説明

カードクリーニング装置、及びカードクリーニング方法

【目的】 カードの汚れ量に対応して、積極的にクリーニングを実施し、衛生管理機能の向上、リーダ/ライタユニットの信頼性低下を防止する。
【構成】 複数枚のカード9が収納されるカートリッジ11、13を着脱自在にカードホッパ駆動ユニット3、カードスタッカ駆動ユニット5に設ける。カードホッパ駆動ユニット3、カードスタッカ駆動ユニット5の間にカード9を搬送するカード搬送ユニット1を配設する。カード搬送ユニット1の中央にクリーニングローラ53が内設されたクリーナユニット7を設ける。クリーナユニット7はカード搬送ユニット1に着脱自在に設けてもよく、更に、クリーナユニット7にはクリーニングローラ53にクリーニング溶剤を導くクリーニングパックを着脱自在に設けてもよい。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気カードのクリーニング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気カード(カード)を使用するカード化システムは、バンクカード、プリペイドカード、クレジットカード等に示すように、本格的に日常生活の中に浸透してきており、これに伴い資源のリサイクル化、及びカード情報のビジュアル化が求められて来ている。これらの要求を満足するものとして、書き換え可能な記録材料をカードへ利用することが考えられている。例えば、加熱することで書き換えが可能ないわゆる熱可逆性記録材料では、材料自体の取扱いが簡便なことや、従来のサーマル記録技術を応用することで簡単に装置化が実現できること等の理由から、利用に向けて種々の検討がなされている。
【0003】ところで、これらのカードを使用する装置にはカード情報を処理するリーダ/ライタユニットが組み込まれており、リーダ/ライタユニットは取り扱う情報により若干の相違はあるものの、主に磁気ヘッド部、印字/イレーズ部、カード搬送部、及び制御部等から構成されている。これらの構成部分の中で特にカード搬送部は、磁気ヘッドによる情報の読み出し/書き込み、及びサーマルヘッド等による印字/イレーズがカードの搬送に伴って行われるため、カードの正確な位置決めや、安定した走行が行えることが要求される。
【0004】これらの要求を実現するため、カード搬送の駆動方式には、正確、且つ安定した動作が得られるベルトドライブ方式、或いはローラ送り方式が採用されている。そして、これら駆動機構間の適宜な位置には磁気ヘッドやサーマルヘッド等が配設され、カードの安定した走行の確保と相まって、情報の読み出し/書き込み、及び印字/イレーズが行われているのである。
【0005】このように、カード情報の読み出し/書き込みは、カードを所定位置に移動して処理をするため、カード搬送の安定性を確保することが重要となる。言い換えれば、カード搬送にムラが発生すれば、磁気ヘッドによる読み込みが正規に行えず、読み取りエラーが発生することになるのである。実用において発生する読み取りエラーの多くは、このカード搬送系の走行ムラに起因するものである。
【0006】カード搬送系に走行ムラが発生する理由としては、カードがカールしていること、カードやローラに塵埃や油等の様々な汚れが付着してカードが正確に搬送できないこと等が挙げられる。また、これらの汚れは、磁気ヘッドに付着した場合、読み取りエラー、或いはカード磁気層への傷を発生させるとともに、サーマルヘッドに付着した場合、書き込み印字の品質低下、及びカード表面への傷を発生させる恐れがある。そして、カード、ローラ、磁気ヘッド、サーマルヘッド等に付着するこの汚れ量は、リーダ/ライタユニットが使用される環境や稼動時間、稼動状況により大きく異なり、対策が困難となる。
