気用HEPAフィルタ221との間の導管を通り、滅菌剤分解装置222に送られ、滅菌剤分解装置222により該気体に含まれる滅菌剤の分子を分解し、分解後の分子を滅菌装置100の外に放出する。
【0047】
また、排気用HEPAフィルタ221は、排気蒸発炉224から、排気蒸発炉224と排気用HEPAフィルタ221との間の導管を通り送られてくる気化された滅菌剤を清浄する。そして、その洗浄された滅菌剤(気体)は、滅菌剤分解装置222と排気用HEPAフィルタ221との間の導管を通り、滅菌剤分解装置222に送られ、滅菌剤分解装置222により該気体に含まれる滅菌剤の分子を分解し、分解後の分子を滅菌装置100の外に放出する。
【0048】
滅菌剤分解装置222は、排気用HEPAフィルタ221との間の導管により導通されている。滅菌剤分解装置222は、滅菌剤分解装置222と排気用HEPAフィルタ221との間の導管から送られてくる気体に含まれる滅菌剤の分子を分解して、分解して生成される分子を滅菌装置100の外に放出する。
【0049】
滅菌剤分解装置222は、例えば、滅菌剤が過酸化水素、又は過酸化水素溶液である場合、気化された過酸化水素を、二酸化マンガン等を触媒として用いて、水と酸素に分解することができる装置である。
【0050】
液送ロータリーポンプ223は、排気蒸発炉224と導管により導通しており、また、液センサ204と導管により導通している。
【0051】
液送ロータリーポンプ223は、カートリッジ205内の全ての液体の滅菌剤をポンプにより吸引して、液センサ204と液送ロータリーポンプ223との間の導管を通して送られるその全ての滅菌剤を、液送ロータリーポンプ223と排気蒸発炉224との間の導管を通して、排気蒸発炉224に送る装置である。
【0052】
排気蒸発炉224は、液送ロータリーポンプ223と導管により導通しており、また、排気用HEPAフィルタ221と導管により導通している。
【0053】
排気蒸発炉224は、液送ロータリーポンプ223と排気蒸発炉224との間の導管を通して送られる、カートリッジ205内の全ての液体の滅菌剤を、排気蒸発炉224に備え付けられたヒーターにより加熱し、その滅菌剤の全てを気化させる。そして、気化された滅菌剤は、排気用HEPAフィルタ221と排気蒸発炉224との間の導管を通して、排気用HEPAフィルタ221に送られる。
【0054】
このように、滅菌装置100は、カートリッジ205内に格納されている滅菌剤を廃棄する場合には、液送ロータリーポンプ223が、カートリッジ205内に格納されている滅菌剤を吸い出して、排気蒸発炉224に滅菌剤を入れ、排気蒸発炉224で滅菌剤を気化させて、排気用HEPAフィルタ221に送る。そして、滅菌装置100は、排気用HEPAフィルタ221で清浄された気体(滅菌剤)を滅菌剤分解装置222で分解して、生成される水と酸素を外部に放出する。これにより、カートリッジ205内に格納されている滅菌剤を廃棄することが可能となる。
【0055】
滅菌装置100は、カートリッジ205の下側にはRF−IDの記憶媒体から読み取った、該カートリッジを識別する情報としてのシリアル番号、該カートリッジの製造年月日、該カートリッジが初めて滅菌装置で使用された日時(初回使用日時)、該カートリッジ内に充填されている滅菌剤の残量から、カートリッジ205内に格納されている全ての滅菌剤を廃棄すべきか否かを判定して、廃棄すると判定された場合には、上述した廃棄処理を行う。これは、例えば、滅菌剤の入ったカートリッジの製造年月日から、所定期間が経過した場合には、カートリッジ内の滅菌剤による滅菌効果が十分に得られない場合があるため、滅菌装置100は、滅菌剤の入ったカートリッジの製造年月日から、所定期間が経過した場合には、カートリッジ内の滅菌剤を廃棄する処理を行う。
【0056】
また、滅菌剤の入ったカートリッジが初めて滅菌装置で使用された日時(初回使用日時)から、所定期間が経過した場合には、カートリッジ内の滅菌剤による滅菌効果が十分に得られない場合があるため、滅菌装置100は、滅菌剤の入ったカートリッジが初めて滅菌装置で使用された日時(初回使用日時)から、所定期間が経過した場合には、カートリッジ内の滅菌剤を廃棄する処理を行う。これは、カートリッジ内の滅菌剤を抽出するために抽出針(細い管)がカートリッジ内に刺されると、滅菌剤の分解を促進する物質が混入してしまうおそれがあり、滅菌剤の分解が促進されてしまう場合がある。そのため、滅菌装置100は、滅菌剤の入ったカートリッジが初めて滅菌装置で使用された日時(初回使用日時)から、所定期間が経過した場合には、カートリッジ内の滅菌剤を廃棄する処理を行う。
【0057】
また、カートリッジ内に充填されている滅菌剤の残量が、1回分の滅菌処理を行うだけの量よりも少ない場合には、カートリッジ内の滅菌剤による滅菌処理が行えないため、滅菌装置100は、カートリッジ内に充填されている滅菌剤の残量が、1回分の滅菌処理を行うだけの量よりも少ない場合には、カートリッジ内の滅菌剤を廃棄する処理を行う。
