説明

カードコネクタ

【課題】簡易な構造で、カードコネクタにおけるカード媒体のスムーズな挿入及び抜き出しを実現する。
【解決手段】ハウジング102の開口105には、カード媒体201が挿入される。カード媒体201は、第1側面205を奥側にして第2側面204に沿う挿入方向Aにスライド挿入される。ハウジング102は、ロック部材110を移動自在に保持する。ロック部材110における挿入方向Aの奥側は、第1部分116が設けられる。ロック部材110の第2部分117は、第1部分116に対し交差する方向に延びる。ロック部材110の第3部分118は、第2部分に対し交差する方向に延びる。カード媒体201の第1側面205が第1部分116に接触すると、ロック部材110が旋回して、第2部分117及び第3部分118がカード媒体201に接触する。拘束部123は、挿入方向Aに交差し開口105から離れる方向に動いた第3部分118を拘束する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、電話機、PDA(Personal Digital Assistance)、携帯型オーディオ、カメラ等の機器に取り付けられ、ICカードやPCカード、SDカード、SIMカード等のカード媒体をスムーズに挿入及び抜き出しできるカードコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機、電話機、PDA、携帯型オーディオ、カメラ等の機器には、CPUやメモリ用のICチップを含むカード媒体(ICカード、PCカード、SDカード、SIMカード等)を装着するためのカードコネクタが組み込まれている。
【0003】
カード媒体の一方の面には、カード媒体に収納されるICチップに電気的接続をするためのパッド部が設けられる。また、カードコネクタの内側平面の一方には、パッド部に接触するコンタクト部が設けられる。そして、従来、カード媒体が裏返しでカードコネクタに挿入されるのを防ぐカードコネクタの発明が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に記載のカードコネクタ1は、下ハウジング部材2と上ハウジング部材3とを組み合わせて構成され、偏平なハウジングを備える。このハウジングには、カード20が収納される偏平な中空の空間が形成される。ハウジングに形成される空間内には、イジェクト機構4が設けられる。このイジェクト機構4は、カード20を排出するためのものである。イジェクト機構4は、下ハウジング部材2の一方の側壁13に沿って滑動自在で、ばね部材9に押されてハウジングの外部に向けて動くイジェクト部材8を含む。イジェクト部材8は、このイジェクト部材8のスライド方向に対してほぼ直角な方向に内側に突出するカード当接部35を有しており、カード当接部35をカード20の先端部に当接させた状態でスライド移動し、カード20を排出する。
【0005】
カード20の一の角部には、切欠き部21が設けられる。一方、カード当接部35は、スライド方向に対して傾斜し、挿入されたカード20の切欠き部21と良好に係合する被当接面を形成する。そして、カード20が裏返しで挿入されると、カード20における切欠き部21以外の角部がカード当接部35のなす被当接面に引っかかり、カード20の一部がハウジングに収納されない。特許文献1は、この点を「誤操作防止手段」として説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−095449号公報(段落0037〜0038、図5、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図12は、カード媒体901の一例を示す背面図である。近年、パッド部902を縁部に隣接させずに中央位置に配置させたカード媒体901が普及している。このようなカード媒体901の一例は、SIMカードである。カード媒体901を装着させるカードコネクタ(図示せず)を考える場合、パッド部902と接触するコンタクト部(図示せず)は、カードコネクタに形成されるカード媒体901の収納空間の最深部よりも開口側によった位置に配置されることになる。このため、携帯電話機等の機器に対し、カード媒体901を装着するカードコネクタを組み込む場合と、特許文献1に記載のカードコネクタ1を組み込む場合とでは、機器内の各種部品(図示せず)の配置レイアウトが大きく異なる。
【0008】
これに加え、カードコネクタについて、低背化、小型化、カードの挿入や抜き出しに十分な強度、挿入されたカードを容易に放出できるような構造等の要求も存在する。
【0009】
