カードコネクタの誤挿入防止機構およびカードコネクタ
【課題】 簡素な構造のカードコネクタの誤挿入防止機構および低コスト化が容易なカードコネクタを提供する。
【解決手段】 ベース部材とカバー部材により、カード挿抜口を備えたカード収容空間が形成されているカードコネクタにあって、上壁12aおよび左右の側12b壁を有するカバー部材12に一枚の金属板で一体に形成され、左右の側壁12bに沿い形成された一対の片持ち梁状板ばねからなるガイド部材25と、上記上壁12aに支持されカード収容空間の方向に張り出す誤挿入防止ばね板23と、からなり、前記誤挿入防止ばね板23は、ガイド部材25に設けられている一対の識別突起部25cのいずれもがカード収容空間から左右の側壁12b側に後退することにより、カバー部材12の上壁12a側に変位できるようになっている。
【解決手段】 ベース部材とカバー部材により、カード挿抜口を備えたカード収容空間が形成されているカードコネクタにあって、上壁12aおよび左右の側12b壁を有するカバー部材12に一枚の金属板で一体に形成され、左右の側壁12bに沿い形成された一対の片持ち梁状板ばねからなるガイド部材25と、上記上壁12aに支持されカード収容空間の方向に張り出す誤挿入防止ばね板23と、からなり、前記誤挿入防止ばね板23は、ガイド部材25に設けられている一対の識別突起部25cのいずれもがカード収容空間から左右の側壁12b側に後退することにより、カバー部材12の上壁12a側に変位できるようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード誤挿入防止機構およびそれを備えたカードコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン、カメラ、録音機、携帯電話、携帯型オーディオ、PDA(Personal Digital Assistance)、各種情報端末機器などの電子機器において、多くのICカードが用いられるようになってきている。ICカードには、情報の記録、伝達あるいは処理に用いられるICチップと呼ばれるIC部品が組込まれたPCカード、MMC(Multi Media Card)カード、SD(Secure Digital)カード、SIM(Subscriber Identity Module)カード等がある。これ等のICカードは上記機器に取り付けられたカードコネクタに装着され使用される。そして、上記電子機器の小型化に伴い、装着されるICカードも小型化、薄型化が進み、大きさの異なる種々のICカードが出現している。なお、本明細書中において、ICカードは、例えばフラッシュメモリ型の記録媒体のようなハードディスクとして機能するカード類なども含むものとする。
【0003】
このように多種類のICカードが出現すると共に、電子機器の機能拡張を図るために、互いに形状の異なる複数のICカードをできるだけ多く併用できるカードコネクタが要求されている。そして、複数のICカードが例えば選択的に装着できるいわゆるカード用複合コネクタが種々に提案されている。この複合コネクタの構造においては、所定のICカードの正規のカード収容部とは異なる他のカード収容部への使用者による誤った挿入操作を回避する機構が必要になる。また、カードコネクタにおいて使用されることのない想定外のICカード挿入を阻止できるようにすることが好ましい。これは、想定外にICカードが挿入されると、カードコネクタから取り出すことが難しくなり、無理やり取り出さそうとしてカードコネクタの構成部品の変形あるいは損傷を引き起こす虞があるからである。
【0004】
上記対策を施したカード用複合コネクタとして、装着されるICカードを識別し、不適切なカードの使用を阻止する誤挿入防止機構を備えたカードコネクタが提示され、そして、これまで好適に用いられている(例えば、特許文献1参照)。このカード誤挿入防止機構は、ベース部材と、ベース部材に組み合わされることでカード収容部を形成するカバー部材とを有するカードコネクタにおいて、ベース部材側に取り付けられる。例えば横方向の寸法が異なる2種類のICカードのうちの所定のICカードの誤ったカード収容部への挿入操作を規制するように、共通のカード挿抜口近傍の内部に備えられている。
【0005】
この誤挿入防止機構は、誤挿入規制部材(シャッター部材)、シャッター部材をロック状態又はアンロック状態にするロック/アンロック部材(ガイド部材)、シャッター部材を付勢する付勢部材(ねじりコイルばね)を含んで構成される。ここで、シャッター部材は、カード挿抜方向に直交する方向(横方向)して延在し、横幅の広い方のICカード用のカード収容部に対して、横幅の狭い方のICカードの誤った挿入操作を規制する。ガイド部材は、ICカードの横幅を識別し、横幅の狭い方のICカードの挿入を規制する第1の状態(ロック状態)と、横幅の広い方のICカードの挿入を可能にする第2の状態(アンロック状態)とをシャッター部材にとらせる。そして、ねじりコイルばねは、シャッター部材をカード挿入方向とは反対方向に付勢する。
【0006】
また、上記誤挿入防止機構がベース部材側に取り付けられるカードコネクタに対し、不適切なICカードの使用を阻止する誤挿入防止機構がカバー部材側に設けられたカードコネクタが開示されている(例えば、特許文献2参照)。この場合の誤挿入防止機構は、カバー部材に一体に設けられ、例えば、弾性変形する規制板、この規制板の両端部に設けられた突出部を備えている。
【0007】
上記規制板は、例えばカバー部材となる板金カバーにおいて、その天板部の所定の領域が切り起こし片として形成されたものであり、その先端部がベース部材の方向に張り出している。そして、上記一対の突出部は、これ等に接触する横幅をもつICカードをカード収容部に挿入できるように、規制板を天板部側に変位させる構造になっている。このようなカードコネクタは、ICカードの挿入においてシャッター部材の摺接によるカード損傷を防止すると共に、誤挿入防止機構を簡素化するものとして提案されている。カバー部材となる蓋ボディをシャッター部材となる引っ掛け押さえ部として利用する例は特許文献3にも見受けられる。前記引っ掛け押さえ部の両側にストッパー片が設けられており、この2つのストッパー片を、蓋ボディとは別部材の2つの挟み片が押さえつけている。挟み片は、自由端がカードの挿抜口側に延在し、挿抜口に対向するように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2008−243461号公報
【特許文献2】特開平2009−295294号公報
【特許文献3】実用新案登録第3105276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、カード誤挿入防止機構を備えたカード用複合コネクタは、電子機器の機能拡張に対応して高機能化する一方で、その低コスト化の検討が必要になってきている。例えば特許文献1で示されるカード誤挿入防止機構の製造では、その構成部品のシャッター部材、一対のガイド部材および一対のねじりコイルばねは、それぞれ金属素材から加工形成され、樹脂製のベース部材に組み込まれる。そこで、上記構造の誤挿入防止機構を備えたカードコネクタの低コスト化では、その部品点数の削減ができないため、各部品の素材の低廉価あるいはその製造方法の簡素化が必要になる。しかし、このような手法による低コスト化の促進には限界がある。
【0010】
一方、特許文献2で示されたようなカード誤挿入防止機構の製造では、上記規制板および突出部は、例えば板金カバーのプレス加工によりカバー部材と一体に形成される。そして、そのカードコネクタでは、誤挿入防止機構の部品点数が大きく削減され、それに伴い組み立て工数が低減して製造方法が簡素化される。これ等のために、その低コスト化が極めて容易になる。しかしながら、特許文献2に提示されているような誤挿入防止機構では、一対の突出部の一方にICカードが接触する場合であっても、その規制板が天板部側に変位することがある。このために、不適切なICカードがカードコネクタのカード収容部に挿入するのを確実、安定的に阻止することができない虞がある。特許文献3に示された両用メモリーカード接続器においては、蓋ボディに設けた引っ掛け押さえ部の両側のストッパー片を押さえつける挟みばね片が別部材として2つ必要となり、部品点数が多くなる。またストッパー片と挟みばね片が重なりあい、構造が複雑となるため、一枚の金属板の板金加工ができない。また、挟みばね片の自由端がカードの挿抜口側に向かって延在している。しかしながら、カードコネクタ小型化の要望により、カードコネクタの全長も制限され、挟みばね片をカードコネクタ内に配置した場合に確保できるばね長には制限がある。そのため、カードコネクタが小型化されるにつれ、挟みばね片のばね長も短くなり、ばねとしての耐久性が低くなる可能性がある。
【0011】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、装着されるICカードを識別して不適切なICカードのカードコネクタへの挿入を確実、安定的に防止し、その部品点数が少なく簡素な構成になるカードコネクタの誤挿入防止機構を提供する。そして、電子機器の機能拡張に対応した高機能化を維持し、その低コスト化を容易にするカードコネクタを提供できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明にかかるカードコネクタの誤挿入防止機構は、複数のコンタクトを有するベース部材と該ベース部材に重ね合わされる板ばね材料からなるカバー部材とにより、カード挿抜口を備えたカード収容空間が形成されているカードコネクタにあって、カバー部材はガイド部材と誤挿入防止ばね板を一枚の金属板の一体成型で備えており、ガイド部材は少なくとも上壁および左右の側壁を有するカバー部材に一体に形成され、左右の側壁に連なり折り返され、カード挿抜方向に伸びるように形成された一対の片持ち梁状板ばねを有し、該片持ち梁状板ばねのそれぞれに一体に形成されカード挿抜口近くでカード収容空間内に突出している一対のカード識別突起を備えており、誤挿入防止ばね板は上壁に支持されカード収容空間の方向に張り出しており、誤挿入防止ばね板は、一対のカード識別突起のいずれもがカード収容空間からカバー部材の左右の側壁側に後退することにより、カバー部材の上壁側に変位できるようになっている。