【0007】現在、これらの汚れを取り除く方法としては、クリーニング用カードを使用するものがある。このクリーニング用カードは、実用されるカードと略同形状であり、例えば、プラスチックカードの表裏面に布等をラミネートした構造とし、乾式で使用される他、この布等にエチルアルコール等を含浸させ、湿式で使用されることもある。このクリーニング用カードは、装置の稼動時間、稼動状況を管理し、それに対応して適宜な時間間隔で使用することができるので、各部を汚れ量に応じてクリーニングすることができる。このため、クリーニング用カードを使用したクリーニング方法は、全てのリーダ/ライタユニットに対して作業が簡単に行え、時間もかからず、顧客にも手軽に利用できるので現在では多く用いられるクリーニング方法の一つとなっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、リサイクル化に対応してカードが何度も人手を介して利用されるようになると、カードに塵埃や油等の様々な汚れが付着してその量も多くなり、従来のクリーニング用カードのみを使用したクリーニングでは、満足なクリーニングがもはや不可能となっている。このため、リーダ/ライタユニット各部の汚れは蓄積されることとなり、上述した汚れによる種々の不具合が発生し、本来の機能の信頼性を確保することが極めて困難となっている。このような状況下においても、カードの衛生管理を徹底し、リーダ/ライタユニットを障害なく稼動させ、装置の稼動率の低下、顧客サービスの低下を避けなければならないのが現状であり、新たな解決策が切望されていた。
【0009】本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、環境によって異なる種々の汚れ量に対処でき、しかも、積極的にクリーニングを実施することでカード清浄能力を著しく高めることができるカードクリーニング装置を提供し、もって、衛生管理機能の向上、リーダ/ライタユニットの信頼性低下の防止を図ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明に係るカードクリーニング装置の構成は、複数枚のカードが収納されるカートリッジを着脱自在に装着したカードホッパ駆動ユニット、及びカードスタッカ駆動ユニットと、このカードホッパ駆動ユニット、及びカードスタッカ駆動ユニットの間に配設されカードホッパ駆動ユニットとカードスタッカ駆動ユニットとの間でカードを搬送するカード搬送ユニットと、このカード搬送ユニットの中央に設けられカードを表裏方向から挟むとともにこのカードの搬送速度と異なる周速度で回動されることでカードの表裏面を相対摺動する少なくとも一対の密接するクリーニングローラが内設されたクリーナユニットとからなることを特徴とするものである。そして、このカードクリーニング装置は、クリーナユニットをカード搬送ユニットに着脱自在に装着することが好ましい。また、このカードクリーニング装置は、タンクに植設した導通管をクリーニングローラに密接することでタンク内のクリーニング溶剤をクリーニングローラに導くようにしたクリーニングパックをクリーナユニットに着脱自在に装着するものであってもよい。更に、本発明に係るカードクリーニング方法の構成は、カード搬送ユニット内で一つのカードを順方向、及び逆方向で可逆的に搬送してクリーナユニットを繰り返し通過させ、通過回数を搬送路に配設したカード通過センサで検出し、カード通過センサの検出値が、所定の回数設定データ例えば電源投入時に読み込まれたディップスイッチの回数設定データと一致したとき、繰り返し通過によるクリーニングを終了することを特徴とするものである。
【0011】
【作用】カードホッパ駆動ユニットから排出されたカードがカード搬送ユニット内で搬送され、クリーナユニットを通過する際、一対の密接するクリーニングローラに挟み込まれ、このクリーニングローラを通過しつつ搬送されることで、搬送速度とクリーニングローラの周速度との差異から表面とクリーニングローラとが相対摺動してクリーニングされ、搬送とともに汚れが落とされたカードがカードスタッカ駆動ユニットに吸入されてカートリッジに収納される。クリーニングローラが汚れた際、クリーニングローラがクリーナユニットごとカード搬送ユニットから脱着され、汚れが他に付着することが無いとともに、新規のクリーナユニットが簡単に取り付けられ、クリーニングローラの衛生管理が容易となる。クリーニング溶剤をクリーニングローラに導くクリーニングパックがクリーナユニットに着脱自在に装着され、クリーニングローラの湿式、乾式の使用が選択自在となるとともに、湿式で使用した際のクリーニングパックの交換が容易となる。回数設定データと一致するまで、一つのカードがクリーナユニットを繰り返し通過され、カードの汚れ量に応じてクリーニングが施され、汚れの取り残し、過剰なクリーニング動作が無くなる。
