説明

カートン

【課題】少なくともカートンの四隅の高さを実質的に揃えることができるカートンを提供する。
【解決手段】本発明は,一枚のカートンブランク1に,第1の天地面10,第1の側面30,第2の天地面20,及び第2の側面40が,この順で一方向に連接されており,第1の天地面10又は第2の側面40に,第1の天地面10と第2の側面40とを接合するための接合代60が延設されたカートンにおいて,第1の側面30の両端部に第1の内側フラップ521を第1の側面30と同一幅で延設し,第2の側面40の両端部に第2の内側フラップ522を第2の側面40と同一幅で延設し,前記一方向における,第1の内側フラップ521の幅Lと第2の内側フラップ522の幅Rを実質的に同一とすることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,種々の物品を収納可能なカートンに関する。具体的に説明すると,本発明は,一枚のカートンブランクを組み上げて略直方体に形成されるカートンである。本発明のカートンには,例えばティシュペーパー,保湿ティシュ,ちり紙,ペーパータオルのような衛生用紙や,お菓子,おもちゃ等,種々の物品を収納することができる。
【背景技術】
【0002】
従来から,物品収納用のカートンとして,上下一対の天地面と,左右一対の側面と,前後一対の妻面を有し,これらの面によって,物品を収納するための内部空間が形成された略直方体状のカートンが知られている。例えば,特許文献1には,上記構成を有する衛生用紙収納用カートンが開示されている。一般的なカートンは,一枚のカートンブランクを組み上げることにより形成される。このカートンブランクにおいては,一対の天地面,一対の側面,及び一対の妻面の各面が連接して形成されており,一対の天地面及び一対の側面のいずれか一つに接合代が延設されている。
【0003】
例えば,図7は,従来のカートンの展開図であり,各面が連接して形成されたカートンブランク1´の例を示している。図7に示されるように,カートンブランク1´には,地面10´,左側面30´,天面20´,及び右側面40´が,この順で連接されており,地面10´には,接合代60´が延設して形成されている。また,地面10´,左側面30´,天面20´,及び右側面40´が連接する方向を連接方向とし,当該連接方向に対して直交する方向を直交方向とすると,左側面30´の直交方向の両端部には,第1の内側フラップ521´が左側面30´と同一の幅で延設され,右側面40´の直交方向両端部には,第2の内側フラップ522´が右側面40´と同一の幅で延設されている。さらに,地面10´の直交方向両端部には,第1の外側フラップ512´が地面10´と同一の幅で延設され,天面20´の直交方向両端部には,第2の外側フラップ511´が天面20´と同一の幅で延設されている。
【0004】
図7に示されるように,地面10´と左側面30´は第1の罫線81´を介して連接され,左側面30´と天面20´は第2の罫線82´を介して連接され,天面20´と右側面40´は第3の罫線83´を介して連接され,地面10´と接合代60´は第4の罫線84´を介して連接されている。そして,各面を各罫線に沿って順次折り曲げていき,地面10´から延設した接合代60´を,右側面40´の端部に接合することにより,地面10´と右側面40´が連結し,カートンブランク1´が角筒状に立ち上がるようになっている。そして,角筒状に形成されたカートンブランク1´の一対の内側フラップ(521,522)を一対の側面(30´,40´)との連接線に沿って折り曲げ,その後,一対の外フラップ(511´,512´)を一対の天地面(10´,20´)との連接線に沿って折り曲げて,一対の内側フラップ(521´,522´)に一対の外フラップ(511´,512´)が重畳するようにして貼り付けることにより,妻面が形成され,略直方形のカートン100´が形成される。
【0005】
ここで,従来から,左側面30´と同一幅で延設された第1の内側フラップ521´と,右側面40´と同一幅で延設された第2の内側フラップ522´のうち,いずれか一方のフラップ幅(連接方向の幅)を,他方のフラップ幅よりも幅狭とすることが知られている。例えば,図7に示された例においては,第2の内側フラップ522´の幅(R´)が,第1の内側フラップ521´の幅(L´)よりも,約1mm程度幅狭に形成されている。ただし,地面10´の幅(I´)と,天面20´の幅(S´)は同一である。このように,例えば第2の内側フラップ522´の幅(R´)を第1の内側フラップ521´の幅(L´)よりも1mm程度幅狭とする理由は,接合代60´を介してカートンブランク1´の端部を貼り合わせる際に生じる,機械的な誤差(バラツキやズレ)を解消するための余裕代を設けるためである。
【0006】
すなわち,一般的に,カートン内に物品を箱詰めする前の段階において,カートンブランクは,まず第1の罫線81´に沿って地面10´が折り返され,その後第3の罫線83´に沿って右側面40´が折り返される。そして,右側面40´が,接合代60´に重畳するようにして貼り合わされて,平坦状になる。このようにカートンの端部が貼り合わされ平坦になった状態の例が,図8に示されている。図8に示されるように,カートンの端部が貼り合わされた状態において,地面10´と右側面40´の間には約1mmの間隙が生じている。この間隙は,右側面40´を接合代60´に張り合わせる際の余裕代となる。このように,右側面40´と同一幅で延設された第2の内側フラップ522´幅(R´)を,左側面30´と同一幅で延設された第1の内側フラップ521´の幅(L´)よりも1mm程度短くすることにより,右側面40´を接合代60´に貼り合わせる接合箇所に余裕をもたせることができる。