説明

カードリーダ

【課題】カードに固定されるIC端子部とIC接点とを比較的容易にかつ確実に接触させることが可能なカードリーダを提供する。
【解決手段】カードリーダ1は、カードに固定されるIC端子部とIC接点8とが当接可能となる閉位置とIC接点8が露出する開位置との間で本体フレーム4に対して回動可能な開閉部6を備えている。開閉部6は、IC接点8を有するIC接点モジュール9と、IC接点モジュール9が着脱可能に取り付けられる回動部材13と、IC接点8がIC端子部に近づく方向およびIC端子部から遠ざかる方向へ回動部材13を回動させる駆動機構14とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードの表面に固定されるIC端子部にIC接点を当接させてデータの記録および/または再生を行うカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードの表面に固定されるIC端子部にIC接点を当接させてデータの記録や再生を行う接触式のICカードリーダが広く利用されている。接触式のICカードリーダの場合、適切なデータの記録や再生を行うために、IC接点とIC端子部とを確実に接触させる必要があり、IC接点に付着する塵埃等の汚れを除去するための清掃を定期的に行う必要がある。そこで、搬送されるカードを案内するガイド手段にIC接点を清掃するためのクリーニング手段が取り付けられたカードリーダが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のカードリーダでは、カード搬送路からIC接点が離れた位置と、カードのIC端子部にIC接点が当接可能な位置との間に、クリーニング手段が配置されている。また、クリーニング手段には、IC接点が通過可能な透孔が形成されており、この透孔をIC接点が通過する際に、IC接点が清掃される。なお、IC端子部は、カードの内部に埋設されているICチップとワイヤボンディング等によって接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−216246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のカードリーダでは、IC接点がクリーニング手段を通過するたびに、IC接点の清掃が行われるため、比較的簡易な構成で、IC接点に付着する汚れを効果的に除去することが可能である。一方で、このカードリーダの場合、クリーニング手段で除去できないような汚れがIC接点に付着した場合に、IC端子部とIC接点とを確実に接触させることが困難な状況が生じるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、カードに固定されるIC端子部とIC接点とを比較的容易にかつ確実に接触させることが可能なカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、カードの表面に固定されるIC端子部にIC接点を当接させてデータの記録および/または再生を行うカードリーダにおいて、本体フレームと、IC接点がIC端子部に当接可能となる閉位置とIC接点が露出する開位置との間で本体フレームに対して回動可能な開閉部とを備え、開閉部は、IC接点を有するIC接点モジュールと、IC接点モジュールが着脱可能に取り付けられる回動部材と、回動部材に連結されIC接点がIC端子部に近づく方向およびIC端子部から遠ざかる方向へ回動部材を回動させる駆動機構とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明のカードリーダでは、開閉部は、IC接点がIC端子部に当接可能となる閉位置とIC接点が露出する開位置との間で本体フレームに対して回動可能となっている。また、本発明のカードリーダでは、IC接点を有するIC接点モジュールは、駆動機構に連結される回動部材に着脱可能に取り付けられている。そのため、除去が困難な汚れがIC接点に付着した場合には、開閉部を開位置に移動させ、回動部材に対してIC接点モジュールの脱着を行えば、駆動機構を取り外すことなく、IC接点モジュールを交換することが可能になる。すなわち、本発明では、除去が困難な汚れがIC接点に付着しても、比較的容易に、IC接点モジュールを交換することが可能になる。また、IC接点モジュールを交換して、汚れの付着していないIC接点を開閉部に取り付けることで、IC端子部とIC接点とを確実に接触させることが可能になる。このように、本発明では、IC端子部とIC接点とを比較的容易にかつ確実に接触させることが可能になる。
【0009】
本発明において、たとえば、開閉部の回動中心線と、回動部材の回動中心線とは、互いに略平行であり、かつ、カードの幅方向に略平行である。
【0010】
