説明

カードリーダライタ用クリーニング機構

【課題】クリーニング部材を装置から取り外すことなく、簡便な操作で新品同様に更新することができるカードリーダライタ用クリーニング機構を提供する。
【解決手段】クリーニングワイパー10の外周に、セーム皮等の天然皮革、人工皮革或いはフェルト等の粗面を有する弾性材質からなる拭取巾12を貼着し、クリーニングワイパー10の支軸11を、ロック凹部11a、11b、11c及び11dを有する横断面略十文字状に形成し、テンションスプリング13の先端側に屈曲形成されたロック凸部13aを、このロック凹部11a、11b、11c及び11dに噛合させ、クリーニングワイパー10の支軸11を回転方向には不動状態で固定すると共に、そのロック凹部11aに対応した拭取巾12のワイピング面をカード8の印字面に向かって弾発付勢する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードリーダライタに搭載され、カード印字面を清掃するクリーニング機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポイントカードやプリペイドカードで使用されるカードはIDやポイント、電子マネー情報を磁気的に記録すると共に、カードの表裏面にポイント数や取引履歴を印字することで、磁気情報の可視化を図っている。通常、この印字面は加熱発色する感熱層材を用いたサーマル層やロイコ染料等を用いたリライト層で構成され、カードリーダライタに搭載されたサーマル印字ヘッドで印字を行う。また、消去ヘッドでそれまでの印字を一旦消去した上で改めて印字できるようにされたリライトカードもある。
【0003】
一方、カードリーダライタは、カード挿入口から挿入されたカードを搬送するカード搬送機構と、カード搬送路に設けられてカードに印字を行うサーマル印字ヘッドと、サーマル印字ヘッドを上下動させるためのプッシュプルソレノイドやカム、サーマル印字ヘッドをカード側へ付勢するためのバネなどから構成されている。そして、カード挿入口より挿入されたカードは、モータによって駆動される搬送ローラでカード搬送路内を搬送され、この搬送の途中で磁気ヘッドによりカードへの磁気データのリードライト及びサーマル印字ヘッドによる印字が行われる。
【0004】
ところで、カードの印字面が塵埃や油脂等の異物で汚れてくると、このような印字機構を有するカードリーダライタでは、サーマル印字ヘッドや消去ヘッドからの伝熱が不良になり、印字のかすれや消去不良箇所が発生し印字品質が低下してしまうという問題が起る。
【0005】
そこで、例えば、図4に示すように、カード挿入口24の直後にカード8の印字面を清掃するフェルト等を使用したカードクリーニング部材21を設け、このカードクリーニング部材21と対向する位置に可動部材(搬送ローラ)23を設け、可動部材23をカードクリーニング部材21に向かって付勢させるバネ22を設け、カードクリーニング部材21と可動部材23とでカード8を挟持してカードクリーニング部材21をカード8の印字面に弾接させて清掃するようにしたものが提案されている。そして、このカードクリーニング部材21はアタッチメント20に取り付けられ、このアタッチメント20がカードリーダライタの本体に着脱自在に装着できるようにされている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3463304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような従来のクリーニング機構は、カードの清掃によって汚れてしまうクリーニング部材を比較的短期間に頻繁に新品と交換する必要があり、アタッチメントの着脱作業にも手間がかかるという課題があった。本発明は上記のような従来技術の課題に鑑み、クリーニング部材を装置から取り外すことなく、簡便な操作で新品同様に更新することができるカードリーダライタ用クリーニング機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明のカードリーダライタ用クリーニング機構は、カード挿入口から挿入されたカードを搬送するカード搬送機構と、カード搬送路に設けられたサーマル印字ヘッドと、カード挿入口とサーマル印字ヘッドの間に配置されたカードの印字面を清掃するクリーニングワイパーとを備え、当該クリーニングワイパーと対向してガイドローラを設け、前記クリーニングワイパーをカードの印字面に弾発付勢すると共に、クリーニングワイパーとガイドローラとでカードを挟持した状態で印字面を清掃するようにされたカードリーダライタのクリーニング機構において、前記クリーニングワイパーを、その支軸を中心に回動可能且つ任意位置でロック可能に設けたことを第1の特徴とする。