説明

カードリーダライタ

【課題】装置の小型化が図れるばかりでなく、バーコードの読み取り範囲が拡張でき、種々の規格やサイズのバーコードにも対応できるカードリーダライタを提供する。
【解決手段】カードリーダライタ1は、カード挿入口2から挿入されるリライトカード10をカード搬送路9で搬送する搬送機構と、リライトカード10に表示されたバーコード10aを読み取る光学式のバーコードリーダであるカメラモジュール5と、リライトカード10に印刷を行う印字ヘッド6とを備える。カード搬送路9の湾曲部Cを起点にしてカード搬送路9の立面部を設ける。カード搬送路9の立面部と対向してカメラモジュール5を配置し、リライトカード10に表示されたバーコード10aが立面部に位置した状態で読み取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードが表示されたリライトカードのデータの読み取りと書換えに際して使用されるカードリーダライタに関する。
【背景技術】
【0002】
加熱することで透明と白濁を繰り返す可逆的な発色・消色物性を有するロイコ染料等を含有した特殊な塗料がある。そして、この塗料が塗布されたリライトカードが、ポイントカード等として様々な産業分野で使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述したリライトカードは、加熱ヘッドを備えたリーダライタを使用して文字や図柄等を自由に書換えて印字することができる。しかし、データの内容そのものを記録することはできない。そこで、例えば、カードに磁性テープを貼付したり裏面に磁性層を形成することにより、カード表面には可視可能な印字をし、磁性部にデータを磁気記録再生できるように構成されたリライトカードが存在する(例えば、特許文献2参照)。このように、磁性部を形成したリライトカードでは、磁性部を形成する手間と製造コストが嵩む。そこで、本発明者らは、リライト面にバーコードを印字することで磁性部を省略してもデータの内容が記録できるリライトカードの開発を進めている。一方で、バーコードの読み取り装置が付属したカード印刷装置が提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−258533号公報
【特許文献2】特開2006−58937号公報
【特許文献3】特開平8−332758号公報
【特許文献4】特許第4409606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、磁性部に格納されるデータの記録再生には、カードを磁気ヘッドに対して定速で搬送させることが要求され、さらにカードの撓みや変形があると、読み取りエラーの原因となる。このためリーダライタのカード搬送路は平坦でカード長の約2倍以上の長さが必要になり、リーダライタ自体の小型化は困難であった。また、バーコードデータを読み込むための光学式のバーコードリーダは、バーコードの表示サイズが大きくなるに連れて長い読み取り距離が必要になる。したがって、従来のように、水平な搬送路に対して垂直にバーコードリーダを配置する構造ではリーダライタ躯体の高さも増長し、大型化するという課題があった。本発明は上記のような従来技術の課題に鑑み、カードリーダライタの小型化ができるばかりでなく、バーコードの読み取り範囲が拡張可能で、種々の規格やサイズのバーコードの読み書きにも対応できるカードリーダライタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため本発明では、光学式のバーコードリーダを備えたカードリーダライタにおいて、カード搬送路の一部がカードの搬送方向に沿って湾曲され、この湾曲部分から立ち上がる立面部を形成したことを第1の特徴とする。また、カード搬送路の立面部と対向してバーコードリーダを配置し、カードに表示されたバーコードが前記立面部に位置した状態でバーコードデータを読み取るようにしたことを第2の特徴とする。さらに、カード搬送路の立面部がカード挿入方向に対して略直角方向に設けられていることを第3の特徴とする。またさらに、カード搬送路がカード搬送面を境界にして分割可能とされ、当該搬送路の片側面にバーコードリーダを配置したことを第4の特徴とする。加えて、バーコードリーダを、読み取られるバーコードに対して近接自在に設けたことを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上の構成により本発明は以下の優れた効果を奏する。
(1)カード搬送路の一部を湾曲させたので、リーダライタ躯体の奥行き長さを縮小することができ、装置の小型化を図ることができる。
(2)カード搬送路の湾曲部を起点にして立ち上がる立面部に対向してバーコードリーダを配置したので、読み取り距離の調節に際し、リーダを水平方向に移動して行うことができるので、リーダライタ躯体の高さ方向のサイズを抑えて装置の小型化を図ることができる。