本発明において、カードリーダは、開閉部が閉位置にあるときに、カードの幅方向でIC接点モジュールを位置決めする位置決め機構を備え、開閉部が開位置にあるときに、カードの幅方向において、回動部材が移動可能となっていることが好ましい。このように構成すると、IC接点モジュールを交換する際に、カードの幅方向において、回動部材へのIC接点モジュールの取付位置の調整を不要とすることが可能になる。したがって、IC接点モジュールを容易に交換することが可能になり、その結果、カードリーダのメンテナンス性を高めることが可能になる。
【0011】
本発明において、カードリーダは、カードが搬送されるカード搬送路を構成する搬送ガイドを備え、位置決め機構は、閉位置にある開閉部に向かって立ち上るように搬送ガイドに形成されるガイド突起を備え、ガイド突起は、開閉部が開位置から閉位置へ移動する際にカードの幅方向におけるIC接点モジュールの両側面を案内することが好ましい。このように構成すると、比較的簡易な構成で、カードの幅方向において、IC接点モジュールを位置決めすることが可能になる。
【0012】
本発明において、カードリーダは、開閉部の開閉状態を検出するための開閉センサを備え、開閉センサによって、開閉部が閉位置から開位置に向かって回動し始めたことが検出されると、IC接点への通電が停止されることが好ましい。また、本発明において、カードリーダは、開閉部の開閉状態を検出するための開閉センサと、開閉部が開位置にあるときに露出する回路基板とを備え、開閉センサによって、開閉部が閉位置から開位置に向かって回動し始めたことが検出されると、回路基板への通電が停止されることが好ましい。このように構成すると、開閉部が開位置にあるときにIC接点や回路基板が露出していても、IC接点モジュールの交換作業時に、IC接点や回路基板の短絡を防止して、IC接点や回路基板を保護することが可能になる。また、IC接点モジュールの交換作業時のオペレータの感電を防止することが可能になる。
【0013】
本発明において、回動部材の回動中心線は、カードの幅方向に略平行であり、IC接点モジュールは、カードの幅方向に引き出されるフレキシブルプリント基板を備え、開閉部は、フレキシブルプリント基板が接続される接続基板を備え、フレキシブルプリント基板は、弛みを有するように少なくとも1回折り返された状態で接続基板に接続されていることが好ましい。このように構成すると、フレキシブルプリント基板の引き回しが比較的容易になる。また、このように構成すると、回動部材が回動する際にフレキシブルプリント基板に生じる応力がフレキシブルプリント基板の特定箇所に集中しにくくなる。したがって、疲労によるフレキシブルプリント基板の損傷を防止することが可能になる。
【0014】
本発明において、開閉部は、カードの表面の画像を読み取るイメージセンサを備え、開閉部が開位置にあるときに、イメージセンサが露出することが好ましい。イメージセンサに塵埃等の汚れが付着すると、イメージセンサの機能に障害が生じるおそれがあるため、イメージセンサを定期的に清掃する必要がある。したがって、このように構成すると、開閉部を開位置に回動させることで、IC接点モジュールの交換が可能になるのに加え、イメージセンサを清掃することが可能になる。したがって、カードリーダのメンテナンス性を向上させることが可能になる。また、共通の開閉部にIC接点モジュールおよびイメージセンサが取り付けられているため、IC接点を露出させるための開閉部と、イメージセンサを露出させるための開閉部とが個別に設けられている場合と比較して、カードリーダの部品点数を削減して、カードリーダを小型化することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明のカードリーダでは、カードに固定されるIC端子部とIC接点とを比較的容易にかつ確実に接触させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダの斜視図である。
【図2】図1に示す開閉部が開位置にあるときのカードリーダの後端側の拡大斜視図である。
【図3】図2に示す状態からIC接点モジュール等を取り外した状態を示す拡大斜視図である。
【図4】図2のE部の拡大図である。
【図5】図1に示す開閉部を後端側から示す斜視図である。
【図6】図5に示す開閉部からイメージセンサ等を取り外した状態の斜視図である。
【図7】図1に示す開閉部が閉位置にあるときのIC接点モジュールとガイド突起との配置関係を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(カードリーダの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。図2は、図1に示す開閉部6が開位置にあるときのカードリーダ1の後端側の拡大斜視図である。
【0019】