【0012】
【実施例】以下、本発明に係るカードクリーニング装置の好適な実施例を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るカードクリーニング装置の全体を表す斜視図、図2はカード搬送ユニットを説明する分解斜視図、図3はカードの搬送・クリーニング工程を説明する図2のA方向から見たカード搬送ユニットの側面図である。
【0013】図1に示すように、本実施例に係るカードクリーニング装置は、中央部分に設けられるカード搬送ユニット1と、このカード搬送ユニット1を挟みカード挿入側と収納側に設けられるカードホッパ駆動ユニット(HO)3、カードスタッカ駆動ユニット(ST)5とから構成される。カード搬送ユニット1の中央部にはカートリッジタイプのクリーナユニット7が設けられ、クリーナユニット7はカード搬送ユニット1に着脱自在に装着されている。カードホッパ駆動ユニット(HO)3と、カードスタッカ駆動ユニット5には両者に共用可能なカートリッジ(カセット)11、13が着脱自在に装着され、カートリッジ11、13は通常500枚程度のカード9が収納できる容積を有している。
【0014】図2、図3に示すように、カード搬送ユニット1のカードホッパ駆動ユニット3(図1参照)側には搬送モータ15に駆動されるモータギヤ17(MG)が設けられ、モータギヤ17はカウンタギヤ(CG)19と噛合している。カウンタギヤ19にはフィードギヤ(FG)21が噛合され、フィードギヤ21は同軸上のフィードローラ(FR1 )23を回転させるようになっている。フィードローラ23にはプレート25に支持されるフィードカウンタローラ(FCR1 )27が当接され、フィードローラ23とフィードカウンタローラ27はカード9を挟持してカードスタッカ駆動ユニット5方向(図2、図3中の矢印B方向)に搬送するようになっている。また、搬送モータ15は、逆転可能となっており、逆転された際にはカード9が矢印B方向と反対方向に搬送されることとなる。
【0015】クリーナユニット7(図1参照)を挟みフィードローラ23の反対側にはフィードローラ(FR2 )29が設けられ、フィードローラ29にはプレート31に支持されるフィードカウンタローラ(FCR2 )33が当接されている。フィードローラ23、29の同軸上には伝達プーリ35、37が設けられ、伝達プーリ35、37はベルト39を介して連結されている。つまり、カウンタギヤ19が駆動されると、フィードギヤ21によりフィードローラ23が駆動され、このフィードローラ23の回動はベルト39を介してフィードローラ29を回動させるようになっているのである。
【0016】一方、カウンタギヤ19にはドライブギヤ(DG1 )41が噛合され、ドライブギヤ41はドライブギヤ(DG2 )43と噛合している。このドライブギヤ41、43は、後述するクリーナユニット7に内設されたクリーニングローラに同軸上で固定され、このクリーニングローラを駆動するようになっている。また、図3に示すように、カードホッパ駆動ユニット3とフィードローラ23の間、フィードローラ23とクリーナユニット7の間、クリーナユニット7とフィードローラ29の間、フィードローラ29とカードスタッカ駆動ユニット5の間にはカード通過センサSA、SB、SC、SDがそれぞれ設けられ、カード9の通過状態が検出できるようになっているのである。
【0017】ここで、図4、図5、図6に基づいてクリーナユニット7について更に詳しく説明することとする。図4はクリーナユニットの斜視図、図5はクリーニングパックの装着状況を表す説明図、図6は図5におけるクリーニングパックのC−C断面図である。図4に示すように、プラスチック等で成形された箱状のフレーム51には一対のクリーニングローラ53が同一方向で内設され、クリーニングローラ53同士は適宜な圧接力で密接している。クリーニングローラ53は、カード9(図2参照)の幅より長く、カード9の全面に亘って接触するようになっている。それぞれのクリーニングローラ53の一方の軸端部には上述のドライブギヤ41、43が固定され、ドライブギヤ41、43はフレーム51の外側に回動自在となって露出している。この一対のクリーニングローラ53は、例えば特殊な不織布、又はスポンジ状プラスチック等をローラ芯に巻き付けて造られており、溶剤を滲込ませて使用するか否かで、湿式利用、或いは乾式利用の二通りの使用方法が選択できるようになっている。尚、上述した特殊な不織布としては、ポリプロピレン、ポリエステル、レイヨン、ポリアミド等の合成長繊維を無方向不規則状に分散交錯させて互いに結合させた布、又は周知のフェルト等があり、スポンジ状プラスチックとしては、発泡ウレタンローラがある。これらの中では、特に、ポリエステルの長繊維を分散交錯させてシート状にし、熱で融着させた不織布が好適である。
