説明

カートン

【課題】被収納物がカートンの開口から抜け落ちてしまうことを確実に防止する。
【解決手段】頂壁2に配設され筒状体6を持ち運ぶための持ち運び手段(取っ手部)7と、頂壁2にタブ折曲線25を介して連結され、筒状体6の内部に折曲されることにより開口6Aに臨む被収納物CのフランジFに係合して、被収納物Cが開口6Aから抜け落ちることを防止する保持タブ23とを有し、保持タブ23は、頂壁2の一端縁から突出するようにタブ折曲線25を介して頂壁2に連結され、タブ折曲線25の中央部を基端として保持タブ23の先端縁に向かって2分割されることにより一対のタブ片26を有しており、各タブ片26は、頂壁2の一端縁に沿って並列して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両端が開口された筒状体の内部に収納される被収納物が、前記開口から抜け落ちることを防止する保持タブを有し、被収納物の持ち運びに好適なカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の缶等の被収納物をまとめて収納するカートンが、複数の物品の保管・運搬の容易性等の観点から多用されている。
【0003】
従来のカートンは、例えば、特許文献1乃至特許文献4に示すように、頂壁と、この頂壁の両側片にそれぞれ折曲自在に連設されて対向して配置される一対の側壁と、各側壁の下側縁にそれぞれ折曲自在に連設された底壁とを備え、両端が開口とされた筒状体を有しており、この筒状体の内部に被収納物が収納されているようになっている。
【0004】
また、前述の各特許文献に記載された従来のカートンは、筒状体の内部に収納された被収納物が開口を介して筒状体から抜け落ちてしまうことを防止するため、頂壁や底壁に保持タブが連結されている。この保持タブは、半円形状に形成され、筒状体の開口に臨む被収納物に対応して、頂壁や底壁の外側に突出するように頂壁および底壁の一端縁にタブ折曲線を介して連結されている。そして、この保持タブは、筒状体の内部に折曲されることにより、筒状体の開口に臨む被収納物の頂面や底面に突設されたフランジに係合するようになっており、これにより、被収納物が筒状体から抜け落ちることを防止するようになっている。
【0005】
さらに、従来のカートンの頂壁には、被収納物が収納されたカートンを容易に持ち運ぶための持ち運び手段として、例えば特許文献5に示すような頂壁から上方に突出して配置される取っ手や、さらには、例えば特許文献2および特許文献3に示すような指挿入孔等が配設されている。そして、従来のカートンは、取っ手を把持し、または指挿入孔に指を挿入して、カートンを上方へ持ち上げながら持ち運びするようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2005/044549号パンフレット
【特許文献2】米国特許第2,684,759号明細書
【特許文献3】米国特許第2,663,413号明細書
【特許文献4】米国特許第2,571,833号明細書
【特許文献5】米国特許第2,963,198号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前述のような頂壁に持ち運び手段が配設されたカートンにおいて、頂壁の一端縁に前述のような保持タブが連結されている場合、持ち運び手段によってカートンが上方へ持ち上げられた際に、頂壁が湾曲するようにして上方に持ち上がってしまうこととなる。この結果、被収納物の頂面に対する保持タブの係合が解除されてしまい、被収納物がカートンの開口から抜け落ちてしまうおそれがあるという問題を有していた。
【0008】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、被収納物がカートンの開口から抜け落ちてしまうことを確実に防止することが可能なカートンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明に係るカートンの特徴は、頂壁、一対の側壁および底壁が順次連結され、両端が開口されており、頂面に突設されるフランジを有する複数の被収納物を内部に収納する筒状体と、前記頂壁に配設され前記筒状体を持ち運ぶための持ち運び手段と、前記頂壁にタブ折曲線を介して連結され、前記筒状体の内部に折曲されることにより前記開口に臨む前記被収納物の前記フランジに係合して、前記被収納物が前記開口から抜け落ちることを防止する保持タブとを有するカートンにおいて、前記保持タブは前記タブ折曲線を基端として前記保持タブの先端縁に向かって分割されてなる複数のタブ片を有し、前記各タブ片は、前記筒状体の内部に折曲されて、前記各タブ片の先端部が前記フランジに係合する点にある。
【0010】
本発明に係るカートンによれば、両タブ片の先端部分は、被収納物の頂面におけるフランジの内周面に係合するようになっており、さらに、持ち運び手段によってカートンが持ち上げられることにより、頂壁が凸状に変形するとともに両側壁が相互に近接する方向に移動するので、各タブ片は、頂壁とともに上方に引っ張られて相互に近接するようにほぼ水平方向に移動し、各タブ片の外端同士の距離が縮まることとなる。このように、各タブ片が相互に近接するようにほぼ水平方向に移動することにより、保持タブは、この筒状体の変形に対応しながら、各タブの先端部分が上方に移動することなく元の高さ位置にとどまることができるので、被収納物の頂面におけるフランジに係合し続けることができる。これにより、本発明に係るカートンは、被収納物がカートンの開口から抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0011】
また、前記本発明において、持ち運び手段によって筒状体が上方に持ち上げられることにより、頂壁が凸状に変形し、両側壁が相互に近接する方向に引っ張られるのに追従して、各タブ片は、各タブ片の一部が相互に重なるように移動することが好ましい。これにより、保持タブは、各タブ片の外端同士の距離が縮まり各タブ片の一部が相互に重なるように移動することによって、被収納物の頂面におけるフランジに係合し続けることができるので、本発明に係るカートンは、被収納物がカートンの開口から抜け落ちてしまうことを、より確実に防止することができる。