本形態のカードリーダ1は、カード2の表面に固定されるIC端子部2aに接続されるICチップに記録されたデータの再生および/またはICチップへのデータの記録を行うための接触式のICカードリーダである。このカードリーダ1は、カード2の表面に印刷等された文字や記号、図形(以下、画像とする。)の読取機能も備えている。また、カードリーダ1は、カード2の搬送機構を備えるカード搬送式のカードリーダであり、カードリーダ1の内部には、カード2が搬送されるカード搬送路3が形成されている。
【0020】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。このカード2の表面には、上述のように、IC端子部2aが固定されている。なお、カード2には、磁気情報が記録される磁気ストライプが形成されても良いし、通信用のアンテナが内蔵されても良い。また、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0021】
本形態では、図1等のX方向にカード2が搬送される。すなわち、X方向は、カード2の搬送方向である。また、X方向に直交するZ方向は、カードリーダ1内に取り込まれたときのカード2の厚さ方向であり、X方向とZ方向とに直交するY方向は、カードリーダ1内に取り込まれたときのカード2の幅方向である。なお、以下の説明では、図1等のX1方向側を「前」側、X2方向側を「後(後ろ)」側、Y1方向側を「右」側、Y2方向側を「左」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0022】
カードリーダ1は、本体フレーム4と、カード搬送路3を構成する搬送ガイド5と、本体フレーム4に対して回動可能な開閉部6とを備えている。本体フレーム4の後ろ上端側には、開閉部6の回動中心となる支持軸7が取り付けられている。支持軸7は、左右方向をその軸方向として配置されている。搬送ガイド5は、本体フレーム4に固定されている。開閉部6は、IC端子部2aに当接させてデータの記録や再生を行うためのIC接点8を有するIC接点モジュール9と、カード2の画像を読み取るイメージセンサ10とを備えている。
【0023】
開閉部6は、支持軸7を中心に本体フレーム4に対して回動可能となっている。すなわち、開閉部6の回動中心線L1は、左右方向と略平行になっている。本形態では、開閉部6は、開閉部6によって搬送ガイド5の後端側の上面が覆われる閉位置(図1に示す位置)と、開閉部6が上側に開いて搬送ガイド5の後端側の上面が露出する開位置(図2に示す位置)との間で本体フレーム4に対して回動可能となっている。
【0024】
IC接点モジュール9およびイメージセンサ10の画像読取部10aは、閉位置にあるときの開閉部6の下面側に取り付けられており、開閉部6が閉位置にあるときには、カード搬送路3に臨むように配置される。すなわち、開閉部6が閉位置にあるときに、IC接点8は、カード搬送路3に配置されるカード2のIC端子部2aに当接可能となり、イメージセンサ10は、カード搬送路3に配置されるカード2の画像の読取が可能になる。また、開閉部6が開位置まで回動すると、図2に示すように、IC接点モジュール9および画像読取部10aは外部に露出する。
【0025】
(開閉部およびその周辺部の構成)
図3は、図2に示す状態からIC接点モジュール9等を取り外した状態を示す拡大斜視図である。図4は、図2のE部の拡大図である。図5は、図1に示す開閉部6を後端側から示す斜視図である。図6は、図5に示す開閉部6からイメージセンサ10等を取り外した状態の斜視図である。図7は、図1に示す開閉部6が閉位置にあるときのIC接点モジュール9とガイド突起5a、5bとの配置関係を示す斜視図である。
【0026】
開閉部6は、上述のIC接点モジュール9およびイメージセンサ10に加え、閉位置にある開閉部6を本体フレーム4にロックするためのロック機構12と、IC接点モジュール9が着脱可能に取り付けられる回動部材13と、回動部材13を回動させる駆動機構としてのソレノイド14とを備えている。本形態では、イメージセンサ10の筺体が支持軸7に支持されており、イメージセンサ10の筺体には、図5に示すように、支持軸7が挿通される挿通孔10bが形成されている。
【0027】
ロック機構12は、前後方向における本体フレーム4の略中間位置に固定される固定軸15(図2参照)に係合する2枚の係合板16を備えている。2枚の係合板16は、イメージセンサ10の筺体に回動可能に取り付けられる回動軸17の両端側に固定されている。回動軸17は、左右方向をその軸方向として、イメージセンサ10の筺体に取り付けられている。この回動軸17は、ネジリコイルバネ等の付勢部材(図示省略)によって、係合板16と固定軸15とを係合させる方向に付勢されている。固定軸15と係合板16とが係合すると、閉位置にある開閉部6が本体フレーム4にロックされる。また、イメージセンサ10の筺体に取り付けられる係合解除レバー18が押されると、固定軸15と係合板16との係合状態が解除されて、開閉部6のロック状態が解除される。
