説明

カートン中間成形体及び包装物供給体

【課題】包装物の切断性の低下を抑制することが可能なカートン中間成形体及び該カートン中間成形体からなるカートンを備えた包装物供給体を提供する。
【解決手段】カートン中間成形体は、組み立て前のカートンである板紙における複数の罫線12,14,16,18,20のうち、切断刃6に隣接する罫線20で連接された一対の部分の裏面のなす角度が、組み立て後のカートンでなす角度よりも鋭角となるように折り曲げられている。これにより、罫線20には、組み立て後のカートンにおける該罫線20の折り曲げ角度よりも鋭角な折り癖を付けることができる。この折り癖に基づく形状保持力によって、切断刃6が取り付けられた蓋部正面壁5F(蓋部正面壁部分21)が正面壁4F(正面壁部分13)に押し付けられて、包装物供給体の使用開始時はもちろんのこと、使用開始後であっても蓋部正面壁5Fが正面壁4Fから浮いた状態となることを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートンを製造するためのカートン中間成形体に関するものであって、特にカートンから引き出される包装物を切断する切断刃を有するカートンの中間成形体、及び該カートンの中間成形体からなるカートンを備えた包装物供給体に関する。
【背景技術】
【0002】
ラップフィルム、アルミニウム箔、クッキングシートなどの包装物が巻き回されたロールは、取り扱い上及び安全衛生上の観点から、板紙製の箱体であるカートンに収容されたかたちで広く流通している。このようなカートンの構成としては、ロールが収容される収容部と該収容部に回動可能に連接された蓋部とからなるものが一般に知られている。また、収容部から引き出された包装物を切断するための切断刃が箱側壁の一つである蓋部の正面壁に取り付けられることも一般的である。
【0003】
上記構成からなるカートンが使用される際には、まず一方の手で収容部が把持された後、収容部に収容された包装物が収容部から他方の手によって引き出される。次いで蓋部の正面壁における一部が一方の手の親指などで押さえられるとともに、蓋部の正面壁と収容部の正面壁との間に包装物が挟み込まれる。そして収容部を把持する一方の手によってカートンが捻られることにより、収容部から引き出された包装物が切断刃によって切断される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−265839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記カートンにおいて包装物が切断される際には、蓋部の正面壁に取付けられた切断刃の歯先が収容部から引き出された包装物に差し込まれた後、包装物に差し込まれた切断刃の歯先によって該包装物が徐々に切り開かれる。この際、切断刃における包装物の切断性、詳しくは包装物に対する切断刃の差し込み性を高めるためには、切断刃の歯先を包装物の表面に向けること、つまり切断刃の歯先を収容部のより内側へ向けることが求められる。
【0006】
一方、切断刃の歯先が包装物に差し込まれた状態からは、包装物が収容部から引き離されるような外力を受けるにつれて、包装物に差し込まれた切断刃の歯先も収容部の正面壁から引き離されるような外力を受けることとなる。そのため、包装物の切断作業が実行される度に上記外力が切断刃に対して繰り返し作用する結果、切断刃の歯先が収容部の正面壁から離れるように蓋体の正面壁が反ってしまうという問題を招いていた。
【0007】
なお、包装物の切断時において収容部に押さえ付けられる領域、例えば蓋部の上記中央エリアであれば、該中央エリアに加えられる指先からの力によって上記の外力が相殺されるため、上述するような歯先の変位も抑制されることとなる。これに対して、上記中央エリア以外の領域、つまり切断時において収容部に押さえ付けられない蓋部の正面壁では、収容部の正面壁から離される方向への外力に対して何ら抗力が作用しない。そのため、上述するような歯先の変位が結局のところ抑えられず、切断刃の歯先が収容部の正面壁から離れるように蓋部の正面壁が反ってしまう。その結果、切断作業の繰り返しによって包装物の表面に向けて切断刃の歯先が配置され難くなってしまい、切断刃の刃先の差し込み性
が劣化して包装物の切断性が低下するという問題を招いていた。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、包装物の切断性の低下を抑制することが可能なカートン中間成形体、及び該カートン中間成形体からなるカートンを備えた包装物供給体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載のカートン中間成形体は、複数の罫線を介して連接した複数の箱側壁からなる板紙製の箱体が前記複数の罫線で折り畳まれたかたちの扁平筒体からなるカートン中間成形体であって、前記複数の罫線のうちの一つの罫線を介して連接した2つの側壁のいずれか一方には、該一つの罫線側が歯元となるとともに該一つの罫線が延びる方向に沿って切断刃が取り付けられて、前記一つの罫線を介して連接した2つの筒側壁とのなす角度が鋭角になるように当該2つの筒側壁が前記一つの罫線で折り曲げられていることを要旨とする。
【0010】
請求項1に記載のカートン中間成形体においては、切断刃が取り付けられた筒側壁と、当該筒側壁における切断刃の歯元側に連接された他の筒側壁とのなす角度が鋭角となるように、当該2つの筒側壁が一つの罫線で折り曲げられている。そのため、当該一つの罫線を介して連接した2つの筒側壁のなす角度が鋭角となるような折り癖が板紙に付けられる結果、完成品であるカートンにおいても、当該2つの筒側壁に対応する箱側壁とのなす角度を鋭角とする力が板紙に作用することになる。
【0011】