そして,接合箇所の余裕(余裕代)を形成することで,右側面40´を接合代60´に張り合わせる際に生じる機械的な誤差を吸収することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−168095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら,カートンの一対の側面(30´,40´)及び一対の内側フラップ(521´,522´)は,地面10´に対して垂直方向に起立して天面20´を支持するための立面として機能する。従って,カートンブランクの端部を貼り合わせる際の機械的な誤差を解消するために,一対の側面(30´,40´)のいずれか一方の幅を幅狭にすると,カートンを立体的に組み上げたときに,カートンの左右の高さに差が生じるという恐れがあった。その理由を以下に説明する。
【0009】
ここで,図9(a)は,第2の内側フラップ521´のみが閉じ,第1の内側フラップ521´が開いた状態のカートンの端縁の断面図である。また,図9(b)は,第1の内側フラップ521´,第2の内側フラップ522´,第1の外側フラップ511´,及び第2の外側フラップ522´を閉じた状態の例を示している。図9(a)に示された例では,右側面40´から延出した第2の内側フラップ522の幅(R´)が,左側面30´から延出した第1の内側フラップ521の幅(L´)よりも1mm程度幅狭に形成されている。なお,図9は,説明を分り易くするために,カートンの紙厚や寸法の極端な例を描画したものである。
【0010】
図9(a)に示されるように,第2の内側フラップ522´が第1の内側フラップ521´よりも幅狭となっているため,第2の内側フラップ522´と地面10´の間には,1mm程度の余裕代が形成されている。一方,第1の内側フラップ521´に着目すると,第1の内側フラップ521´をカートン内部方向に閉じるに際して,第1の内側フラップ521´が強引に地面10´と天面20´の間に入れ込まれることとなるため,地面10´の紙厚と天面20´の紙厚の分だけ,カートンの左隅が盛り上がった状態となっている。
【0011】
次に,図9(b)は,図9(a)に示した状態から,第1の内側フラップ522´,及び一対の外側フラップ(511´,512´)を閉じて,略直方形のカートン100´を形成した状態を描画したものである。図9(b)に示されるように,第1の内側フラップ521´が形成されているカートンの左隅が盛り上がった状態のままである。一方,第2の内側フラップ522´をカートンの内部方向に閉じても,カートンの右隅は盛り上がっていない。これは,第2の内側フラップ522´の幅(R´)が第1の内側フラップ521´の幅(L´)よりも1mm程度短く形成され,第2の内側フラップ522´側に余裕代が形成されているからである。すなわち,第2の内側フラップ522´側には,余裕代が存在するため,第2の内側フラップ522´を閉じる際に,第2の内側フラップ522´が強引に地面10´と天面20´の間に入れ込まれるという事態が生じない。従って,カートンの右隅は,盛り上がらない。このように,第2の内側フラップ522´の幅(R´)を第1の内側フラップ521´の幅(L´)よりも幅狭に形成すると,カートンの左隅が右隅よりも高くなるものであった。このため,カートンの左右の高さが異なった状態において,複数のカートンを高さ方向に積み上げると,多くのカートンを積み上げられなくなったり,積み上げたカートンが倒れ落ちるという事態を招いていた。また,カートン自体に歪みが生じると,カートンの歪み具合にあわせて,複数のカートンを収納するための収納箱を大きくする必要があるという問題があった。
【0012】
また,従来は,図9(a)に示されるように,カートンの地面10´と天面20´の幅が一致している。従って,接合代60´と右側面40´を貼り合わせるためには,接合代60´と右側面40´を若干斜めに傾斜させる必要がある。このため,接合代60´と右側面40´を傾斜させて貼り合わせると,図9に示されるように,右側面40´が,カートンの外側に膨出し,カートンが幅方向に嵩張った状態となる。このような歪みがカートンに生じると,複数のカートンを収容するための収容箱を設計するに際して,カートンの歪みを考慮しなければならず,収容箱を大きく形成することが必要となる。このように,カートンに生じた歪みは,微小なものであっても,大量生産したカートンの搬送作業に大きく影響するものであった。
【0013】
さらに,従来のカートンは,カートンの左隅と右隅の高さが一致していないことから,天面20´から延出した第1の外側フラップ511´を閉じると,図9(b)に示されるように,第1の外側フラップ511´は斜めに傾斜して貼り付けられることとなり,見栄えが悪くなっていた。
【0014】
このため,本発明は,少なくともカートンの四隅の高さを実質的に揃えることのできるカートンを提供することを目的とする。カートンの四隅を同じ高さとなれば,複数のカートンを積み上げても,積み上げられたカートンが安定する。また,本発明は,好ましくは,物品収納用カートンの四隅の高さを実質的に同一にしつつ,カートンに生じる幅方向の歪み(嵩張り)を最小限に抑えることのできるカートンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の発明者は,上記の従来発明の問題点を解決する手段について鋭意検討した結果,一対の側面から延設された一対の内側フラップの幅を実質的に同一にすることにより,少なくともカートンの四隅の高さを実質的に揃えることができるという知見を得た。そして,本発明者は,上記知見に基づけば,従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。