【0013】
そして、本発明にかかるカードコネクタは、ベース部材とカバー部材が重ね合わされ金属製の仕切り板により画成されて、カバー部材からベース部材に向かって第1の収容部および第2の収容部の階層構造に形成されたカード収容部と、前記第1の収容部および前記第2の収容部に連通するカード挿抜部と、上述したカードコネクタの誤挿入防止機構とを有し、大きさの異なる2種類のカードのうち第1の収容部に大きいカードが装着され、第2の収容部に小さいカードが装着されるようになっている。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、装着されるICカードが識別されて、不適切なICカードのカードコネクタへの挿入が確実、安定的に阻止され、その部品点数の少ない簡素な構造になるカードコネクタの誤挿入防止機構が提供される。そして、この誤挿入防止機構を備えたカードコネクタは、電子機器の機能拡張に対応した高機能化を維持しながら、その低コスト化を促進する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態にかかるカード誤挿入防止機構が設けられたカバー部材をベース部材から取り外して示したカードコネクタの一例の分解斜視図である。
【図2】図1のカードコネクタの仕切り板を取り外して示したカードコネクタのベース部材の斜視図である。
【図3】カード誤挿入防止機構が設けられたカバー部材を示し、(a)はロック状態の下方斜視図であり、(b)はアンロック状態の下方斜視図である。
【図4】カバー部材に設けられたカード誤挿入防止機構の一部拡大斜視図である。
【図5】本発明の実施形態におけるカードコネクタに挿抜される2種類のICカードの一例を示し、(a)はその大きな方のカードの下方平面図であり、(b)は小さな方のカードの下方平面図である。
【図6】本発明の実施形態にかかるカードコネクタに大きな方のICカードを装着した状態を示し、(a)はICカードおよびガイド部材を透視した上面図であり、(b)は(a)のA−A矢視の断面図である。
【図7】本発明の実施形態にかかるカードコネクタに小さい方のICカードを装着した状態を示し、(a)はICカードおよびガイド部材を透視した上面図であり、(b)は(a)のB−B矢視の断面図である。
【図8】本発明の実施形態にかかるカード誤挿入防止機構の作用効果の説明に供する図であり、(a)は小さい方のICカードを挿入防止した状態におけるカードおよびガイド部材透視の上面図であり、(b)は(a)のC−C矢視の断面図である。
【図9】本発明の実施形態にかかるカード誤挿入防止機構の作用効果の説明に供する図であり、(a)は小さい方のICカードによりカード誤挿入防止機構の一方がロック解除された状態におけるカードおよびガイド部材透視の上面図であり、(b)は(a)のD−D矢視の断面図である。
【図10】本発明の実施形態にかかるカード誤挿入防止機構の作用効果の説明に供する図であり、(a)は小さい方のICカードがカード誤挿入防止機構の一方をロック解除し、更に他方をロック解除しようとする状態におけるカードおよびガイド部材透視の上面図であり、(b)はその状態における(a)のE−E矢視の断面図である。
【図11】本発明の実施形態のカバー部材の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。この実施形態では大きなカードと小さなカードの2種類のICカードが装着されるカード用複合コネクタの場合について説明される。図1ないし図3は本実施形態のカードコネクタの一例を示す図であって、図1はカード誤挿入防止機構が設けられたカバー部材をベース部材から取り外して示したカードコネクタの分解斜視図である。図2は図1に示すカードコネクタの仕切り板を取り外して示したベース部材の斜視図である。図3はカード誤挿入防止機構が設けられたカバー部材を示し、(a)はそれがロック状態の下方斜視図であり、(b)はそれがアンロック状態の下方斜視図である。
【0017】
そして、図4はカバー部材に設けられたカード誤挿入防止機構の一部拡大斜視図である。また、図5はカードコネクタに挿抜される2種類のICカードの一例を示し、(a)はその大きな方のカードの下方平面図であり、(b)は小さな方のカードの下方平面図である。以下、図面においては、その要部に符号が付され、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は一部省略される。
【0018】
なお、本明細書において、用語「前」及び「後」は、それぞれ、図1ないし図3において、+x方向及び−x方向を示し、用語「左」及び「右」は、それぞれ、それ等の図において、+y方向及び−y方向を示し、用語「上」及び「下」は、それぞれ、それ等の図において、+z方向及び−z方向を示すものとする。
【0019】
図1および図2に示すように、本実施形態のカードコネクタ10では、コネクタ本体のベース部材11と、このベース部材に重ね合わされるカバー部材12とによりカード収容空間13が形成されている。ここで、ベース部材11は例えば加工性に優れた絶縁性の合成樹脂材料の射出成形により作られ、カバー部材12は例えばステンレス等の一枚の金属板材料(板ばね材料)の打ち抜き曲げ加工により形成される。
【0020】
そして、カード収容空間13の後端にカード挿抜口14が設けられる。このカード挿抜口14は、例えば図5(a)に示した第1のカード100が挿抜される第1の挿抜口14aと、例えば図5(b)に示した第2のカード200が挿抜される第2の挿抜口14bからなる。また、カード収容空間13は、中空で扁平なカード収容部15が形成されている。このカード収容部15は、上記第1のカード100が装着される第1の収容部15aと第2のカード200が装着される第2の収容部15bの階層構造になっている。ここで、第1の収容部15aおよび第2の収容部15bは、それぞれ第1の挿抜口14aおよび第2の挿抜口14bにカード収容空間13内で連通し、仕切り板16により区画されている。
【0021】
更に、カード収容空間13の前端には、第1のカード100のカード本体101の前端部に設けられたコンタクトパッド102と加圧接触する多数の第1のコンタクト列17が、ベース部材11の底壁18に設けた複数の固定溝19内に植設されている。これ等のコンタクト列17は、それぞれにカード挿抜方向に伸びた弾性接片からなる。そして、カードコネクタ10の搭載される電子機器の外部端子に電気的に接続される第1の接続端子部17aとして、例えばベース部材11の前壁から外部に延出するように形成されている。同様に、第2のカード200のコンタクトパッド202と加圧接触する多数の第2のコンタクト列20が植設され、電子機器の外部端子に接続される第2の接続端子部20aとして、例えば第2の挿抜口14bからカードコネクタ外部に延出している。
【0022】
上述したベース部材11の底壁18およびその左右の側壁は所要の形状に成形してある。ここで、ベース部材11の底壁18には、仕切り板16を挟んで第1の収容部15aを構成する第1の底壁18a、第2の収容部15bを構成する第2の底壁18bが形成されている。更に、傾斜面を有して仕切り板16の後端部を係合する有低の仕切り板係合凹部18cが形成されている。また、ベース部材11の後方において、その左右の側壁にそれぞれのガイド部材を係合して固定する有底の左ガイド嵌合凹部21aおよび右ガイド嵌合凹部21bが形成されている。
【0023】
上記仕切り板16は、その前方が断面略U字形をなし、底壁16a、左右の側壁16bを含み、金属薄板からプレス加工により製造される。底壁16aは、左右の弾性脚部16c、その前端と後方に形成される2つの開口窓16d、16e、および一対のカード導入傾斜面16fを有する。左右の弾性脚部16cは、それぞれ底壁16aの下方に向けて切り起こされ、弾性を有し、カードコネクタ10として組み立てられたとき、仕切り板16をカバー部材12の上壁12aに対して弾性的に押し付ける。そして、仕切り板16の底壁16aとカバー部材12の上壁12aとの間には、装着が予定されている第1のカード100が収容される第1の収容部15aが形成される。この第1のカード100は例えばSDカードである。
【0024】
ここで、第1のカード100がカード導入傾斜面16fにより案内されて第1の収容部15aに挿入されると、仕切り板16は押し下げられる。その反力で、仕切り板16は、第1のカード100をカバー部材12の上壁12aに押し付ける。また、仕切り板16の底壁16aとベース部材11の第2の底壁18bとの間には第2のカード200が収容される第2の収容部15bが形成される。この第2のカード200が例えばMicroSDカードである。
【0025】
仕切り板16の底壁16aの前端に設けられる開口窓16dでは、第1のカード100のコンタクトパッド102に接触する第1のコンタクト列17の接点部が第1の収容部15a内に突出できるように配置される。底壁16aの後方に設けられる開口窓16eは、第2のカード200のカード本体201の前端部に設けられたコンタクトパッド202に接触する第2のコンタクト列20の接点部に対応して設けられる。この開口窓16eは、第1のカード100が挿入されたとき、仕切り板16が下降するが、この時、仕切り板16の底壁16aが第2のコンタクト列20を押圧しそれ等が短絡するのを防止するために設けられている。
【0026】
