説明

カードリーダ

【課題】複数の磁気ヘッドが搭載されている場合であっても、スキミングを防止しつつ、コストを低減することが可能なカードリーダを提供する。
【解決手段】カードリーダに搭載される磁気ヘッド4と磁気ヘッド5とは、フレキシブルケーブル6で接続されている。磁気ヘッド4は、暗号化信号を出力する暗号化ヘッドであり、磁気ヘッド5は、非暗号化信号を出力する非暗号化ヘッドである。フレキシブルケーブル6は、磁気ヘッド5からの非暗号化信号を伝えるためのデータ信号層と、データ信号層の表面(おもて面)および裏面を覆う断線検知信号層とを有する多層構造に形成されている。フレキシブルケーブル6の一端側には、磁気ヘッド5の信号端子20を覆うように固定される端子覆部6bが形成され、フレキシブルケーブル6の他端側は、基板13に接続されており、磁気ヘッド5からの非暗号化信号は、磁気ヘッド4で暗号化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードに記録された磁気データを読み取るための複数の磁気ヘッドを備えるカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードに記録された磁気データを読み取るカードリーダが広く利用されている。この種のカードリーダでは、たとえば、カードが通過するカード通過路に配置された磁気ヘッドによって、カードに記録された磁気データが読み取られている。また、カードリーダが利用される業界においては、従来、犯罪者が磁気ヘッド等に信号線を取り付けて、カードに記録された磁気情報を不正に取得するいわゆるスキミングが大きな問題となっている。
【0003】
そこで、従来、このスキミングを防止することが可能な磁気ヘッドが本願発明者によって提案されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の磁気ヘッドでは、磁気ヘッドのヘッドケースの内部において、磁気ヘッドの端子とフレキシブルケーブルの一端とが接続されている。また、フレキシブルケーブルの他端は、ヘッドケースの内部において、基板の一方の面に接続されている。基板の一方の面には、磁気ヘッドの端子からの出力信号を復調する復調ICが実装され、基板の他方の面には、復調ICからの復調信号を暗号化するCPUが実装されている。基板は、復調ICがケース体の内部に配置され、CPUがケース体の外部に配置されるように、ヘッドケースに固定されている。CPUは、BGA(Ball Grid Array)型の電子部品であり、CPUの電極は、CPUの基板への実装面内に配置されている。
【0004】
特許文献1に記載の磁気ヘッドは、以上のように構成されているため、磁気ヘッドの端子、フレキシブルケーブル、復調ICの電極およびCPUの電極等へスキミング用の信号線が取り付けられるのを防止することが可能になる。したがって、特許文献1に記載の磁気ヘッドでは、暗号化前の信号がスキミング用の信号線で取り出されるのを防止することが可能になり、その結果、スキミングを防止することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−40140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カードリーダの中には、複数の磁気ヘッドが搭載されるものがある。ここで、複数の磁気ヘッドが搭載されるカードリーダであっても、搭載される全ての磁気ヘッドを特許文献1に記載の磁気ヘッドにすれば、スキミングを防止することが可能になる。しかしながら、特許文献1に記載の磁気ヘッドは、CPU等の高価な部品を有しているため、カードリーダに搭載される全ての磁気ヘッドを特許文献1に記載の磁気ヘッドにすると、カードリーダのコストが上昇する。
【0007】
そこで、本発明の課題は、複数の磁気ヘッドが搭載されている場合であっても、スキミングを防止しつつ、コストを低減することが可能なカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、カードに記録された磁気データを読み取るための第1の磁気ヘッドおよび第2の磁気ヘッドと、第1の磁気ヘッドと第2の磁気ヘッドとを電気的に接続するフレキシブルケーブルとを備え、第1の磁気ヘッドは、第1のコアと、第1のコアに巻回される第1のコイルと、第1のコイルの端部が接続される第1の信号端子と、第1の信号端子から出力されるアナログ状の出力信号を復調してデジタル状の復調信号を生成する復調用電子部品および復調信号を暗号化して暗号化信号を生成する暗号化用電子部品が実装される基板と、復調用電子部品と第1の信号端子とを電気的に接続するケーブルと、第1のコア、第1のコイル、第1の信号端子およびケーブルが収容されるとともに基板が固定されるケース体とを備え、第2の磁気ヘッドは、第2のコアと、第2のコアに巻回される第2のコイルと、第2のコイルの端部が接続される第2の信号端子とを備え、フレキシブルケーブルは、第2の磁気ヘッドから出力されるデータ信号を伝えるデータ信号パターンが形成されるデータ信号層と、データ信号層の表面(おもて面)および裏面を覆うとともに自身が断線したことを検知するための断線検知信号を伝える断線検知信号パターンが形成される断線検知信号層とを有する多層構造に形成され、フレキシブルケーブルの一端側には、第2の信号端子を覆うように固定される端子覆部が形成され、フレキシブルケーブルの他端側は、基板に接続され、データ信号は、第1の磁気ヘッドで暗号化されることを特徴とする。
【0009】
本発明のカードリーダでは、第1の磁気ヘッドのケース体の内部に、アナログ状の出力信号を出力する第1の信号端子と、復調用電子部品と第1の信号端子とを電気的に接続するケーブルとが収容されている。そのため、本発明では、第1の信号端子やケーブルにスキミング用の信号線が取り付けられるのを防止することが可能になる。また、本発明では、第1の磁気ヘッドは、復調用電子部品および暗号化用電子部品が実装される基板を備えているため、たとえば、復調用電子部品および暗号化用電子部品がケース体の内部に配置されるように基板をケース体に固定することで、あるいは、特許文献1に記載の磁気ヘッドと同様に復調用電子部品や暗号化用電子部品を配置することで、復調用電子部品の電極および暗号化用電子部品の電極等へスキミング用の信号線が取り付けられるのを防止することが可能になる。したがって、第1の磁気ヘッドから暗号化前の出力信号および復調信号がスキミング用の信号線によって取り出されるのを防止することが可能になる。
【0010】