具体的に本発明は,以下の構成を有する。
【0016】
本発明は,種々の物品を収納可能なカートンに関する。
本発明に係るカートンは,一枚のカートンブランク(1)に,第1の天地面(10),第1の側面(30),第2の天地面(20),及び第2の側面(40)がこの順で一方向に連接されている。第1の天地面(10)と第2の天地面(20)は,組み上げられたカートンにおいて,上下一対の天地面(10,20)を形成する。また,第1の側面(30)と第2の側面(40)は,組み上げられたカートンにおいて,左右一対の側面(30,40)を形成する。
また,第1の天地面(10)又は第2の側面(40)には,第1の天地面(10)と第2の側面(40)とを接合するための接合代(60)が延設されている。このため,第1の天地面(10)及び第2の側面(40)は,接合代(60)を介して,互いに連結することができる。
また,第1の側面(30)の両端には,第1の側面(30)と同一幅で,第1の内側フラップ(521)が延設されている。同様に,第2の側面(40)の両端には,第2の側面(40)と同一幅で,第2の内側フラップ(522)が延設されている。
ここで,第1の天地面(10),第1の側面(30),第2の天地面(20),及び第2の側面(40)が連接した一方向(連接方向)における,第1の内側フラップ(521)の幅(L)と第2の内側フラップ(522)の幅(R)は,実質的に同一である。
【0017】
ここで,上記した「実質的に同一」とは,例えば,カートンブランク(1)の紙厚をTとした場合において,上記一方向における,第1の内側フラップ(521)の幅(L)と第2の内側フラップ(522)の幅(R)差が,0以上2T以下であることを意味する。また,第1の内側フラップ(521)の幅(L)と第2の内側フラップ(522)の幅(R)の差は,0以上T以下であることが特に好ましい。また,例えば,カートンブランク(1)の紙厚Tが,1mm以上である場合には,第1の内側フラップ(521)の幅(L)と第2の内側フラップ(522)の幅(R)の差は,0以上0.5mm以下であることが好ましい。
【0018】
なお,カートンブランクを製造する装置の加工精度上,0.5mm未満の単位で各面の幅を設計することは困難である。このため,第1の内側フラップの幅と第2の内側フラップの幅の差が0.5mm以下であれば,第1の内側フラップの幅と第2の内側フラップの幅は実質的に同じであるとみなすことができる。
【0019】
本発明は,カートンブランク(1)の紙厚をTとした場合において,上記一方向における,第1の天地面(10)の幅(I)は,第2の天地面(20)の幅(S)よりも,T以上3T以下幅狭とすることが好ましい。
【0020】
また,本発明は,第1の天地面(10)と第2の側面(40)を,接合代(60)を介して接合した状態において,前記第1の天地面(10)と前記第3の側面(40)の間には間隙が形成され,間隙の幅をΔとした場合において,間隙の幅ΔをT以上3T以下とすることが好ましい。特に,間隙の幅Δは,約2Tであることが好ましい。この間隙の幅は,第1の天地面(10)と第2の側面(40)を接合する際の余裕代となる。
【発明の効果】
【0021】
上記構成のように,本発明では,一対の内側フラップの幅を実質的に同一にする。これにより,本発明では,組み上げられた収納用カートンの四隅の高さが実質的に揃うため,複数のカートンを積み上げやすくなり,また積み上げたカートンが倒れ落ちるという事態も防止できる。さらに,本発明においては,一対の天地面のうち,接合代を介して接合される一方の面(第1の天地面)の幅を,他方の面(第2の天地面)よりも幅狭にする。これにより,カートンブランクの端部を接合し平坦に折り畳んだ状態であっても,紙厚等の誤差によりカートンブランクに歪みが生じる事態を解消できる。
【0022】
ここで,図4を参照して,本発明のカートンの四隅の高さが実質的に一致する原理についてさらに付言する。
図4に示されるように,第1の内側フラップ521のフラップ幅Lと第2の内側フラップ522のフラップ幅Rは,実質的に同一である。ただし,第1の天地面10の幅Iは,第2の天地面20より幅狭となっている。このため,第2の側面40を第1の天地面10に,接合代60を介して接合すると,距離Δの余裕代が形成される。その結果,各面を折り曲げてカートンを組み上げると,カートンの第2の内側フラップ522側の隅(図4では右隅)が,余裕代Δの分だけ上方へ持ち上がった状態となっている。
一方,第1の内側フラップ521に着目すると,第1の内側フラップ521をカートン内部方向に閉じるに際して,第1の内側フラップ521が強引に第1の天地面10と第2の天地面20の間に入れ込まれることとなる。このため,第1の天地面10の紙厚Tと第2の天地面20の紙厚Tの分だけ,カートンの第1の内側フラップ521側の隅(図4では左隅)が,盛り上がった状態となっている。
このように,本発明によれば,カートンは,第1の内側フラップ521側の隅と,第2の内側フラップ522の隅が,通常の位置よりも上方にある。
従来は,上述したように,カートンの左右一方の隅だけが盛り上がった状態となり,カートンの左右の高さが揃うものではなかった。
この点,本発明によれば,左右両方の隅が通常よりも上方に位置するため,従来のカートンと比較して,左右の隅の高さを実質的に同一に近づけることができる。
【0023】