そこで、発明者は、カード媒体901の一の角部に設けられた切欠き部903を奥側に向けてカードコネクタにカード媒体901を装着するという従来の設計思想を根本的に見直した。そして、切欠き部903を手前側に向けてカード媒体901を装着することを前提とし、切欠き部903の活用についても考えた。そして、カード媒体の挿入及び抜き出しのいずれにも有利で、正規な向きで挿入されたカード媒体を脱落しないように保持できるカードコネクタの技術的思想を創作するに至った。
【0010】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、簡易な構造で、カードコネクタにおけるカード媒体のスムーズな挿入及び抜き出しを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のカードコネクタは、第1側面と第2側面と第3側面とをこの順に並べて形成する扁平なカード媒体を、前記第1側面を奥側にして前記第2側面に沿う挿入方向にスライド挿入させて保持するカードコネクタであって、(i)前記カード媒体を挿入させるための開口と、前記開口から延び前記カード媒体が収納される収納空間とを形成するハウジングと、(ii)前記第1側面に接触する第1部分と、前記第1部分に対し交差する方向に延び前記第2側面に接触する第2部分と、前記第2部分に対し交差する方向に延び前記第3側面に接触する第3部分とを備え、少なくとも前記第1部分を前記収納空間内に位置させて前記ハウジングに対して移動自在に前記ハウジングに保持されるロック部材と、を備え、前記ハウジングは、前記挿入方向に交差し前記開口から離れる方向に動いた前記第3部分を拘束する拘束部を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、開口から挿入されるカード媒体の第1側面が第1部分を押すことにより第1部分と第2部分との連結箇所がハウジングの内壁面に接触し、ロック部材が収納空間内を旋回し、第3部分が開口の内側方向に動いて拘束部から離反し、この第3部分が第3側面に接触する。したがって、簡易な構造で、カードコネクタにおけるカード媒体のスムーズな挿入及び抜き出しを実現できる。さらには、正規な向きで挿入されたカード媒体の保持をも実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】カードコネクタの斜視図である。
【図2】カードコネクタの分解斜視図である。
【図3】カード媒体が装着された状態のカードコネクタの斜視図である。
【図4】コネクタ本体の内部構造を示す平面図である。
【図5】コネクタ本体の内部構造を示す正面図である。
【図6】ロック部材の斜視図である。
【図7】ロック部材保持領域に位置付けられたロック部材の斜視図である。
【図8】ロック部材の第3部分を拘束している状態の拘束部の平面図である。
【図9】カード媒体を収納空間に挿入しはじめた状態のカードコネクタの平面図である。
【図10】カード媒体を収納空間に挿入し終えた状態のカードコネクタの平面図である。
【図11】ロック部材の第3部分と離反している状態の拘束部の平面図である。
【図12】カード媒体の一例を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の一形態を、図1ないし図11に基づいて説明する。図1は、カードコネクタ101の斜視図である。図2は、カードコネクタ101の分解斜視図である。カードコネクタ101は、携帯電話機、電話機、PDA、携帯型オーディオ、カメラ等の機器に組み込まれる。カードコネクタ101には、カード媒体201が装着される。カード媒体201は、CPUやメモリ用のICチップを含む。カード媒体201の例は、ICカード、PCカード、SDカード、SIMカード等である。本実施の形態では、カード媒体201がSIMカードである場合について説明する。カード媒体201の構造は、図12に基づいて前述したカード媒体901と同様のものである。改めて説明すると、カード媒体201は、平面視略矩形形状で適宜な厚さの扁平のものであって、ICチップ(図示せず)とパッド部202(図6及び図7参照)を有し、第3側面としての切欠き部203を一の角に形成している。ICチップは、カード媒体201に収納される。パッド部202は、ICチップに電気的接続している。
【0015】