【0058】
本発明の滅菌剤のカートリッジが用いられる滅菌装置100内の全ての弁は、滅菌処理開始時は、全て閉まっている状態である。
【0059】
滅菌処理を開始すると、本発明の滅菌剤のカートリッジが用いられる滅菌装置は、液送ロータリーポンプ207を用いて、カートリッジ205内の滅菌剤(過酸化水素水溶液)を吸い出して、準備室208に入れる。準備が整ったタイミング(気送真空ポンプ220により滅菌室219内を所定の気圧まで減圧したタイミング)で準備室208の滅菌剤を、弁(V5)217を開けて滅菌室219に入れることにより、当該滅菌剤が気化して、気化された滅菌剤が滅菌室219内にある被滅菌対象部に接触して、被滅菌対象物を滅菌することができる。
【0060】
そして、弁(V7)226を開けることにより、吸気用HEPAフィルタ210を介して、外気の空気が滅菌室219内に入ってくる。
【0061】
これにより、被滅菌対象物の内腔に気化した滅菌剤が多く入るため、該内腔に対する滅菌作用の効果が高まる。そして、気送真空ポンプ220で滅菌室219内のガスが吸引され、排気用HEPAフィルタ221を介して滅菌剤分解装置222に送られ、水と酸素に分解されて、外部に放出される。
【0062】
次に、図3を用いて、本発明に係る、滅菌装置に用いられる滅菌剤(過酸化水素水溶液)のカートリッジ205について説明する。本実施例では、滅菌剤として、過酸化水素水溶液を用いることとして説明する。
【0063】
図3は、本発明に係る、滅菌装置に用いられる滅菌剤のカートリッジ205を横側から見た図である。
【0064】
図3に示すカートリッジは、1つのボトルに滅菌処理を複数回行える量の滅菌剤が入ったカートリッジである。
【0065】
図3に示すカートリッジには、滅菌剤として用いられる過酸化水素などの薬液が格納される。
【0066】
図3に示すように、カートリッジは、第1の容器303と、その第1の容器303の蓋302と、蓋の上側のシール301とがある。
【0067】
第1の容器303の外観は、コップの形状をしている。また、この第1の容器303の材質(材料)は、滅菌剤である過酸化水素に対して耐性のあるポリプロピレン(プラスチック)である。この第1の容器303は、後述する第2の容器409を保護するためにも設けられている。
【0068】
蓋302は、第1の容器303の上側に第1の容器303を閉じるため蓋である。すなわち、蓋302は、第1の容器303の外周の淵と接着している。また、この蓋の材質は、滅菌剤である過酸化水素に対して耐性のあるポリプロピレン(プラスチック)である。
【0069】
シール301は、紙と両面テープから構成されており、蓋302に両面テープで張り付けられている。このシールの紙には、商品名などのカートリッジを識別する情報が記載されている。
【0070】
カートリッジの上側から見て、カートリッジの中心点でのカートリッジの断面を断面1とする。
【0071】
次に、図4を用いて、本発明に係るカートリッジの内部構造について説明する。
【0072】
図4は、本発明に係るカートリッジの断面1の断面図である。
【0073】
蓋302には、中心点に穴402があり、この穴402は、カートリッジ内の滅菌剤を吸引するための抽出針(注射針)をカートリッジの上側からカートリッジ内部に入れるための挿入口である。
【0074】
穴402は、本発明の第2の排気機構の適用例である。
【0075】
カートリッジ内の気体をカートリッジの外に排気する排気路の少なくとも一部は、第2の容器内から排気される気体を第1の容器内から排気する穴402(第2の排気機構)を有する第1の容器の蓋に構成されている。
【0076】
また、蓋302には、第2の容器409を固定するためのリブ405が設けられている。
【0077】
このように、蓋302は、第1の容器の蓋であって、滅菌装置により、過酸化水素水溶液を抽出されるための抽出針を挿入されるための穴402を有する。
【0078】
第1の容器303には、第2の容器409を固定するためのリブ408が設けられている。
【0079】
図4に示すように、第1の容器303の内部空間に、第2の容器409が入っている。
【0080】
すなわち、第2の容器409は、第1の容器内に設置されており、過酸化水素水溶液などの滅菌剤(薬液)を入れる容器である。
【0081】
この第2の容器409の内部には、液体の滅菌剤(過酸化水素水溶液)412が入っている。第2の容器409の材質は、滅菌剤である過酸化水素に対して耐性のあるポリエチレン(プラスチック)である。
【0082】
