説明

カードコネクタ、配線板ユニットおよび電子機器

【課題】カード状の電子モジュールを容易に取り出すことができるカードコネクタ、カードコネクタを備えた配線板ユニット、およびカードコネクタを備えた電子機器を提供する。
【解決手段】カードコネクタは、電子モジュールを載置し筐体から引き出し自在に可動するトレイを有する。前記トレイには、トレイの引き出しを誘導する誘導用突起と、トレイの最大引き出し位置を規定するストッパ用突起と、が設けられ、前記筐体には、前記誘導用突起を誘導する引き出し誘導路が設けられる。前記筐体の底面に直交する高さ方向の位置に関して、前記トレイが引き出されて前記最大引き出し位置に近づくとき、前記誘導用突起の前記高さ方向の位置を変化させる誘導用傾斜路を前記引き出し誘導路は含む。前記誘導用突起が前記誘導用傾斜路に位置するとき、前記ストッパ用突起の前記高さ方向の位置を一定に保つストッパ用突起の位置規制誘導路が前記筐体に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード状の電子モジュールを電子部品と接続するカードコネクタ、カードコネクタを備えた配線板ユニット、およびカードコネクタを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話機器等のモバイル電子機器には、SIMカード(Subscriber Identity Module Card)が用いられている。SIMカードには、電話番号を特定するための固有の識別番号が含まれており、電話番号と結びつけることにより通信を可能としている。今日、携帯電話機器等の電子機器において、ユーザの携帯電話機器の使用変更に応じて、SIMカードを取り替える場合が多い。
このようなSIMカードは、図4に示すような引き出しトレイが設けられたカードコネクタ100が用いられる場合がある。図5は、携帯電話機器から取り出した配線板に設けられたカードコネクタ100を示している。図6は、カードコネクタ100の分解斜視図である。
【0003】
カードコネクタ100は、図6に示すように、主に、筐体102と、トレイ104と、を有する。筐体102には、電子部品と接続した接続端子が設けられ、SIMカード103を収納して、SIMカード103を電子部品と接続させる。トレイ104は、SIMカード103を載置した状態で筐体に対して引き出し自在に可動する。
【0004】
図7(a)〜(c)は、カードコネクタ100に収納されたSIMカード103の取り替えを説明する模式図である。
まず、図7(a)に示すように配線板106にカードコネクタ100は設けられている。カードコネクタ100のトレイ104の手前に設けられたトレイ爪部108をユーザが指や爪で引っ掛けて、図7(b)に示すようにトレイ104を引き出す。トレイ104が完全に引き出された状態でトレイ104上のSIMカード103は取り出される。トレイ104には、SIMカード103を取り出しやすいように、トレイ104の一部分に切り欠き部110が設けられている。しかし、引き出されたトレイ104と配線板106との隙間は非常に狭いため、SIMカード103の下面を指で支えつつ、SIMカード103をトレイ104から取り出すことは難しい。SIMカード103が取り出し難いため、トレイ104を過度に引き出し、あるいはトレイ104を筐体102から引き抜き、トレイ104や筐体102に損傷を与える場合もある。
【0005】
従来より、電子機器において、カード等の収納体をトレイから引き出すために、トレイを引き出したとき、トレイの引き出した側の位置がトレイの奥側の位置に比べて高くなるようにトレイを傾斜させる方式が種々知られている。
例えば、少なくともカートリッジに収納された収納ディスクに記録された情報の再生あるいはこの収納ディスクへの情報の記録の少なくともいずれか一方を行うディスク装置に関する下記機構が知られている。