また、本発明では、フレキシブルケーブルの一端側に形成される端子覆部は、第2の磁気ヘッドの第2の信号端子を覆うように固定されている。そのため、端子覆部によって、第2の信号端子へスキミング用の信号線が取り付けられるのを防止することが可能になる。また、本発明では、データ信号パターンが形成されるフレキシブルケーブルのデータ信号層の表面(おもて面)および裏面は、断線検知信号パターンが形成される断線検知信号層によって覆われている。そのため、犯罪者がデータ信号パターンへスキミング用の信号線を取り付けようとしたときに、犯罪行為が行われていることを断線検知信号パターンを用いて検知することが可能になる。したがって、フレキシブルケーブルのデータ信号パターンへスキミング用の信号線が取り付けられるのを防止することが可能になる。その結果、本発明では、第2の磁気ヘッドに暗号化用電子部品が設けられていなくても、第2の磁気ヘッドおよびフレキシブルケーブルから暗号化前のデータ信号がスキミング用の信号線によって取り出されるのを防止することが可能になる。さらに、本発明では、フレキシブルケーブルの他端側が基板に接続されており、第2の磁気ヘッドからのデータ信号は、第1の磁気ヘッドで暗号化されている。そのため、カードリーダが搭載される上位装置と第1の磁気ヘッドとの間で暗号化前のデータ信号がスキミング用の信号線によって取り出されるのを防止することが可能になる。
【0011】
また、本発明では、第2の磁気ヘッドからのデータ信号が第1の磁気ヘッドで暗号化されているため、第1の磁気ヘッドからの暗号化後の磁気データと、第2の磁気ヘッドからの暗号化後の磁気データとを統合する統合回路をカードリーダが備えていなくても、第1の磁気ヘッドからの暗号化後の磁気データと、第2の磁気ヘッドからの暗号化後の磁気データとを共通のインターフェースで上位回路へ伝達することが可能になる。
【0012】
このように、本発明では、第1の磁気ヘッドから暗号化前の出力信号および復調信号がスキミング用の信号線によって取り出されるのを防止することが可能になる。また、第2の磁気ヘッドに暗号化用電子部品が設けられていなくても、第2の磁気ヘッドおよびフレキシブルケーブルから暗号化前のデータ信号がスキミング用の信号線によって取り出されるのを防止することが可能になり、かつ、上位装置と第1の磁気ヘッドとの間で暗号化前のデータ信号がスキミング用の信号線によって取り出されるのを防止することが可能になる。また、本発明では、第1の磁気ヘッドからの暗号化後の磁気データと、第2の磁気ヘッドからの暗号化後の磁気データとを統合する統合回路をカードリーダが備えていなくても、第1の磁気ヘッドからの暗号化後の磁気データと、第2の磁気ヘッドからの暗号化後の磁気データとを共通のインターフェースで上位回路へ伝達することが可能になる。したがって、本発明では、複数の磁気ヘッドが搭載されている場合であっても、スキミングを防止しつつ、カードリーダのコストを低減することが可能になる。
【0013】
本発明において、フレキシブルケーブルの他端側は、ケース体の内部で基板に接続され、基板に覆われていることが好ましい。このように構成すると、フレキシブルケーブルの他端側と基板との接続部分にスキミング用の信号線が取り付けられるのを防止することが可能になる。したがって、第2の磁気ヘッドから出力される暗号化前のデータ信号がスキミング用の信号線によって取り出されるのをより確実に防止することが可能になる。
【0014】
本発明において、フレキシブルケーブルの一端側には、第2の信号端子が挿通されるスルーホールが形成される端子接続部が形成され、端子覆部は、端子接続部を覆うように折り返されて端子接続部に固定され、データ信号は、第2の信号端子から出力されるアナログ状の第2の出力信号であり、復調用電子部品は、第2の出力信号を復調してデジタル状の第2の復調信号を生成し、暗号化用電子部品は、第2の復調信号を暗号化して第2の暗号化信号を生成することが好ましい。このように構成すると、第2の信号端子が外部に露出している標準的な磁気ヘッド(すなわち、磁気ヘッドの汎用品)が第2の磁気ヘッドとして使用されていても、第2の信号端子へスキミング用の信号線が取り付けられるのを防止することが可能になる。また、このように構成すると、共通の復調用電子部品および暗号化電子部品を用いて、第1の磁気ヘッドの出力信号および第2の磁気ヘッドの第2の出力信号を復調して暗号化することが可能になる。したがって、カードリーダの構成を簡素化して、カードリーダのコストをより低減することが可能になる。
【0015】
本発明において、第2の磁気ヘッドは、第2の信号端子から出力されるアナログ状の第2の出力信号を復調してデジタル状の第2の復調信号を生成する第2の復調用電子部品と、第2のコア、第2のコイル、第2の信号端子が収容されるとともにフレキシブルケーブルが固定される第2のケース体とを備え、第2の復調用電子部品は、端子覆部に実装され、端子覆部は、第2の復調用電子部品が第2のケース体の内部に配置されるように第2のケース体に固定され、データ信号は、第2の復調信号であり、暗号化用電子部品は、第2の復調信号を暗号化して第2の暗号化信号を生成しても良い。この場合には、第2の復調信号がフレキシブルケーブルによって伝達されるため、第2の信号端子からの出力信号がフレキシブルケーブルによって伝達される場合と比較して、耐ノイズ性を高めることが可能になる。
【0016】
本発明において、カードリーダは、1個の第1の磁気ヘッドを備えることが好ましい。このように構成すると、第1の磁気ヘッドからの暗号化後の磁気データと、第2の磁気ヘッドからの暗号化後の磁気データとを単一のインターフェースによって上位回路へ伝達することが可能になる。したがって、カードリーダの構成をより簡素化することが可能になる。
【0017】
本発明において、フレキシブルケーブルは、一方向へ細長い長尺状に形成され、端子覆部は、フレキシブルケーブルの長手方向で端子接続部に繋がるように形成されていることが好ましい。このように構成すると、フレキシブルケーブルの幅方向で端子接続部に繋がるように端子覆部が形成されている場合と比較して、フレキシブルケーブルの構成を簡素化することが可能になる。
【0018】
本発明において、フレキシブルケーブルは、フレキシブルケーブルの幅方向で端子接続部に繋がるように形成され、端子覆部を覆うように折り返されて端子覆部に固定される外側覆部を備えることが好ましい。このように構成すると、フレキシブルケーブルの幅方向における端子接続部の端面および端子覆部の端面を外側覆部で覆うことが可能になる。したがって、フレキシブルケーブルの幅方向における端子接続部の端面と端子覆部の端面との間から第2の信号端子等にスキミング用の信号線が取り付けられるのを、外側覆部によって防止することが可能になる。
【0019】