この第2の容器409と、第1の容器303との間の空間には、滅菌剤412を吸着する吸着剤407が充填されている。吸着剤407の材質は、滅菌剤と反応しない鉱石の一種であるバーミキュライトである。また、吸着剤407の代わりに、滅菌剤を分解するための触媒である二酸化マンガンや活性炭など分解剤を充填してもよい。吸着剤407には、吸着剤407だけではなく、滅菌剤を分解する物質である分解剤も充填している。
【0083】
このように、第1の容器と第2の容器との間の空間に、第2の容器内から排気される気体を吸着するための吸着剤が充填されている。
【0084】
また、第1の容器と第2の容器との間の空間に、更に、第2の容器内から排気される気体を分解するための分解剤が充填されている。
【0085】
このように、吸着剤、及び分解剤が充填されているため、有害な薬剤がカートリッジの外に流出する可能性を低減させることができる。
【0086】
また、第1の容器303の下部には、RF−ID413が埋め込まれている。
【0087】
第2の容器409の容器口には、キャップ411が装着されている。キャップ411の内部にはネジ410があり、キャップ411を回すことで、キャップ411を固定している。
【0088】
すなわち、キャップ411は、第2の容器の容器口、及び前記インナーパッキンを塞ぐ第2の容器のキャップである。
【0089】
また、このキャップ411には、中心点に穴406があり、この穴406は、カートリッジ内の滅菌剤を吸引するための抽出針(注射針)をカートリッジの上側からカートリッジ内部に入れるための挿入口となる。
【0090】
すなわち、穴406は、過酸化水素水溶液を抽出されるための抽出針を挿入するための穴である。
【0091】
また、このキャップ411と、キャップ411が固定された第2の容器409との間には、液体は通さないが、気体が通過することができる隙間がある。
【0092】
第2の容器409の容器口とキャップ411との間には、第2の容器409内の液体が外に漏れないようにするためのインナーパッキン401が設けられている。このインナーパッキン401の材質は、防水性と透湿性をあわせ持つ材料である。例えば、ポリテトラフルオロエチレンを延伸加工したフィルムとポリウレタンポリマーを複合化して作られたゴアテックス(アメリカのWLゴア&アソシエイツ社の商標名)を用いる。この材質は、1平方センチメートルに約14億個の微細な孔を含む材料であり、気体は通すものの、液体は通さない性質を有する材料である。そのため、第2の容器409内の気体を、第1の容器303と第2の容器409との間の空間に通すことが可能となる。そのため、本発明の滅菌剤のカートリッジで用いられるインナーパッキンは、ゴアテックスに限るものではなく、その他の防水透湿性素材であってもよい。たとえば、ゴアテックスは、多孔質タイプの防水透湿性素材であるが、DIAPLEXのように無孔質タイプの防水透湿性素材であってもよい。
【0093】
インナーパッキン401は、本発明の第1のパッキンの適用例である。本発明において、パッキンとは、カートリッジ内に詰められた液漏れを防ぐための詰め物(インナーパッキン401、パッキン403)を含む。
【0094】
このように、カートリッジ内の気体をカートリッジの外に排気する排気路の少なくとも一部は、第2の容器の容器口に設けられた防水透湿性を有する第1のパッキン(インナーパッキン401)に構成される。
【0095】
すなわち、インナーパッキン401は、第2の容器の容器口に第2の容器内を塞ぐ、気体は通し液体は通さない性質を有する材質(材料)である。
【0096】
また、キャップ411と蓋302との間には、パッキン403が設けられている。
【0097】
パッキン403は、本発明の第2のパッキンの適用例である。
【0098】
このパッキン403の材質は、緩衝材として用いられる発泡ポリエチレンである。パッキン403は、蓋302、キャップ411、第2の容器409、第1の容器303などの各部品の寸法誤差を吸収すること、及び、抽出針(注射針)をカートリッジから抜く際に針に着いた滅菌剤を落とすことのために用いる。また、パッキン403は、第1の容器303内部の気体を外部に排出するための経路を有する。
【0099】
パッキン403は、カートリッジを構成する各部品の寸法誤差を吸収するため、蓋302とキャップ411との間で圧力がかかり、圧縮(圧着)されている。そのため、パッキンに切れ目などが無い限り気体や液体を通すことは難しくなる。そこで、後で詳しく説明するが、ここで用いるパッキン403には、切れ目が入っており、第2の容器409と、第1の容器303との間の空間の気体が外部に排出されるようになっている。
【0100】
この切れ目は、本発明の第1の排気機構の適用例である。
【0101】
このように、カートリッジ内の気体をカートリッジの外に排気する排気路の少なくとも一部は、第2の容器内から排気される気体を第1の容器内から排気する前記第1の容器に圧着されている第1の排気機構(切れ目)を有するパッキン403(第2のパッキン)に構成される。
【0102】