【0018】フレーム51の四方の出隅部にはクリーニングローラ53の並設方向に欠切された溝55a、55b、55c、55dがそれぞれ形成され、溝55a〜55dはカード搬送ユニット1のサイドフレーム7a(図1参照)に装着方向で嵌合するようになっている。また、フレーム51の側面には凹部57が一対形成され、凹部57はカード搬送ユニット1側にタッピングビス59を介して固定された一対のロック爪61の凸部63に係合するようになっている。このように構成されることで、クリーナユニット7はカード搬送ユニット1の上部から挿入され、ロック爪61に固定されるとともに、上部へ引き上げることで簡単に係合が解除され、カード搬送ユニット1からの着脱が容易に行えるようになっているのである。
【0019】図5に示すように、本実施例では、湿式利用時に必要なカードクリーニング溶剤を供給するクリーニングパック65がクリーナユニット7の上部に設けられるようになっている。このクリーニングパック65にはパッケージタンク(タンク)67が設けられ、図6に示すように、パッケージタンク67には例えばクリーニング溶剤であるイソプロピルアルコール等を浸透させた特殊不織布69が充填されるようになっている。パッケージタンク67のクリーナユニット7側の面にはクリーニングガイド71が設けられ、クリーニングガイド71はクリーニングローラ53のローラ形状に大略合わせた形状に形成されている。クリーニングガイド71には基端が特殊不織布69に接する導通管73が植設され、導通管73はクリーニング溶剤をクリーニングローラ53に導くようになっている。
【0020】クリーニングローラ53は、沢山のカード9をクリーニングした際、含浸しているクリーニング溶剤の量が次第に減少する。この減少により導通管73には浸透圧が発生し、パッケージタンク67内のクリーニング溶剤が先ず導通管73側のクリーニングローラ53に供給される。二本のクリーニングローラ53は常に密接回転しているため、残りの一本のクリーニングローラ53にもバランス良くクリーニング溶剤が浸透供給されるようになっている。
【0021】クリーニングパック65はプラスチック等で形成され、クリーナユニット7に対する側のクリーニングガイド71がクリーナユニット7のフレーム51内に嵌入される形状で形成されている。また、クリーニングパック65の側面にはフレーム51方向に向かって伸びる一対のロック爪75が形成され、ロック爪75はフレーム51に形成された一対のロック孔77に係合自在となっている。このように構成されることで、クリーニングパック65はクリーナユニット7の上部からクリーニングガイド71を案内として挿入されることで、ロック爪75がロック孔77に係合して固定されるとともに、上部へ引き上げることで簡単に係合が解除され、クリーナユニット7からの着脱が容易に行えるようになっているのである。
【0022】このように構成されるカードクリーニング装置の動作を図7、図8、図9に基づいて説明する。図7はカードがカードホッパ駆動ユニットからの排出を経てカード搬送ユニットに吸入される際の動作を説明するフローチャート、図8はカード搬送ユニットでのクリーニング動作を説明するフローチャート、図9はカードスタッカ駆動ユニットへの収納動作を説明するフローチャートである。尚、図中F1〜F3は他のフローチャートとの接続位置を示すものである。図7に示すように、カードクリーニング装置の電源が投入されると、st.1でカードクリーニング装置に搭載されている制御装置がリセットされる。次にst.2で、カートリッジ11がカードホッパ駆動ユニット3に搭載されている(HC=1)か、否かが適宜な方法でチェックされ、搭載されていればst.3で、そのカートリッジ11内にカード9が収納されている(CHC=1)か、否かが適宜な方法で更にチェックされる。
