説明

カートンカバー

【課題】カートンを覆い易く、覆った後に通常の持ち運びに際してはカートンから外れ難く、それでいてカートン使用終了後には簡単にカートンを外し得るカートンカバーを提供すること。
【解決手段】カートンの外面を覆うカートンカバーであって、天面部11、対向する一対の長手側面部12,13、及び対向する一対の短手側面部14,15で構成され、対向する一対の長手側面部12,13は、中央部が他部より間隔が狭く、くびれを有する形状をなすカートンカバー10の提供による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直方体の収納箱であるカートンの外面を覆うカートンカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
ティシュは、脱脂性や吸水性に優れ、清潔感があり、安価で、利便性があることから、鼻をかむ、口元を拭く、化粧を落とす、食品を包む又は置く、埃を掃う、汚れを拭き取る等のあらゆる用途に使用されている。ティシュは、現代の生活に密着した、なくてはならないものとなっており、多くの家庭では、各部屋毎に、更には自動車内にも、常備されている。
【0003】
このようなティシュは、通常、厚紙で作られた直方体の箱(カートンともいう)に収納されて流通しており、そのカートンの外面には、その商品の出所や商品の機能を示す文字等が表現されている。この文字等は、販売者等と消費者とを結びつける上で重要な役割を果たすが、一方、消費者が購入した後には、必ずしも粋とはいえないそのデザインによって、配置場所の雰囲気にそぐわない場合がある。
【0004】
そこで、従来より、カートンカバーが販売され、消費者のニーズを満足させている。カートンカバーとしては、木やプラスチックや金属を使用したシンプルでモダンなものや、布を使用して花柄等をあしらい色彩を駆使した派手で鮮やかなもの、等が知られる。これらは、ティシュペーパーカートンをインテリア足り得るものとするために、居室の雰囲気に合致させ溶け込ませるように、その視覚性を改善することに重きをおいた製品である。又、紐や接着剤あるいはフック&ストラップ等によって、壁掛けないしは釣り掛けを可能にしたカートンカバーがある。このようなものは、ティシュを、キッチンや洗面室あるいは自動車内に設置する際に、重用されている。更には、抗菌能力や、芳香あるいは脱臭、防虫、防塵の能力を付加し、ティシュを置くことによって部屋の衛生を向上させ得る製品も存在する。
【0005】
カートンカバーにかかる技術の先行文献として、例えば特許文献1〜7が挙げられる。特許文献1及び特許文献2に開示されたティシュペーパーボックス用カバーは、左右の短手側壁面部に係止爪を設けることによって、ボックスとカバーの一体性を高め、移動時にカバーからティシュペーパーボックスが外れないようにしたものである。特許文献3に開示されたティシュ製品ケースは、ティシュ製品を収納する収納部と、ティシュ製品を詰め替えるための収納部口と、ティシュを引き出すための取り出し孔と、を有することによって、無箱状のティシュ製品を繰り返し使用可能としたものである。特許文献4に開示されたティシュ箱用カバーは、カバーとして光触媒材料を用いることによって、消臭効果を発現させたものである。特許文献5に開示された詰替用ティシュボックスは、ティシュペーパー束の収容部と、ティシュペーパー束を収容部へ収容するための補充口と、ティシュペーパーの取出口と、を有し、更に補充用ティシュペーパーの包装袋の切断片取出口が形成されていることによって、ティシュペーパー束の乱れを防止しつつ簡単にティシュペーパー束を補充出来るものである。特許文献6に開示されたティシュボックス用カバーは、布素材のカバー本体と、凹凸状のティシュペーパー取り出すための引出口と、を備えることによって、枚数が少なくなってもティシュペーパーを引出口に保持され易くしたものである。特許文献7に開示されたティシュペーパーボックス用カバーは、前後の長手側壁面部を結合するための結合腕部及び結合腕受け部と、左右の短手側壁面部を折り込むと、を有することによって、容易に組み立て可能とした、少ない紙資源で得られるカバーである。
【0006】
【特許文献1】特開平10−234616号公報
【特許文献2】実用新案登録第3044459号公報
【特許文献3】特開2000−33978号公報
【特許文献4】実用新案登録第3074839号公報
【特許文献5】特開2001−340257号公報
【特許文献6】特開2004−115115号公報
【特許文献7】実用新案登録第3103546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情の中でなされたものであり、本発明の課題は、居室の雰囲気に合いインテリア足り得るものであって、カートンにカートンカバーを覆い易く、覆った後に通常の持ち運びに際してはカートンがカートンカバーから外れ難く、それでいてカートン使用終了後には簡単にカートンを外し得るカートンカバーを提供することにある。
【0008】
カートンをカートンカバーから外れ難くする手段としては、カートンカバーに備えた紐(ゴム紐を含む)でカートンを囲う手段が知られる。しかしながら、このような手段は、煩わしく、とても、カートンにカートンカバーを覆い易く、カートン使用終了後に簡単にカートンを外し得るものとはいえない。加えて、紐の存在は、カートンカバーの意匠的効果を減衰させるので、好ましくない。
【0009】
又、特許文献1に開示されている係合爪は、本発明の課題と類似する課題に取り組んだものと考えられる。しかしながら、展開図(特許文献1の図2を参照)から明らかなように、特許文献1にいう壁面部の下縁の全体が係合爪になっており、特許文献1に開示されている係合爪の態様では、ティシュペーパーボックスからティシュペーパーボックス用カバーが外れるのを防ごうとする力が強すぎて、外すのに大きな労力を要することになる。
【0010】
これらに対し、本発明は、全く新たな手段によって、上記課題を解決しようとするものである。研究が重ねられた結果、以下に示す手段によって、上記課題が達成できることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0011】
即ち、先ず、本発明によれば、カートンの外面を覆うカートンカバーであって、天面部、対向する一対の長手側面部、及び対向する一対の短手側面部で構成され、少なくとも(1)、(2)のうち何れかの条件を満たすことによって、くびれを有する形状をなすカートンカバーが提供される。
(1)対向する一対の長手側面部の間隔は、中央部が他部より狭い。
(2)対向する一対の短手側面部の間隔は、中央部が他部より狭い。
【0012】
一般に、くびれとは、中ほどが他のところに比べて細くなっていること、又、その部分をいうから、上記(1)、(2)の条件は、本発明に係るカートンカバーに、くびれを有する形状をもたらす条件であって、くびれの態様を特定するものである。中央部(中ほど)とは、一対の長手側面部の(又は一対の短手側面部の)、一の端部と他の端部との間の中央部分を指し、他部(他のところ)とは、一対の長手側面部の(又は一対の短手側面部の)、一の端部と他の端部との間の、中央以外の部分を指す。長手側面部(又は短手側面部)の一の(他の)端部とは、長手側面部(又は短手側面部)が短手側面部(又は長手側面部)と相互に接する、長手側面部(又は短手側面部)の端の部分である。