【0028】
前後方向における本体フレーム4の略中間位置には、図2に示すように、開閉部6の開閉状態を検出するための開閉センサ19が取り付けられている。開閉センサ19は、発光素子と受光素子とを有する光学式のセンサである。開閉部6が閉位置にあるときには、回動軸17の左端側に固定される係合板16が開閉センサ19の発光素子と受光素子との間を遮っている。固定軸15と係合板16との係合状態が解除されると、開閉センサ19の発光素子と受光素子との間から係合板16が抜け、発光素子からの光を受光素子が受光する。発光素子からの光を受光素子が受光すると、開閉部6が閉位置から開位置に向かって回動し始めたことが検出される。
【0029】
回動部材13は、たとえば、ステンレス鋼板等の金属板によって形成されている。この回動部材13は、支持軸21に回動可能に支持されている。支持軸21は、左右方向をその軸方向として、イメージセンサ10の筺体の軸取付部10cに取り付けられている。すなわち、回動部材13の回動中心線L2は、左右方向と略平行になっている。軸取付部10cは、イメージセンサ10の筺体の後端側に形成されている。また、軸取付部10cは、図4、図5に示すように、左右方向に所定の間隔をあけた状態でイメージセンサ10の筺体に形成されており、支持軸21の両端側が軸取付部10cに取り付けられている。
【0030】
回動部材13には、支持軸21が挿通される2個の軸挿通部13aと、IC接点モジュール9が固定されるモジュール固定部13bとが形成されている。
【0031】
2個の軸挿通部13aは、左右方向に所定の間隔をあけた状態で形成されており、2個の軸取付部10cの間に配置されている。左右方向において、軸挿通部13aと軸取付部10cとの間には、比較的大きな隙間が形成されており、開閉部6が開位置にあるときには、回動部材13は、軸取付部10cに対して左右方向へ相対移動可能となっている。
【0032】
モジュール固定部13bは、左右方向において、2個の軸挿通部13aの間に形成されている。また、モジュール固定部13bは、開閉部6が閉位置にあるときに、軸挿通部13aよりも前側に配置されている。モジュール固定部13bには、IC接点モジュール9を固定するためのメネジ13cと、IC接点モジュール9を位置決めするための位置決め孔13dおよび位置決め溝13eとが形成されている(図3参照)。メネジ13cは、左右方向におけるモジュール固定部13bの略中心位置に形成されている。位置決め孔13dは、丸孔状に形成されており、メネジ13cの右側に配置されている。位置決め溝13eは、その左端が開口するU形状に形成されており、メネジ13cの左側に配置されている。
【0033】
ソレノイド14は、イメージセンサ10の筺体の右側面に固定されている。ソレノイド14のプランジャには、連結板22が回動可能に取り付けられている。連結板22には、回動部材13が連結されている。すなわち、ソレノイド14には、連結板22を介して回動部材13が連結されており、ソレノイド14によって、IC接点8がIC端子部2aに近づく方向およびIC端子部2aから遠ざかる方向へ回動部材13が回動する。
【0034】
IC接点モジュール9は、IC接点モジュール9の右方向へ引き出されるフレキシブルプリント基板(FPC)23を備えている。FPC23は、ソレノイド14の保持枠24に固定される接続基板としての中継基板25に接続されている。具体的には、中継基板25に実装されるコネクタ26に接続されている。中継基板25は、所定のケーブルを介して、カードリーダ1の右側面の内側に配置される回路基板29(図3参照)に接続されている。
【0035】
FPC23は、弛みを有するように1回折り返された状態でコネクタ26に接続されている。すなわち、IC接点モジュール9の右方向へ引き出されたFPC23の先端側は、左方向へ180°折り曲げられた後にコネクタ26に接続されている。また、FPC23とコネクタ26との接続部は、カバー部材27によって覆われている。カバー部材27は、保持枠24に対して着脱可能となっている。なお、FPC23とコネクタ26との接続部は、カバー部材27によって覆われていなくても良い。また、カバー部材27は、保持枠24から取り外すことができないように、保持枠24に固定されていても良い。
【0036】
IC接点モジュール9には、ネジ28が挿通される挿通孔(図示省略)が形成されており、ネジ28によって、回動部材13のモジュール固定部13bに固定されている。また、IC接点モジュール9には、モジュール固定部13bの位置決め孔13dおよび位置決め溝13eに係合する2個の位置決め突起9a(図7参照)が形成されている。
【0037】