カバー部材12は、上から見てベース部材11と相似形の例えば矩形状をなし、上壁12a、左右の側壁12bおよび前壁12cを備え、下方および後方が開放している。そして、カバー部材12の上壁12aに例えば打ち抜き部22が施されて、弾性変形する誤挿入防止ばね板23が下向きに切り起こされ形成されている。ここで、その切り起こされる折り曲げ部分の基端部23aはカバー部材12の上壁12aに連なり、その先端部23bが自由端になる。そして、基端部23aの領域の上壁12aに所要のばね調整用開口24a、24bが設けられている。更に、誤挿入防止ばね板23には、その先端部23bの少し後方に位置する両端部に係合片として防止ばね板係合部23cが設けられ、ガイド部材25に設けられた例えば係合開口25aに係止されるようになっている。このような誤挿入防止ばね板23がICカード挿入のシャッター部材となる。誤挿入防止ばね板23の先端部23bおよびばね片であるガイド部材25の各自由端はカード挿抜口から挿入されるカードに対して背向している。これらのばね片はカバー部材を一枚の金属板から板金打ち抜き加工するときに一体に形成される。図11はカバー部材を展開した平面図であり、製造法上、構造が簡単であり、各部を折り曲げて容易に形成できる。
【0027】
次に、図3および図4を参照して、本実施形態にかかるカード誤挿入防止機構を構成する上記誤挿入防止ばね板23とガイド部材25について詳細に説明する。誤挿入防止ばね板23とガイド部材25は、装着が予定されている第1のカード100かどうかを識別し、第2のカード200あるいは想定外のカードが第1の収容部15aに入り込むのを防止する部材である。図3に示されるように、ガイド部材25は、カバー部材12の左右の側壁12bに沿って左右対称に一対に設けられる。
【0028】
ガイド部材25は、例えばステンレス等の板ばね材料の打ち抜き曲げ加工により、カバー部材12と一体に形成され、左右の側壁12bに連なり湾曲して折り返され、カード挿抜方向に伸びた弾性変形可能な片持ち梁状板ばねになっている。折り返されることにより、コネクタの小型化を妨げずに、ばね長を長くすることができ、ばねとしての耐久性が高くなる。そして、この一対のガイド部材25は、それぞれ、左右の側壁12bを固定部として、湾曲部25b、識別突起部25c、および係合開口25aが設けられる偏倚板25dを含む。この一対のガイド部材25は、それぞれベース部材11に設けられた左ガイド嵌合凹部21aおよび右ガイド嵌合凹部21bに嵌め込まれるようになる。
【0029】
識別突起部25cは、カードコネクタ10に装着される第1のカード100が認識できるようにカード挿抜口14の方向に突き出るように形成されている。ここで、一対のガイド部材25のそれぞれに設けられた2つの識別突起部25cの間の間隔が少なくとも第1のカード100の幅より小さくなるように、そして第2のカード200の幅より大きくなるように設定される。識別突起部25cの位置はカード挿抜口14の近くに配置している。すなわち異種カードが誤挿入されたときに、カードの一部が挿抜口14から飛び出している状態までの内側とする。望ましくは挿抜口と誤挿入防止ばね板の基端部23a間に位置させる。
【0030】
偏倚板25dは、固定部である左右の側壁12bに対して湾曲部25bを介して弾性変形可能に形成されており、その前端部に設けられた係合開口25aが誤挿入防止ばね板23の防止ばね板係合部23cと係合するように形成されている。そして、この係合開口25aが誤挿入防止ばね板23をロック状態あるいはアンロック状態にする。
【0031】
図4は、例えば図3(a)に示すような状態であり、カードコネクタ10にICカードが挿入または装着されていない状態を示している。ここで、誤挿入防止ばね板23は、その先端部23bの近くの領域に設けられた防止ばね板係合部23cが偏倚板25dの係合開口25aと係合して、ICカードのカードコネクタ10への挿入を阻止するようになっている。この防止ばね板係合部23cの先端は好ましくは上方に鉤状に屈曲した形状の屈曲部23dを有する。この屈曲部25dの機能については後述される。
【0032】
このようなカード誤挿入防止機構では、第1のカード100がカードコネクタ10に挿入されるとき、一対のガイド部材25の左右の識別突起部25cは、同時に第1のカード100の左右横部で押圧され左右に開かれる。すなわち、識別突起部25cは、カード挿抜口14から引っ込み、カバー部材12の左右の側壁12b側に同時に後退する。それに伴い、図3(b)に示すように、左右の偏倚板25dも左右に偏倚し、誤挿入防止ばね板23の防止ばね板係合部23cは、偏倚板25dに設けられている係合開口25aから外れる。そして、第1のカード100は、その前端部が誤挿入防止ばね板23を容易に上方に押上げ挿入できるようになる。
【0033】
これに対して、例えば第2のカード200のようにその幅が小さく、ICカードが一対のガイド部材25の識別突起部25cを同時に押圧しない場合には、誤挿入防止ばね板23は係合開口25aとの係合が解除されない。そして、そのカードの前端部が誤挿入防止ばね板23を上方に押上げることができず、その挿入は阻止される。また、カードコネクタ10に装着されない想定外のICカード挿入の場合でも、同様にして本実施形態のカード誤挿入防止機構がその挿入を阻止するように働く。これ等の作用効果の詳細については後述される。
【0034】
次に、本実施形態のカード誤挿入防止機構を備えたカードコネクタ10の動作について図1ないし図5、および図6と図7を参照して説明する。ここで、図6は第1のカード100をカードコネクタ10に装着した状態を示し、(a)はICカードおよびガイド部材を透視した上面図であり、(b)は(a)のA−A矢視の断面図である。また、図7は第2のカード200を装着した状態を示し、(a)はICカードおよびガイド部材を透視した上面図であり、(b)は(a)のB−B矢視の断面図である。
【0035】
図6に示したような第1のカード100の装着では、第1のカード100はカード誤挿入防止機構をアンロック状態にし、誤挿入防止ばね板23を上方に押上げて、図1で説明した第1の収容部15aに収容される。そして、そのコンタクトパッド102が第1のコンタクト列17に加圧接触する。この場合、仕切り板16はベース部材11の第1の底壁18に押し付けられ、第2の収容部15bは狭くなる。そこで、通常では、第1のカード100が装着されている状態下において、第2のカード200は装着されない。
【0036】
なお、このICカードの挿入は、第1の挿抜口14aから前方にむけてICカードの後端部を押圧する手差しで行われる。ここで、第1のカード100が誤挿入防止機構のアンロック状態の下に第1の収容部15aに挿入される場合、仕切り板16の後端部に設けられている一対のカード導入傾斜面16fに案内される。そして、このICカードのカードコネクタ10からの脱着は、逆にICカード100の後端部を第1の挿抜口14aから後方にむけて後方へ引き出すことにより行われる。ここで、カードコネクタにいわゆるプッシュイン・プッシュアウト機構が備えられていると、カード後端部の押圧によりICカードはカードコネクタから自動的に押し出される。
【0037】
この第1のカード100の脱着において、第1のカード100の前端部が誤挿入防止ばね板23の先端部23bより後方に引き出されると、誤挿入防止ばね板23の弾性によりその先端部23bおよび防止ばね板係合部23cは仕切り板16方向に下降して元の位置に戻る。そして、この状態では、ガイド部材25の識別突起部25cは依然として誤挿入防止ばね板23に押圧された状態にあり、偏倚板25dは左右に偏倚したままである。引き続いて、そのICカードの前端部が識別突起部25cより後方の位置まで引き出されると、今度はガイド部材25に対するICカードの押圧が解除されて偏倚板25dとその係合開口25aが元の位置に戻る。そして、先に元の位置に戻っている防止ばね板係合部23cが係合開口25a内に収まり、カード誤挿入防止機構が初期状態に戻る。
【0038】
この初期状態において、誤挿入防止ばね板23の先端部23bは仕切り板16に接触する位置まで戻っていると好適である。第1のカード100の上記挿脱においては、ICカードを装着する際に人体に帯電した静電気が、カードからカードコネクタへと放電され、ICカードを電気的破壊したり、あるいは、カードコネクタが搭載される電子機器内に配設されたプリント回路基板の回路を破壊してしまう恐れがある。ここで、誤挿入防止ばね板23の先端部23bを仕切り板16へ接触させることで、静電気をカバー部材を介してプリント回路基板に形成されたグランド回路に徐電するように働き、ICカードの電気的破損などから保護するようになる。
【0039】
他方、図7に示したような第2のカード200の装着では、第2のカード200はカード誤挿入防止機構がロック状態のままで、図1で説明した第2の収容部15bに収容される。そして、そのコンタクトパッド202が第2のコンタクト列20に加圧接触する。この場合、仕切り板16は、図1で説明したような左右の弾性脚部16cにより上方に押上げられており、通常では、第2のカード200が装着されている状態下において、第1のカード100は装着されない。
【0040】
この第2のカード200のカードコネクタに対する装着および脱着は、その後端部を押圧および引き出しにより行われる。この場合には、上述したプッシュイン・プッシュアウト機構によるICカードの挿脱はしなくてもよい。
【0041】
次に、カードコネクタ10における想定外のICカードの誤挿入防止について、図8ないし図10を参照して説明する。ここで、図8はカードコネクタ10におけるカード誤挿入防止機構の作用効果の説明に供する図であり、(a)は第2のカード200の第1の収容部15aへの挿入防止の状態におけるカードおよびガイド部材透視の上面図であり、(b)は(a)のC−C矢視の断面図である。
【0042】
そして、図9は、カード誤挿入防止機構の作用効果の説明に供する図であり、(a)は例えば第2のカード200のような小さい方のICカードによりカード誤挿入防止機構の一方がロック解除された状態におけるカードおよびガイド部材透視の上面図であり、(b)は(a)のD−D矢視の断面図である。同様に、図10はカード誤挿入防止機構の作用効果の説明に供する図であり、例えば第2のカード200のような小さい方のICカードがカード誤挿入防止機構の一方をロック解除し、更に他方をロック解除しようとする状態におけるカードおよびガイド部材透視の上面図であり、(b)はその状態における(a)のE−E矢視の断面図である。
