説明

カート装置

【課題】電子機器を設置可能とするとともに、使用時の安全性が高く、執務者の使い勝手を良好とするカート装置を提供する。
【解決手段】カート装置1は、床面F上を走行可能とされたベース部11と、ベース部11から立設された支持基体21と、支持基体21に支持された天板31と、天板31の後方に設けられ、支持基体21又は天板31に支持された操作ハンドル部41と、支持基体21、天板31又は操作ハンドル部41に設けられるとともに、電子機器Eを支持する電子機器支持部51とを備え、電子機器支持部51は、平面視して、天板31の後方であって操作ハンドル部41より前方且つ操作ハンドル部41の左右方向内方に設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カート装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィス、病院、公共施設等における執務空間においては、執務空間内の様々な場所に移動しながら電子機器を用いて執務を行う場合がある。この場合、カート装置の天板上に電子機器を載置し、執務者がカート装置と共に移動し、随時必要に応じた場所にて執務が行われていた。
【0003】
下記特許文献1に記載の作業台(カート装置と称する。以下同じ。)では、第1の天板の上方に設けられた第2の天板に電子機器を載置することができる。また、第2の天板は、第1の天板を外方から挟持するようにして固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−142278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述のカート装置では、天板上に電子機器を載置するため、天板上に他の物品を載置するスペースが減少し、作業スペースが減少するという問題点があった。
さらに、カート装置が病院等で用いられる際には、天板上に薬品等の液体を置くことが想定される。その際、天板上に直接電子機器を載置する場合には、液体がこぼれてしまうと該電子機器に薬品がかかって電子機器が壊れてしまうという問題点があった。また、カート装置を移動すると、天板上に載置した物品が電子機器と衝突して、電子機器が壊れてしまうという問題点もあった。
【0006】
さらに、前述のカート装置では、第2の天板は、第1の天板を外方から挟持して固定されているが、固定箇所が第一の天板の外側にあるため、限られた空間内で執務する際には邪魔になるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電子機器を設置可能とするとともに、使用時の安全性が高く、執務者の使い勝手を良好とするカート装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係るカート装置は、床面上を走行可能とされたベース部と、該ベース部から立設された支持基体と、該支持基体に支持された天板と、該天板の後方に設けられ、前記支持基体又は前記天板に支持された操作ハンドル部と、前記支持基体、前記天板又は前記操作ハンドル部から上方に向かって設けられるとともに、電子機器を支持する電子機器支持部とを備え、該電子機器支持部は、平面視して、前記天板の後方であって前記操作ハンドル部より前方且つ前記操作ハンドル部の左右方向内方に設けられていることを特徴とする。
【0009】
この構成では、電子機器支持部は、平面視して、天板及び操作ハンドル部で囲まれた空間内に配される。よって、電子機器支持部は、カート装置の外縁から突出することがない。したがって、カート装置を移動させた場合でも、電子機器支持部と人及び物が衝突することがないため、電子機器支持部により人が怪我をしたり、物が破損したり虞がなく、使用時の安全性を高めることができる。
また、執務者は天板の略全面と電子機器を同時に使用することができるため、カート装置の使い勝手を良好とすることができる。
【0010】
また、本発明に係るカート装置は、前記電子機器支持部に支持された前記電子機器は、平面視して前記ベース部の後端より前方に配されていることを特徴とする。
【0011】
この構成では、電子機器支持部に支持された電子機器は、平面視して、ベース部後端より前方に配されているため、カート装置を移動させて壁等に衝突した際でも、ベース部が壁に当たるのみで、電子機器が壁に当たることはない。したがって、電子機器が衝突により破損する虞がないため、使用時の安全性を高めることができる。
【0012】
また、本発明に係るカート装置は、前記電子機器支持部は、前記支持基体、前記天板又は前記操作ハンドル部に対する固定手段として、前記支持基体、前記天板又は前記操作ハンドル部への挟持部を備えていることを特徴とする。
【0013】
この構成では、電子機器支持部に設けられた挟持部を支持基体、天板又は操作ハンドル部に対して固定すればいいので、簡易な構造で電子機器をカート装置に取り付けることができる。また、電子機器を使用しない時は、挟持部を取り外せばよいので、体裁よくカート装置を納めることができる。
【0014】
また、本発明に係るカート装置は、前記操作ハンドル部は、前記支持基体又は前記天板から後方に突設する一対のハンドル取付部と、該ハンドル取付部を連結する把持部とを備え、前記天板の後端、前記一対のハンドル取付部及び前記把持部により形成される後部空間を備えていることを特徴とする。
