カードアダプタ及び電子装置
【課題】カードを抜く際に拡張カードスロットから抜け出ることを抑止できるカードアダプタ及びそのカードアダプタを備えた電子装置を提供する。
【解決手段】カードアダプタ30は、情報が書き込まれたカードから情報を読み取る読取装置のスロット内に配置される。このカードアダプタ30には、カードが挿入されるスリット34と、カードアダプタ30の外面からスリット34に到達する開口部32xと、開口部32x内に配置されてカードアダプタ30の厚み方向に移動可能な抜け防止部材40とを有する。抜け防止部材40は、スリット34内にカードを挿入するとカードアダプタ30の厚み方向に移動して、その一部がカードアダプタ30の外面から突出する。カードアダプタ30からカードを抜くときには、その突出部分が読取装置の筺体内側の壁面に当接し、カードアダプタ30が拡張カードスロットから抜けることが抑止される。
【解決手段】カードアダプタ30は、情報が書き込まれたカードから情報を読み取る読取装置のスロット内に配置される。このカードアダプタ30には、カードが挿入されるスリット34と、カードアダプタ30の外面からスリット34に到達する開口部32xと、開口部32x内に配置されてカードアダプタ30の厚み方向に移動可能な抜け防止部材40とを有する。抜け防止部材40は、スリット34内にカードを挿入するとカードアダプタ30の厚み方向に移動して、その一部がカードアダプタ30の外面から突出する。カードアダプタ30からカードを抜くときには、その突出部分が読取装置の筺体内側の壁面に当接し、カードアダプタ30が拡張カードスロットから抜けることが抑止される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
情報が記録されたカードと、カードから情報を読み取る装置との間に介在するカードアダプタ、及びそのカードアダプタを備えた電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICチップを組み込んだスマートカードが広く使用されるようになった。スマートカードは個人認証用のID(Identification)カードとしても使用可能である。そこで、スマートカードを利用して、パソコンの不正使用を防止することが提案されている。
【0003】
一方、パソコンの多くにはPCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)により規格化されたPCMCIAカード又はEXPRESSカードを挿入するための拡張カードスロットを有するものが多い。この拡張カードスロットを使用してスマートカードの情報を読み取るためには、PCMCIAカード規格又はEXPRESSカード規格に適合したカードアダプタが必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−27984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カードを抜く際に拡張カードスロットから抜け出ることを抑止できるカードアダプタ及びそのカードアダプタを備えた電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の一観点によれば、情報が書き込まれたカードと電子装置とを電気的に接続するカードアダプタであって、アダプタ本体と、前記アダプタ本体に設けられて前記カードが挿入されるスリットと、前記アダプタ本体の外面から前記スリットに到達する開口部と、前記開口部内に配置されて前記アダプタ本体の厚み方向に移動可能な抜け防止部材と、を有し、前記抜け防止部材は、前記スリット内に前記カードを挿入すると前記カードに接触して前記アダプタ本体の厚み方向に押し上げられ、その一部が前記アダプタ本体の外面から突出するカードアダプタが提供される。
【0007】
開示の技術の他の一観点によれば、スロットを有する筺体と、前記スロット内に装着され、情報が書き込まれたカードと電子装置とを電気的に接続するカードアダプタと、を備え、前記カードアダプタは、アダプタ本体と、前記アダプタ本体に設けられて前記カードが挿入されるスリットと、前記アダプタ本体の外面から前記スリットに到達する開口部と、前記開口部内に配置されて前記アダプタ本体の厚み方向に移動可能な抜け防止部材と、を有し、前記抜け防止部材は、前記スリット内に前記カードを挿入すると前記カードに接触して前記アダプタ本体の厚み方向に押し上げられ、その一部が前記アダプタ本体の外面から突出して前記筺体の内壁面に当接する電子装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
上記一観点に係るカードアダプタにおいて、アダプタ本体のスリットにカードを挿入すると、抜け防止部材の一部がアダプタ本体の外側に突出する。この突出した部分が筺体内壁面に当接し、カードを抜き取る際にアダプタ本体が筺体から抜けてしまうことを抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、カードアダプタの一例を表した模式図である。