図4に示すように、カートリッジは、カートリッジの上側から、シール301、蓋302、パッキン403、キャップ411、インナーパッキン401、第2の容器409、第1の容器303の順番で重なって構成されている。
【0103】
断面2は、シール301と、蓋302との間の断面である。断面3は、パッキン403と、蓋302との間の断面である。断面4は、キャップ411とパッキン403との間の断面である。断面5は、キャップ411とインナーパッキン401との間の断面である。
【0104】
次に、図5を用いて、本発明に係る断面2をカートリッジの下側から見たシール301の裏面について説明する。
【0105】
図5は、本発明に係る断面2をカートリッジの下側から見たシール301の裏面の図である。
【0106】
図5に示す通り、シール301は、カートリッジの形に合わせて円形をしている。
【0107】
図5に示すように、シール301の裏面は、蓋302と接着するための接着面であり、接着するための両面テープ(接着剤)が塗られている。図5に示す斜線部には、両面テープが塗られていることを示している。
【0108】
また、シール301の裏は、シールの円の中心点から円周にかけて両面テープが塗られていない両面テープなし部がある。この両面テープなし部は、蓋302と接着しないため、第1の容器303内の気体を外部に排気するための排気経路となる。
【0109】
シール301は、蓋302に接着可能なシールであって、蓋の穴402の位置から排気する排気経路として蓋302に接着不可能な部(両面テープなし部)を有するシールである。
【0110】
蓋302に接着不可能な部(両面テープなし部)は、本発明の第3の排気機構の適用例である。
【0111】
シール301は、第1の容器の蓋302に接着可能なシールであって、第1の容器の蓋302の穴(第2の排気機構)から排気される気体を第1の容器から排気する「蓋302に接着不可能な部(両面テープなし部)(第3の排気機構)」を有するシールに構成される。
【0112】
具体的には、シール301の第3の排気機構は、第1の容器の蓋の第2の排気機構から前記シールの縁まで前記第1の容器の蓋に接着しない非接着部(両面テープなし部)である。
【0113】
次に、図6を用いて、本発明に係る断面2をカートリッジの上側から見た断面について説明する。
【0114】
図6は、本発明に係る断面2をカートリッジの上側から見た断面図である。
【0115】
図6に示すように、第1の容器303の形にあわせた円の蓋302の中心点には、蓋の穴402が空いており、この穴は、カートリッジ内の滅菌剤を吸引するための抽出針(注射針)をカートリッジの上側からカートリッジ内部に入れるための挿入口である。
【0116】
次に、図7を用いて、本発明に係る断面3をカートリッジの上側から見た断面について説明する。
【0117】
図7は、本発明に係る断面3をカートリッジの上側から見た断面図である。
【0118】
円形状の第1の容器303の中心点を中心として、パッキン403が設けられている。
【0119】
このパッキン403には、図7に示すように切り込みが入っており、パッキンが無い部分701がある。
【0120】
この切り込みは、キャップの穴406までは到達しないが、蓋の穴402には到達する切り込みである。
【0121】
図7に示すように、蓋の穴402は、キャップの穴406よりも大きい穴である。
【0122】
パッキンが無い部分701は、蓋の穴402の部分の領域までパッキンが無い部分701があるが、キャップの穴406の部分の領域には、パッキンが無い部分701はない(すなわち、パッキンがある)。
【0123】
したがって、パッキン403は、蓋の穴402と、第1の容器303と第2の容器409との間の空間とが導通可能な排気経路(パッキンが無い部分701)を有する。
【0124】
このように、抽出針が挿入されるためのキャップの穴406が、パッキンが無い部分701と導通できないように、パッキン403が構成されているため、第2の容器409内の気体が、インナーパッキン401を通過して、キャップの穴406から出ないようにすることができる。そのため、第2の容器409内の気体に、仮に、過酸化水素が含まれていたとしても、カートリッジからは排出されにくくなっている。
【0125】
すなわち、蓋の穴402は、抽出針を挿入するためのキャップの穴406よりも大きい穴であり、パッキン403が有する排気経路(パッキンが無い部分701)は、パッキン403の縁から、蓋の穴402の位置と、抽出針が挿入されるためのキャップの穴406の位置との間までの長さである。
【0126】
次に、図8を用いて、本発明に係る断面4をカートリッジの上側から見た断面について説明する。
【0127】
図8は、本発明に係る断面4をカートリッジの上側から見た断面図である。
【0128】
キャップ411には、その中心にキャップの穴406がある。
【0129】