(3)カード搬送路をカード走行面で分割し、片面側にバーコードリーダを配置し、このバーコードリーダを、読み取られるバーコードに対して近接自在に設けたので、規格や種類、サイズの異なるバーコードや複数個所に配置されたバーコードにも幅広く対応できる。
【0008】
すなわち、光学式のバーコードリーダを使用することで、磁気記録再生と異なりカードの定速搬送は要求されない。したがって、搬送路の一部を湾曲させることが可能になり、躯体の奥行き長を縮小できる。また、搬送路の一部を湾曲させて、この湾曲部分から立ち上がる立面部に対向させてバーコードリーダを配置し、バーコードが立面部に位置した状態で読み取ることで、高さ方向のサイズを変化させることなくバーコードの読み取り範囲を拡張でき、カード全面を読むことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るカードリーダライタの一例を示す斜視図である。
【図2】図1のカードリーダライタの正面図である。
【図3】図1のカードリーダライタの平面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0011】
本発明に係るカードリーダライタ1(以下、単にリーダライタ1と称する)は、リライトカード10表面に印字すると共に、リライトカード10に表示されたバーコード10aに格納されたデータを読み取る機能を備えている。尚、カード10は、例えば、PETG等のカード基材にロイコ塗料に代表されるような、加熱により透明と白濁を繰り返す感熱特殊塗料を塗布してリライト層を形成しており、カードリーダライタ1のサーマルヘッド6及び消去ヘッド7からなる印字・消去部RWによって文字等が書き換えられる。このようなリライトカード10においては、ロイコ塗料等が塗布された書き換え可能領域と塗布されていない書き換え不能領域とが形成されて、通常、企業名や広告画像などは書き換え不能領域に印刷され、購買日、報償ポイント数増減などの可変データが書き換え可能領域に印刷される。
【0012】
すなわち、リーダライタ1は、図1乃至図4に示すように、その躯体に、カード挿入口2から挿入されるリライトカード10をカード搬送路9で搬送する搬送機構と、リライトカード10に表示されたバーコード10aを読み取る光学式のバーコードリーダであるカメラモジュール5と、リライトカード10に印刷を行う印字ヘッド6とを備えている。印字ヘッド6では、通常の文字や図柄、勿論バーコードも印字できる。印字ヘッド6は、カード10に所定の熱量を付与することにより発色もしくは消色させるサーマルヘッドであり、例えば、リライトカード10のリライト層に用いられている感熱特殊塗料がロイコ塗料の場合には、消色の際には110℃の発熱量が必要であり、発色の際には130℃の発熱量が必要である。このため、印字ヘッド6は、所定の温度範囲での温度切り換えが短時間且つ確実に制御される必要がある。図中、4はそのデコーダ基板である。
【0013】
リライトカード10は、カード挿入口2から挿入されると、先ず、クリーニングワイパー3により表面が清掃される。次いで、カード搬送路9の水平部9a上を搬送機構であるプラテンローラ等により、そのままカード搬送路9の湾曲部Cを通過してカード搬送路9の立面部9bまで搬送される。この立面部9bはカード挿入方向に対して略直角に設けられている。すなわち、リーダライタ1に挿入されたリライトカード10は、先ず、リライトカード10の先頭側部分に表示されたバーコード10aが、カード搬送路9のバーコード読み取り位置8に到達するまで搬送される。つまり、カードリーダライタ1は、挿入されたリライトカード10検知すると、駆動モータ12及び13が駆動し、ギア列20を介して駆動ローラ14、15、16、17、18及び19が回転し、これらの駆動ローラ14、15、18及び19に対応するクリーニングワイパー3や従動ローラ15a、18a及び19aと協働して、カード搬送路9を自動にリーダライタ1の奥側に搬送される。
【0014】
カード搬送路9の立面部9bのバーコード読み取り位置8において、リーダライタ1の躯体部分は広く開口されており、この開口部分からバーコード10aが露呈される。そして、この露呈されたバーコード10aに対向配置して搭載されたバーコードリーダであるカメラモジュール5が、バーコード10aに格納されたデータの内容を読み取る。カメラモジュール5は光学式センサであり、バーコード10aをカメラで撮像して、これをリーダライタ1に内蔵されるか又は外部に接続されたコンピュータで解析して内容の読み取りを行う。このカメラモジュール5は、カードリーダ1の躯体上、幅方向に掛け渡されたカメラモジュール固定板5aにネジ留め固定される。そして、カメラモジュール5は、この固定板5aごとカードリーダ1の躯体上をカード搬送方向に沿って任意に移動させることが可能であり、カメラモジュール5を読み取られるバーコード10aに対して近接自在にされており、バーコードの位置やサイズに応じて読み取り距離とカード幅方向に読み取り位置が自由に変更できるようにされている。尚、光学式センサとしては、カメラモジュール5の他、レーザースキャナーなども使用可能であり、本実施例には限定されない。