また、クリーニングワイパーの弾発付勢手段がバネであり、このバネをクリーニングワイパーの回動軸に噛合させて当該クリーニングワイパーをロックするようにしたことを第2の特徴とする。さらに、クリーニングワイパーをローラ型に形成したことを第3の特徴とする。またさらに、クリーニングワイパー回動軸のバネ噛合部を放射状に複数個所設けたことを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、下記の優れた効果がある。
(1)カード印字面にバネの付勢力によりクリーニングワイパーを押圧した状態で(ワイピング)摺動させることにより、印字面に付着する塵埃を確実に除去し、安定した印字品質が得られる。
(2)クリーニングワイパーを装置から取り外すことなく、簡便な操作でワイピング面を新品同様に更新できアタッチメント交換を省力化できる。
(3)クリーニングワイパーの弾発付勢とロックをテンションスプリングのみで行うことができ、カード印字面への押圧とクリーニングワイパーの装置本体への固定を簡便且つ確実に行うことができるばかりでなく、部品点数が削減でき経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
次に、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【図1】本発明に係るカードリーダライタの内部構成を示す側面断面図である。
【図2】図1の二点鎖線囲み部分Aの拡大図である。
【図3】(a)はクリーニングワイパーの軸受部の構造を示す要部拡大断面図、(b)はクリーニングワイパーの使用方法を模式的に示す説明図である。
【図4】従来のカードクリーニング機構の一例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るカードリーダライタ用のクリーニング機構を、図面に示す実施例を参照しながら説明する。
【実施例】
【0012】
図1に本実施例のカードリーダライタの内部構成を示す。このカードリーダライタはICロイコ式で、概略、装置本体1に組み付けられたベース2a及びベースカバー2bからなるカード搬送路3、このカード搬送路3に配設された搬送ローラ4、カード8に印字するためのサーマル印字ヘッド5、ICリードライタ部6とからなり、装置本体1の図中左側面に形成されたカード挿入口14からカード8を挿入すると、カード8はカード搬送路3に沿って図中右奥方へ搬送され、ICリードライタ部6によりカード8のICチップ内に格納されたポイント情報や取引履歴情報等の電子データの読み取り及び書き換えが行われる。その後、図中左方向へ逆戻り搬送されサーマル印字ヘッド5によりその印字面に印字され、カード挿入口14から搬出される。図中、7はカードディスペンサーである。
【0013】
装置本体1のカード挿入口14とサーマル印字ヘッド5の間には、カード8の印字面を清掃するクリーニングワイパー10が装置本体1と着脱自在に配置されている。図2及び図3(a)に示すように、ローラ型のクリーニングワイパー10の下方には、このクリーニングワイパー10と対向する位置にガイドローラ9が設けられている。そして、クリーニングワイパー10は、その支軸11の外周に設けられたロック凹所(後述)にテンションスプリング13が噛合して、下方、すなわち、カード8の印字面に向かって弾発付勢されると共に、クリーニングワイパー10とガイドローラ9とでカード8を挟持した状態でカード8の印字面を清掃するようにされている。
【0014】
クリーニングワイパー10の外周面には、セーム皮等の天然皮革、人工皮革或いはフェルト等の粗面を有する弾性素材からなる拭取巾12が貼着されており、クリーニングワイパー10ごと交換可能に装着されている。クリーニングワイパー10の支軸11は回動可能で、4箇所のロック凹部11a、11b、11c及び11dを有する横断面略十文字状に形成されている。そして、その一端部が装置本体1に固定されクリーニングワイパー10の上方に配置されるテンションスプリング13の他端側に屈曲形成されたロック凸部13aが、支軸11のロック凹部11a、11b、11c及び11dの上方から噛合されることとなり、クリーニングワイパー10の支軸11を回転方向には不動状態で固定すると共に、そのロック凹部11aに対応した拭取巾12のワイピング面をカード8の印字面に向かって弾発付勢する。