一方、カートンから引き出される包装物が切断刃で切断される際には、包装物に作用する張力が切断刃の歯先に伝わるため、該切断刃が取り付けられた箱側壁にも包装物に作用する張力が伝わる結果、該切断刃が取り付けられた箱側壁までもが包装物の引き出される方向に変位してしまう。つまり、切断刃が取り付けられた箱側壁と、該箱側壁における切断刃の歯元側に連接された他の箱側壁とのなす角度が大きくなってしまう。しかし、請求項1に記載の構成をとった場合には、切断刃が取り付けられた箱側壁と、該箱側壁における切断刃の歯元側に連接された他の箱側壁とのなす角度を鋭角とする力が上述した折り癖により板紙に作用し続けることになる。その結果、切断刃が取り付けられた箱側壁と、該箱側壁における切断刃の歯元側に連接された他の箱側壁とのなす角度が大きくなるにしても、当該二つの箱側壁のなす角度が縮小されるような力も上記折り癖により加えられることとなる。そして、切断刃が取り付けられた箱側壁と、該箱側壁における切断刃の歯元側に連接された他の側壁とのなす角度が一旦大きくなるとしても、上記折り癖による力によって相対位置の変位が軽減、あるいは無くなることとなる。よって、折り癖が付けられていないカートンと比較した場合、切断刃の歯先が包装物に差し込まれやすい状態を長い期間保つことができるため、切断刃の切断性の低下を抑制することができる。
【0012】
請求項2に記載のカートン中間成形体は、前記扁平筒体は、両端が開放された板紙製の筒体であって、前記一つの罫線を介して連接した前記2つの筒側壁が、前記扁平筒体の周壁を構成することを要旨とする。
【0013】
両端が開放された板紙製の筒体であれば、両端が閉塞された板紙製の筒体と比較して、より扁平したかたちが実現可能である。請求項2に記載のカートン中間成形体によれば、切断刃の取り付けられた筒側壁と、該筒側壁における切断刃の歯元側に連接した他の筒側壁とが筒体の周壁を構成するため、当該2つの筒側壁のなす角度をより小さい角度で構成することが可能である。それゆえに、切断刃が取り付けられた箱側壁と、該箱側壁における切断刃の歯元側に連接された他の箱側壁とに対して、当該2つの箱側壁のなす角度がより小さくなるような折り癖をカートン中間成形体に与えることが可能である。
【0014】
請求項3に記載のカートン中間成形体は、前記扁平筒体が、前記一つの罫線と平行な方向から見た断面が菱形であるとともに、前記一つの罫線を介して連接した2つの筒側壁のなす角度が0°以上50°以下であることを要旨とする。
【0015】
請求項3に記載のカートン中間成形体によれば、断面が扁平した菱形状となるように扁平筒体が構成される。すなわち、扁平筒体の外周面は、菱形の4辺を構成する4つの筒側壁と、菱形の4隅に相当する4カ所の角部とによって構成される。そして、4カ所の角部は、該角部を構成する一対の筒側壁のなす角度(折り曲げ角度)が鋭角となる相対向する一対の角部と、折り曲げ角度が鈍角となる相対向する一対の角部とにより構成される。
【0016】
ここで、上記4カ所の角部を有した扁平筒体が箱体に近づくように変形する場合、相対向する一対の角部における折曲げ角度は、それぞれ同じように変化する。詳述すると、折曲げ角度が鋭角となる相対向する一対の角部は、それぞれの折曲げ角度が大きくなるように変化する。また、折曲げ角度が鈍角となる相対向する一対の角部は、それぞれの折曲げ角度が小さくなるように変化する。そのため、一つの罫線を介して連接した2つの筒側壁のなす角度が大きくなるためには、当該2つの筒側壁によって構成される角部の折り曲げ角度に加えて、該角部と相対向する他の角部の折り曲げ角度をも大きくするような力が必要になる。さらに、2つの筒側壁のなす角度が鈍角となる相対向する一対の角部においては、該一対の角度を共に小さくするような力も必要になる。それゆえに、第1の筒側壁と第2の筒側壁とによって構成される角部とともに変化しなければならない角部の個数分、第1の筒側壁と第2の側壁とのなす角度が、より鋭角に保持されやすくなる。
【0017】
請求項4に記載の包装物供給体は、ロール状に巻き回された包装物と、該包装物を収容するカートンとを備える包装物供給体であって、前記カートンが請求項1から3のいずれか一項に記載のカートン中間成形体からなることを要旨とする。
【0018】
請求項4に記載の包装物供給体においては、切断刃が取り付けられた箱側壁と、当該側壁における切断刃の歯元側に連接された他の箱側壁とのなす角度が鋭角となるように、折り癖による力が板紙に作用する。そのため、折り癖が付けられていないカートンと比較した場合、切断刃の歯先が包装物に差し込まれやすい状態を長い期間保つことができるため、切断刃の切断性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態にかかる包装物供給体の斜視構造を示す斜視図。
【図2】図1に示した包装物供給体のA−A線に沿った断面構造を示す断面図。
【図3】本発明の一実施形態にかかるカートンを構成する板紙の表面側からみた該カートンの展開図。
【図4】(a)本発明の一実施形態にかかるカートン中間成形体を正面壁側から見た該カートン中間成形体の斜視構造を示す斜視図、(b)図4(a)のA−A線における断面図、(c)本発明の一実施形態にかかるカートン中間成形体を底壁側から見た該カートン中間成形体の斜視構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明にかかるカートン中間成形体を具体化した一実施形態について図1〜図4を参照して説明する。まず本実施形態のカートン中間体を用いて形成されたカートンを備える包装物供給体について以下に説明する。図1は、本実施形態にかかるカートン中間成形体から製造されたカートンを備える包装物供給体であって開封前の斜視構造を示す斜視図である。図2は、カートンを構成する板紙をカートンにおける表面からみた展開図である。