カードコネクタ101は、扁平で平面視略矩形形状のハウジング102を備え、このカードコネクタ101内にカード媒体201を収納させて保持する。ハウジング102は、下側をなし合成樹脂材料等の絶縁材料で形成されたコネクタ本体103に、板金をプレス加工して形成されたカバー104を覆い被せて構成される。ハウジング102には、長辺側の一の側部に開口105が設けられる。そして、ハウジング102の内部には、開口105から延びる、平面視「コ」字形状の扁平な収納空間106が形成される。収納空間106の底面106aには、コンタクト部107が配置される。収納空間106には、開口105からスライド挿入されたカード媒体201が収納される。このとき、カード媒体201は、パッド部202を露出させる面を下にし、カード媒体201の挿入方向Aの手前側に切欠き部203を向けられる。これにより、収納空間106に収納されたカード媒体201のパッド部202は、コンタクト部107に接触する。ここで、挿入方向Aと平行で切欠き部203に連なるカード媒体201の側面を、第2側面204と呼ぶ。また、挿入方向Aの奥側で第2側面204に連なる側面を、第1側面205と呼ぶ。つまり、カード媒体201は、扁平なものであって、第1側面205と第2側面204と切欠き部203とをこの順に並べて形成している。
【0016】
コンタクト部107は、金属条片であってバネ性を有しており、カード媒体201を上方に押し上げる。また、カバー104には、カード媒体201と下方に押さえ込むカード押さえ部108が形成されている。このため、収納空間106に収納された201は、その上下を、コンタクト部107とカード押さえ部108とに挟まれる。また、カード媒体201は、その側面を、コネクタ本体103の内側面、並びに、イジェクト機構109及びロック部材110(いずれも次に述べる)によって保持される。
【0017】
図3は、カード媒体201が装着された状態のカードコネクタ101の斜視図である。なお、図3は、カバー104を省略して示している。図2及び図3を参照する。カードコネクタ101は、イジェクト機構109と、ロック部材110とを備える。イジェクト機構109は、収納空間106に対するカード媒体201のスムーズな挿入及び取り出しを実現する。ロック部材110は、収納空間106に収納されたカード媒体201に接触して保持する。詳細には、ロック部材110は、ハウジング102に挿入されたカード媒体201の第1側面205と第2側面204と切欠き部203とに接触して、このカード媒体201の動きをロックする。イジェクト機構109とロック部材110とは、収納空間106の内側面のうち開口105側から見た左右両側のそれぞれに設けられる。本実施の形態では、イジェクト機構109は開口105に対して右側に設けられ、ロック部材110は開口105に対して左側に設けられる。なお、イジェクト機構109は開口105に対して左側に設けられ、ロック部材110は開口105に対して右側に設けられるようにしてもよい。
【0018】
図4は、コネクタ本体103の内部構造を示す平面図である。図5は、コネクタ本体103の内部構造を示す正面図である。まず、イジェクト機構109について説明する。イジェクト機構109は、イジェクト部材111と、スプリング112と、カムレバー113とを備える。イジェクト部材111は、平面視クランク形状で挿入方向Aにスライド自在である。イジェクト部材111には、ハート形カム114が形成される。ハート形カム114の周りには、周状のカム溝115が形成される。また、カムレバー113の一方の端部は、コネクタ本体103に拘束される。カムレバー113の他方の端部は、カム溝115に入り込んでカム溝115の底面に圧力をもって接している。カム溝115の底面には段部が設けられていて、カムレバー113が所定の周回方向にのみ動くようになっている。また、スプリング112は、イジェクト部材111を、挿入方向Aに沿って開口105側に押している。
【0019】
カード媒体201が収納空間106で挿入方向Aの奥側に押し込まれると、第1側面205はイジェクト部材111を挿入方向Aの奥側に押す。カード媒体201の押し込みが解除されると、スプリング112はイジェクト部材111を挿入方向Aの手前側に押し戻す。このとき、カムレバー113はハート形カム114に引っ掛かり、カード媒体201を開口105からはみ出させない位置でイジェクト部材111が停止する(図10参照)。この状態で、再びカード媒体201が収納空間106で挿入方向Aの奥側に押し込まれると、カムレバー113とハート形カム114とが離反する。そして、カード媒体201の押し込みが解除されると、スプリング112がイジェクト部材111を挿入方向Aの手前側に押し、イジェクト部材111がカード媒体201を開口105から排出させる(図9参照)。
【0020】
