説明

カードプリンタシステム、カードプリンタシステムの制御方法およびカード発行システム

【課題】カードプリンタの制御部の記憶容量が小さくても、印字条件の異なる複数種類のカードの印字を行うことが可能なカードプリンタシステムを提供する。
【解決手段】カードプリンタシステム10では、上位装置4の上位側制御部13は、印字されるカードに応じた印字設定を上位側制御部13からカードプリンタ5のプリンタ側制御部12へ送り、プリンタ側制御部12は、プリンタ側制御部12のプリンタ側設定保持部15が保持している印字設定を送られてきた印字設定に書き換えて、書き換え後の印字設定をプリンタ側設定保持部15に保持させ、カードプリンタ5は、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定に基づいてカードへの印字を行う。また、上位側制御部13は、カードプリンタシステム10の起動時にプリンタ側設定保持部15が保持している初期印字設定を読み出して、上位側制御部13の上位側設定保持部に初期印字設定を保持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードに所定情報を印字するカードプリンタを備えるカードプリンタシステム、および、カードプリンタシステムの制御方法に関する。また、本発明は、かかるカードプリンタシステム、または、かかるカードプリンタシステムの制御方法で制御されるカードプリンタシステムを備えるカード発行システムに関する。
【0002】
なお、本明細書における「印字」には、カード上に印された文字の他、カード上に印された図形、記号および模様等が含まれるものとする。また、本明細書における「印字する(または、印字を行う)」には、カード上に文字を記すことの他、カード上に図形、記号あるいは模様等を記すことが含まれるものとする。
【背景技術】
【0003】
従来、カード発行装置と、ネットワークを介してこのカード発行装置に接続されるホストコンピュータとを備えるカード発行システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のカード発行システムでは、カード発行装置は、複数種類のカードがカードの種類ごとに収納されるカード収納部と、カード収納部から搬出されたカードと情報をやりとりするカードリーダと、カード収納部から搬出されたカードに印字を行う印字部とを備えている。また、カード発行装置は、CPUや記憶部等からなる制御部を備えている。制御部を構成する記憶部には、印字条件補正テーブルが格納されており、印字条件補正テーブルでは、カードの種類に応じた印字補正条件が複数、設定されている。
【0004】
このカード発行システムでは、ホストコンピュータからのカード種情報に基づいて指定された種類のカードがカード収納部から搬出され、搬出されたカードの情報がカードリーダで読み取られる。印字部は、カードリーダで読み取られたカードの情報に基づいて取得される印字補正条件でカードへの印字を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−262722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のカード発行システムでは、カード発行装置が有する記憶部の中に、カードの種類に応じた印字補正条件が複数、設定されている印字条件補正テーブルが格納されている。そのため、このカード発行システムでは、カードに印字を行うカード発行装置の記憶部の記憶容量を大きくしないと、印字条件の異なる複数種類のカードの印字を行うことができない。
【0007】
そこで、本発明の課題は、カードに所定情報を印字するカードプリンタの制御部の記憶容量が小さくても、印字条件の異なる複数種類のカードの印字を行うことが可能なカードプリンタシステムを提供することにある。また、本発明の課題は、カードに所定情報を印字するカードプリンタの制御部の記憶容量が小さくても、印字条件の異なる複数種類のカードの印字を行うことが可能となるカードプリンタシステムの制御方法を提供することにある。さらに、本発明は、かかるカードプリンタシステム、または、かかるカードプリンタシステムの制御方法で制御されるカードプリンタシステムを備えるカード発行システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のカードプリンタシステムは、カードに所定情報を印字するカードプリンタと、カードプリンタが接続される上位装置とを備え、複数種類のカードへの印字が可能なカードプリンタシステムであって、カードプリンタが有するプリンタ側制御部は、カードの種類に応じた印字条件が設定されている印字設定を保持するプリンタ側設定保持部を備え、上位装置が有する上位側制御部は、プリンタ側設定保持部よりも多くの印字設定を保持可能な上位側設定保持部を備え、上位側制御部は、カードプリンタで印字させるカードに応じた印字設定を上位側設定保持部からプリンタ側制御部へ送るとともに、プリンタ側制御部は、プリンタ側設定保持部が保持している印字設定を上位側設定保持部から送られた印字設定に書き換えて、書き換え後の印字設定をプリンタ側設定保持部に保持させ、カードプリンタは、プリンタ側設定保持部が保持している印字設定に基づいてカードへの印字を行い、上位側制御部は、カードプリンタシステムの起動時にプリンタ側設定保持部が保持している印字設定である初期印字設定を読み出して、上位側設定保持部に初期印字設定を保持させることを特徴とする。
【0009】
本発明のカードプリンタシステムでは、カードプリンタが有するプリンタ側制御部は、印字設定を保持するプリンタ側設定保持部を備え、上位装置が有する上位側制御部は、プリンタ側設定保持部よりも多くの印字設定を保持可能な上位側設定保持部を備えている。また、上位側制御部は、カードプリンタで印字させるカードに応じた印字設定を上位側設定保持部からプリンタ側制御部へ送るとともに、プリンタ側制御部は、プリンタ側設定保持部が保持している印字設定を上位側設定保持部から送られた印字設定に書き換えて、書き換え後の印字設定をプリンタ側設定保持部に保持させている。さらに、カードプリンタは、プリンタ側設定保持部が保持している印字設定に基づいてカードへの印字を行っている。
【0010】
すなわち、本発明では、カードプリンタで印字させるカードに応じて、プリンタ側設定保持部が保持している印字設定を上位側設定保持部から送られる印字設定に書き換えて、プリンタ側設定保持部が保持している書き換え後の印字設定に基づいてカードへの印字を行っている。そのため、プリンタ側設定保持部の記憶容量が小さくても、カードプリンタで印字させる複数種類のカードのそれぞれに応じた印字設定をプリンタ側設定保持部に保持させることが可能になる。したがって、本発明では、カードプリンタのプリンタ側制御部の記憶容量が小さくても、印字条件の異なる複数種類のカードの印字を行うことが可能になる。
【0011】
また、本発明では、上位側制御部が、カードプリンタシステムの起動時にプリンタ側設定保持部が保持している印字設定である初期印字設定を読み出して、上位側設定保持部に初期印字設定を保持させるため、上位装置において初期の印字設定が全く行われていない場合等であっても、カードプリンタシステムの起動時に上位側設定保持部に初期印字設定を保持させることができる。したがって、本発明では、上位装置において初期の印字設定が全く行われていない場合等であっても、上位側設定保持部からプリンタ側制御部に初期印字設定を送ってプリンタ側設定保持部に初期印字設定を保持させることが可能になり、その結果、カードプリンタによるカードの印字が可能になる。