【0021】
図1に示されるように、包装物供給体1は、コートボール紙等の板紙が該板紙に設けられた罫線で折り曲げられることにより形成された直方体状の箱体であるカートン2と、ポリ塩化ビニリデン等の包装物としてのラップフィルム3Fがペーパーコア3Cにロール状に巻き回されてなるロール3とから構成されている。
【0022】
カートン2は、天面が開口した有底箱体状に形成されて内部に上記ロール3を収容した収容部4と、収容部4に連結されて収容部4の開口を覆う蓋部5とから構成されている。収容部4は、底壁4BTの前後両端縁に立設された前後一対の正面壁4F及び背面壁4Bと、同底壁4BTの左右両端縁に立設された左右一対の端壁4SL,4SRとから構成されている。また収容部4の内側には、正面壁4Fに重なるよう配置されてカートン2の強度向上などに寄与する副正面壁4Fd(図2、図3参照)が設けられている。そして正面壁4F、背面壁4B、2つの端壁4SL,4SRの各上端縁によって収容部4の開口が形成されている。
【0023】
蓋部5は、背面壁4Bの上端縁に回動可能に連結されて収容部4の開口を覆う蓋部頂壁5Tと、収容部4の正面壁4Fの外表面と対向するように配置された蓋部正面壁5Fと、蓋部5の端壁である蓋部端壁5SL,5SRとから構成されている。そして、ロール3を該ロール3の周方向Rで囲う周壁が、罫線を介して連接された正面壁4F、副正面壁4Fd、底壁4BT、背面壁4B、蓋部頂壁5T、及び蓋部正面壁5Fによって形成されている。つまりロール3を囲う周壁が、ロール3の中心軸の方向である軸方向Aから見て、有端の矩形環状に形成されている。また、本実施形態のカートン2においては、上記底壁4BT、正面壁4F、背面壁4B、端壁4SL,4SR、副正面壁4Fd、蓋部正面壁5F、蓋部頂壁5T、及び蓋部端壁5SL,5SRによって複数の箱側壁が構成されている。
【0024】
蓋部正面壁5Fは、底壁4BT側の端部において、軸方向Aの全幅にわたり複数の接着ポイント4Fcを介して収容部4の正面壁4Fに接着されている。また蓋部正面壁5Fにおける上下方向の略中央には、軸方向Aの全幅にわたる開封線としてのミシン目線5Fmが穿設されている。ミシン目線5Fmは、頂点が底壁4BT側に向く略V字状を呈するとともに、長手方向(軸方向A)における中央が同V字の頂点になるかたちに構成されている。ミシン目線5Fmの切断の方向は、上記V字に沿う方向、つまり蓋部正面壁5Fを上下方向で2分割することに適した方向である。ミシン目線5Fmの下側右端には、ミシン目線5Fmに沿った蓋部正面壁5Fの切断を開始するための開封端5Eが設けられている。
【0025】
そして、開封端5Eが収容部4の正面壁4Fから正面側に引っ張られると、蓋部正面壁5Fの長手方向(軸方向A)に沿って右端から左端に向けてミシン目線5Fmが切断される。こうしたミシン目線5Fmの切断によって、正面壁4Fに接着されていた下側部分と、蓋部頂壁5Tに連続する上側部分とに、蓋部正面壁5Fが2分割される。上下方向に2分割されてなる蓋部正面壁5Fの上側先端は、ミシン目線5Fmの形状と同じく、頂点が底壁4BT側に向く略V字状を呈するとともに、蓋部正面壁5Fの長手方向(軸方向A)における中央が同V字の頂点になるかたちに形成される。そして蓋部正面壁5Fが上下方向で2分割されることにより、上記接着ポイント4Fcによるカートン2の強制的な封止が解除される。また蓋部正面壁5Fが2分割された状態から、蓋部頂壁5Tが正面壁4Fから離れる方向へ回動することにより、カートン2が開封されて、カートン2に収容されたラップフィルム3Fが引き出し可能となる。
【0026】
蓋部正面壁5Fにおけるミシン目線5Fmと収容部4における正面壁4Fとの間には、蓋部正面壁5Fの裏面に切断刃6が接着されている。蓋部正面壁5Fの長手方向(軸方向A)に延びる切断刃6は、頂点が底壁4BT側に向く略V字状を呈するとともに、蓋部正面壁5Fの長手方向(軸方向A)における中央が同V字の頂点になるように、つまりミシ
ン目線5Fmと相似形に形成されている。そして蓋部正面壁5Fが上下方向で2分割されて蓋部正面壁5Fの下側部分が収容部4から取り除かれることにより、上記切断刃6の刃先が蓋部正面壁5Fの上側部分から露出するようになる。こうした構成からなる切断刃6よれば、収容部4の内側から正面壁4Fに沿って引き出されたラップフィルム3Fが、軸方向Aの中央から切断刃6に差し込まれた後、ラップフィルム3Fの切断が軸方向Aの中央から端部に向けて進行するようになる。
【0027】
蓋部正面壁5Fにおける切断刃6の上側にあって、軸方向Aの中央には、蓋部正面壁5Fの外表面から正面側に突出する複数の前面凸部FPが設けられている。前面凸部FPは、前面凸部FPに触れた使用者に対して、切断刃6における軸方向Aの中央、つまり切断刃6における切断の開始位置を使用者の触覚を通して示すことになる。そして、ラップフィルム3Fが切断される際、まずは、カートン2が開封された状態から、一方の手でラップフィルム3Fの先端部が把持された後、同ラップフィルム3Fの先端部が正面壁4Fに沿うかたちで、当該ラップフィルム3Fが収容部4の開口から引き出される。次いで、他方の手でカートン2の中央部が握られるかたちに、同他方の手の親指で上記前面凸部FPが正面壁4Fに押し当られた後、ロール3の周方向Rにカートン2が捻られる。これによって、切断刃6における軸方向Aの中央の各歯がラップフィルム3Fへ差し込まれた後、カートン2が更に捻られることによって、ラップフィルム3Fがその軸方向の全幅にわたり切断される。つまり、切断刃6における軸方向Aの中央から両端に向けてラップフィルム3Fの切断が進められる。
【0028】
