説明

カードコネクタ装置

【課題】PCカード非装着状態において、ガイドレールから放射される高周波ノイズを抑制することである。
【解決手段】カードが装脱着されるカードコネクタ装置であって、前記カードの一方の側が案内される導電性の第1のガイドレールと、前記カードの他方の側が案内される導電性の第2のガイドレールと、前記第1のガイドレール及び第2のガイドレールの各々のカード挿入始端側に設けられた前記ガイドレールが接地される接地機構と、前記第1のガイドレール及び第2のガイドレールの各々のカード挿入終端側に設けられた前記ガイドレールが接地される接地機構とを具備するカードコネクタ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカードコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外装が金属製のPCカードをプリント基板上のカードコネクタに装着する場合、静電気などの耐性を向上させる為、PCカードの金属部をプリント基板に接地させるのが一般的なカードコネクタの構造である。そのため一般的なカードコネクタは、PCカード装着時にPCカードの金属部と接触するフレームやガイドレールを金属製とし、その金属製フレームやガイドレールをプリント基板に接地させる構造とすることで、カードコネクタの金属製フレームやガイドレールを介してPCカードの金属部をプリント基板のアースに接地させることができる。
このような金属製フレームやガイドレールを備えたカードコネクタの一例として、特許第3252259号公報にカードコネクタ装置の開示が有る。このカードコネクタ装置は、コネクタ本体とフレーム本体とから構成され、各々の詳細は次の通りである。コネクタ本体は、装着されたカードの複数のコンタクト各々に一方の端側を対応して接触接続し、端子を介して、実装用基板の複数の電極に他方の端側を対応接続する複数のコンタクトピンと、これら複数のコンタクトピンを、その軸方向がカードの挿抜方向と平行になるように保持してホールドダウンによって実装用基板に保持固定されるインシュレータとを備えている。フレーム本体は、コネクタ本体のインシュレータの両端部分の各々と結合してカードの挿抜方向に延び、カードの挿抜及び装着時にこのカードの両側面部分をガイドするカードガイド部と、これらカードガイド部間をその上面側で連結する金属フレーム部と、複数の接点が形成されてカードガイド部間をその下面側のコネクタ本体に近接した部位で連結し、装着されたカードの複数の接地電極に複数の接点を接触させてこれら複数の接地電極を実装用基板の接地配線に接続する接地用金属板と、カードガイド部の各々に先端部分に設けられカード抜去時に指先で押される押しボタン、カードガイド部それぞれの側面に設けられ押しボタンの力を伝達するイジェクトバー、カードガイド部間に設けられて与えられた力によりカードをコネクタ本体から押し出すカード押出しプレート、及びイジェクトバーの力をカード押出しプレートに伝達するレバーから成るカード押出し機構と、カードガイド部それぞれの下面側に設けられ各部の余分な電流を実装用基板の接地配線に流すアースラグ部とを備えている。このカードコネクタは、コネクタ本体を実装用基板に保持固定し、端子を半田付け等により実装用基板の複数の電極に接続してこれら複数の電極と複数のコンタクトピンとを対応接続し、このコネクタ本体の斜め前方からフレーム本体を移動させて実装用基板表面を滑らすようにして、このフレーム本体をコネクタ本体に結合させると同時に、実装用基板に固定する。このカードコネクタにカードを装着するときには、カードガイド部の先端部分からカードを挿入して押し込み、このカードコネクタからカードを引き抜く時には、カード押出し機構の押しボタンを指先で押すことにより、その力がカード押出しプレートに伝達されて、カードがコネクタ本体から抜け出すのでカードを容易に引き抜くことが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3252259号公報
【特許文献2】特開2003−346985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、同公報の段落番号[0004]に、「カードガイド部それぞれの下面側に設けられ各部の余分な電流を実装用基板300の接地配線に流すアースラグ部250とを備えている。」の記載が有る。従って、前記アースラグ部250は、直接、プリント基板のアースパッドに接地されており金属フレーム部220もアースラグ部250で接地している。しかしながら、金属フレーム部220はカード挿入終端側(コネクタ側)へ伸びているがカード挿入終端側では接地されていない。
【0005】
特許文献1のカードコネクタ装置では、カード非装着状態において、カードガイド部210に沿って2本の金属フレーム部がカード挿入終端側へ長く伸びたアンテナ形状となるため、アースラグ部250に高周波ノイズが有ると、アースラグ部を励振源としてこの金属フレーム部から高周波ノイズが強く放射される場合がある。
【0006】
特許文献1と基本構造を同じくする従来のカードコネクタ装置の一例を図3(a)(b)に示す。特許文献1との大きな違いは、カード押出し機構が無い事、およびカードガイド部210を金属製とし、カード挿入口付近の金属フレーム部220をカード挿入終端側へ移動しコの字形状としたことである。図3中、1は、外装に金属部18を備えたPCカードである。2はプリント基板である。11はプリント基板2に実装し、PCカード1と接続するためのコネクタである。12はコネクタ11の信号ピンである。13は信号ピン12と1対1で導通があり、コネクタ11の半田付け用の端子である。10は金属製のガイドレールであり、PCカード1をコネクタ11の信号ピン12に導くガイドレール機能を備えている。14は、プリント基板2に設けられたアースパッドである。15は、ガイドレール10のカード挿入始端側にありアースパッド14と接続可能な接地端子である。16はガイドレール10とコネクタ11との勘合部である。17はガイドレール10に設けられた金属製のバネであり、バネ17は複数備えられPCカード1を装着する際に金属板18と接触することができる構造である。PCカードコネクタ装置はガイドレール10とコネクタ11とから構成される。コネクタ11とガイドレール10とは、勘合部16によって、固定されている。そして、アースパッド14と接地端子15とはネジで固定される。