図6は、ロック部材110の斜視図である。図7は、ロック部材保持領域106bに位置付けられたロック部材110の斜視図である。なお、図7は、カバー104を省略して示している。次に、ロック部材110について説明する。ロック部材110は、板状で長尺の金属部材を折り曲げて形成される。ロック部材110は、ロック部材保持領域106bに位置付けられる。このロック部材保持領域106bとは、収納空間106の一部をなし、この収納空間106の底面106aよりも一段落ち込んで形成され、収納空間106の内側面に沿って挿入方向Aに延びる領域である。
【0021】
ロック部材110は、第1部分116と第2部分117と第3部分118とをこの順に連ねて有する。第1部分116は、ロック部材110の一方の端部に位置する。ロック部材110は、平面視U字形状に曲がっていて、バネ性を有する。第1部分116には、収納空間106の奥側に位置付けられる。第1部分116には、開口105から挿入されたカード媒体201の第1側面205(図2参照)が接触する。第2部分117は、第1部分116に対し交差する方向に棒状に延びている。ここで、第1部分116と第2部分117との連結箇所116aは、曲面を形成している。第2部分117には、開口105から挿入されたカード媒体201の第2側面204(図2参照)が接触する。第3部分118は、ロック部材110の他方の端部に位置し、第2部分117に対し交差する方向に延びている。第3部分118は、三角状に折り曲げられて、バネ性を有する。第3部分118は、開口105の端部近傍に位置付けられて、開口105から離れる側に開いた形状をなす。第3部分118は、ロック部材110が収納空間106の内部で旋回することにより、開口105から挿入されたカード媒体201の切欠き部203(図2参照)に接触する。
【0022】
ところで、コネクタ本体103とカバー104(図2等参照)とは、抜け止め空間106cを形成する。抜け止め空間106cは、ロック部材保持領域106bにおける収納空間106の奥側に位置する。また、ロック部材保持領域106bにおいて、抜け止め空間106cよりも挿入方向Aの手前側には、連通空間106dが設けられる。連通空間106dは、抜け止め空間106cよりも細く、挿入方向Aに延びている。ロック部材110は、第1部分116が抜け止め空間106c内に配置され、かつ、第2部分117が連通空間106d内で挿入方向Aに延びる向きに配置された状態で、コネクタ本体103とカバー104とに挟まれて、ハウジング102に遊びをもってこのハウジング102に対し移動自在に保持される。
【0023】
ロック部材110は、突部119と爪部119aとを有する。突部119は、ロック部材110の第2部分117の側面から、収納空間106とは反対側に突出している。爪部119aは、ロック部材110の第2部分117の上面から、上方に突出している。
【0024】
図7を参照する。コネクタ本体103には、支点部121が形成される。支点部121は、収納空間106の内側面でロック部材110の第2部分を挟んで収納空間106とは反対側に位置する。この支点部121は、収納空間106の内側面から収納空間106の内側方向に向けて角状に突出する。
【0025】
コネクタ本体103には、第1案内部122が形成される。第1案内部122は、収納空間106の内側面に形成され、支点部121から開口105側に向けて収納空間106を幅広とするように挿入方向Aに対して傾斜する方向に延びている。
【0026】
図8は、ロック部材110の第3部分118を拘束している状態の拘束部123の平面図である。カバー104には、拘束部123が形成される。拘束部123は、平面視略三角形であって、カバー104から開口105に向けて突出する。この拘束部123には、開口105から離れる側に開いた形状の第3部分118が引っ掛かる。そして、拘束部123における挿入方向Aの手前側の側面には、突起124が設けられる。突起124には、第3部分118に形成された段部118aが引っ掛かる。
【0027】
カバー104には、ガイド溝125が形成される。ガイド溝125は、平面視におけるカバー104の縁から内側に延び、続いて挿入方向Aの奥側に向かって延びている。このガイド溝125には、ロック部材110から上方に突出する爪部119aが下方から入り込む。ロック部材110が動くと、ガイド溝125が爪部119aの動きを規制する。これにより、ロック部材110は、所定の移動軌跡に沿って動くことになる。つまり、爪部119aとガイド溝125とは、第2案内部126を構成し、ハウジング102に対してロック部材110をスライド自在に係合させロック部材110を案内する。なお、別の実施の形態として、第2案内部126は、カバー104から突出するレール部(図示せず)を、ロック部材110に形成される凹部(図示せず)に係合させて構成されていても良い。