【0023】次にst.4において、カートリッジ13がカードスタッカ駆動ユニット5に搭載されている(SC=1)か、否かが適宜な方法でチェックされ、搭載されていれば、st.5でそのカートリッジ13内にカード9が規定量収納(カードフルの状態)されていない状態(FSC=0)か、否かが適宜な方法でチェックされる。以上の判定で否の状態が1箇所でもあると、st.6において制御装置はその内容をアラームモニタ(図示せず)に表示し、更に、st.7においてスタンバイモードに入り、各駆動部は停止状態を保持し続ける。
【0024】一方、処理がst.5に進んだ後、st.8において制御装置はカード9のクリーニング回数Nを読み込む。これはたとえば制御基板等に設けられたディップスイッチに設定されたデータを読み込むことで行われる。以上の処理の後、st.9においてカードホッパ駆動ユニット3が駆動され、カートリッジ11内に収納されているカード9が一枚排出される。この排出動作によりカード9は、カードホッパ駆動ユニット3から図3中の矢視Bのごとく排出され、カード搬送ユニット1内に挿入される。カード9の先端は、このカード搬送ユニット1への挿入動作により、カードホッパ駆動ユニット3とカード搬送ユニット1との間にあるカード通過センサSAを横切る。st.10においてカード9の先端がカード通過センサSAを横切ることで、カード通過センサSAがON(論理値1)し、カード搬送ユニット1はカード吸入モードの状態に入る。
【0025】カード吸入モードに入ると、st.11において搬送モータ15が起動し、本実施例ではモータギヤ17が図3の矢印で示すCCW方向(順方向)に回転する。この回転はカウンタギヤ19を介して、フィードギヤ21と同軸のフィードローラ23を図3のそれぞれの矢印で示す方向に回転させる。カード9は、カード通過センサSAを横切った後、カードホッパ駆動ユニット3の排出動作により、フィードローラ23位置まで挿入されるので、その位置でカード9は、フィードローラ23とフィードカウンタローラ27の回転により吸入される。そしてこの吸入動作により、カード9の後端がカード通過センサSAを通過すると、st.12においてカード通過センサSAはOFF状態(論理値0)を検出し、この信号を受けて、st.13においてカードホッパ駆動ユニット3のカード排出動作が停止し、カードホッパ駆動ユニット3はスタンバイ状態に入る。
【0026】また、カートリッジ11内のカード9の有無は、st.14において適宜な方法で逐次検出されており、次に排出されるべきカード9が存在しない場合(論理値0)には、st.15においてカード供給アラームがアラームモニタに表示される。カード9が存在しない場合には、st.16においてカードホッパ駆動ユニット3はその動作を停止し、図8中のst.17に処理が移る。また、st.14において次に排出されるべきカード9がカートリッジ11内に存在する場合(論理値1)には、カード供給アラームをアラームモニタに表示させることなく、図8中のst.17に処理が移る。
【0027】図8に示すst.17からの処理は、カード9をクリーニングする処理過程である。st.17において、搬送モータ15はCCW方向に回転を続けている。この回転は、カウンタギヤ19を介して、二つのドライブギヤ41、43を回転させ、これに同軸のクリーニングローラ53をそれぞれ図3に示す方向に回転させている。また、これと同時に、フィードギヤ21によりフィードローラ23、フィードカウンタローラ27が駆動され、このフィードローラ23の回動はベルト39を介してフィードローラ29、フィードカウンタローラ33を回動させている。st.17において、カード搬送ユニット1は以上の動作を行っているため、カード9はフィードローラ23、フィードカウンタローラ27によって挟持されて繰り出され、その後二本のクリーニングローラ53の間に挟み入れられる。