【0012】
本発明において、プリンタ側設定保持部は、1つの印字設定を保持していることが好ましい。このように構成すると、カードプリンタのプリンタ側制御部の記憶容量を最小にしつつ、印字条件の異なる複数種類のカードの印字を行うことが可能になる。
【0013】
本発明において、上位側制御部は、カードプリンタシステムを停止させるときに、上位側設定保持部が保持している初期印字設定をプリンタ側制御部へ送るとともに、プリンタ側制御部は、プリンタ側設定保持部が保持している印字設定を上位側制御部から送られた初期印字設定に書き換えて、書き換え後の初期印字設定をプリンタ側設定保持部に保持させることが好ましい。このように構成すると、初期印字設定が常に一定の設定となる。したがって、たとえば、初期印字設定を、市場で流通する複数種類のカードにある程度対応可能な設定としておけば、印字設定の追加や変更等を行う際のユーザの操作上のトラブルによって上位側設定保持部が保持している印字設定の一部が消去されてしまった場合等に、上位装置で印字設定をやり直さなくても、ある程度の品質でカードに印字を行うことが可能になる。
【0014】
本発明において、上位側制御部は、プリンタ側設定保持部が保持している印字設定を保持する現状設定保持部を備え、カードプリンタで印字させようとするカードに応じた印字設定が現状設定保持部が保持している印字設定と同じ場合には、カードプリンタで印字させようとするカードに応じた印字設定をプリンタ側制御部へ送ることなく、プリンタ側制御部に印字を開始させるとともに、カードプリンタで印字させようとするカードに応じた印字設定が現状設定保持部が保持している印字設定と異なる場合には、カードプリンタで印字させようとするカードに応じた印字設定をプリンタ側制御部へ送ってプリンタ側設定保持部に保持させた後に、プリンタ側制御部に印字を開始させることが好ましい。このように構成すると、カードプリンタで印字させようとするカードに応じた印字設定が現状設定保持部が保持している印字設定と同じ場合に、カードへ印字を行うときの処理時間を短縮することが可能になる。
【0015】
本発明において、たとえば、上位側制御部では、カードの種類ごとにカードと印字設定とが対応付けられており、上位側制御部は、カードプリンタで印字させようとするカードの種類がユーザによって指定されると、指定されたカードに対応付けられた印字設定を上位側設定保持部からプリンタ側制御部へ送る。この場合には、ユーザがカードの種類を指定すれば、印字設定が自動的にプリンタ側制御部へ送られる。したがって、カードに印字を行う際のユーザの操作が容易になる。
【0016】
本発明において、上位側制御部は、カードプリンタで印字させようとするカードに印字設定が対応付けられていない場合、または、カードプリンタで印字させようとするカードに対応付けられた印字設定が不明な場合に、初期印字設定を上位側設定保持部からプリンタ側制御部へ送ることが好ましい。このように構成すると、カードプリンタで印字させようとするカードに印字設定が対応付けられていない場合や、カードプリンタで印字させようとするカードに対応付けられた印字設定が不明な場合であっても、カードに印字を行うことが可能になる。
【0017】
本発明において、カードプリンタは、たとえば、インクリボンとインクリボンに塗布されたインクを加熱してカードへ転写するサーマルヘッドとを備えるサーマルプリンタであり、印字条件は、サーマルヘッドの温度条件である。
【0018】
また、上記の課題を解決するため、本発明のカードプリンタシステムの制御方法は、カードの種類に応じた印字条件が設定されている印字設定を保持するプリンタ側設定保持部を有しカードに所定情報を印字するカードプリンタと、プリンタ側設定保持部よりも多くの印字設定を保持可能な上位側設定保持部を有しカードプリンタが接続される上位装置とを備え、複数種類のカードへの印字が可能なカードプリンタシステムの制御方法であって、カードプリンタで印字させるカードに応じた印字設定を上位側設定保持部からプリンタ側設定保持部へ送るとともに、プリンタ側設定保持部が保持している印字設定を上位側設定保持部から送られた印字設定に書き換えて、書き換え後の印字設定をプリンタ側設定保持部に保持させる設定保持ステップと、プリンタ側設定保持部が保持している印字設定に基づいてカードへの印字を行う印字ステップと、を備えるとともに、カードプリンタシステムの起動時にプリンタ側設定保持部が保持している印字設定である初期印字設定を読み出して、上位側設定保持部に初期印字設定を保持させる初期設定保持ステップを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明のカードプリンタシステムの制御方法では、設定保持ステップで、カードプリンタで印字させるカードに応じた印字設定を上位側設定保持部からプリンタ側設定保持部へ送るとともに、プリンタ側設定保持部が保持している印字設定を上位側設定保持部から送られた印字設定に書き換えて、書き換え後の印字設定をプリンタ側設定保持部に保持させている。また、印字ステップで、プリンタ側設定保持部が保持している印字設定に基づいてカードへの印字を行っている。すなわち、本発明では、カードプリンタで印字させるカードに応じて、プリンタ側設定保持部が保持している印字設定を上位側設定保持部から送られる印字設定に書き換えて、プリンタ側設定保持部が保持している書き換え後の印字設定に基づいてカードへの印字を行っている。そのため、本発明では、上述のように、カードプリンタのプリンタ側設定保持部の記憶容量が小さくても、印字条件の異なる複数種類のカードの印字を行うことが可能になる。
【0020】
また、本発明では、初期設定保持ステップで、カードプリンタシステムの起動時にプリンタ側設定保持部が保持している印字設定である初期印字設定を読み出して、上位側設定保持部に初期印字設定を保持させるため、上述のように、上位装置において初期の印字設定が全く行われていない場合等であっても、カードプリンタによるカードの印字が可能になる。
【0021】
本発明のカードプリンタシステム、および、本発明のカードプリンタシステムの制御方法で制御されるカードプリンタシステムは、カードを種類ごとに収納する複数のカード収納部を有するカード収納装置と、カード収納装置から排出されるカードを搬送するカード搬送装置とを備えるカード発行システムに用いることができる。このカード発行システムでは、カードプリンタのプリンタ側設定保持部の記憶容量が小さくても、印字条件の異なる複数種類のカードの印字を行うことが可能になる。また、このカード発行システムでは、上位装置において初期の印字設定が全く行われていない場合等であっても、カードプリンタによるカードの印字が可能になる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明のカードプリンタシステムおよびカード発行システムでは、カードプリンタのプリンタ側設定保持部の記憶容量が小さくても、印字条件の異なる複数種類のカードの印字を行うことが可能になり、また、上位装置において初期の印字設定が全く行われていない場合等であっても、カードプリンタによるカードの印字が可能になる。また、本発明のカードプリンタシステムの制御方法によれば、カードプリンタのプリンタ側設定保持部の記憶容量が小さくても、印字条件の異なる複数種類のカードの印字を行うことが可能になり、また、上位装置において初期の印字設定が全く行われていない場合等であっても、カードプリンタによるカードの印字が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態にかかるカード発行システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す上位側制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すカードプリンタシステムの起動時の制御フローを示すフローチャートである。
