説明

カードホルダー

【課題】
商品陳列棚の前縁部分との着脱を容易に行なうことができ、また、カードホルダーのプレート体内に保持したカードに記載の商品情報を入手し易いように、カードホルダーを取り付ける棚の高さに応じて、前記プレート体を所望の角度位置に設定することができるカードホルダーを提供する。
【解決手段】
カード17を保持するプレート体2と、棚13に係着するための支持体5と、プレート体の上部と前記支持体の上部をヒンジ結合する連結体4を備え、また、前記プレート体の背面と同プレート体の背面に相対する支持体の前面のそれぞれに、互いに係脱可能に嵌合する嵌合体10、11を形成し、前記プレート体が前記連結体を支点としてフラップ状に開閉できて、前記嵌合体どうしの嵌合が開閉方向における所望の角度位置で行うことができるよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品陳列棚の前縁部分に着脱可能に装着して、商品の名称や価格等の商品情報を表示するカードを収容するカードホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のカードホルダーは、商品陳列棚のカードレール内に収まる寸法で形成されているものが主であったが、例えば、特許文献1のように、商品の名称、価格、POP(Point of purchase advertising:販売時点広告)およびバーコード等による商品管理情報を含む商品情報を表示するカードの収容部をカードレールの幅よりも大なる寸法にして、同表示内容を見やすくしているものもある。
【0003】
しかしながら、カードの表示面は商品陳列棚の前面に略垂直方向に一定して向けられていて、例えば、カードホルダーが商品陳列棚の高所あるいは低い位置に取り付けられた場合、前記棚の高さと利用者の目視する角度の関係によって、利用者が表示の内容を確認し難いことがあった。
【0004】
また、カードの収容部を大なるものにしたことで、同カードホルダーの商品陳列棚におけるカードレールへの着脱がし難くなってしまい、特に、身長が低い店員による商品陳列棚の高所に位置する棚のカードレールに対するカードホルダーの着脱は非常にし難いものであった。
【0005】
さらに、カードレール内に支持されている店舗側が必要な、例えば商品の在庫状況などの情報を検索するバーコード、文字、記号、数字等の各商品の情報を入手するとき、カードホルダーをカードレール内から取り外したり、カードレール内を左右に移動させたりする必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−112860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、商品陳列棚の前縁部分との着脱を容易に行なうことができ、また、カードホルダーのプレート体内に保持したカードに記載の商品情報を入手し易いように、カードホルダーを取り付ける棚の高さに応じて、前記プレート体を所望の角度位置に設定することができるカードホルダーを提供できるようにした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明に係るカードホルダーは、商品陳列棚の前縁部分に係着して、商品情報を表示するカードを棚の前方に向けて収容するカードホルダーであって、前記カードを保持するプレート体と、前記棚に係着するための支持体と、前記プレート体の上部と前記支持体の上部をヒンジ結合する連結体を備え、また、前記プレート体の背面と同プレート体の背面に相対する支持体の前面のそれぞれに、互いに係脱可能に嵌合する嵌合体を形成し、前記プレート体が前記連結体を支点としてフラップ状に開閉できて、前記嵌合体どうしの嵌合が開閉方向における所望の角度位置で行うことができるよう構成したものとしてある。
【0009】
また、前記カードホルダーを側面から見た形状において、前記嵌合体のうち少なくとも一方を、前記プレート体が前記連結体を支点として開閉するときに描く軌道に沿うように形成してなるものとしてある。
【0010】