本発明において、フレキシブルケーブルは、外側覆部を覆う第2の外側覆部を備え、外側覆部は、フレキシブルケーブルの幅方向における端子接続部の一端に繋がるように形成され、第2の外側覆部は、フレキシブルケーブルの幅方向における端子接続部の他端に繋がるように形成され、外側覆部を覆うように折り返されて外側覆部に固定されていることが好ましい。このように構成すると、フレキシブルケーブルの幅方向の両側において、端子接続部の端面および端子覆部の端面を外側覆部および第2の外側覆部で覆うことが可能になる。したがって、フレキシブルケーブルの幅方向の両側において、端子接続部の端面と端子覆部の端面との間から第2の信号端子等にスキミング用の信号線が取り付けられるのを、外側覆部および第2の外側覆部によって防止することが可能になる。
【0020】
本発明において、断線検知信号層には、断線検知信号パターンとの間の短絡を検知するための短絡検知信号を伝える短絡検知信号パターンが形成されていることが好ましい。このように構成すると、断線検知信号が機能しないようにするために犯罪者が断線検知信号パターンに所定の細工を行った場合に、短絡検知信号パターンの短絡検知機能によって、犯罪行為が行われていることを検知することが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明のカードリーダでは、複数の磁気ヘッドが搭載されている場合であっても、スキミングを防止しつつ、コストを低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダの斜視図である。
【図2】図1のE−E方向からカードリーダの構成を説明するための概略図である。
【図3】図2に示す磁気ヘッドおよび上位回路の電気的な接続関係を説明するためのブロック図である。
【図4】図2に示す磁気ヘッドの構成を説明するための概略側面図である。
【図5】図4のF−F方向から復調ICとCPUとの配置関係を説明するための平面図である。
【図6】図4に示すフレキシブルケーブルの展開図である。
【図7】図4に示す磁気ヘッドへのフレキシブルケーブルの取付手順を示す斜視図である。
【図8】図6のG−G断面の断面図である。
【図9】図4に示すフレキシブルケーブル内の信号パターンの接続関係を示すブロック図である。
【図10】本発明の他の実施の形態にかかる磁気ヘッドおよび上位回路の電気的な接続関係を説明するためのブロック図である。
【図11】本発明の他の実施の形態にかかる第2の磁気ヘッドの構成を説明するための概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
(カードリーダの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。図2は、図1のE−E方向からカードリーダ1の構成を説明するための概略図である。図3は、図2に示す磁気ヘッド4、磁気ヘッド5および上位回路8の電気的な接続関係を説明するためのブロック図である。
【0025】
本形態のカードリーダ1は、カード2に記録された磁気データの読み取るための装置である。具体的には、長方形状に形成されるカード2の短手幅よりも浅い溝状に形成されたカード通過路3に沿って手動でカード2を移動させながらカード2の磁気データを読み取るいわゆるスワイプ式のカードリーダである。このカードリーダ1は、所定の上位装置に搭載されて使用される。
【0026】
カードリーダ1は、カード2に記録された磁気データを読み取るための磁気ヘッド(第1の磁気ヘッド)4および磁気ヘッド(第2の磁気ヘッド)5と、磁気ヘッド4と磁気ヘッド5とを電気的に接続するフレキシブルケーブル6と、カードリーダ1が搭載される上位装置と磁気ヘッド4とを電気的に接続するフレキシブルケーブル等のケーブル7とを備えている。本形態のカードリーダ1は、1個の磁気ヘッド4と1個の磁気ヘッド5とを備えている。
【0027】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。カード2の裏面2aには、図1に示すように、磁気データが記録される磁気ストライプ2bが形成されている。また、カード2の表面(おもて面)にも、磁気ストライプ(図示省略)が形成されている。なお、カード2は、表面(おもて面)に接点端子が形成される磁気ストライプ付きの接触式ICカードであっても良いし、データ通信用のアンテナが内蔵される磁気ストライプ付きの非接触式ICカードであっても良い。また、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0028】
磁気ヘッド4および磁気ヘッド5は、その磁気ギャップがカード通過路3に臨むように配置されている。また、磁気ヘッド4と磁気ヘッド5とは、その磁気ギャップが互いに対向するように配置されている。本形態では、カード2の裏面2aの磁気ストライプ2bに当接するように磁気ヘッド4が配置され、カード2の表面(おもて面)の磁気ストライプに当接するように磁気ヘッド5が配置されている。フレキシブルケーブル6の一端側は、磁気ヘッド5に接続され、フレキシブルケーブル6の他端側は、磁気ヘッド4に接続されている。ケーブル7の一端側は、磁気ヘッド4に接続され、ケーブル7の他端側は、カードリーダ1が搭載される上位装置に設けられた上位回路8に接続されている。
【0029】
(磁気ヘッドおよびフレキシブルケーブルの構成)
図4は、図2に示す磁気ヘッド4、5の構成を説明するための概略側面図である。図5は、図4のF−F方向から復調IC11とCPU12との配置関係を説明するための平面図である。図6は、図4に示すフレキシブルケーブル6の展開図である。図7は、図4に示す磁気ヘッド5へのフレキシブルケーブル6の取付手順を示す斜視図である。図8は、図6のG−G断面の断面図である。図9は、図4に示すフレキシブルケーブル6内の信号パターンの接続関係を示すブロック図である。なお、以下の説明では、図4のZ1方向側を「上」側、図4のZ2方向側を「下」側とする。
【0030】
磁気ヘッド4は、カード2の磁気ストライプ2bに記録される3トラックの磁気データの読取が可能な3チャンネル型の磁気ヘッドである。この磁気ヘッド4は、磁気データを読み取るための磁気ギャップが形成されるコア(第1のコア)およびこのコアに巻回されるコイル(第1のコイル)によって構成される磁気データ読取部9(図3参照)と、コイルの端部が一端側に接続される信号端子(第1の信号端子)10(図4参照)とを備えている。また、磁気ヘッド4は、復調IC11およびCPU12が実装される基板13と、信号端子10と復調IC11とを電気的に接続するケーブルとしてのフレキシブルケーブル14とを備えている。コア、コイル、信号端子10およびフレキシブルケーブル14は、磁気ヘッド4のケース体15の内部に収容されている。コアは、ケース体15の下端側に固定されている。
【0031】