ここで、V字形状の切断刃6を有する包装物供給体1であれば、上述した切断方法によってラップフィルム3Fの切断を実行することが最適である。しかしながら、使用者の中には、上述した包装物供給体1においても、例えばラップフィルム3Fをカートン2の一端から他端に向かって引き裂くようにすることによりラップフィルム3Fを切断するといった方法、すなわち直線状の切断刃に適した切断方法を用いる使用者もいる。そこで本実施の形態では、V字形状の切断刃6に適した切断方法を使用者に誘導するべく、上述した前面凸部FPに加えて、背面壁4Bと蓋部頂壁5Tとによって形成される角部9に面取りがなされたかたちの凹部10が設けられている。
【0029】
凹部10は、折り曲げ箇所における軸方向Aの中央部に設けられて且つ、前面凸部FPに親指が配置された手の掌の一部が凹部10に収容されるように、軸方向Aに沿って設けられている。なお、図2に示されるように、凹部10を構成する傾斜面10aは、例えば背面壁4Bの表面及び蓋部頂壁5Tの表面とのなす角度が優角(例えば225°)になる平坦面として構成されている。このような構成からなる凹部10によれば、カートン2を把持する手の掌がどのように配置されるべきかを、視覚及び触覚を通して使用者に認知させられるため、V字形状の切断刃6に適した切断の方法を使用者に誘導することが可能となる。
【0030】
次に、上記カートン2を形成するための板紙、つまり上記カートン2の構造に合わせて裁断された板紙の構成について図3を参照してさらに詳細に説明する。なお、図3における左右方向は、ロール3を収容した状態のカートン2においてロール3の中心軸線と略平行な方向である。そのため、以下では、図3における左右方向も同じく軸方向Aという。
【0031】
図3に示されるように、カートン2の構造に合わせて裁断された板紙には、複数の罫線で区画された複数の側壁部分が罫線を介して連接されている。具体的には、上記裁断された板紙には、収容部4の底壁4BTとなる矩形の底壁部分11が設けられている。底壁部分11の図中上側には、カートン2の正面壁4Fとなる矩形の正面壁部分13が軸方向Aに延びる罫線12を介して連接されている。そして完成品である包装物供給体1においては、この正面壁部分13の裏面と底壁部分11の裏面とのなす角度が略直角となるように
且つ、底壁部分11の裏面と正面壁部分13の裏面とが対向するように、罫線12に沿って正面壁部分13が折り曲げられる。
【0032】
正面壁部分13における底壁部分11側の端部には、カートン2の接着ポイント4Fcとなる複数の凸部13aが図中手前側に突出するように設けられている。また正面壁部分13には、収容部4の副正面壁4Fdとなる矩形の副正面壁部分15が罫線12と平行な方向(軸方向A)に延びる罫線14を介して連接されている。そして完成品である包装物供給体1においては、この副正面壁部分15の裏面が正面壁部分13の裏面に接合されるように、罫線14に沿って副正面壁部分15が折り曲げられる。
【0033】
底壁部分11における図中下側には、収容部4の背面壁4Bとなる背面壁部分17が罫線12と平行な方向(軸方向A)に延びる罫線16を介して連接されている。そして完成品である包装物供給体1においては、この背面壁部分17の裏面と底壁部分11の裏面とのなす角度が略直角となるように且つ、底壁部分11の裏面と背面壁部分17の裏面とが対向するように、罫線16に沿って背面壁部分17が折り曲げられる。
【0034】
背面壁部分17には、カートン2の蓋部頂壁5Tとなる蓋部頂壁部分19が罫線16と平行な方向(軸方向A)に延びる罫線18を介して連接されている。罫線18における長手方向の中央付近には、環状の罫線、具体的には、互いに平行な2本の罫線(罫線18a及び罫線18b)が罫線18の中央付近で2分されるかたちに設けられている。そして完成品である包装物供給体1においては、この蓋部頂壁部分19の裏面と背面壁部分17の裏面とのなす角度が略直角となるように、罫線18に沿って蓋部頂壁部分19が折り曲げられる。この際、蓋部頂壁部分19と背面壁部分17とが罫線18、及び2本の罫線18a,18bを介して連接されている。そのため、罫線18を介して連接される側壁部分に角部9が形成されると、2本の罫線18a,18bからなる環状の罫線に囲まれた部分に上述した凹部10が形成される。
【0035】
蓋部頂壁部分19には、カートン2の蓋部正面壁5Fとなる蓋部正面壁部分21が罫線18と平行な方向(軸方向A)に延びる罫線20を介して連接されている。蓋部正面壁部分21は、上述したV字状のミシン目線5Fmによって上下方向に分割されている。また蓋部正面壁部分21の裏面にはラップフィルム3Fを切断するためのV字状の切断刃6がミシン目線5Fmに沿って接着されている。また蓋部正面壁部分21には、該蓋部正面壁部分21が延びる方向における中央エリアであって、ミシン目線5Fmの上方の領域に、複数の前面凸部FPが設けられている。またミシン目線5Fmの下方の領域には、接着ポイント4Fcを構成する左半円状の複数の切り込み21aが設けられている。同じくミシン目線5Fmの下方の領域の右上端部には、開封端5Eが設けられている。そして完成品である包装物供給体1においては、蓋部頂壁部分19の裏面と蓋部正面壁部分21の裏面とのなす角度が略直角となるように、罫線20に沿って蓋部正面壁部分21が折り曲げられる。
【0036】
底壁部分11における左右方向(軸方向A)の両端部には、罫線31を介して、底側フラップ11L、11Rが左右方向(軸方向A)に沿って延出形成されている。底側フラップ11L,11Rは、上下方向における幅が該底壁部分11の上下方向における幅と略等しく、軸方向Aにおける長さが正面壁部分13及び背面壁部分17の上下方向の幅と略等しくなるかたちで延出形成されている。また底側フラップ11L,11Rの先端部には、罫線32を介して、延長部11La,11Raがそれぞれ延出形成されている。そして完成品である包装物供給体1においては、底側フラップ11L,11Rの裏面と延長部11La,11Raの裏面とが対向するように、罫線32に沿って延長部11La,11Raが折り曲げられる。なお以下では、図3の上下方向における距離を「幅」といい、図3の左右方向(軸方向A)における距離を「長さ」という。