【0007】
上記構造により、PCカードコネクタ装置のガイドレール10を介してPCカード1の金属部18はプリント基板2のアースパッド14に接地できる。
【0008】
このカードコネクタ装置においても、PCカード非装着時にガイドレール10がアンテナ形状となる為、プリント基板2のアースパッド14に高周波ノイズが有ると、アースパッド14を励振源としてガイドレール10から高周波ノイズが強く放射されるという問題が有る。
【0009】
従って、本発明が解決しようとする課題は、前記の問題を解決することである。すなわち、PCカード非装着状態において、ガイドレールから放射される高周波ノイズを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題は、
カードが装脱着されるカードコネクタ装置であって、
前記カードの一方の側が案内される導電性の第1のガイドレールと、
前記カードの他方の側が案内される導電性の第2のガイドレールと、
前記第1のガイドレール及び第2のガイドレールの各々のカード挿入始端側に設けられた前記ガイドレールが接地される接地機構と、
前記第1のガイドレール及び第2のガイドレールの各々のカード挿入終端側に設けられた前記ガイドレールが接地される接地機構
とを具備することを特徴とするカードコネクタ装置によって解決される。
【発明の効果】
【0011】
特許文献1や図3に示されるカードコネクタ装置では、ガイドレールのカード挿入始端側のみに接地機構が設けられているに過ぎなかった。ところが、これでは、プリント基板のアースパッドに高周波ノイズが有ると、カード非装着時にガイドレールがアンテナとして振る舞う為、ガイドレールから高周波ノイズが放射されていた。しかしながら、本発明では、ガイドレールのカード挿入始端側のみならず、カード挿入終端側にも、接地機構を設けた。これによって、例えばガイドレールの四隅の位置でプリント基板上のアースパッドに接地でき、カード非装着状態において、ガイドレールから放射される高周波ノイズを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態になるカードコネクタ装置の要部平面図および側面図
【図2】第2実施形態になるカードコネクタ装置の要部平面図、側面図、及び断面図
【図3】従来のカードコネクタ装置の要部平面図および側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明はカードコネクタ装置である。例えば、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置に搭載されるカードコネクタ装置である。このカードコネクタ装置は導電性表面を有するカード(例えば、表面に金属板が設けられたカード)が装着されるカードコネクタ装置である。本装置は、前記カードの一方の側(主面が水平面に存在したとすると、例えば右側)が案内される導電性(例えば、金属製)の第1のガイドレールを有する。本装置は、前記カードの他方の側(主面が水平面に存在したとすると、例えば左側)が案内される導電性(例えば、金属製)の第2のガイドレールを有する。前記第1のガイドレール及び第2のガイドレールの各々のカード挿入始端側には、前記ガイドレールが接地される接地機構(第1の接地機構)が設けられている。かつ、前記第1のガイドレール及び第2のガイドレールの各々のカード挿入終端側には、前記ガイドレールが接地される接地機構(第2の接地機構)が設けられている。前記第1のガイドレールや第2のガイドレールは、例えばプリント基板上に搭載されている。そして、前記接地機構は、前記第1のガイドレール及び前記第2のガイドレールが、各々の接地位置において、前記プリント基板に設けられたアースパッドに接地された構造である。接地機構は、例えばガイドレールがアースパッドに螺子止めされた構造である。或は、ガイドレールがバネを介してアースパッドに接地された構造である。本発明は、例えば放射ノイズの規制周波数が1GHz以下とすればガイドレールのカード挿入始端側とカード挿入終端側との距離が5cm程度の場合、前記カード挿入始端側の位置とカード挿入終端側の位置とに接地機構を講じていると特に有効である。すなわち、ガイドレールの長さが長い場合に特に有効である。ガイドレールが非常に長い場合や放射ノイズの規制周波数がより高い場合、カード挿入始端側の位置とカード挿入終端側の位置の他にも中間位置にも接地機構が講じられる。
【0014】
以下、図面を参照しながら更に具体的に説明する。
【0015】
図1(a)(b)は、本発明の第1実施形態になるカードコネクタ装置の要部平面図および側面図である。
【0016】
