説明

カードリーダ

【課題】 機構の小型化、部品点数の削減を行ない、低コストの構造を有するカードリーダを提供すること。
【解決手段】 カードリーダにおいて、印字ヘッド8と消去ヘッド9は、一つの回動可能な可動部材である中継ブラケット21の回動中心から同一半径上にある位置で固定し、カード搬送部から退避させ、プラテンローラ10を印字ヘッド8と消去ヘッド9の中間の対向する側の位置に1個以上設置し、カードの搬送に合わせて、一つの回動可能な中継ブラケット21が、印字の状態と消去の状態に互いに正・逆の回転をし、印字ヘッド8又は消去ヘッド9は、カードの主面に対して略垂直な方向に位置する時に、プラテンローラ10の裏側の受けでカードを圧接させること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードリーダに関し、特に、カード等の情報記録媒体の画像を形成、消去するのに好適なカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カードはその携帯性に利便なことから、種々の用途で使用され、その種類も様々である。例えば、テレホンカード、乗車券等のプリペイドカード、定期券、回数券、ポイントカード、更に、銀行カード、キャッシュカード、クレジットカード、運転免許証等のIDカード、会員カード、身分証明書等が挙げられる。
【0003】
また、これらのカードは、個人識別情報や残高、累積ポイント等の情報を記録・保持するため、磁気記録層、光記録層、或いはICメモリ等に代表されるメモリ部を有している。これらのメモリ部に記録された情報は、専用のカードリーダで再生されるが、磁気記録層、光記録層、ICメモリーに記録された情報は不可視情報であるので、カードの持ち主がその記録情報を直接確認する事はできない。
【0004】
そこで、従来から、これら不可視の記録情報を可視的に表示する事がなされている。例えば、インクジェット、感熱転写、レーザービームプリンタ等の様々な印字手段によってカード表面に情報を印字し、カードに予め感熱発色層を形成し感熱記録する等の追記型の表示がなされている。
【0005】
しかし、これら追記型の表示方法では、カード表面の表示領域の制約で、より多くの情報を表示できないので、最近では、書き換え可能な表示方法が採用されている。例えば、カードに液晶表示体を形成する場合や、加熱によって、繰り返し印字・消去が可能である熱可逆的材料を使用して表示する事がなされている。
【0006】
熱可逆材料を用いた画像形成機能付きのカードの読み取り・書き込みする装置は、特許文献1に開示されている。図4は、特許文献1の熱可逆材料を用いた画像形成機能付き記録カードの読み取り・書き込み装置であるカードリーダの基本構造の概略を示す断面図である。
【0007】
図4に示すように、このカードリーダは、搬送ローラ1と従動ローラ2で構成される複数の搬送ローラ対を有する構造になっている。プラテンローラ10と印字ヘッド8で構成される印字エリアとプラテンローラ10と消去ヘッド9で構成される消去エリアが別々に存在する。このカードリーダは、カード30の搬送に合わせて、印字ヘッド8が、プラテンローラ10と印字ヘッド8で構成される印字エリアでカード30の画像記録部と圧接するように降下し、印字ヘッド8を圧接し、電圧を印加し、画像を形成(印字)する。
【0008】
また同様に、カード30の搬送に合わせて、消去ヘッド9が、プラテンローラ10と消去ヘッド9で構成される消去エリアでカード30の画像記録部と圧接するように降下し、印字ヘッド8を圧接し、電圧を印加して、既存画像を消去する。なお、記録データの読み取り・書き込み部12が別途設けられている。
【0009】
【特許文献1】特開2002−183678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した特許文献1では、画像記録部への印字工程部(機構部)と画像記録部の消去工程部(機構部)が分離した構造のカードリーダになっているので、カードリーダが大きくなり、構成される部品点数も多いという問題点があった。
【0011】