【0013】
対向する一対の長手側面部、あるいは対向する一対の短手側面部、と表現するが、この対向するとは、上記の間隔を開けて互いに向き合うことを意味する。対向する一対の長手側面部、及び対向する一対の短手側面部、の少なくとも何れかにおいて、中央部の間隔が他部の間隔より狭いことによって、くびれを有する形状が実現されるのである。
【0014】
(1)の条件を満たす場合には、本発明に係るカートンカバーは、対向する一対の長手側面部の間隔が、中央部で狭くなり、天面部を上から見たときに、本発明に係るカートンカバーは、例えばヴァイオリンのようなくびれを有するものになる。(2)の条件を満たす場合には、天面部を上から見たときに、本発明に係るカートンカバーは、対向する一対の短手側面部の間隔が、中央部で狭くなる。少なくとも(1)、(2)のうち何れかの条件を満たすことによって、であるから、本発明に係るカートンカバーにおいては、対向する一対の長手側面部及び対向する一対の短手側面部の両方において、中央部が他部より間隔が狭いものであってもよい。
【0015】
既述のように、くびれとは、中ほど(中央部)が他のところ(他部)に比べて細くなっていることをいうから、中央部が他部より如何に間隔が狭くなるかは(換言すれば、くびれの具体的形態は)、上記(1)、(2)に示される条件の他に限定されるものではない。
【0016】
但し、本発明に係るカートンカバーにおいては、中央部が他部より間隔が狭くなっている対向する一対の長手側面部及び対向する一対の短手側面部のうち少なくとも何れかは、間隔が、一の端部から中央部へ向けて連続して狭くなり、中央部から他の端部に向けて連続して広がり、くびれが滑らかな円弧線で形成されていることが好ましい。
【0017】
中央部が他部より間隔が狭くなっている対向する一対の長手側面部及び対向する一対の短手側面部のうち少なくとも何れか、とは、対向する一対の長手側面部及び対向する一対の短手側面部のうち、中央部が他部より間隔が狭くなっているものであって、上記(1)、(2)の条件のうち満たされる方に該当する対向する一対の長手側面部及び対向する一対の短手側面部の何れか又は両方である。くびれが滑らかな円弧線で形成されている、ことは、間隔が、一の端部から中央部へ向けて連続して狭くなり中央部から他の端部に向けて連続して広がる、ことによってもたらされる態様を表したものである。
【0018】
又、既述のように、中央部が他部より間隔が狭いことによって、くびれを有する形状が実現されるが、この間隔を定める対向する一対の長手側面部は、面で構成される部分である。従って、対向する一対の長手側面部の間隔は、対向する一対の長手側面部の全ての面の間に生じることになる。既述のように、中央部とは、一対の長手側面部の、一の端部と他の端部との間の中央部分を指し、他部とは、一対の長手側面部の、一の端部と他の端部との間の中央以外の部分を指すのであるが、一の端部と他の端部とを結ぶ方向(通常の使用形態において横(左右)方向)に対して垂直の方向、即ち、長手側面部における、天面部の側と、天面部とは反対の(長手側面部の)下端と、を結ぶ方向(通常の使用形態において縦(上下)方向)においては、対向する一対の長手側面部の間隔は同じであってもよく、異なっていてもよい。このことは、対向する一対の短手側面部においても同様である。
【0019】
但し、本発明に係るカートンカバーにおいては、中央部が他部より間隔が狭くなっている対向する一対の長手側面部及び対向する一対の短手側面部のうち少なくとも何れかは、天面部の側において中央部が他部より間隔が狭く、天面部とは反対側の下端において間隔が一定であることが好ましい。
【0020】
天面部の側とは、長手側面部(短手側面部)の最も天面部寄りの部分(天面部に隣接している長手側面部(短手側面部)の上端)である。天面部の側において中央部が他部より間隔が狭く、天面部とは反対の下端において間隔が一定であるという上記態様は、上記下端のみに着目すれば(間隔が一定なので)くびれていない形状であるが、長手側面部全体として(短手側面部全体として)、あるいはカートンカバー全体としては、くびれているといえる形状である。長手側面部及び短手側面部は、面で構成される部分であり、面は連続しているものであるから、上記態様においては、天面部の側と下端とを結ぶ方向(上下方向)でみてみると、天面部と下端の中間部分は、くびれていない下端から、最もくびれている天面部の側(上端)まで、徐々にくびれは大きくなる。
【0021】
本発明に係るカートンカバーにおいては、天面部に開口が形成され、その開口を被覆するように配設されたウインドウフィルムを備え、そのウインドウフィルムにスリットが形成されていることが好ましい。
【0022】
本発明に係るカートンカバーにおいては、ウインドウフィルムを備える場合には、そのウインドウフィルムが、抗菌、芳香、脱臭、及び防虫のうち、少なくとも何れかの効果を発現する材料で形成されていることが好ましい。
【0023】
本発明に係るカートンカバーにおいては、カートンカバーの一対の長手側面部及び一対の短手側面部のうち、少なくとも何れかに、エンボス加工が施されていることが好ましい。
【0024】
少なくとも何れか、であるから、一対の長手側面部及び一対の短手側面部の両方にエンボス加工が施されていてもよく、天面部、一対の長手側面部のうちの一方、一対の短手側面部のうちの一方にエンボス加工が施されていてもよい。より好ましい態様は、一対の長手側面部及び一対の短手側面部の両方にエンボス加工が施されているものである。
【0025】
本明細書におけるエンボス加工とは、(カートンカバーの)表面に凹凸をつける加工のことをいう。エンボス加工は、カートンカバーが紙で形成される場合には、凹凸面を構成したキャビティを有する型を使用し、型押しすることによって行うことが出来る。これは、両面又は片面に押し罫を形成することに等しい。カートンカバーがプラスチック(ポリエチレンテレフタレート及び生分解性プラスチックを含む)で形成される場合には、成形の際に凹凸が形成されるような型を使用したり、紙と同様に成形後に型押ししてもよい。凹凸によって、文字、点字、絵柄、図形等を表すことが好ましい。
【0026】
本発明に係るカートンカバーは、外面を覆う対象であるカートンが、家庭用薄葉紙を収納する箱である場合に好適に使用することが出来る。
【0027】
本明細書において、家庭用薄葉紙とは、ティシュペーパー(顔ふき紙、化粧紙等と呼ばれるもの)、ちり紙、ペーパータオル(キッチンペーパー等)、トイレットペーパー(ロールを除く)、ワッティング(紙綿)等の使い捨て紙を総称する概念である。
【0028】
本発明に係るカートンカバーにおいては、カートンカバーが、紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、及び生分解性プラスチックのうち、何れかの材料で形成されていることが好ましい。又、これら材料に、布、撥水性布、和紙等を貼り合せたものを用いてもよい。更に、表面に、樹脂(フッ素樹脂)、高分子化合物、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン等をコーティングすることによって、耐水、耐油、撥水の機能を付加してもよい。
【0029】