【0015】
この構成では、天板の後端、一対のハンドル取付部及び把持部により後部空間が形成され、該後部空間に電子機器支持部が配されている。したがって、カート装置を移動させた場合でも、電子機器支持部は、天板、一対のハンドル取付部及び把持部に囲まれており、人及び物と直接衝突することがないため、電子機器が破損する虞がなく、使用時の安全性を高めることができる。
【0016】
また、本発明に係るカート装置は、前記電子機器は、前記後部空間内において、姿勢を変更可能として前記電子機器支持部に支持されていることを特徴とする。
【0017】
この構成では、電子機器の姿勢を変更させた場合でも、該電子機器は後部空間の内部に収容される。したがって、電子機器の姿勢を変更してカート装置を移動させた場合でも、電子機器は、天板、一対のハンドル取付部及び把持部に囲まれており、人及び物と直接衝突することがないため、使用時の安全性を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るカート装置によれば、電子機器を設置可能とするとともに、執務時の安全性に優れ、執務者の使い勝手を良好とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一実施形態に係るカート装置の側面図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係るカート装置の平面図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係るカート装置の正面図である。
【図4】(a)、(b)本発明の第一実施形態に係るカート装置の電子機器支持部の構成を説明する図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係るカート装置の平面図である。
【図6】本発明の第三実施形態に係るカート装置の平面図である。
【図7】本発明の第四実施形態に係るカート装置の平面図である。
【図8】本発明の第五実施形態に係るカート装置の側面図である。
【図9】本発明の第六実施形態に係るカート装置の平面図である。
【図10】本発明の第六実施形態に係るカート装置の電子機器支持部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係るカート装置1は、床面F上を走行可能とされたベース部11と、ベース部11から立設された支持基体21と、支持基体21に支持された天板31と、天板31の後方に設けられた操作ハンドル部41と、天板31に設けられるとともに、電子機器Eを支持する電子機器支持部51と、天板31及び操作ハンドル部41により形成される図2に示す後部空間61とを備えている。
執務者は、電子機器支持部51に支持された電子機器Eを使用可能であるとともに、操作ハンドル部41を把持して操作力を与えることで、床面F上でカート装置1を移動させることが可能となっている。
ここで、執務者が操作ハンドル部41と対向するように位置して操作ハンドル部41を押し引きする方向となる図1の紙面左右方向をカート装置1の前後方向とし、操作ハンドル部41を押す側となる紙面右側をカート装置1の「前側」、操作ハンドル部41を引く側となる紙面左側をカート装置1の「後側」と称する。また、平面視して前後方向と直交する方向となる図2の紙面上下方向をカート装置1の左右方向とし、紙面下側をカート装置1の「右側」、紙面上側をカート装置1の「左側」と称する。
以下、各構成の詳細を説明する。
【0022】
図1及び2に示すように、ベース部11は、床面F上を走行可能な複数のキャスター111と、該キャスター111が設けられた脚杆112、113とを備える。
脚杆112、113は、支持基体21の下端より、前方及び後方であって、それぞれ左右方向に延びる4本の脚杆112、113より構成される。
キャスター111は、各脚杆112、113の先端部の下面に、床面Fに直交する垂直軸周りに旋回可能に設けられている。
【0023】
支持基体21は、ベース部11から上下方向に立設されるとともに筒状の外側支柱121と、該外側支柱121の内部に挿入されている内側支柱122とを備える。
外側支柱121は、ベース部11の前後方向の略中央よりも後方よりであって、左右方向の略中央に設けられている。
内側支柱122は、外側支柱121に対して上下方向に進退可能に設けられている。また、内側支柱122の内部には図示しないガススプリングが設けられており、天板31の下面に設けられた操作レバー131を操作することによりガススプリングの上下方向の高さを伸縮させる。これにより、内側支柱122は外側支柱121に対して相対的に上下方向に移動するとともに、天板31の高さを昇降可能としている。
なお、本実施形態では、支持基体21は伸縮する構造となっているが、一定の高さに固定された構成であってもよい。
【0024】
天板31は、上面が床面と平行な状態となるとともに略矩形状に形成され、支持基体21に支持されている。そして、上面は薬品等の物品が載置可能であり、又はカルテ等の記載が可能な作業台として使用することができる。
