説明

カードリーダ装置

【課題】 スワイプ操作を行うときの操作性が高く、装置の小型化が容易であり、落下の衝撃に対する耐久性(耐衝撃性)が高いカードリーダ装置を提供する。
【解決手段】 カードリーダ装置1は、装置本体2の上半部に設けられた表示部3と、装置本体2の上半部であって表示部3の反対側に設けられたコードリーダ部6およびカードリーダ部7と、装置本体2の下半部に設けられた把持部5とを備える。コードリーダ部6が形成された部分の装置本体2の厚さD1は、把持部5が形成された部分の装置本体2の厚さD2より大きく設定されており、カードリーダ部7は、コードリーダ部6と把持部5との間に形成された中間部8に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コード化された情報を読み取る機能(コードリーダ機能)とカード情報を読み取る機能(カードリーダ機能)を備えたカードリーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物流業者などが使用する携帯型の決済端末装置として、バーコード情報を読み取る機能(コードリーダ機能)と、カード情報を読み取る機能(カードリーダ機能)を備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。この決済端末装置では、荷物の集荷や配達の際に、バーコードなどから種々の情報を読み取ることができるとともに、顧客の玄関先などでICカードや磁気カードを用いて決済を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−304035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置においては、カードリーダ部(磁気カードリーダ部)が、装置本体の表側の表示部の上部に設けられていた。このように、カードリーダ部が、装置本体の端部寄りに設けられている場合には、磁気カードをリーダー部に通しカード情報を読み取る操作(スワイプ操作)をするときにカードを装置本体に押し付ける力のモーメントが大きくなり、ユーザはそのモーメントに抗して装置をしっかり持っていなくてはならず、スワイプ操作を行うときの操作性が低下するという問題があった。
【0005】
また、カードリーダ部は、カード情報を読み取るための構成(部品や回路など)を設けるためには、その部分(カードリーダ部が形成された部分)の装置本体の厚さをある程度大きく設定する必要がある。したがって、カードリーダ部を設ける場所によっては、装置全体のサイズが大型化してしまい、装置の小型化が困難になるという問題があった。
【0006】
また、カードリーダ部には、磁気カードをスワイプさせるためのスリット部が設けられるのが一般的であるが、このスリット部は、スリット構造を採用しているために、その機械的な強度はそれほど高くない。携帯型の決済端末装置は、屋外で使用される状況が想定され、ユーザが誤って装置を落下させてしまうこともあり得るが、この部分(機械的な強度がそれほど高くない部分)が、装置本体の端部に設けられていると、落下の衝撃に対する耐久性(耐衝撃性)を確保するのが容易でないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、スワイプ操作を行うときの操作性が高く、装置の小型化が容易であり、落下の衝撃に対する耐久性(耐衝撃性)が高いカードリーダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカードリーダ装置は、装置本体の上半部に設けられた表示部と、前記装置本体の上半部であって前記表示部の反対側に設けられたコードリーダ部およびカードリーダ部と、前記装置本体の下半部に設けられた把持部と、を備え、前記コードリーダ部が形成された部分の前記装置本体の厚さは、前記把持部が形成された部分の前記装置本体の厚さより大きく設定されており、前記カードリーダ部は、前記コードリーダ部と前記把持部との間に形成された中間部に設けられている構成を有している。
【0009】