キャップの穴406は、カートリッジ内の滅菌剤を吸引するための抽出針(注射針)をカートリッジの上側からカートリッジ内部に入れるための挿入口である。
【0130】
次に、図9を用いて、本発明に係る断面5をカートリッジの上側から見た断面について説明する。
【0131】
図9は、本発明に係る断面5をカートリッジの上側から見た断面図である。
【0132】
図9に示すように、キャップ411と第2の容器409の容器口との間に、容器口を全てふさぐようにインナーパッキン401が設けられている。
【0133】
次に、図10を用いて、本発明に係るカートリッジ内の気体を外部に排出するための機構について説明する。
【0134】
図10は、図4に示した断面図の一部(カートリッジの上部)を拡大した断面図である。
【0135】
図10に示す点線は、第2の容器409内から外部に排出される気体の流れを示している。
【0136】
図10に示す通り、第2の容器409内の気体は、インナーパッキン401を通過し、キャップ411と第2の容器409の容器口との間を通過して、第1の容器303と第2の容器409との間の空間に到達する。ここで、到達した気体の中に、仮に、滅菌剤(過酸化水素)が含まれている場合は、吸着剤407により吸着される。また、吸着剤407に、滅菌剤を分解する分解剤が含まれているので、当該気体に含まれる滅菌剤を分解剤により分解する。例えば、気体に含まれる滅菌剤が過酸化水素である場合、分解剤として二酸化マンガンを用いて、過酸化水素を水と酸素に分解して生成する。
【0137】
また、第1の容器303と第2の容器409との間の空間に到達した気体(分解剤により分解され生成された生成物(水や酸素)を含む)は、キャップ411と蓋302との間の空間を通り、パッキン403へと到達する。パッキン403には、蓋の穴402の部分の領域までパッキンが無い部分701(切れ目)があるため、パッキン403に到達した気体は、その空間を通り、蓋の穴402へと抜ける。
【0138】
すなわち、パッキン403(第2のパッキン)において、パッキン403が無い部分701(切れ目)(第1の排気機構)は、第2の容器内から排気される、第1の容器と第2の容器との間の気体と、第1の容器の蓋の穴と導通可能に構成される。
【0139】
第1の容器の蓋の穴402は、本発明の第2の排気機構の適用例である。
【0140】
具体的には、パッキン403(第2のパッキン)の切れ目(第1の排気機構)は、第2の容器内から排気される、第1の容器と第2の容器との間の気体と、第2のパッキンが接する部分(パッキン403の縁、又は縁周辺)から、第1の容器の蓋の穴(第2の排気機構)に達し、第2の容器のキャップの穴に達しない長さのパッキン403(第2のパッキン)の切れ目である。
【0141】
また、シール301には、両面テープなし部があり、その部分が、蓋302とシール301が接着していないため、排気経路となっている。
【0142】
そのため、蓋の穴402へと抜けた気体は、両面テープなし部(排気経路)を通り、カートリッジ外に放出される。
【0143】
このようにして、カートリッジ内の気体をカートリッジ外に排出する経路を設けることで、カートリッジ内の滅菌剤(過酸化水素)が分解して生じた水や酸素により、第2の容器409内の内圧が上昇し、第2の容器409が破損したり、第2の容器409の容器口とキャップ411との間から滅菌剤が漏れることなどを防止することができる。
【0144】
さらに、カートリッジ内の滅菌剤(例えば、過酸化水素)が分解されて発生する水や酸素(生成物)の気体により、カートリッジ内の気圧が高まり、カートリッジが破損したり、カートリッジ内の滅菌剤がカートリッジの外に漏れてしまう可能性を低減させることができる。
【0145】
次に、図11を用いて、本発明に係るカートリッジの内部にカートリッジ内の滅菌剤を吸引するための抽出針(注射針)を挿入した際の構造について説明する。
【0146】
図11は、本発明に係るカートリッジの断面1の断面図である。
【0147】
滅菌装置100が、抽出針(注射針)をカートリッジに向けて、該カートリッジの上部から降ろすように動作することで、蓋の穴402、キャップの穴406に抽出針(注射針)が挿入される。
【0148】
このとき、シール301、パッキン403、インナーパッキン401は、注射針により貫通され、滅菌装置100は、第2の容器409に下部に注射針の先端が来るように動作する。
【0149】
このように、シール301、パッキン403、インナーパッキン401は、注射針により貫通可能な材質である。また、注射針による貫通が難しいキャップ411や蓋302には、予め挿入口が、キャップの穴、蓋の穴として設けられている。
<第2の実施の形態>
【0150】
以下、図面を用いて、本発明の滅菌剤のカートリッジの第2の実施形態について説明する。
【0151】