【0015】
すなわち、図3(b)に示すように、本実施例においては、支軸11の4箇所のロック凹部11a、11b、11c及び11dに対応してクリーニングワイパー10の拭取巾12がワイピング面12a、12b、12c及び12dに4分割されることとなり、例えば、カード8の清掃によってワイピング面12aが汚れて清掃効果が低減したら、クリーニングワイパー10を90度回動させてワイピング面12bをカード8の印字面と当接する位置に移動すると共に、支軸11のロック凹部11bにテンションスプリング13のロック凸部13aを噛合させて固定する。これにより、頻繁にクリーニングワイパー10ごと交換することなく新たなワイピング面に更新できる。同様に、ワイピング面12c及び12dも順次更新できる。尚、クリーニングワイパー10の回動手段は特に限定されず、人手によって又はモータ等を利用して自動的に行うようにしてもよい。
【0016】
また、クリーニングワイパー10の拭取巾12全面が汚れたり劣化した場合は、クリーニングワイパー10を装置本体1から取り外した上で、汚れの程度が軽い場合は、拭取巾12をアルコール等で拭いて再使用し、著しく劣化して再使用が不可能な場合は、クリーニングワイパー10ごと交換する。その際、テンションスプリング13の先端に屈曲形成されたリング部13bを手掛かりにして上方に引き上げるだけで容易に交換できる。
【0017】
尚、本発明は、上記実施例に限定されず本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、クリーニングワイパーのワイピング面は、上記実施例のように、必ずしも連続的な円筒状に配置する必要はなく、断続的なものであってもよいし、数も限定されない、すなわち、クリーニングワイパーがローラ型であれば、支軸のロック凹部を放射状に多数箇所設ければ、これらロック凹部に対応する拭取巾12のワイピング面も増加することになる。
【符号の説明】
【0018】
1 カードリーダライタ本体
2a ベース
2b ベースカバー
3 カード搬送路
4 搬送ローラ
5 サーマル印字ヘッド
6 ICリードライト部
7 カードディスペンサー
8 カード
9 ガイドローラ
10 クリーニングワイパー
11 クリーニングワイパーの支軸(回動軸)
11aロック凹部(噛合凹部)
12 拭取巾(セーム皮)
13 テンションプリング(バネ)
13aロック凸部(噛合凸部)
13bテンションプリングのリング部
14 カード挿入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード挿入口から挿入されたカードを搬送するカード搬送機構と、カード搬送路に設けられたサーマル印字ヘッドと、カード挿入口とサーマル印字ヘッドの間に配置されたカードの印字面を清掃するクリーニングワイパーとを備え、当該クリーニングワイパーと対向してガイドローラを設け、クリーニングワイパーをカードの印字面に弾発付勢すると共に、カードワイパーとガイドローラとでカードを挟持した状態でカードの印字面を清掃するようにされたカードリーダライタのクリーニング機構において、前記クリーニングワイパーを、その支軸を中心に回動可能且つ任意位置で固定可能に設けたことを特徴とするカードリーダライタのクリーニング機構。
【請求項2】
クリーニングワイパーの弾発付勢手段がバネであり、このバネをクリーニングワイパーの回動軸に噛合させて当該クリーニングワイパーを固定するようにしたことを特徴とする請求項1記載のカードリーダライタのクリーニング機構。
【請求項3】
クリーニングワイパーを円筒型に形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のカードリーダライタのクリーニング機構。
【請求項4】
クリーニングワイパー回動軸のバネ噛合部を放射状に複数個所設けたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載のカードリーダライタのクリーニング機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−227690(P2011−227690A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96592(P2010−96592)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000177346)三和ニューテック株式会社 (35)
【Fターム(参考)】