この構成により、装置本体の上半部には表示部が設けられ、装置本体の下半部には把持部が設けられている。この把持部が形成された部分は、装置本体の厚さが小さく(薄く)設定されているので、ユーザは、カードリーダ装置を保持しやすい。また、装置本体の表示部の反対側(裏側)には、コードリーダ部が設けられており、そのコードリーダ部と把持部との間の中間部にカードリーダ部が形成されている。コードリーダ部は、コードを読み取るための構成(部品や回路など)のサイズが大きく、その部分(コードリーダ部が形成された部分)の装置本体の厚さは大きく(厚く)設定せざるを得ない。カードリーダ部は、コードリーダ部ほどではないにしても、カード情報を読み取るための構成を設けるためには、その部分(カードリーダ部が形成された部分)の装置本体の厚さをある程度は大きく設定する必要がある。この場合、コードリーダ部(その部分の装置本体の厚さを大きく設定せざるを得ない部分)の近くに、カードリーダ部を配置しているので、カードリーダ部(その部分の装置本体の厚さをある程度は大きく設定する必要がある部分)を設けても、装置全体のサイズが大型化するほどの影響はなく、装置の小型化が容易になる。
【0010】
また、この構成によれば、コードリーダ部と把持部との間の中間部(装置本体の中央部)に、カードリーダ部が配置される。このカードリーダ部には、読取り対象のカードをスワイプさせるためのスリット部が設けられるのが一般的であるが、このスリット部は、スリット構造を採用しているがために、その機械的な強度はそれほど高くない。携帯式のカードリーダ装置では、ユーザが誤って装置を落下させてしまうこともあり得るが、この部分(機械的な強度がそれほど高くない部分)が、装置本体の端部に設けられていると、落下の衝撃に対する耐久性(耐衝撃性)を確保するのが容易でない。それに対して、この場合には、カードリーダ部(機械的な強度がそれほど高くないスリット部を備えた部分)が、装置本体の中央部に設けられているので、装置全体として落下の衝撃に対する耐久性(耐衝撃性)を確保することが容易である。
【0011】
さらに、この構成によれば、カードリーダ部が、表示部の反対側に設けられているので、ユーザが装置を持っている手を返すだけで、表示部が表側になった状態(カードリーダ部が裏側になった状態)からカードリーダ部が表側になった状態に、容易に使用状態を変更することができる。しかも、カードリーダ部が、コードリーダ部と把持部との間の中間部(装置本体の中央部)に設けられているので、装置本体の端部に設けられている場合に比べて、カード情報を読み取る操作(スワイプ操作)をするときにカードを装置本体に押し付ける力のモーメントが小さく、スワイプ操作を行うときの操作性が高い。
【0012】
また、本発明のカードリーダ装置では、前記中間部には、前記装置本体の厚さが徐々に小さくなる傾斜部が形成されており、前記カードリーダ部は、前記傾斜部に埋設されており、前記カードリーダ部には、読取り対象のカードをスワイプさせるためのスリット部が設けられ、前記傾斜部には、前記スリット部に連続する延長スリット部が設けられている構成を有している。
【0013】
この構成により、カードリーダ部のスリット部が、コードリーダ部と把持部との間の傾斜部の延長スリット部によって延長される。したがって、カードリーダ部を小型化(装置を小型化)してスリット部が短くなったとしても、傾斜部の延長スリット部によって、スリット部分の全体の長さを十分に確保することができる。これにより、読取り対象のカードをスワイプさせるときの操作性を損なうことなく、装置を小型化することが可能になる。
【0014】
また、本発明のカードリーダ装置では、前記カードリーダ部は、内部に水が浸入するのを防止するための防水手段を備えた前記装置本体の筐体の外側に、設けられている構成を有している。
【0015】
この構成により、装置本体の筐体の内部(表示部やコードリーダ部の回路など)は、防水手段(パッキンなど)によって内部に水が浸入することが防止される。この場合、カードリーダ部が装置本体の筐体の外側に設けられており、いわゆる「外防水」の構造が採用されているので、装置本体の筐体の内部を防水するのに複雑な防水構造を採用する必要がなくなり、装置本体の防水構造を簡素化することができる。
【0016】
また、本発明のカードリーダ装置では、前記カードリーダ部は、防水構造を有していないカバーで覆われた磁気ヘッドを備え、前記磁気ヘッドは、パッキンで係止されるフレキシブルプリント基板を介して防水構造の前記筐体の内部の回路と接続されている構成を有している。
【0017】