【0028】この二本のクリーニングローラ53は、上述したギヤ群の噛合構成によって、図3に示す如くカード9の搬送方向に対して、逆方向に回転され、クリーニングが高効率に行われるようになっている。また、クリーニングローラ53は、カード9の搬送速度と異なる周速度となるように回転されている。従って、カード9とクリーニングローラ53との間には摩擦力が生じ、この摩擦力はカード9の搬送力に抗する力となるが、フィードローラ23、フィードカウンタローラ27等の駆動力、挟持力はいずれもこの摩擦力に対向できる以上のものとなっている。また、クリーニングローラ53の回転方向は、カード9の搬送方向に対して、同一方向で回転させることも当然にでき、この場合にはカード9の搬送速度が一定以上の速さとなったとき、カード9とクリーニングローラ53との間に生じる摩擦力を抑制することができる。尚、クリーニングローラ53の回転を順方向とする際には、上述したギヤ群に更にカウンタギヤを追加する必要がある。
【0029】カード9は、このように表裏面がクリーニングされながら、フィードローラ29、フィードカウンタローラ33によって繰り出される。この繰り出しが進行し、st.18において、カード9の先端がカード通過センサSCを横切ると、カード通過センサSCの検出値がON状態(論理値1)に変わる。搬送モータ15はst.19において、なおもCCW方向に回転を継続し、これによりカード9は、フィードローラ29、フィードカウンタローラ33に挟持されて搬送され続ける。搬送が続けられ、カード9が二本のクリーニングローラ53から抜け出ると、カード9の後端がst.20においてカード通過センサSCを通過し、カード通過センサSCはOFF(論理値0)に切り替わる。
【0030】ここで、st.8において読み込んだカード9のクリーニング回数Nが1に指定されていれば、st.21の処理によって図9に示すst.32に処理が移る。Nが1でなく、クリーニングが複数回指定されている場合には、処理はst.22に移る。st.22では上記カード通過センサSCの信号(論理値0)を受けて、搬送モータ15が、CCW方向からCW方向(逆方向)に逆転され、カード9はカードホッパ駆動ユニット3の方向に搬送される。そして、今度はその搬送方向に対し逆回転しているクリーニングローラ53にカード9が挟み入れられ、搬送されながらカード9表面は再びクリーニングされる。そして、st.23においてカード9の先端がカード通過センサSBを横切り、カード通過センサSBはON状態(論理値1)に切り替わる。
【0031】搬送モータ15はst.24において、なおもCW方向に回転を継続し、これによりカード9はフィードローラ23、フィードカウンタローラ27に挟持されて搬送され続ける。そして、カード9は、二本のクリーニングローラ53から抜け出し、カード9の後端が、st.25においてカード通過センサSBを通過し、センサSBはOFF(論理値0)の状態に切り変わる。st.26では上記カード通過センサSBの信号(論理値0)を受けて、搬送モータ15が、CW方向からCCW方向に回転が逆転し、カード9は再びカードスタッカ駆動ユニット5の方向に搬送され、上述した当該搬送方向と同様なクリーニングが行われる。そして、st.27においてカード9の先端は、カード通過センサSCを横切り、センサSCはON(論理値1)状態に変わる。
【0032】搬送モータ15はst.28において、なおもCCW方向に回転を継続し、これによりカード9はフィードローラ29、フィードカウンタローラ33に挟持されて搬送され続ける。そして、カード9は、二本のクリーニングローラ53から抜け出し、カード9の後端が、st.29においてカード通過センサSCを通過し、センサSCはOFF(論理値0)の状態に切り変わる。以上の動作により、カード9の1サイクルのクリーニング動作が終了する。このクリーニング動作の終了毎に、st.30において制御装置のレジスタ値Rがカウントアップされ、更にst.31において、st.8で指定されたクリーニング回数Nの値の記憶されたレジスタ値CLNが、このレジスタ値Rと比較され、等しくなるまでst.22との間のクリーニング動作を繰り返す。そして指定された回数のクリーニングが終了すると、st.31によって、処理は次のカード9の収納過程に入る。