紙としては、白板紙、色板紙、黄色紙、古紙利用のチップボール等の紙器用板紙を用いることが好ましい。生分解性プラスチックは、バクテリアをはじめとする微生物、あるいは酵素等の作用によって分解されるプラスチックである。例えば、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリビニルアルコール等を挙げることが出来る。
【0030】
本発明に係るカートンカバーは、通常の使用態様において、カートンの外面を上から覆うカバーである。本明細書において、外面を覆う対象であるカートンとは、木材パルプ、古紙等を原料とする厚紙等の紙材料を主原料としてなる、収納物を収容する箱(収納箱)をいう。但し、収容物自体は、本発明を特定する事項ではない。カートンの上面に収納物の取出口に該当する開口が形成されている場合には、本発明に係るカートンカバーでは、カートンの開口に合わせて、上記したように、天面部に開口が形成される場合がある。このような態様においては、カートンの開口及びカートンカバーの開口は連通するので、カートンの外面をカートンカバーで覆ったときに、容易にカートンの中から収容物を取り出すことが出来る。
【0031】
次に、本発明によれば、カートンの外面を覆った上記した何れかのカートンカバーであって、カートン及びカートンカバーのうち少なくとも何れかは、紙で形成され、カートンカバーにおける中央部が他部より間隔が狭くなっている対向する一対の長手側面部及び対向する一対の短手側面部のうち少なくとも何れかは、当該中央部における間隔が、カートンカバーで外面を覆われたときにそのカートンカバーの中央部に対応する位置におけるカートンの外形寸法に対して、同一か又は最大5mm小さい、カートンを覆ったカートンカバーが提供される。
【0032】
本発明に係るカートンカバーにおいて、上記中央部における間隔は、カートンカバーで外面を覆われたときにそのカートンカバーの中央部に対応する位置におけるカートンの外形寸法に対して、1〜2mm小さいことが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係るカートンカバーは、天面部、一対の長手側面部、及び一対の短手側面部で構成され、(1)対向する一対の長手側面部は、中央部が他部より間隔が狭い、(2)対向する一対の短手側面部は、中央部が他部より間隔が狭い、という2つの条件のうち少なくとも何れかを満たし、くびれを有するので、カートンカバーでカートンの外面を上から覆ったときに、間隔が狭い中央部において、対応するカートンの中央部に対しカートンカバーが圧接し得て、その一方、中央部より相対的に間隔が広いカートンカバーの両方の端部では、対応するカートンの両方の端部に対して隙間が生じ得る。それが故に、カートンカバーでカートンの外面を上から覆うときに、容易に覆え、その一方、覆った後には、カートンカバーはカートンから外れ難く、カートンカバーでカートンを保持することが可能である。これは、両方の端部では、カートンに対して隙間が生じている(カートンと接していない)から、覆うとき(カートンをカートンカバーに入れるとき)には、中央部を人力で少し開くだけで、スムーズに覆う(カートンをカートンカバーに入れる)ことが出来るのに対し、カートンカバーでカートンを覆った後は、人力で開かない限り、中央部では、カートンに対し圧接する力がはたらいているから、カートンカバーがカートンから外れ難くなっていることによる。
【0034】
本発明に係るカートンカバーは、その好ましい態様において、上記間隔が、一の端部から中央部へ向けて連続して狭くなり、中央部から他の端部に向けて連続して広がって、くびれが滑らかな円弧線で形成されているので、上記した優れた効果を発揮し易くなる。これは、カートンカバーの上記くびれが滑らかな円弧線で形成されていると、カートンを圧接し得る中央部からカートンと接しない端部まで、カートンカバーがカートンを圧接する力が、中央部から端部にかけて連続的に変化する(弱まる)ためである。即ち、本態様であれば、中央部を人力で少し開くだけで、覆われるカートンに対する覆うカートンカバーの隙間が全体的に広がり易く、容易にカートンをカートンカバーへ入れ易くなるからである。一方、覆っている状態では、中央部から端部に向けて徐々に弱まりつつもカートンカバーの広範囲でカートンを圧接し得るため、カートンからカートンカバーが外れ難くなるのである。又、滑らかな円弧線で形成されたくびれは美しく、意匠性に優れる。
【0035】
本発明に係るカートンカバーは、その好ましい態様において、中央部が他部より間隔が狭くなっている対向する一対の長手側面部及び対向する一対の短手側面部のうち少なくとも何れかは、天面部の側において中央部が他部より間隔が狭く、天面部とは反対の下端において間隔が一定である。これは、天面部はくびれているが、既述のように、下端のみに着目すればくびれていない形状である。従って、下端では、カートンカバーの中央部においても両方の端部においても、カートンカバーとカートンの間には隙間が生じ得る。一方、天面部の側においては、カートンカバーでカートンの外面を上から覆ったときに、間隔が狭い中央部において、対応するカートンの中央部に対しカートンカバーが圧接し得て、間隔が広いカートンカバーの両方の端部では、カートンの両方の端部に対して隙間が生じ得る。それが故に、本態様においては、カートンカバーでカートンの外面を上から覆うときに、カートンカバーの中央部を人力で開かなくても、スムーズにカートンカバーにカートンを入れることが出来、カートンカバーでカートンを容易に覆うことが出来、その一方、覆った後には、天面部においてカートンカバーで圧接されるから、カートンはカートンカバーから外れ難い。
【0036】
本発明に係るカートンカバーは、その好ましい態様において、天面部に開口が形成され、その開口を被覆するように配設されたウインドウフィルムを備え、そのウインドウフィルムにスリットが形成されているので、カートンの収容物をスリットで保持することが出来るとともに、粉塵のカートン内への進入が防止される。外面を覆う対象であるカートンがティシュペーパーを収納する箱(ティシュペーパーカートン)である場合には、そのカートン自体の上面に設けられた開口にもスリットを形成したウインドウフィルムが備わる場合があり、この場合には、2重のフィルム(スリット)によって、確実に、ティシュペーパーが保持され、粉塵の進入が防止される。本発明に係るカートンカバーの好ましい態様によれば、枚数が少なくなったときにティシュペーパーがカートン内へ落下してしまい、ティシュペーパーを取り出し難くなるという問題は生じない。又、ティシュペーパーのカートンがフィルムレスである場合には、本発明に係るカートンカバーにおけるスリットを形成したウインドウフィルムのみで、ティシュペーパーを保持することが出来る。
【0037】
本発明に係るカートンカバーは、その好ましい態様において、カートンカバーの一対の長手側面部及び一対の短手側面部のうち、少なくとも何れかに、エンボス加工が施されているので、このエンボスを視覚的な及び触覚的な目印として、カートンカバーを触る人の行為を誘導することが出来る。例えば、把持して欲しい場所(把持し易い場所)にエンボス加工を施しておけば、人間は本能的に、他と異なる表面状態の当該エンボス加工が施された部分を触ろうとするから、把持場所を固定することが可能となる。又、エンボスを点字とすれば、盲目者の情報伝達に役立つ。更には、エンボス加工された部分は、把持する際の滑り止め効果も発現する。加えて、紙製のカートンカバーの場合には、エンボス加工を施すことによって、紙が部分的に圧縮され、層間剥離の発生(切れや破れの発生)を抑制するとともに、構造体としてのカートンカバーの強度向上が図れ、潰れや坐屈の発生を抑制する。