図1中、1は、外装に金属部18を備えたPCカードである。2はプリント基板である。11はコネクタである。12はコネクタ11の信号ピンであり、PCカード1装着時にPCカード1の信号ピンと接続される。13は信号ピン12と1対1で導通があり、コネクタ11の半田付け用の端子である。10は、例えば長さが5cm程度の金属製ガイドレールである。14,20は、プリント基板2に設けられたアースパッドである。アースパッド14は、ガイドレール10のカード挿入始端側に設けられたアースパッド(第1の接地機構の一部)である。アースパッド20は、ガイドレール10のカード挿入終端側に設けられたアースパッド(第2の接地機構の一部)である。15は、アースパッド14と接続できるガイドレール10の接地端子(第1の接地機構の一部)である。21は、アースパッド20と接続できるガイドレール10の接地端子(第2の接地機構の一部)である。接地端子15と接地端子21とは、例えば3〜5cm程度の間隔がある。16は勘合部である。17は金属製バネである。
【0017】
カードコネクタ装置は、大別して、コネクタ11と、ガイドレール10とから構成される。コネクタ11とガイドレール10とは、勘合部16によって、固定されている。
【0018】
コネクタ11は、PCカード1と電気的に接続する為の信号ピン12を有する。コネクタ11はプリント基板2に半田付けされる。
【0019】
金属製のガイドレール10は、PCカード1をコネクタ11の信号ピン12に導くガイドレール機能を備えている。すなわち、ガイドレール10は、PCカード1の左側端部をガイドする左ガイドレール部と、PCカード1の右側端部をガイドする右ガイドレール部との一対で構成されている。このガイドレール10は、PCカード1の右側端部・左側端部を挟持して案内する為、例えば断面コ字形に構成されている。ガイドレール10は、PCカード1装着時に、PCカードの金属部18に確実に接触する為のバネ17を複数備えている。
【0020】
ガイドレール10(右ガイドレール部および左ガイドレール部)のPCカード1の挿入始端側(図1(a)中、左側)には接地端子15が構成されている。かつ、ガイドレール10(右ガイドレール部および左ガイドレール部)のPCカード1の挿入終端側(図1(a)中、右側:勘合部16付近の位置)には接地端子(放射ノイズ用接地端子)21が構成されている。そして、ガイドレール10に構成された計4個の接地端子15,21はアースパッド14,20に接地されている。特に、接地端子15はプリント基板2に設けられたアースパッド14に螺子で固定されている。接地端子21はプリント基板2に設けられたアースパッド20に螺子で固定されている。すなわち、恰も、ガイドレール10の4隅の位置に構成された各々の接地端子がプリント基板2に構成された各々のアースパッドに接地できるように構成されている。これにより、ガイドレール10から放射される高周波ノイズが抑制される。
【0021】
図2(a)(b)(c)は、本発明の第2実施形態になるカードコネクタ装置の要部平面図、側面図、A−A断面図である。
【0022】
前記実施形態にあっては、ガイドレールの接地端子とプリント基板のアースパッドとは螺子で全てが強固に固定されたものであるが、本実施形態にあっては、ガイドレールのPCカード1の挿入終端側に構成された接地端子(放射ノイズ用接地端子:金属バネ30で構成)がプリント基板のアースパッドに金属バネ30の力で弾接されたに過ぎないので、詳細な説明は省略される。尚、図からも判る通り、ガイドレールのPCカード1の挿入始端側に構成された接地端子はプリント基板に設けられたアースパッドに螺子で固定されている。
【0023】
本実施形態においても、恰も、ガイドレールの4隅の位置に構成された接地端子がプリント基板のアースパッドに接地されているので、ガイドレールから放射される高周波ノイズが抑制される。そして、螺子の数が少なくなったので、それだけ作業性が向上した。又、ネジ孔が不要となり、分配線スペースとして有効活用できる。
【符号の説明】
【0024】
1 PCカード
2 プリント基板
10 ガイドレール
11 コネクタ
14 アースパッド(第1の接地機構の一部)
15 接地端子(第1の接地機構の一部)
18 PCカード外装の金属部
20 アースパッド(第2の接地機構の一部)
21 接地端子(第2の接地機構の一部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードが装脱着されるカードコネクタ装置であって、
前記カードの一方の側が案内される導電性の第1のガイドレールと、
前記カードの他方の側が案内される導電性の第2のガイドレールと、
前記第1のガイドレール及び第2のガイドレールの各々のカード挿入始端側に設けられた前記ガイドレールが接地される接地機構と、
前記第1のガイドレール及び第2のガイドレールの各々のカード挿入終端側に設けられた前記ガイドレールが接地される接地機構
とを具備することを特徴とするカードコネクタ装置。
【請求項2】
カードコネクタ装置は情報処理装置に設けられたものであり、
第1のガイドレール及び第2のガイドレールはプリント基板上に搭載されており、
接地機構は、前記第1のガイドレール及び前記第2のガイドレールが、各々の接地位置において、前記プリント基板に設けられたアースパッドに接地された構造である
ことを特徴とする請求項1のカードコネクタ装置。
【請求項3】
接地機構は、ガイドレールがアースパッドに螺子止めされた構造である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のカードコネクタ装置。
【請求項4】
接地機構は、ガイドレールがバネを介してアースパッドに接地された構造である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のカードコネクタ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−165564(P2011−165564A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29055(P2010−29055)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】