第2の実施形態は、第1の実施形態で説明したカートリッジのシール301のみが異なり、カートリッジに係る他の構成については第1の実施の形態と同様であるため、ここでは、第2の実施形態のシール301のみについて説明する。
【0152】
次に、図12を用いて、本発明に係る断面2をカートリッジの下側から見たシール301の裏面について説明する。
【0153】
図12は、本発明に係る断面2をカートリッジの下側から見たシール301の裏面の図である。
【0154】
図12に示す通り、シール301は、カートリッジの形に合わせて円形をしている。
【0155】
図12に示すように、シール301の裏面は、蓋302と接着するための接着面であり、接着するための両面テープ(接着剤)が塗られている。
【0156】
図12に示す両面テープ(接着面)には、両面テープが塗られていることを示している。
【0157】
また、シール301の裏は、シールの円の中心点から円周にかけてらせん状に両面テープが塗られていない両面テープなし部がある。この両面テープなし部は、蓋302と接着しないため、第1の容器303内の気体を外部に排気するための排気経路となる。
【0158】
シール301は、蓋302に接着可能なシールであって、蓋の穴402の位置から排気する排気経路として蓋302に接着不可能な部(両面テープなし部)を有するシールである。
【0159】
蓋302の接着不可能な部(両面テープなし部)は、本発明の第3の排気機構の適用例である。
【0160】
具体的には、シールの第3の排気機構は、第1の容器の蓋の穴(第2の排気機構)から、らせん状にシールの縁まで第1の容器の蓋に接着しない非接着部(両面テープなし部)である。
【0161】
図12に示すように、両面テープなし部が、シールの円の中心点から円周にかけてらせん状に両面テープが塗られていないため、もし、第2の容器に格納された滅菌剤の液体が、第2の容器から漏れて、更に、第1の容器と第2の容器と空間から、第2のパッキンが切れて無くなっている部分701を経由して、蓋の穴402からカートリッジの外に漏れだそうとしたとしても、らせん状の排気経路の途中でその滅菌剤の液体がカートリッジの外に漏れだすことを止めることができる。それゆえ、カートリッジに格納された滅菌剤の液体がカートリッジの外に漏れだす可能性を低減させることができるようになる。
【0162】
また、上述した第1の実施の形態、及び、第2の実施の形態では、本発明に係るカートリッジを滅菌装置で用いるカートリッジとして説明したが、上述した第1の実施の形態、及び、第2の実施の形態のカートリッジを、例えば、半導体製造装置で用いるカートリッジとして用いることもできる。半導体製造装置で用いるカートリッジの中には、上述したように、例えば、過酸化水素水溶液などの薬液が格納されており、その薬液をカートリッジから吸い出して半導体製造装置で用いることが可能である。
【0163】
以上、本発明によれば、滅菌装置に用いられる過酸化水素水溶液が入ったカートリッジから、過酸化水素水溶液が漏れる可能性を低減するカートリッジを提供することが可能となる。
また、本発明によれば、カートリッジ内の気圧が高まり、カートリッジが破損したり、液漏れを起こしてしまうおそれを低減させることができる。また、カートリッジを落としたりして、カートリッジが破損した場合も、カートリッジ内の滅菌剤の液が漏れてしまうおそれを低減させることができる。
【符号の説明】
【0164】
100 滅菌装置
101 カートリッジ取付用扉
102 表示部
103 印刷部
104 滅菌室の扉
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液が格納されるカートリッジであって、
第1の容器と、
前記第1の容器内に設けられた、前記薬液が格納される第2の容器と、
前記第1の容器と前記第2の容器との間に、前記第2の容器に格納される薬液により生じる気体を排気する排気路と、
を備えることを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
前記第1の容器と前記第2の容器との間に、前記第2の容器内から排気される気体を吸着するための吸着剤を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記第1の容器と前記第2の容器との間に、前記第2の容器内から排気される気体を分解するための分解剤を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記排気路の少なくとも一部は、前記第2の容器の容器口に設けられた防水透湿性を有する第1のパッキンに構成されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記排気路の少なくとも一部は、前記第2の容器内から排気される気体を前記第1の容器内から排気する前記第1の容器に圧着されている第1の排気機構を有する第2のパッキンに構成されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記排気路の少なくとも一部は、前記第2の容器内から排気される気体を前記第1の容器内から排気する第2の排気機構を有する前記第1の容器の蓋に構成されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記排気路の少なくとも一部は、前記第2の容器内から排気される気体を前記第1の容器内から排気する前記第1の容器に圧着されている第1の排気機構を有する第2のパッキンに構成されており、