復調IC11は、信号端子10から出力されるアナログ状の出力信号を復調してデジタル状の復調信号を生成する機能を果たしている。すなわち、本形態の復調IC11は、信号端子10から出力されるアナログ状の出力信号を復調してデジタル状の復調信号を生成する復調用電子部品である。この復調IC11は、扁平な直方体状に形成されている。
【0032】
CPU12は、所定の暗号化関数と鍵データとによって復調信号を暗号化して暗号化信号を生成する機能を果たしている。すなわち、本形態のCPU12は、復調信号を暗号化して暗号化信号を生成する暗号化用電子部品である。このCPU12は、扁平な直方体状に形成されている。本形態では、CPU12の扁平方向(上下方向)から見たときのCPU12の外形は、扁平方向から見たときの復調IC11の外形よりも大きくなっている。
【0033】
CPU12の、基板13への実装面12aには、CPU12を基板13へ電気的に接続するための複数の電極(図示省略)が配置されている。具体的には、CPU12の実装面12aには、略半球状に形成された半田ボール(半田バンプ)が格子状に配列されている。すなわち、本形態のCPU12は、基板13への実装面12aに複数の半田ボールが配置されたBGA型の電子部品である。
【0034】
復調IC11は、基板13の一方の面(下面)13aに実装されている。一方、CPU12は、基板13の他方の面(上面)13bに実装されている。本形態では、図5に示すように、基板13の厚さ方向(上下方向)から見たときに、CPU12の外形の中に復調IC11が入るように、復調IC11およびCPU12が基板13に実装されている。すなわち、上下方向において、復調IC11の全体がCPU12と重なるように、復調IC11およびCPU12が基板13に実装されている。
【0035】
基板13は、図示を省略する絶縁層と導体層とが交互に積層された多層構造に形成されている。本形態では、基板13の、復調IC11とCPU12とを電気的に接続する信号パターン16(図3参照)は、基板13の厚さ方向から見たときに、CPU12の外形の中に入るように、引き回されている。すなわち、本形態では、信号パターン16は、CPU12の下側に形成されている。
【0036】
基板13は、ケース体15の上端を塞ぐようにケース体15の上端に固定されている。具体的には、復調IC11がケース体15の内部に配置されるとともに、CPU12がケース体15の外部に配置されるように、基板13は、ケース体15に固定されている。基板13には、ケーブル7の一端側が接続されている。ケーブル7の一端側は、基板13内の信号パターンを介してCPU12に接続されており、CPU12からの暗号化信号は、ケーブル7を介して上位回路8へ入力される。
【0037】
フレキシブルケーブル14の一端側は、信号端子10の他端側に接続されている。フレキシブルケーブル14の他端側は、基板13の一方の面13aに半田付けされて固定されており、基板13内の信号パターンを介して復調IC11に接続されている。
【0038】
ケース体15の内部には、樹脂が充填されており、信号端子10、復調IC11およびフレキシブルケーブル14は、この樹脂の中に埋まっている。樹脂は、たとえば、不透明なエポキシ系の樹脂であり、基板13をケース体15に固定する機能も果たしている。また、基板13の他方の面13bおよびCPU12の全体は、不透明なエポキシ系の樹脂等の樹脂(図示省略)によって覆われている。すなわち、基板13の他方の面13bおよびCPU12の全体は、樹脂によって封止されている。
【0039】
磁気ヘッド5は、カード2の表面(おもて面)の磁気ストライプに記録される1トラックの磁気データの読取が可能な1チャンネル型の磁気ヘッドである。この磁気ヘッド5は、磁気データを読み取るための磁気ギャップが形成されるコア(第2のコア)と、このコアに巻回されるコイル(第2のコイル)と、このコイルの端部が一端側に接続される信号端子(第2の信号端子)20とを備えている。コアおよびコイルは、ケース体(第2のケース体)21の内部に収容されている。また、コア、コイルおよび信号端子20の一端側は、ケース体21の内部に充填される樹脂で覆われている。上述のように、磁気ヘッド5は、1チャンネル型の磁気ヘッドであり、2本の信号端子20を備えている。信号端子20の他端側は、ケース体21から突出しており、磁気ヘッド5の外部に露出している。
【0040】
フレキシブルケーブル6は、一方向へ細長い長尺状に形成されている。このフレキシブルケーブル6は、図6、図7に示すように、信号端子20が挿通されるスルーホール22が形成される端子接続部6aと、端子接続部6aを覆うように折り返されて端子接続部6aに固定される端子覆部としての折返し部6bと、折返し部6bを覆うように折り返されて折返し部6bに固定される外側覆部としての第1折畳み部6cと、第1折畳み部6cを覆うように折り返されて第1折畳み部6cに固定される第2の外側覆部としての第2折畳み部6dとを備えている。端子接続部6aおよび折返し部6bは、フレキシブルケーブル6の長手方向の一端側に形成され、フレキシブルケーブル6の長手方向の他端側には、基板13に接続される接続端子部23が形成されている。
【0041】
端子接続部6aには、磁気ヘッド5が有する2本の信号端子20に対応するように、2個のスルーホール22が形成されている。折返し部6bは、フレキシブルケーブル6の長手方向で端子接続部6aに繋がるように形成されている。フレキシブルケーブル6の長手方向に直交するフレキシブルケーブル6の幅方向において、折返し部6bの幅は、端子接続部6aの幅と等しくなっている。また、折返し部6bの面積は、端子接続部6aの面積と等しくなっている。
【0042】
第1折畳み部6cおよび第2折畳み部6dは、フレキシブルケーブル6の幅方向で端子接続部6aに繋がるように形成されている。具体的には、フレキシブルケーブル6の幅方向における端子接続部6aの一端に繋がるように第1折畳み部6cが形成され、フレキシブルケーブル6の幅方向における端子接続部6aの他端に繋がるように第2折畳み部6dが形成されている。すなわち、フレキシブルケーブル6は、略T形状に形成されている。第1折畳み部6cには、ランド24が形成され、第2折畳み部6dには、ランド25が形成されている。
【0043】
フレキシブルケーブル6の長手方向において、第1折畳み部6cおよび第2折畳み部6dの幅は、端子接続部6aの幅と等しくなっている。また、第1折畳み部6cの面積は、端子接続部6aの面積と等しくなっている。一方、第2折畳み部6dの面積は、端子接続部6aの面積よりも小さくなっている。たとえば、第2折畳み部6dの面積は、端子接続部6aの面積の1/6程度となっている。
【0044】