【0043】
最初に、図8を参照して、装着が予定されている第2のカード200のカードコネクタ10への装着における誤挿入防止について簡単に説明する。通常の操作において、第2のカード200の例えば手差しにより第1の挿抜口14aから第1の収容部15aに挿入しようとしても、上述したカード誤挿入防止機構がアンロック状態のままになり、その挿入は誤挿入防止ばね板23により容易に阻止される。これは、図1ないし図7の中で説明したカード誤挿入防止機構およびカードコネクタ10の動作から明らかである。
【0044】
次に、カードコネクタ10における想定外のICカード挿入がなされる場合の誤挿入防止について、図9および図10を参照して説明する。この想定外の挿入は、カバー部材12に設けられた一対のガイド部材25の一対の識別突起部25cに対して短い時間に1つのICカードの押圧が働く場合である。これは、適切なICカードである第1のカード100より小さくその横幅が近いICカードにおいて起こり易いが、説明を簡明にするためにそのまま第2のカード200を用いて説明する。
【0045】
図9に示されるように、第1のカード100より小さな例えば第2のカード200により、通常と異なる操作のために、第2のカード200の左片側の辺が左のガイド部材25の識別突起部25cを押圧するように挿入される。この押圧により、誤挿入防止ばね板23の左側の防止ばね板係合部23cが、そのガイド部材25の係合開口25aから外れる。そして、この第2のカード200は誤挿入防止ばね板23に対して、それを上方に押上げるように押圧する。しかし、この状態では、右のガイド部材25は誤挿入防止ばね板23の右側の防止ばね板係合部23cを係止したままである。
【0046】
引き続いて、図10(a)に示すように、この第2のカード200が短時間の間に右側に移動し、右のガイド部材25の識別突起部25cを押圧することが起こるとする。そして、このような短時間の間に、上記左側に続く右側の識別突起部25cの押圧が生じるとする。しかし、このような想定外のICカード挿入の場合、本実施形態で説明したカード誤挿入防止機構では、右側の防止ばね板係合部23cは、以下に説明するように、そのガイド部材25の係合開口25aから外れ難くなるように働く。
【0047】
左側の防止ばね板係合部23cの係合開口25aのロック解除により、誤挿入防止ばね板23が上方に少し押上げられる。しかし、図10(b)に示すように上方に押上げられることで、防止ばね板係合部23cの先端部で上方に曲がった屈曲部23dは、係合開口25aの上方で引っ掛かり易くなる。そして、この屈曲部23dによりガイド部材25の偏倚板25dの側壁12b方向への偏倚が抑止されるようになる。このために、上記想定外の操作であっても、不適切なICカード挿入は、本実施形態のカード誤挿入防止機構により、確実に安定的に防止される。なお、このような想定外のICカード挿入操作は、具体的には例えばICカードの横方向が挿入方向に直交する方向からずれて斜めに挿入されるような場合である。
【0048】
本実施形態のカード誤挿入防止機構において、誤挿入防止ばね板23をロック状態あるいはアンロック状態にするガイド部材25の係合開口25a、この係合開口25aと係合する防止ばね板係合部23cとしては、種々のものが考えられる。係合開口25aでは、その下方部分が切り取られた構造になっていてもよい。また、その上方部分の防止ばね板係合部23cが当接するところが粗い形状になり、その当接した状態で防止ばね板係合部23cと係合開口25aの間の摩擦が大きくなるような構造になっていてもよい。逆に、防止ばね板係合部23cの当接する表面が粗い形状になっていてもよい。このような構造の場合であっても、その効果は少し低減するものの屈曲部23dの場合と同様に奏され、防止ばね板係合部23cの先端において屈曲部23dを省くこともできる。
【0049】
その他に、互いに係合する防止ばね板係合部23cと係合開口25aは種々の構造のものが考えられる。いずれにしても、一対のガイド部材25がほぼ同時に誤挿入防止ばね板23の係合を解除しない限り、カード誤挿入防止機構はアンロック状態にならないような構造になっているのが好ましい。
【0050】
本実施形態では、ベース部材とカバー部材が重ね合わされてなるカードコネクタにおいて、そのカード誤挿入防止機構は上記カバー部材と一体に形成される。ここで、この誤挿入防止機構は、カバー部材が例えば打ち抜き加工されその上壁に形成された誤挿入防止ばね板のシャッター部材と、カバー部材が打ち抜き曲げ加工されその側壁に形成された一対のガイド部材とからなる。このために、従来のカード誤挿入防止機構の場合に較べて格段にその部品点数が削減されると共に、その製造方法が簡素化され、その製造コストが大幅に低減される。このようにして、電子機器の機能拡張に対応した高機能化を維持しながらカードコネクタの低廉化が促進される。
【0051】
また、本実施形態のカード誤挿入防止機構は、一対のガイド部材が略同時に誤挿入防止ばね板との係合を解除しない限りアンロック状態にできない。このために、装着が想定外となる不適切なICカードのカードコネクタへの挿入が確実、安定的に阻止できるようになる。そして、その誤挿入に伴うカードコネクタの構成部品その中でも特にコンタクト列の変形あるいは損傷が確実に防止される。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明を限定するものでない。当業者にあっては、具体的な実施態様において本発明の技術思想および技術範囲から逸脱せずに種々の変形・変更を加えることが可能である。
【0053】
例えば、カード誤挿入防止機構を構成する誤挿入防止ばね板は、本実施形態で説明したカードコネクタの場合とは逆の斜め方向に張り出すようになっていてもよい。すなわち、そのカード収容空間の方向において、その例えばコンタクトからカード挿抜口に向かうような斜め方向になっていても構わない。
【0054】
また、本実施形態のカード誤挿入防止機構は、1層のカード収容部にICカードが装着される構造のカードコネクタ、あるいは3層以上のカード収容部が設けられるカード用複合コネクタに適用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
10…カードコネクタ、11…ベース部材、12…カバー部材、12a…上壁、12b…左右の側壁、13…カード収容空間、14…カード挿抜口、14a…第1の挿抜口、14b…第2の挿抜口、15…カード収容部、15a…第1の収容部、15b…第2の収容部、16…仕切り板、16a…仕切り板の底壁、16b…左右の側壁、16c…左右の弾性脚部、16d,16e…開口窓、16f…カード導入傾斜面、17…第1のコンタクト列、17a…第1の接続端子部、18…ベース部材の底壁、18a…第1の底壁、18b…第2の底壁、18c…仕切り板係合凹部、19…固定溝、20…第2のコンタクト列、20a…第2の接続端子部、21a…左ガイド嵌合凹部、21b…右ガイド嵌合凹部、22…打ち抜き部、23…誤挿入防止ばね板、23a…基端部、23b…先端部、23c…防止ばね板係合部、23d…屈曲部、24a,24b…ばね調整用開口、25…ガイド部材、25a…係合開口、25b…湾曲部、25c…識別突起部、25d…偏倚板
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード誤挿入防止機構およびそれを備えたカードコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン、カメラ、録音機、携帯電話、携帯型オーディオ、PDA(Personal Digital Assistance)、各種情報端末機器などの電子機器において、多くのICカードが用いられるようになってきている。ICカードには、情報の記録、伝達あるいは処理に用いられるICチップと呼ばれるIC部品が組込まれたPCカード、MMC(Multi Media Card)カード、SD(Secure Digital)カード、SIM(Subscriber Identity Module)カード等がある。これ等のICカードは上記機器に取り付けられたカードコネクタに装着され使用される。そして、上記電子機器の小型化に伴い、装着されるICカードも小型化、薄型化が進み、大きさの異なる種々のICカードが出現している。なお、本明細書中において、ICカードは、例えばフラッシュメモリ型の記録媒体のようなハードディスクとして機能するカード類なども含むものとする。
【0003】
このように多種類のICカードが出現すると共に、電子機器の機能拡張を図るために、互いに形状の異なる複数のICカードをできるだけ多く併用できるカードコネクタが要求されている。そして、複数のICカードが例えば選択的に装着できるいわゆるカード用複合コネクタが種々に提案されている。この複合コネクタの構造においては、所定のICカードの正規のカード収容部とは異なる他のカード収容部への使用者による誤った挿入操作を回避する機構が必要になる。また、カードコネクタにおいて使用されることのない想定外のICカード挿入を阻止できるようにすることが好ましい。これは、想定外にICカードが挿入されると、カードコネクタから取り出すことが難しくなり、無理やり取り出さそうとしてカードコネクタの構成部品の変形あるいは損傷を引き起こす虞があるからである。
【0004】
上記対策を施したカード用複合コネクタとして、装着されるICカードを識別し、不適切なカードの使用を阻止する誤挿入防止機構を備えたカードコネクタが提示され、そして、これまで好適に用いられている(例えば、特許文献1参照)。このカード誤挿入防止機構は、ベース部材と、ベース部材に組み合わされることでカード収容部を形成するカバー部材とを有するカードコネクタにおいて、ベース部材側に取り付けられる。例えば横方向の寸法が異なる2種類のICカードのうちの所定のICカードの誤ったカード収容部への挿入操作を規制するように、共通のカード挿抜口近傍の内部に備えられている。