IC接点モジュール9は、開閉部6を開位置に移動させ、コネクタ26からFPC23を取り外し、かつ、ネジ28を取り外すことで、比較的容易に、開閉部6から取り外すことができる。また、ネジ28によってIC接点モジュール9をモジュール固定部13bに固定し、かつ、コネクタ26にFPC23を差し込むことで、比較的容易に、IC接点モジュール9を開閉部6に取り付けることができる。すなわち、本形態では、開閉部6を開位置に移動させれば、比較的容易に、IC接点モジュール9を交換することができる。
【0038】
搬送ガイド5の上面には、上側に向かって立ち上る2個のガイド突起5a、5bが形成されている。すなわち、搬送ガイド5の上面には、閉位置にある開閉部6に向かって立ち上るように、ガイド突起5a、5bが形成されている。また、搬送ガイド5の上面側には、回路基板30、31等が固定されている。
【0039】
ガイド突起5a、5bは、左右方向において所定の間隔をあけた状態で形成されている。開閉部6が閉位置にあるときに、ガイド突起5aは、IC接点モジュール9の左側に配置され、ガイド突起5bは、IC接点モジュール9の右側に配置されている。また、開閉部6が開位置から閉位置に移動する際に、ガイド突起5aは、IC接点モジュール9の左側面を案内する機能を果たし、ガイド突起5bは、IC接点モジュール9の右側面を案内する機能を果たしている。具体的には、IC接点モジュール9には、左方向に突出する板状の被ガイド部9bと、右方向に突出する板状の被ガイド部9cとが形成されており、開閉部6が開位置から閉位置に移動する際に、ガイド突起5aは、被ガイド部9bの左端面を案内する機能を果たし、ガイド突起5bは、被ガイド部9cの右端面を案内する機能を果たしている。
【0040】
本形態では、ガイド突起5a、5bと、被ガイド部9b、9cとによって、開閉部6が閉位置にあるときに、左右方向でIC接点モジュール9を位置決めする位置決め機構が構成されている。なお、開閉部6が閉位置にあるときであっても、ガイド突起5a、5bと被ガイド部9b、9cとの間には、わずかな隙間が形成されている。
【0041】
ガイド突起5aの高さは、ガイド突起5bの高さよりも高くなっている。また、前後方向におけるガイド突起5aの幅は、前後方向におけるガイド突起5bの幅よりも広くなっている。さらに、ガイド突起5aの前端は、ガイド突起5bの前端よりも前側に配置されている。そのため、開閉部6が開位置から閉位置に移動する際には、まず、被ガイド部9bの左端面のみがガイド突起5aによって案内され、その後、被ガイド部9bの左端面がガイド突起5aによって案内されるとともに、被ガイド部9cの左端面がガイド突起5bによって案内される。
【0042】
なお、左右方向におけるガイド突起5a、5bの内側面および/または左右方向における被ガイド部9b、9cの外側の端面は、上方向に向かうにしたがって、左右方向の外側に向かって傾斜する傾斜面(テーパ面)となっている。
【0043】
図2、図3に示すように、開閉部6が開位置まで回動すると、回路基板29〜31が露出する。また、開閉部6が開位置まで回動すると、IC接点8が外部に露出する。本形態では、露出しているIC接点8や回路基板29〜31の短絡を防止して、IC接点8や回路基板29〜31を保護するため、また、オペレータの感電を防止するため、開閉センサ19によって、開閉部6が閉位置から開位置に向かって回動し始めたことが検出されると、IC接点8および/または回路基板29〜31への通電が停止される。
【0044】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、開閉部6が開位置まで回動すると、開閉部6に取り付けられたIC接点モジュール9が外部に露出する。また、本形態では、IC接点モジュール9は、ネジ28によって回動部材13に着脱可能に取り付けられている。そのため、除去が困難な汚れがIC接点8に付着した場合には、開閉部6を開位置に移動させれば、上述のように、比較的容易に、IC接点モジュール9を交換することができる。また、IC接点モジュール9を交換して、汚れの付着していないIC接点8を開閉部6に取り付けることで、IC端子部2aとIC接点8とを確実に接触させることが可能になる。このように、本形態では、IC端子部2aとIC接点8とを比較的容易にかつ確実に接触させることが可能になる。
【0045】
また、本形態では、IC接点モジュール9に何らかの障害が発生した場合には、開閉部6を開位置に移動させれば、比較的容易に、IC接点モジュール9を交換することができるため、カードリーダ1のメンテナンス性を高めることができる。
【0046】
特に本形態では、左右方向において、軸挿通部13aと軸取付部10cとの間に所定の隙間が形成されており、開閉部6が開位置にあるときに、回動部材13は、軸取付部10cに対して相対左右方向へ移動可能となっている。また、本形態では、開閉部6が閉位置にあるときには、ガイド突起5a、5bと被ガイド部9b、9cとによって、左右方向でIC接点モジュール9が位置決めされている。そのため、IC接点モジュール9を交換する際に、左右方向において、回動部材13へのIC接点モジュール9の取付位置を調整しなくても、開閉部6を閉位置に移動させれば、左右方向でIC接点モジュール9が位置決めされる。したがって、本形態では、IC接点モジュール9を容易に交換することができ、カードリーダ1のメンテナンス性をより高めることができる。