【図4】図1に示すカードプリンタシステムの印字時の制御フローを示すフローチャートである。
【図5】図1に示すカードプリンタシステムを停止させるときのカードプリンタシステムの制御フローを示すフローチャートである。
【図6】図1に示すカードプリンタシステムにおける印字設定の変更、追加、削除時の制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
(カード発行システムの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカード発行システム1の概略構成を示すブロック図である。
【0026】
本形態のカード発行システム1は、印字条件の異なる複数種類のカードに所定情報を印字して発行するためのシステムであり、カード発行装置3と、カード発行装置3が接続される上位装置4とを備えている。カード発行装置3は、カードに所定情報を印字するカードプリンタ5を備えている。また、カード発行装置3は、たとえば、複数のカード収納部6を有するカード収納装置7と、カード搬送装置8と、カードリーダ9とを備えている。
【0027】
カード発行システム1で処理されるカードは、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。このカードには、たとえば、磁気データが記録される磁気ストライプが形成されている。また、カードには、たとえば、ICチップが固定されたり、データ通信用のアンテナが内蔵されている。また、カード発行システム1で処理されるカードは、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0028】
カード収納装置7は、たとえば、4個のカード収納部6を備えている。4個のカード収納部6のそれぞれには、異なる種類のカードが積層されて収納されている。すなわち、カード収納装置7には、4種類のカードが種類ごとに収納されている。また、カード収納部6は、カード搬送装置8に向かってカードを排出するカード排出機構を備えている。なお、以下では、4個のカード収納部6を個別に表わす場合には、4個のカード収納部6のそれぞれをカード収納部6A〜6Dと表記する。
【0029】
カード搬送装置8は、4個のカード収納部6のいずれかから排出されるカードを受け取って、カードプリンタ5へ搬送する。カードプリンタ5は、インクリボンと、インクリボンに塗布されたインクを加熱してカードへ転写するサーマルヘッドとを備えるサーマルプリンタであり、カード搬送装置8から受け取ったカードに印字を行った後、印字後のカードをカードリーダ9に向かって排出する。カードリーダ9は、印字後、カードに記録された情報の読取および/またはカードへの情報の記録を行い、処理後のカードを排出する。なお、カードリーダ9で、カードに記録された情報の読取やカードへの情報の記録を行った後に、カードプリンタ5でカードの印字が行われても良い。
【0030】
上位装置4は、たとえば、PC(パーソナルコンピュータ)である。上位装置4には、カードプリンタ5、カード収納装置7、カード搬送装置8およびカードリーダ9が接続されている。本形態では、カードプリンタ5と上位装置4とによって、カードプリンタシステム10が構成されている。以下、カードプリンタシステム10の構成および制御方法を説明する。
【0031】
(カードプリンタシステムの構成)
図2は、図1に示す上位側制御部13の概略構成を示すブロック図である。
【0032】
図1に示すように、カードプリンタ5は、カードプリンタ5の制御部であるプリンタ側制御部12を備えている。また、上位装置4は、上位装置4の制御部である上位側制御部13と、カードプリンタシステム10の停止時に所定の情報を記憶保持するための外部保存領域14とを備えている。
【0033】
プリンタ側制御部12は、CPU、ROM、RAMおよび不揮発性メモリ等によって構成されている。このプリンタ側制御部12は、その機能として、カードの種類に応じた印字条件が設定されている印字設定を保持(記憶)するプリンタ側設定保持部15を備えている。プリンタ側設定保持部15は、1つの印字設定を保持している。本形態では、カードプリンタシステム10が停止しているときでも、プリンタ側設定保持部15は1つの印字設定を保持している。カードプリンタ5は、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定に基づいてカードへの印字を行う。
【0034】
なお、上述のように、カードプリンタ5は、サーマルヘッドを備えるサーマルプリンタであり、本形態の印字条件は、サーマルヘッドの温度条件である。より具体的には、印字条件は、カードの表面素材やカードのコーティング等によって変わるサーマルヘッドの熱のかけ方の条件である。また、1つの印字設定のデータサイズは、たとえば、1キロバイト程度である。
【0035】
上位側制御部13は、CPU、ROM、RAMおよび不揮発性メモリ等によって構成されている。この上位側制御部13は、その機能として、図2に示すように、操作受付部17と、主制御部18と、プリンタ通信部19と、上位側設定保持部20と、カードタイプ−印字設定対応保持部21と、現状設定保持部22とを備えている。
【0036】
操作受付部17は、ユーザの操作を受け付ける機能を果たしている。この操作受付部17は、たとえば、マウスやキーボード等に接続されており、ユーザの入力操作等を受け付ける。
【0037】
上位側設定保持部20は、複数の印字設定を保持(記憶)している。本形態では、上位側設定保持部20は、たとえば、印字設定1、印字設定2および印字設定3の3つの印字設定を保持している。また、後述のように、上位側制御部13は、カードプリンタシステム10の起動時にプリンタ側設定保持部15が保持している印字設定である初期印字設定を読み出して、上位側設定保持部20に保持させる。そのため、上位側設定保持部20は、初期印字設定も保持している。上位側設定保持部20が保持している印字設定には、設定IDが付与されている。たとえば、初期印字設定に設定ID0が付与され、印字設定1に設定ID1が付与され、印字設定2に設定ID2が付与され、印字設定3に設定ID3が付与されている。なお、初期印字設定は、たとえば、塩化ビニール製のカード等の一般的なカードの印字に適した設定となっている。
【0038】
本形態では、ユーザの入力操作によって、上位側設定保持部20に印字設定を追加すること、上位側設定保持部20が保持している印字設定を削除すること、および、上位側設定保持部20が保持している印字設定の内容を変更することが可能である。上位側設定保持部20に印字設定が追加された場合には、追加された印字設定に新たな設定IDが付与される。この追加、削除および変更の方法については後述する。