また,上記構成のように,第1の内側フラップ及び第2の内側フラップが,一対の側面と同一の幅で延出されていることにより,カートンを組み上げたときに,一対の内側フラップと一対の天地面の間に隙間がなくなる。このため,内側フラップも,一対の側面と同様に,一対の天地面を支持する立面として機能するため,カートンの積上強度を向上させることができる。さらに,一対の内側フラップの幅が同一であれば,カートンを積み上げた際に,均一に荷重を受けることができる。また,一対の内側フラップと隣接する外側フラップとの間に,切り抜きを作らないことで,カートン製造時における切りカスが発生しなくなり,カートン内に切りカスが混入するという事態を防止できる。
【0024】
また,カートンの四隅の高さが実質的に一致していれば,天面から延出した外側フラップを,地面から延出した外側フラップを張り合わせるに際し,天面から延出した外側フラップが斜めに傾斜し見栄えが悪くなるという事態を回避することができる(図4(b)参照)。
【0025】
さらに,第1の天地面と第2の側面を接合した際の間隙(余裕代)の幅ΔをT以上3T以下(約2T)とすることにより,カートンを組み上げた際に,第1の内側フラップと第2の内側フラップが略平行に起立するようになる(図4参照)。このため,組み上げられたカートンの外観が美麗になる。さらに,カートンの積み上げ強度も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は,本発明に係るカートンの例を示す平面斜視図である。
【図2】図2は,本発明の第1の実施形態に係るカートンの展開図である。
【図3】図3は,カートンブランクの端部を接合した状態の例を示している。
【図4】図4は,カートンの端面の概略を示している。図4(a)は,カートンの端面の断面図であり,図4(b)は,内側及び外側フラップを閉じた状態のカートンの正面図である。
【図5】図5は,カートンの中腹の断面図の例を示している。
【図6】図6は,本発明の第2の実施形態に係るカートンの展開図である。
【図7】図7は,従来のカートンの展開図である。
【図8】図8は,従来のカートンブランクの端部を接合した状態の例を示している。
【図9】図9は,従来のカートンの端面の概略を示している。図9(a)は,カートンの端面の断面図であり,図9(b)は,内側及び外側フラップを閉じた状態のカートンの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0028】
なお,本願明細書において,「一方向」とは,カートンブランクにおいて,第1の天地面10,第1の側面30,第2の天地面20,及び第2の側面40が連接する方向(連接方向)を意味する。また,「直交方向」とは,上記一方向に直交する方向を意味する。例えば,図2においては,図の縦方向が上記「一方向」に相当し,図の横方向が上記「直交方向」に相当する。
また,本願明細書において,「第1の側面30」は,一対の天地面(10,20)の間に連接する側面を意味する。従って,「第1の側面30」は,左側面又は右側面のいずれか一方である。また,「第2の側面40」は,一対の天地面(10,20)のいずれか一方にのみ連接する側面を意味する。従って,「第2の側面40」は,左側面又は右側面のいずれか他方である。
また,本願明細書において,「第1の天地面10」は,第2の側面40が連接しない天地面を意味する。従って,「第1の天地面10」は,天面又は地面のいずれか一方である。また,「第2の天地面20」は,第2の側面40が連接する天地面を意味する。従って,天面又は地面のいずれか一方である。
また,本願明細書において,「妻面50」とは,天面と直角に形成された面であり,内側フラップと外側フラップが貼り合わされることにより形成される面である。
また,本願明細書において,「A〜B」は,A以上B以下であることを意味する。
また,本願明細書において,「約」とは,その値の±10%を包含することを意味する。
【0029】
(1.第1の実施形態)
以下,図1から図5を参照して,本発明に係るカートンの第1の実施形態について説明する。本発明の第1の実施形態は,衛生用紙収納用のカートンである。ただし,本発明は,衛生用紙収納用カートンに限定されるものではなく,例えば,お菓子やおもちゃ等,種々の物品を収納するためのカートンに適用可能である。
第1の実施形態に係る衛生用紙収納用カートンおいて,第1の天地面10は,地面である。また,第2の天地面20は,天面である。また,第1の側面30は,左側面である。また,第2の側面40は,右側面である。
【0030】
(1−1.カートン)
図1は,本発明の第1の実施形態に係るカートンを示す平面斜視図である。図1に示されるように,カートン100は,上下一対の天地面(10,20),左右一対の側面(30,40),及び前後一対の妻面50を有し,これらの各面によって種々の物品を収納可能な内部空間が区画される。ここで,一対の天地面(10,20)は,カートンの組み立て時において,互いに対向する地面10と天面20とから構成される。また,一対の側面(30,40)は,カートンの組み立て時において,互いに対向する左側面30と右側面40から構成される。一対の妻面50は,カートンの前後に位置する面である。本実施形態において,一対の妻面50のそれぞれは,カートンの外面に位置する外側フラップ51と,外側フラップ51よりもカートン内方に位置する内側フラップ52を貼り合わせることにより形成される。
【0031】
