説明

カード・リーダ

【課題】カード・リーダを有するセルフ・サービス端末装置を提供する。
【解決手段】リーダは、読み取られる格納済みのデータを有するカードを受け入れるためのカード受入手段(14)と、格納済みのデータを読み取るためのカード読取手段(12)とを備える。リーダは、配送経路を介してカード受入手段(14)のところで受け入れたカードを、前記カード読取手段に配送するように配置される。経路(30)は、搬送中所定の面内にカードを維持するように配置される。信号源(28)は、使用中カードが通過する面内の配送経路(30)を横切って投影される出力信号(26)を発生するように配置される。検出手段(32)は、また、出力信号(26)を受信し、対象物が信号と干渉を起こした場合に、経路(30)内の対象物の存在を検出するように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ストライプまたは格納済みのデータの以降の読取りのために上記データを保有するスマート・カードを受け入れるためのカード・リーダに関し、特に、自動金銭預け払い機(ATM)で使用するようなカード・リーダに関する。
【背景技術】
【0002】
ATMのようなセルフ・サービス金融端末装置は、セルフ・サービス端末装置にアクセスしている個人が本人であることを確認するのに使用することができる磁気的に格納済みのデータを有するカードを受け入れるように通常配置されている。しかし、このようなカードを使用するための要件はあっても、詐欺行為、またはセルフ・サービス端末装置の他の誤ったまたは不適切な操作の試みを防止することはできない。
【0003】
これに反して、ATMおよび他のセルフ・サービス端末装置の場合には、磁気カードおよび/またはPIN情報を傍受することにより、犯罪者は顧客および金融機関に詐欺行為を行うことができる。
【0004】
ここ数年間は、カードが磁気リーダに挿入され、取り出される場合に磁気ストライプを読み取ることにより、すなわち、「カード・スキミング」と呼ばれる処理を行うことにより、ATMに挿入されたカードから磁気情報を単に入手するだけで十分であった。しかし、このような詐欺行為を根絶するために、世界中の金融機関は、「chip and PIN」カードを導入しつつある。これらのカードは、現在容易にコピーできないスマート・カードであり、そのため犯罪者は、必然的にカードを入手しようとする。ATMからカードを入手する周知の1つの方法は、カードを束縛し、それによりATMカード・リーダ内のカードを捕捉し、正当なユーザにカードが戻るのを防止するためのループの形をしている材料のフィラメントを組み込む装置である、いわゆる「Lebanese Loop」である。このループは、ビデオ・テープからデンタル・フロスまでの任意の丈夫で柔軟な材料から作ることができる。
【0005】
今日まで、このような攻撃に対して種々の防衛策が試みられてきた。本出願人の先願の米国特許第6,196,463号のようなこの問題へのいくつかのアプローチは、本来信頼できない電気機械手段により、Lebanese Loopの存在を検出しようとする。
【0006】
米国特許第6,196,463号の場合には、搬送経路の全幅を横切って掃引される移動バギー上の光源からビームが投影され、そのためこのビームをその全幅を横切って搬送経路に投影することができる。検出手段は、出力信号を受信し、対象物が信号と干渉を起こした場合、経路内の対象物の存在を検出する働きをするように配置される。しかし、この解決方法は機械的に複雑なので、コストが高くなり、ATMメーカーにとって満足できるものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、端末装置の不正操作の尤度を低減する際に、セルフ・サービス端末装置で使用することができ、従来のカード・リーダと比較した場合いくつかの利点を有するタイプのようなカード・リーダを提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、本発明は、読み取られる格納済みのデータを有するカードを受け入れるためのカード受入手段と、格納済みのデータを読み取るためのカード読取手段とを備えるカード・リーダを提供する。このリーダは、配送経路を介してカード受入手段のところで受け入れたカードをカード読取手段に配送するように配置され、配送経路は、搬送中所定の面内にカードを維持するように配置され、さらに、使用中カードが通過する面内の配送経路を横切って投影される出力信号を供給するための信号源と、上記出力信号を受信し、対象物が信号と干渉を起こした場合に、経路内の対象物の存在を検出するように配置される検出手段とを備える。
【0009】
一実施形態の場合には、信号源および検出装置は、配送経路の対向側面上に位置する。
【0010】
他の実施形態の場合には、信号源および検出装置の両方が、配送経路の同一側面上に位置し、検出装置により受信するために信号源からの信号を反射するために、反射手段を使用する。
【0011】
さらに他の実施形態の場合には、経路を横切って投影するために、遠隔に位置するエミッタから経路の一方の側面にビームを送るように、光ファイバか配置される。
【0012】
さらに、搬送経路を横切ったビームを受光し、受光したビームを遠隔に位置する受光器に送るために、光ファイバを搬送経路の一方の側面のところに配置することができる。