【図2】図2(a)はパソコンの斜視図、図2(b)は同じくそのパソコンに設けられた拡張カードスロットの模式的断面図である。
【図3】図3(a)は実施形態に係るカードアダプタの斜視図、図3(b)は同じくそのカードアダプタの抜け防止部材の斜視図である。
【図4】図4(a)は実施形態に係るカードアダプタの上面図、図4(b)は同じくそのI−I線の位置における断面図である。
【図5】図5は、カードアダプタの内部に設けられてスマートカードの端子と接続する接続ピンを表した図である。
【図6】図6は、スマートカードの一例を表した平面図である。
【図7】図7は、スマートカードを挿入するときのカードアダプタの動作を説明する模式的断面図(その1)である。
【図8】図8は、スマートカードを挿入するときのカードアダプタの動作を説明する模式的断面図(その2)である。
【図9】図9は、スマートカードを挿入するときのカードアダプタの動作を説明する模式的断面図(その3)である。
【図10】図10は、スマートカードを挿入するときのカードアダプタの動作を説明する模式的断面図(その4)である。
【図11】図11は、外付けの拡張装置の一例を表した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について説明する前に、実施形態の理解を容易にするための予備的事項について説明する。
【0011】
図1は、カードアダプタの一例を表した模式図である。ここでは、パソコンの不正使用を防止するためにスマートカードを使用する例について説明する。
【0012】
図1に例示したパソコン100には、PCMCIAカードを挿入するための拡張カードスロット300が設けられている。このパソコン100でスマートカード200を使用する場合は、PCMCIAカード規格のカードアダプタ400を使用する。
【0013】
つまり、パソコン100の拡張カードスロット300にカードアダプタ400を挿入して、パソコン100とカードアダプタ400とを電気的に接続する。その後、スマートカード200をカードアダプタ400のスリット400a内に挿入する。これにより、スマートカード200がカードアダプタ400を介してパソコン100に電気的に接続され、パソコン100からスマートカード200に駆動用電力が供給されるとともに、パソコン100からスマートカード200にアクセスが可能になる。
【0014】
なお、スマートカード200には、個人認証用のID情報が書き込まれているものとする。また、パソコン100には、パソコン100の使用が許可された1又は複数人のID情報が登録されているものとする。
【0015】
上述したようにパソコン100に装着したカードアダプタ400にスマートカード200を挿入すると、パソコン100はスマートカード200からID情報を読み出し、そのID情報が予め登録されているか否かを判定する。スマートカード200に書き込まれているID情報が予めパソコン100に登録されている場合のみ、パソコン100の使用が可能になる。
【0016】
ところで、ユーザは、パソコン100の使用が終了すると、スマートカード200をカードアダプタ400から抜き取る。このとき、スマートカード200とともにカードアダプタ400が拡張カードスロット300から抜けてしまうことがある。パソコン100が稼動中にカードアダプタ400が抜けてしまうと、その後のパソコン100の動作が不安定になったり、動作が停止(ハングアップ)したり、極端な場合にはパソコン100の故障の原因となることもある。
【0017】
パソコンによっては、PCMCIAカードスロットの替わりにEXPRESSカードスロットを有するものもある。EXPRESSカードは、PCMCIAカードよりもコネクタ部の横幅が狭く芯数も少ない。このため、EXPRESSカード規格のカードアダプタを使用した場合は、PCMCIAカード規格のカードアダプタに比べて拡張カードスロットからカードアダプタがより一層抜けやすい。
【0018】
(実施の形態)
図2(a)はパソコンの斜視図、図2(b)は同じくそのパソコンに設けられた拡張カードスロットの模式的断面図である。また、図3(a)は実施形態に係るカードアダプタの斜視図、図3(b)は同じくそのカードアダプタの抜け防止部材の斜視図である。
【0019】
更に、図4(a)は実施形態に係るカードアダプタの上面図、図4(b)は同じくそのI−I線の位置における断面図である。更にまた、図5は、カードアダプタの内部に設けられてスマートカードの端子と接続する接続ピンを表した図である。なお、図5では、カードアダプタの上側部分を切り取った状態を示している。更にまた、図6は、スマートカードの一例を表した平面図である。
【0020】
図2(a)のように、パソコン10は、キーボードなどを有するパソコン本体部12と液晶ディスプレイなどの表示部14とを備えている。このパソコン10の本体部12の側面には、PCMCIAカード等を挿入するための拡張カードスロット20が設けられている。