この構成により、磁気ヘッドは外部に露出しかつ防水構造を有していないため、雨天時に屋外で使用した場合などには磁気ヘッドに水(雨など)がかかることになる。しかし、この場合、磁気ヘッド(カードリーダ部)は、表示部(多くの使用状態で表側にされる)の反対側に配置されているので、磁気ヘッドに直接水がかかることは少ない。しかも、磁気ヘッドは、水がかかって錆びが発生したとしても、磁気カードがスワイプされる際の摩擦によって錆びが除去される。また、磁気ヘッドは、カード情報の読取りに磁気を利用するので、錆びが発生しても、きちんとカード情報を読み取ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、表示部の反対側であってコードリーダ部と把持部との間の中間部にカードリーダ部を設けることにより、スワイプ操作を行うときの操作性が高く、装置の小型化が容易であり、落下の衝撃に対する耐久性(耐衝撃性)が高いという効果を有するカードリーダ装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態におけるカードリーダ装置の斜視図
【図2】本発明の実施の形態におけるカードリーダ装置の裏側からの斜視図
【図3】本発明の実施の形態におけるカードリーダ装置の側面図
【図4】本発明の実施の形態におけるカードリーダ装置の要部の分解斜視図
【図5】本発明の実施の形態におけるカードリーダ装置の動作(バーコード読取り動作)を説明するための図
【図6】本発明の実施の形態におけるカードリーダ装置の動作(磁気カード読取り動作)を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態のカードリーダ装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、物流業者などが使用する携帯型の決済端末装置等に用いられるカードリーダ装置の場合を例示する。
【0021】
本発明の実施の形態のカードリーダ装置の構成を、図1〜図4を参照して説明する。図1は、本実施の形態のカードリーダ装置の斜視図であり、図2は、カードリーダ装置を裏側から見たときの斜視図である。また、図3は、カードリーダ装置の側面図であり、図4は、カードリーダ装置の要部を分解したときの斜視図である。
【0022】
図1に示すように、カードリーダ装置1の装置本体2の表面(おもて面)には、液晶ディスプレイなどで構成された表示部3と、各種入力キーなどで構成された操作部4が設けられている。このカードリーダ装置1では、表示部3が装置本体2の上半部に設けられており、操作部4が装置本体2の下半部に設けられている。また、この装置本体2の下半部は、ユーザが把持しやすいように厚さが薄くなるように設計されている。つまり、装置本体2の下半部には、カードリーダ装置1を把持するための把持部5が設けられているともいえる。なお、ここでは、図示していないが、把持部5の表面には、ユーザの手の形に沿うように波形の凹凸形状部が設けられてもよい。
【0023】
図2に示すように、カードリーダ装置1の装置本体2の裏面には、バーコードなどのコード(シンボル)で符号化された情報(バーコード情報など)を読み取るためのコードリーダ部6と、磁気カードのカード情報を読み取るためのカードリーダ部7が設けられている。このコードリーダ部6によって、コード(バーコードなど)を読み取る機能が実現され、また、カードリーダ部7によって、磁気カード(クレジットカードなど)を読み取る機能が実現される。なお、ここでは、コードがバーコードである場合を例示して説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、読取り対象のコードは、2次元バーコードやQRコードなどであってもよい。
【0024】
このカードリーダ装置1では、コードリーダ部6とカードリーダ部7の両方が装置本体2の上半部に設けられている。したがって、このコードリーダ部6とカードリーダ部7は、表示部3の反対側(裏側)に設けられているといえる。あるいは、コードリーダ部6とカードリーダ部7は、装置本体2の中心点を中心として、操作部4の反対側(操作部4と点対象の位置)に配置されているともいえる。また、この場合、カードリーダ部7は、コードリーダ部6よりも把持部寄りの位置に配置されており、したがって、このカードリーダ部7は、コードリーダ部6と把持部5との間の中間部8に設けられているといえる。
【0025】
なお、ここでは、図示していないが、表示部3の周囲には、アンテナパターンなどで構成されたアンテナ部が設けられている。このアンテナ部によって、カードリーダ装置1には非接触ICカードとの情報通信機能が備えられる。また、カードリーダ装置1の表示部3は、タッチ入力機能を備えたタッチパネルであってもよい。