【0039】
上述のように、カード収納装置7に4種類のカードが収納されており、カードプリンタシステム10では、たとえば、カード収納部6Aに収納されるカードタイプAのカードと、カード収納部6Bに収納されるカードタイプBのカードと、カード収納部6Cに収納されるカードタイプCのカードと、カード収納部6Dに収納されるカードタイプDのカードとの4種類のカードへの印字が可能となっている。上位側制御部13では、カードの種類ごとにカードと印字設定とが対応付けられており、カードタイプ−印字設定対応保持部21は、カードと印字設定との対応関係を保持(記憶)している。具体的には、カードタイプ−印字設定対応保持部21は、カードと印字設定との対応関係を示す対応表を保持している。
【0040】
対応表では、印字設定の設定IDとカードとが対応付けられている。たとえば、カードタイプAのカードには、設定ID1が対応付けられ、カードタイプBのカードには、設定ID2が対応付けられ、カードタイプCのカードには、設定ID3が対応付けられている。なお、本形態では、カードタイプDのカードは、印字設定と対応付けられておらず、カードタイプDは、対応表にない。また、対応表において、異なる種類のカードに同じ設定IDが対応付けられても良い。たとえば、カードタイプBのカードに設定ID2が対応付けられ、かつ、カードタイプCのカードにも設定ID2が対応付けられても良い。
【0041】
現状設定保持部22は、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定を保持(記憶)している。具体的には、現状設定保持部22は、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定の設定IDを保持しており、実際の印字設定を保持していない。すなわち、本形態の現状設定保持部22は、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定の設定IDを保持することで、間接的に、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定を保持している。たとえば、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定が印字設定1であれば、現状設定保持部22は、設定ID1を保持し、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定が印字設定2であれば、現状設定保持部22は、設定ID2を保持している。
【0042】
なお、本形態では、カードプリンタシステム10が停止すると、上位側印字設定保持部20、カードタイプ−印字設定対応保持部21および現状設定保持部22が保持している情報は、リセットされる。
【0043】
主制御部18は、操作受付部17を介して入力される情報に基づいて、たとえば、上位側設定保持部20の印字設定を追加、削除したり、その内容を変更する。また、主制御部18は、後述のように、カードプリンタシステム10を起動させる際やカードプリンタシステム10を停止させる際に、外部保存領域14と各種の情報のやりとりを行う。また、主制御部18は、プリンタ通信部19を介して、プリンタ側制御部12と各種の情報のやりとりを行う。たとえば、主制御部18は、プリンタ側制御部12に印字データを送ったり、カードプリンタ5の印字動作の指示を行う。
【0044】
外部保存領域14は、カードプリンタシステム10が停止(終了)する前に、上位側設定保持部20が保持している印字設定およびカードタイプ−印字設定対応保持部21が保持している対応表を保持(記憶)する。また、外部保存領域14は、カードプリンタシステム10が停止しているときもこれらの印字設定および対応表を保持している。
【0045】
(カードプリンタシステムの起動時の制御方法)
図3は、図1に示すカードプリンタシステム10の起動時の制御フローを示すフローチャートである。
【0046】
カードプリンタシステム10が起動すると、上位側制御部13の主制御部18は、まず、外部保存領域14の確認を行って(ステップS1)、カードプリンタシステム10が前回停止する前に上位側設定保持部20が保持していた印字設定およびカードタイプ−印字設定対応保持部21が保持していた対応表を外部保存領域14が保持しているか否かを判断する(ステップS2)。すなわち、ステップS2では、主制御部18は、保存された設定データ(印字設定および対応表)が外部保存領域14にあるか否かを判断する。
【0047】
ステップS2において、外部保存領域14に保存された設定データがある場合(ステップS2で「Yes」の場合)には、主制御部18は、この設定データ(印字設定および対応表)を外部保存領域14から読み出し、上位側設定保持部20に印字設定を保持させるとともに、カードタイプ−印字設定対応保持部21に対応表を保持させる(ステップS3)。すなわち、ステップS3では、主制御部18は、上位側設定保持部20およびカードタイプ−印字設定対応保持部21を構築する。
【0048】
その後、主制御部18は、プリンタ通信部19を介して、カードプリンタ5との通信を開始して(ステップS4)、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定である初期印字設定を読み出す(ステップS5)。また、主制御部18は、読み出した初期印字設定を上位側設定保持部20に保持させる(ステップS6)。すなわち、ステップS6では、主制御部18は、読み出した初期印字設定を上位側設定保持部20に保存する。初期印字設定が上位側設定保持部20に保存されると、カードプリンタシステム10の起動時の動作が終了する。なお、ステップS6では、主制御部18は、読み出した初期印字設定の設定ID(すなわち、設定ID0)を現状設定保持部22に保持させる。
【0049】
また、ステップS2において、外部保存領域14に保存された設定データがない場合(ステップS2で「No」の場合)には、主制御部18は、上位側設定保持部20およびカードタイプ−印字設定対応保持部21を構築せずに、ステップS4へ進んで、カードプリンタ5との通信を開始する。
【0050】
本形態のステップS5、S6は、カードプリンタシステム10の起動時にプリンタ側設定保持部15が保持している印字設定である初期印字設定を読み出して、上位側設定保持部20に初期印字設定を保持させる初期設定保持ステップである。
【0051】
(カードプリンタシステムの印字時の制御方法)
図4は、図1に示すカードプリンタシステム10の印字時の制御フローを示すフローチャートである。
【0052】
カードプリンタシステム10が稼働しているときに、上位装置4において、カードプリンタ5で印字させようとするカードの種類(カードタイプ)をユーザが指定すると、カードへの印字処理が開始される。印字処理が開始されると、主制御部18は、まず、カードタイプ−印字設定対応保持部21が保持している対応表に、印字させようとするカードのカードタイプがあるか否かを確認し(ステップS11)、このカードタイプが対応表にあるか否かを判断する(ステップS12)。
【0053】