端子接続部6aは、図7(A)に示すように、信号端子20が突出する磁気ヘッド5の端子面に固定されている。具体的には、スルーホール22に信号端子20が挿通された状態で、接着によって、端子接続部6aが磁気ヘッド5の端子面に固定されている。また、スルーホール22と信号端子20とは半田付けされている。折返し部6bは、図7(B)に示すように、端子接続部6aおよび信号端子20の端部を上側から覆うように折り返されて、端子接続部6aに固定されている。また、折返し部6bは、接着によって端子接続部6aに固定されている。
【0045】
第1折畳み部6cは、図7(C)に示すように、上側から折返し部6bを覆うように折り返されて、折返し部6bに固定されている。また、第1折畳み部6cは、接着によって折返し部6bに固定されている。第2折畳み部6dは、図7(D)に示すように、上側から第1折畳み部6cの一部を覆うように折り返されて、第1折畳み部6cに固定されている。第2折畳み部6dが折り返されると、第1折畳み部6cのランド24に第2折畳み部6dのランド25が重なる。本形態では、ランド24にランド25が半田付けされることで、第2折畳み部6dが第1折畳み部6cに固定されている。
【0046】
また、フレキシブルケーブル6は、図8に示すように、データ信号層27と、断線検知信号層28と、絶縁層29とを備える多層構造に形成されている。フレキシブルケーブル6では、フレキシブルケーブル6の表面(おもて面)から裏面に向かって、絶縁層29、断線検知信号層28、絶縁層29、データ信号層27、絶縁層29、断線検知信号層28および絶縁層29がこの順番に積層されている。すなわち、データ信号層27の表面(おもて面)および裏面は、絶縁層29を介して断線検知信号層28に覆われている。
【0047】
データ信号層27には、磁気ヘッド5から出力されるデータ信号を伝えるデータ信号パターン31(図9参照)が形成されている。本形態では、2本の信号端子20に対応するように、2本のデータ信号パターン31がデータ信号層27に形成されている。データ信号パターン31の一端は、スルーホール22に電気的に繋がっている。また、図9に示すように、データ信号パターン31の他端は、接続端子部23に形成される磁気ヘッド信号端子32に電気的に繋がっている。すなわち、データ信号パターン31は、信号端子20と磁気ヘッド信号端子32とを電気的に繋いでいる。なお、本形態では、第1折畳み部6cおよび第2折畳み部6dのデータ信号層27には、データ信号パターン31は形成されていない。
【0048】
断線検知信号層28には、断線検知信号パターン33、34(図9参照)が形成されている。断線検知信号パターン33、34は、データ信号パターン31へのスキミング用の信号線の取付を防止するため、断線検知信号パターン33、34自身が断線したことを検知するための断線検知信号を伝えている。本形態では、断線検知信号の入力側の断線検知信号パターン33と、断線検知信号の出力側の断線検知信号パターン34とが断線検知信号層28に形成されている。なお、断線検知信号パターン33、34は、フレキシブルケーブル6の幅方向に複数回折り返されて形成されており、全体として略網状に形成されている。
【0049】
図9に示すように、断線検知信号パターン33の一端は、第2折畳み部6dのランド25に電気的に繋がっており、断線検知信号パターン33の他端は、接続端子部23に形成される断線検知端子35に電気的に繋がっている。断線検知信号パターン34の一端は、第1折畳み部6cのランド24に電気的に繋がっており、断線検知信号パターン34の他端は、接続端子部23に形成される断線検知端子36に電気的に繋がっている。なお、断線検知信号パターン33の一端がランド24に繋がり、断線検知信号パターン34の一端がランド25に繋がっていても良い。
【0050】
上述のように、ランド24とランド25とは半田付けされているため、断線検知端子35と断線検知端子36とは、断線検知信号パターン33、34およびランド24、25を介して電気的に接続されている。本形態では、基板13および断線検知端子35を介して上位回路8から入力される断線検知信号が断線検知端子36および基板13を介して上位回路8へ戻らないと、断線検知信号パターン33、34が断線したことが検知される。このように、本形態では、ランド24、25は、断線検知信号パターン33、34が機能するように、断線検知信号パターン33と断線検知信号パターン34とを繋いでいる。
【0051】
また、断線検知信号層28には、短絡検知信号パターン37(図9参照)が形成されている。短絡検知信号パターン37は、断線検知信号パターン33、34と短絡検知信号パターン37との間の短絡を検知するための短絡検知信号を伝えている。図9に示すように、短絡検知信号パターン37の一端は、接続端子部23に形成される短絡検知端子38に電気的に繋がっており、短絡検知信号パターン37の他端は、接続端子部23に形成される短絡検知端子39に電気的に繋がっている。なお、本形態では、第1折畳み部6cおよび第2折畳み部6dの断線検知信号層28にも、断線検知信号パターン33、34および短絡検知信号パターン37が形成されている。
【0052】
図4に示すように、端子接続部23は、基板13の一方の面(下面)13aに半田付けされて固定されており、ケース体15の内部に配置されている。すなわち、フレキシブルケーブル6の他端側は、ケース体15の上端と基板13の一方の面13aとの間からケース体15の内部に引き込まれて、ケース体15の内部で基板13に接続されており、その上面側は、基板13に覆われている。また、端子接続部23の磁気ヘッド信号端子32は、基板13内の信号パターンを介して復調IC11に接続されている。
【0053】
上述のように、データ信号パターン31は、信号端子20に電気的に接続されており、信号端子20から出力されるアナログ状の出力信号(第2の出力信号)をデータ信号として、磁気ヘッド信号端子32を介して基板13へ伝える。また、上述のように、磁気ヘッド信号端子32は、基板13内の信号パターンを介して復調IC11に接続されているため、基板13へ伝えられたデータ信号は、復調IC11で復調されてデジタル状の復調信号(第2の復調信号)となり、この復調信号は、CPU12で暗号化されて暗号化信号(第2の暗号化信号)となる。すなわち、本形態では、磁気ヘッド5から出力されるデータ信号は、磁気ヘッド4で暗号化されている。