【0033】カード9の収納過程は、図9中のst.32から始まる。st.32においてカード搬送ユニット1の搬送モータ15は、引き続きCCW方向に回転しているため、カード9はフィードローラ29、フィードカウンタローラ33に挟持されて搬送され続ける。カード9の先端はこのカード搬送ユニット1の排出動作により、st.33において、カード搬送ユニット1とカードスタッカ駆動ユニット5の間にある、カード通過センサSDを横切る。カード搬送ユニット1の搬送モータ15は、カード9の先端が横切ってカード排出センサSDがON(論理値1)してもst.34においてCCW方向に回転を継続しており、カード9はフィードローラ29、フィードカウンタローラ33に挟持されて搬送され続ける。そして、カード排出センサSDがON(論理値1)の状態になった後、カード搬送ユニット1はカード収納モードに入る。
【0034】カード収納モードに入ると、st.35においてカードスタッカ駆動ユニット5が起動してカード収納動作に入る。フィードローラ29、フィードカウンタローラ33に挟持されて搬送され続けていたカード9は、このカード収納動作により、カードスタッカ駆動ユニット5の収納口5a(図2参照)からカートリッジ13内に収納され始める。カード9は、既に集積されているカードの最下部からジャムすることなく順次収納される。カード9の収納がある程度進んだ後、今度はst.36において、カード9の後端がカード通過センサSDを横切り、カード通過センサSDはOFF(論理値0)状態に変わる。カード通過センサSDがOFF(論理値0)状態に変わると、st.37においてカード搬送ユニット1はスタンバイモードに入り、且つst.38において搬送モータ15が停止しクリーニング動作も停止する。
【0035】st.39において、カードスタッカ駆動ユニット5は、その後、適宜な時間カード9の収納動作を継続する。この継続時間内に、カード9は完全にカートリッジ13内に収納され、スタンバイモードに入ってカードスタッカ駆動ユニット5が停止する。次に、st.40において、カートリッジ13内にカード9が規定量収納(カードフルの状態)されていない状態(FSC=0)か否かチェックされる。カードフルの状態でない場合には、st.41においてカードホッパ駆動ユニット3側のカートリッジ11内にカードが無い(CHC=0)か、否かのチェックを行い、否であればst.9に処理が移行し、以上説明した処理が再び順次行われる。カートリッジ11内にカードが無い場合には、st.44においてカートリッジ11にカード9が無い旨のアラーム表示をアラームモニタに行い、st.42においてカードクリーニング装置はスタンバイモードとなり、全ての駆動部は停止した状態となる。また、st.40においてカードフル状態にある場合(FSC≠0)は、st.41に処理が移行し、アラームモニタにカードフルのアラームが表示され、次にst.42に処理が移り、カードクリーニング装置はスタンバイモードとなって全ての駆動部は停止したままとなり、カードクリーニング動作が終了するのである。
【0036】上述のカードクリーニング装置によれば、カートリッジ11、13が共用できるため、カセットの使い分けをする必要が無い。また、リーダ/ライタユニットにおけるカードホッパ/カードスタッカ用カートリッジと、本実施例のカードクリーニング装置のカートリッジ11、13を共用できるようにすれば、本実施例のカードクリーニング装置をカード化システム内に設置して、共用カートリッジをそのまま使用することができる。このような構成とすることで、システムの運用時間中の適宜な時間に、汚れたカードをカートリッジごと本実施例のカードクリーニング装置に処理させることが可能となり、更に、クリーニングの済んだカードはカートリッジごと必要なカード化システム内のリーダ/ライタユニットに搭載使用することができるため、システムの運用効率を著しく向上させることが可能となる。
【0037】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係るカードクリーニング装置は、カードホッパ駆動ユニット、及びカードスタッカ駆動ユニットとの間にカード搬送ユニットを設け、このカード搬送ユニットの中央にクリーニングローラが内設されたクリーナユニットを設けたので、カードがクリーナユニットを通過する際、カードの表裏面をクリーニングローラと相対摺動させてクリーニングすることができる。この結果、カードが積極的にクリーニングされ、衛生管理機能を著しく向上させることができるとともに、カード汚れによる動作不良が無くなり、リーダ/ライタユニットの信頼性低下を防止することができる。