【0037】
正面壁部分13における左右方向の両端部には、罫線33を介して、正面側フラップ13L,13Rが左右方向に沿って延出形成されている。正面側フラップ13L.13Rは、幅が該正面壁部分13の幅と略等しく、長さが上記底壁部分11の幅よりも短くなるかたちで形成されている。正面側フラップ13L,13Rの表面(接着面)には接着領域41が設けられている。接着領域41には、厚紙の厚さの10%〜90%の深さ、好ましくは30%〜80%の深さを有するハーフカットライン42が所定のパターンで設けられており、例えばホットメルト接着剤などの接着剤が塗布される。
【0038】
背面壁部分17における左右方向の両端部には、罫線34を介して、背面側フラップ17L,17Rが左右方向に沿って延出形成されている。背面側フラップ17L,17Rは、幅が該背面壁部分17の幅と略等しい状態から途中で細くなるかたちであって、長さが上記底壁部分11の幅よりも短く且つ、上記正面側フラップ13L,13Rの長さよりも長くなるかたちに形成されている。背面側フラップ17L,17Rの表面(接着面)には接着領域43が設けられている。接着領域43には、正面側フラップ13L,13Rと同様、厚紙の厚さの10%〜90%の深さ、好ましくは30%〜80%の深さを有するハーフカットライン42が所定のパターンで設けられており、例えばホットメルト接着剤などの接着剤が塗布される。
【0039】
そして完成品である包装物供給体1においては、背面側フラップ17L,17Rが正面側フラップ13R,13Lよりも収容部4の内側に配置されるように、罫線34,33に沿って背面側フラップ17L,17R及び正面側フラップ13R,13Lが折り曲げられる。また底側フラップ11R,11Lの裏面が背面側フラップ17R,17L及び正面側フラップ13R,13Lの表面を覆うように、底側フラップ11R,11Lが罫線31に沿って折り曲げられる。そして上記ハーフカットライン42が接着領域41,43に設けられていることによって、端壁4SR,4SLを解体する際に必要とされる力、すなわち底側フラップ11R,11Lを正面側フラップ13R,13L及び背面側フラップ17R,17Lから剥離させる際に必要な力が低減される。そのため上記構成からなる包装物供給体1においては、端壁4SR,4SLの解体性、ひいては収容部4の解体性を向上させることができる。
【0040】
蓋部頂壁部分19における左右方向の両端部には、罫線35を介して、蓋部頂面側フラップ19L,19Rが左右方向に沿って延出形成されている。蓋部頂面側フラップ19L,19Rは、幅が蓋部頂壁部分19の幅と略等しく、長さが上記正面壁部分13の幅よりも小さくなるかたちで延出形成されている。
【0041】
蓋部正面壁部分21における左右方向の両端部であって上記ミシン目線5Fmと蓋部頂壁部分19との間には、蓋部正面側フラップ21L,21Rが罫線36を介して左右方向に沿って延出形成されている。蓋部正面側フラップ21L,21Rは、長さが上記蓋部頂壁部分19の幅よりも短く形成されている。そして完成品である包装物供給体1においては、蓋部正面側フラップ21R,21Lが蓋部頂面側フラップ19R,19Lの内側に配置されて、蓋部頂面側フラップ19R,19Lの表面と蓋部正面側フラップ21R,21Lの裏面が接着剤で接着される。これにより蓋部頂面側フラップ19R,19Lと蓋部正面側フラップ21R,21Lとからなる蓋部端壁5SR,5SLが形成される。また蓋部5が罫線18を回転軸として回転して収容部4の開口を開閉する際には、延長部11La,11Raが蓋部正面側フラップ21L,21Rとそれぞれ係合離脱する。そして収容部4の開口が閉口されたときにクリック音が発生して蓋部5が収容部4に係止される。
【0042】
副正面壁部分15における軸方向Aの両端部には、収容部4の開口からのロール3の飛び出しを防止するための防止片15L,15Rが罫線37を介して延出形成されている。
そして完成品であるカートン2においては、副正面壁部分15の表面側に向かって罫線37に沿って防止片15L,15Rが折り曲げられて、収容部4の内側に突出するかたちで配置される。これにより、収容部4に収容されたロール3が開口から飛び出そうとしても、ロール3の両端部が防止片15L,15Rによって係止されてその飛び出しが防止される。
【0043】
ところで、上述した包装物供給体1においてラップフィルム3Fが切断される際には、該ラップフィルム3Fの張力が、蓋部正面壁5Fを収容部4の正面壁4Fから離間させようとする力として作用する。こうした力によって蓋部正面壁5Fが正面側へ反ってしまうと、蓋部正面壁5Fの先端部に取り付けた切断刃6の歯先も正面壁4Fから正面側へ大きく離れた状態となってしまう。このような状態の下では切断刃6の歯先がラップフィルム3Fに差し込みにくくなる結果、ラップフィルム3Fの切断性の低下という問題を招くこととなる。そこで、本実施形態のカートン2の中間成形体においては、蓋部正面壁5Fの正面側への反りを抑えるべく、蓋部正面壁5Fと蓋部頂壁5Tとがなす角部に、切断刃6が収容部4の正面壁4Fへ押し付けられるような折り癖が付けられている。
【0044】
以下、上記カートン2の中間成形体ついて図4(a)〜(c)を参照して説明する。図4(a)はカートン2の中間成形体を蓋部正面壁部分21の側から見た斜視構造を示す斜視図であり、図4(b)は図4(a)のA−A線に沿った断面図であり、図4(c)はカートン2の中間成形体を背面壁部分17の側から見た斜視構造を示す斜視図である。
【0045】