ステップS12において、たとえば、カードタイプAのように、印字させようとするカードのカードタイプが対応表にある場合(ステップS12で「Yes」の場合)には、主制御部18は、対応表でそのカードタイプに対応付けられている設定IDが付与された印字設定を印字の際に使用する印字設定とするため、対応表でそのカードタイプに対応付けられている設定IDを使用設定IDとする(ステップS13)。
【0054】
その後、主制御部18は、現状設定保持部22が保持している設定IDと、ステップS13で特定された使用設定IDとが同じであるか否かを確認し(ステップS14)、これらの設定IDが同じであるか否かを判断する(ステップS15)。
【0055】
ステップS15において、たとえば、現状設定保持部22が保持している設定IDが設定ID1であり、かつ、ステップS13で特定された使用設定IDが設定ID2であって、設定IDが異なる場合(ステップS15で「Yes」の場合)には、主制御部18は、ステップS13で特定された使用設定IDの印字設定を上位側設定保持部20から読み出してプリンタ側制御部12へ送るとともに、プリンタ側制御部12は、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定を上位側設定保持部20から送られてきた印字設定に書き換えて、書き換え後の印字設定をプリンタ側設定保持部15に保持させる(ステップS16)。すなわち、ステップS16では、使用設定IDの印字設定をプリンタ側設定保持部15に上書きして書き込む。
【0056】
なお、ステップS16では、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定を上位側設定保持部20から送られてきた印字設定にそっくりそのまま書き換えても良いし、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定のうちの、上位側設定保持部20から送られてきた印字設定と異なる部分のみを書き換えても良い。
【0057】
その後、主制御部18は、現状設定保持部22が保持している設定IDを使用設定IDに書き換えて、現状設定保持部22に保持させる(ステップS17)。また、主制御部18は、プリンタ側制御部12に印字開始を指示し、カードプリンタ5は、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定に基づいてカードの印字を行う(ステップS18)。カードの印字が終わると、カードへの印字処理が終了する。
【0058】
一方、ステップS15において、たとえば、現状設定保持部22が保持している設定IDが設定ID1であり、かつ、ステップS13で読み出された使用設定IDも設定ID1であって、設定IDが同じ場合(ステップS15で「No」の場合)には、ステップS18へ進み、プリンタ側設定保持部15に保持されている印字設定を書き換えることなく、カードの印字を行う。
【0059】
また、ステップS12において、たとえば、カードタイプDのカードのように、カードと印字設定とが対応付けられておらず、印字させようとするカードのカードタイプが対応表にない場合(ステップS12で「No」の場合)には、主制御部18は、初期印字設定を印字の際に使用する印字設定とするため、初期印字設定の設定IDを使用設定IDとして(ステップS19)、ステップS14へ進む。この場合には、ステップS14で、現状設定保持部22が保持している設定IDと、使用設定IDである初期印字設定の設定IDとが同じであるか否かを確認し、ステップS15で、設定IDが異なれば、主制御部18は、ステップS16で、初期印字設定を上位側設定保持部20から読み出してプリンタ側制御部12へ送るとともに、プリンタ側制御部12は、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定を上位側設定保持部20から送られてきた初期印字設定に書き換えて、書き換え後の初期印字設定をプリンタ側設定保持部15に保持させる。
【0060】
本形態のステップS16は、カードプリンタ5で印字させるカードに応じた印字設定を上位側設定保持部20からプリンタ側設定保持部15へ送るとともに、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定を上位側設定保持部20から送られた印字設定に書き換えて、書き換え後の印字設定をプリンタ側設定保持部15に保持させる設定保持ステップである。また、ステップS18は、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定に基づいてカードへの印字を行う印字ステップである。
【0061】
なお、ステップS18においては、上位側制御部13からの制御指令によって、カードプリンタ5で印字させるカードが収納されたカード収納部6からカードが排出され、排出されたカードは、カード搬送装置8によってカードプリンタ5まで搬送される。また、印字後のカードは、カードリーダ9で所定の処理が行われた後、カード発行装置3から発行される。
【0062】
(カードプリンタシステムを停止させるときのカードプリンタシステムの制御方法)
図5は、図1に示すカードプリンタシステム10を停止させるときのカードプリンタシステム10の制御フローを示すフローチャートである。
【0063】
カードプリンタシステム10を停止させるときには、まず、主制御部18は、上位側設定保持部20が保持している初期印字設定を上位側設定保持部20からプリンタ側制御部12へ送るとともに、プリンタ側制御部12は、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定を上位側制御部から送られた初期印字設定に書き換えて、書き換え後の初期印字設定をプリンタ側設定保持部15に保持させる(ステップS21)。すなわち、ステップS21では、上位側設定保持部20が保持している初期印字設定をプリンタ側設定保持部15に上書きして書き込む。
【0064】
その後、主制御部18は、カードプリンタ5との通信を終了する(ステップS22)。また、主制御部18は、上位側設定保持部20が保持している印字設定およびカードタイプ−印字設定対応保持部21が保持している対応表を外部保存領域14へ送って、外部保存領域14に保持させる(ステップS23)。すなわち、ステップS23では、設定データ(上位側設定保持部20が保持している印字設定およびカードタイプ−印字設定対応保持部21が保持している対応表)を外部保存領域14に保存する。
【0065】
外部保存領域14への設定データの保存が終わると、カードプリンタシステム10の停止処理が終了する。なお、カードプリンタシステム10が停止すると、上位側設定保持部20が保持している印字設定は、上位側設定保持部20から消去され、カードタイプ−印字設定対応保持部21が保持している対応表は、カードタイプ−印字設定対応保持部21から消去される。
【0066】
(カードプリンタシステムの印字設定の変更、追加、削除時の制御方法)
図6は、図1に示すカードプリンタシステム10における印字設定の変更、追加、削除時の制御フローを示すフローチャートである。
【0067】