さらに、前記カードホルダーを側面から見た形状において、前記嵌合体の一方に首部とその首部の先端に頭部を形成し、前記嵌合体と互いに嵌合するもう一方の嵌合体を前記嵌合体頭部の外周面形に倣うよう形成して、前記嵌合体どうしの嵌合が所定の位置で段階的に行うことができるよう構成したものとしてある。
【0011】
また、前記プレート体を側面から見た形状が、少なくとも上方部寄りが背面方向に湾曲してなるものとしてある。
【0012】
さらに前記プレート体が、前記カードを収容する収容部を備え、同収容部が複数または数種の大きさのカードを収容できるように形成したものとしてある。
【0013】
また、前記支持体の上方部を略平坦に形成してなるものとしてある。
【発明の効果】
【0014】
本発明のカードホルダーによれば、プレート体の上部と支持体の上部をヒンジ結合する連結体を備え、また、前記プレート体の背面と、同プレート体の背面に相対する支持体の前面のそれぞれに、互いに係脱可能に嵌合する嵌合体を設けることにより、前記プレート体が前記連結体を支点としてフラップ状に開閉できて、前記嵌合体どうしの嵌合が開閉方向における所望の角度位置で行うことができるので、商品陳列棚の高さに応じて前記プレート体の表示面を所望の角度位置に調節することができる。
【0015】
また、前記プレート体を側面から見た形状が、プレート体の上方部が背面方向に湾曲しているので、カードホルダーを商品陳列棚での客の目線における下方の棚に係着した場合でも、立った状態のままで目線を下方に向けるだけでカードホルダー内の商品情報を表示したカードを見ることができる。
【0016】
さらに、前記プレート体におけるカード収容部を二重構造にしてあるので、適宜の大きさのカードまたは複数のカードを組み合わせて収容できる。
【0017】
また、カードホルダーを商品陳列棚の棚板前面側のカードレールとの間に設けられた溝または同棚のこぼれ止めの両方に挿着または嵌着することができるので、使用者にとって安全な装着方法を選ぶことができる。
【0018】
そして、カードホルダーを前記カードレールの溝に挿着する場合、同カードホルダーの支持体における起立部の装着部を同溝に上方から挿着すると、前記起立部の前面に設けた嵌合体の下方における付け根部分と、同支持体における支持脚の端部を略同じ高さにしてあるので、前記付け根部分と前記支持脚の端部が同棚の棚板の上面に接触することによりカードホルダーが前後に揺動することなくしっかりと保持される。
【0019】
さらには、カードレール内に保持されている店舗側が必要な、例えば商品の在庫状況などの情報を検索するバーコード、文字、記号、数字等の各商品の情報を入手するときは、カードホルダーのプレート体を捲りあげて、同プレート体の上部を同カードホルダーの支持体の上部に設けた掛受部に接触させて、プレート体の倒立状態(捲りあげ状態)を保持させることができるので、商品情報を確実に入手することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るカードホルダーの側面図。
【図2】カードをセットした状態を示すカードホルダーの側面図。
【図3】嵌合体どうしの嵌合を段階的に行った状態を示す側面図。
【図4】商品陳列棚の溝に係着した状態のカードホルダーを示す斜視図。
【図5】商品陳列棚のこぼれ止めに係着した状態のカードホルダーを示す斜視図。
【図6】プレート体を捲りあげて倒立状態にしたカードホルダーを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のカードホルダーを添付図面に基づいて説明する。
まず、カードホルダーの構成を、同カードホルダーを側面から見た形状を示す図1を用いて説明する。
カードホルダー1は、商品情報を表示するカードを保持するプレート体2、商品陳列棚13に係着する支持体5、このプレート体1の上部と支持体5の上部をヒンジ結合する軟質合成樹脂材よりなる連結体4から構成している。
【0022】
なお、本発明のカードホルダーは、前記プレート体2、カード挟持部3cの前面側、連結体4、支持体5は押出成型品であり、製造過程で一体成型されたものである。
また、前記プレート体2、カード挟持部3cの前面側、支持体5を例えばABS等の熱可塑性樹脂で、連結体4をポリウレタンで構成している。
【0023】