本発明は、上述した問題点を解決すべくなされたもので、その技術課題は、機構の小型化、部品点数の削減を行ない、低コストの構造を有するカードリーダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための第1の発明は、画像形成部に熱可逆材料を用いた媒体に対応した画像形成機能を有するカードの読み取り・書き込み装置であって、カード搬送部と、前記カードに画像を形成する印字ヘッドと、前記カードに形成された画像を消去する消去ヘッドと、プラテンローラとを備えるカードリーダにおいて、前記印字ヘッドと前記消去ヘッドは、一つの回動可能な可動部材の回動中心から同一半径上にある位置で固定し、前記カード搬送部から退避させ、前記プラテンローラを前記印字ヘッドと前記消去ヘッドの中間の対向する側の位置に1個以上設置させたカードリーダである。
【0013】
上記目的を達成するための第2の発明は、前記カードの搬送に合わせて、前記一つの回動可能な可動部材が、印字の状態と消去の状態に互いに正・逆の回転をし、前記印字ヘッド又は前記消去ヘッドは、前記カードの主面に対して略垂直な方向に位置する時に、前記プラテンローラの裏側の受けで前記カードを圧接させたカードリーダである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像形成部に熱可逆材料を用いた媒体に対応した画像形成機能を有するカードの読み取り・書き込み装置であって、カード搬送部と、カードに画像を形成する印字ヘッドと、カードに形成された画像を消去する消去ヘッドと、プラテンローラとを備えるカードリーダにおいて、印字ヘッドと消去ヘッドは、一つの回動可能な可動部材の回動中心から同一半径上にある位置で固定し、カード搬送部から退避させ、プラテンローラを印字ヘッドと消去ヘッドの中間の対向する側の位置に1個以上設置させることで、これまで別のスペースを利用していた画像記録部への印字工程部(機構部)と画像記録部の消去工程部(機構部)とを1箇所に集約させ、従来と同じ機能を小さなスペースで実現し、部品点数の削減を図っている。
【0015】
また、カードの搬送に合わせて、一つの回動可能な可動部材が、印字の状態と消去の状態に互いに正・逆の回転をし、印字ヘッド又は消去ヘッドは、カードの主面に対して略垂直な方向に位置する時に、プラテンローラの裏側の受けでカードを圧接させることで、画像記録部への印字工程部(機構部)と画像記録部の消去工程部(機構部)とを同じスペースで、カードの主面に略垂直に印字や消去ができるように、カードを固定する構造にしている。
【0016】
その結果、機構の小型化、部品点数の削減を行ない、低コストの構造を有するカードリーダの提供が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態に係るカードリーダを、以下に図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明のカードリーダの概略を示す断面図である。図2は、本発明のカードリーダでカードの画像記録部の既存画像を消去する状態を示す。図3は、本発明のカードリーダでカードの画像記録部に印字する状態を示す。
【0019】
図1に示すように、本発明を実施するための最良の形態に係るカードリーダは、印字ヘッド8と消去ヘッド9を回動可能な中継ブラケット21に固定している。カードリーダが動作状態でない場合は、印字ヘッド8と消去ヘッド9は搬送ガイド7からなる熱可逆材料を用いた媒体である記録するカード30の搬送部から退避した姿勢とする。また、複数のローラ対になる搬送ローラ1と従動ローラ2は、カード30を一定の状態で安定に搬送するために設置されている。なお、搬送は、搬送駆動モータ13を動力源とする。
【0020】
印字ヘッド8と消去ヘッド9は、一つの回動可能な可動部材の回動中心から同一半径上にある位置で固定し、カード搬送部から退避させた構造にすることで、これまで別のスペースを利用していた画像記録部へ印字する工程部と画像記録部を消去する工程部とを1箇所に集約させている。また、一つの回動可能な可動部材の回動中心から同一半径上にある位置で印字ヘッドと消去ヘッドを固定するのは、回転運動を利用して、印字ヘッド又は消去ヘッドを昇降する構造にするためである。
【0021】