【0013】
このようにして、装置を非常にコンパクトなものにすることができる。
【0014】
本発明は、セルフ・サービス端末装置のカード・リーダ内への読取り対象のカード以外の対象物の挿入を含むすべての詐欺行為を、対象物の形状、構成および/または寸法が何であろうとも、容易に識別することができるという点で有利なものである。それ故、Lebanese Loopのような「他の」対象物の挿入を含む種々の詐欺行為の試みを防止することができる。
【0015】
このような信号源の一例としてはレーザがある。
【0016】
好適には、カード・リーダは、さらに、一意の署名を含む1つまたは複数のビームを供給するように配置される符号化システムを備えることが好ましい。
【0017】
他の態様によれば、本発明は、プロセッサ手段と、カード受入手段と、カード読取手段と、データ入力手段と、ディスプレイ手段と、出力手段と、中央認可ユニットに接続するための接続手段とを備えるセルフ・サービス端末装置を提供する。この端末装置は、カード受入手段のところで受け入れたカードを、配送経路を介してカード読取手段に配送するように配置され、この配送経路は、搬送中所定の面内にカードを維持するように配置され、さらに、使用中カードが通過する面内の配送経路を横切って投影される出力信号を供給するための信号源と、上記出力信号を受信し、対象物が信号と干渉を起こした場合に、経路内の対象物の存在を検出するように配置される検出手段とを備える。
【0018】
本発明は、糸の形をしている薄いまたは微小部材のような対象物を検出する際に特に有利であることを理解されたい。
【0019】
添付の図面を参照しながら本発明を以下にさらに説明するが、これは単に例示としてのものにしか過ぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1を参照すると、現在ATMで使用されているようなカード・リーダ10は、ユーザ確認手順の一部としてその上のデータを読み取るために、磁気的に記録したデータを有するカードが配送されるデータ・リーダ・セクション12を備える。カード・リーダは、ユーザにより読取り対象のカードが挿入され、ユーザの検索のために読み取ったカードが返却される挿入口領域14を有する。
【0021】
挿入口領域14は、カードの横断面にほぼ類似の寸法のスロット18を含み、それを通して後でデータ・リーダ領域12に配送するために、カードがカード・リーダ10内に配送されるのど部分16を含む。
【0022】
スロット18を介して、望ましくないものがカード・リーダ内に導入されるのを防止するために、のど部分16は、通常、第1および第2の位置の間で移動することができるシャッター装置20を使用する。第1の位置に位置している場合には、のど部分16は、スロット18内に導入されたカードがカード・リーダ10内に搬送することができるように開いた通路を形成する。第2の位置に位置している場合には、シャッター装置は、スロット18の前面でカード・リーダ10を遮断する。
【0023】
それ故、シャッター装置20は、詐欺行為を防止するための少なくともある制限された形を提供する働きをすることができる。
【0024】
しかし、詐欺行為防止の範囲は非常に限られていて、図1は、さらに、従来技術の装置が影響を受けやすい詐欺行為のある特種な形を示す。
【0025】
カード・リーダ10内のすでに挿入されたカード22は、データ・リーダ領域12の位置に位置し、図に示すように、接着剤またはテープ等でカード22に固定されている糸24は、詐欺行為をしようとしているユーザが操作することができるように、配送経路に沿って後方にスロット18から外に延びている。シャッター20はその第2の位置、すなわち閉位置に位置しているが、閉じたシャッターは、糸24の操作により行うことができるリーダ内のカードの運動を防止することはできない。糸は、カードの保持を防止するばかりでなく、偽の読取りを発生するように、読取ヘッドに対してカードが移動することができる手段も提供する。
【0026】
図2に示す光ビーム26は、カード経路30の一方の側面のところに位置するエミッタ28および他の場所に位置する対応するセンサ32により所望のゾーンを横切る。しかし、他の構成を使用することもできるし、能動光学素子28、32が対象となるゾーンに近接して位置しなくてもすむように、ミラー34、プリズムまたは光ファイバのような光学手段を使用することもできる。図3は、エミッタ28およびセンサ32が搬送経路30の一方の側面上に位置し、ビーム26をセンサ32の方向に反射するように、ミラー34が経路の他の側面上に位置するある装置を示す。
【0027】
さらに、光の他の周波数を使用することができ、視認可能なその中のあるものは、犯罪者への抑止力として働くことができる。
【0028】
いつでも、カード・リーダは、リーダ搬送内に屑が入り込むのを防止するためにシャッター20(図1)を使用する。それ故、光ビームがリーダ・シャッター20の前または後を(または前および後の両方)を横切って投影されたのかを決定する必要がある。
【0029】
図1は、光ファイバの位置を知るために、チャネル36および38が挿入されたリーダのど部成型物の端部立面図である。このようにして、ビームをシャッター16の前および/または後に投影することができる。