【0005】
この誤挿入防止機構は、誤挿入規制部材(シャッター部材)、シャッター部材をロック状態又はアンロック状態にするロック/アンロック部材(ガイド部材)、シャッター部材を付勢する付勢部材(ねじりコイルばね)を含んで構成される。ここで、シャッター部材は、カード挿抜方向に直交する方向(横方向)して延在し、横幅の広い方のICカード用のカード収容部に対して、横幅の狭い方のICカードの誤った挿入操作を規制する。ガイド部材は、ICカードの横幅を識別し、横幅の狭い方のICカードの挿入を規制する第1の状態(ロック状態)と、横幅の広い方のICカードの挿入を可能にする第2の状態(アンロック状態)とをシャッター部材にとらせる。そして、ねじりコイルばねは、シャッター部材をカード挿入方向とは反対方向に付勢する。
【0006】
また、上記誤挿入防止機構がベース部材側に取り付けられるカードコネクタに対し、不適切なICカードの使用を阻止する誤挿入防止機構がカバー部材側に設けられたカードコネクタが開示されている(例えば、特許文献2参照)。この場合の誤挿入防止機構は、カバー部材に一体に設けられ、例えば、弾性変形する規制板、この規制板の両端部に設けられた突出部を備えている。
【0007】
上記規制板は、例えばカバー部材となる板金カバーにおいて、その天板部の所定の領域が切り起こし片として形成されたものであり、その先端部がベース部材の方向に張り出している。そして、上記一対の突出部は、これ等に接触する横幅をもつICカードをカード収容部に挿入できるように、規制板を天板部側に変位させる構造になっている。このようなカードコネクタは、ICカードの挿入においてシャッター部材の摺接によるカード損傷を防止すると共に、誤挿入防止機構を簡素化するものとして提案されている。カバー部材となる蓋ボディをシャッター部材となる引っ掛け押さえ部として利用する例は特許文献3にも見受けられる。前記引っ掛け押さえ部の両側にストッパー片が設けられており、この2つのストッパー片を、蓋ボディとは別部材の2つの挟み片が押さえつけている。挟み片は、自由端がカードの挿抜口側に延在し、挿抜口に対向するように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2008−243461号公報
【特許文献2】特開平2009−295294号公報
【特許文献3】実用新案登録第3105276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、カード誤挿入防止機構を備えたカード用複合コネクタは、電子機器の機能拡張に対応して高機能化する一方で、その低コスト化の検討が必要になってきている。例えば特許文献1で示されるカード誤挿入防止機構の製造では、その構成部品のシャッター部材、一対のガイド部材および一対のねじりコイルばねは、それぞれ金属素材から加工形成され、樹脂製のベース部材に組み込まれる。そこで、上記構造の誤挿入防止機構を備えたカードコネクタの低コスト化では、その部品点数の削減ができないため、各部品の素材の低廉価あるいはその製造方法の簡素化が必要になる。しかし、このような手法による低コスト化の促進には限界がある。
【0010】
一方、特許文献2で示されたようなカード誤挿入防止機構の製造では、上記規制板および突出部は、例えば板金カバーのプレス加工によりカバー部材と一体に形成される。そして、そのカードコネクタでは、誤挿入防止機構の部品点数が大きく削減され、それに伴い組み立て工数が低減して製造方法が簡素化される。これ等のために、その低コスト化が極めて容易になる。しかしながら、特許文献2に提示されているような誤挿入防止機構では、一対の突出部の一方にICカードが接触する場合であっても、その規制板が天板部側に変位することがある。このために、不適切なICカードがカードコネクタのカード収容部に挿入するのを確実、安定的に阻止することができない虞がある。特許文献3に示された両用メモリーカード接続器においては、蓋ボディに設けた引っ掛け押さえ部の両側のストッパー片を押さえつける挟みばね片が別部材として2つ必要となり、部品点数が多くなる。またストッパー片と挟みばね片が重なりあい、構造が複雑となるため、一枚の金属板の板金加工ができない。また、挟みばね片の自由端がカードの挿抜口側に向かって延在している。しかしながら、カードコネクタ小型化の要望により、カードコネクタの全長も制限され、挟みばね片をカードコネクタ内に配置した場合に確保できるばね長には制限がある。そのため、カードコネクタが小型化されるにつれ、挟みばね片のばね長も短くなり、ばねとしての耐久性が低くなる可能性がある。
【0011】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、装着されるICカードを識別して不適切なICカードのカードコネクタへの挿入を確実、安定的に防止し、その部品点数が少なく簡素な構成になるカードコネクタの誤挿入防止機構を提供する。そして、電子機器の機能拡張に対応した高機能化を維持し、その低コスト化を容易にするカードコネクタを提供できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明にかかるカードコネクタの誤挿入防止機構は、複数のコンタクトを有するベース部材と該ベース部材に重ね合わされる板ばね材料からなるカバー部材とにより、カード挿抜口を備えたカード収容空間が形成されているカードコネクタにあって、カバー部材はガイド部材と誤挿入防止ばね板を一枚の金属板の一体成型で備えており、ガイド部材は少なくとも上壁および左右の側壁を有するカバー部材に一体に形成され、左右の側壁に連なり折り返され、カード挿抜方向に伸びるように形成された一対の片持ち梁状板ばねを有し、該片持ち梁状板ばねのそれぞれに一体に形成されカード挿抜口近くでカード収容空間内に突出している一対のカード識別突起を備えており、誤挿入防止ばね板は上壁に支持されカード収容空間の方向に張り出しており、誤挿入防止ばね板は、一対のカード識別突起のいずれもがカード収容空間からカバー部材の左右の側壁側に後退することにより、カバー部材の上壁側に変位できるようになっている。
【0013】
そして、本発明にかかるカードコネクタは、ベース部材とカバー部材が重ね合わされ金属製の仕切り板により画成されて、カバー部材からベース部材に向かって第1の収容部および第2の収容部の階層構造に形成されたカード収容部と、前記第1の収容部および前記第2の収容部に連通するカード挿抜部と、上述したカードコネクタの誤挿入防止機構とを有し、大きさの異なる2種類のカードのうち第1の収容部に大きいカードが装着され、第2の収容部に小さいカードが装着されるようになっている。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、装着されるICカードが識別されて、不適切なICカードのカードコネクタへの挿入が確実、安定的に阻止され、その部品点数の少ない簡素な構造になるカードコネクタの誤挿入防止機構が提供される。そして、この誤挿入防止機構を備えたカードコネクタは、電子機器の機能拡張に対応した高機能化を維持しながら、その低コスト化を促進する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態にかかるカード誤挿入防止機構が設けられたカバー部材をベース部材から取り外して示したカードコネクタの一例の分解斜視図である。
【図2】図1のカードコネクタの仕切り板を取り外して示したカードコネクタのベース部材の斜視図である。
【図3】カード誤挿入防止機構が設けられたカバー部材を示し、(a)はロック状態の下方斜視図であり、(b)はアンロック状態の下方斜視図である。
【図4】カバー部材に設けられたカード誤挿入防止機構の一部拡大斜視図である。
【図5】本発明の実施形態におけるカードコネクタに挿抜される2種類のICカードの一例を示し、(a)はその大きな方のカードの下方平面図であり、(b)は小さな方のカードの下方平面図である。
【図6】本発明の実施形態にかかるカードコネクタに大きな方のICカードを装着した状態を示し、(a)はICカードおよびガイド部材を透視した上面図であり、(b)は(a)のA−A矢視の断面図である。
【図7】本発明の実施形態にかかるカードコネクタに小さい方のICカードを装着した状態を示し、(a)はICカードおよびガイド部材を透視した上面図であり、(b)は(a)のB−B矢視の断面図である。
【図8】本発明の実施形態にかかるカード誤挿入防止機構の作用効果の説明に供する図であり、(a)は小さい方のICカードを挿入防止した状態におけるカードおよびガイド部材透視の上面図であり、(b)は(a)のC−C矢視の断面図である。
【図9】本発明の実施形態にかかるカード誤挿入防止機構の作用効果の説明に供する図であり、(a)は小さい方のICカードによりカード誤挿入防止機構の一方がロック解除された状態におけるカードおよびガイド部材透視の上面図であり、(b)は(a)のD−D矢視の断面図である。
【図10】本発明の実施形態にかかるカード誤挿入防止機構の作用効果の説明に供する図であり、(a)は小さい方のICカードがカード誤挿入防止機構の一方をロック解除し、更に他方をロック解除しようとする状態におけるカードおよびガイド部材透視の上面図であり、(b)はその状態における(a)のE−E矢視の断面図である。