【0021】
図2(b)のように、拡張カードスロット20内には、上部仕切り板18a及び下部仕切り板18bが設けられており、これらの上部仕切り板18a及び下部仕切り板18bの間にPCMCIAカードが挿入される。
【0022】
拡張カードスロット20の奥には複数のピン(図示せず)が配列されたピン接続部20cが設けられている。このピン接続部20cには、後述するカードアダプタ30のコネクタ30sが接続される。また、上部仕切り板18aの入口側には、後述するカードアダプタ30の抜け防止部材40に係合する開口部18xが設けられている。
【0023】
カードアダプタ30はPCMCIAカード規格に準拠しており、図3,図4のように、スマートカード50が挿入されるスリット34が設けられている。また、カードアダプタ30には、拡張カードスロット20内のピン接続部20cに接続される複数の端子が配列されたコネクタ30sが設けられている。
【0024】
以下、カードアダプタ30のスリット34よりも上側を上側部材32aと呼び、下側を下側部材32bと呼ぶ。また、カードアダプタ30を拡張カードスロット20に挿入するときの挿入方向の前側(コネクタ30sが配置された側)を先端側、その反対側を後端側と呼ぶ。
【0025】
カードアダプタ30の下部部材32bには、図5のように、スマートカード50の電極51(図6参照)に電気的に接触する電極接続部30eが設けられている。
【0026】
図3,図4のように、カードアダプタ30の上部部材32aの後端側には、上部部材32aの上面からスリット34に到達する開口部32xが設けられている。そして、この開口部32x内には、抜け防止部材40が上下方向に移動可能に配置されている。
【0027】
抜け防止部材40は、図3(b)のように、断面がほぼ平行四辺形形状の部材であり、その傾斜面を上及び下にして配置される。また、抜け防止部材40の上部及び下部は面取りされて平坦になっている。
【0028】
更に、抜け防止部材40の幅方向の両側には、側方に突出する支持部40aが設けられている。この支持部40aが開口部32xの壁面に設けられたガイド溝32yに係合し、抜け防止部材40が上下方向に移動しても開口部32xから外れないようになっている。
【0029】
以下、図3(b)のように、抜け防止部材40の下側の平坦面を下端面H1、上側の平坦面を上端面H2、下側の傾斜面を傾斜面L1と呼ぶ。
【0030】
図4(b)のように、スマートカード50が挿入されていない状態では、抜け防止部材40が自重により下方に位置し、下端面H1が下部部材32bに当接している。また、抜け防止部材40の上端面H2は、スマートカード50が挿入されていない状態では、カードアダプタ30の上部部材32aの上面と同一平面上又はそれよりも若干下方に位置している。更に、抜け防止部材40の傾斜面L1は、外側(スロット入口側)に向いている。
【0031】
図7〜図10は、スマートカード50を挿入するときのカードアダプタ30の動作を説明する模式的断面図である。ここでは、初期状態において、図7のようにパソコン10の本体部12の側面に設けられた拡張カードスロット内20にカードアダプタ30が装着されているものとする。
【0032】
スマートカード50をカードアダプタ30に挿入する前は、重力により抜け防止部材40が開口部32xの下側に位置している。そして、前述したように、抜け防止部材40の下端面H1は下部部材32bに当接し、上端面H2はカードアダプタ30の上面(上部部材32aの上面)と同一平面上又はそれよりも若干下方に位置している。すなわち、カードアダプタ30に挿入する前は、抜け防止部材40の上端面H2がカードアダプタ30の上面から突出しない。
【0033】
カードアダプタ30のスリット34内にスマートカード50を挿入すると、スマートカード50の先端が抜け防止部材40の傾斜面L1に当接する。そして、更にスマートカード50をカードアダプタ30の奥に挿入すると、スマートカード50が抜け防止部材40を押し上げる。その結果、図8のように、抜け防止部材40の先端部分がスマートカード50の表面と接触し、スマートカード50の厚さ分(約0.8mm)だけ上昇する。これにより、抜け防止部材40の上端面H2はカードアダプタ30の上面よりも若干突出する。
【0034】
次に、図9のようにスマートカード50をカードアダプタ30の奥まで挿入すると、スマートカード30の電極51とカードアダプタ30の電極接続部30eとが電気的に接続される(図5,図6参照)。
【0035】
その後、パソコン10によりスマートカード50のICチップに書き込まれたID情報が読み出され、予めパソコン10に登録されたID情報と照合される。そして、スマートカード50に書き込まれているID情報がパソコン10内に登録されている場合は、パソコン10の使用が可能になる。
【0036】