【0012】
また、前記本発明において、前記保持タブは、前記タブ折曲線の中央部から2分割されているとよい。これにより、カートンは、2つのタブ片から構成される保持タブの強度を維持しながら、被収納物がカートンの開口から抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0013】
さらに、前記本発明において、前記保持タブは、前記頂壁の一端縁から突出するように前記タブ折曲線を介して前記頂壁に連結されており、前記各タブ片は、前記頂壁の一端縁に沿って並列して配置されているとよい。これにより、カートンは、カートンが持ち上げられた際に、両タブ片の先端部分が相互に重なるように両タブ片を円滑に移動させることができる。これにより、カートンは、保持タブの被収納物のフランジに対する係合が解除されることを確実に防止して、被収納物がカートンの開口から抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0014】
さらにまた、前記本発明において、前記頂壁は、前記頂壁、前記両側壁および前記底壁の連結方向に所定の間隙をもって並列配置される一対の頂板からなり、前記持ち運び手段は、前記頂壁から上方に突出して配置される取っ手部からなり、前記取っ手部を構成する取っ手パネルが、前記両頂板の間隙に配置されて前記両頂板にそれぞれ折曲可能に連結されるとともに、前記両頂板の並列方向に直交する方向に折曲可能とされており、前記両頂板が隣位するように、前記取っ手パネルを折曲することにより、前記取っ手部を形成するとよい。これにより、カートンは、持ち運び手段としての取っ手部を簡易に形成することができるとともに、このような取っ手部を把持することによりカートンが持ち上げられた場合であっても、保持タブの被収納物のフランジに対する係合が解除されることを防止し、被収納物がカートンの開口から抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0015】
また、前記本発明において、前記持ち運び手段を、前記頂壁に形成された指挿入孔としてもよい。これにより、カートンは、持ち運び手段としての指挿入孔を簡易かつ余分なパネルを用いることなく形成することができるとともに、このような指挿入孔に指を挿入することによりカートンが持ち上げられた場合であっても、保持タブの被収納物のフランジに対する係合が解除されることを防止し、被収納物がカートンの開口から抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0016】
また、前記本発明において、前記頂壁を第1頂壁とし、前記保持タブを第1保持タブとし、前記第1頂壁に重なるように配置される第2頂壁を有し、前記第2頂壁には、前記第1保持タブと重なるように配置され、前記第1保持タブと同一方向に前記筒状体の内部に折曲されることにより、前記開口に臨む前記被収納物の前記フランジに係合する第2保持タブが連結されているとよい。これにより、カートンは、頂壁が2重になるので、頂壁の強度を向上させることができるとともに、第1保持タブと第2保持タブの2重の保持タブが被収納物のフランジに係合することとなり、フランジに対する保持タブの2重の係合の強度を向上させることができ、被収納物がカートンの開口から抜け落ちてしまうことをより確実に防止することができる。
【0017】
また、前記各タブ片は、その一部が相互に重なって配置されていることが好ましい。各タブ片があらかじめ相互に重なって配置されていることにより、前記開口に臨む前記被収納物の前記フランジに対する各タブ片の係合をより確実にすることができる。
【0018】
さらに、前記一対のタブ片が一つの同じ前記被収納物の前記フランジに係合していることが好ましい。このように構成することにより、一対のタブ片が前記被収納物のフランジに確実に係合し、被収納物がカートンの開口から抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上述べたように、本発明に係るカートンによれば、持ち運び手段を把持することによりカートンが持ち上げられても、保持タブの被収納物のフランジに対する係合が解除されることなく、被収納物がカートンの開口から抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るカートンの一実施形態を示す斜視図
【図2】図1に示すカートンの矢印A−Aにおける断面側面図
【図3】図1に示すカートンを構成するカートンブランクを示す平面図
【図4】図1に示すカートンの持ち運び手段を把持して持ち上げられた際の保持タブの状態を示す要部拡大図
【図5】本発明に係るカートンの他の実施形態を構成するカートンブランクを示す平面図
【図6】図5に示すカートンブランクにより構成されたカートンの断面側面図
【図7】本発明に係るカートンのさらに他の実施形態を示す斜視図
【図8】図7に示すカートンを構成するカートンブランクを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るカートンの実施形態を図1から図8を参照して説明する。
【0022】
ここで、下記の実施形態においては、被収納物として、円形状の頂面と円形状の底面と前記頂面および前記底面に連設された側面とによって全体形状がほぼ円筒形状となるように形成される缶を用いて説明する。この缶は、前記頂面の周縁部に上方に突出するフランジが形成されることにより前記頂面に凹部が形成されており、また、底面には、缶の内部方向に凹入するドーム形状の凹部が形成され凹部の周縁部がフランジとされている。また、カートンとして、2本の缶を収納することが可能なカートンについて説明する。
【0023】