【図11】本発明の実施形態のカバー部材の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。この実施形態では大きなカードと小さなカードの2種類のICカードが装着されるカード用複合コネクタの場合について説明される。図1ないし図3は本実施形態のカードコネクタの一例を示す図であって、図1はカード誤挿入防止機構が設けられたカバー部材をベース部材から取り外して示したカードコネクタの分解斜視図である。図2は図1に示すカードコネクタの仕切り板を取り外して示したベース部材の斜視図である。図3はカード誤挿入防止機構が設けられたカバー部材を示し、(a)はそれがロック状態の下方斜視図であり、(b)はそれがアンロック状態の下方斜視図である。
【0017】
そして、図4はカバー部材に設けられたカード誤挿入防止機構の一部拡大斜視図である。また、図5はカードコネクタに挿抜される2種類のICカードの一例を示し、(a)はその大きな方のカードの下方平面図であり、(b)は小さな方のカードの下方平面図である。以下、図面においては、その要部に符号が付され、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は一部省略される。
【0018】
なお、本明細書において、用語「前」及び「後」は、それぞれ、図1ないし図3において、+x方向及び−x方向を示し、用語「左」及び「右」は、それぞれ、それ等の図において、+y方向及び−y方向を示し、用語「上」及び「下」は、それぞれ、それ等の図において、+z方向及び−z方向を示すものとする。
【0019】
図1および図2に示すように、本実施形態のカードコネクタ10では、コネクタ本体のベース部材11と、このベース部材に重ね合わされるカバー部材12とによりカード収容空間13が形成されている。ここで、ベース部材11は例えば加工性に優れた絶縁性の合成樹脂材料の射出成形により作られ、カバー部材12は例えばステンレス等の一枚の金属板材料(板ばね材料)の打ち抜き曲げ加工により形成される。
【0020】
そして、カード収容空間13の後端にカード挿抜口14が設けられる。このカード挿抜口14は、例えば図5(a)に示した第1のカード100が挿抜される第1の挿抜口14aと、例えば図5(b)に示した第2のカード200が挿抜される第2の挿抜口14bからなる。また、カード収容空間13は、中空で扁平なカード収容部15が形成されている。このカード収容部15は、上記第1のカード100が装着される第1の収容部15aと第2のカード200が装着される第2の収容部15bの階層構造になっている。ここで、第1の収容部15aおよび第2の収容部15bは、それぞれ第1の挿抜口14aおよび第2の挿抜口14bにカード収容空間13内で連通し、仕切り板16により区画されている。
【0021】
更に、カード収容空間13の前端には、第1のカード100のカード本体101の前端部に設けられたコンタクトパッド102と加圧接触する多数の第1のコンタクト列17が、ベース部材11の底壁18に設けた複数の固定溝19内に植設されている。これ等のコンタクト列17は、それぞれにカード挿抜方向に伸びた弾性接片からなる。そして、カードコネクタ10の搭載される電子機器の外部端子に電気的に接続される第1の接続端子部17aとして、例えばベース部材11の前壁から外部に延出するように形成されている。同様に、第2のカード200のコンタクトパッド202と加圧接触する多数の第2のコンタクト列20が植設され、電子機器の外部端子に接続される第2の接続端子部20aとして、例えば第2の挿抜口14bからカードコネクタ外部に延出している。
【0022】
上述したベース部材11の底壁18およびその左右の側壁は所要の形状に成形してある。ここで、ベース部材11の底壁18には、仕切り板16を挟んで第1の収容部15aを構成する第1の底壁18a、第2の収容部15bを構成する第2の底壁18bが形成されている。更に、傾斜面を有して仕切り板16の後端部を係合する有低の仕切り板係合凹部18cが形成されている。また、ベース部材11の後方において、その左右の側壁にそれぞれのガイド部材を係合して固定する有底の左ガイド嵌合凹部21aおよび右ガイド嵌合凹部21bが形成されている。
【0023】
上記仕切り板16は、その前方が断面略U字形をなし、底壁16a、左右の側壁16bを含み、金属薄板からプレス加工により製造される。底壁16aは、左右の弾性脚部16c、その前端と後方に形成される2つの開口窓16d、16e、および一対のカード導入傾斜面16fを有する。左右の弾性脚部16cは、それぞれ底壁16aの下方に向けて切り起こされ、弾性を有し、カードコネクタ10として組み立てられたとき、仕切り板16をカバー部材12の上壁12aに対して弾性的に押し付ける。そして、仕切り板16の底壁16aとカバー部材12の上壁12aとの間には、装着が予定されている第1のカード100が収容される第1の収容部15aが形成される。この第1のカード100は例えばSDカードである。
【0024】
ここで、第1のカード100がカード導入傾斜面16fにより案内されて第1の収容部15aに挿入されると、仕切り板16は押し下げられる。その反力で、仕切り板16は、第1のカード100をカバー部材12の上壁12aに押し付ける。また、仕切り板16の底壁16aとベース部材11の第2の底壁18bとの間には第2のカード200が収容される第2の収容部15bが形成される。この第2のカード200が例えばMicroSDカードである。
【0025】
仕切り板16の底壁16aの前端に設けられる開口窓16dでは、第1のカード100のコンタクトパッド102に接触する第1のコンタクト列17の接点部が第1の収容部15a内に突出できるように配置される。底壁16aの後方に設けられる開口窓16eは、第2のカード200のカード本体201の前端部に設けられたコンタクトパッド202に接触する第2のコンタクト列20の接点部に対応して設けられる。この開口窓16eは、第1のカード100が挿入されたとき、仕切り板16が下降するが、この時、仕切り板16の底壁16aが第2のコンタクト列20を押圧しそれ等が短絡するのを防止するために設けられている。
【0026】
カバー部材12は、上から見てベース部材11と相似形の例えば矩形状をなし、上壁12a、左右の側壁12bおよび前壁12cを備え、下方および後方が開放している。そして、カバー部材12の上壁12aに例えば打ち抜き部22が施されて、弾性変形する誤挿入防止ばね板23が下向きに切り起こされ形成されている。ここで、その切り起こされる折り曲げ部分の基端部23aはカバー部材12の上壁12aに連なり、その先端部23bが自由端になる。そして、基端部23aの領域の上壁12aに所要のばね調整用開口24a、24bが設けられている。更に、誤挿入防止ばね板23には、その先端部23bの少し後方に位置する両端部に係合片として防止ばね板係合部23cが設けられ、ガイド部材25に設けられた例えば係合開口25aに係止されるようになっている。このような誤挿入防止ばね板23がICカード挿入のシャッター部材となる。誤挿入防止ばね板23の先端部23bおよびばね片であるガイド部材25の各自由端はカード挿抜口から挿入されるカードに対して背向している。これらのばね片はカバー部材を一枚の金属板から板金打ち抜き加工するときに一体に形成される。図11はカバー部材を展開した平面図であり、製造法上、構造が簡単であり、各部を折り曲げて容易に形成できる。
【0027】
次に、図3および図4を参照して、本実施形態にかかるカード誤挿入防止機構を構成する上記誤挿入防止ばね板23とガイド部材25について詳細に説明する。誤挿入防止ばね板23とガイド部材25は、装着が予定されている第1のカード100かどうかを識別し、第2のカード200あるいは想定外のカードが第1の収容部15aに入り込むのを防止する部材である。図3に示されるように、ガイド部材25は、カバー部材12の左右の側壁12bに沿って左右対称に一対に設けられる。
【0028】
ガイド部材25は、例えばステンレス等の板ばね材料の打ち抜き曲げ加工により、カバー部材12と一体に形成され、左右の側壁12bに連なり湾曲して折り返され、カード挿抜方向に伸びた弾性変形可能な片持ち梁状板ばねになっている。折り返されることにより、コネクタの小型化を妨げずに、ばね長を長くすることができ、ばねとしての耐久性が高くなる。そして、この一対のガイド部材25は、それぞれ、左右の側壁12bを固定部として、湾曲部25b、識別突起部25c、および係合開口25aが設けられる偏倚板25dを含む。この一対のガイド部材25は、それぞれベース部材11に設けられた左ガイド嵌合凹部21aおよび右ガイド嵌合凹部21bに嵌め込まれるようになる。
【0029】
識別突起部25cは、カードコネクタ10に装着される第1のカード100が認識できるようにカード挿抜口14の方向に突き出るように形成されている。ここで、一対のガイド部材25のそれぞれに設けられた2つの識別突起部25cの間の間隔が少なくとも第1のカード100の幅より小さくなるように、そして第2のカード200の幅より大きくなるように設定される。識別突起部25cの位置はカード挿抜口14の近くに配置している。すなわち異種カードが誤挿入されたときに、カードの一部が挿抜口14から飛び出している状態までの内側とする。望ましくは挿抜口と誤挿入防止ばね板の基端部23a間に位置させる。
【0030】
偏倚板25dは、固定部である左右の側壁12bに対して湾曲部25bを介して弾性変形可能に形成されており、その前端部に設けられた係合開口25aが誤挿入防止ばね板23の防止ばね板係合部23cと係合するように形成されている。そして、この係合開口25aが誤挿入防止ばね板23をロック状態あるいはアンロック状態にする。
【0031】
図4は、例えば図3(a)に示すような状態であり、カードコネクタ10にICカードが挿入または装着されていない状態を示している。ここで、誤挿入防止ばね板23は、その先端部23bの近くの領域に設けられた防止ばね板係合部23cが偏倚板25dの係合開口25aと係合して、ICカードのカードコネクタ10への挿入を阻止するようになっている。この防止ばね板係合部23cの先端は好ましくは上方に鉤状に屈曲した形状の屈曲部23dを有する。この屈曲部25dの機能については後述される。
【0032】