すなわち、トレイがディスク載置位置に移動した際に、リフトレバー移動手段により、リフトレバーがリフト位置に移動する。従って、この状態で、カートリッジをカートリッジ載置面に載置すると、このカートリッジは、その搬入方向側端部を基点として、その搬出方向側端部がトレイに対して持ち上げられた状態となる。
また、ディスクトレイを装置本体から引き出したときにディスクの前部を上向きに上げてディスクを取りやすくできるディスク装置の機構も知られている。このディスク装置は、ディスクの下側に位置するT字型の回転部材を回転させることにより、ディスクの一方の端を上方に持ち上げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】再公表 WO2007/066735号公報
【特許文献2】特開2005−4831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来のトレイを傾斜させる機構と異なる機構を用いて、トレイを傾斜させ、SIMカード等のカード状の電子モジュールを容易に取り出すことができるカードコネクタ、カードコネクタを備えた配線板ユニット、およびカードコネクタを備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、カード状の電子モジュールを電子部品と接続するカードコネクタであって、
配線板と接する底面を有し、カード状の電子モジュールを収納することにより、電子部品と接続した接続端子を介して電子モジュールを電子部品と接続させる筐体と、
電子モジュールを載置した状態で、前記筐体に対して引き出し自在に可動するトレイと、を有する。
前記筐体と対向する前記トレイの面には、前記トレイの引き出し経路を定める誘導用突起と、前記トレイの最大引き出し位置を定めるストッパ用突起と、が設けられている。
前記トレイと対向する前記筐体の面には、前記トレイの引き出し方向に延在し、前記誘導用突起を誘導する引き出し誘導路が設けられている。
前記筐体の底面に直交する高さ方向の位置に関して、前記トレイが引き出されて前記最大引き出し位置に近づくとき、前記誘導用突起の前記高さ方向の位置を前記底面から離れるように変化させる誘導用傾斜路を前記引き出し誘導路は含み、かつ、前記誘導用突起が前記誘導用傾斜路を移動するとき、前記ストッパ用突起の前記高さ方向の位置を一定に保つ前記ストッパ用突起の位置規制誘導路が、前記筐体に設けられている。
【0009】
本発明の他の一態様は、カード状の電子モジュールと電子部品を接続する前記カードコネクタを配線板に備えた配線板ユニットである。この態様のカードコネクタでは、前記トレイが引き出されて前記最大引き出し位置に近づくとき、前記誘導用傾斜路は、前記誘導用突起の前記高さ方向の位置を前記配線板から離れるように変化させる。
【0010】
さらに、本発明の他の一態様は、カード状の電子モジュールと電子部品を接続する前記カードコネクタを配線板に備えた電子機器である。この態様のカードコネクタでは、前記トレイが引き出されて前記最大引き出し位置に近づくとき、前記誘導用傾斜路は、前記誘導用突起の前記高さ方向の位置を前記配線板から離れるように変化させる。
【発明の効果】
【0011】
上述の態様のカードコネクタ、配線板ユニットおよび電子機器によれば、トレイを傾斜させ、SIMカード等のカード状の電子モジュールを容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)〜(e)は、本実施形態のカードコネクタの動作を説明する図である。
【図2】(a)は、本実施形態のカードコネクタの分解斜視図であり、(b)は、(a)に示すカードコネクタの要部を示す図である。
【図3】(a),(b)は、本実施形態のカードコネクタの構成と動作を説明する図である。
【図4】電子機器に用いられるカードコネクタの一例を示す図である。
【図5】電子機器に用いられるカードコネクタを搭載した配線板の一例を示す図である。
【図6】従来のカードコネクタの分解斜視図である。
【図7】(a)〜(c)は、従来のカードコネクタの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のカードコネクタ、配線板ユニットおよび電子機器について説明する。