【0026】
コードリーダ部6は、コード(バーコードなど)に読取り光(赤外光や可視光など)を照射して、そのコードの画像を撮影し、撮影された画像に画像解析処理を施すことによって、コード情報を読み取る。コードを読み取るための構成(部品や回路など)のサイズは比較的大きく、図3に示すように、その部分(コードリーダ部6が形成された部分)の装置本体2の厚さは比較的大きく(厚く)設定される。この場合、コードリーダ部6が形成された部分の厚さD1は、把持部5が形成された部分の厚さD2より大きく設定されている。また、コードの読取は上述の撮影画像の処理によるものに限らず、レーザー光等の光を対象に照射し、その反射を検出するものでもよい。反射光の検出はフォトトランジスタ、フォトダイオードが好ましい。
【0027】
図3に示すように、コードリーダ部6と把持部5との間には、装置本体2の厚さが徐々に小さくなる傾斜部9が形成されている。図4に示すように、この傾斜部9には、カードリーダ部7を設けるための凹部10が形成されており、カードリーダ部7は、この傾斜部9の凹部10に埋設されている。また、カードリーダ部7は、磁気カードからカード情報を読み取るための磁気ヘッド11を備えており、磁気ヘッド11には、磁気カードをスワイプさせるためのスリット部12が設けられている。傾斜部9の凹部10には、カバー13が取り付けられており、このカバー13の左右両側には、磁気ヘッド11のスリット部12に連続する延長スリット部14が設けられている。この場合、磁気ヘッド11のスリット部12の長さが、傾斜部9のカバー13の延長スリット部14によって、延長されているともいえる。
【0028】
図4に示すように、磁気ヘッド11には、フレキシブルプリント基板15が接続されており、磁気ヘッド11は、このフレキシブルプリント基板15を介して筐体内部の回路(図示せず)と接続されている。装置本体2の筐体には、このフレキシブルプリント基板15を筐体内部に通すための挿通孔16が設けられている。フレキシブルプリント基板15には、防水パッキン17などのシーリング部材が取り付けられ、この防水パッキン17を挿通孔16に嵌め込むことによって、筐体の内部に水(雨など)が浸入することが防止される。この場合、磁気ヘッド11は、いわゆる外防水された筐体の外側に配置されているともいえる。ここでは、防水パッキン17(シーリング部材)が、本発明の防水手段に相当する。
【0029】
磁気ヘッド11には、上述のカバー13が取り付けられるが、カバー13の中央部には、磁気ヘッド11のスリット部12を外部に露出させるように、スリット状の開口部18が設けられている。したがって、磁気ヘッド11のスリット部12は、カバー13を取り付けた状態でも外部に露出するように構成されている。また、この場合、磁気ヘッド11のスリット部12(磁気カードをスワイプする部分)には、防水構造が設けられていない。なお、磁気ヘッド11の回路部19やフレキシブルプリント基板15との接続部20には、接着剤などを用いて防水加工を施してよい。
【0030】
以上のように構成された本実施の形態のカードリーダ装置1について、図5および図6を参照してその動作を説明する。
【0031】
図5は、本実施の形態のカードリーダ装置1を用いてバーコードの読取りをするときの動作の説明図である。図5に示すように、バーコードの読取りを行うときには、ユーザは、カードリーダ装置1の表面(おもて面)を上にして、すなわち、コードリーダ部6を下にしてカードリーダ装置1を構える。そして、伝票などに印刷されたバーコードXにコードリーダ部6を向けて、コード読取りボタン(図示せず)の押下げなどの操作を行う。そうすると、コードリーダ部6から斜め前方に向けて(把持部5とは反対の向きに)読取り光(赤外光など)が照射され、バーコードXの画像が撮影される。そして、撮影された画像に画像解析処理を施して、バーコードXのコード情報が読み取られる。
【0032】
図6は、本実施の形態のカードリーダ装置1を用いて磁気カード(クレジットカードなど)の読取りをするときの動作の説明図である。図6に示すように、磁気カードの読取りを行うときには、ユーザは、カードリーダ装置1の裏面を上にして、すなわち、カードリーダ部7を上にしてカードリーダ装置1を構える。図5のバーコードの読取り操作の直後であれば、ユーザは、カードリーダ装置1を持っている手を返すだけでよい。そして、もう一方の手で磁気カードCを持って、図6において矢印で示すように、磁気カードCをカードリーダ部7のスリット部12に通過させる操作(スワイプ操作)を行う。このようにして磁気カードCがスワイプされると、カードリーダ部7の磁気ヘッド11によって、磁気カードCのカード情報が読み取られる。