【0038】
本発明に係るカートンカバーは、その好ましい態様において、カートンカバーが、紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、及び生分解性プラスチックのうち、何れかの材料で形成されているので、再利用が容易であり、廃棄物が低減され、環境負荷を軽減することが可能である。
【0039】
本発明に係るカートンを覆ったカートンカバーは、本発明に係るカートンカバーの上記カートンを保持する効果を得るために、カートンに対するカートンカバーの大きさを特定したものである。本発明に係るカートンを覆ったカートンカバーは、カートン及びカートンカバーのうち少なくとも何れかは、(弾性を有する)紙で形成され、中央部が他部より間隔が狭くなっている、対向する一対の長手側面部及び対向する一対の短手側面部のうち少なくとも何れかは、当該中央部における間隔が、外面を覆われたときに、カートンカバーの他部より間隔が狭くなっている中央部に対応する位置における、カートンの外形寸法に対して、同一か又は最大2mm小さいので、カートンカバーでカートンの外面を上から覆ったときに、中央部においてカートンカバーはカートンに必ず圧接し、カートンカバーがカートンから外れ難くなる。カートンが弾性を有する紙で形成されている場合には、カートンカバーをカートンから外した後は、カートンカバーは新たなカートンを次の対象とするので、寸法関係は変わらず、カートンカバーは繰り返し使用可能である。カートンカバーが弾性を有する紙で形成されている場合には、カートンカバーをカートンから外せば、カートンカバーの形状は元へ戻り、カートンカバーを繰り返し使用することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明について、適宜、図面を参酌しながら、実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではない。本発明の要旨を損なわない範囲で、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良、置換を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は、以下に記述される手段である。
【0041】
図1〜図4、及び図6〜図11は、本発明に係るカートンカバーの一の実施形態を示す図である。図1は、例えば白板紙からなる組立て式のカートンカバーを組み立てる前の展開図であり、カートンブランクを表した図である。図2は、カートンがティシュペーパーカートン41である場合の、本発明に係るカートンカバーの使用状態を示す図であり、後述する図9に相当する断面図である。図3は、上方からみたカートンカバーの斜視図であり、図4は、下方からみたカートンカバーの斜視図である。図6は、カートンカバーの平面図(上面図)であり、図7は、カートンカバーの底面図(下面図、実際には底面そのものは存在しない)である。図8は、図6におけるAA断面を示す断面(矢視)図であり、図9は、図6におけるBB断面を示す断面(矢視)図である。図10は、カートンカバーの正面図(長手側面を表した図、裏面も同じ)であり、図11は、カートンカバーの左側面図(短手側面を表した図、右も同じ)である。
【0042】
図5は、本発明に係るカートンカバーの他の実施形態を示す図である。図5では、図3に示されるカートンカバーにウインドウフィルムを装着した態様が、上方からみた斜視図で表されている。
【0043】
図1〜図4、及び図6〜図11に示されるカートンカバー10は、上面にティシュペーパーの取出口(開口)が形成されたティシュペーパーカートン41の外面を上から覆うものである(図2を参照)。このカートンカバー10は、ティシュペーパーカートン41の取出口に通じるように開口21が形成された天面部11、対向する一対の長手側面部12,13、及び対向する一対の短手側面部14,15で構成され、概ね直方体状を呈しており、(一例として)白板紙で形成されたものである。
【0044】
カートンカバー10は、天面部11を上から見たとき(図6を参照)に、中央部(X軸方向における長手側面部12,13の中央部)が、他部(X軸方向における長手側面部12,13の両方の端部)より、細くなっており、例えばヴァイオリンのようなくびれを有する形状をなすものである(併せて図8を参照)。但し、図3、図6、及び図8を参照して理解されるように、くびれは、対向する一対の長手側面部12,13の天面部11の側(Z軸方向における長手側面部12,13の上端)において形成され、対向する一対の長手側面部12,13の下端62,63(Z軸方向における長手側面部12,13の下端)の側では、くびれは形成されていない。下端62,63の側は、カートンカバー10で、ティシュペーパーカートン41の外面を上から覆う際の、入口にあたる部分であるから、ここがくびれていないことによって、カートンカバー10を人力で開かなくても、スムーズにカートンカバー10にティシュペーパーカートン41を入れることが出来る。一方、天面部11の側ではくびれているから、そこにおいてカートンカバー10によってティシュペーパーカートン41は圧接され、保持される。
【0045】
長手側面部12,13は、それぞれが連続した1つの面であるから、天面部11の側と下端62,63とを結ぶ方向(概ねZ軸方向)で考えると、天面部11の側と下端62,63の中間部分は、くびれていない下端62,63から、最もくびれている天面部11の側まで、徐々にくびれは大きくなっている(図6及び図8を参照)。従って、カートンカバー10でティシュペーパーカートン41を覆う際に、カートンカバー10によってティシュペーパーカートン41が徐々に圧接され、その反対に、ティシュペーパーカートン41からカートンカバー10を外す際には、徐々に圧接から開放される。そのため、カートンカバー10でティシュペーパーカートン41をスムーズに覆うことが出来る。又、例えばカートンカバー10を少し変形させる等によって人力で圧接の力を取り除いてやりさえすれば、容易に、ティシュペーパーカートン41からカートンカバー10を外すことが可能である。
【0046】
カートンカバー10のくびれは、対向する一対の長手側面部12,13の中央部における間隔(長手側面部12と長手側面部13との間のY軸方向の距離)を、天面部11の側において、端部における間隔より、狭くすることによって実現されている。一方、カートンカバー10では、対向する一対の短手側面部14,15は、中央部(Y軸方向の中央部)も他部(Y軸方向の両方の端部)も、間隔(短手側面部14と短手側面部15との間のX軸方向の距離)は一定(同じ)である。
【0047】
カートンカバー10では、くびれは滑らかな円弧線で形成されている(図3及び図6を参照)。これは、天面部11の側において、対向する一対の長手側面部12,13の間隔を、(長手側面部12,13の)一の端部から中央部へ向けて連続して狭くし、中央部から他の端部に向けて連続して広げることによって、実現されている。
【0048】