【0014】
本実施形態のカードコネクタ10は、図4に示すように、携帯電話機器に用いられるSIMカードを携帯電話機器内の他の電子部品と接続するカードコネクタであり、図5に示すように配線板に搭載されている。
【0015】
図1(a)〜(e)は、カードコネクタ10の動作を説明する図である。
配線板12に搭載されたカードコネクタ10では、図1(a)に示す状態から、図1(b)に示すようにSIMカード16を載置したトレイ14が配線板12に沿って平行に引き出される。トレイ14が所定量引き出されると、図1(c)に示すように配線板12に対して、トレイ14の引き出し口側の前端が上方に傾斜するように引き出される。具体的に、トレイ14の引き出し口側の前端がトレイ14の引き出し奥側端に比べて高くなるように傾斜する。トレイ14が最大引き出し位置にくると、トレイ14は傾斜して固定される。以降、カードコネクタ10において、トレイ14の引き出し口側は前方側、トレイ14の引き出し奥側は後方側という。
この状態で、ユーザは、図1(e)に示すように、トレイ14に載置されているSIMカード16を取り出す。このとき、トレイ14が傾斜しているため、トレイ14と配線板12との間に比較的大きな隙間がある。したがって、トレイ14の切り欠き部14e(図2(a)参照)の位置にあるSIMカード16の下面と上面とを指で挟んでSIMカード16を容易に取り出すことができる。
このように、カードコネクタ10は、図7(a)〜(c)に示す従来のカードコネクタと異なり、トレイ14の最大引き出し位置において、配線板12に対して、トレイ14の引き出し口前端が上方に持ち上がる。
【0016】
図2(a)は、このようなカードコネクタ10の構成を示す分解斜視図である。図2(b)は、図2(a)中のX領域を拡大して示す図である。
カードコネクタ10は、上側筐体18と、下側筐体20と、トレイ14と、を有する。
上側筐体18と下側筐体20とにより、トレイ14を収納する筐体22がつくられる。
下側筐体20は、配線板12と接する底面21を有する。また、底面21には、配線板あるいは他の配線板に設けられた電子部品と接続線24を通して接続された接続端子22aが6つ設けられている。SIMカード16には、6つの端子が設けられ、SIMカード16がトレイ14に載置されて筐体22の所定位置に収納されることにより、SIMカード16の6つの端子は下側筐体20の6つの接続端子と接続される。これにより、SIMカードは電子部品と接続される。
【0017】
下側筐体20の内側の両側の面には、トレイ14に設けられた後述する誘導用突起14bが摺動する面を有する一対の誘導棚22bがトレイ14の引き出し方向であるX方向に延びている。
誘導棚22bの後方側には、水平面22b1が設けられている。一方、誘導棚22bの前方側には、筐体22の底面21に対して直交する方向で、水平面22b1の延在するX方向に直交する高さ方向(Z方向)において、誘導棚22bの面が前方に進むに従って高くなる傾斜面22b2が設けられている。後述するトレイ14の誘導用突起14bは、トレイ14が引き出されるとき、誘導棚22の水平面22b1および傾斜面22b2を通る。すなわち、誘導棚22bは、誘導用突起14bを誘導する引き出し誘導路となっている。
本実施形態では、引き出し誘導路として誘導用突起14bが摺動する誘導棚が用いられるが、筐体22に形成され、誘導用突起14bと係合するスリット状の溝が引き出し誘導路として用いられてもよい。
【0018】
