説明

カードリーダライタのシャッター機構

【課題】簡単な機構でカードの誤挿入や不正な抜き取りを確実に防止することができるカードリーダライタのシャッター機構を提供する。
【解決手段】シャッタープレート10は、一端にカード挿入口2を閉蓋するフラップ10aと、他端に収納されたカード3を押し上げる突条10bを一体的に設け、支軸10cでもってシーソー状に傾動可能に軸承する。シャッタープレート10のフラップ10aの外側面を、シャッタープレート10の閉塞方向に漸次拡大するテーパ面T1に形成すると共に、フラップ10aの内側面もまたシャッタープレート10の閉塞方向に漸次拡大するテーパ面T2に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリペイドカード等を利用する機器に取り付けられるカードリーダライタユニット(以下、単にリーダライタとも称す)に関し、とくに視聴覚機器のタイマー装置やパチンコ機の貸し玉装置等に使用して好適なカードリーダライタユニットに関するものである。
【0002】
従来、病院やホテル等において、患者や宿泊者が部屋に設置された電気機器、例えばテレビの視聴料金を精算する技術として、磁気カードやICカード方式のタイマー装置を用いたものがある。この方式は、テレビの視聴可能度数等を予め記録したカードをタイマー装置に挿入し、カードに記録された視聴可能度数に応じた所定時間内での視聴を可能としている。また、遊技場に置かれるパチンコ玉やメダル貸し出し機にもこのようなリーダライタが組み込まれており、リーダライタに所定の金員度数を持ったプリペイドカードが挿入されると、記録された金員度数に応じた個数のパチンコ玉やメダルが払い出されるようになっている。
【0003】
パチンコ店等の遊技場では、磁気的手段によって金員データが書き込まれたプリペイドカードを使用した遊技システムが採用されている。この遊技システムは、予め所定の金員分のデータが書き込まれたプリペイドカードを購入し、プリペイドカードに記憶された金員データの範囲内で所定の金額を指定すると、指定した金額分のパチンコ玉やメダルが貸し出され、遊技が可能となる。そして、パチンコ玉やメダルが指定した金額分だけ貸し出されると、その分の金額がプリペイドカードから減算され、金員データが無くなると、そのプリペイドカードは使用不可能となり、使用者に返却される。この種の遊技システムは、遊技に現金を使う必要が無いので、遊技中に両替のために席を離れたりするといった煩わしさが解消され、遊技者にとっては便利である。
【0004】
ここで、とくに遊技場のパチンコ玉やメダル貸し出し機においては、このプリペイドカードの強制的な引き出しによる不正や盗難、他者のカードの誤挿入を防止することが要求される。そこで従来、ソレノイドコイルを使用してアームを傾動させてカード挿入口にシャッタープレートを下すようにしたもの(特許文献1参照。)。カードをユニット内に押し込む動作にリンクしてシャッターが閉じるようにされたもの(特許文献2参照。)。カードリフト用のギャードモーターの回転軸に軸承されてシーソー状に傾動可能に取り付けられたシャッタープレートを備えたもの(特許文献3参照。)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−21342号公報
【特許文献2】特開2004−288075号公報
【特許文献3】特許第3809612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
すなわち、このようなリーダライタにおいては、処理中のカードの保護や盗難、不正使用の防止対策が要求される。しかしながら、特許文献1に開示されているようなシャッター機構では、遮蔽板を回動させるために高価なソレノイドが必要となる上に、カードの位置検出用のセンサーまで要する。また、ソレノイドを駆動するための通電又は通電停止時に電磁ノイズが発生し、カードのリードライト処理に悪影響をおよぼすことがある。本発明は、上記従来の課題に鑑み、簡単な機構でカードの不正な抜き取りや誤挿入を確実に防止することができるカードリーダライタのシャッター機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため本発明では、カードに金員データの読み込み及び書き込みを行うリードライト部を備え、カード挿入口を閉蓋するフラップが一体的に設けられ傾動可能に軸承されたシャッタープレートを有するカードリーダライタユニットにおいて、前記フラップの外側面をシャッタープレートの閉塞方向に漸次拡大するテーパ面としたことを第1の特徴とする。また、フラップの内側面をシャッタープレートの閉塞方向に漸次拡大するテーパ面としたことを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、下記の優れた効果がある。
(1)簡単な構造で、処理中のカードの保護及び不正使用の防止を図ることができる。
(2)ソレノイドやカードの位置を検出するためのセンサーが不要で、安価に製作できる。
(3)ソレノイドを使用しないので電磁ノイズが発生することがなく、リードライトにおける磁性的不具合は起らない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るカードリーダライタの内部構成を示すスケルトン側面図である。
【図2】本発明に係るカードリーダライタのカード処理状態を示すスケルトン側面図である。
【図3】カードを強制的に引き抜こうとする状態を示す(a)はシャッタープレートの要部側面断面図、(b)は模式図である。
【図4】カードを強制的に挿入しようとする状態を示す(a)はシャッタープレートの要部側面断面図、(b)は模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0011】
図1において、略平板形のカードリーダライタユニット本体1は、固定フレーム1bに対して開閉可能な可動フレーム1aを有し、カードリーダライタユニット本体1の前面にはカード挿入口2が形成されている。このカード挿入口2の前方には、非接触式のリードライト部4が設けられている。リードライト部4の奥方側には発券・回収されるカード3が収納されるカードストック部5が設けられる。リードライト部4は、カード挿入口2から挿入されたカード3の金員データの読み取り及び書き込みを行う。