前記排気路の少なくとも一部は、前記第2の容器内から排気される気体を前記第1の容器内から排気する第2の排気機構を有する前記第1の容器の蓋に構成されており、
前記第2のパッキンの第1の排気機構は、前記第2の容器内から排気される、前記第1の容器と前記第2の容器との間の気体と、前記第1の容器の蓋の前記第2の排気機構と導通可能に構成されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記第2のパッキンの第1の排気機構は、前記第2の容器内から排気される、前記第1の容器と前記第2の容器との間の気体と、前記第2のパッキンが接する部分から、前記第1の容器の蓋の前記第2の排気機構に達する長さの前記第2のパッキンの切れ目であることを特徴とする請求項5又は7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記第2の容器に格納される前記薬液を抽出されるための管を挿入するための穴を有した第2の容器のキャップを更に備え、
前記第2のパッキンの第1の排気機構は、前記第2の容器内から排気される、前記第1の容器と前記第2の容器との間の気体と、前記第2のパッキンが接する部分から、前記第1の容器の蓋の前記第2の排気機構に達し、前記第2の容器のキャップの穴に達しない長さの前記第2のパッキンの切れ目であることを特徴とする請求項5又は7に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記第1の容器の蓋に接着可能なシールであって、前記第1の容器の蓋の第2の排気機構から排気される気体を前記第1の容器から排気する第3の排気機構を有するシールに構成されることを特徴とする請求項6乃至9の何れか1項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記シールの第3の排気機構は、前記第1の容器の蓋の第2の排気機構から前記シールの縁まで前記第1の容器の蓋に接着しない非接着部であることを特徴とする請求項10に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記シールの第3の排気機構は、前記第1の容器の蓋の第2の排気機構から、らせん状に前記シールの縁まで前記第1の容器の蓋に接着しない非接着部であることを特徴とする請求項10又は11に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記薬液は、被滅菌対象物を滅菌する滅菌剤であり、
前記カートリッジは、前記滅菌剤を用いて滅菌処理を行う滅菌装置で用いられるカートリッジであることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載のカートリッジ。
【請求項14】
前記薬液は、過酸化水素水溶液であることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載のカートリッジ。
【請求項1】
薬液が格納されるカートリッジであって、
第1の容器と、
前記第1の容器内に設けられた、前記薬液が格納される第2の容器と、
前記第1の容器と前記第2の容器との間に、前記第2の容器に格納される薬液により生じる気体を排気する排気路と、
を備えることを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
前記第1の容器と前記第2の容器との間に、前記第2の容器内から排気される気体を吸着するための吸着剤を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記第1の容器と前記第2の容器との間に、前記第2の容器内から排気される気体を分解するための分解剤を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記排気路の少なくとも一部は、前記第2の容器の容器口に設けられた防水透湿性を有する第1のパッキンに構成されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記排気路の少なくとも一部は、前記第2の容器内から排気される気体を前記第1の容器内から排気する前記第1の容器に圧着されている第1の排気機構を有する第2のパッキンに構成されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記排気路の少なくとも一部は、前記第2の容器内から排気される気体を前記第1の容器内から排気する第2の排気機構を有する前記第1の容器の蓋に構成されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記排気路の少なくとも一部は、前記第2の容器内から排気される気体を前記第1の容器内から排気する前記第1の容器に圧着されている第1の排気機構を有する第2のパッキンに構成されており、