パソコン10の使用が終了すると、ユーザはスマートカード50をカードアダプタ30から引き抜く。このとき、カードアダプタ30にも外側に移動する方向の力が加わるが、本実施形態では図10のように抜け防止部材40の上端部分がパソコン本体部12の筺体の内側壁面に当接する。スマートカード50はその表面と抜け防止部材40の先端部分を摺りながら移動できる。この間、抜け防止部材40の上端部分がパソコン本体部12の筺体の内側壁面に当接する位置にあり、スマートカード50を引き抜く際に、カードアダプタ30が拡張カードスロット20から併せて抜けてしまうことが抑止できる。
【0037】
スマートカード30をカードアダプタ30から完全に抜き去ると、抜け防止部材40は重力により下降し、図7の状態に戻る。
【0038】
上述したように、本実施形態では、スマートカード50をカードアダプタ30のスリット34内に挿入すると、抜け防止部材40の上端部がカードアダプタ30の上面よりも上方に突出する。そして、スマートカード50を抜くときにカードアダプタ30に外側に移動する方向の力が加えられても、抜け防止部材40の上端部がパソコン10の筺体内側壁面に当接し、カードアダプタ30が抜けてしまうことを抑止できる。
【0039】
これにより、パソコン10の稼動中にカードアダプタ30が非意図的に抜けてしまうことに起因するパソコン10の動作不安定、動作停止(ハングアップ)、及び故障の発生を回避することができる。
【0040】
なお、上述の実施形態では、パソコン10の本体部12にPCMCIAカード用拡張カードスロット20が設けられている場合について説明したが、パソコン10に外付けの拡張装置にカードスロットが設けられている場合に適用することもできる。
【0041】
図11は、外付けの拡張装置の一例を表した模式図である。図11において、図2と同一物には同一符号を付している。
【0042】
この図11に例示したパソコン10は、USB接続端子16を介して外付けの拡張装置22に接続される。拡張装置22は、PCMCIAカードが挿入される拡張カードスロット22aを有している。拡張カードスロット22a内の構造は、上述の実施形態と基本的に同じ(図2(b)参照)であるので、ここではその説明を省略する。
【0043】
この外付け拡張装置22の拡張カードスロット22a内に図3に例示するカードアダプタ30を挿入し、カードアダプタ30のスリット34内にスマートカードを挿入すると、スマートカードに書き込まれた情報をパソコン10で読み出すことが可能になる。
【0044】
上述の実施形態ではPCMCIA規格のカードアダプタについて説明したが、開示した技術はPCMCIAカード規格のカードアダプタに限定されるものではない。開示した技術は、情報が記録されたカードとそのカードから情報を読み取る装置との間に介在する種々のカードアダプタに適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
10,100…パソコン、12…パソコン本体部、14…表示部、18a…上部仕切り板、18b…下部仕切り板、18x…開口部、20,22a,300…拡張カードスロット、20c…ピン接続部、22…外付け拡張装置、30,400…カードアダプタ、30s…コネクタ、30e…電極接続部、32a…上側部材、32b…下側部材、32x…開口部、32y…ガイド溝、34,400a…スリット、40…抜け防止部材、40a…支持部、50,200…スマートカード。
【技術分野】
【0001】
情報が記録されたカードと、カードから情報を読み取る装置との間に介在するカードアダプタ、及びそのカードアダプタを備えた電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICチップを組み込んだスマートカードが広く使用されるようになった。スマートカードは個人認証用のID(Identification)カードとしても使用可能である。そこで、スマートカードを利用して、パソコンの不正使用を防止することが提案されている。
【0003】
一方、パソコンの多くにはPCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)により規格化されたPCMCIAカード又はEXPRESSカードを挿入するための拡張カードスロットを有するものが多い。この拡張カードスロットを使用してスマートカードの情報を読み取るためには、PCMCIAカード規格又はEXPRESSカード規格に適合したカードアダプタが必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−27984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カードを抜く際に拡張カードスロットから抜け出ることを抑止できるカードアダプタ及びそのカードアダプタを備えた電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の一観点によれば、情報が書き込まれたカードと電子装置とを電気的に接続するカードアダプタであって、アダプタ本体と、前記アダプタ本体に設けられて前記カードが挿入されるスリットと、前記アダプタ本体の外面から前記スリットに到達する開口部と、前記開口部内に配置されて前記アダプタ本体の厚み方向に移動可能な抜け防止部材と、を有し、前記抜け防止部材は、前記スリット内に前記カードを挿入すると前記カードに接触して前記アダプタ本体の厚み方向に押し上げられ、その一部が前記アダプタ本体の外面から突出するカードアダプタが提供される。