このようなカード誤挿入防止機構では、第1のカード100がカードコネクタ10に挿入されるとき、一対のガイド部材25の左右の識別突起部25cは、同時に第1のカード100の左右横部で押圧され左右に開かれる。すなわち、識別突起部25cは、カード挿抜口14から引っ込み、カバー部材12の左右の側壁12b側に同時に後退する。それに伴い、図3(b)に示すように、左右の偏倚板25dも左右に偏倚し、誤挿入防止ばね板23の防止ばね板係合部23cは、偏倚板25dに設けられている係合開口25aから外れる。そして、第1のカード100は、その前端部が誤挿入防止ばね板23を容易に上方に押上げ挿入できるようになる。
【0033】
これに対して、例えば第2のカード200のようにその幅が小さく、ICカードが一対のガイド部材25の識別突起部25cを同時に押圧しない場合には、誤挿入防止ばね板23は係合開口25aとの係合が解除されない。そして、そのカードの前端部が誤挿入防止ばね板23を上方に押上げることができず、その挿入は阻止される。また、カードコネクタ10に装着されない想定外のICカード挿入の場合でも、同様にして本実施形態のカード誤挿入防止機構がその挿入を阻止するように働く。これ等の作用効果の詳細については後述される。
【0034】
次に、本実施形態のカード誤挿入防止機構を備えたカードコネクタ10の動作について図1ないし図5、および図6と図7を参照して説明する。ここで、図6は第1のカード100をカードコネクタ10に装着した状態を示し、(a)はICカードおよびガイド部材を透視した上面図であり、(b)は(a)のA−A矢視の断面図である。また、図7は第2のカード200を装着した状態を示し、(a)はICカードおよびガイド部材を透視した上面図であり、(b)は(a)のB−B矢視の断面図である。
【0035】
図6に示したような第1のカード100の装着では、第1のカード100はカード誤挿入防止機構をアンロック状態にし、誤挿入防止ばね板23を上方に押上げて、図1で説明した第1の収容部15aに収容される。そして、そのコンタクトパッド102が第1のコンタクト列17に加圧接触する。この場合、仕切り板16はベース部材11の第1の底壁18に押し付けられ、第2の収容部15bは狭くなる。そこで、通常では、第1のカード100が装着されている状態下において、第2のカード200は装着されない。
【0036】
なお、このICカードの挿入は、第1の挿抜口14aから前方にむけてICカードの後端部を押圧する手差しで行われる。ここで、第1のカード100が誤挿入防止機構のアンロック状態の下に第1の収容部15aに挿入される場合、仕切り板16の後端部に設けられている一対のカード導入傾斜面16fに案内される。そして、このICカードのカードコネクタ10からの脱着は、逆にICカード100の後端部を第1の挿抜口14aから後方にむけて後方へ引き出すことにより行われる。ここで、カードコネクタにいわゆるプッシュイン・プッシュアウト機構が備えられていると、カード後端部の押圧によりICカードはカードコネクタから自動的に押し出される。
【0037】
この第1のカード100の脱着において、第1のカード100の前端部が誤挿入防止ばね板23の先端部23bより後方に引き出されると、誤挿入防止ばね板23の弾性によりその先端部23bおよび防止ばね板係合部23cは仕切り板16方向に下降して元の位置に戻る。そして、この状態では、ガイド部材25の識別突起部25cは依然として誤挿入防止ばね板23に押圧された状態にあり、偏倚板25dは左右に偏倚したままである。引き続いて、そのICカードの前端部が識別突起部25cより後方の位置まで引き出されると、今度はガイド部材25に対するICカードの押圧が解除されて偏倚板25dとその係合開口25aが元の位置に戻る。そして、先に元の位置に戻っている防止ばね板係合部23cが係合開口25a内に収まり、カード誤挿入防止機構が初期状態に戻る。
【0038】
この初期状態において、誤挿入防止ばね板23の先端部23bは仕切り板16に接触する位置まで戻っていると好適である。第1のカード100の上記挿脱においては、ICカードを装着する際に人体に帯電した静電気が、カードからカードコネクタへと放電され、ICカードを電気的破壊したり、あるいは、カードコネクタが搭載される電子機器内に配設されたプリント回路基板の回路を破壊してしまう恐れがある。ここで、誤挿入防止ばね板23の先端部23bを仕切り板16へ接触させることで、静電気をカバー部材を介してプリント回路基板に形成されたグランド回路に徐電するように働き、ICカードの電気的破損などから保護するようになる。
【0039】
他方、図7に示したような第2のカード200の装着では、第2のカード200はカード誤挿入防止機構がロック状態のままで、図1で説明した第2の収容部15bに収容される。そして、そのコンタクトパッド202が第2のコンタクト列20に加圧接触する。この場合、仕切り板16は、図1で説明したような左右の弾性脚部16cにより上方に押上げられており、通常では、第2のカード200が装着されている状態下において、第1のカード100は装着されない。
【0040】
この第2のカード200のカードコネクタに対する装着および脱着は、その後端部を押圧および引き出しにより行われる。この場合には、上述したプッシュイン・プッシュアウト機構によるICカードの挿脱はしなくてもよい。
【0041】
次に、カードコネクタ10における想定外のICカードの誤挿入防止について、図8ないし図10を参照して説明する。ここで、図8はカードコネクタ10におけるカード誤挿入防止機構の作用効果の説明に供する図であり、(a)は第2のカード200の第1の収容部15aへの挿入防止の状態におけるカードおよびガイド部材透視の上面図であり、(b)は(a)のC−C矢視の断面図である。
【0042】
そして、図9は、カード誤挿入防止機構の作用効果の説明に供する図であり、(a)は例えば第2のカード200のような小さい方のICカードによりカード誤挿入防止機構の一方がロック解除された状態におけるカードおよびガイド部材透視の上面図であり、(b)は(a)のD−D矢視の断面図である。同様に、図10はカード誤挿入防止機構の作用効果の説明に供する図であり、例えば第2のカード200のような小さい方のICカードがカード誤挿入防止機構の一方をロック解除し、更に他方をロック解除しようとする状態におけるカードおよびガイド部材透視の上面図であり、(b)はその状態における(a)のE−E矢視の断面図である。
【0043】
最初に、図8を参照して、装着が予定されている第2のカード200のカードコネクタ10への装着における誤挿入防止について簡単に説明する。通常の操作において、第2のカード200の例えば手差しにより第1の挿抜口14aから第1の収容部15aに挿入しようとしても、上述したカード誤挿入防止機構がアンロック状態のままになり、その挿入は誤挿入防止ばね板23により容易に阻止される。これは、図1ないし図7の中で説明したカード誤挿入防止機構およびカードコネクタ10の動作から明らかである。
【0044】
次に、カードコネクタ10における想定外のICカード挿入がなされる場合の誤挿入防止について、図9および図10を参照して説明する。この想定外の挿入は、カバー部材12に設けられた一対のガイド部材25の一対の識別突起部25cに対して短い時間に1つのICカードの押圧が働く場合である。これは、適切なICカードである第1のカード100より小さくその横幅が近いICカードにおいて起こり易いが、説明を簡明にするためにそのまま第2のカード200を用いて説明する。
【0045】
図9に示されるように、第1のカード100より小さな例えば第2のカード200により、通常と異なる操作のために、第2のカード200の左片側の辺が左のガイド部材25の識別突起部25cを押圧するように挿入される。この押圧により、誤挿入防止ばね板23の左側の防止ばね板係合部23cが、そのガイド部材25の係合開口25aから外れる。そして、この第2のカード200は誤挿入防止ばね板23に対して、それを上方に押上げるように押圧する。しかし、この状態では、右のガイド部材25は誤挿入防止ばね板23の右側の防止ばね板係合部23cを係止したままである。
【0046】
引き続いて、図10(a)に示すように、この第2のカード200が短時間の間に右側に移動し、右のガイド部材25の識別突起部25cを押圧することが起こるとする。そして、このような短時間の間に、上記左側に続く右側の識別突起部25cの押圧が生じるとする。しかし、このような想定外のICカード挿入の場合、本実施形態で説明したカード誤挿入防止機構では、右側の防止ばね板係合部23cは、以下に説明するように、そのガイド部材25の係合開口25aから外れ難くなるように働く。
【0047】
左側の防止ばね板係合部23cの係合開口25aのロック解除により、誤挿入防止ばね板23が上方に少し押上げられる。しかし、図10(b)に示すように上方に押上げられることで、防止ばね板係合部23cの先端部で上方に曲がった屈曲部23dは、係合開口25aの上方で引っ掛かり易くなる。そして、この屈曲部23dによりガイド部材25の偏倚板25dの側壁12b方向への偏倚が抑止されるようになる。このために、上記想定外の操作であっても、不適切なICカード挿入は、本実施形態のカード誤挿入防止機構により、確実に安定的に防止される。なお、このような想定外のICカード挿入操作は、具体的には例えばICカードの横方向が挿入方向に直交する方向からずれて斜めに挿入されるような場合である。
【0048】
本実施形態のカード誤挿入防止機構において、誤挿入防止ばね板23をロック状態あるいはアンロック状態にするガイド部材25の係合開口25a、この係合開口25aと係合する防止ばね板係合部23cとしては、種々のものが考えられる。係合開口25aでは、その下方部分が切り取られた構造になっていてもよい。また、その上方部分の防止ばね板係合部23cが当接するところが粗い形状になり、その当接した状態で防止ばね板係合部23cと係合開口25aの間の摩擦が大きくなるような構造になっていてもよい。逆に、防止ばね板係合部23cの当接する表面が粗い形状になっていてもよい。このような構造の場合であっても、その効果は少し低減するものの屈曲部23dの場合と同様に奏され、防止ばね板係合部23cの先端において屈曲部23dを省くこともできる。