【0054】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、信号端子10、復調IC11およびフレキシブルケーブル14がケース体15の内部に収容されており、ケース体15の上端は、基板13によって塞がれている。そのため、信号端子10、復調IC11の電極およびフレキシブルケーブル14等にスキミング用の信号線が取り付けられるのを防止することが可能になる。また、本形態では、CPU12がBGA型の電子部品であるため、CPU12がケース体15の外部に配置されていても、CPU12と基板13とを電気的に接続するCPU12の電極にスキミング用の信号線が取り付けられるのを防止することが可能になる。さらに、本形態では、基板13の、復調IC11とCPU12とを電気的に接続する信号パターン16が、基板13の厚さ方向から見たときに、CPU12の外形の中に入るように、引き回されているため、CPU12がケース体15の外部に配置されていても、信号パターン16にスキミング用の信号線が取り付けられるのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、磁気ヘッド4から暗号化前の出力信号および復調信号がスキミング用の信号線によって取り出されるのを防止することが可能になる。
【0055】
また、本形態では、信号端子20が挿通されるスルーホール22が形成された端子接続部6aを覆うように、折返し部6bが折り返されて端子接続部6aに固定されており、信号端子20は、折返し部6bによって覆われている。そのため、信号端子20へスキミング用の信号線が取り付けられるのを防止することが可能になる。また、本形態では、データ信号層27の表面(おもて面)および裏面は、断線検知信号層28によって覆われているため、犯罪者がデータ信号パターン31へスキミング用の信号線を取り付けようとしたときに、犯罪行為が行われていることを断線検知信号パターン33、34を用いて検知することが可能になる。したがって、本形態では、データ信号パターン31へスキミング用の信号線が取り付けられるのを防止することが可能になる。さらに、本形態では、フレキシブルケーブル6の他端側は、ケース体15の内部で基板13に接続され、その上面側は、基板13に覆われているため、フレキシブルケーブル6の他端側と基板13との接続部分にスキミング用の信号線が取り付けられるのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、磁気ヘッド5に暗号化用のCPUが設けられていなくても、磁気ヘッド5、フレキシブルケーブル6および基板13から暗号化前のデータ信号がスキミング用の信号線によって取り出されるのを防止することが可能になる。また、本形態では、磁気ヘッド5から出力されるデータ信号は、磁気ヘッド4で暗号化されている。そのため、ケーブル7から暗号化前のデータ信号がスキミング用の信号線によって取り出されるのを防止することが可能になる。
【0056】
このように、本形態では、磁気ヘッド4から暗号化前の出力信号および復調信号がスキミング用の信号線によって取り出されるのを防止することが可能になり、かつ、磁気ヘッド5、フレキシブルケーブル6および基板13から暗号化前のデータ信号がスキミング用の信号線によって取り出されるのを防止することが可能になる。また、ケーブル7から、暗号化されていない磁気データがスキミング用の信号線によって取り出されるのを防止することが可能になる。したがって、本形態のカードリーダ1では、スキミングを防止することが可能になる。
【0057】
本形態では、磁気ヘッド5からのデータ信号が磁気ヘッド4で暗号化されている。そのため、磁気ヘッド5からの暗号化後の磁気データと、磁気ヘッド4からの暗号化後の磁気データとを統合する統合回路をカードリーダ1が備えていなくても、磁気ヘッド4からの暗号化後の磁気データと、磁気ヘッド5からの暗号化後の磁気データとを単一のインターフェースによって上位回路8へ伝達することができる。また、本形態では、磁気ヘッド5から出力されるアナログ状の出力信号が磁気ヘッド4で復調され、暗号化されているため、共通の復調IC11およびCPU12を用いて、磁気ヘッド4の出力信号および磁気ヘッド5の出力信号を復調して暗号化することができる。さらに、本形態では、磁気ヘッド5に暗号化用のCPUが設けられていなくても、磁気ヘッド5から出力される暗号化前のデータ信号がスキミング用の信号線によって取り出されるのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、2個の磁気ヘッド4、5がカードリーダ1に搭載されている場合であっても、スキミングを防止しつつ、カードリーダ1のコストを低減することが可能になる。
【0058】
また、本形態では、信号端子20は、折返し部6bによって覆われているため、ケース体21から信号端子20の他端側が突出していても、スキミングを防止することが可能になる。したがって、ケース体21から信号端子20の他端側が突出している標準的な磁気ヘッド5(すなわち、磁気ヘッド5の汎用品)を使用しても、スキミングを防止することが可能になる。その結果、本形態では、磁気ヘッド5のコストを低減して、カードリーダ1のコストをより低減することが可能になる。また、本形態では、ケース体21から信号端子20の他端側が突出していても、スキミングを防止することが可能になるため、スキミングを防止しつつ、信号端子20へのフレキシブルケーブル6の接続作業が容易になる。
【0059】
本形態では、フレキシブルケーブル6の長手方向で端子接続部6aに繋がる折返し部6bが、フレキシブルケーブル6の幅方向の一端側で端子接続部6aに繋がる第1折畳み部6cによって覆われ、かつ、第1折畳み部6cの一部が、フレキシブルケーブル6の幅方向の他端側で端子接続部6aに繋がる第2折畳み部6dによって覆われている。そのため、フレキシブルケーブル6の幅方向の両側において、端子接続部6aの端面および折返し部6bの端面を第1折畳み部6cおよび第2折畳み部6dで覆うことができる。したがって、本形態では、フレキシブルケーブル6の幅方向の両側において、端子接続部6aの端面と折返し部6bの端面との間から信号端子20にスキミング用の信号線が取り付けられるのを防止することが可能になる。
【0060】
特に本形態では、第2折畳み部6dは、第1折畳み部6cに半田付けされて固定されているため、第1折畳み部6cから第2折畳み部6dを容易に剥がすことができない。したがって、本形態では、フレキシブルケーブル6の幅方向の両側において、端子接続部6aの端面と折返し部6bの端面との間から信号端子20にスキミング用の信号線が取り付けられるのを効果的に防止することが可能になる。
【0061】
本形態では、半田付けされて固定される第1折畳み部6cのランド24と第2折畳み部6dのランド25とによって、断線検知信号パターン33と断線検知信号パターン34とが繋がれている。そのため、第1折畳み部6cから第2折畳み部6dが剥がされると、断線検知信号パターン33、34の断線が検知される。したがって、本形態では、犯罪者による犯罪行為を早期に検知することが可能になる。
【0062】