【0007】
開示の技術の他の一観点によれば、スロットを有する筺体と、前記スロット内に装着され、情報が書き込まれたカードと電子装置とを電気的に接続するカードアダプタと、を備え、前記カードアダプタは、アダプタ本体と、前記アダプタ本体に設けられて前記カードが挿入されるスリットと、前記アダプタ本体の外面から前記スリットに到達する開口部と、前記開口部内に配置されて前記アダプタ本体の厚み方向に移動可能な抜け防止部材と、を有し、前記抜け防止部材は、前記スリット内に前記カードを挿入すると前記カードに接触して前記アダプタ本体の厚み方向に押し上げられ、その一部が前記アダプタ本体の外面から突出して前記筺体の内壁面に当接する電子装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
上記一観点に係るカードアダプタにおいて、アダプタ本体のスリットにカードを挿入すると、抜け防止部材の一部がアダプタ本体の外側に突出する。この突出した部分が筺体内壁面に当接し、カードを抜き取る際にアダプタ本体が筺体から抜けてしまうことを抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、カードアダプタの一例を表した模式図である。
【図2】図2(a)はパソコンの斜視図、図2(b)は同じくそのパソコンに設けられた拡張カードスロットの模式的断面図である。
【図3】図3(a)は実施形態に係るカードアダプタの斜視図、図3(b)は同じくそのカードアダプタの抜け防止部材の斜視図である。
【図4】図4(a)は実施形態に係るカードアダプタの上面図、図4(b)は同じくそのI−I線の位置における断面図である。
【図5】図5は、カードアダプタの内部に設けられてスマートカードの端子と接続する接続ピンを表した図である。
【図6】図6は、スマートカードの一例を表した平面図である。
【図7】図7は、スマートカードを挿入するときのカードアダプタの動作を説明する模式的断面図(その1)である。
【図8】図8は、スマートカードを挿入するときのカードアダプタの動作を説明する模式的断面図(その2)である。
【図9】図9は、スマートカードを挿入するときのカードアダプタの動作を説明する模式的断面図(その3)である。
【図10】図10は、スマートカードを挿入するときのカードアダプタの動作を説明する模式的断面図(その4)である。
【図11】図11は、外付けの拡張装置の一例を表した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について説明する前に、実施形態の理解を容易にするための予備的事項について説明する。
【0011】
図1は、カードアダプタの一例を表した模式図である。ここでは、パソコンの不正使用を防止するためにスマートカードを使用する例について説明する。
【0012】
図1に例示したパソコン100には、PCMCIAカードを挿入するための拡張カードスロット300が設けられている。このパソコン100でスマートカード200を使用する場合は、PCMCIAカード規格のカードアダプタ400を使用する。
【0013】
つまり、パソコン100の拡張カードスロット300にカードアダプタ400を挿入して、パソコン100とカードアダプタ400とを電気的に接続する。その後、スマートカード200をカードアダプタ400のスリット400a内に挿入する。これにより、スマートカード200がカードアダプタ400を介してパソコン100に電気的に接続され、パソコン100からスマートカード200に駆動用電力が供給されるとともに、パソコン100からスマートカード200にアクセスが可能になる。
【0014】
なお、スマートカード200には、個人認証用のID情報が書き込まれているものとする。また、パソコン100には、パソコン100の使用が許可された1又は複数人のID情報が登録されているものとする。
【0015】
上述したようにパソコン100に装着したカードアダプタ400にスマートカード200を挿入すると、パソコン100はスマートカード200からID情報を読み出し、そのID情報が予め登録されているか否かを判定する。スマートカード200に書き込まれているID情報が予めパソコン100に登録されている場合のみ、パソコン100の使用が可能になる。
【0016】