図4(a)〜(c)に示されるように、カートン2の中間成形体は、上記底壁4BTの内面と背面壁4Bの内面とが近づくように、且つ、蓋部頂壁5Tの内面と正面壁4Fの内面とが近づくように上記カートン2が扁平したかたちの扁平筒体から構成されている。カートン2の中間成形体を構成する扁平筒体は、断面が扁平した菱形状をなすとともに、蓋部正面壁部分21の裏面と蓋部頂壁部分19の裏面とのなす角度が、完成品である包装物供給体1で正面壁4Fと蓋部頂壁5Tのなす角度(約90°)よりも鋭角(好ましくは0°以上50°以下)となるように罫線20で折り曲げられている。また、カートン2の中間成形体では、底壁部分11の裏面と背面壁部分17の裏面とのなす角度が、同じく完成品である包装物供給体1で底壁4BTと背面壁4Bのなす角度(約90°)よりも鋭角(好ましくは0°以上50°以下)となるように罫線16で折り曲げられている。さらにまた、カートン2の中間成形体では、副正面壁部分15の裏面が正面壁部分13の裏面と相対向するように、副正面壁部分15が罫線14で折り曲げられ且つ、副正面壁部分15の裏面が正面壁部分13の裏面と接着されている。そして切断刃6の取り付けられた蓋部正面壁部分21の下方領域の裏面と正面壁部分13の表面とが接着ポイント4Fcを介して接合されている。
【0046】
なお、本実施形態におけるカートン2の中間成形体においては、底壁部分11、正面壁部分13、背面壁部分17、蓋部頂壁部分19、及び蓋部正面壁部分21によって複数の筒側壁が構成されている。
【0047】
上記構成からなるカートン2の中間成形体は、板紙の製造元から包装物供給体1の製造元へ積み重ねられた状態で搬送されたり、積み重ねられた状態のまま包装物供給体1の製造元で保管されたりすることが一般的である。そしてカートン2の中間成形体が積み重ねられる際には、下方の中間成形体における底壁部分11及び蓋部正面壁部分21の上に、上方の中間成形体における背面壁部分17及び蓋部頂壁部分19が積み重ねられることになる。つまり罫線20を介して連接された2つの筒側壁(蓋部頂壁部分19及び蓋部正面壁部分21)のなす角度、及び罫線16を介して連接された2つの筒側壁(底壁部分11及び背面壁部分17)のなす角度が略0°である。また、罫線12を介して連接された2つの筒側壁(底壁部分11及び正面壁部分13)のなす角度、及び罫線18を介して連接
された2つの筒側壁(背面壁部分17及び蓋部頂壁部分19)のなす角度が略180°となる。その結果、2つの筒側壁のなす角度が略0°となる部分には折り癖が付けられることになるとともに、搬送期間や保管期間が長いほど、2つの筒側壁のなす角度を保持するような強い折り癖が付けられることになる。
【0048】
上記構成からなるカートン2の中間成形体においては、蓋部正面壁部分21と蓋部頂壁部分19とのなす角度が鋭角となるように、蓋部正面壁部分21と蓋部頂壁部分19とが罫線20で折り曲げられている。そのため、蓋部正面壁部分21と蓋部頂壁部分19とのなす角度が90°よりも小さくなるような折り癖が中間成形体で付けられることとなる。その結果、完成品のカートン2においては、蓋部正面壁5Fと蓋部頂壁5Tとのなす角度が90°よりも大きくなること、ひいては蓋部正面壁5Fが正面側に反ることを抑制できるようになる。それゆえ、ラップフィルム3Fに対して切断刃6の歯先が差し込みやすくなる状態をより長く保つことができるとともに、ラップフィルム3Fの切断性の低下を抑制することができる。同様に、底壁部分11と背面壁部分17とのなす角度も鋭角となるように、底壁部分11と背面壁部分17とが罫線16で折り曲げられている。
【0049】
また、カートン2の中間成形体においては、底壁部分11と正面壁部分13とのなす角度が鈍角(好ましくは130°以上180°以下)となるように、底壁部分11と正面壁部分13が罫線12で折り曲げられて且つ、背面壁部分17と蓋部頂壁部分19とのなす角度が鈍角(好ましくは130°以上180°以下)となるように、背面壁部分17と蓋部頂壁部分19とが罫線18で折り曲げられている。
【0050】
このようなカートン2の中間成形体では、断面が扁平した菱形状に扁平筒体が構成されるため、同中間成形体の外周面は、菱形の4辺を構成する4つの筒側壁と、菱形の4隅に相当する4カ所の角部とによって構成される。そして、4カ所の角部は、該角部を構成する一対の筒側壁のなす角度(折り曲げ角度)が鋭角となる相対向する一対の角部と、折り曲げ角度が鈍角となる相対向する一対の角部とによって構成される。
【0051】
ここで、カートン2の中間成形体が箱体であるカートン2の形状に近づくように変形する場合、相対向する一対の角部における折曲げ角度は、それぞれ同じように変化する。詳述すると、折曲げ角度が鋭角となる相対向する一対の角部は、それぞれの折曲げ角度が大きくなるように変化するとともに、折曲げ角度が鈍角となる相対向する一対の角部は、それぞれの折曲げ角度が小さくなるように変化する。つまり罫線20を介して連接された蓋部頂壁部分19と蓋部正面壁部分21とのなす角度が大きくなるように、また罫線16を介して連接された背面壁部分17と底壁部分11とのなす角度が大きくなるように、中間成形体は変形する。そのうえ、罫線12を介して連接された底壁部分11と正面壁部分13とのなす角度が小さくなるように、また罫線18を介して連接された背面壁部分17と蓋部頂壁部分19とのなす角度が小さくなるように、中間成形体は変形する。
【0052】
そのため、蓋部頂壁部分19(第1の筒側壁)と蓋部正面壁部分21(第2の筒側壁)とのなす角度が大きくなるためには、当該二つの筒側壁によって構成される角部の折り曲げ角度に加えて、該角部と相対向する他の角部の折り曲げ角度をも大きくするような力が必要になる。また2つの筒側壁のなす角度が鈍角となる相対向する一対の角部においては、該一対の角度を共に小さくするような力も必要になる。それゆえに、蓋部頂壁部分19と蓋部正面壁部分21とによって構成される角部とともに変化しなければならない角部の個数分、これら蓋部頂壁部分19と蓋部正面壁部分21とのなす角度が、より鋭角に保持されやすくなる。その結果、完成品のカートン2においては、蓋部正面壁5Fが正面側に反ることを、より確実に抑制できるようになる。