下側筐体20の誘導棚22bの側面には、側面の一部分が切り欠かれた切り欠き部22c(図2(b)参照)が設けられている。切り欠き部22cが設けられるX方向の位置は、傾斜面22b2のX方向の位置より、後方側に位置する。切り欠き部22cにおいて、誘導棚22bの面の一部分が切り欠かれて誘導棚22bの水平面22b1の幅が細くなっているが、後述する誘導用突起14bの通過を妨げない程度に切り欠かれている。切り欠き部22cの前方側には、底面21および配線板12に平行に延びる位置規制誘導溝22dが形成されている。位置規制誘導溝22dは、誘導棚22bのトレイ14の幅方向(X方向およびZ方向に直行する方向)外側の側面に位置する。位置規制誘導溝22dは、トレイ14を引き出すとき、後述するストッパ用突起14cが進入する溝である。すなわち、位置規制誘導溝22dは一方の端が切り欠き部22cに開口し、他方の端が閉塞する誘導溝であり、水平面22b1に平行に延びた溝である。位置規制誘導溝22dの溝幅はストッパ用突起14cが進入できる程度にストッパ用突起14cの突起幅に比べてやや広い。しかし、位置規制誘導溝22dの溝幅は、ストッパ用突起14cが位置規制誘導溝22dに進入したとき、位置規制誘導溝22dがストッパ用突起14cの高さ方向(Z方向)の位置を規制する程度の溝幅である。位置規制誘導溝22dの閉塞する端は、後述するストッパ用突起14cがこれ以上進むことができない終端として機能する。このときのトレイ14の位置がトレイ14の最大引き出し位置となる。
【0019】
上側筐体18は、下側筐体20の周りを覆う部材である。上側筐体18の側面には、下側筐体20の切り欠き部22cの位置に対応して、切り欠き部18aが設けられている。切り欠き部18aには、切り欠き部18aの後方側の端から前方の側に向かって突出した長片が設けられている。この長片は、上側筐体18の内側に向けて「く」の字形状に曲がった突出部18bが設けられている。突出部18bは、「く」の字形状の屈曲部が後述するストッパ用突起14cを押圧する押さえ部材となっている。
【0020】
トレイ14は、上側筐体18と下側筐体20でつくられる筐体22内に、SIMカード16を載置して収納する。トレイ14には、SIMカード16を収納したとき、SIMカード16が下側筐体20に設けられた接続端子22aと接続されるように、SIMカード16の載置面には切り欠き部14aが設けられている。また、SIMカード16を指で挟んで取り出すことができるように切り欠き部14eがトレイ14の前方側に設けられている。
筐体22の内面と対向するトレイ14の外側両方の側面には、誘導用突起14bとストッパ用突起14cが設けられている。誘導用突起14bは、ストッパ用突起14cとZ方向(高さ方向)において同じ高さ位置にある。ストッパ用突起14cはトレイ14の後方側(トレイ14の収納奥側)のトレイ14の端近傍に設けられ、誘導用突起14bはストッパ用突起14cに比べてわずかに前方側に設けられている。誘導棚22b上を移動する
誘導用突起14bは位置規制誘導溝22dの脇を通過するとき、位置規制誘導溝22dの閉塞する端と接触して移動が妨げられない程度にストッパ用突起14cに比べて突出高さが低くなっている。さらに、誘導用突起14bの、トレイ14の引き出し入り口側の角部は角落としされている。これにより、誘導用突起14bが誘導棚22b上を摺動するとき、傾斜面22b2を滑らかに移動することができる。
また、トレイ14は、トレイ14の前方側の前面に、作業者が指を用いてトレイ14を引き出すための爪部14dが設けられている。
【0021】
図3(a),(b)は、トレイ14が筐体22から引き出されるときの様子を示す。
図3(a)に示すように、誘導用突起14bが水平面22b1上に位置するとき、トレイ14の後方側に設けられているストッパ用突起14cも水平面22b1上に位置するので、トレイ14は配線板12の面に対して平行に引き出される。
【0022】
さらに、トレイ14が筐体20から引き出されると、図3(b)に示されるように、誘導用突起14bは、位置規制誘導溝22dの脇を通過して傾斜面22b2上を移動する。上述したように、誘導用突起14bはストッパ用突起14cに比べて突出高さが低いので、誘導用突起14bは位置規制誘導溝22dによって移動が阻止されること無く通過する。誘導用突起14bが傾斜面22b2上を移動するとき、トレイ14の後方側に設けられているストッパ用突起14cは依然として水平面22b1上を移動する。しかも、ストッパ用突起14cは、位置規制誘導溝22dに進入し、Z方向(高さ方向)の移動が規制されるので、ストッパ用突起14cは高さ方向に持ち上がらない。したがって、誘導用突起14bとストッパ用突起14cとのZ方向(高さ方向)の位置がずれることにより、トレイ14の前方側の位置が高くなるように傾斜を開始する。