前記排気路の少なくとも一部は、前記第2の容器内から排気される気体を前記第1の容器内から排気する第2の排気機構を有する前記第1の容器の蓋に構成されており、
前記第2のパッキンの第1の排気機構は、前記第2の容器内から排気される、前記第1の容器と前記第2の容器との間の気体と、前記第1の容器の蓋の前記第2の排気機構と導通可能に構成されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記第2のパッキンの第1の排気機構は、前記第2の容器内から排気される、前記第1の容器と前記第2の容器との間の気体と、前記第2のパッキンが接する部分から、前記第1の容器の蓋の前記第2の排気機構に達する長さの前記第2のパッキンの切れ目であることを特徴とする請求項5又は7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記第2の容器に格納される前記薬液を抽出されるための管を挿入するための穴を有した第2の容器のキャップを更に備え、
前記第2のパッキンの第1の排気機構は、前記第2の容器内から排気される、前記第1の容器と前記第2の容器との間の気体と、前記第2のパッキンが接する部分から、前記第1の容器の蓋の前記第2の排気機構に達し、前記第2の容器のキャップの穴に達しない長さの前記第2のパッキンの切れ目であることを特徴とする請求項5又は7に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記第1の容器の蓋に接着可能なシールであって、前記第1の容器の蓋の第2の排気機構から排気される気体を前記第1の容器から排気する第3の排気機構を有するシールに構成されることを特徴とする請求項6乃至9の何れか1項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記シールの第3の排気機構は、前記第1の容器の蓋の第2の排気機構から前記シールの縁まで前記第1の容器の蓋に接着しない非接着部であることを特徴とする請求項10に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記シールの第3の排気機構は、前記第1の容器の蓋の第2の排気機構から、らせん状に前記シールの縁まで前記第1の容器の蓋に接着しない非接着部であることを特徴とする請求項10又は11に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記薬液は、被滅菌対象物を滅菌する滅菌剤であり、
前記カートリッジは、前記滅菌剤を用いて滅菌処理を行う滅菌装置で用いられるカートリッジであることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載のカートリッジ。
【請求項14】
前記薬液は、過酸化水素水溶液であることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載のカートリッジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−90907(P2013−90907A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−147388(P2012−147388)
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【出願人】(390002761)キヤノンマーケティングジャパン株式会社 (656)
【出願人】(392022064)キヤノンライフケアソリューションズ株式会社 (25)
【出願人】(390010582)株式会社エルクエスト (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【出願人】(390002761)キヤノンマーケティングジャパン株式会社 (656)
【出願人】(392022064)キヤノンライフケアソリューションズ株式会社 (25)
【出願人】(390010582)株式会社エルクエスト (33)
【Fターム(参考)】
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