本形態では、断線検知信号層28に、断線検知信号パターン33、34との間の短絡を検知するための短絡検知信号を伝える短絡検知信号パターン37が形成されている。そのため、断線検知信号が機能しないようにするために、犯罪者が断線検知信号パターン33、34に所定の細工を行った場合に、短絡検知信号パターン37の短絡検知機能によって、犯罪行為が行われていることを検知することが可能になる。すなわち、本形態では、犯罪者による犯罪行為を検知しやすくなる。
【0063】
(他の実施の形態)
上述した形態および変形例は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0064】
上述した形態では、フレキシブルケーブル6のデータ信号パターン31は、信号端子20から出力される出力信号をデータ信号として、基板13へ伝えている。この他にもたとえば、データ信号パターン31は、信号端子20から出力される出力信号を復調した復調信号(第2の復調信号)をデータ信号として、基板13へ伝えても良い。すなわち、磁気ヘッド5は、図10、図11に示すように、信号端子20から出力されるアナログ状の出力信号を復調してデジタル状の復調信号(第2の復調信号)を生成する復調IC51を備えていても良い。信号端子20には、コアおよびコイルによって構成される磁気データ読取部49のコイルの端部が接続されている。
【0065】
この場合には、コア、コイルおよび信号端子20は、ケース体21の内部に収容されている(図11参照)。復調IC51は、フレキシブルケーブル6の一端側に実装されている。図11に示すように、フレキシブルケーブル6の、復調IC51が実装される実装部6fは、ケース体21の内部に復調IC51が配置されるように、ケース体21の上端に固定されており、信号端子20を覆っている。フレキシブルケーブル6の、実装部6fよりも一端側に形成される部分は、信号端子20に接続されている。ケース体21の内部には、樹脂が充填されており、信号端子20および復調IC51等がこの樹脂の中に埋まっている。なお、この場合のフレキシブルケーブル6には、折返し部6b、第1折畳み部6cおよび第2折畳み部6dは形成されていない。また、信号端子20は、リード線等を介して、フレキシブルケーブル6の一端側に接続されても良く、このときには、フレキシブルケーブル6に端子接続部6aは形成されない。
【0066】
また、この場合には、フレキシブルケーブル6の端子接続部23の磁気ヘッド信号端子32は、基板13内の信号パターンを介してCPU12に接続されており(図10参照)、CPU12は、復調IC51からの復調信号を暗号化して暗号化信号(第2の暗号化信号)を生成する。この場合には、フレキシブルケーブル6によって復調信号が磁気ヘッド5から磁気ヘッド4へ伝達されるため、信号端子20からの出力信号がフレキシブルケーブル6によって伝達される場合と比較して、耐ノイズ性を高めることが可能になる。なお、この場合の実装部6fは、第2の信号端子である信号端子20を覆う端子覆部である。また、この場合の復調IC51は、第2の復調用電子部品である。
【0067】
上述した形態では、磁気ヘッド4は3チャンネル型の磁気ヘッドであり、磁気ヘッド5は1チャンネル型の磁気ヘッドであるが、磁気ヘッド4が1チャンネル型の磁気ヘッドであり、磁気ヘッド5が3チャンネル型の磁気ヘッドであっても良い。また、上述した形態では、磁気ヘッド4に、1個の磁気ヘッド5がフレキシブルケーブル6を介して接続されているが、磁気ヘッド4に、複数の磁気ヘッド5がフレキシブルケーブル6を介して接続されても良い。また、カードリーダ1が複数の磁気ヘッド4を備え、複数の磁気ヘッド4のそれぞれに、1個または複数の磁気ヘッド5がフレキシブルケーブル6を介して接続されても良い。
【0068】
上述した形態では、折返し部6bが端子接続部6aを覆うように折り返されて端子接続部6aに固定されている。この他にもたとえば、第1折畳み部6cが端子接続部6aを覆うように折り返されて端子接続部6aに固定されても良い。この場合には、第2折畳み部6dが第1折畳み部6cを覆うように折り返されて第1折畳み部6cに固定されるとともに、折返し部6bが第1折畳み部6cおよび第2折畳み部6dを覆うように折り返されて第1折畳み部6cおよび第2折畳み部6dに固定されても良いし、折返し部6bが第1折畳み部6cを覆うように折り返されて第1折畳み部6cに固定されるとともに、第2折畳み部6dが折返し部6bを覆うように折り返されて折返し部6bに固定されても良い。また、この場合には、折返し部6bは折り返されなくても良い。なお、この場合の第1折畳み部6cは、端子接続部6aを覆うように折り返されて端子接続部6aに固定される端子覆部である。
【0069】
上述した形態では、第2折畳み部6dが第1折畳み部6cを覆うように折り返されて第1折畳み部6cに固定されている。この他にもたとえば、第2折畳み部6dが第1折畳み部6cに重ならないように、第1折畳み部6cが形成されるとともに、第1折畳み部6cと第2折畳み部6dとによって折返し部6bが覆われるように、第1折畳み部6cおよび第2折畳み部6dが折り返されて折返し部6bに固定されても良い。この場合の第1折畳み部6cおよび第2折畳み部6dは、端子覆部である折返し部6bを覆うように折り返されて折返し部6bに固定される外側覆部である。
【0070】
上述した形態では、フレキシブルケーブル6は、第1折畳み部6cおよび第2折畳み部6dを備えているが、フレキシブルケーブル6は、第1折畳み部6cおよび第2折畳み部6dを備えていなくても良い。この場合には、フレキシブルケーブル6の構成を簡素化することができる。また、上述した形態では、断線検知信号層28に、短絡検知信号パターン37が形成されているが、断線検知信号層28に、短絡検知信号パターン37が形成されていなくても良い。
【0071】
上述した形態では、CPU12は、ケース体15の外部に配置されているが、CPU12は、ケース体15の内部に配置されても良い。また、上述した形態では、CPU12は、基板13への実装面12aに複数の半田ボールが配置されたBGA型の電子部品であるが、CPU12は、複数の平面状の電極が実装面12aに格子状に配列されたLGA(Land Grid Array)型の電子部品であっても良いし、先端が尖ったピン状の複数の電極が実装面12aに格子状に配列されたPGA(Pid Grid Array)型の電子部品であっても良い。
【0072】
上述した形態では、基板13の厚さ方向から見たときに、CPU12の外形の中に復調IC11が入るように、復調IC11およびCPU12が基板13に実装されているが、基板13の厚さ方向から見たときに、CPU12の外形から復調IC11の一部がはみ出すように、復調IC11およびCPU12が基板13に実装されても良い。