【0023】
本実施形態では、誘導用突起14bとストッパ用突起14cは、Z方向(高さ方向)において同じ位置にあるが異なる位置にあってもよい。このとき、誘導用突起14のみが誘導棚22b上を移動してもよい。この場合、スットッパ用突起14cのZ方向(高さ方向)の位置に合わせて位置規制誘導溝22dが設けられるとよい。
【0024】
さらに、ストッパ用突起14cは位置規制誘導溝22dの終端に当接するまで移動する。ストッパ用突起14cは位置規制誘導溝22dの終端に当接したとき、トレイ14の引き出しは最大引き出し位置となる。このとき、トレイ14の後方側端部近傍に設けられているストッパ用突起14cは依然として水平面22b1上に位置し、ストッパ用突起14cは、高さ方向(Z方向)の移動が規制されている。このため、最大引き出し位置において、トレイ14は、トレイ14の前方側の位置が高くなるように傾斜した状態を維持する。
【0025】
このとき、ストッパ用突起14cは、上側筐体18の「く」の字形状を成した押さえ部材として機能する突出部18bの押さえを通過して、突出部18bと位置規制誘導溝22dの終端との間に位置する。ストッパ用突起14cが位置規制誘導溝22dの終端と当接するとき、同時に、ストッパ用突起14cは、押さえ部材として機能する突出部18bの押さえにより、X方向の前方側に付勢される。したがって、ストッパ用突起14cは、突出部18bと位置規制誘導溝22dの終端との間に係止される。このため、トレイ14は最大引き出し位置において配線板12に対して傾斜した状態で固定される。
【0026】
以上のように、トレイ14が引き出されて最大引き出し位置に近づくとき、誘導用突起14bは傾斜面22b2を移動する。このとき、ストッパ用突起14cは位置規制誘導溝22dに位置するので、ストッパ用突起14cの高さ方向の位置は一定に保たれる。したがって、図1に示すようにトレイ14の前方側が持ち上がってトレイ14は傾斜する。
【0027】
本実施形態では、SIMカードの収納を説明したが、カード状の電子モジュールは、SIMカード以外の電子モジュールであってもよい。電子モジュールは、例えば、スマートメディア等のメモリーカードを含む。
【0028】
上記実施形態は、以下に示す内容を開示する。
(付記1)
カード状の電子モジュールを電子部品と接続するカードコネクタであって、
配線板と接する底面を有し、カード状の電子モジュールを収納することにより、電子部品と接続した接続端子を介して電子モジュールを電子部品と接続させる筐体と、
電子モジュールを載置した状態で、前記筐体に対して引き出し自在に可動するトレイと、を有し、
前記筐体と対向する前記トレイの面には、前記トレイの引き出し経路を定める誘導用突起と、前記トレイの最大引き出し位置を定めるストッパ用突起と、が設けられ、
前記トレイと対向する前記筐体の面には、前記トレイの引き出し方向に延在し、前記誘導用突起を誘導する引き出し誘導路が設けられ、
前記筐体の底面に直交する高さ方向の位置に関して、前記トレイが引き出されて前記最大引き出し位置に近づくとき、前記誘導用突起の前記高さ方向の位置を前記底面から離れるように変化させる誘導用傾斜路を前記引き出し誘導路は含み、かつ、前記誘導用突起が前記誘導用傾斜路を移動するとき、前記ストッパ用突起の前記高さ方向の位置を一定に保つ前記ストッパ用突起の位置規制誘導路が、前記筐体に設けられている、ことを特徴とするカードコネクタ。
【0029】
(付記2)
前記筐体に設けられる前記位置規制誘導路は、前記引き出し誘導路の前記延在方向に延び、前記ストッパ用突起の前記高さ方向の位置を規制するように前記高さ方向の幅を有する、一端が開口し他端が閉塞した溝であり、前記誘導用突起が前記誘導用傾斜路を通過するとき、前記ストッパ用突起は前記溝を通過する、付記1に記載のカードコネクタ。