【0047】
また、本形態では、開閉部6が開位置まで回動すると、イメージセンサ10の画像読取部10aが外部に露出する。そのため、開閉部6を開位置に回動させることで、IC接点モジュール9の交換が可能になるのに加え、イメージセンサ10の画像読取部10aを清掃することが可能になる。したがって、本形態では、カードリーダ1のメンテナンス性をより向上させることができる。また、共通の開閉部6にIC接点モジュール9およびイメージセンサ10が取り付けられているため、IC接点8を露出させるための開閉部と、イメージセンサ10の画像読取部10aを露出させるための開閉部とが個別に設けられている場合と比較して、カードリーダ1の部品点数を削減して、カードリーダ1を小型化することが可能になる。
【0048】
本形態では、ガイド突起5a、5bと被ガイド部9b、9cとによって、左右方向でIC接点モジュール9が位置決めされている。そのため、比較的簡易な構成で、左右方向において、IC接点モジュール9を位置決めすることができる。
【0049】
本形態では、開閉センサ19によって、開閉部6が閉位置から開位置に向かって回動し始めたことが検出されると、IC接点8および/または回路基板29〜31への通電が停止される。そのため、開閉部6が開位置にあるときにIC接点8や回路基板29〜31が露出していても、上述のように、IC接点モジュール9の交換作業時に、IC接点8や回路基板29〜31の短絡を防止して、IC接点8や回路基板29〜31を保護することが可能になる。また、IC接点モジュール9の交換作業時のオペレータの感電を防止することが可能になる。
【0050】
本形態では、FPC23は、IC接点モジュール9から、回動部材13の回動中心線L2と略平行な右方向に引き出されている。そのため、FPC23の引き回しが比較的容易になる。また、本形態では、FPC23は、弛みを有するように1回折り返された状態でコネクタ26に接続されている。そのため、回動部材13が回動する際にFPC23に生じる応力がFPC23の特定箇所に集中しにくくなる。したがって、本形態では、疲労によるFPC23の損傷を防止することが可能になる。
【0051】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0052】
上述した形態では、左右方向において、軸挿通部13aと軸取付部10cの間に比較的大きな隙間が形成されており、開閉部6が開位置にあるときに、回動部材13は、軸取付部10cに対して左右方向へ相対移動可能となっている。この他にもたとえば、開閉部6が開位置にあるときに、回動部材13が軸取付部10cに対して左右方向へ相対移動しないように、左右方向における軸挿通部13aと軸取付部10cとの間の隙間が設定されても良い。この場合には、たとえば、開閉部6が開位置にあるときに、開閉部6が本体フレーム4に対して左右方向へ相対移動可能となるように、左右方向における本体フレーム4や開閉部6の幅が設定され、かつ、開閉部6が閉位置にあるときに、左右方向で開閉部6を位置決めする位置決め機構がカードリーダ1に設けられる。
【0053】
この場合であっても、IC接点モジュール9を交換する際に、左右方向において、回動部材13へのIC接点モジュール9の取付位置を調整しなくても、開閉部6を閉位置に移動させれば、左右方向でIC接点モジュール9が位置決めされる。したがって、この場合であっても、カードリーダ1のメンテナンス性を高めることができる。
【0054】
上述した形態では、回動部材13は、支持軸21に回動可能に支持されている。この他にもたとえば、回動部材13とともに回動する回動軸が回動部材13に固定され、この回動軸が軸取付部10cに回動可能に支持されても良い。
【0055】
上述した形態では、回動部材13は、ソレノイド14に連結されているが、回動部材13は、モータ等の他の駆動機構に連結されても良い。また、上述した形態では、IC接点モジュール9は、FPC23を備えているが、IC接点モジュール9は、FPC23に代えて、たとえば、コネクタ付きのリード線等を備えていても良い。また、上述した形態では、FPC23は、1回折り返された状態でコネクタ26に接続されているが、FPC23は、2回以上折り返された状態でコネクタ26に接続されても良い。また、上述した形態では、カードリーダ1は、カード搬送式のカードリーダであるが、本発明の構成が適用されるカードリーダは、カード2の搬送機構を備えていない手動式のカードリーダであっても良い。
【0056】