カートンカバー10の大きさは、覆う対象であるティシュペーパーカートン41の大きさによって定まる。(一例として)カートンカバー10では、対向する一対の長手側面部12,13の中央部における間隔(内寸、内側の寸法)は、対応する位置におけるティシュペーパーカートン41の外形寸法(外側の寸法)と、同一である。
【0049】
カートンカバー10では、長手側面部12は、その下側で(図8及び図9を参照)内側に折り込まれた折込部22と、外側に現れている外面部52と、を備えている(図6〜図9を参照)。同様に、長手側面部13は、その下側で内側に折り込まれた折込部23と、外側に現れている外面部53と、を備え、短手側面部14は、その下側で(図8及び図9を参照)内側に折り込まれた折込部24と、外側に現れている外面部54と、を備え、短手側面部15は、その下側で内側に折り込まれた折込部25と、外側に現れている外面部55と、を備え、それぞれ複層構造をなしている(図6〜図9を参照)。
【0050】
図1と図7及び図8を対比させることで理解されるように、長手側面部12の折込部22は、長手側面部12を折り込んで形成され、且つ、折込・伸開可能に設けられる。そして、折込部22の先端(図1を参照)には、更に折り曲げられて天面部11の内面の押圧をし得る押さえ代32が備わる(図7を参照)。同様に、長手側面部13の折込部23は、長手側面部13を折り込んで形成され、且つ、折込・伸開可能に設けられ、長手側面部13の折込部23の先端(図1を参照)には、更に折り曲げられて天面部11の内面の押圧をし得る押さえ代33が備わる(図4及び図7を参照)。
【0051】
又、図1と図7及び図9を対比させることで理解されるように、短手側面部14の折込部24は、短手側面部14を折り込んで形成され、且つ、折込・伸開可能に設けられ、短手側面部14の折込部24の先端(図1を参照)には、更に折り曲げられて天面部11の内面の押圧をし得る押さえ代34が備わる(図7を参照)。短手側面部15の折込部25は、長手側面部15を折り込んで形成され、且つ、折込・伸開可能に設けられ、短手側面部15の折込部25の先端(図1を参照)には、更に折り曲げられて天面部11の内面の押圧をし得る押さえ代35が備わる(図4及び図7を参照)。
【0052】
カートンカバー10は、短手側面部14,15のそれぞれの内面に、各々1つの内反し7を備えている(図4及び図9を参照)。この内反し7は、カートンカバー10自体に切込を入れ、その切込を開いて形成したものである。具体的には、図1に示される展開したカートンブラックの状態において、短手側面部15の側において、折込部25に、押さえ代35の側を向いた円弧状の切込17を形成しておく。そうすると、折込部25を折り込んだ際に、切込17が少し開いて、内反し7が形成される。短手側面部14の側でも同様であり、カートンブラックの状態において、折込部24に、押さえ代34の側を向いた円弧状の切込17を形成しておく。そうすると、折込部24を折り込んだ際に、切込17が少し開いて、内反し7が形成される。
【0053】
切込17によって形成された内反し7は、天面部11の側に開いており、天面部11の側とは反対の、短手側面部14,15の下端の側において短手側面部14,15自体に着いている。そのため、カートンカバー10でティシュペーパーカートン41の外面を上から覆うときに、容易に覆え、一方、覆った後に、カートンカバー10はティシュペーパーカートン41から外れ難い。カートンカバー10でティシュペーパーカートン41を保持することが可能である。これは、内反し7が天面部11の側に開いていることから、覆うとき(ティシュペーパーカートン41をカートンカバー10に入れるとき)には、内反し7の開きによる押圧がティシュペーパーカートン41にはたらき難く、スムーズに覆う(ティシュペーパーカートン41をカートンカバー10に入れる)ことが出来るのに対し、カートンカバー10をティシュペーパーカートン41から外そうとすると、内反し7の開きによる押圧がティシュペーパーカートン41にはたらくとともに、開いた内反し7の先端がティシュペーパーカートン41の壁面に係合して、ティシュペーパーカートン41からカートンカバー10が外れるのを防ごうとする力がはたらくからである。カートンカバー10は、くびれを有する形状をなすことに加えて、内反し7が備わることによって、ティシュペーパーカートン41から外れ難くなる。
【0054】
カートンカバー10の長手側面部12,13及び短手側面部14,15は、それぞれエンボス加工が施されたエンボス加工部を有する。長手側面部12,13のエンボス加工部42,43は凹みによって表されており、閉じた輪郭線の中に形成された、長手側面部における横方向(X軸方向)に向いた多数の平行線で構成されている(図1、図3、図10を参照)。短手側面部14,15のエンボス加工部44,45も凹みによって表されており、短手側面部における横方向(Y軸方向)に向いた多数の平行線で構成され、エンボス加工部44,45の一部は、天面部にまで延長されている(図1、図3、図6、図11を参照)。
【0055】
カートンカバー10は、(一例として)以下の方法によって製造することが出来る。先ず、白板紙を用意し、これを所定形状に切断し、切込17を形成して、カートンブランクを得る(図1を参照)。併せて、長手側面部12,13に、切込50a,50b,50c,50dを形成した係合部51a,51b,51c,51dを設けておくとともに、押し型によって、折り曲げをするための折曲線(図1において破線で示された部分)を形成する。そして、この際、天面部11と長手側面部12の境界の折曲線、及び天面部11と長手側面部13の境界の折曲線は、滑らかな円弧線で形成しておく(図1を参照)ことが肝要である。一方、長手側面部12における外面部52と折込部22との境界の折曲線(折込部22を折り込むための押し罫)、長手側面部13における外面部53と折込部23との境界の折曲線(折込部23を折り込むための押し罫)、短手側面部14における外面部54と折込部24との境界の折曲線(折込部24を折り込むための押し罫)、短手側面部15における外面部55と折込部25との境界の折曲線(折込部25を折り込むための押し罫)は、直線で形成する(図1を参照)。
【0056】
次いで、カートンブランクを折曲線に沿って折り曲げて組み立てていく。天面部11に対して、長手側面部12,13及び短手側面部14,15を、それぞれ折り曲げる。そして、長手側面部12から係合部51a,51bをそれぞれ折り曲げ、長手側面部13から係合部51c,51dをそれぞれ折り曲げた後に、切込50aと切込50cを嵌め合わせて係合部51aと係合部51cとを係合させ、同様にして、切込50bと切込50dを嵌め合わせて係合部51bと係合部51dとを係合させる。
【0057】
その後、既述のように、折込部を折り込む。即ち、長手側面部12,13に備わる折込部22,23をそれぞれ内側に折り込み、それぞれの押さえ代32,33によって天面部11を押圧する。同様にして、短手側面部14,15に備わる折込部24,25をそれぞれ内側に折り込み、それぞれの押さえ代34,35によって天面部11を押圧する。押さえ代32,33,34,35で天面部11の押圧をすることによって、折込部22,23,24,25が伸び開かないようになる。そして、既述のように、折込部22,23,24,25を折り込むことによって、内反し7が形成される。以上によって、カートンカバー10を得ることが出来る。
【0058】