【0028】
図9は、カード媒体201を収納空間106に挿入しはじめた状態のカードコネクタ101の平面図である。上記のように構成されるカードコネクタ101では、イジェクト部材111がスプリング112に押され、挿入方向Aの手前側に位置付けられている。また、ロック部材110の第3部分118は、拘束部123に引っ掛かっている。このため、ロック部材110は、挿入方向Aには動かない。
【0029】
カードコネクタ101に対してカード媒体201を装着する場合、カード媒体201は開口105から挿入方向Aの奥側に向けて挿入される。このとき、カード媒体201のパッド部202を露出させる面は下方に向けられる。また、切欠き部203は、挿入方向Aの手前側に向けられる。これにより、ロック部材110もイジェクト部材111も収納空間106の奥側に押し込まれ、パッド部202がコンタクト部107に接触する。以下、このようなカード媒体201の向きを「正規の向き」と呼ぶことがある。
【0030】
イジェクト部材111は、カード媒体201の第1側面205に押され、収納空間106の奥側に向けて移動する。イジェクト部材111は、イジェクト機構109の機能によって、収納空間106の奥側の所定の位置で停止する。
【0031】
図10は、カード媒体201を収納空間106に挿入し終えた状態のカードコネクタ101の平面図である。ロック部材110の第1部分116は、カード媒体201の第1側面205に押されて、収納空間106の奥側に向けて移動する。このとき、第1部分116と第2部分117との連結箇所116aは、コネクタ本体103の内壁面に接触する。これにより、ロック部材110は、収納空間106内を旋回して図10に示す旋回方向Rに動く。そして、第2部分117と第3部分118とは、カード媒体201に近づく。第3部分118がカード媒体201に近づいて開口105の内側方向に移動すると、第3部分118は拘束部123から離反する。これにより、ロック部材110は、挿入方向Aに動けるようになる。
【0032】
ここで、ロック部材110が旋回するとき、支点部121は、旋回するロック部材110に干渉して、ロック部材110を確実に旋回させる。さらに、第1案内部122は、ロック部材110に設けられる突部119を案内し、第2部分117及び第3部分118を確実にカード媒体201に近づける。
【0033】
なお、カード媒体201を、正規の向き以外の向きに向けた状態で、開口105から挿入方向Aの奥側に向けて挿入しようとすると、カード媒体201の切欠き部203はロック部材110の第3部分118から離れた箇所に位置付けられる。このため、ロック部材110が旋回方向Rに旋回しようとしても、第3部分118はカード媒体201の側面に干渉されて拘束部123から離反できない。ここで、第3部分118が拘束部123に拘束されていると、ロック部材110は挿入方向Aに動くことができない。つまり、カード媒体201を正規の向き以外の向きに向けた状態で開口105から挿入しようとしても、ロック部材110は動かず、カード媒体201はカードコネクタ101に収納されない。このように、本実施の形態のカードコネクタ101では、SIMカードのように一の角が切り欠かれている形状のカード媒体201の逆挿し防止が実現される。
【0034】
図11は、カード媒体201を収納空間106に挿入し終えた状態の拘束部123の平面図である。ロック部材110が旋回するとき、ロック部材110に設けられる爪部119aはガイド溝125に案内される。これにより、ロック部材110は所定の移動軌跡に沿って動き、第3部分118は拘束部123から確実に離反し、第2部分117及び第3部分118は確実にカード媒体201に近づく。
【0035】
カードコネクタ101からのカード媒体201の排出は、カード媒体201を挿入方向Aの奥側に押した後にこの押し込みを解除することによりなされる。このとき、カード媒体201の第1側面205は、イジェクト部材111を挿入方向Aの奥側に押し込む。そして、押し込みが解除されたときに、スプリング112は、イジェクト部材111を挿入方向Aの手前側に押す。これにより、カード媒体201は、開口105から排出される。なお、イジェクト部材111は、イジェクト機構109の機能によって、図9に示すように、カード媒体201を収納空間106から排出させる位置まで移動できる。
【0036】