なお、開閉部6が開位置にあるときに、左右方向への移動が可能となるように、開閉部6に磁気ヘッドが取り付けられ、かつ、開閉部6が閉位置にあるときに、左右方向で磁気ヘッドを位置決めする位置決め機構がカードリーダ1に設けられても良い。同様に、開閉部6が開位置にあるときに、左右方向への移動が可能となるように、開閉部6に印字ヘッドが取り付けられ、かつ、開閉部6が閉位置にあるときに、左右方向で印字ヘッドを位置決めする位置決め機構がカードリーダ1に設けられても良い。
【符号の説明】
【0057】
1 カードリーダ
2 カード
2a IC端子部
3 カード搬送路
4 本体フレーム
5 搬送ガイド
5a、5b ガイド突起(位置決め機構の一部)
6 開閉部
8 IC接点
9 IC接点モジュール
9b、9c 被ガイド部(位置決め機構の一部)
10 イメージセンサ
13 回動部材
14 ソレノイド(駆動機構)
19 開閉センサ
23 FPC(フレキシブルプリント基板)
25 中継基板(接続基板)
29〜31 回路基板
L1 開閉部の回動中心線
L2 回動部材の回動中心線
Y カードの幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードの表面に固定されるIC端子部にIC接点を当接させてデータの記録および/または再生を行うカードリーダにおいて、
本体フレームと、前記IC接点が前記IC端子部に当接可能となる閉位置と前記IC接点が露出する開位置との間で前記本体フレームに対して回動可能な開閉部とを備え、
前記開閉部は、前記IC接点を有するIC接点モジュールと、前記IC接点モジュールが着脱可能に取り付けられる回動部材と、前記回動部材に連結され前記IC接点が前記IC端子部に近づく方向および前記IC端子部から遠ざかる方向へ前記回動部材を回動させる駆動機構とを備えることを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
前記開閉部の回動中心線と、前記回動部材の回動中心線とは、互いに略平行であり、かつ、前記カードの幅方向に略平行であることを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。
【請求項3】
前記開閉部が前記閉位置にあるときに、前記カードの幅方向で前記IC接点モジュールを位置決めする位置決め機構を備え、
前記開閉部が前記開位置にあるときに、前記カードの幅方向において、前記回動部材が移動可能となっていることを特徴とする請求項2記載のカードリーダ。
【請求項4】
前記カードが搬送されるカード搬送路を構成する搬送ガイドを備え、
前記位置決め機構は、前記閉位置にある前記開閉部に向かって立ち上るように前記搬送ガイドに形成されるガイド突起を備え、
前記ガイド突起は、前記開閉部が前記開位置から前記閉位置へ移動する際に前記カードの幅方向における前記IC接点モジュールの両側面を案内することを特徴とする請求項3記載のカードリーダ。
【請求項5】
前記開閉部の開閉状態を検出するための開閉センサを備え、
前記開閉センサによって、前記開閉部が前記閉位置から前記開位置に向かって回動し始めたことが検出されると、前記IC接点への通電が停止されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項6】
前記開閉部の開閉状態を検出するための開閉センサと、前記開閉部が前記開位置にあるときに露出する回路基板とを備え、
前記開閉センサによって、前記開閉部が前記閉位置から前記開位置に向かって回動し始めたことが検出されると、前記回路基板への通電が停止されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項7】
前記回動部材の回動中心線は、前記カードの幅方向に略平行であり、
前記IC接点モジュールは、前記カードの幅方向に引き出されるフレキシブルプリント基板を備え、
前記開閉部は、前記フレキシブルプリント基板が接続される接続基板を備え、
前記フレキシブルプリント基板は、弛みを有するように少なくとも1回折り返された状態で前記接続基板に接続されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項8】
前記開閉部は、前記カードの表面の画像を読み取るイメージセンサを備え、
前記開閉部が前記開位置にあるときに、前記イメージセンサが露出することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のカードリーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−248652(P2011−248652A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121507(P2010−121507)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】