カードプリンタシステム10において、印字設定の変更、追加、削除は、たとえば、以下のように行われる。すなわち、ユーザによる印字設定の変更、追加、削除の入力操作があると、まず、主制御部18は、ユーザが指示した操作を確認し(ステップS31)、ユーザが指示した操作が追加要求であるか否かを判断する(ステップS32)。ステップS32で、ユーザが指示した操作が追加要求である場合(ステップS32で「Yes」の場合)、主制御部18は、追加された印字設定を上位側設定保持部20に保存して(ステップS33)、新たに保存した印字設定に設定IDを付与する(ステップS34)。たとえば、新たな印字設定として印字設定4が追加される場合には、この印字設定4を上位側設定保持部20に保存して、この印字設定4に新たな設定ID4を付与する。
【0068】
その後、主制御部18は、新たに保存した印字設定に対応付けるカードタイプの情報が、カードタイプ−印字設定対応保持部21が保持している対応表にあるか否かを確認し(ステップS35)、このカードタイプの情報が対応表にあるか否かを判断する(ステップS36)。
【0069】
ステップS36において、たとえば、カードタイプAのように、新たに保存した印字設定に対応付けるカードタイプの情報が対応表にある場合(ステップS36で「Yes」の場合)には、主制御部18は、そのカードタイプの設定IDを、新たに保存した印字設定の新たな設定IDへ変更する(ステップS37)。たとえば、ステップS37では、カードタイプAの設定IDを設定ID1から設定ID4へ変更する。
【0070】
一方、ステップS36において、たとえば、カードタイプDのように、新たに保存した印字設定に対応付けるカードタイプの情報が対応表にない場合(ステップS36で「No」の場合)には、主制御部18は、新たな対応項目を対応表へ追加する(ステップS38)。たとえば、ステップS38では、主制御部18は、カードタイプDとこのカードタイプDに対応付けられた設定ID4とを対応表へ追加する。
【0071】
ステップS37で、カードタイプの設定IDの変更が終わると、あるいは、ステップS38で、新たな対応項目の対応表への追加が終わると、印字設定の追加操作が終了する。
【0072】
また、ステップS32で、ユーザが指示した操作が追加要求でない場合(ステップS32で「Yes」の場合)には、主制御部18は、ユーザが指示した操作が、すでに上位側設定保持部20に保存されている印字設定(たとえば、印字設定1)の内容の変更要求であるか否かを判断する(ステップS39)。ステップS39で、ユーザが指示した操作が変更要求である場合(ステップS39で「Yes」の場合)、主制御部18は、ユーザによって指定された印字設定の中の指定されたデータを変更する(ステップS40)。たとえば、ステップS40では、主制御部18は、印字設定1の中の指定されたデータを変更する。
【0073】
ステップS40で、指定された印字設定の中の指定されたデータの変更が終わると、印字設定の変更操作が終了する。
【0074】
また、ステップS39で、ユーザが指示した操作が変更要求でない場合(ステップS39で「No」の場合)、ユーザが指示した操作は削除要求であるため、主制御部18は、指定された印字設定を削除する(ステップS41)。また、主制御部18は、削除された印字設定の設定IDと対応付けられているカードタイプの情報を、カードタイプ−印字設定対応保持部21の対応表から削除する(ステップS42)。ステップS41で、たとえば、印字設定3が削除された場合には、ステップS42で、主制御部18は、印字設定3の設定ID3と対応付けられているカードタイプCの情報を対応表から削除する。
【0075】
ステップS42で、カードタイプの情報が対応表から削除されると、印字設定の削除操作が終了する。
【0076】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、上位側制御部13は、カードプリンタ5で印字させるカードに応じた印字設定を上位側設定保持部20からプリンタ側制御部12へ送っている。また、プリンタ側制御部12は、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定を上位側設定保持部20から送られた印字設定に書き換えて、書き換え後の印字設定をプリンタ側設定保持部15に保持させている。また、カードプリンタ5は、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定に基づいてカードへの印字を行っている。
【0077】
すなわち、本形態では、カードプリンタ5で印字させるカードの種類に応じて、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定を上位側設定保持部20から送られる印字設定に書き換えて、プリンタ側設定保持部15が保持している書き換え後の印字設定に基づいてカードへの印字を行っている。そのため、プリンタ側設定保持部15が保持できる印字設定が1つであっても、カードプリンタ5で印字させる複数種類カードのそれぞれに応じた印字設定をプリンタ側設定保持部15に保持させることが可能になる。したがって、本形態では、プリンタ側設定保持部15の記憶容量が小さくても、カードプリンタ5によって、印字条件の異なる複数種類のカードの印字を行うことが可能になる。
【0078】
特に本形態では、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定が1つであるため、プリンタ側設定保持部15の記憶容量を最小にしつつ、カードプリンタ5によって、印字条件の異なる複数種類のカードの印字を行うことが可能になる。
【0079】
一方で、本形態では、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定を上位側設定保持部20から送られる印字設定に書き換えて、書き換え後の印字設定に基づいてカードへの印字を行っているため、たとえば、上位装置4において初期の印字設定が全く行われていない場合や、印字設定の変更、追加、削除を行う際のユーザの操作上のトラブルによって、上位側設定保持部20が保持していた印字設定1〜3が消去されてしまった場合には、カードプリンタ5でカードの印字を行おうとしても、プリンタ側設定保持部15に印字設定を保持させることができなくなるおそれがあり、その結果、カードプリンタ5によるカードの印字ができなくなるおそれがある。
【0080】
しかしながら、本形態では、上位側制御部13が、カードプリンタシステム10の起動時にプリンタ側設定保持部15が保持している初期印字設定を読み出して、上位側設定保持部20にこの初期印字設定を保持させている。そのため、上位装置4において初期の印字設定が全く行われていない場合等であっても、カードプリンタシステム10の起動時に上位側設定保持部20に初期印字設定を保持させることができる。したがって、本形態では、上位装置4において初期の印字設定が全く行われていない場合等であっても、カードの印字を行う際に、上位側設定保持部20からプリンタ側設定保持部15に初期印字設定を送って、プリンタ側設定保持部15に初期印字設定を保持させることが可能になり、その結果、カードプリンタ5によるカードの印字が可能になる。
【0081】
本形態では、カードプリンタ5で印字させようとするカードの種類がユーザによって指定されると、上位側制御部13が、指定されたカードに対応付けられた印字設定を上位側設定保持部20からプリンタ側制御部12へ送っている。すなわち、本形態では、ユーザがカードの種類を指定すれば、カードプリンタ5で印字させようとするカードに対応した印字設定が自動的にプリンタ側制御部12へ送られている。そのため、本形態では、カードに印字を行う際のユーザの操作が容易になる。