上記構成を有する略直方体状のカートン内には,種々の物品が収納することができる。第1の実施形態に係るカートンでは,例えば,衛生用紙を収納することができる。衛生用紙の例は,ティシュペーパー,保湿ティシュペーパー,ちり紙,ペーパータオル,キッチンタオル,キッチンシート,あくとりシート,又はトイレットペーパーである。また,図1に示されるように,衛生用紙収納用のカートン100の天面には,衛生用紙の取出口を形成するための切込線71を設けることが好ましい。切込線71は,例えば,取出口の外周形状に沿ったミシン目によって形成されている。そして,切込線71に沿って囲われた切取部72を,切込線71に沿って取り除くことにより,衛生用紙の取出口を形成することができる。なお,本発明の衛生用紙収納用カートン100は,取出口を形成する面の内側に取出口を被覆するフィルムが貼設されたフィルム付きカートンであってもよいし,フィルムが貼設されていないフィルムレスカートンであってもよい。
【0032】
(1−2.カートンブランク)
図2は,本発明の第1の実施形態に係るカートンの展開図であり,カートンを形成する一枚のカートンブランクの例を示している。本発明に係るカートンは,一枚のカートンブランク1を各面の間の罫線に従って折り曲げることにより,略直方体状に構成される。カートンブランク1の材料の例としては,古紙や木材パルプを原料とした紙材料が挙げられる。カートンブランク1としては,一定の紙厚を有する厚紙や段ボールシートを採用することができる。
【0033】
図2に示されたカートンブランク1の例においては,図2の上側から順に,第1の天地面10(地面),第1の側面30(左側面),第2の天地面20(天面),及び第2の側面40(右側面)が,一方向に順次連接されている。地面10,左側面30,天面20,及び右側面40のそれぞれは,一対の長側縁と一対の短側縁を有する矩形状に形成されており,これらの各面は,長側縁同士が連接するようになっている。すなわち,図2に示された例においては,地面10の長側縁と左側面30の一方の長側縁が連接している。また,左側面30の他方の長側縁は,天面20の一方の長側縁と連接している。また,天面20の他方の長側縁は,右側面40の長側縁と連接している。
【0034】
図2に示された例において,一対の天地面(10,20)の両側の短側縁からは,一対の外側フラップ51が延設されている。また,一対の側面(30,40)の両側の短側面からは,一対の内側フラップ52が延設されている。これらの外側フラップ51と内側フラップ52は,上記した一対の天地面(10,20)及び一対の側面(30,40)が連接する一方向とは直交する方向(直交方向)に延設されたものであり,組みあがったカートン100において,妻面50を形成する。このとき,一対の外側フラップ51は,一対の天地面(10,20)と同一幅で延設されていることが好ましく,同様に一対の内側フラップ52は,一対の側面(30,40)と同一幅で延設されていることが好ましい。この場合,図2に示された展開状態において,一対の外側フラップ51と一対の内側フラップ52の間には,実質的に隙間が形成されない。
【0035】
また,一対の外側フラップ51は,天面から延設した第1の外側フラップ511と,地面から延設した第2の外側フラップ512から構成されている。第1の外側フラップ511と第2の外側フラップ512は,カートン100の組み立て時において,先端側の一部が重なる長さで形成されており,この重合部分に塗布された接着剤によって接合される。また,地面に延設された第2の外側フラップ512は,解体時切離部53を有している。解体時切離部53は,第2の外側フラップ512の先端側に形成されており,少なくとも一部が,カートン100の組み立て時において第1の外側フラップ511と重合する。また,解体時切離部53は,一部に破断線54を含んでおり,破断線54に沿って破断させると,第2の外側フラップ512から切り離されるようになっている。このため,カートン100の組み立て時において,第1の外側フラップ511と第2の外側フラップ512を接合した場合であっても,その解体時には,破断線54に沿って解体時切離部53を第2の外側フラップ512から切り離すことにより,カートン100の妻面50を開口させることができるようになっている。
【0036】
さらに,図2に示された例において,第1の天地面10(地面)には,接合代60が延設されている。カートン100を組み立てるに際し,第1の天地面10(地面)から延設した接合代60の一の面には,接着剤が塗布される。接着剤が塗布された接合代60は,第2の側面40(右側面)の長側縁近傍に接合される。また,図示は省略するが,接合代60は,例えば第2の側面40(右側面)に延設されたものであってもよい。この場合,カートン100を組み立てるに際し,接合代60は,第1の天地面10(地面)の長側縁近傍に接合される。
【0037】
また,図2に示されるように,第1の天地面10と第1の側面30は第1の罫線81を介して連接され,第1の側面30と第1の天地面20は第2の罫線82を介して連接され,第2の天地面20と第2の側面40は第3の罫線83´を介して連接され,第1の天地面10と接合代60は第4の罫線84を介して連接されている。
【0038】
なお,図2に示されるように,カートンブランク1の地面には,その中央部分に収納物押上片73を一又は複数形成することとしてもよい。収納物押上片73は,その周囲を折線73aと切込線73bによって囲まれている。このため,収納物押上片73を,切込線73bに沿って地面から切離し,折線73aに沿って折り曲げて収納空間内に押し込むことで,カートン内の収納物を収納空間上方に押し上げることができる。
【0039】
(1−3.カートンブランクの寸法概要)