そして、カードクリーニング装置は、クリーナユニットをカード搬送ユニットに着脱自在に装着することで、クリーニングローラが汚れた際、汚れを他に付着させることなく簡単に交換することができるようになり、クリーニングローラの衛生管理を容易に向上させることができるようになる。また、カードクリーニング装置は、クリーニングパックをクリーナユニットに着脱自在に装着することで、クリーニングローラの湿式、乾式の使用が選択自在となる一方、湿式で使用した際にはクリーニングパックを容易に交換することができる。更に、本発明に係るカードクリーニング方法は、一つのカードが設定された回数に達するまで、クリーナユニットを繰り返し通過するようにしたので、カードの汚れ量に応じてクリーニングが施され、汚れの取り残し、又は過剰なクリーニング動作を防止することができ、環境によって異なる種々の汚れ量に対処したクリーニングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカードクリーニング装置の全体を表す斜視図である。
【図2】カード搬送ユニットを説明する分解斜視図である。
【図3】カードの搬送・クリーニング工程を説明する図2のA方向から見たカード搬送ユニットの側面図である。
【図4】クリーナユニットの斜視図である。
【図5】クリーニングパックの装着状況を表す説明図である。
【図6】図5におけるクリーニングパックのC−C断面図である。
【図7】カードの吸入動作を説明するフローチャートである。
【図8】クリーニング動作を説明するフローチャートである。
【図9】カードの収納動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 カード搬送ユニット
3 カードホッパ駆動ユニット
5 カードスタッカ駆動ユニット
7 クリーナユニット
9 カード
11、13 カートリッジ
53 クリーニングローラ
65 クリーニングパック
67 パッケージタンク(タンク)
73 導通管
SA、SB、SC、SD カード通過センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数枚のカードが収納されるカートリッジを着脱自在に装着したカードホッパ駆動ユニット、及びカードスタッカ駆動ユニットと、該カードホッパ駆動ユニット、及びカードスタッカ駆動ユニットの間に配設され前記カードホッパ駆動ユニットと前記カードスタッカ駆動ユニットとの間でカードを搬送するカード搬送ユニットと、該カード搬送ユニットの中央に設けられ前記カードを表裏方向から挟むとともに該カードの搬送速度と異なる周速度で回動されることで該カードの表裏面を相対摺動する少なくとも一対の密接するクリーニングローラが内設されたクリーナユニットとからなることを特徴とするカードクリーニング装置。
【請求項2】 クリーナユニットをカード搬送ユニットに着脱自在に装着したことを特徴とする請求項1記載のカードクリーニング装置。
【請求項3】 タンクに植設した導通管をクリーニングローラに密接することでタンク内のクリーニング溶剤を前記クリーニングローラに導くようにしたクリーニングパックをクリーナユニットに着脱自在に装着したことを特徴とする請求項1又は2記載のカードクリーニング装置。
【請求項4】 カード搬送ユニット内で一つのカードを順方向、及び逆方向で可逆的に搬送してクリーナユニットを繰り返し通過させ、該通過回数を搬送路に配設したカード通過センサで検出し、該カード通過センサの検出値が所定の回数設定データと一致したとき前記繰り返し通過によるクリーニングを終了することを特徴とするカードクリーニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図8】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開平5−242306
【公開日】平成5年(1993)9月21日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−75273
【出願日】平成4年(1992)2月26日
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)