【0082】
本形態では、カードの印字を行うときに、現状設定保持部22が保持している設定IDと使用設定IDとが異なる場合には、使用設定IDの印字設定をプリンタ側制御部12へ送ってプリンタ側設定保持部15が保持している印字設定を書き換えた後に、カードの印字を行っているが、現状設定保持部22が保持している設定IDと使用設定IDとが同じ場合には、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定を書き換えることなく、カードの印字を行っている。そのため、本形態では、カードへ印字を行うときの処理時間を短縮することが可能になる。
【0083】
本形態では、上位側制御部13は、カードプリンタシステム10を停止させるときに、上位側設定保持部20が保持している初期印字設定をプリンタ側制御部12へ送るとともに、プリンタ側制御部12は、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定を上位側制御部13から送られた初期印字設定に書き換えて、書き換え後の初期印字設定をプリンタ側設定保持部15に保持させている。そのため、初期印字設定が常に一定の設定となる。したがって、たとえば、初期印字設定を、市場で流通する複数種類のカードにある程度対応可能な設定(すなわち、塩化ビニール製のカード等の一般的なカードの印字に適した設定)としておけば、印字設定の変更、追加、削除を行う際のユーザの操作上のトラブルによって、上位側設定保持部20が保持している印字設定1〜3が消去されてしまった場合等に、上位装置4で印字設定をやり直さなくても、ある程度の品質でカードに印字を行うことが可能になる。
【0084】
本形態では、カードプリンタ5で印字させようとするカードに印字設定が対応付けられておらず、カードタイプ−印字設定対応保持部21の対応表に、印字させようとするカードのカードタイプがない場合であって、現状設定保持部22が保持している設定IDと初期印字設定の設定IDとが異なる場合に、主制御部18は、初期印字設定を上位側設定保持部20から読み出してプリンタ側制御部12へ送るとともに、プリンタ側制御部12は、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定を上位側設定保持部20から送られてきた初期印字設定に書き換えて、書き換え後の初期印字設定をプリンタ側設定保持部15に保持させている。そのため、本形態では、カードプリンタ5で印字させようとするカードに印字設定が対応付けられていない場合であっても、カードに印字を行うことが可能になる。なお、カードタイプ−印字設定対応保持部21の対応表において、カードプリンタ5で印字させようとするカードに対応付けられた印字設定が不明な場合に、このような制御を行わせても良い。
【0085】
(他の実施の形態)
上述した形態および変形例は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0086】
上述した形態では、カードプリンタシステム10の印字時の制御フローにおいて、ステップS14で、現状設定保持部22が保持している設定IDと、ステップS13、S19で特定された使用設定IDとが同じであるか否かを確認している。この他にもたとえば、上位装置4とカードプリンタ5との通信速度やカードプリンタ5での印字設定の書き換え速度が十分に速い場合には、現状設定保持部22が保持している設定IDと、ステップS13、S19で特定された使用設定IDとが同じであるか否かを確認せずに、使用設定IDの印字設定をプリンタ側設定保持部15に上書きして書き込んで、カードプリンタ5によるカードの印字を行っても良い。この場合には、現状設定保持部22が不要になる。また、この場合には、カードプリンタシステム10の印字時の制御フローにおいて、ステップS14、S15、S17が不要になる。
【0087】
上述した形態では、上位装置4は、カードプリンタシステム10の停止時に所定の情報を記憶保持するための外部保存領域14を備えている。この他にもたとえば、カードプリンタシステム10の停止時においても、上位側設定保持部20が保持している印字設定およびカードタイプ−印字設定対応保持部21が保持している対応表を上位側制御部13が保持しておくことができるのであれば、上位装置4は、外部保存領域14を備えていなくても良い。この場合には、カードプリンタシステム10の起動時の制御フローにおけるステップS1〜S3が不要になる。また、この場合には、カードプリンタシステム10を停止させるときのカードプリンタシステム10の制御フローにおけるステップS23が不要になる。
【0088】
上述した形態では、現状設定保持部22は、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定の設定IDを保持している。この他にもたとえば、現状設定保持部22は、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定を保持していても良い。この場合には、カードプリンタシステム10の印字時の制御フローにおいて、ステップS14では、主制御部18は、現状設定保持部22が保持している印字設定と、ステップS13、S19で特定された使用設定IDの印字設定とが同じであるか否かを確認すれば良い。
【0089】
上述した形態では、カードプリンタシステム10を停止させるときに、上位側設定保持部20が保持している初期印字設定を上位側設定保持部20からプリンタ側制御部12へ送るとともに、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定を上位側制御部13から送られた初期印字設定に書き換えて、書き換え後の初期印字設定をプリンタ側設定保持部15に保持させている。この他にもたとえば、カードプリンタシステム10を停止させるときに、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定をそのまま、新たな初期印字設定として、プリンタ側設定保持部15に保持させても良い。
【0090】
上述した形態では、プリンタ側設定保持部15は、1つの印字設定を保持している。この他にもたとえば、プリンタ側設定保持部15は、2つの印字設定を保持しても良い。
【0091】
上述した形態では、カードプリンタ5は、インクリボンとインクリボンに塗布されたインクを加熱してカードへ転写するサーマルヘッドとを備えるサーマルプリンタである。この他にもたとえば、カードプリンタ5は、感熱方式によって印字が行われる印字部が形成されているカードの表面に加熱されたサーマルヘッドを当接させてカードに印字を行うサーマルプリンタであっても良い。また、カードプリンタ5は、ドットインパクトプリンタ、インクジェットプリンタあるいはレーザプリンタ等であっても良い。
【0092】
上述した形態では、カードと印字設定とが対応付けられておらず、印字させようとするカードのカードタイプがカードタイプ−印字設定対応保持部21の対応表にない場合に、プリンタ側設定保持部15が保持している印字設定を初期印字設定に書き換えて、カードの印字を行っている。この他にもたとえば、印字させようとするカードのカードタイプがカードタイプ−印字設定対応保持部21の対応表にない場合に、カードの印字を行わずにエラーとして処理を終了させても良い。