次に,第1の実施形態に係るカートンブランクの寸法の概要を説明する。図2において,符号Lは,一方向(連接方向)における,第1の側面30(左側面)の両端に延設した第1の内側フラップ521の幅を示している。また,符号Rは,一方向(連接方向)における,第2の側面40(右側面)の両端に延設した第2の内側フラップ522の幅を示している。また,符号Iは,一方向(連接方向)における,第1の天地面10(地面)の幅を示している。また,符号Sは,一方向(連接方向)における,第2の天地面20(天面)の幅を示している。また,符号F1は,一方向と直交する方向(直交方向)における,第1の内側フラップ521の幅を示している。また,符号F2は,一方向と直交する方向(直交方向)における,第2の内側フラップ522の幅を示している。
また,本願明細書において,カートンブランク1の紙厚は符号Tで示される。
【0040】
本発明において,第1の内側フラップ521の幅Lと,第2の内側フラップ522の幅Rは,実質的に同一である。これは,カートン100の左右の高さを一致させるためである。このため,第1の内側フラップ521と第2の内側フラップ522は,その幅に差が出ないよう形成されていることが好ましい。ただし,カートンブランクの加工装置の精度に由来する程度の誤差であれば,許容することができる。例えば,カートンブランクの紙厚をTとした場合に,第1の内側フラップ521の幅Lと第2の内側フラップ522の幅Rの差が,0以上2T以下であれば,両者を実質的に同一とみなすことができる。すなわち,カートン100の組み立て時において,第2の側面40(右側面)には,接合代60を介して,第1の天地面1(地面)が連接される。このため,第1の側面30の幅Lと,第2の側面40の幅Rに,接合代60の紙厚T程度の差があったとしても,組み上げられたカートン100の左右の高さが大きく異なることはなく,その他特に問題も生じない。
【0041】
また,例えば,第1の内側フラップ521の幅Lと,第2の内側フラップ522の幅Rの差が,0.5mm以下であれば,両者は実質的に同一とみなすことができる。一般的に,カートンブランクの加工装置の精度上,カートンブランクの寸法を,0.5mm未満で設計することは困難であるとされている。また,カートンブランクは,室温や湿度の変化によって0.5mm程度の範囲内で膨張したり収縮したりすることがある。従って,第1の内側フラップ521の幅Lと,第2の内側フラップ522の幅Rに,0.5mmの差があったとしても,組み上げられたカートン100の左右の高さが大きく異なることはなく,特に問題も生じない。また,例えば,第1の内側フラップ521の幅Lと第2の内側フラップ522の幅Rの差は,紙厚T以下であり,かつ,0.5mm以下である場合に,実質的に同一とみなすこととしてもよい。
【0042】
一方,本発明において,第1の天地面10(地面)の幅Iと,第2の天地面20(天面)の幅Sは,異なっている。具体的には,カートンブランクの紙厚をTとした場合に,第1の天地面10(地面)の幅Iは,第2の天地面20(天面)の幅Sよりも,T以上3T以下で,幅狭となっている。本発明では,第1の側面30と同一幅で延出した第1の内側フラップ521の幅Lと,第2の側面40と同一幅で延出した第2の内側フラップ522の幅Rが同一となっているため,第1の天地面10(地面)の幅Iを,第2の天地面20(天面)の幅Sよりも幅狭とすることにより,第1の天地面10と第2の側面30を,接合代60を介して接合する際の,余裕代Δを形成する。
【0043】
すなわち,カートン100を組み上げるに際し,まず,第1の罫線81に沿って第1の天地面10が折り返され,その後第3の罫線83に沿って第2の側面40が折り返される。そして,第2の側面40が,接合代60に重畳するようにして貼り合わされて,カートンは平坦状になる。このようにカートンの端部が貼り合わされ平坦になった状態の例が,図3に示されている。図3に示されるように,カートンの端部が貼り合わされた状態において,第1の天地面10と第2の側面40の間には距離Δの間隙が生じている。この間隙は,第1の天地面10と第2の側面40を,接合代60を介して張り合わせる際の,余裕代となる。
【0044】
このように,第1の天地面10(地面)の幅Iを,第2の天地面20(天面)の幅Sよりも幅狭とすることにより,第2の側面40を接合代60に貼り合わせる接合箇所に,余裕をもたせることができる。そして,接合箇所の余裕(余裕代)を形成することで,第2の側面40を接合代60に張り合わせる際に生じる機械的な誤差を吸収することができるようになっている。また,図3に示されるように,第2の側面40を接合代60に貼り合わせたときに,第2の側面40と第1の天地面10の間に余裕代Δが形成されることにより,カートンを組み上げる際,第2の側面40から延出した第2の内側フラップ522が,第1の天地面10から延出した第2の外側フラップ512に接触しなくなるため,第2の内側フラップ522を折り曲げることが容易になり,結果としてカートンを組み上げが簡易になる。
【0045】
その後,各面を各罫線に沿って順次折り曲げていくことにより,カートンブランク1が角筒状に立ち上がる。そして,角筒状に形成されたカートンブランク1の一対の内側フラップ52(521,522)を一対の側面(30,40)との連接線に沿って折り曲げ,その後,一対の外フラップ51(511,512)を一対の天地面(10,20)との連接線に沿って折り曲げて,一対の内側フラップ(521,522)に一対の外フラップ(511,512)が重畳するようにして貼り付ける。これにより,妻面50が形成され,略直方形のカートン100が形成される。
【0046】