まず、本発明に係るカートンの第1の実施形態について、図1から図4を参照して説明する。
【0024】
図1は、本実施形態に係るカートンを示す斜視図、図2は、図1に示すカートンの矢印A−A線における断面側面図である。
【0025】
図1および図2に示すように、本実施形態に係るカートン1は、頂壁としての第1頂壁2、対向して配置される一対の側壁3A、3B(3)、および底壁5が順次連結され、両端が開口6Aされた筒状体6を有しており、また、持ち運び手段として、第1頂壁2から上方に突出して配置される取っ手部7を有している。
【0026】
図3は、図1および図2に示すカートン1を構成するカートンブランク22を示す平面図であり、図3に示すように、本実施形態におけるカートン1の第1頂壁2は、各壁2、3、5の連結方向に所定の間隙をもって並列して配置される一対の頂板2a、2bにより構成されており、さらに、カートン1は、この第1頂壁2の他に、第2頂壁8を有している。
【0027】
両頂板2a、2bの間隙には、取っ手部7を構成する取っ手パネル9が配置されている。取っ手パネル9の一側縁は、一方の頂板2aの一側縁に折曲線10を介して折曲可能に連結され、取っ手パネル9の他側縁は、他方の頂板2bの一側縁に折曲線11を介して折曲可能に連結されている。また、取っ手パネル9における両頂板2a、2bの並列方向の中央部には、前記両頂板2a、2bの並列方向に直交する方向に伸びる折曲線12が形成されている。そして、取っ手パネル9は、両頂板2a、2bが隣位するように、両折曲線10、11が谷折りに折曲されるとともに折曲線21が山折りに折曲されることにより、取っ手部7を構成するようになっている。
【0028】
他方の頂板2bの他側縁は、折曲線13を介して第1上部傾斜壁14Aの一側縁に連設され、第1上部傾斜壁14Aの他側縁は、折曲線15を介して一方の側壁3Aの一側縁に連設され、一方の側壁3Aの他側縁は、折曲線16を介して第1下部傾斜壁14Bの一側縁に連設され、第1下部傾斜壁14Bの他側縁は、折曲線17を介して底壁5の一側縁に連設されている。また、底壁5の他側縁は、折曲線18を介して第2下部傾斜壁14Cの一側縁に連設され、第2下部傾斜壁14Cの他側縁は、折曲線19を介して他方の側壁3Bの一側縁に連設され、他方の側壁3Bの他側縁は、折曲線20を介して第2上部傾斜壁14Dの一側縁に連設され、第2上部傾斜壁14Dの他側縁は、折曲線21を介して第2頂壁8の一側縁に連設されている。
【0029】
このカートン1によれば、カートンブランク22を組み立てる際に各折曲線10、11、13、15、16、17、18、19、20、21を折曲するとともに、第2頂壁8の表面と一対の頂板2a、2bによって構成される第1頂壁2の裏面とを当接するように重ねて配置し、第1頂壁2、第2頂壁8を相互に接続することにより、第1頂壁2、第2頂壁8、両側壁3A、3B、および底壁5が、それぞれ上部傾斜壁14A、14Dおよび下部傾斜壁14B、14Cを介して順次連設されて、両端に開口6Aが形成された筒状体6が構成されるようになっている。
【0030】
第1頂壁2の両端縁には、筒状体6の内部に折曲されることにより開口6Aに臨む被収納物Cの外周に形成されたフランジFに係合して、被収納物Cが開口6Aから抜け落ちることを防止する保持タブ23としての第1保持タブ23がそれぞれタブ折曲線25を介して連結されている。各第1保持タブ23は、半円形状に形成され、それぞれ第1頂壁2の両端縁から第1頂壁2の外側に突出するように配置されている。また、各保持タブ23は、タブ折曲線25を基端として保持タブ23の先端縁に向かって分割されてなる複数のタブ片26を有しており、好ましくは、本実施形態に示すように、各保持タブ23はタブ折曲線25の中央部から2分割されて、一対のタブ片26a、26b(26)を有している。両タブ片26は、第1頂壁2の一端縁に沿って並列して配置されている。両タブ片26のうち一方のタブ片26aは、一方の頂板2aの端縁にタブ折曲線25を介して連結されており、他方のタブ片26bは、他方の頂板2bの端縁にタブ折曲線25を介して連結されている。そして、両タブ片26は、それぞれ筒状体6の内部に折曲され、両タブ片26の先端部が、被収納物CにおけるフランジFの内周面に当接してフランジFに係合するようになっている。このように、本実施形態においては、両タブ片26は、一つの同じ被収納物CのフランジFに係合している。
【0031】
また、両タブ片26は、カートン1が組み立てられた状態において、図1に示すように、その一部(本実施形態においては先端部分)があらかじめ相互に重なって配置されていることが好ましい。
【0032】
第2頂壁8の両端縁には、第2頂壁8の外側に突出するように配置された半円形状の第2保持タブ27が、折曲線28を介して連設されており、カートン1を組み立てた状態で第2保持タブ27は、第1保持タブ23と重なるように配置されることとなる。そして、第2保持タブ27は、第1保持タブ23と同一方向に筒状体6の内部に折曲されることにより、第1保持タブ23とともに開口6Aに臨む被収納物CのフランジFに係合されるようになっている。
【0033】
底壁5の両端縁には、底壁5の外側に突出するように配置された半円形状の下部保持タブ29が、第1折曲線30を介して連設されている。また、底壁5の両端部分には、第1折曲線30に並列して第1折曲線30よりも短い寸法とされた第2折曲線31が形成されており、底壁5には、各第2折曲線31の両端部を基端として第1折曲線30の方向に突出し、先端が下部保持タブ29における底壁5との連設部分に到達する円弧状の切れ込み線によって形成される補助タブ32が、下部保持タブ29の内側に配設されている。そして、各下部保持タブ29および各補助タブ32は、それぞれ第1折曲線30、第2折曲線31を介して別々に折曲することができるようになっている。
【0034】