カートンカバー10では、滑らかな円弧線を描く天面部11と長手側面部12の境界の折曲線、及び天面部11と長手側面部13の境界の折曲線は、2重の押し罫で構成される。そのため、折り曲げを行い易く、折り曲げ時に、潰れや坐屈が起き難い。
【0059】
又、この滑らかな円弧線を描く天面部11と長手側面部12の境界、及び天面部11と長手側面部13の境界は、折り曲げて得られるカートンカバー10において、最も目立つ部分であるが、失敗なく折り曲げられるので、折り曲げて組み立てても、製品としてのカートンカバー10の美観を損なうことがない。そのため、カートンカバー10を、カートンブランクの状態で市場に流通させることを容易にする。
【0060】
加えて、既述のように、滑らかな円弧線を描く天面部11と長手側面部12の境界の折曲線、及び天面部11と長手側面部13の境界の折曲線が、2重の押し罫で構成されていることから、折り曲げて得られるカートンカバー10において、天面部11と長手側面部12とがなす角部、及び天面部11と長手側面部13とがなす角部は、2つの角で形成された、滑らかな感触を与え得る角部となり、手のカーブになじんだ、優しい形であるため、カートンカバーを持ち運びする際、手を傷つけ難く、容易に持つことが可能である。又、1つの例えば90°の角の場合より、外部から応力がかかったときに変形が起こり難い。更に、角が鋭角にならないので、表面に塗装した場合に塗装が剥がれ難い。
【0061】
図2に示されるように、カートンカバー10でティシュペーパーカートン41を覆った場合、ティシュペーパーカートン41の上面に備わるティシュペーパー40(収容物)の取出口(開口)と、カートンカバー10の開口21は重なって連通する。従って、カートンカバー10で覆ったティシュペーパーカートン41の中から、カートンカバー10の外へ、ティシュペーパー40を取り出すことが可能である。
【0062】
図5に示されるカートンカバー100では、開口21を内側から被覆するように、(一例として)市販のポリ乳酸を主成分とする生分解性プラスチックシートからなるウインドウフィルム4が備わっている。ウインドウフィルム4には、スリット2が形成されており、カートンカバー100によれば、覆う対象であるティシュペーパーカートンがフィルムレスであっても、自らに備わるウインドウフィルム4のスリット2によって、次に取り出されるべきティシュペーパー(収容物)を、ティシュペーパーカートン内に落とすことなく、保持することが可能である。
【0063】
次に、図12〜図14は、本発明に係るカートンカバーの更に他の実施形態を示す図である。図12は、例えば色板紙からなる組立て式のカートンカバーを組み立てる前の展開図であり、カートンブランクを表した図である。図13は、上方からみたカートンカバーの斜視図であり、図14は、下方からみたカートンカバーの斜視図である。
【0064】
図12〜図14に示されるカートンカバー110は、上面にティシュペーパーの取出口(開口)が形成されたティシュペーパーカートンの外面を上から覆うものである。このカートンカバー110は、ティシュペーパーカートンの取出口に通じるように開口121が形成された天面部111、対向する一対の長手側面部112,113、及び対向する一対の短手側面部114,115で構成され、概ね直方体状を呈しており、(一例として)色板紙で形成されたものである。
【0065】
カートンカバー110は、既述のカートンカバー10に準じた形態をなすものである。但し、カートンカバー110は、長手側面部112,113及び一対の短手側面部114,115のZ軸方向の長さが、既述のカートンカバー10と比して長く、例えば2つのティシュペーパーを覆うことが出来るものとなっている。従って、カートンカバー110は、使用中のティシュペーパーの他に予備用のティシュペーパーを合わせて覆うことが出来るので、例えばホテル等の客室に設置するティシュペーパーのカバーとして好適に使用することが出来る。
【0066】
図12〜図14に示されるカートンカバー110は、天面部111を上から見たときに、中央部(X軸方向における長手側面部112,113の中央部)が、他部(X軸方向における長手側面部112,113の両方の端部)より、細くなっており、例えばヴァイオリンのようなくびれを有する形状をなすものである。但し、くびれは、対向する一対の長手側面部112,113の天面部111の側(Z軸方向における長手側面部112,113の上端)において形成され、対向する一対の長手側面部112,113の下端162,163(Z軸方向における長手側面部112,113の下端)の側では、くびれは形成されていない。下端162,163の側は、カートンカバー110で、ティシュペーパーカートンの外面を上から覆う際の、入口にあたる部分であるから、ここがくびれていないことによって、カートンカバー110を人力で開かなくても、スムーズにカートンカバー110にティシュペーパーカートンを入れることが出来る。一方、天面部111の側ではくびれているから、そこにおいてカートンカバー110によってティシュペーパーカートンは圧接され保持される。
【0067】
長手側面部112,113は、それぞれが連続した1つの面であるから、天面部111の側と下端162,163とを結ぶ方向(概ねZ軸方向)で考えると、天面部111の側と下端162,163の中間部分は、くびれていない下端162,163から、最もくびれている天面部111の側まで、徐々にくびれは大きくなっている。従って、カートンカバー110でティシュペーパーカートンを覆う際に、カートンカバー110によってティシュペーパーカートンが徐々に圧接され、その反対に、ティシュペーパーカートンからカートンカバー110を外す際には、徐々に圧接から開放される。そのため、カートンカバー110でティシュペーパーカートンをスムーズに覆うことが出来る。又、例えばカートンカバー110を少し変形させる等によって人力で圧接の力を取り除いてやりさえすれば、容易に、ティシュペーパーカートンからカートンカバー110を外すことが可能である。
【0068】
カートンカバー110のくびれは、対向する一対の長手側面部112,113の中央部における間隔(長手側面部112と長手側面部113との間のY軸方向の距離)を、天面部111の側において、端部における間隔より、狭くすることによって実現されている。一方、カートンカバー110では、対向する一対の短手側面部114,115は、中央部(Y軸方向の中央部)も他部(Y軸方向の両方の端部)も、間隔(短手側面部114と短手側面部115との間のX軸方向の距離)は一定(同じ)である。
【0069】
カートンカバー110では、くびれは滑らかな円弧線で形成されている(図12及び図13を参照)。これは、天面部111の側において、対向する一対の長手側面部112,113の間隔を、(長手側面部112,113の)一の端部から中央部へ向けて連続して狭くし、中央部から他の端部に向けて連続して広げることによって、実現されている。
【0070】
カートンカバー110の大きさは、覆う対象であるティシュペーパーカートンの大きさによって定まる。(一例として)カートンカバー110では、対向する一対の長手側面部112,113の中央部における間隔(内寸、内側の寸法)は、対応する位置におけるティシュペーパーカートン41の外形寸法(外側の寸法)より1mm小さくなっている。
【0071】