【0012】
このリードライト部4周辺には搬送手段6が設けられ、この搬送手段6は下側駆動ローラと6bと上側従動ローラ6aとからなり、駆動モーター7により減速機8を介して正逆両方向に回転駆動可能とされている。
【0013】
固定フレーム1bの前方には、一端にカード挿入口2を閉蓋するフラップ10aと、他端に、収納されたカード3を押し上げる突条10bが一体的に設けられたシャッタープレート10が支軸10cでもって軸承されてシーソー状に傾動可能に取り付けられている。シャッタープレート10の突条10b側の下方には、カードリフト用モーター11に取付けられたカードリフト用カム12が配され、シャッタープレート10の突条10b側下面に当接するようにされている。
【0014】
カード搬送手段6の後方近傍(図1の右側)、つまりカード引込み方向側には1枚のカード3のみが通過可能な間隔に設定されたゲート部9が配設され、また、可動フレーム1aには、スプリング13でもって下方に付勢されるカード保持板14が設けられ、このカード保持板14は、カードストック部5に積層して収納された複数のカード3を上方から押圧して安定保持できるようにされている。尚、図中15は、ストックされたカード3の満杯状態を検知するセンサーである。
【0015】
次に、本実施例の作用について説明する。
カードリフト用モーター11に回動指示信号が送られカードリフト用カム12が回転すると、シャッタープレート10のフラップ10aは下方に傾動して、カード挿入口2が開口しカード3が挿入可能になる。挿入されたカード3はカード搬送手段6によって搬送され、その先端側がゲート9を通過し、シャッタープレート10の突条10bによって押し上げられてストックカードの下端に生じた隙間に入り込むように位置する。この状態でカードリフト用モーター11に再度回動指示信号が送られると、図2に示すように、シャッタープレート10の突条10bが下動し、同時にシャッタープレート10のフラップ10aが上動してカード挿入口2を閉蓋する。
【0016】
カード3は、リードライト部4にて金員残高が電磁気的にリードライトされデータ更新される。そして、遊技終了時にカード残高が残っていれば、カード3はカード挿入口2に戻り返却される。一方、カード残高が残っていなければ、カード3のデータが再使用可能な状態に初期化された後、カード搬送ローラ6の駆動ローラ6bがさらに時計方向に回転し、カード3はゲート部9の間を通って、カードストック部5側に引き込まれて収納される。このように、使用済のカード3は再使用可能な状態に初期化された後、カードストック部5に順次積層して収容される。
【0017】
ここで、本発明に係るシャッター機構について説明すると、図3及び図4に示すように、シャッタープレート10のフラップ10aは、フラップ10aの外側面がシャッタープレート10の閉塞方向に漸次拡大するテーパ面T1に形成されると共に、フラップ10aの内側面もまたシャッタープレート10の閉塞方向に漸次拡大するテーパ面T2に形成されている。そして、シャッタープレート10が閉じた状態で内部のカード3を引き抜こうとすると、カード3の端縁3bがフラップ10aのテーパ面T2に当接してこれに倣って摺動し、シャッタープレート10はさらに閉蓋する方向へ付勢される。このため、カード3の引き抜きはさらに困難となる。同様に、シャッターが閉じた状態で他のカード3を無理に挿入しようとすると、カード3の端縁3aがフラップ10aの外側テーパ面T1に倣って摺動し、シャッタープレート10はさらに閉蓋する方向へ付勢される。このため、カード3の挿入はさらに困難となる。以上のことから、処理中のカード3の保護及び不正防止、カード3の誤挿入防止を図ることができる。
【0018】
このように、シャッタープレート10のフラップ10aにテーパ面T1並びにテーパ面T2を形成するという簡単な構造で、カードの不正な抜き取りや誤挿入を確実に防止するという所期の効果を得ることができる。尚、テーパ面T1及びテーパ面T2は双方とも設ける必要はなく、必要とされるどちらか内外どちらか一方の面にだけ形成するものでもよく、とくに限定されない。
【符号の説明】
【0019】
1 カードリーダライタユニット
1a 可動フレーム
1b 固定フレーム
2 カード挿入口
3 カード
3a カード先端
3b カード後端
4 リードライト部
5 カードストック部
6 カード搬送手段
6a 上側従動ローラ
6b 下側駆動ローラ
7 駆動モーター
8 減速機
9 ゲート
10 シャッタープレート
10aフラップ
10b突条
10c支軸
11 カードリフト用モーター
12 カードリフト用カム
13 スプリング
14 カード保持板
15 センサー
T1 フラップのテーパ面(外側)
T2 フラップのテーパ面(内側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに金員データの読み込み及び書き込みを行うリードライト部を備え、カード挿入口を閉塞するフラップが一体的に設けられ傾動可能に軸承されたシャッタープレートを有するカードリーダライタユニットにおいて、前記フラップの外側面を、シャッタープレートの閉塞方向に漸次拡大するテーパ面としたことを特徴とするカードリーダライタのシャッター機構。
【請求項2】
カードに金員データの読み込み及び書き込みを行うリードライト部を備え、カード挿入口を閉塞するフラップが一体的に設けられ傾動可能に軸承されたシャッタープレートを有するカードリーダライタユニットにおいて、前記フラップの内側面を、シャッタープレートの閉塞方向に漸次拡大するテーパ面としたことを特徴とするカードリーダライタのシャッター機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−233098(P2011−233098A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105480(P2010−105480)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000177346)三和ニューテック株式会社 (35)
【Fターム(参考)】