【0025】
操作ハンドル部41は、天板31の後部であって、左右両側から後方に突設された一対のハンドル取付部141を介して、天板31に取り付けられている。
【0026】
図1及び図3に示すように、電子機器支持部51は、天板31の後部であって、左右方向の略中央に設けられた天板延設部151と、該天板延設部151の後部から上方に立設された支持軸152と、該支持軸152の上部に設けられた第一ヒンジ部153と、支持軸152の下部に設けられた第二ヒンジ部154と、電子機器Eを取り付ける電子機器取付部155とを備える。
【0027】
天板延設部151は、支持軸152の下端から下方に延びて、当該下端から天板31の下面に沿って前方へ延設されている。また、天板延設部151は、ビス等により天板31に固定されている。
【0028】
支持軸152は、天板延設部151の後部より上方に立設されるとともに、上部には電子機器取付部155が設けられている。
【0029】
図4(a)に示すように、第一ヒンジ部153は、支持軸152の上部に設けられるとともに、左右方向に沿う軸Pを中心に電子機器Eを公知の支持構造によって回動可能としている。よって、左右方向に沿う軸Pを中心に電子機器Eを回動させると、電子機器Eの表面Tを上方に向ける位置Gの状態とすることができる。
また、図1に示すように、第一ヒンジ部153により、電子機器Eの表面Tを上方に向けた状態で、平面視して、電子機器Eは脚杆113に設けられたキャスター111の後端部よりも前方に配されている。
【0030】
図4(a)、(b)に示すように、第二ヒンジ部154は、支持軸152の下部に設けられるとともに、左右方向に沿う軸R及び上下方向に沿う軸Qを中心に電子機器Eを公知の支持構造によって回動可能としている。よって、左右方向に沿う軸Rを中心に電子機器Eを回動させると、電子機器Eの表面Tを上方に向ける位置Iの状態とすることができる。また、上下方向に沿う軸Qを中心に電子機器Eを回動させると、電子機器Eの表面Tを前方に向ける位置Hの状態とすることができる。また、第二ヒンジ部154は軸R及び軸Qの二軸を中心に電子機器Eを回動可能としてるため、電子機器Eを斜めに配置することが可能となり、平面視における電子機器Eの配置の自由度を高めることができる。
【0031】
電子機器取付部155は、支持軸152の上部に設けられるとともに、電子機器Eの裏面Bを着脱可能に支持している
【0032】
図2に示すように、後部空間61は、天板31の後端、一対のハンドル取付部141及び操作ハンドル部41により形成された、平面視して略矩形状の空間である。ここで、支持軸152は、後部空間61の内部に配されている。
【0033】
このように構成されたカート装置1では、電子機器支持部51は、平面視して、天板31、操作ハンドル部41及び一対のハンドル取付部141で囲まれた後部空間61の内部に配される。よって、電子機器支持部51はカート装置1の外縁から突出することがない。したがって、カート装置1を移動させた場合でも、電子機器支持部51と人及び物が衝突することがないため、電子機器支持部51により人が怪我をしたり、物が破損したり虞がなく、使用時の安全性を高めることができる。
また、電子機器支持部51に支持された電子機器Eは、平面視して、脚杆113に設けられたキャスター111の後端部よりも前方に配されているため、カート装置1を移動させて壁等に衝突した際でも、キャスター111が壁に当たるのみで、電子機器Eが壁に当たることはない。したがって、電子機器Eが衝突により破損する虞がないため、使用時の安全性を高めることができる。
また、電子機器支持部51の第一ヒンジ部153により、電子機器Eの表面Tを上方に向けるまで位置Gに回動させた場合でも、電子機器Eが後部空間61の内部に配される。したがって、カート装置1を移動させた場合でも、電子機器Eと人及び物が衝突することがないため、電子機器Eが破損する虞がなく、使用時の安全性を高めることができる。
さらに、天板31の上に載置した薬品等の液体がこぼれた場合でも、電子機器Eは電子機器支持部51により天板31の上方に設けられているため、電子機器Eに液体がかかる虞がなく、使用時の安全性を高めることができる。
【0034】
また、電子機器Eは、電子機器支持部51により、天板31の上方に設けられている。よって、天板31の全面と電子機器Eを同時に使用することができ、電子機器Eの表面T(画面)を見ながら、天板31上で別の作業をすることができる。ここで、電子機器Eは第一ヒンジ部153により回動可能である。よって、例えば、執務者がカート装置1の後方に立ち電子機器Eの表面を後方に向けた位置の状態、又はカート装置1の前方に立ち電子機器Eの表面を前方に向けた位置Hの状態で、執務をすることができる。したがって、執務者にとっての使い勝手を良好とすることができる。
【0035】
また、電子機器取付部155は電子機器Eを着脱可能に支持しているので、電子機器Eを使用しない場合は、電子機器Eを電子機器取付部155から取り外すことができる。よって、電子機器Eを使用しない場合は、電子機器Eを電子機器取付部155から取り外すとともに、第二ヒンジ部154は、支持軸152を天板31の上面に沿わせる位置Iの状態まで回動させることができる。したがって、体裁よく電子機器支持部51を天板31の上方に納めることができる。