ここで,図4を参照して,本発明のカートンの四隅の高さが実質的に一致する原理について説明する。なお,図4は,説明を分り易くするために,カートンの紙厚や寸法の極端な例を描画したものである。図4(a)は,第2の内側フラップ521のみが閉じ,第1の内側フラップ522が開いた状態のカートンの端縁の断面図を描画したものである。図9(b)は,第1の内側フラップ521,第2の内側フラップ522,第1の外側フラップ511,及び第2の外側フラップ522を閉じた状態の例を示している。
【0047】
図4(a)に示されるように,第1の内側フラップ521のフラップ幅Lと第2の内側フラップ522のフラップ幅Rは,実質的に同一である。ただし,第1の天地面10の幅Iは,第2の天地面20より幅狭となっている。このため,第2の側面40を第1の天地面10に,接合代60を介して接合すると,距離Δの余裕代が形成される(図3参照)。従って,図4(a)に示されるように,カートンの第2の内側フラップ522側の隅(図4(a)では右隅)が,余裕代Δの分だけ上方へ持ち上がった状態となっている。
【0048】
一方,第1の内側フラップ521に着目すると,第1の内側フラップ521をカートン内部方向に閉じるに際して,第1の内側フラップ521を第1の天地面10と第2の天地面20の間に強引に入れ込む必要がある。カートンブランクが紙やプラスチック等の柔軟な素材であれば,第1の内側フラップ521を第1の天地面10と第2の天地面20の間に,押しこむことができる。このように,第1の内側フラップ521を第1の天地面10と第2の天地面20に押し込むと,第1の天地面10の紙厚Tと第2の天地面20の紙厚Tの分だけ,カートンの第1の内側フラップ521側の隅(図4(a)では左隅)が,盛り上がった状態となる。なお,図4(a)は,第1の天地面10を,平坦面に載置した状態を描画したものであるため,第1の天地面10は,図の下方へ膨出せず,その分,第2の天地面20が,図の上方へ膨出するようになっている。
【0049】
そして,図4(b)には,図4(a)に示した状態から,第2の内側フラップ522,及び一対の外側フラップ(511,512)を閉じて,略直方形のカートン100を形成した状態を描画している。図4(b)に示されるように,第1の内側フラップ521が形成されているカートンの左隅は盛り上がった状態のままである。一方,第2の内側フラップ522をカートンの内部方向に閉じても,カートンの右隅が,さらに盛り上がることはない。これは,第1の天地面10の幅Iが第2の天地面20の幅Sよりも短く形成され,第2の内側フラップ522側に余裕代Δが形成されたからである。すなわち,第2の内側フラップ522側には,余裕代Δが存在するため,第2の内側フラップ522を閉じる際に,第2の内側フラップ522を第1の天地面10と第2の天地面20の間に強引に押しこむ必要がない。このため,第2の内側フラップ522をカートンの内部方向に閉じても,カートンの右隅が,さらに盛り上がることはない。
【0050】
このように,本発明では,図4に示されるように,カートンの第1の内側フラップ521側の隅と,第2の内側フラップ522の隅が,通常の位置よりも上方に位置する。従って,本発明によれば,左右両方の隅が上方に位置することとなるため,従来のカートンと比較して,左右の隅の高さを実質的に同一に近づけることができる。さらに,本発明において,一対の内側フラップ(521,522)は,一対の天地面(10,20)の間に位置し,一対の天地面(10,20)を支える機能を果たすため,一対の内側フラップ(521,522)を実質的に同じ幅とすることにより,カートンの積み上げ強度が向上する。
【0051】
特に,上述した通り,カートンの第1の側面30側の隅は,第1の天地面10の紙厚Tと第2の天地面20の紙厚Tの分,すなわち約2Tだけ盛り上がる。従って,カートンの第1の内側フラップ521側の隅の膨出に対応するように,第2の内側フラップ522側の隅も膨出させることで,さらに,カートンの四隅の高さを均一に近づけることができる。このため,第1の天地面(10)に第2の側面(30)を張り合わせた際の余裕代Δは,約2Tとすることが好ましい。
【0052】
また,図4に示されるように,第1の内側フラップ521と,第2の内側フラップ522を平行に近づけるためには,接合代60が延設された第1の天地面10の幅Iを,第2の天地面Sよりも,およそ紙厚Tの値だけ幅狭とすることが好ましい。第1の内側フラップ521と,第2の内側フラップ522を略平行に起立させることにより,カートンが幅方向に膨出することを防ぐことができ,さらにその外観も美麗に維持できる。
【0053】
なお,図5は,本発明の理解を促進するための参考図であり,本発明のカートンを,内側フラップが形成された端面ではなく,中腹付近で切断した状態を示す断面図である。図5に示されるように,本発明のカートンは,中腹辺りでは,第1の側面30側の高さが,第2の側面40側の高さと比較して低くなっている。これは,第2の側面30と第2の側面40が実質的に同一幅であり,しかも,第1の天地面10と第2の側面40の間に余裕代Δが設けられたことによる。ただし,図5に示されるようにカートンの中腹辺りにおいて,左右一対の側面の高さが揃っていなくとも,内側フラップが形成されたカートンの四隅の高さが揃っていれば,カートンの積み上げ強度は向上する。本発明は,上述したとおり,カートンの四隅の高さを実質的に揃えることにより,カートンの積み上げ強度を向上させるものである。
【0054】
(1−4.カートンブランクの寸法例)