ところで、ユーザは、パソコン100の使用が終了すると、スマートカード200をカードアダプタ400から抜き取る。このとき、スマートカード200とともにカードアダプタ400が拡張カードスロット300から抜けてしまうことがある。パソコン100が稼動中にカードアダプタ400が抜けてしまうと、その後のパソコン100の動作が不安定になったり、動作が停止(ハングアップ)したり、極端な場合にはパソコン100の故障の原因となることもある。
【0017】
パソコンによっては、PCMCIAカードスロットの替わりにEXPRESSカードスロットを有するものもある。EXPRESSカードは、PCMCIAカードよりもコネクタ部の横幅が狭く芯数も少ない。このため、EXPRESSカード規格のカードアダプタを使用した場合は、PCMCIAカード規格のカードアダプタに比べて拡張カードスロットからカードアダプタがより一層抜けやすい。
【0018】
(実施の形態)
図2(a)はパソコンの斜視図、図2(b)は同じくそのパソコンに設けられた拡張カードスロットの模式的断面図である。また、図3(a)は実施形態に係るカードアダプタの斜視図、図3(b)は同じくそのカードアダプタの抜け防止部材の斜視図である。
【0019】
更に、図4(a)は実施形態に係るカードアダプタの上面図、図4(b)は同じくそのI−I線の位置における断面図である。更にまた、図5は、カードアダプタの内部に設けられてスマートカードの端子と接続する接続ピンを表した図である。なお、図5では、カードアダプタの上側部分を切り取った状態を示している。更にまた、図6は、スマートカードの一例を表した平面図である。
【0020】
図2(a)のように、パソコン10は、キーボードなどを有するパソコン本体部12と液晶ディスプレイなどの表示部14とを備えている。このパソコン10の本体部12の側面には、PCMCIAカード等を挿入するための拡張カードスロット20が設けられている。
【0021】
図2(b)のように、拡張カードスロット20内には、上部仕切り板18a及び下部仕切り板18bが設けられており、これらの上部仕切り板18a及び下部仕切り板18bの間にPCMCIAカードが挿入される。
【0022】
拡張カードスロット20の奥には複数のピン(図示せず)が配列されたピン接続部20cが設けられている。このピン接続部20cには、後述するカードアダプタ30のコネクタ30sが接続される。また、上部仕切り板18aの入口側には、後述するカードアダプタ30の抜け防止部材40に係合する開口部18xが設けられている。
【0023】
カードアダプタ30はPCMCIAカード規格に準拠しており、図3,図4のように、スマートカード50が挿入されるスリット34が設けられている。また、カードアダプタ30には、拡張カードスロット20内のピン接続部20cに接続される複数の端子が配列されたコネクタ30sが設けられている。
【0024】
以下、カードアダプタ30のスリット34よりも上側を上側部材32aと呼び、下側を下側部材32bと呼ぶ。また、カードアダプタ30を拡張カードスロット20に挿入するときの挿入方向の前側(コネクタ30sが配置された側)を先端側、その反対側を後端側と呼ぶ。
【0025】
カードアダプタ30の下部部材32bには、図5のように、スマートカード50の電極51(図6参照)に電気的に接触する電極接続部30eが設けられている。
【0026】
図3,図4のように、カードアダプタ30の上部部材32aの後端側には、上部部材32aの上面からスリット34に到達する開口部32xが設けられている。そして、この開口部32x内には、抜け防止部材40が上下方向に移動可能に配置されている。
【0027】
抜け防止部材40は、図3(b)のように、断面がほぼ平行四辺形形状の部材であり、その傾斜面を上及び下にして配置される。また、抜け防止部材40の上部及び下部は面取りされて平坦になっている。
【0028】
更に、抜け防止部材40の幅方向の両側には、側方に突出する支持部40aが設けられている。この支持部40aが開口部32xの壁面に設けられたガイド溝32yに係合し、抜け防止部材40が上下方向に移動しても開口部32xから外れないようになっている。
【0029】
以下、図3(b)のように、抜け防止部材40の下側の平坦面を下端面H1、上側の平坦面を上端面H2、下側の傾斜面を傾斜面L1と呼ぶ。
【0030】
図4(b)のように、スマートカード50が挿入されていない状態では、抜け防止部材40が自重により下方に位置し、下端面H1が下部部材32bに当接している。また、抜け防止部材40の上端面H2は、スマートカード50が挿入されていない状態では、カードアダプタ30の上部部材32aの上面と同一平面上又はそれよりも若干下方に位置している。更に、抜け防止部材40の傾斜面L1は、外側(スロット入口側)に向いている。
【0031】
図7〜図10は、スマートカード50を挿入するときのカードアダプタ30の動作を説明する模式的断面図である。ここでは、初期状態において、図7のようにパソコン10の本体部12の側面に設けられた拡張カードスロット内20にカードアダプタ30が装着されているものとする。