【0036】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態に係るカート装置1Sについて説明する。
この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0037】
第一実施形態では、電子機器支持部51は天板31に設けられていた。一方、本実施形態においては、図5に示すように、電子機器支持部51Sは、操作ハンドル部41の一対のハンドル取付部141を左右方向に連結する連結部151Sに設けられている。
連結部151Sは、一対のハンドル取付部141の中途部分を、左右方向に互いに連結している。
【0038】
このように構成されたカート装置1Sでは、執務時に、天板31と電子機器Eを上下方向及び前後後方において確実に離隔させて使用することができるので、天板31上に載置した薬品等の液体がこぼれた場合であっても、電子機器Eに液体がかかる虞がなく、使用時の安全性を高めることができる。
【0039】
(第三実施形態)
以下、本発明の第三実施形態に係るカート装置1Tについて説明する。
この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0040】
第一実施形態では、電子機器支持部51は天板31に設けられていた。一方、本実施形態においては、図6に示すように、電子機器支持部51Tは、操作ハンドル部41から延設されたハンドル延設部151Tに設けられている。
ハンドル延設部151Tは、操作ハンドル部41の左右方向の略中央から前方に向かって延設されるとともに、操作ハンドル部41とビス等により固定されている。ここで、ハンドル延設部151Tの前部は、平面視して、操作ハンドル部41より前方であって、天板31より後方の位置に設けられている。
【0041】
このように構成されたカート装置1Tでは、執務時に、天板31と電子機器Eを上下方向及び前後後方において確実に離隔させて使用することができるので、天板31上に載置した薬品等の液体がこぼれた場合であっても、電子機器Eに液体がかかる虞がなく、使用時の安全性を高めることができる。
【0042】
(第四実施形態)
以下、本発明の第四実施形態に係るカート装置1Uについて説明する。
この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0043】
第一実施形態では、電子機器支持部51は天板31に設けられていた。一方、本実施形態においては、図7に示すように、電子機器支持部51Uは、操作ハンドル部41Uに設けられたハンドル突設部141Uに設けられている。
操作ハンドル部41Uは、天板31の後部の左右方向の略中央から後方に突設するハンドル突設部141Uを介して天板31と固定されている。また、操作ハンドル部41Uの左右方向の長さは、天板31の左右方向の長さと略同一である。
電子機器支持部51Uのハンドル固定部151Uは、ハンドル突設部141Uに設けられ、該ハンドル突設部141Uとビス等により固定されている。
【0044】
また、第一実施形態では、後部空間61は、天板31の後端、操作ハンドル部41及び一対のハンドル取付部141により形成された、平面視して略矩形状の空間であった。一方、本実施形態では、後部空間61Uは、平面視して天板31の後端と操作ハンドル部41との間に形成された空間である。
【0045】
このように構成されたカート装置1Uでは、執務時に、天板31と電子機器Eを上下方向及び前後後方において確実に離隔させて使用することができるので、天板31上に載置した薬品等の液体がこぼれた場合であっても、電子機器Eに液体がかかる虞がなく、使用時の安全性を高めることができる。
【0046】
(第五実施形態)
以下、本発明の第五実施形態に係るカート装置1Vについて説明する。
この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0047】
第一実施形態では、操作ハンドル部41は天板31に設けられていた。一方、本実施形態においては、図8に示すように、操作ハンドル部41Vは、支持基体21に設けられている。
操作ハンドル部41Vは、外側支柱121の後部から後方に突設されたハンドル突設部141Vを介して、支持基体21に設けられている。
ハンドル突設部141Vは、外側支柱121の後部から略水平状態で後方に向かう第一ハンドル突設部143Vと、該第一ハンドル突設部143Vの後部より後方に向かうにしたがい上方に形成された第二ハンドル突設部144Vとを備える。
操作ハンドル部41Vは、第二ハンドル突設部144Vの後部に設けられ、該第二ハンドル突設部144Vを中心として左右方向に延設されている。また、操作ハンドル部41Vの左右方向の長さは、天板31の左右方向の長さと略同一である。
【0048】
また、第一実施形態では、後部空間61は、天板31の後端、操作ハンドル部41及び一対のハンドル取付部141により形成された、平面視して略矩形状の空間であった。一方、本実施形態では、後部空間61Vは、平面視して天板31の後端と操作ハンドル部41との間に形成された空間である。
【0049】