他方の側壁3Bには、該側壁3Bの一端部分から他端部分に向かって伸びる一対の断続切断線33が形成されており、該側壁3Bにおける両断続切断線33の間に位置する部分は、切取パネル35とされている。この切取パネル35の途中部分には、両断続切断線33のうち一方の断続切断線33から他方の断続切断線33に向かって伸びる切離線36が形成されており、切取パネル35は、この切離線36を基端としてそれぞれ側壁3Bの端部方向に引っ張られることにより、側壁3Bから切り取られるようになっている。
【0035】
続いて、本実施形態の作用について説明する。
【0036】
本実施形態に係るカートン1によれば、図1に示すように、両タブ片26の先端部分は、被収納物Cの頂面に突設されたフランジFの内周面に当接してフランジFに係合するようになっている。さらに、図4に示すように、取っ手部7を把持してカートン1が持ち上げられることにより、第1頂壁2が凸状に変形するとともに両側壁3A、3Bが相互に近接する方向に移動するので、両タブ片26は、第1頂壁2とともに上方に引っ張られて相互に近接するようにほぼ水平方向に移動して、両タブ片26の外端同士の距離が縮まることとなる。このように、両タブ片26が相互に近接するようにほぼ水平方向に移動することにより、第1保持タブ23は、第1頂壁2の変形に対応し、両タブ片26の先端部分が上方に移動することなく元の高さ位置にとどまることができるので、被収納物CのフランジFに係合し続けることができる。
【0037】
したがって、カートン1は、持ち運び手段としての取っ手部7を把持することによりカートン1が持ち上げられて第1頂壁2および第2頂壁8が湾曲しても、保持タブ23の被収納物CのフランジFに対する係合が解除されることなく、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0038】
また、本実施形態に係るカートン1においては、取っ手部7によって筒状体6が上方に持ち上げられることにより第1頂壁2が凸状に変形し、両側壁3A、3Bが相互に近接する方向に引っ張られるので、両タブ片26が、各タブ片26の一部が相互に重なるように移動することとなる。これにより、本実施形態に係るカートン1によれば、第1保持タブ23は、両タブ片26の外端同士の距離が縮まり、両タブ片26の一部が相互に重なるように移動することにより、被収納物Cの頂面におけるフランジFに係合し続けることができるので、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことを、より確実に防止することができる。さらに、本実施形態によれば、第1頂壁2が上方に引っ張られるほど、両タブ片26が、相互に重なり合う面積が増える方向に移動して、第1保持タブ23の先端縁が、被収納物CのフランジFとの係合位置にとどまることとなり、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0039】
また、保持タブ23を、タブ折曲線25の中央部を基端として2分割することにより、2つのタブ片26a、26bから構成される保持タブ23の強度を維持しながら、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0040】
さらに、保持タブ23を、第1頂壁2の一端縁から突出するようにタブ折曲線25を介して第1頂壁2に連結し、両タブ片26を、第1頂壁2の一端縁に沿って並列して配置することにより、カートン1が持ち上げられた際に、両タブ片26の先端部分が相互に重なるように両タブ片26を円滑に移動させることができる。これにより、カートン1は、保持タブ23の被収納物CのフランジFに対する係合が解除されることを確実に防止して、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0041】
さらにまた、本実施形態においては、第1頂壁2が、各壁の連結方向に所定の間隙をもって並列配置される一対の頂板2a、2bにより構成され、持ち運び手段としての取っ手部7を構成する取っ手パネル9は、両頂板2a、2bの間隙に配置されて両頂板2a、2bにそれぞれ折曲可能に連結されているとともに、両頂板2a、2bの並列方向に直交する折曲線によって折曲可能とされている。そして、カートン1は、両頂板2a、2bが隣位するように、取っ手パネル9を折曲することにより、取っ手部7が形成されるようになっている。これにより、本実施形態に係るカートン1によれば、取っ手部7を簡易に形成することができるとともに、このような取っ手部7を把持してカートン1が持ち上げられた場合であっても、保持タブ23の被収納物CのフランジFに対する係合が解除されることを防止し、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0042】
また、本実施形態においては、第1頂壁2に重なるように配置される第2頂壁8を有し、第2頂壁8には、第1保持タブ23と重なるように配置され、第1保持タブ23と同一方向に筒状体6の内部に折曲されることにより開口6Aに臨む被収納物CのフランジFに係合する第2保持タブ27が連結されている。本実施形態に係るカートン1によれば、第1頂壁2および第2頂壁8によって頂壁部分に2重のパネルが配置されるので、カートン1における頂壁部分の強度を向上させることができるとともに、第1保持タブ23と第2保持タブ27が被収納物CのフランジFに2重に係合することとなるので、第1保持タブ23および第2保持タブ27とフランジFとの係合の強度を向上させることができ、これにより、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことをより確実に防止することができる。なお、本実施形態において、第2保持タブ27は、半円形状の1つのタブにより構成されているが、これに限定されず、例えば第1保持タブ23と同様に、タブ折曲線25を基端部として第2保持タブ27の先端縁に向かって分割されることにより、複数のタブ片26により構成されていてもよい。
【0043】