【0033】
このような本発明の実施の形態のカードリーダ装置1によれば、表示部3の反対側であってコードリーダ部6と把持部5との間の中間部8にカードリーダ部7を設けることにより、スワイプ操作を行うときの操作性が高く、装置の小型化が容易であり、落下の衝撃に対する耐久性(耐衝撃性)が高くなる。
【0034】
すなわち、本実施の形態では、装置本体2の上半部には表示部3が設けられ、装置本体2の下半部には把持部5が設けられている。この把持部5が形成された部分は、装置本体2の厚さが小さく(薄く)設定されているので、ユーザは、カードリーダ装置1を保持しやすい。また、装置本体2の表示部3の反対側(裏側)には、コードリーダ部6が設けられており、そのコードリーダ部6と把持部5との間の中間部8にカードリーダ部7が形成されている。コードリーダ部6は、コードを読み取るための構成(部品や回路など)のサイズが大きく、その部分(コードリーダ部6が形成された部分)の装置本体2の厚さは大きく(厚く)設定せざるを得ない。カードリーダ部7は、コードリーダ部6ほどではないにしても、カード情報を読み取るための構成を設けるためには、その部分(カードリーダ部7が形成された部分)の装置本体2の厚さをある程度は大きく設定する必要がある。この場合、コードリーダ部6(その部分の装置本体2の厚さを大きく設定せざるを得ない部分)の近くに、カードリーダ部7を配置しているので、カードリーダ部7(その部分の装置本体2の厚さをある程度は大きく設定する必要がある部分)を設けても、装置全体のサイズが大型化するほどの影響はなく、装置の小型化が容易になる。
【0035】
また、本実施の形態では、コードリーダ部6と把持部5との間の中間部8(装置本体2の中央部)に、カードリーダ部7が配置される。このカードリーダ部7には、読取り対象のカードをスワイプさせるためのスリット部12が設けられるのが一般的であるが、このスリット部12は、スリット構造を採用しているがために、その機械的な強度はそれほど高くない。携帯式のカードリーダ装置1では、ユーザが誤って装置を落下させてしまうこともあり得るが、この部分(機械的な強度がそれほど高くない部分)が、装置本体2の端部に設けられていると、落下の衝撃に対する耐久性(耐衝撃性)を確保するのが容易でない。それに対して、この場合には、カードリーダ部7(機械的な強度がそれほど高くないスリット部12を備えた部分)が、装置本体2の中央部に設けられているので、装置全体として落下の衝撃に対する耐久性(耐衝撃性)を確保することが容易である。
【0036】
さらに、本実施の形態では、カードリーダ部7が、表示部3の反対側に設けられているので、ユーザが装置を持っている手を返すだけで、表示部3が表側になった状態(カードリーダ部7が裏側になった状態)からカードリーダ部7が表側になった状態に、容易に使用状態を変更することができる。しかも、カードリーダ部7が、コードリーダ部6と把持部5との間の中間部8(装置本体2の中央部)に設けられているので、装置本体2の端部に設けられている場合に比べて、カード情報を読み取る操作(スワイプ操作)をするときにカードを装置本体2に押し付ける力のモーメントが小さく、スワイプ操作を行うときの操作性が高い。
【0037】
また、この場合、コードリーダ部6は、装置から斜め前方に向けて(把持部5とは反対の向きに)読取り光(赤外光など)を照射するように構成されているが、この場合、カードリーダ部7が、コードリーダ部6と把持部5との間の中間部8(装置本体2の中央部)に配置されているので、カードリーダ部7によって、読取り光の照射、撮影が阻害されることない。
【0038】
また、本実施の形態では、カードリーダ部7のスリット部12が、コードリーダ部6と把持部5との間の傾斜部9の延長スリット部14によって延長される。したがって、カードリーダ部7を小型化(装置を小型化)してスリット部12が短くなったとしても、傾斜部9の延長スリット部14によって、スリット部分の全体の長さを十分に確保することができる。これにより、読取り対象のカードをスワイプさせるときの操作性を損なうことなく、装置を小型化することが可能になる。