【0053】
なお、上記凹部10を構成するための罫線18が中間成形体において鋭角に折り曲げら
れる場合は、カートン中間成形体が積み重ねられる際に凹部10の底面までもが折り曲げられてしまう、つまり凹部10の形状が崩れてしまう虞がある。この点、上記カートン中間成形体においては、罫線18を介して連接した2つの側壁部分のなす角度が鈍角であって、中間成形体が積み重ねられる際には略180°となることから、上述するような凹部10の形状が崩れることを防止することもできる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態におけるカートン中間成形体及び包装物供給体によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態のカートン中間成形体によれば、該中間成形体の流通過程においても、罫線20が折り曲げられている状態が保持されることから、罫線20に折り癖を効率よく付けることができる。そして、こうした折り癖に基づく形状の保持力により、組み立て後の包装物供給体1においては、蓋部正面壁5Fが収容部4の正面壁4Fに押し付けられることとなるため、包装物供給体1の使用開始時はもちろんのこと、使用開始後であっても切断刃6が正面壁4Fから浮いた状態になることを抑制することができる。それゆえ、折り癖が付いていないカートンに比べて、ラップフィルム3Fに対して切断刃が食い込みやすい状態を長い期間保持することができることから、切断刃6の切断性の低下を抑制することができる。
【0055】
(2)上記実施形態のカートン中間成形体によれば、両端が開放された板紙製の扁平筒体であって、罫線20を介して連接した2つの筒側壁である蓋部正面壁部分21と蓋部頂壁部分19とが扁平筒体の周壁を構成する。両端が開放された板紙製の筒体であれば、両端が閉塞された板紙製の筒体と比較して、より扁平したかたちが実現可能である。上記実施形態のカートン中間成形体であれば、切断刃6の取り付けられた筒側壁である蓋部正面壁部分21と、該筒側壁における切断刃6の歯元側に連接した他の筒側壁である蓋部頂壁部分19とが筒体の周壁を構成するため、当該2つの筒側壁のなす角度をより小さい角度で構成することが可能である。それゆえに、切断刃6が取り付けられた蓋部正面壁5Fと、該蓋部正面壁5Fにおける切断刃6の歯元側に連接された蓋部頂壁5Tとに対して、当該2つの箱側壁のなす角度がより小さくなるような折り癖をカートン中間成形体に与えることが可能である。
【0056】
(3)上記実施形態のカートン中間成形体は、蓋部正面壁部分21(蓋部正面壁5F)と正面壁部分13(正面壁4F)とが接合されて、断面が菱形状をなしている。そして、蓋部正面壁部分21と蓋部頂壁部分19とのなす角度が鋭角、好ましくは0°以上50°以下となるようにカートン中間成形体が形成されている。それゆえに、断面が扁平した菱形となるように筒状のカートン中間成形体が形成されるため、上述するような折り癖を板紙に対して確実に付けることができる。
【0057】
(4)しかも、完成品であるカートンが折り畳まれたかたちにカートン中間成形体が形成されるため、カートン中間成形体の占有する容積を減少させることが可能であるとともに、カートン中間成形体の輸送効率を向上することが可能である。
【0058】
(5)上記実施形態のカートン中間成形体によれば、環状の罫線を有する罫線18を介して連接された一対の筒側壁のなす角度が鈍角であるため、面取り部分である凹部10の形状が完成品のカートン2において実現可能になる。
【0059】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、面取り部分としての凹部10を備えたカートン2を前提としたが、これに限らず、凹部10が割愛された構成のカートンを前提とし、カートン中間成形体が環状の罫線を有しない構成であってもよい。あるいは、角部9以外の角部に凹部が設けられるカートンを前提とし、カートン中間成形体が環状の罫線を複数備える構成であって
もよい。なお、凹部10の形状が十分に維持されるのであれば、例えば罫線20に凹部が設けられる構成であってもよい。
【0060】
・上記実施形態のカートン中間成形体を構成する扁平筒体は、断面が扁平した菱形状である。これに限らず、蓋部正面壁部分21と、該蓋部正面壁部分21における切断刃6の歯元側に連接された蓋部頂壁部分19とのなす角度が鋭角になるような筒体であれば、例えば、断面が扁平した5角以上の多角形状となるように、筒体が構成されてもよい。このような構成であっても上記(1)、(2)に準じた効果が得られる。
【0061】
・上記実施形態においては、端壁4SR,4SL及び蓋部端壁5SR,5SLを構成する各フラップが接合されていない筒体、つまり両端が開放された板紙製の扁平筒体としてカートン中間成形体が構成されている。これに限らず、カートン中間成形体は、端壁4SR,4SL及び蓋部端壁5SR,5SLを構成する各フラップのうち、正面側フラップ13L,13Rと底側フラップ11L,11Rとが接合されるとともに、該接合された正面側フラップ13L,13Rと底側フラップ11L,11Rとが筒体の内側に折り畳まれるかたちであってもよい。あるいは、カートン中間成形体は、背面側フラップ17L,17Rと底側フラップ11L,11Rとが接合されるとともに、該接合された背面側フラップ17L,17Rと底側フラップ11L,11Rとが筒体の内側に折り畳まれるかたちであってもよい。あるいは、カートン中間成形体は、蓋部正面側フラップ21L,21Rと蓋部頂面側フラップ19R,19Lとが接合されるとともに、該接合された蓋部正面側フラップ21L,21Rと蓋部頂面側フラップ19R,19Lとが筒体の内側に折り畳まれるかたちであってもよい。つまりカートン中間成形体は、端壁4SR,4SL及び蓋部端壁5SR,5SLを構成する各フラップのうちの一部が接合された筒体であって、該接合されたフラップが筒体の内側に折り畳まれるかたちの有端の扁平筒体であってもよい。