【0030】
(付記3)
前記引き出し誘導路は、前記誘導用突起が摺動する面を有する誘導棚であり、
前記誘導用突起と前記ストッパ用突起は、前記高さ方向の同じ位置に設けられ、
前記ストッパ用突起は、前記誘導用突起に比べて前記トレイの収納奥側に設けられ、
前記誘導用突起の突出高さは、前記誘導用突起が前記溝の閉塞端によって移動が妨げられない程度に前記ストッパ用突起の突出高さに比べて低い、付記2に記載のカードコネクタ。
【0031】
(付記4)
前記位置規制誘導路は、前記ストッパ用突起の移動を規制する終端を有し、
前記位置規制誘導路には、前記トレイが前記最大引き出し位置にあるとき前記ストッパ用突起を押圧する押さえ部材が設けられ、前記トレイの前記最大引き出し位置において、前記ストッパ用突起は、前記位置規制誘導路の終端と前記押さえ部材の押圧とによって位置が固定される、付記1〜3のいずれか1項に記載のカードコネクタ。
【0032】
(付記5)
前記押さえ部材は、前記引き出し誘導路に向かって「く」の字形状に突出した平板ばねであり、前記平板ばねの前記「く」の字形状の突出部は、前記ストッパ用突起が前記突出部を通過するとき前記ストッパ用突起と接触することにより前記ストッパ用突起を押圧する、付記4に記載のカードコネクタ。
【0033】
(付記6)
カード状の電子モジュールと電子部品を接続するカードコネクタを配線板に備えた配線板ユニットであって、
前記カードコネクタは、
配線板と接する底面を有し、カード状の電子モジュールを収納することにより、電子部品と接続した接続端子を介して電子モジュールを電子部品と接続させる筐体と、
電子モジュールを載置した状態で、前記筐体に対して引き出し自在に可動するトレイと、を有し、
前記筐体の内面と対向する前記トレイの外面には、前記トレイの引き出し経路を定める誘導用突起と、前記トレイの最大引き出し位置を定めるストッパ用突起と、が設けられ、
前記筐体の前記トレイと対向する内面には、前記トレイの引き出し方向に延在し、前記誘導用突起を誘導する引き出し誘導路が設けられ、
前記筐体の底面に直交する高さ方向の位置に関して、前記トレイが引き出されて前記最大引き出し位置に近づくとき、前記誘導用突起の前記高さ方向の位置を前記配線板から離れるように変化させる誘導用傾斜路を前記引き出し誘導路は含み、かつ、前記誘導用突起が前記誘導用傾斜路を移動するとき、前記ストッパ用突起の前記高さ方向の位置を一定に保つ前記ストッパ用突起の位置規制誘導路が、前記筐体に設けられている、ことを特徴とする配線板ユニット。
【0034】
(付記7)
前記筐体に設けられる前記位置規制誘導路は、前記引き出し誘導路の前記延在方向に延び、前記ストッパ用突起の前記高さ方向の位置を規制するように前記高さ方向の幅を有する、一端が開口し他端が閉塞した溝であり、前記誘導用突起が前記誘導用傾斜路を通過するとき、前記ストッパ用突起は前記溝を通過する、付記6に記載の配線板ユニット。
【0035】
(付記8)
前記引き出し誘導路は、前記誘導用突起が摺動する面を有する誘導棚であり、
前記誘導用突起と前記ストッパ用突起は、前記高さ方向の同じ位置に設けられ、
前記ストッパ用突起は、前記誘導用突起に比べて前記トレイの収納奥側に設けられ、
前記誘導用突起の突出高さは、前記誘導用突起が前記溝の閉塞端によって移動が妨げられない程度に前記ストッパ用突起の突出高さに比べて低い、付記7に記載の配線板ユニット。
【0036】
(付記9)
前記位置規制誘導路は、前記ストッパ用突起の移動を規制する終端を有し、
前記位置規制誘導路には、前記トレイが前記最大引き出し位置にあるとき前記ストッパ用突起を押圧する押さえ部材が設けられ、前記トレイの前記最大引き出し位置において、前記ストッパ用突起は、前記位置規制誘導路の終端と前記押さえ部材の押圧とによって位置が固定される、付記6〜8のいずれか1項に記載の配線板ユニット。
【0037】
(付記10)