【0015】
バーコードデータが読み取られた後、リライトカード10は逆送され、カード搬送路9の水平部9aに配置された消去ヘッド7と印字ヘッド6(印字・消去部RW)により、カメラモジュール5が読み取ったデータ内容を基に、リライト層に印字されているバーコード10aを含む文字、図形等の古い可視情報を消去するのとほぼ同時に、新しいデータを格納したバーコード10aと可視情報が書き込まれる。尚、これら駆動ローラ14、15、18及び19と、印字・消去部RWのプラテンローラ16及び17の駆動は、駆動モータ12及び13と一体に回転するエンコーダ(図示せず)からの指令に基づいて制御される。
【0016】
リライト層への印字に際しては、リライトカード10が、プラテンローラ16及び17と印字ヘッド6及び消去ヘッド7との間を通過する際、各ヘッド6及び7を所定の圧力で押圧させてリライトカード10を挟持し、各ヘッド6及び7を所定の温度に加熱して、リライトカード10に所定の熱量を付与して、情報の印字(発色)もしくは消去(消色)を行う。一方、印字を行わない場合は、印字ヘッド6の押圧を行わず、リライトカード10の厚さ以上の間隔で印字ヘッド6をプラテンローラ16から離隔させておく。
【0017】
尚、バーコードとしては、現在一般的に知られているJANやCODE39やITF等のように、既成の規格化されたものを使用するが、リライトカードに印字するバーコードとして好適なものを新たに開発してもよい。また、本発明の要旨は、カード搬送路の一部がカードの搬送方向に沿って湾曲させて装置を小型化する点にあり、上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で改変を施し得るのは勿論構わない。
【符号の説明】
【0018】
1 カードリーダライタ
2 カード挿入口
3 クリーニングワイパー
4 デコーダ基板
5 カメラモジュール
5a カメラモジュール固定板
6 印字ヘッド(サーマルヘッド)
7 消去ヘッド(サーマルヘッド)
8 バーコード読取位置
9 カード搬送路
9a カード搬送路の水平部
9b カード搬送路の垂直部(立面部)
10 リライトカード
10aバーコード
12 駆動モータ
13 駆動モータ
14 駆動ローラ
15 駆動ローラ
15a従動ローラ
16 プラテンローラ
17 プラテンローラ
18 駆動ローラ
18a従動ローラ
19 駆動ローラ
19a従動ローラ
20 ギア列
C カード搬送路の湾曲部分
RW 印字・消去部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学式のバーコードリーダを備えたカードリーダライタにおいて、カード搬送路の一部がカードの搬送方向に沿って湾曲され、この湾曲部分から立ち上がる立面部を形成したことを特徴とするカードリーダライタ。
【請求項2】
カード搬送路の立面部と対向してバーコードリーダを配置し、カードに表示されたバーコードが前記立面部に位置した状態でバーコードデータを読み取るようにしたことを特徴とする請求項1記載のカードリーダライタ。
【請求項3】
カード搬送路の立面部がカード挿入方向に対して略直角方向に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のカードリーダライタ。
【請求項4】
カード搬送路がカード搬送面を境界にして分割可能とされ、当該搬送路の片側面にバーコードリーダを配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のカードリーダライタ。
【請求項5】
バーコードリーダを、読み取られるバーコードに対して近接自在に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のカードリーダライタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−53857(P2012−53857A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198135(P2010−198135)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000177346)三和ニューテック株式会社 (35)
【Fターム(参考)】