【0062】
・上記実施形態においては、カートン中間成形体を構成する扁平筒体は、蓋部正面壁部分21の裏面と正面壁部分13の表面とが接合される筒体である。これに限らず、カートン中間形成体を構成する扁平筒体は、蓋部正面壁部分21と正面壁部分13とが接合されていない筒体であってもよい。こうした構成であっても、上記(1)と同様の効果を得ることができる。
【0063】
・上記実施形態では、切断刃の形状がV字形状であることを前提としたが、これに限らず、例えば直線状の切断刃であっても、上記(1)〜(5)に準じた効果を得ることができる。
【0064】
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
(付記1)
請求項1〜3のいずれか一項に記載のカートン中間成形体において、
前記一つの罫線とは異なる他の罫線が環状の罫線を備え、
前記他の罫線を介して連接された2つの筒側壁のなす角度が鈍角になるように当該2つの筒側壁が前記他の罫線で折曲げられていることを特徴とするカートン中間成形体。
【0065】
環状の罫線を介して連接された2つの箱側壁が該罫線で折り曲げられると、該2つの箱側壁からなる角部では、該環状の罫線で囲まれる領域において面取りがなされたかたちとなる。一方、該環状の罫線を介して連接された2つの筒側壁のなす角度が中間成形体において鋭角となれば、該角度が鋭角となるような折り癖が環状の罫線で囲まれる領域にまで形成されるため、上述した面取り部分が形成され難くなってしまう。
【0066】
この点、(付記1)に記載の発明によれば、環状の罫線を介して連接された2つの筒側壁のなす角度が鈍角であるため、上述したような面取り部分の形状が完成品のカートンに
おいて実現可能になる。
【0067】
(付記2)
請求項1〜3のいずれか一項に記載のカートン中間成形体において、前記切断刃は、前記罫線が延びる方向に沿って前記筒側壁の全幅にわたって該筒側壁に取り付けられていることを特徴とするカートン中間成形体。
【0068】
(付記2)に記載の構成によれば、切断刃が延びる方向における筒側壁の全体にわたって折り癖による力が与えられる。そのため、折り癖が付けられていないカートンと比較した場合、切断刃の歯先が包装物に差し込まれやすい状態を、より長い期間保つことができるため、切断刃の切断性の低下をさらに抑制することができる。
【符号の説明】
【0069】
A…軸方向、R…周方向、FP…前面凸部、1…包装物供給体、2…カートン、3…ロール、3C…ペーパーコア、3F…ラップフィルム、4…収容部、4B…背面壁、4F…前壁、4BT…底壁、4Fc…接着ポイント、4Fd…副前壁、4SL,4SR…端壁、5…蓋部、5E…開封端、5F…正面壁、5T…蓋部頂壁、5Fm…ミシン目、5SL,5SR…蓋部端壁、6…切断刃、9…角部、10…凹部、11…底壁部分、11L,11R…底側フラップ、11La,11Ra…延長部、12…罫線、13…正面壁部分、13a…凸部、13L,13R…正面側フラップ、14…罫線、15…副正面壁部分、15L,15R…防止片、16…罫線、17…背面壁部分、17L,17R…背面側フラップ、18,18a,18b…罫線、19…蓋部頂壁部分、19L,19R…蓋部頂面側フラップ、20…罫線、21…蓋部正面壁部分、21a…切り込み、21L,21R…蓋部正面側フラップ、31,32,33,34,35,36,37…罫線、41,43…接着領域、42…ハーフカットライン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の罫線を介して連接した複数の箱側壁からなる板紙製の箱体が前記複数の罫線で折り畳まれたかたちの扁平筒体からなるカートン中間成形体であって、
前記複数の罫線のうちの一つの罫線を介して連接した2つの側壁のいずれか一方には、該一つの罫線側が歯元になるとともに該一つの罫線が延びる方向に沿って切断刃が取り付けられて、
前記一つの罫線を介して連接した2つの筒側壁のなす角度が鋭角になるように当該2の筒側壁が前記一つの罫線で折り曲げられている
ことを特徴とするカートン中間成形体。
【請求項2】
前記扁平筒体は、両端が開放された板紙製の筒体であって、
前記一つの罫線を介して連接した前記2つの筒側壁が、前記扁平筒体の周壁を構成することを特徴とする請求項1に記載のカートン中間成形体。
【請求項3】
前記扁平筒体は、
前記一つの罫線と平行な方向から見た断面が菱形であるとともに、
前記一つの罫線を介して連接した2つの筒側壁のなす角度が0°以上50°以下である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカートン中間成形体。
【請求項4】
ロール状に巻き回された包装物と、
該包装物を収容するカートンとを備える包装物供給体であって、
前記カートンが請求項1〜3のいずれか一項に記載のカートン中間成形体からなる
ことを特徴とする包装物供給体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−157102(P2011−157102A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19646(P2010−19646)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】