前記押さえ部材は、前記引き出し誘導路に向かって「く」の字形状に突出した平板ばねであり、前記平板ばねの前記「く」の字形状の突出部は、前記ストッパ用突起が前記突出部を通過するとき前記ストッパ用突起と接触することにより前記ストッパ用突起を押圧する、付記9に記載の配線板ユニット。
【0038】
(付記11)
カード状の電子モジュールと電子部品を接続するカードコネクタを配線板に備えた電子機器であって、
前記カードコネクタは、
配線板と接する底面を有し、カード状の電子モジュールを収納することにより、電子部品と接続した接続端子を介して電子モジュールを電子部品と接続させる筐体と、
電子モジュールを載置した状態で、前記筐体に対して引き出し自在に可動するトレイと、を有し、
前記筐体の内面と対向する前記トレイの外面には、前記トレイの引き出し経路を定める誘導用突起と、前記トレイの最大引き出し位置を定めるストッパ用突起と、が設けられ、
前記筐体の前記トレイと対向する内面には、前記トレイの引き出し方向に延在し、前記誘導用突起を誘導する引き出し誘導路が設けられ、
前記筐体の底面に直交する高さ方向の位置に関して、前記トレイが引き出されて前記最大引き出し位置に近づくとき、前記誘導用突起の前記高さ方向の位置を変化させる誘導用傾斜路を前記引き出し誘導路は含み、かつ、前記誘導用突起が前記誘導用傾斜路を移動するとき、前記ストッパ用突起の前記高さ方向の位置を一定に保つ前記ストッパ用突起の位置規制誘導路が、前記筐体に設けられている、ことを特徴とする電子機器。
【0039】
以上、本発明のカードコネクタ、配線板ユニットおよび電子機器について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0040】
10,100 カードコネクタ
12,106 配線板
14,104 トレイ
14a,14e,18a,22c、110 切り欠き部
14b 誘導用突起
14c ストッパ用突起
14d 爪部
16,103 SIMカード
18 上側筐体
18b 突出部
20 下側筐体
21 底面
22.102 筐体
22a 接続端子
22b 誘導棚
22b1 水平面
22b2 傾斜面
22d 位置規制溝
24 接続線
108 トレイ爪部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード状の電子モジュールを電子部品と接続するカードコネクタであって、
配線板と接する底面を有し、カード状の電子モジュールを収納することにより、電子部品と接続した接続端子を介して電子モジュールを電子部品と接続させる筐体と、
電子モジュールを載置した状態で、前記筐体に対して引き出し自在に可動するトレイと、を有し、
前記筐体と対向する前記トレイの面には、前記トレイの引き出し経路を定める誘導用突起と、前記トレイの最大引き出し位置を定めるストッパ用突起と、が設けられ、
前記筐体の前記トレイと対向する面には、前記トレイの引き出し方向に延在し、前記誘導用突起を誘導する引き出し誘導路が設けられ、
前記筐体の底面に直交する高さ方向の位置に関して、前記トレイが引き出されて前記最大引き出し位置に近づくとき、前記誘導用突起の前記高さ方向の位置を前記底面から離れるように変化させる誘導用傾斜路を前記引き出し誘導路は含み、かつ、前記誘導用突起が前記誘導用傾斜路を移動するとき、前記ストッパ用突起の前記高さ方向の位置を一定に保つ前記ストッパ用突起の位置規制誘導路が、前記筐体に設けられている、ことを特徴とするカードコネクタ。
【請求項2】
前記筐体に設けられる前記位置規制誘導路は、前記引き出し誘導路の前記延在方向に延び、前記ストッパ用突起の前記高さ方向の位置を規制するように前記高さ方向の幅を有する、一端が開口し他端が閉塞した誘導溝であり、前記誘導用突起が前記誘導用傾斜路を通過するとき、前記ストッパ用突起は前記誘導溝に位置する、請求項1に記載のカードコネクタ。
【請求項3】
前記引き出し誘導路は、前記誘導用突起が摺動する面を有する誘導棚であり、
前記誘導用突起と前記ストッパ用突起は、前記高さ方向の同じ位置に設けられ、