そして、プレート体2の前面に商品情報を表示するカード17を収容する収容部3は、複数のまたは数種の大きさのカードを収容できるよう二重構造にし、また、カード挟持部3cの前面は、透光性を有する素材を使用している。
【0024】
また、カードホルダー1におけるプレート体2の上方部を背面方向に湾曲させ、同プレート体の上側辺に連結体4の縁辺を接続している。
【0025】
そして、前記連結体4のもう一方の縁辺は、支持体5における起立部6の上方部に接続していて、同支持体5は、前記起立部6の上方部から背面方向に延長して後向きに平坦部を有する掛止部8を備え、さらに掛止部8から延長して内側斜め下向きに曲折する支持脚9を備え、同支持脚9の先端をこぼれ止め16への差込みが容易にできるように外側に広げている。
【0026】
さらに、このカードホルダー1は、プレート体2の背面と、同プレート体2の背面に相対する支持体5の起立部6の前面のそれぞれに、互いに係脱可能に嵌合する嵌合体を設けている。
本実施例では前記それぞれの嵌合体を、プレート体2側を第1の嵌合体10、支持体5側を第2の嵌合体11と称する。
【0027】
また、前記第1の嵌合体10、第2の嵌合体11は、プレート体2をフラップ状に開閉するときに嵌合体10が描く軌道に沿う形状に形成している。
本実施例では、前記連結体4を中心として前記第1の嵌合体10の先端が描く円弧状の軌道(半径R)に沿うように形成している。
【0028】
そして第1の嵌合体10を首部10aと頭部10bで構成し、第2の嵌合体11には前記頭部10bを段階的に挟持するために前記頭部10bの外周面形に倣った形状の凹凸を付している。
【0029】
次いで、カードホルダーの使用方法を説明する。
カードホルダー1におけるプレート体2の収容部3に商品情報を表示するカード17を収容する。
【0030】
図2に示すように、収容部3の上方のカード保持溝3aとカード挟持部3cの内側辺間(図2(a)参照)、同カード保持溝3aと収容部3の途中に設けたカード保持溝3b間(図2(b)参照)、カード挟持部3c(図2(c)参照)に保持させることができるので、複数のまたは数種の大きさのカードを組み合わせて使用することができる。
【0031】
そして、前記第1の嵌合体10と第2の嵌合体11の嵌合は、図3に示すように、それぞれの嵌合体の先端部分の接触だけによる係止(図3(a)参照)や第2の嵌合体11に付した凹凸に第1の嵌合体10の頭部10bが引っ掛かって嵌合(図3(b)〜(d)参照)し、前記頭部10bと前記第2の嵌合体11の嵌合を段階的に行うことができるようにしてあるのでプレート体の開閉方向における角度位置を適宜変更・調整できる。
【0032】
そして、このカードホルダー1の商品陳列棚13への係着方法は、同棚13の棚板前面側のカードレール14との間に設けられた溝15または同棚13のこぼれ止め16の両方に挿着または嵌着する二通りの方法がある。
【0033】
まず、カードホルダー1を前記溝15に挿着する方法を説明する(図4参照)。
カードホルダー1の支持体5における起立部6の下方、装着部7を同溝15に上方から挿着する。この場合、前記起立部6の前面に設けた第2の嵌合体11の下方における同起立部6との付け根部12と、支持体5における支持脚9の端部を略同じ高さにしてあるので、前記付け根部12と前記支持脚9の端部は同棚13の棚板の上面に接触することによりカードホルダー1が前後に揺動することなくしっかりと保持される。
【0034】
次いで、カードホルダー1を前記こぼれ止め16に嵌着する方法を説明する(図5参照)。
前記棚13の溝15に設置されたこぼれ止め16の上方から、カードホルダー1の支持体5における起立部6と支持脚9の間に挿入して嵌着する。この場合、前記起立部6の背面がカードレール14あるいはこぼれ止め16に接触してカードホルダー1の回転を防ぐことができ、また、掛止部8の内側に空間の余裕を設けているので、例えばカードホルダー1への衝突があった場合でも、衝突の応力を緩和してこぼれ止め16からの離脱・転落を防ぐことができる。
【0035】
さらに、上記のように係着方法が選択できるので、使用者にとって安全な着脱ができる。
【0036】