【0049】
その他に、互いに係合する防止ばね板係合部23cと係合開口25aは種々の構造のものが考えられる。いずれにしても、一対のガイド部材25がほぼ同時に誤挿入防止ばね板23の係合を解除しない限り、カード誤挿入防止機構はアンロック状態にならないような構造になっているのが好ましい。
【0050】
本実施形態では、ベース部材とカバー部材が重ね合わされてなるカードコネクタにおいて、そのカード誤挿入防止機構は上記カバー部材と一体に形成される。ここで、この誤挿入防止機構は、カバー部材が例えば打ち抜き加工されその上壁に形成された誤挿入防止ばね板のシャッター部材と、カバー部材が打ち抜き曲げ加工されその側壁に形成された一対のガイド部材とからなる。このために、従来のカード誤挿入防止機構の場合に較べて格段にその部品点数が削減されると共に、その製造方法が簡素化され、その製造コストが大幅に低減される。このようにして、電子機器の機能拡張に対応した高機能化を維持しながらカードコネクタの低廉化が促進される。
【0051】
また、本実施形態のカード誤挿入防止機構は、一対のガイド部材が略同時に誤挿入防止ばね板との係合を解除しない限りアンロック状態にできない。このために、装着が想定外となる不適切なICカードのカードコネクタへの挿入が確実、安定的に阻止できるようになる。そして、その誤挿入に伴うカードコネクタの構成部品その中でも特にコンタクト列の変形あるいは損傷が確実に防止される。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明を限定するものでない。当業者にあっては、具体的な実施態様において本発明の技術思想および技術範囲から逸脱せずに種々の変形・変更を加えることが可能である。
【0053】
例えば、カード誤挿入防止機構を構成する誤挿入防止ばね板は、本実施形態で説明したカードコネクタの場合とは逆の斜め方向に張り出すようになっていてもよい。すなわち、そのカード収容空間の方向において、その例えばコンタクトからカード挿抜口に向かうような斜め方向になっていても構わない。
【0054】
また、本実施形態のカード誤挿入防止機構は、1層のカード収容部にICカードが装着される構造のカードコネクタ、あるいは3層以上のカード収容部が設けられるカード用複合コネクタに適用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
10…カードコネクタ、11…ベース部材、12…カバー部材、12a…上壁、12b…左右の側壁、13…カード収容空間、14…カード挿抜口、14a…第1の挿抜口、14b…第2の挿抜口、15…カード収容部、15a…第1の収容部、15b…第2の収容部、16…仕切り板、16a…仕切り板の底壁、16b…左右の側壁、16c…左右の弾性脚部、16d,16e…開口窓、16f…カード導入傾斜面、17…第1のコンタクト列、17a…第1の接続端子部、18…ベース部材の底壁、18a…第1の底壁、18b…第2の底壁、18c…仕切り板係合凹部、19…固定溝、20…第2のコンタクト列、20a…第2の接続端子部、21a…左ガイド嵌合凹部、21b…右ガイド嵌合凹部、22…打ち抜き部、23…誤挿入防止ばね板、23a…基端部、23b…先端部、23c…防止ばね板係合部、23d…屈曲部、24a,24b…ばね調整用開口、25…ガイド部材、25a…係合開口、25b…湾曲部、25c…識別突起部、25d…偏倚板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンタクトを有するベース部材と該ベース部材に重ね合わされる板ばね材料からなるカバー部材とにより、カード挿抜口を備えたカード収容空間が形成されているカードコネクタにあって、
前記カバー部材はガイド部材と誤挿入防止ばね板を一枚の金属板の一体成型で備えており、前記ガイド部材は少なくとも上壁および左右の側壁を有する前記カバー部材に一体に形成され、前記左右の側壁に連なり折り返され、カード挿抜方向に伸びるように形成された一対の片持ち梁状板ばねを有し、該片持ち梁状板ばねのそれぞれに一体に形成され前記カード挿抜口近くで前記カード収容空間内に突出している一対のカード識別突起を備えており、誤挿入防止ばね板は前記上壁に支持され前記カード収容空間の方向に張り出しており、
前記誤挿入防止ばね板は、前記一対のカード識別突起のいずれもが前記カード収容空間から前記カバー部材の左右の側壁側に後退することにより、前記カバー部材の上壁側に変位できるようになっていることを特徴とするカードコネクタの誤挿入防止機構。
【請求項2】
前記誤挿入防止ばね板は、前記カード収容空間において、前記カード挿抜口側から前記コンタクト側の斜め方向に張り出していることを特徴とする請求項1に記載のカードコネクタの誤挿入防止機構。
【請求項3】
前記誤挿入防止ばね板は、その先端領域において、前記カードの挿入方向と直交する方向の両端に係合片が形成され、前記係合片が前記ガイド部材に係合する構造になっていることを特徴とする請求項1または2に記載のカードコネクタの誤挿入防止機構。
【請求項4】
前記係合片は、その先端が前記カバー部材の上壁の方向に曲げられ、前記カバー部材において前記片持ち梁状板ばねの前記コンタクト側に設けられた係合口と係合するようになっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のカードコネクタの誤挿入防止機構。
【請求項5】
ベース部材とカバー部材が重ね合わされ金属製の仕切り板により画成されて、前記カバー部材から前記ベース部材に向かって第1の収容部および第2の収容部の階層構造に形成されたカード収容部と、
前記第1の収容部および前記第2の収容部に連通するカード挿抜口と、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のカードコネクタの誤挿入防止機構と、を有し、
大きさの異なる2種類のカードのうち、前記第1の収容部に大きいカードが装着され、前記第2の収容部に小さいカードが装着されるようになっていることを特徴とするカードコネクタ。
【請求項6】
前記第1の収容部に前記大きなカードが装着されていない状態においては、前記カードコネクタの誤挿入防止機構の前記誤挿入防止ばね板の先端が前記仕切り板に接するようになっていることを特徴とする請求項5に記載のカードコネクタ。
【請求項1】
複数のコンタクトを有するベース部材と該ベース部材に重ね合わされる板ばね材料からなるカバー部材とにより、カード挿抜口を備えたカード収容空間が形成されているカードコネクタにあって、
前記カバー部材はガイド部材と誤挿入防止ばね板を一枚の金属板の一体成型で備えており、前記ガイド部材は少なくとも上壁および左右の側壁を有する前記カバー部材に一体に形成され、前記左右の側壁に連なり折り返され、カード挿抜方向に伸びるように形成された一対の片持ち梁状板ばねを有し、該片持ち梁状板ばねのそれぞれに一体に形成され前記カード挿抜口近くで前記カード収容空間内に突出している一対のカード識別突起を備えており、誤挿入防止ばね板は前記上壁に支持され前記カード収容空間の方向に張り出しており、
前記誤挿入防止ばね板は、前記一対のカード識別突起のいずれもが前記カード収容空間から前記カバー部材の左右の側壁側に後退することにより、前記カバー部材の上壁側に変位できるようになっていることを特徴とするカードコネクタの誤挿入防止機構。
【請求項2】
前記誤挿入防止ばね板は、前記カード収容空間において、前記カード挿抜口側から前記コンタクト側の斜め方向に張り出していることを特徴とする請求項1に記載のカードコネクタの誤挿入防止機構。
【請求項3】
前記誤挿入防止ばね板は、その先端領域において、前記カードの挿入方向と直交する方向の両端に係合片が形成され、前記係合片が前記ガイド部材に係合する構造になっていることを特徴とする請求項1または2に記載のカードコネクタの誤挿入防止機構。
【請求項4】
前記係合片は、その先端が前記カバー部材の上壁の方向に曲げられ、前記カバー部材において前記片持ち梁状板ばねの前記コンタクト側に設けられた係合口と係合するようになっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のカードコネクタの誤挿入防止機構。
【請求項5】
ベース部材とカバー部材が重ね合わされ金属製の仕切り板により画成されて、前記カバー部材から前記ベース部材に向かって第1の収容部および第2の収容部の階層構造に形成されたカード収容部と、
前記第1の収容部および前記第2の収容部に連通するカード挿抜口と、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のカードコネクタの誤挿入防止機構と、を有し、
大きさの異なる2種類のカードのうち、前記第1の収容部に大きいカードが装着され、前記第2の収容部に小さいカードが装着されるようになっていることを特徴とするカードコネクタ。
【請求項6】
前記第1の収容部に前記大きなカードが装着されていない状態においては、前記カードコネクタの誤挿入防止機構の前記誤挿入防止ばね板の先端が前記仕切り板に接するようになっていることを特徴とする請求項5に記載のカードコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−233076(P2011−233076A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105170(P2010−105170)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】
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