さらに、本実施形態において、両タブ片26を、カートン1が組み立てられた状態で、その一部があらかじめ相互に重なるように配置することにより、筒状体6が取っ手部7によって上方に持ち上げられた際に、第1頂壁2が凸状に変形し、両側壁3A、3Bが相互に近接する方向に引っ張られるのに追従して、両タブ片26を、より円滑に両タブ片26の一部が相互に重なる部位が増すようにほぼ水平に移動させることができる。これにより、カートン1は、開口6Aに臨む被収納物CのフランジFに対する両タブ片26の係合をより確実にすることができる。
【0044】
続いて、本発明に係るカートン1の第2の実施形態を図5および図6を参照して説明する。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成については、詳説を省略し、同一の符号を用いて説明する。
【0045】
図5は、本実施形態に係るカートン1を構成するカートンブランク22を示す平面図、図6は、図5に示すカートンブランク22により構成されたカートン1を示す断面側面図である。
【0046】
図5および図6に示すように、本実施形態に係るカートン1は、頂壁2、対向して配置される一対の側壁3A、3B、および底壁5が順次連結されて、両端に開口6Aが形成された筒状体6を有しており、また、持ち運び手段として、頂壁2から上方に突出して配置される取っ手部7を有している。
【0047】
また、本実施形態におけるカートン1の頂壁2は、各壁の連結方向に所定の間隙をもって並列して配置される一対の頂板2a、2bにより構成されており、両頂板2a、2bの間隙には、取っ手部7を構成する取っ手パネル9が配置されている。そして、取っ手パネル9は、両頂板2a、2bが隣位するように両折曲線10、11が谷折りに折曲されるとともに折曲線12が山折りに折曲されることにより、取っ手部7を構成するようになっている。
【0048】
さらに、本実施形態におけるカートン1は、頂壁2に接続される頂壁片37を有しており、この頂壁片37の一側縁は、第2上部傾斜壁の他端縁に折曲線21を介して連設されている。
【0049】
このカートン1によれば、カートン1を組み立てる際に、各折曲線10、11、13、15、16、17、18、19、20、21を折曲するとともに、頂壁片37の表面を一対の頂板2a、2bによって構成される頂壁2の裏面の一部と当接するように重ねて配置し、頂壁片37を頂壁2に接続することにより、頂壁2、両側壁3A、3B、底壁5、および頂壁片37が、それぞれ上部傾斜壁14A、14Dおよび下部傾斜壁14B、14Cを介して順次連設されて、両端に開口6Aが形成された筒状体6が構成されるようになっている。
【0050】
続いて、本実施形態の作用について説明する。
【0051】
本実施形態に係るカートン1によれば、図6に示すように、両タブ片26の先端部分は、被収納物Cの頂面におけるフランジFの内周面に当接してフランジFに係合するようになっており、さらに、取っ手部7を把持してカートン1が持ち上げられることにより、頂壁が凸状に変形するとともに両側壁3A、3Bが相互に近接する方向に移動するので、両タブ片26は、頂壁2とともに上方に引っ張られて相互に近接するようにほぼ水平方向に移動し、両タブ片26の外端同士の距離が縮まることとなる。このように、両タブ片26が相互に近接するようにほぼ水平方向に移動することにより、保持タブ23は、頂壁2の変形に対応し、両タブ片26の先端部分が上方に移動することなく元の高さ位置にとどまることができるので、被収納物CのフランジFに係合し続けることができる。
【0052】
したがって、カートン1は、このカートン1が持ち上げられても、保持タブ23の被収納物CのフランジFに対する係合が解除されることなく、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0053】
また、第1の実施形態と同様に、取っ手部7によって筒状体6が上方に持ち上げられることにより頂壁2が凸状に変形し、両側壁3A、3Bが相互に近接する方向に引っ張られると、両タブ片26が、各タブ片26の一部が相互に重なるように移動することとなる。これにより、本実施形態に係るカートン1によれば、保持タブ23は、両タブ片26の外端同士の距離が縮まり、両タブ片26の一部が相互に重なるように移動することによって、被収納物Cの頂面におけるフランジFに係合し続けることができるので、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことを、より確実に防止することができる。さらに、本実施形態によれば、頂壁2が上方に引っ張られるほど、両タブ片26が、相互に重なり合う面積が増える方向に移動して、保持タブ23の先端縁が、被収納物CのフランジFとの係合位置にとどまることとなり、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0054】
さらに、第1の実施形態と同様に、保持タブ23をタブ折曲線25の中央部を基端として2分割することにより、2つのタブ片26から構成される保持タブ23の強度を保持しながら、カートン1が持ち上げられた際に両タブ片26の先端部分が相互に重なるように円滑にほぼ水平方向に移動される。これにより、カートン1は、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0055】
さらにまた、第1の実施形態と同様に、保持タブ23を、頂壁2の一端縁から突出するようにタブ折曲線25を介して頂壁2に連結し、両タブ片26を、頂壁2の一端縁に沿って並列して配置することにより、カートン1が持ち上げられた際に、両タブ片26の先端部分が相互に重なるように円滑にほぼ水平方向に移動される。これにより、カートン1は、保持タブ23の被収納物CのフランジFに対する係合が解除されることを確実に防止して、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0056】