【0032】
スマートカード50をカードアダプタ30に挿入する前は、重力により抜け防止部材40が開口部32xの下側に位置している。そして、前述したように、抜け防止部材40の下端面H1は下部部材32bに当接し、上端面H2はカードアダプタ30の上面(上部部材32aの上面)と同一平面上又はそれよりも若干下方に位置している。すなわち、カードアダプタ30に挿入する前は、抜け防止部材40の上端面H2がカードアダプタ30の上面から突出しない。
【0033】
カードアダプタ30のスリット34内にスマートカード50を挿入すると、スマートカード50の先端が抜け防止部材40の傾斜面L1に当接する。そして、更にスマートカード50をカードアダプタ30の奥に挿入すると、スマートカード50が抜け防止部材40を押し上げる。その結果、図8のように、抜け防止部材40の先端部分がスマートカード50の表面と接触し、スマートカード50の厚さ分(約0.8mm)だけ上昇する。これにより、抜け防止部材40の上端面H2はカードアダプタ30の上面よりも若干突出する。
【0034】
次に、図9のようにスマートカード50をカードアダプタ30の奥まで挿入すると、スマートカード30の電極51とカードアダプタ30の電極接続部30eとが電気的に接続される(図5,図6参照)。
【0035】
その後、パソコン10によりスマートカード50のICチップに書き込まれたID情報が読み出され、予めパソコン10に登録されたID情報と照合される。そして、スマートカード50に書き込まれているID情報がパソコン10内に登録されている場合は、パソコン10の使用が可能になる。
【0036】
パソコン10の使用が終了すると、ユーザはスマートカード50をカードアダプタ30から引き抜く。このとき、カードアダプタ30にも外側に移動する方向の力が加わるが、本実施形態では図10のように抜け防止部材40の上端部分がパソコン本体部12の筺体の内側壁面に当接する。スマートカード50はその表面と抜け防止部材40の先端部分を摺りながら移動できる。この間、抜け防止部材40の上端部分がパソコン本体部12の筺体の内側壁面に当接する位置にあり、スマートカード50を引き抜く際に、カードアダプタ30が拡張カードスロット20から併せて抜けてしまうことが抑止できる。
【0037】
スマートカード30をカードアダプタ30から完全に抜き去ると、抜け防止部材40は重力により下降し、図7の状態に戻る。
【0038】
上述したように、本実施形態では、スマートカード50をカードアダプタ30のスリット34内に挿入すると、抜け防止部材40の上端部がカードアダプタ30の上面よりも上方に突出する。そして、スマートカード50を抜くときにカードアダプタ30に外側に移動する方向の力が加えられても、抜け防止部材40の上端部がパソコン10の筺体内側壁面に当接し、カードアダプタ30が抜けてしまうことを抑止できる。
【0039】
これにより、パソコン10の稼動中にカードアダプタ30が非意図的に抜けてしまうことに起因するパソコン10の動作不安定、動作停止(ハングアップ)、及び故障の発生を回避することができる。
【0040】
なお、上述の実施形態では、パソコン10の本体部12にPCMCIAカード用拡張カードスロット20が設けられている場合について説明したが、パソコン10に外付けの拡張装置にカードスロットが設けられている場合に適用することもできる。
【0041】
図11は、外付けの拡張装置の一例を表した模式図である。図11において、図2と同一物には同一符号を付している。
【0042】
この図11に例示したパソコン10は、USB接続端子16を介して外付けの拡張装置22に接続される。拡張装置22は、PCMCIAカードが挿入される拡張カードスロット22aを有している。拡張カードスロット22a内の構造は、上述の実施形態と基本的に同じ(図2(b)参照)であるので、ここではその説明を省略する。
【0043】
この外付け拡張装置22の拡張カードスロット22a内に図3に例示するカードアダプタ30を挿入し、カードアダプタ30のスリット34内にスマートカードを挿入すると、スマートカードに書き込まれた情報をパソコン10で読み出すことが可能になる。
【0044】
上述の実施形態ではPCMCIA規格のカードアダプタについて説明したが、開示した技術はPCMCIAカード規格のカードアダプタに限定されるものではない。開示した技術は、情報が記録されたカードとそのカードから情報を読み取る装置との間に介在する種々のカードアダプタに適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
