説明

カードロックサービス提供業務支援システムおよび方法

【課題】ユーザが簡単な操作でクレジットカードをロックできるようにすることで、第三者によるカードの不正利用を事前に防止することを目的とする。
【解決手段】処理S310〜330において、クレジットカード会社のインターネットサービスを通して、ユーザからのカードロック設定・解除を受信する。処理S340〜380において、加盟店からのオーソリ電文受信時にカードロック状態を判定し、ロックが設定されていれば取引不能であることを示すオーソリ電文を加盟店に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードロックサービス提供業務支援システムおよび方法に関し、より具体的には、クレジットカード会社のインターネットサービスにおいてユーザがカードにロックをかけることを可能し、ロックがかけられたカードを店舗やインターネットショッピングで使用不可とすることで、第三者によるクレジットカードの不正利用を防止するカードロックサービス提供業務支援システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キャッシュカードやクレジットカードなどのカードを利用した取引において、カードの紛失や盗難による第三者の不正利用が問題となっている。この問題に対処するために、クレジットカード発行会社では、従来からカード紛失時にカードを停止し再発行するサービスを行なっている。また、銀行のキャッシュカードについては、ユーザがPCや携帯に提供された画面を通してカードのロック設定または解除を設定することによるカードのロックサービスを提供している(例えば、非特許文献1)。これによりユーザは、カードを使用しない場合はロックを設定し、使用したいときはロック解除することにより、カードを不正に取得した第三者によるATM取引およびデビットカード取引による不正利用を防ぐことができる。
【0003】
【非特許文献1】「メールや携帯電話を使い偽造キャッシュカードやスパイウェア等による不正取引を検知・防止する「ATMロック解除サービス」「通知メールサービス」の提供について」、株式会社NTTデータ 2006年ニュースリリース、2006年1月30日。http://www.nttdata.co.jp/release/2006/013001.html。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のクレジットカードの停止・再発行サービスは、ユーザが紛失に気付いて停止手続きを行うことによってはじめて停止するものであるという点、一旦カードを停止すると再発行に時間と手間がかかり、その間ユーザはカードを使用できなくなり、カード自身も変わってしまうという問題がある。さらに、多数のカードを所有しているが、日常的にはそのうちの一部のカードしか使用していないユーザの場合、使用していない間の不正利用に気づきにくいという問題がある。
【0005】
本願発明は、上記課題に鑑み、クレジットカードによるインターネット取引において、第三者によるカードの不正利用を防止することを可能にする、クレジットカードのロックサービス提供業務支援システムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、クレジットカード会社のインターネットにおいて支援サービスを提供するカードロックシステムであって、クライアント端末に表示するカードロック設定画面データをネットワークを介して提供する画面提供手段と、画面提供手段によって提供された画面に従って入力された情報に従って、クレジットカード番号を含むロック設定要求またはロック解除要求を受信し、当該受信した要求に応答して、ロック設定またはロック解除であることを示すロック状態情報とクレジットカード番号とを関連付けて、ロック状態格納手段に格納する要求受信手段とを含むカードロックサーバと、決済認証システムからオーソリ電文を受信し、受信したオーソリ電文からクレジットカード番号を抽出するオーソリ受信手段と、受信したクレジットカード番号に関連付けられたロック状態情報を前記ロック状態格納手段から取り出し、ロック状態情報がロック設定状態を示しているかまたはロック解除状態を示しているかを判定し、現在カードがロック設定状態であれば、該カードを利用不能とするオーソリ応答電文を生成して決済端末に送信する応答手段とを含むオーソリサーバとを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカードロックシステムであって、ユーザ端末は携帯電話であり、決済認証システムは、インターネット上でクレジットカードの取引を提供する際に、オーソリ機能を実行するインターネット決済サービス提供サーバであることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、カードロックサーバが、クレジットカード会社のインターネットにおいて支援サービスを提供する方法であって、クライアント端末に