また、本実施形態においては、第1の実施形態と同様に、頂壁2が、各壁2、3、5の連結方向に所定の間隙をもって並列配置される一対の頂板2a、2bにより構成され、持ち運び手段としての取っ手部7を構成する取っ手パネル9は、両頂板2a、2bの間隙に配置されて両頂板2a、2bにそれぞれ折曲可能に連結されているとともに、両頂板2a、2bの並列方向に直交する折曲線12によって折曲可能とされている。そして、カートン1は、両頂板2a、2bが隣位するように、取っ手パネル9を折曲することにより、取っ手部7が形成されるようになっている。これにより、本実施形態に係るカートン1によれば、取っ手部7を簡易に形成することができるとともに、このような取っ手部7を把持してカートン1が持ち上げられた場合であっても、保持タブ23の被収納物CのフランジFに対する係合が解除されることを防止し、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0057】
さらに、本実施形態において、両タブ片26を、カートン1が組み立てられた状態で、その一部があらかじめ相互に重なるように配置することにより、筒状体6が取っ手部7によって上方に持ち上げられた際に、第1頂壁2が凸状に変形し、両側壁3A、3Bが相互に近接する方向に引っ張られるのに追従して、両タブ片26を、より円滑に両タブ片26の一部が相互に重なる部位が増すようにほぼ水平方向に移動させることができる。これにより、カートン1は、開口6Aに臨む被収納物CのフランジFに対する両タブ片26の係合をより確実にすることができる。
【0058】
次に、本発明に係るカートン1の第3の実施形態を図7および図8を参照して説明する。なお、第3の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成については、詳説を省略し、同一の符号を用いて説明する。
【0059】
図7は、本実施形態に係るカートン1を示す斜視図であり、図8は、図7に示すカートン1を構成するカートンブランク22を示す平面図である。
【0060】
図7および図8に示すように、本実施形態に係るカートン1は、頂壁としての第1頂壁2、対向して配置される一対の側壁3A、3B、および底壁5が順次連結されており、両端が開口6Aされた筒状体6を有している。
【0061】
本実施形態におけるカートン1は、第1頂壁2が1つのパネルによって構成されており、第1頂壁2の一側縁は、折曲線13を介して第1上部傾斜壁14Aの一側縁に連設されている。また、カートン1は、第1頂壁2の他に第1頂壁に接続される第2頂壁片8を有しており、この第2頂壁片8の一側縁は、第2上部傾斜壁の他端縁に折曲線21を介して連設されている。
【0062】
このカートン1によれば、カートン1を組み立てる際に、各折曲線10、11、13,15,16,17,18,19、20、21を折曲するとともに、第2頂壁8を第1頂壁2の裏面と当接するように重ねて配置し、第2頂壁8を第1頂壁2に接続することにより、第1頂壁2、両側壁3A、3B、底壁5、および第2頂壁8が、それぞれ上部傾斜壁14A、14Dおよび下部傾斜壁14B、14Cを介して順次連設されて、両端に開口6Aが形成された筒状体6が構成されるようになっている。
【0063】
第1頂壁2の両端縁には、筒状体6の内部に折曲されることにより、開口6Aに臨む被収納物CのフランジFに係合して、被収納物Cが開口6Aから抜け落ちることを防止する保持タブ23がそれぞれタブ折曲線25を介して連結されている。各保持タブ23は、半円形状に形成され、それぞれ第1頂壁2の両端縁から第1頂壁2の外側に突出するように配置されており、タブ折曲線25の中央部を基端として2分割されてなる一対のタブ片26を有している。
【0064】
第2頂壁8の両端縁には、第2頂壁8の外側に突出するように配置された半円形状の第2保持タブ27が、折曲線28を介して連設されており、カートン1を組み立てた状態で第2保持タブ27は、第1保持タブ23と重なるように配置されることとなる。そして、第2保持タブ27は、第1保持タブ23と同一方向に筒状体6の内部に折曲されることにより、第1保持タブ23とともに開口6Aに臨む被収納物CのフランジFに係合されるようになっている。
【0065】
また、本実施形態に係るカートン1において、第1頂壁2には、持ち運び手段として第1指挿入孔40が設けられている。本実施形態においては、指挿入孔として、一対の第1指挿入孔40が、第1頂壁2における2つの被収納物Cの間隙に形成される空間に相当する位置に相互に対向して形成されている。両第1指挿入孔40は、折曲線40aと該折曲線40aの両端部を連結する円弧状の切込線40bとによって構成された折曲片40cを、筒状体6の内部に押し込むように折曲することにより形成されるようになっており、両第1指挿入孔40の折曲線41が対向するようにして配置されている。また、第2頂壁8における第1頂壁2と重ねて配置された際に第1頂壁2の両第1指挿入孔40に対向する位置には、それぞれ第2指挿入孔41が形成されている。第2指挿入孔41は、折曲線41aを該折曲線41aの両端部を連結する円弧状の切込線41bとによって構成された折曲片41cを、筒状体6の内部に押し込むように折曲することにより形成されている。なお、本発明に係るカートン1における持ち運び手段としての指挿入孔40の形状や形成位置は、本実施形態のものに限定されるものではなく、例えば、筒状体6の内部に形成される空間に相当する位置に形成される開口によって構成してもよい。
【0066】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0067】
本実施形態係るカートン1によれば、持ち運び手段として第1頂壁2に形成された一対の第1指挿入孔40と、第2頂壁8に形成された一対の第2指挿入孔41とを有している。また、両タブ片26の先端部分は、被収納物Cの頂面におけるフランジFの内周面に当接してフランジFに係合するようになっている。そして、本実施形態に係るカートン1は、指挿入孔40に指を挿入してカートン1が持ち上げられることにより、第1頂壁2が凸状に変形するとともに両側壁3A、3Bが相互に近接する方向に移動するので、両タブ片26は、第1頂壁2とともに上方に引っ張られて相互に近接するようにほぼ水平方向に移動し、両タブ片26の外端同士の距離が縮まることとなる。このように、両タブ片26が相互に近接するようにほぼ水平方向に移動することにより、第1保持タブ23は、第1頂壁2の変形に対応し、両タブ片26の先端部分が上方に移動することなく元の高さ位置にとどまることができるので、被収納物CのフランジFに係合し続けることができる。