カートンカバー110では、長手側面部112は、その下側で内側に折り込まれた折込部122と、外側に現れている外面部152と、を備えている(図12を参照)。同様に、長手側面部113は、その下側で内側に折り込まれた折込部123と、外側に現れている外面部153と、を備え(図12及び図14を参照)、短手側面部114は、その下側で(図12を参照)内側に折り込まれた折込部124と、外側に現れている外面部154と、を備え、短手側面部115は、その下側で内側に折り込まれた折込部125と、外側に現れている外面部155と、を備え、それぞれ複層構造をなしている(図12及び図14を参照)。
【0072】
長手側面部112の折込部122は、長手側面部112を折り込んで形成され、且つ、折込・伸開可能に設けられる。そして、折込部122の先端(図12を参照)には、更に折り曲げられて天面部111の内面の押圧をし得る押さえ代132が備わる。同様に、図12と図14を対比させることで理解されるように、長手側面部113の折込部123は、長手側面部113を折り込んで形成され、且つ、折込・伸開可能に設けられ、長手側面部113の折込部123の先端(図12を参照)には、更に折り曲げられて天面部111の内面の押圧をし得る押さえ代133が備わる。
【0073】
又、短手側面部114の折込部124は、短手側面部114を折り込んで形成され、且つ、折込・伸開可能に設けられ、短手側面部114の折込部124の先端(図12を参照)には、更に折り曲げられて天面部111の内面の押圧をし得る押さえ代134が備わる。同様に、図12と図14を対比させることで理解されるように、短手側面部115の折込部125は、長手側面部115を折り込んで形成され、且つ、折込・伸開可能に設けられ、短手側面部115の折込部125の先端(図12を参照)には、更に折り曲げられて天面部111の内面の押圧をし得る押さえ代135が備わる(図12及び図14を参照)。
【0074】
カートンカバー110は、短手側面部114,115のそれぞれの内面に、各々1つの内反し107を備えている(図14を参照)。この内反し107は、カートンカバー自体に切抜116を入れ、その切抜116を形成する一辺が開くことによって形成されたものである。具体的には、図12に示される展開したカートンブラックの状態において、短手側面部115の側において、折込部125に弓状の切抜116を形成しておく。そうすると、折込部125を折り込んだ際に、切抜116を形成する辺のうち(図12中の)左側の辺(双子山状の辺)が少し開いて、内反し107が形成される。同様に、短手側面部114の側においても、折込部124に弓状の切抜116を形成しておく。そうすると、折込部124を折り込んだ際に、切抜116を形成する辺のうち(図12中の)右側の辺(双子山状の辺)が少し開いて、内反し107が形成される。
【0075】
切抜116によって形成された内反し107は、天面部111の側に開いており、天面部111の側とは反対の、短手側面部114,115の下端の側において短手側面部114,115自体に着いている。そのため、カートンカバー110でティシュペーパーカートンの外面を上から覆うときに、容易に覆え、一方、覆った後に、カートンカバー110はティシュペーパーカートンから外れ難い。即ち、カートンカバー110でティシュペーパーカートンを保持することが可能になる。これは、内反し107が天面部111の側に開いていることから、覆うとき(ティシュペーパーカートンをカートンカバー110に入れるとき)には、内反し107の開きによる押圧がティシュペーパーカートンにはたらき難く、スムーズに覆う(ティシュペーパーカートンをカートンカバー10に入れる)ことが出来るのに対し、カートンカバー110をティシュペーパーカートンから外そうとすると、内反し107の開きによる押圧がティシュペーパーカートンにはたらくとともに、開いた内反し107の先端がティシュペーパーカートンの壁面に係合して、ティシュペーパーカートンからカートンカバー110が外れるのを防ごうとする力がはたらくからである。カートンカバー110は、くびれを有する形状をなすことに加えて、内反し107が備わることによって、ティシュペーパーカートンから外れ難くなっている。
【0076】
カートンカバー110の長手側面部112,113及び短手側面部114,115は、それぞれエンボス加工が施されたエンボス加工部を有する。長手側面部112,113のエンボス加工部142,143は、凹みによって表されており、2つに分かれて形成され、それぞれが、閉じた輪郭線の中に形成された、長手側面部における横方向(X軸方向)に向いた多数の平行線で構成されている(図12〜図14を参照)。短手側面部114,115のエンボス加工部144,145も凹みによって表されており、短手側面部における横方向(Y軸方向)に向いた多数の平行線で構成され、エンボス加工部144,145の一部は、天面部111にまで延長されている(図12及び図13を参照)。
【0077】
カートンカバー110は、(一例として)以下の方法によって製造することが出来る。先ず、色板紙を用意し、これを所定形状に切断し、切抜116を形成して、カートンブランクを得る(図12を参照)。このとき、長手側面部112に、凸部を形成した係合部151a,151bを設け、長手側面部113に、凹部を形成した係合部151c,151dを設けておく。併せて、押し型によって、折り曲げをするための折曲線(図12において破線で示された部分)を形成する。この際、天面部111と長手側面部112の境界の折曲線、及び天面部111と長手側面部113の境界の折曲線は、滑らかな円弧線で形成しておく(図12を参照)ことが肝要である。一方、長手側面部112における外面部152と折込部122との境界の折曲線(折込部122を折り込むための押し罫)、長手側面部113における外面部153と折込部123との境界の折曲線(折込部123を折り込むための押し罫)、短手側面部114における外面部154と折込部124との境界の折曲線(折込部124を折り込むための押し罫)、短手側面部115における外面部155と折込部125との境界の折曲線(折込部125を折り込むための押し罫)は、直線で形成する(図12を参照)。
【0078】
次いで、カートンブランクを折曲線に沿って折り曲げて組み立てていく。天面部111に対して、長手側面部112,113及び短手側面部114,115を、それぞれ折り曲げる。そして、長手側面部112から係合部151a,151bをそれぞれ折り曲げ、長手側面部113から係合部151c,151dをそれぞれ折り曲げた後に、係合部151a,151bが形成した凸部を、係合部151c,151dが形成した凹部に、それぞれ差し込んで嵌め合わせ、係合部151aと係合部151c、及び、係合部151bと係合部151dとを係合させる。
【0079】
その後、折込部を折り込む。即ち、長手側面部112,113に備わる折込部122,123をそれぞれ内側に折り込み、それぞれの押さえ代132,133によって天面部111を押圧する。同様にして、短手側面部114,115に備わる折込部124,125をそれぞれ内側に折り込み、それぞれの押さえ代134,135によって天面部111を押圧する。押さえ代132,133,134,135で天面部111の押圧をすることによって、折込部122,123,124,125が伸び開かないようになる。そして、折込部124,125を折り込むことによって、内反し107が形成される。以上によって、カートンカバー110を得ることが出来る。
【0080】