【0073】
上述した形態では、磁気ヘッド4、5は、カード2に記録された磁気データの読取りを行うためのデータ再生用の磁気ヘッドであるが、磁気ヘッド4、5は、磁気データの読取りおよび磁気データの書込みを行うデータ再生記録用の磁気ヘッドであっても良い。また、上述した形態では、カードリーダ1は、スワイプ式のカードリーダであるが、本発明が適用されるカードリーダは、ユーザが手動でカード2を装置内部に挿入するとともに装置内部から抜き取るディップ式のカードリーダであっても良いし、カードの搬送機構を備えるカード搬送式のカードリーダであっても良い。
【符号の説明】
【0074】
1 カードリーダ
2 カード
4 磁気ヘッド(第1の磁気ヘッド)
5 磁気ヘッド(第2の磁気ヘッド)
6 フレキシブルケーブル
6a 端子接続部
6b 折返し部(端子覆部)
6c 第1折畳み部(外側覆部)
6d 第2折畳み部(第2の外側覆部)
6f 実装部(端子覆部)
10 信号端子(第1の信号端子)
11 復調IC(復調用電子部品)
12 CPU(暗号化用電子部品)
13 基板
14 フレキシブルケーブル(ケーブル)
15 ケース体
20 信号端子(第2の信号端子)
21 ケース体(第2のケース体)
22 スルーホール
27 データ信号層
28 断線検知信号層
31 データ信号パターン
33、34 断線検知信号パターン
37 短絡検知信号パターン
51 復調IC(第2の復調用電子部品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに記録された磁気データを読み取るための第1の磁気ヘッドおよび第2の磁気ヘッドと、前記第1の磁気ヘッドと前記第2の磁気ヘッドとを電気的に接続するフレキシブルケーブルとを備え、
前記第1の磁気ヘッドは、第1のコアと、前記第1のコアに巻回される第1のコイルと、前記第1のコイルの端部が接続される第1の信号端子と、前記第1の信号端子から出力されるアナログ状の出力信号を復調してデジタル状の復調信号を生成する復調用電子部品および前記復調信号を暗号化して暗号化信号を生成する暗号化用電子部品が実装される基板と、前記復調用電子部品と前記第1の信号端子とを電気的に接続するケーブルと、前記第1のコア、前記第1のコイル、前記第1の信号端子および前記ケーブルが収容されるとともに前記基板が固定されるケース体とを備え、
前記第2の磁気ヘッドは、第2のコアと、前記第2のコアに巻回される第2のコイルと、前記第2のコイルの端部が接続される第2の信号端子とを備え、
前記フレキシブルケーブルは、前記第2の磁気ヘッドから出力されるデータ信号を伝えるデータ信号パターンが形成されるデータ信号層と、前記データ信号層の表面(おもて面)および裏面を覆うとともに自身が断線したことを検知するための断線検知信号を伝える断線検知信号パターンが形成される断線検知信号層とを有する多層構造に形成され、
前記フレキシブルケーブルの一端側には、前記第2の信号端子を覆うように固定される端子覆部が形成され、
前記フレキシブルケーブルの他端側は、前記基板に接続され、
前記データ信号は、前記第1の磁気ヘッドで暗号化されることを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
前記フレキシブルケーブルの他端側は、前記ケース体の内部で前記基板に接続され、前記基板に覆われていることを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。
【請求項3】
前記フレキシブルケーブルの一端側には、前記第2の信号端子が挿通されるスルーホールが形成される端子接続部が形成され、
前記端子覆部は、前記端子接続部を覆うように折り返されて前記端子接続部に固定され、
前記データ信号は、前記第2の信号端子から出力されるアナログ状の第2の出力信号であり、
前記復調用電子部品は、前記第2の出力信号を復調してデジタル状の第2の復調信号を生成し、
前記暗号化用電子部品は、前記第2の復調信号を暗号化して第2の暗号化信号を生成することを特徴とする請求項1または2記載のカードリーダ。
【請求項4】
前記第2の磁気ヘッドは、前記第2の信号端子から出力されるアナログ状の第2の出力信号を復調してデジタル状の第2の復調信号を生成する第2の復調用電子部品と、前記第2のコア、前記第2のコイル、前記第2の信号端子が収容されるとともに前記フレキシブルケーブルが固定される第2のケース体とを備え、
前記第2の復調用電子部品は、前記端子覆部に実装され、
前記端子覆部は、前記第2の復調用電子部品が前記第2のケース体の内部に配置されるように前記第2のケース体に固定され、
前記データ信号は、前記第2の復調信号であり、
前記暗号化用電子部品は、前記第2の復調信号を暗号化して第2の暗号化信号を生成することを特徴とする請求項1または2記載のカードリーダ。
【請求項5】
1個の前記第1の磁気ヘッドを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項6】
前記フレキシブルケーブルは、一方向へ細長い長尺状に形成され、
前記端子覆部は、前記フレキシブルケーブルの長手方向で前記端子接続部に繋がるように形成されていることを特徴とする請求項3記載のカードリーダ。
【請求項7】
前記フレキシブルケーブルは、前記フレキシブルケーブルの幅方向で前記端子接続部に繋がるように形成され、前記端子覆部を覆うように折り返されて前記端子覆部に固定される外側覆部を備えることを特徴とする請求項6記載のカードリーダ。
【請求項8】
前記フレキシブルケーブルは、前記外側覆部を覆う第2の外側覆部を備え、
前記外側覆部は、前記フレキシブルケーブルの幅方向における前記端子接続部の一端に繋がるように形成され、
前記第2の外側覆部は、前記フレキシブルケーブルの幅方向における前記端子接続部の他端に繋がるように形成され、前記外側覆部を覆うように折り返されて前記外側覆部に固定されていることを特徴とする請求項7記載のカードリーダ。
【請求項9】
前記断線検知信号層には、前記断線検知信号パターンとの間の短絡を検知するための短絡検知信号を伝える短絡検知信号パターンが形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のカードリーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−4053(P2013−4053A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138097(P2011−138097)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】