図2に示すように、カード30の搬送に合わせて中継ブラケット21が、反時計方向に回転することで、消去ヘッド9を降下させ、消去ヘッドは、カードの主面に対して略垂直な方向に位置する時に、プラテンローラ10の裏側の受けでカード30の画像記録部に圧接させ、電圧を印加することで既存画像の消去を行っている。なお、対向用のプラテンローラ10を印字ヘッド8と消去ヘッド9の中間の対向する側の位置に1個以上設置することで、カードリーダの印字ヘッド又は消去ヘッドを差し替えできる構造にし、画像記録部へ印字する工程と画像記録部を消去する工程の入れ替えを可能にしている。
【0022】
また、プラテンローラ10により、プラテンローラ10の裏側の受けに圧力を加え、プラテンローラ10の裏側の受けでカード30を所定の位置で固定し、画像記録部に圧接できるようにしている。
【0023】
更に、プラテンローラ10を1個設置する場合は、最小サイズのカードリーダを実現でき、1個以上設置するとカード30の固定を安定にでき、搬送のぶれをより抑制できる。プラテンローラ10を設置しない場合は、カード30の固定が不安定になる。
【0024】
なお、消去ヘッド9は、カードの主面に対して略垂直な方向に位置する時に、プラテンローラ10の裏側の受けでカード30の画像記録部に圧接させるのは、確実に消去するためである。消去ヘッド9をカードの主面に対して略垂直にするのは、カードリーダのスペースをより小さくできるためである。
【0025】
また、同様な機構で印字が行われる。図3に示すように、カード30の搬送に合わせて中継ブラケット21が時計方向に回転することで、印字ヘッド8を降下させ、印字ヘッド8は、カードの主面に対して略垂直な方向に位置する時に、プラテンローラ10の裏側の受けでカード30の画像記録部に圧接させ、電圧を印加することで画像形成(印字)を行っている。
【0026】
なお、カードリーダの印字状態と消去状態では、同様の機構なので、印字ヘッドも消去ヘッドと同様の効果を奏する。
【0027】
本発明の最良の形態では、消去の場合にカード30の搬送に合わせて中継ブラケット21を反時計方向に回転しているが、消去と印字の際に正・逆の関係になっていれば時計方向に回転してもよい。
【0028】
以上に示したように、本発明により機構の小型化、部品点数の削減を行ない、低コストの構造を有するカードリーダの提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のカードリーダの概略を示す断面図。
【図2】本発明のカードリーダで記録カードの画像記録部の既存画像を消去する状態を示す図。
【図3】本発明のカードリーダで記録カードの画像記録部に印字する状態を示す図。
【図4】特許文献1の熱可逆材料用を用いた画像形成機能付き記録カードの読み取り・書き込み装置であるカードリーダの基本構造の概略を示す断面図。
【符号の説明】
【0030】
1 搬送ローラ
2 従動ローラ
7 搬送ガイド
8 印字ヘッド
9 消去ヘッド
10 プラテンローラ
12 読み取り・書き込み部
13 搬送駆動モータ
21 中継ブラケット
30 カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部に熱可逆材料を用いた媒体に対応した画像形成機能を有するカードの読み取り・書き込み装置であって、カード搬送路と、前記カードに画像を形成する印字ヘッドと、前記カードに形成された画像を消去する消去ヘッドと、プラテンローラとを備えるカードリーダにおいて、前記印字ヘッドと前記消去ヘッドは、一つの回動可能な可動部材の回動中心から同一半径上にある位置で固定し、前記カード搬送部から退避させ、前記プラテンローラを前記印字ヘッドと前記消去ヘッドの中間の対向する側の位置に1個以上設置させたことを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
前記カードの搬送に合わせて、前記一つの回動可能な可動部材が、印字の状態と消去の状態に互いに正・逆の回転をし、前記印字ヘッド又は前記消去ヘッドは、前記カードの主面に対して略垂直な方向に位置する時に、前記プラテンローラの裏側の受けで前記カードを圧接させたことを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−66234(P2007−66234A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254640(P2005−254640)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】