ここで,図2に示された形態におけるカートンブランクの寸法の具体例を説明する。例えば,カートンブランク1の紙厚Tは,0.4mmである。また,第1の内側フラップ521の幅Lと,第2の内側フラップ522の幅Rは,共に49mmである。このため,第1の側面30と第2の側面40の幅も49mmとなる。ただし,紙厚Tが0.4mmであるため,第1の内側フラップ521の幅Lと第2の内側フラップ522の幅Rに差がある場合であっても,0.4mm以内であれば,実質的に同一とみなすことができる。また,第2の天地面20(天面)の幅Sの例は,116mmである。このため,第1の天地面10(地面)の幅Iは,115.6〜114.8mmで形成される。
【0055】
なお,図2に示された例においては,第2の内側フラップ522の直交方向における幅F2が,第1の内側フラップ521の直交方向における幅F1よりも,幅狭となるように形成されている。このように,第2の内側フラップ522の直交方向における幅F2が,第1の内側フラップ521の直交方向における幅F1に差を設けることとしてもよい。
【0056】
(2.第2の実施形態)
次に,図6を参照して,本発明に係るカートンの第2の実施形態について説明する。第2の実施形態において,上述した第1の実施形態と同様の点については,上述した構成を採用することができる。
第2の実施形態において,第1の天地面10は,天面である。また,第2の天地面20は,地面である。また,第1の側面30は,右側面である。また,第2の側面40は,左側面である。すなわち,図6の上側から順に,天面,右側面),地面,及び左側面が,一方向に順次連接されている。そして,接合代60が,第1の天地面10(天面)から延設して形成されている。
【0057】
ここで,第2の実施形態において,第1の側面30からは第1の内側フラップ521が延出している。また,第2の側面40から第2の内側フラップ522が延出している。そして,第1の内側フラップ521の幅Lは,第2の内側フラップ522の幅Rと,実質的に同一に形成されている。また,第2の実施形態において,第1の天地面10(天面)の幅(I)は,第2の天地面20(地面)の幅(S)よりも,紙厚Tの値に応じて,T以上2T以下の範囲で幅狭に形成されている。
このように,カートンの天面と地面のどちらを幅狭に形成するかについては,一対の側面や接合代といった他の要素との関係において決定される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は,種々の物品を収納可能なカートンに関する。このため,本発明は,包装材に関する産業において好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 カートンブランク
10 第1の天地面
20 第2の天地面
30 第1の側面
40 第2の側面
50 妻面
51 外側フラップ
511 第1の外側フラップ
512 第2の外側フラップ
52 内側フラップ
521 第1の内側フラップ
522 第2の内側フラップ
53 解体時切離部
54 破断線
60 接合代
71 切込線
72 切取部
73 収納物押上片
81 第1の罫線
82 第2の罫線
83 第3の罫線
84 第4の罫線
100 衛生用紙収納用カートン
I 第1の天地面の幅
S 第2の天地面の幅
L 第1の内側フラップの幅(連接方向)
R 第2の内側フラップの幅(連接方向)
T カートンブランクの紙厚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚のカートンブランク(1)に,第1の天地面(10),第1の側面(30),第2の天地面(20),及び第2の側面(40)が,この順で一方向に連接されており,
前記第1の天地面(10)又は前記第2の側面(40)に,前記第1の天地面(10)と前記第2の側面(40)とを接合するための接合代(60)が延設された
カートンにおいて,
前記第1の側面(30)の両端部には,第1の内側フラップ(521)が,前記第1の側面(30)と同一幅で延設され,
前記第2の側面(40)の両端部には,第2の内側フラップ(522)が,前記第2の側面(40)と同一幅で延設されており,
前記一方向における,前記第1の内側フラップ(521)の幅(L)と前記第2の内側フラップ(522)の幅(R)は,実質的に同一である
カートン。

【請求項2】
前記カートンブランク(1)の紙厚をTとした場合に,
前記一方向における,前記第1の天地面(10)の幅(I)は,前記第2の天地面(20)の幅(S)よりも,T以上3T以下幅狭である
請求項1に記載のカートン。

【請求項3】
前記カートンブランク(1)の紙厚をTとした場合に,
前記一方向における,前記第1の内側フラップ(521)の幅(L)と第2の内側フラップ(522)の幅(R)差は,0以上2T以下である
請求項1又は請求項2に記載のカートン。

【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のカートンであって,
その内部空間に衛生用紙が収納された
衛生用紙収納カートン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−56689(P2013−56689A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195961(P2011−195961)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(312013310)王子ネピア株式会社 (21)
【出願人】(000122298)王子ホールディングス株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】