【0093】
なお、上述した形態では、上位側制御部13が初期印字設定を固定値として保持していないが、上位側制御部13が初期印字設定を固定値として保持することも可能である。この場合には、カードプリンタシステム10の起動時の、上位側制御部13が初期印字設定を読み出すときに、上位装置4とカードプリンタ5との間で通信エラーが発生しても、上位側制御部13が固定値として保持する初期印字設定を使用して以後の制御を行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0094】
1 カード発行システム
4 上位装置
5 カードプリンタ
6 カード収納部
7 カード収納装置
8 カード搬送装置
10 カードプリンタシステム
12 プリンタ側制御部
13 上位側制御部
15 プリンタ側設定保持部
20 上位側設定保持部
22 現状設定保持部
S5、S6 初期設定保持ステップ
S16 設定保持ステップ
S18 印字ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに所定情報を印字するカードプリンタと、前記カードプリンタが接続される上位装置とを備え、複数種類の前記カードへの印字が可能なカードプリンタシステムであって、
前記カードプリンタが有するプリンタ側制御部は、前記カードの種類に応じた印字条件が設定されている印字設定を保持するプリンタ側設定保持部を備え、
前記上位装置が有する上位側制御部は、前記プリンタ側設定保持部よりも多くの前記印字設定を保持可能な上位側設定保持部を備え、
前記上位側制御部は、前記カードプリンタで印字させる前記カードに応じた前記印字設定を前記上位側設定保持部から前記プリンタ側制御部へ送るとともに、前記プリンタ側制御部は、前記プリンタ側設定保持部が保持している前記印字設定を前記上位側設定保持部から送られた前記印字設定に書き換えて、書き換え後の前記印字設定を前記プリンタ側設定保持部に保持させ、
前記カードプリンタは、前記プリンタ側設定保持部が保持している前記印字設定に基づいて前記カードへの印字を行い、
前記上位側制御部は、前記カードプリンタシステムの起動時に前記プリンタ側設定保持部が保持している前記印字設定である初期印字設定を読み出して、前記上位側設定保持部に前記初期印字設定を保持させることを特徴とするカードプリンタシステム。
【請求項2】
前記プリンタ側設定保持部は、1つの前記印字設定を保持していることを特徴とする請求項1記載のカードプリンタシステム。
【請求項3】
前記上位側制御部は、前記カードプリンタシステムを停止させるときに、前記上位側設定保持部が保持している前記初期印字設定を前記プリンタ側制御部へ送るとともに、前記プリンタ側制御部は、前記プリンタ側設定保持部が保持している前記印字設定を前記上位側制御部から送られた前記初期印字設定に書き換えて、書き換え後の前記初期印字設定を前記プリンタ側設定保持部に保持させることを特徴とする請求項1または2記載のカードプリンタシステム。
【請求項4】
前記上位側制御部は、前記プリンタ側設定保持部が保持している前記印字設定を保持する現状設定保持部を備え、前記カードプリンタで印字させようとする前記カードに応じた前記印字設定が前記現状設定保持部が保持している前記印字設定と同じ場合には、前記カードプリンタで印字させようとする前記カードに応じた前記印字設定を前記プリンタ側制御部へ送ることなく、前記プリンタ側制御部に印字を開始させるとともに、前記カードプリンタで印字させようとする前記カードに応じた前記印字設定が前記現状設定保持部が保持している前記印字設定と異なる場合には、前記カードプリンタで印字させようとする前記カードに応じた前記印字設定を前記プリンタ側制御部へ送って前記プリンタ側設定保持部に保持させた後に、前記プリンタ側制御部に印字を開始させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカードプリンタシステム。
【請求項5】
前記上位側制御部では、前記カードの種類ごとに前記カードと前記印字設定とが対応付けられており、
前記上位側制御部は、前記カードプリンタで印字させようとする前記カードの種類がユーザによって指定されると、指定された前記カードに対応付けられた前記印字設定を前記上位側設定保持部から前記プリンタ側制御部へ送ることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のカードプリンタシステム。
【請求項6】
前記上位側制御部は、前記カードプリンタで印字させようとする前記カードに前記印字設定が対応付けられていない場合、または、前記カードプリンタで印字させようとする前記カードに対応付けられた前記印字設定が不明な場合に、前記初期印字設定を前記上位側設定保持部から前記プリンタ側制御部へ送ることを特徴とする請求項5記載のカードプリンタシステム。
【請求項7】
前記カードプリンタは、インクリボンと前記インクリボンに塗布されたインクを加熱して前記カードへ転写するサーマルヘッドとを備えるサーマルプリンタであり、
前記印字条件は、前記サーマルヘッドの温度条件であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のカードプリンタシステム。
【請求項8】
カードの種類に応じた印字条件が設定されている印字設定を保持するプリンタ側設定保持部を有し前記カードに所定情報を印字するカードプリンタと、前記プリンタ側設定保持部よりも多くの前記印字設定を保持可能な上位側設定保持部を有し前記カードプリンタが接続される上位装置とを備え、複数種類の前記カードへの印字が可能なカードプリンタシステムの制御方法であって、
前記カードプリンタで印字させる前記カードに応じた前記印字設定を前記上位側設定保持部から前記プリンタ側設定保持部へ送るとともに、前記プリンタ側設定保持部が保持している前記印字設定を前記上位側設定保持部から送られた前記印字設定に書き換えて、書き換え後の前記印字設定を前記プリンタ側設定保持部に保持させる設定保持ステップと、
前記プリンタ側設定保持部が保持している前記印字設定に基づいて前記カードへの印字を行う印字ステップと、を備えるとともに、
前記カードプリンタシステムの起動時に前記プリンタ側設定保持部が保持している前記印字設定である初期印字設定を読み出して、前記上位側設定保持部に前記初期印字設定を保持させる初期設定保持ステップを備えることを特徴とするカードプリンタシステムの制御方法。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかに記載のカードプリンタシステム、または、請求項8に記載のカードプリンタシステムの制御方法で制御されるカードプリンタシステムと、前記カードを種類ごとに収納する複数のカード収納部を有するカード収納装置と、前記カード収納装置から排出される前記カードを搬送するカード搬送装置とを備えることを特徴とするカード発行システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−16068(P2013−16068A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149217(P2011−149217)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】