【0068】
したがって、カートン1は、持ち運び手段としての指挿入孔40を簡易かつ余分なパネルを用いることなく形成することができるとともに、持ち運び手段としての指挿入孔40に指を挿入することによりカートン1が持ち上げられても、保持タブ23の被収納物CのフランジFに対する係合が解除されることなく、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0069】
また、本実施形態に係るカートン1において、指挿入孔40を介して筒状体6が上方に持ち上げられることにより第1頂壁2が凸状に変形し、両側壁3A、3Bが相互に近接する方向に引っ張られると、両タブ片26が、各タブ片26の一部が相互に重なるように移動することとなる。これにより、本実施形態に係るカートン1によれば、第1保持タブ23は、両タブ片26の外端同士の距離が縮まり、両タブ片26の一部が相互に重なるように移動することによって、被収納物Cの頂面におけるフランジFに係合し続けることができるので、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことを、より確実に防止することができる。さらに、本実施形態によれば、第1頂壁2が上方に引っ張られるほど、両タブ片26が、相互に重なり合う面積が増える方向に移動して、第1保持タブ23の先端縁が、被収納物CのフランジFとの係合位置にとどまることとなり、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0070】
さらに、第1の実施形態と同様に、保持タブ23をタブ折曲線25の中央部を基端として2分割することにより、2つのタブ片26から構成される保持タブ23の強度を維持しながら、カートン1が持ち上げられた際に両タブ片26の先端部分が相互に重なるように円滑にほぼ水平方向に移動される。これにより、両タブ片26の先端部分が被収納物CのフランジFとの係合を維持するので、カートン1は、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0071】
さらにまた、第1の実施形態と同様に、保持タブ23を、第1頂壁2の一端縁から突出するようにタブ折曲線25を介して第1頂壁2に連結し、両タブ片26を、第1頂壁2の一端縁に沿って並列して配置することにより、カートン1が持ち上げられた際に、両タブ片26の先端部分が相互に重なるように円滑にほぼ水平方向に移動される。これにより、カートン1は、保持タブ23の被収納物CのフランジFに対する係合が解除されることを確実に防止して、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0072】
また、第1の実施形態と同様に、保持タブ23を、第1頂壁2の一端縁から突出するようにタブ折曲線25を介して第1頂壁2に連結し、両タブ片26を、第1頂壁2の一端縁に沿って並列して配置することにより、カートン1が持ち上げられた際に、両タブ片26の先端部分が相互に重なるように円滑にほぼ水平方向に移動される。これにより、カートン1は、保持タブ23の被収納物CのフランジFに対する係合が解除されることを確実に防止して、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことを確実に防止することができる。
【0073】
さらに、第1の実施形態と同様に、本実施形態に係るカートン1は、第1頂壁2に重なるように配置される第2頂壁8を有し、第2頂壁8には、第1保持タブ23と重なるように配置され、第1保持タブ23と同一方向に筒状体6の内部に折曲されることにより開口6Aに臨む被収納物CのフランジFに係合する第2保持タブ27が連結されている。本実施形態に係るカートン1によれば、第1頂壁2および第2頂壁8によって頂壁部分に2重のパネルが配置されるので、カートン1における頂壁部分の強度を向上させることができるとともに、第1保持タブ23と第2保持タブ27が被収納物CのフランジFに2重に係合することとなるので、第1保持タブ23および第2保持タブ27とフランジFとの係合の強度を向上させることができ、これにより、被収納物Cがカートン1の開口6Aから抜け落ちてしまうことをより確実に防止することができる。
【0074】
さらに、本実施形態において、両タブ片26を、カートン1が組み立てられた状態で、その一部があらかじめ相互に重なるように配置することにより、筒状体6が指挿入孔40によって上方に持ち上げられた際に、第1頂壁2が凸状に変形し、両側壁3A、3Bが相互に近接する方向に引っ張られるのに追従して、両タブ片26を、より円滑に両タブ片26の一部が相互に重なる部位が増すようにほぼ水平方向に移動させることができる。これにより、カートン1は、開口6Aに臨む被収納物CのフランジFに対する両タブ片26の係合をより確実にすることができる。
【0075】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0076】
例えば、各本実施形態におけるカートン1の大きさは、2本の缶を収納することが可能な大きさであるが、本発明に係るカートン1の大きさは、各実施形態のカートン1の大きさに限定されるものではなく、2本以上の複数の缶を収納可能なカートン1にも適用することができる。このとき、カートン1の開口6Aに臨む被収納物Cが複数である場合には、頂壁2や底壁5に配設される各保持タブ23も、開口6Aに臨む被収納物Cに対応して配設される。また、本発明に係るカートン1に収納される被収納物Cは、本実施形態に用いられる缶に限定されず、頂面に突設されるフランジFが形成されているものであればよい。