【0039】
また、本実施の形態では、装置本体2の筐体の内部(表示部3やコードリーダ部6の回路など)は、防水手段(パッキンなど)によって内部に水が浸入することが防止される。この場合、カードリーダ部7が装置本体2の筐体の外側に設けられており、いわゆる「外防水」の構造が採用されているので、装置本体2の筐体の内部を防水するのに複雑な防水構造を採用する必要がなくなり、装置本体2の防水構造を簡素化することができる。
【0040】
また、本実施の形態では、磁気ヘッド11は外部に露出しかつ防水構造を有していないため、雨天時に屋外で使用した場合などには磁気ヘッド11に水(雨など)がかかることになる。しかし、この場合、磁気ヘッド11(カードリーダ部7)は、表示部3(多くの使用状態で表側にされる)の反対側に配置されているので、磁気ヘッド11に直接水がかかることは少ない。しかも、磁気ヘッド11は、水がかかって錆びが発生したとしても、磁気カードがスワイプされる際の摩擦によって錆びが除去される。また、磁気ヘッド11は、カード情報の読取りに磁気を利用するので、錆びが発生してもきちんとカード情報を読み取ることができ、多くの場合はカードの通過によって錆びがふき取られるため動作に異常がおこることは無い。
【0041】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上のように、本発明にかかるカードリーダ装置は、スワイプ操作を行うときの操作性が高く、装置の小型化が容易であり、落下の衝撃に対する耐久性(耐衝撃性)が高いという効果を有し、物流業者などが使用する携帯型の決済端末装置等として有用である。
【符号の説明】
【0043】
1 カードリーダ装置
2 装置本体
3 表示部
4 操作部
5 把持部
6 コードリーダ部
7 カードリーダ部
8 中間部
9 傾斜部
10 凹部
11 磁気ヘッド
12 スリット部
13 カバー
14 延長スリット部
15 フレキシブルプリント基板
16 挿通孔
17 防水パッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の上半部に設けられた表示部と、
前記装置本体の上半部であって前記表示部の反対側に設けられたコードリーダ部およびカードリーダ部と、
前記装置本体の下半部に設けられた把持部と、
を備え、
前記コードリーダ部が形成された部分の前記装置本体の厚さは、前記把持部が形成された部分の前記装置本体の厚さより大きく設定されており、前記カードリーダ部は、前記コードリーダ部と前記把持部との間に形成された中間部に設けられていることを特徴とするカードリーダ装置。
【請求項2】
前記中間部には、前記装置本体の厚さが徐々に小さくなる傾斜部が形成されており、前記カードリーダ部は、前記傾斜部に埋設されており、
前記カードリーダ部には、読取り対象のカードをスワイプさせるためのスリット部が設けられ、前記傾斜部には、前記スリット部に連続する延長スリット部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカードリーダ装置。
【請求項3】
前記カードリーダ部は、内部に水が浸入するのを防止するための防水手段を備えた前記装置本体の筐体の外側に、設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカードリーダ装置。
【請求項4】
前記カードリーダ部は、防水構造を有していないカバーで覆われた磁気ヘッドを備え、
前記磁気ヘッドは、パッキンで係止されるフレキシブルプリント基板を介して防水構造の前記筐体の内部の回路と接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカードリーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−138288(P2011−138288A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297342(P2009−297342)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【特許番号】特許第4647027号(P4647027)
【特許公報発行日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】