また、前記掛止部8の上辺は略平坦に形成してあり、カードレール14内に支持されている商品情報カード18に記載の情報を入手するとき、プレート体2を捲りあげて同プレート体2の上辺部を前記掛止部8に接触させて、プレート体の倒立状態(捲りあげ状態)を保持させることができる(図6参照)ので、前記カードレール14の前記商品情報カード18を臨ませて、商品情報を確実・安全に入手することができる。
【0037】
そして、プレート体の倒立状態を解除するにはプレート体2を手前に捲りあげる時と逆の応力を与えることによってプレート体2は自身の重みで表示の状態にもどる。
【0038】
本実施例では、プレート体2側に首部10aと頭部10bを有する第1の嵌合体10、支持体5側に前記頭部10bを挟持する間隔で配置された一対の挟持片の第2の嵌合体11を設けているが、嵌合体10、11は組物として設けてあればプレート体2あるいは支持体5のどちら側に設けてもよい。
【0039】
また本実施例では、支持体側の嵌合体11の構造を上下両方から挟持する一対のものにしているが、第1の嵌合体10の頭部10bが第2の嵌合体11と嵌合できるものであればよい。
【0040】
また、プレート体2をフラップ状に開閉できるように形成したことにより、プレート体2と支持体5を180度以上の開いた状態にすることができるので、例えば梱包の際に必要な容積を少なくでき、よりコンパクトな梱包を実現することができる。
【0041】
本実施例では押出成型の一体成型の構成としてあるが、カードホルダー1のプレート体2、カード挟持部3cの前面側、連結体4、支持体5の全てあるいは一部を別部品で構成して接着により組み立てて完成品とする場合もある。
【符号の説明】
【0042】
1 カードホルダー
2 プレート体
3 収容部
3a カード保持溝
3b カード保持溝
3c カード挟持部
4 連結体
5 支持体
6 起立部
7 装着部
8 掛止部
9 支持脚
10 嵌合体
10a 挿入部
10b 係止部
11 嵌合体
12 付け根部
13 商品陳列棚
14 カードレール
15 溝
16 こぼれ止め
17 カード
18 商品情報カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品陳列棚の前縁部分に係着して、商品情報を表示するカードを棚の前方に向けて収容するカードホルダーであって、前記カードを保持するプレート体と、前記棚に係着するための支持体と、前記プレート体の上部と前記支持体の上部をヒンジ結合する連結体を備え、また、前記プレート体の背面と同プレート体の背面に相対する支持体の前面のそれぞれに、互いに係脱可能に嵌合する嵌合体を形成し、前記プレート体が前記連結体を支点としてフラップ状に開閉できて、前記嵌合体どうしの嵌合が開閉方向における所望の角度位置で行うことができるよう構成してなるカードホルダー。
【請求項2】
前記カードホルダーを側面から見た形状において、前記嵌合体のうち少なくとも一方を、前記プレート体が前記連結体を支点として開閉するときに描く軌道に沿うように形成してなる請求項1に記載のカードホルダー。
【請求項3】
前記カードホルダーを側面から見た形状において、前記嵌合体の一方に首部とその首部の先端に頭部を形成し、前記嵌合体と互いに嵌合するもう一方の嵌合体を前記嵌合体頭部の外周面形に倣うよう形成して、前記嵌合体どうしの嵌合が所定の位置で段階的に行うことができるよう構成してなる請求項1又は2に記載のカードホルダー。
【請求項4】
前記プレート体を側面から見た形状が、少なくとも上方部寄りが背面方向に湾曲してなる請求項1に記載のカードホルダー。
【請求項5】
前記プレート体が、前記カードを収容する収容部を備え、同収容部が複数または数種の大きさのカードを収容できるように形成してなる請求項1に記載のカードホルダー。
【請求項6】
前記支持体の上方部を略平坦に形成してなる請求項1に記載のカードホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−125434(P2011−125434A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285319(P2009−285319)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(592178071)弘進化工株式会社 (5)
【Fターム(参考)】