【0077】
さらに、各実施形態におけるカートン1の保持タブ(第1保持タブ)23は、タブ折曲線23の中央部を基端部として2分割されているが、本発明に係るカートン1の保持タブ23は、本実施形態に限定されず、持ち運び手段を介して頂壁(第1頂壁)2が持ち上げられたときに、各タブ片26が相互に近接するようにほぼ水平方向に移動しながら、被収納物CのフランジFに係合し続ける形状であれば、分割の基端部はタブ折曲線23の中央部でなくてもよく、また3分割以上であってもよい。また、各実施形態においては、一対のタブ片26が一つの同じ被収納物CのフランジFに係合するようになっているが、保持タブ23が前述のように3つ以上に分割されている場合であっても、各タブ片26が一つの同じ被収納物CのフランジFに係合するようになっているとよい。ただし、保持タブ(第1保持タブ)23の強度等の観点からは2分割であることが好ましい。
【0078】
また、各実施形態において、頂壁2に連設され被収納物Cが開口6Aから抜け落ちることを防止する保持タブ23は、頂壁2の端縁から突出するように配置されているが、本発明はこれに限定されず、頂壁2に形成された折曲線と該折曲線に連結された切込線によって構成してもよい。
【0079】
また、各実施形態において、両タブ片26は、カートン1が組み立てられた状態において、その一部が相互に重なって配置されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、カートン1が組み立てられた状態において必ずしも相互に重なって配置されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 カートン
2 頂壁(第1頂壁)
2a、2b 頂板
3A、3B 側壁
5 底壁
6 筒状体
6A 開口
7 取っ手部
8 第2頂壁
9 取っ手パネル
23 保持タブ(第1保持タブ)
25 タブ折曲線
26 タブ片
27 第2保持タブ
28 折曲線
C 被収納物
F フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂壁、一対の側壁および底壁が順次連結され、両端が開口されており、頂面に突設されるフランジを有する複数の被収納物を内部に収納する筒状体と、
前記頂壁に配設され前記筒状体を持ち運ぶための持ち運び手段と、
前記頂壁にタブ折曲線を介して連結され、前記筒状体の内部に折曲されることにより前記開口に臨む前記被収納物の前記フランジに係合して、前記被収納物が前記開口から抜け落ちることを防止する保持タブとを有するカートンにおいて、
前記保持タブは前記タブ折曲線を基端として前記保持タブの先端縁に向かって分割されてなる複数のタブ片を有し、前記各タブ片は、前記筒状体の内部に折曲されて、前記各タブ片の先端部が前記フランジに係合することを特徴とするカートン。
【請求項2】
前記持ち運び手段によって前記筒状体が上方に持ち上げられることにより、前記頂壁が凸状に変形し、前記一対の側壁が相互に近接する方向に引っ張られるのに追従して、前記各タブ片は、前記各タブ片の一部が相互に重なるように移動することを特徴とする請求項1に記載のカートン。
【請求項3】
前記保持タブは、前記タブ折曲線の中央部から2分割されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカートン。
【請求項4】
前記保持タブは、前記頂壁の一端縁から突出するように前記タブ折曲線を介して前記頂壁に連結されており、
前記各タブ片は、前記頂壁の一端縁に沿って並列して配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のカートン。
【請求項5】
前記頂壁は、前記頂壁、前記両側壁および前記底壁の連結方向に所定の間隙をもって並列配置される一対の頂板からなり、
前記持ち運び手段は、前記頂壁から上方に突出して配置される取っ手部からなり、
前記取っ手部を構成する取っ手パネルが、前記両頂板の間隙に配置されて前記両頂板にそれぞれ折曲可能に連結されるとともに、前記両頂板の並列方向に直交する方向に折曲可能とされており、
前記両頂板が隣位するように、前記取っ手パネルを折曲することにより、前記取っ手部を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のカートン。
【請求項6】
前記持ち運び手段は、前記頂壁に形成された指挿入孔からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のカートン。
【請求項7】
前記頂壁を第1頂壁とし、前記保持タブを第1保持タブとし、
前記第1頂壁に重なるように配置される第2頂壁を有し、
前記第2頂壁には、前記第1保持タブと重なるように配置され、前記第1保持タブと同一方向に前記筒状体の内部に折曲されることにより、前記開口に臨む前記被収納物の前記フランジに係合する第2保持タブが連結されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のカートン。
【請求項8】
前記各タブ片は、その一部が相互に重なって配置されていることを特徴とする請求項1に記載のカートン。
【請求項9】
前記一対のタブ片が一つの同じ前記被収納物の前記フランジに係合していることを特徴とする請求項1に記載のカートン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−81994(P2012−81994A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230610(P2010−230610)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(503185105)ミードウエストベコ パッケージングシステムズ エル・エル・シー (5)
【Fターム(参考)】