このように構成されたカート装置1Vでは、執務時に、天板31と電子機器Eを上下方向及び前後後方において確実に離隔させて使用することができるとともに、支持基体21を上下方向に移動して天板31の高さを昇降した場合でも、操作ハンドル部41Vの高さは一定としてカート装置1Vを移動させることができる。
【0050】
(第六実施形態)
以下、本発明の第六実施形態に係るカート装置1Wについて説明する。
この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0051】
第一実施形態では、電子機器支持部51は、天板延設部151により天板31に固定されていた。一方、本実施形態においては、図9及び図10に示すように、電子機器支持部51Wは、挟持部156W及び締付手段151Wにより天板31に固定されている。
挟持部156Wは、側面視して略コの字状に形成され、天板31の後端を上下方向に挟持している。
締付手段151Wは、下方側の挟持部156Wの下面から天板31に対して、上向きの力を加えることにより、挟持部156Wで上下方向から天板31を締め付けて固定している。また、締付手段151Wは、ネジ孔157Wを貫通するネジ158Wと、該ネジ158Wの先端に設けられたネジ受け159Wとを備える。
ネジ158Wは、下方側の挟持部156Wを上下方向に貫通するネジ孔157Wの内部に下方から挿入されるとともに、該上端はネジ受け159Wに当接している。
ネジ受け159Wは、天板31の下面に面して設けられるとともに、ネジ158Wにより上向きの力が加えられている。
一方、締付手段151Wによる締め付けを解除する場合には、ネジ158Wを回して、ネジ受け159Wに対して上向きの力を加えないようにすればよい。
【0052】
このように構成されたカート装置1Wでは、電子機器支持部51Wは、天板31に対して固定すればよいので、簡易な構造で電子機器Eをカート装置1Wに取り付けることができる。また、電子機器Eを使用しない時は、締付手段151Wによる締め付けを解除することにより、挟持部156Wを天板31から取り外せばよいので、体裁よくカート装置1Wを納めることができる。
なお、本実施形態では、挟持部156Wは、天板31を挟持する構成としているが、天板31に限られず、支持基体21又は操作ハンドル部41を挟持する構成としてもよい。
【0053】
なお、上述の実施の形態以外にも、電子機器支持部51は、支持基体21に設けられていてもよい。
また、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0054】
1、1S、1T、1U、1V、1W…カート装置
11…ベース部
21…支持基体
31…天板
41、41U、41V…操作ハンドル部
51、51S、51T、51U、51W…電子機器支持部
61、61U、61V…後部空間
156W…挟持部
E…電子機器
F…床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上を走行可能とされたベース部と、
該ベース部から立設された支持基体と、
該支持基体に支持された天板と、
該天板の後方に設けられ、前記支持基体又は前記天板に支持された操作ハンドル部と、
前記支持基体、前記天板又は前記操作ハンドル部から上方に向かって設けられるとともに、電子機器を支持する電子機器支持部とを備え、
該電子機器支持部は、平面視して、前記天板の後方であって前記操作ハンドル部より前方且つ前記操作ハンドル部の左右方向内方に設けられていることを特徴とするカート装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカート装置において、
前記電子機器支持部に支持された前記電子機器は、平面視して前記ベース部の後端より前方に配されていることを特徴とするカート装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のカート装置において、
前記電子機器支持部は、前記支持基体、前記天板又は前記操作ハンドル部に対する固定手段として、前記支持基体、前記天板又は前記操作ハンドル部への挟持部を備えていることを特徴とするカート装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のカート装置において、
前記操作ハンドル部は、前記支持基体又は前記天板から後方に突設する一対のハンドル取付部と、該ハンドル取付部を連結する把持部とを備え、
前記天板の後端、前記一対のハンドル取付部及び前記把持部により形成される後部空間を備えていることを特徴とするカート装置。
【請求項5】
請求項4に記載のカート装置において、
前記電子機器は、前記後部空間内において、姿勢を変更可能として前記電子機器支持部に支持されていることを特徴とするカート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−17706(P2013−17706A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154286(P2011−154286)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】