ここで、ロック部材110の第3部分118は、カード媒体201の切欠き部203に押されて挿入方向Aの手前側に移動する。これにより、ロック部材110の全体が、挿入方向Aの手前側に移動する。そして、開口105からはみ出したカード媒体201を持って挿入方向Aの手前側に抜き出されると、第3部分118は切欠き部203に押されて拘束部123に横並びし、さらには第3部分118が開口105から離れる方向に動いて拘束部123に嵌り込み、段部118aが突起124に引っ掛かる。このとき、爪部119aはガイド溝125に沿って動き、ロック部材110は挿入時と同じ軌跡を描いて移動する。このため、爪部119aは確実にガイド溝125に拘束される。
【0037】
このように、本実施の形態のカードコネクタ101によれば、開口105から挿入されるカード媒体201の第1側面205が第1部分116を押すことにより第1部分116と第2部分117との連結箇所116aがハウジング102の内壁面に接触し、ロック部材110が収納空間106内を旋回し、第3部分118が開口105の内側方向に動いて拘束部123から離反し、この第3部分118が切欠き部203に接触する。したがって、簡易な構造で、カードコネクタ101におけるカード媒体201のスムーズな挿入及び抜き出しを実現できる。
【0038】
さらに、本実施の形態のカードコネクタ101は、SIMカードに対応したものである。この場合、パッド部202は、その規格によって、カード媒体201の縁部ではなく中央部分に設けられている。このため、切欠き部203を挿入方向Aの手前側に向けてカード媒体201(SIMカード)の全体を収納空間106に収納しなくても、カード媒体201の一部を挿入するだけでパッド部202を収納空間106内に位置付けることができる。つまり、収納空間106の挿入方向Aの奥行長をカード媒体201の挿入方向Aの長さよりも短くして、カードコネクタ101を小型化することができる。
【符号の説明】
【0039】
101 カードコネクタ
102 ハウジング
105 開口
106 収納空間
110 ロック部材
116 第1部分
117 第2部分
118 第3部分
119 突部
121 支点部
122 第1案内部
123 拘束部
126 第2案内部
201 カード媒体
203 切欠き部(第3側面)
204 第2側面
205 第1側面
A 挿入方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1側面と第2側面と第3側面とをこの順に並べて形成する扁平なカード媒体を、前記第1側面を奥側にして前記第2側面に沿う挿入方向にスライド挿入させて保持するカードコネクタであって、
前記カード媒体を挿入させるための開口と、前記開口から延び前記カード媒体が収納される収納空間とを形成するハウジングと、
前記第1側面に接触する第1部分と、前記第1部分に対し交差する方向に延び前記第2側面に接触する第2部分と、前記第2部分に対し交差する方向に延び前記第3側面に接触する第3部分とを備え、少なくとも前記第1部分を前記収納空間内に位置させて前記ハウジングに対して移動自在に前記ハウジングに保持されるロック部材と、
を備え、
前記ハウジングは、前記挿入方向に交差し前記開口から離れる方向に動いた前記第3部分を拘束する拘束部を有する、
カードコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングの内壁面で前記第2部分を挟んで前記収納空間とは反対側に形成され、前記収納空間の内側に向けて突出する支点部を更に備える、
請求項1記載のカードコネクタ。
【請求項3】
前記ロック部材は、前記第2部分から前記収納空間とは反対側に突出する突部を更に備え、
前記ハウジングは、前記開口から挿入される前記カード媒体の前記第1側面が前記第1部分を押すことにより動く前記第2部分が前記収納空間に向かうよう前記突部を案内する第1案内部を更に備える、
請求項1又は2記載のカードコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングに対して前記ロック部材をスライド自在に係合させ、前記ロック部材を案内する第2案内部を更に備える、
請求項1から3のいずれか一に記載のカードコネクタ。
【請求項5】
前記拘束部は、前記開口に向けて突出し、
前記第3部分は、前記開口から離れる側に開いた形状をなして前記拘束部に引っ掛かる、
請求項1から4のいずれか一に記載のカードコネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−249049(P2011−249049A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118651(P2010−118651)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】