表示するカードロック設定画面データをネットワークを介して提供する画面提供ステップと、該画面提供ステップによって提供された画面に従って入力された情報に従って、クレジットカード番号を含むロック設定要求またはロック解除要求を受信し、当該受信した要求に応答して、ロック設定またはロック解除であることを示すロック状態情報とクレジットカード番号とを関連付けて、ロック状態格納手段に格納する要求受信ステップとを含み、オーソリサーバが、決済認証システムからオーソリ電文を受信し、受信したオーソリ電文からクレジットカード番号を抽出するオーソリ受信ステップと、受信したクレジットカード番号に関連付けられたロック状態情報をロック状態格納手段から取り出し、ロック状態情報がロック設定状態を示しているかまたはロック解除状態を示しているかを判定し、現在カードがロック設定状態であれば、該カードを利用不能とするオーソリ応答電文を生成して決済端末に送信する応答ステップとを含むことを特徴とする方法。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の方法であって、ユーザ端末は携帯電話であり、決済認証システムは、インターネット上でクレジットカードの取引を提供する際に、オーソリ機能を実行するインターネット決済サービス提供サーバであることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、カードロックサーバが、クレジットカード会社のインターネットにおいて支援サービスを提供するプログラムであって、クライアント端末に表示するカードロック設定画面データをネットワークを介して提供する画面提供ステップと、該画面提供ステップによって提供された画面に従って入力された情報に従って、クレジットカード番号を含むロック設定要求またはロック解除要求を受信し、当該受信した要求に応答して、ロック設定またはロック解除であることを示すロック状態情報とクレジットカード番号とを関連付けて、ロック状態格納手段に格納する要求受信ステップとを含み、オーソリサーバが、決済認証システムからオーソリ電文を受信し、受信したオーソリ電文からクレジットカード番号を抽出するオーソリ受信ステップと、受信したクレジットカード番号に関連付けられたロック状態情報をロック状態格納手段から取り出し、ロック状態情報がロック設定状態を示しているかまたはロック解除状態を示しているかを判定し、現在カードがロック設定状態であれば、該カードを利用不能とするオーソリ応答電文を生成して決済端末に送信する応答ステップとを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のプログラムであって、ユーザ端末は携帯電話であり、決済認証システムは、インターネット上でクレジットカードの取引を提供する際に、オーソリ機能を実行するインターネット決済サービス提供サーバであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願発明は、請求項1のサービス提供に関連して、手段とを備えているので、ユーザが容易にクレジットカードのロック設定または解除を行なうことができることにより、休眠クレジットカードの不正利用の機会を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本実施形態ではインターネットショッピングについて説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態によるシステムの構成図である。クレジットカードのユーザ110は、携帯電話上のWeb画面でカードロックサーバ130に対してカードロックの設定/解除を行なう。本実施形態においてユーザは特に携帯電話を用いるが、携帯電話に代えてPDAなどの携帯端末またはやPCなどの本技術分野で知られた任意の情報機器を用いることができる。本実施形態において加盟店とは、特にインターネット上の取引におけるクレジット決済サーバを意味するが、ATM、実店舗における決済端末、またはインターネット上でクレジットカードの決済のサービスを提供するための任意のクレジット決済システムであることができる。イシュアシステム130は、ユーザにロック設定画面を提供し、ロック状態を格納するカードロックサーバ132と、一般的なイシュアのオーソリサーバ機能に加えてロック状態の判定機能を有するオーソリサーバ134と、一般的なイシュアの売上決済機能を提供する決済サーバ136とで構成されている。
【0015】