10,100…パソコン、12…パソコン本体部、14…表示部、18a…上部仕切り板、18b…下部仕切り板、18x…開口部、20,22a,300…拡張カードスロット、20c…ピン接続部、22…外付け拡張装置、30,400…カードアダプタ、30s…コネクタ、30e…電極接続部、32a…上側部材、32b…下側部材、32x…開口部、32y…ガイド溝、34,400a…スリット、40…抜け防止部材、40a…支持部、50,200…スマートカード。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報が書き込まれたカードと電子装置とを電気的に接続するカードアダプタであって、
アダプタ本体と、
前記アダプタ本体に設けられて前記カードが挿入されるスリットと、
前記アダプタ本体の外面から前記スリットに到達する開口部と、
前記開口部内に配置されて前記アダプタ本体の厚み方向に移動可能な抜け防止部材と、を有し、
前記抜け防止部材は、前記スリット内に前記カードを挿入すると前記カードに接触して前記アダプタ本体の厚み方向に押し上げられ、その一部が前記アダプタ本体の外面から突出することを特徴とするカードアダプタ。
【請求項2】
前記抜け防止部材は、前記スリット内に前記カードが挿入されていないときには重力によりその下端側が前記スリット内に配置され、前記アダプタ本体の外面から突出しないことを特徴とする請求項1に記載のカードアダプタ。
【請求項3】
前記開口部の壁面には厚み方向に延びる溝が形成されており、前記抜け防止部材には前記溝に係合する突起が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカードアダプタ。
【請求項4】
前記アダプタ本体の前記スリット内には、前記カードの電極に接続する電極接続部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカードアダプタ。
【請求項5】
スロットを有する筺体と、
前記スロット内に装着され、情報が書き込まれたカードと電子装置とを電気的に接続するカードアダプタと、を備え、
前記カードアダプタは、
アダプタ本体と、
前記アダプタ本体に設けられて前記カードが挿入されるスリットと、
前記アダプタ本体の外面から前記スリットに到達する開口部と、
前記開口部内に配置されて前記アダプタ本体の厚み方向に移動可能な抜け防止部材と、を有し、
前記抜け防止部材は、前記スリット内に前記カードを挿入すると前記カードに接触して前記アダプタ本体の厚み方向に押し上げられ、その一部が前記アダプタ本体の外面から突出して前記筺体の内壁面に当接することを特徴とする電子装置。
【請求項1】
情報が書き込まれたカードと電子装置とを電気的に接続するカードアダプタであって、
アダプタ本体と、
前記アダプタ本体に設けられて前記カードが挿入されるスリットと、
前記アダプタ本体の外面から前記スリットに到達する開口部と、
前記開口部内に配置されて前記アダプタ本体の厚み方向に移動可能な抜け防止部材と、を有し、
前記抜け防止部材は、前記スリット内に前記カードを挿入すると前記カードに接触して前記アダプタ本体の厚み方向に押し上げられ、その一部が前記アダプタ本体の外面から突出することを特徴とするカードアダプタ。
【請求項2】
前記抜け防止部材は、前記スリット内に前記カードが挿入されていないときには重力によりその下端側が前記スリット内に配置され、前記アダプタ本体の外面から突出しないことを特徴とする請求項1に記載のカードアダプタ。
【請求項3】
前記開口部の壁面には厚み方向に延びる溝が形成されており、前記抜け防止部材には前記溝に係合する突起が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカードアダプタ。
【請求項4】
前記アダプタ本体の前記スリット内には、前記カードの電極に接続する電極接続部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカードアダプタ。
【請求項5】
スロットを有する筺体と、
前記スロット内に装着され、情報が書き込まれたカードと電子装置とを電気的に接続するカードアダプタと、を備え、
前記カードアダプタは、
アダプタ本体と、
前記アダプタ本体に設けられて前記カードが挿入されるスリットと、
前記アダプタ本体の外面から前記スリットに到達する開口部と、
前記開口部内に配置されて前記アダプタ本体の厚み方向に移動可能な抜け防止部材と、を有し、
前記抜け防止部材は、前記スリット内に前記カードを挿入すると前記カードに接触して前記アダプタ本体の厚み方向に押し上げられ、その一部が前記アダプタ本体の外面から突出して前記筺体の内壁面に当接することを特徴とする電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−221058(P2012−221058A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83877(P2011−83877)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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