カートンカバー110では、長手側面部112の押さえ代132の境界を示す折曲線、及び長手側面部113の押さえ代133の境界を示す折曲線が、2重の押し罫で構成され、更に、滑らかな円弧線を描く天面部111と長手側面部112の境界の折曲線、及び天面部111と長手側面部113の境界の折曲線も、2重の押し罫で構成される。そのため、素人でも折り曲げを行い易い。加えて、天面部111の開口121の周りには、開口121の形状と同様な長円形状の2重の縁取線118(押し罫)が形成されているので、折り曲げ時に、天面部111に潰れや坐屈が起き難く、この点においても、素人の折り曲げ作業を手助けする。
【0081】
又、既述のように、滑らかな円弧線を描く天面部111と長手側面部112の境界の折曲線、及び天面部111と長手側面部113の境界の折曲線が、2重の押し罫で構成されていることから、折り曲げて得られるカートンカバー110において、天面部111と長手側面部112とがなす角部、及び天面部111と長手側面部113とがなす角部は、2つの角で形成された、滑らかな感触を与え得る角部となる。そのため、1つの例えば90°の角の場合より安全であり、加えて、外部から応力がかかったときに変形し難い。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明に係るカートンカバーは、ティシュペーパー、キッチンペーパー等のペーパータオル、シート状のトイレットペーパー、ワッティング(紙綿)等を収納するカートンの外面を覆って、居室の雰囲気に合致させ溶け込ませるようにカートンの視覚性を改善する等の役割を果たすカートンカバーとして、好適に利用出来る。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係るカートンカバーの一の実施形態を示す図であり、カートンカバーを組み立てる前のカートンブランクの状態の展開図である。
【図2】本発明に係るカートンカバーの一の実施形態を示す図であり、使用状態を示す断面図である。
【図3】本発明に係るカートンカバーの一の実施形態を示す図であり、上方からみたカートンカバーの斜視図である。
【図4】本発明に係るカートンカバーの一の実施形態を示す図であり、下方からみたカートンカバーの斜視図である。
【図5】本発明に係るカートンカバーの他の実施形態を示す図であり、上方からみたカートンカバーの斜視図である。
【図6】本発明に係るカートンカバーの一の実施形態を示す図であり、カートンカバーの平面図である。
【図7】本発明に係るカートンカバーの一の実施形態を示す図であり、カートンカバーの底面図である。
【図8】図6におけるAA断面を示す断面(矢視)図である。
【図9】図6におけるBB断面を示す断面(矢視)図である。
【図10】本発明に係るカートンカバーの一の実施形態を示す図であり、カートンカバーの正面図である。
【図11】本発明に係るカートンカバーの一の実施形態を示す図であり、カートンカバーの左側面図である。
【図12】本発明に係るカートンカバーの更に他の実施形態を示す図であり、カートンカバーを組み立てる前のカートンブランクの状態の展開図である。
【図13】本発明に係るカートンカバーの更に他の実施形態を示す図であり、上方からみたカートンカバーの斜視図である。
【図14】本発明に係るカートンカバーの更に他の実施形態を示す図であり、下方からみたカートンカバーの斜視図である。
【符号の説明】
【0084】
4 ウインドウフィルム
7,107 内反し
10,100,110 カートンカバー
11,111 天面部
12,13,112,113 長手側面部
14,15,114,115 短手側面部
17 切込
21,121 開口
22,23,122,123 (長手側面部の)折込部
24,25,124,125 (短手側面部の)折込部
32,33,132,133 (長手側面部の折込部の)押さえ代
34,35,134,135 (短手側面部の折込部の)押さえ代
40 ティシュペーパー
41 ティシュペーパーカートン
42,43,142,143 (長手側面部の)エンボス加工部
44,45,144,145 (短手側面部の)エンボス加工部
50a,50b,50c,50d 切込
51a,51b,51c,51d,151a,151b,151c,151d 係合部
52,53,152,153 (長手側面部の)外面部
54,55,154,155 (短手側面部の)外面部
62,63,162,163 (長手側面部の)下端
116 切抜
118 縁取線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートンの外面を覆うカートンカバーであって、
天面部、対向する一対の長手側面部、及び対向する一対の短手側面部で構成され、少なくとも(1)、(2)のうち何れかの条件を満たすことによって、くびれを有する形状をなすカートンカバー。
(1)前記対向する一対の長手側面部の間隔は、中央部が他部より狭い。
(2)前記対向する一対の短手側面部の間隔は、中央部が他部より狭い。
【請求項2】
中央部が他部より間隔が狭くなっている前記対向する一対の長手側面部及び対向する一対の短手側面部のうち少なくとも何れかは、
前記間隔が、一の端部から前記中央部へ向けて連続して狭くなり、中央部から他の端部に向けて連続して広がり、前記くびれが滑らかな円弧線で形成されている請求項1に記載のカートンカバー。
【請求項3】
中央部が他部より間隔が狭くなっている前記対向する一対の長手側面部及び対向する一対の短手側面部のうち少なくとも何れかは、
前記天面部の側において中央部が他部より間隔が狭く、前記天面部とは反対側の下端において間隔が一定である請求項1又は2に記載のカートンカバー。
【請求項4】
前記天面部に開口が形成され、その開口を被覆するように配設されたウインドウフィルムを備え、そのウインドウフィルムにスリットが形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載のカートンカバー。
【請求項5】
前記カートンカバーの前記一対の長手側面部及び一対の短手側面部のうち、少なくとも何れかに、エンボス加工が施されている請求項1〜4の何れか一項に記載のカートンカバー。
【請求項6】
外面を覆う対象である前記カートンが、家庭用薄葉紙を収納する箱である請求項1〜5の何れか一項に記載のカートンカバー。
【請求項7】
カートンの外面を覆った請求項1〜6の何れかに記載のカートンカバーであって、
前記カートン及びカートンカバーのうち少なくとも何れかは、紙で形成され、
前記カートンカバーにおける前記中央部が他部より間隔が狭くなっている前記対向する一対の長手側面部及び対向する一対の短手側面部のうち少なくとも何れかは、当該中央部における間隔が、
前記カートンカバーで外面を覆われたときにそのカートンカバーの前記中央部に対応する位置における前記カートンの外形寸法に対して、
同一か又は最大5mm小さい、カートンを覆ったカートンカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−207834(P2008−207834A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46190(P2007−46190)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】