図2は、本実施形態のイシュアシステム130のモジュール構成図である。ヘルプデスク支援サーバ106は、カードロック設定画面データ提供部202と、クレジットカード番号およびロック状態格納部204と、オーソリ電文受信部206と、オーソリ電文生成および送信部208とを備える。カードロック設定画面データ提供部202は、クレジットカード会社のインターネットサービスにおいて、カードロック設定画面データを携帯電話に送信する。クレジットカード番号およびロック状態格納部204では、ユーザに送信した画面に従ってクレジットカードについての情報が入力され、ロック設定またはロック解除の要求が入力されると、クレジットカード番号およびそのロック状態がカードロックサーバ130に送信され、この受信したこのクレジットカード番号およびロック状態がロック状態DB210に格納される。ユーザがインターネット上の加盟店124においてクレジットカードを利用すると、加盟店のクレジット決済サーバ123からオーソリ電文がオーソリサーバ134に送信され、オーソリ電文受信部206はこのオーソリ電文を受信し、受信したオーソリ電文からクレジットカード番号を抽出する。オーソリ電文生成および送信部208は、抽出されたクレジットカード番号に関連付けられたロック状態をロック状態格納DB210から取り出し、ロック状態がロック設定状態であるかまたはロック解除状態であるかを判定し、ロック設定状態であれば、カードを利用不能とするオーソリ応答電文を生成してインターネット決済サービスサーバに送信する。ここでは説明を省略するが、通常の他のオーソリチェックはこれまで通り実施される。
【0016】
本実施形態では図2に示すようなモジュール構成により処理を実行するが、これに限られることなく、各モジュールの順序を交換したり、新たなモジュールを追加しても、同様の処理を行うことができる。
【0017】
図3は、本発明の実施形態によるカードロックサーバのシーケンスを示す。本実施形態では、まず処理S310において、カードロックサーバ132は、クレジットカード会社のインターネットサービスにおいてユーザ端末に図5で示されるようなカードロック設定画面データを提供する。ユーザが必要項目を入力した後、処理S320において、ユーザからロック設定/解除要求を示すロック状態と対応するクレジットカード番号がカードロックサーバに送信される。処理S330において、カードロックサーバ132は、受信したロック状態およびクレジットカード番号を格納しておく。
【0018】
図5は、本発明の実施形態によるオーソリサーバのシーケンスを示す。次に、ユーザが図6で示されるようにインターネット上のWeb加盟店124においてクレジットカードを利用するたびに、処理S340において、Web加盟店のクレジット決済サーバ123からオーソリ電文がオーソリサーバ134に送信される。オーソリ要求を受けたオーソリサーバ134は、オーソリ電文中からクレジットカード番号を抽出し、処理S350において使用されたクレジットカード番号についてのロック状態をカードロックサーバ132に要求し、処理S360においてロック状態を取得する。さらに処理S370において、ロック状態がロック設定であるかロック解除であるかを判定し、ロック設定状態であれば、カードを使用できないことを示すオーソリ応答電文を生成し、処理S380においてWeb加盟店のクレジット決済サーバ123へ送信する。
【0019】
図5は、本実施形態による携帯電話の画面例を示す。携帯電話の画面上には、クレジットカード会社の提供するインターネットサービスにおけるカードロック設定画面が表示されている。これは、本実施形態における表示方法だが、これに限られず、いずれの表示方法を用いることができる。
【0020】
図6は、Web加盟店でロックが設定されているクレジットカードを使用した場合の画面例を示す。これは、本実施形態における表示方法だが、これに限られず、いずれの表示方法を用いることができる。
【0021】
以上説明したように、ユーザはパソコン等でインターネットに接続詞、Web店舗などでショッピングをする際の決済方法として、クレジットカードを使用する場合、入力したクレジットカード番号が不正使用される等の不安がぬぐえないが、本システムにより、使用するたびに携帯端末からロックを解除し、未使用時にはロックを設定することにより、ユーザが気づかない間に不正使用されるリスクを減らすことができる。
【0022】
本実施形態ではインターネットショッピングについて説明したが、インターネットを介して提供する様々な他のサービスにおいても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態によるシステム全体構成図である。
【図2】本実施形態のイシュアシステム130のモジュール構成図である。
【図3】本発明の実施形態によるカードロックサーバのシーケンスを示す図である。
【図4】本発明の実施形態によるオーソリサーバのシーケンスを示す図である。
【図5】本発明の実施形態によるユーザ端末画面の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態によるインターネットショッピング画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
110 ユーザ端末
120 加盟店端末
130 イシュアシステム
132 カードロックサーバ