前記ストッパ用突起は、前記誘導用突起に比べて前記トレイの収納奥側に設けられ、
前記誘導用突起の突出高さは、前記誘導用突起が前記誘導溝の閉塞端によって移動が妨げられない程度に前記ストッパ用突起の突出高さに比べて低い、請求項2に記載のカードコネクタ。
【請求項4】
前記位置規制誘導路は、前記ストッパ用突起の移動を規制する終端を有し、
前記位置規制誘導路には、前記トレイが前記最大引き出し位置にあるとき前記ストッパ用突起を押圧する押さえ部材が設けられ、前記トレイの前記最大引き出し位置において、前記ストッパ用突起は、前記位置規制誘導路の終端と前記押さえ部材の押圧とによって位置が固定される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカードコネクタ。
【請求項5】
前記押さえ部材は、前記引き出し誘導路に向かって「く」の字形状に突出した平板ばねであり、前記平板ばねの前記「く」の字形状の突出部は、前記ストッパ用突起が前記突出部を通過するとき前記ストッパ用突起と接触することにより前記ストッパ用突起を押圧する、請求項4に記載のカードコネクタ。
【請求項6】
カード状の電子モジュールと電子部品を接続するカードコネクタを配線板に備えた配線板ユニットであって、
前記カードコネクタは、
配線板と接する底面を有し、カード状の電子モジュールを収納することにより、電子部品と接続した接続端子を介して電子モジュールを電子部品と接続させる筐体と、
電子モジュールを載置した状態で、前記筐体に対して引き出し自在に可動するトレイと、を有し、
前記筐体と対向する前記トレイの面には、前記トレイの引き出し経路を定める誘導用突起と、前記トレイの最大引き出し位置を定めるストッパ用突起と、が設けられ、
前記トレイと対向する前記筐体の面には、前記トレイの引き出し方向に延在し、前記誘導用突起を誘導する引き出し誘導路が設けられ、
前記筐体の底面に直交する高さ方向の位置に関して、前記トレイが引き出されて前記最大引き出し位置に近づくとき、前記誘導用突起の前記高さ方向の位置を前記配線板から離れるように変化させる誘導用傾斜路を前記引き出し誘導路は含み、かつ、前記誘導用突起が前記誘導用傾斜路を移動するとき、前記ストッパ用突起の前記高さ方向の位置を一定に保つ前記ストッパ用突起の位置規制誘導路が、前記筐体に設けられている、ことを特徴とする配線板ユニット。
【請求項7】
カード状の電子モジュールと電子部品を接続するカードコネクタを配線板に備えた電子機器であって、
前記カードコネクタは、
配線板と接する底面を有し、カード状の電子モジュールを収納することにより、電子部品と接続した接続端子を介して電子モジュールを電子部品と接続させる筐体と、
電子モジュールを載置した状態で、前記筐体に対して引き出し自在に可動するトレイと、を有し、
前記筐体と対向する前記トレイの面には、前記トレイの引き出し経路を定める誘導用突起と、前記トレイの最大引き出し位置を定めるストッパ用突起と、が設けられ、
前記トレイと対向する前記筐体の面には、前記トレイの引き出し方向に延在し、前記誘導用突起を誘導する引き出し誘導路が設けられ、
前記筐体の底面に直交する高さ方向の位置に関して、前記トレイが引き出されて前記最大引き出し位置に近づくとき、前記誘導用突起の前記高さ方向の位置を前記配線板から離れるように変化させる誘導用傾斜路を前記引き出し誘導路は含み、かつ、前記誘導用突起が前記誘導用傾斜路を移動するとき、前記ストッパ用突起の前記高さ方向の位置を一定に保つ前記ストッパ用突起の位置規制誘導路が、前記筐体に設けられている、ことを特徴とする電子機器。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−69475(P2012−69475A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215284(P2010−215284)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】