134 オーソリサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレジットカード会社のインターネットにおいて支援サービスを提供するカードロックシステムであって、クライアント端末に表示するカードロック設定画面データをネットワークを介して提供する画面提供手段と、該画面提供手段によって提供された画面に従って入力された情報に従って、クレジットカード番号を含むロック設定要求またはロック解除要求を受信し、当該受信した要求に応答して、ロック設定またはロック解除であることを示すロック状態情報とクレジットカード番号とを関連付けて、ロック状態格納手段に格納する要求受信手段とを含むカードロックサーバと、
決済認証システムからオーソリ電文を受信し、前記受信したオーソリ電文からクレジットカード番号を抽出するオーソリ受信手段と、前記受信したクレジットカード番号に関連付けられたロック状態情報を前記ロック状態格納手段から取り出し、前記ロック状態情報がロック設定状態を示しているかまたはロック解除状態を示しているかを判定し、現在前記カードがロック設定状態であれば、該カードを利用不能とするオーソリ応答電文を生成して決済端末に送信する応答手段とを含むオーソリサーバと
を備えたことを特徴とするカードロックシステム。
【請求項2】
前記ユーザ端末は携帯電話であり、前記決済認証システムは、インターネット上でクレジットカードの取引を提供する際に、オーソリ機能を実行するインターネット決済サービス提供サーバであることを特徴とする請求項1に記載のカードロックシステム。
【請求項3】
カードロックサーバが、クレジットカード会社のインターネットにおいて支援サービスを提供する方法であって、クライアント端末に表示するカードロック設定画面データをネットワークを介して提供する画面提供ステップと、該画面提供ステップによって提供された画面に従って入力された情報に従って、クレジットカード番号を含むロック設定要求またはロック解除要求を受信し、当該受信した要求に応答して、ロック設定またはロック解除であることを示すロック状態情報とクレジットカード番号とを関連付けて、ロック状態格納手段に格納する要求受信ステップとを含み、
オーソリサーバが、決済認証システムからオーソリ電文を受信し、前記受信したオーソリ電文からクレジットカード番号を抽出するオーソリ受信ステップと、前記受信したクレジットカード番号に関連付けられたロック状態情報を前記ロック状態格納手段から取り出し、前記ロック状態情報がロック設定状態を示しているかまたはロック解除状態を示しているかを判定し、現在前記カードがロック設定状態であれば、該カードを利用不能とするオーソリ応答電文を生成して決済端末に送信する応答ステップとを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
前記ユーザ端末は携帯電話であり、前記決済認証システムは、インターネット上でクレジットカードの取引を提供する際に、オーソリ機能を実行するインターネット決済サービス提供サーバであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
カードロックサーバが、クレジットカード会社のインターネットにおいて支援サービスを提供するプログラムであって、クライアント端末に表示するカードロック設定画面データをネットワークを介して提供する画面提供ステップと、該画面提供ステップによって提供された画面に従って入力された情報に従って、クレジットカード番号を含むロック設定要求またはロック解除要求を受信し、当該受信した要求に応答して、ロック設定またはロック解除であることを示すロック状態情報とクレジットカード番号とを関連付けて、ロック状態格納手段に格納する要求受信ステップとを含み、
オーソリサーバが、決済認証システムからオーソリ電文を受信し、前記受信したオーソリ電文からクレジットカード番号を抽出するオーソリ受信ステップと、前記受信したクレジットカード番号に関連付けられたロック状態情報を前記ロック状態格納手段から取り出し、前記ロック状態情報がロック設定状態を示しているかまたはロック解除状態を示しているかを判定し、現在前記カードがロック設定状態であれば、該カードを利用不能とするオーソリ応答電文を生成して決済端末に送信する応答ステップとを含む
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
前記ユーザ端末は携帯電話であり、前記決済認証システムは、インターネット上でクレジットカードの取引を提供する際に、オーソリ機能を実行するインターネット決済サービス提供サーバであることを特徴とする請求項5に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−295005(P2009−295005A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149341(P2008−149341)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(594103301)三井住友カード株式会社 (39)