【0030】
1本のビームは、システムを攻撃からかなり保護することができるが、もっと高性能な実施形態は、2本のビームを、シャッターの側面に1本ずつ使用する。これらのビームは、別々に動作するように配置されているか、またはこれらのビームは、光学的手段により「それ自身上で折れ曲がった」同一ビームであってもよいし、または分岐光ファイバ(図示せず)の使用による1本のビームからのものであってもよい。
【0031】
他の実施形態の場合には、これらビームの統合は、セキュリティ・システムに打ち勝つために「異質の」ビームを犯罪者が導入するのを防止するために、またはデュアル・ビーム・システムの2つのビーム間のクロストークを防止するために、各ビームに符号化システム(「一意の署名」)を使用することにより強化される。
【0032】
システムは、ビーム・システム内へのフィラメント(Lebanese Loop)の導入による少量のビームの減衰を検出することにより動作する。しかし、カード・リーダ・シャッターおよびカード自身の通路の正常な動作は、上記システムにより検出されることに留意されたい。それ故、インテリジェント内へのリーダの活動/状態に関連する状態情報は、カード・リーダの正常な機能により決して偽のアラームが作動しないように、リーダ・コントローラ56またはATM制御プロセッサ50(図5)に送られる。プロセッサは、ハードウェアまたはソフトウェアで実施される制御システムを組み込むことができる。
【0033】
図4は、磁気カード入力スロット42と、スクリーン・ディスプレイ44と、キーパッド46と、本発明によるカード・リーダと一緒に使用するために有利に配置されている現金受渡スロット48とを有する自動金銭預け払い機40を示す。
【0034】
図5は、自動金銭預け払い機44用の制御システムのブロック図である。図5において、プロセッサ50は、ディスプレイ44を制御するために、また現金受渡スロット48に接続している現金計数および受渡システム52を制御するために、キーパッド46からの入力を受信するように接続している。また、本発明によるカード・リーダ10は、プロセッサ50に接続し、プロセッサ50は、接続部54を介して自動金銭預け払い機を作動している金融機関の中央認可システムに接続している。
【0035】
上記の図2〜図5を見れば分かるように、自動金銭預け払い機のユーザが配送経路に沿ってのど領域を通って外に延びる糸により、カード・リーダ内のカードの動きを操作することにより詐欺行為を行おうとすると、都合の良いことに、検出装置がそのような薄い他の対象物の存在を識別する働きをする。都合の良いことに、次に、セルフ・サービス端末装置の任意の他の詐欺的使用の試みを防止する働きをするためだけではなく、ある種のアラーム発生手順を開始するために使用することができる適当な応答信号を発生することができる。
【0036】
本発明は上記実施形態の詳細な説明に限定されない。例えば、カード・リーダは、端末装置に挿入されるある種のデータ・キャリヤを使用する任意の適当なセルフ・サービス端末装置で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】その内部にカードおよび他の対象物を受け入れた周知のカード・リーダの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態によるカード・リーダの搬送経路および光源のレイアウトの略図である。
【図3】本発明の他の実施形態によるカード・リーダの搬送経路およびビーム源のレイアウトの略図である。
【図4】本発明を使用しているカード・リーダを内蔵するATMの斜視図である。
【図5】図4のATMのための制御システムを示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み取られる格納済みのデータを有するカードを受け入れるためのカード受入手段(14)と、前記格納済みのデータを読み取るためのカード読取手段(12)とを備え、前記リーダが、配送経路を介して前記カード受入手段(14)のところで受け入れたカードを、前記カード読取手段に配送するように配置され、前記配送経路が、搬送中所定の面内に前記カードを維持するように配置され、さらに、使用中カードが通過する前記面内の前記配送経路を横切って投影される出力信号(26)を供給するための信号源(28)と、前記出力信号(26)を受信し、前記対象物が信号と干渉を起こした場合に、前記経路(30)内の対象物の存在を検出するように配置される検出手段(32)とを備えるカード・リーダ。
【請求項2】
前記信号源(28)および前記検出装置(32)が、前記配送経路(30)の対向側面上に位置する、請求項1に記載のカード・リーダ。
【請求項3】
前記信号源(28)および前記検出装置(32)の両方が、前記配送経路(30)の同一側面上に位置し、前記検出装置(32)により受信するために前記信号源(28)からの信号を反射するために、反射手段(34)を使用する、請求項1に記載のカード・リーダ。
【請求項4】
前記経路(30)を横切って投影するために、遠隔に位置するエミッタ(26)から前記経路(30)の一方の側面にビームを送るように、光ファイバが配置される、請求項1に記載のカード・リーダ。
【請求項5】
前記搬送経路(30)を横切ったビームを受光し、前記受光したビームを遠隔に位置する受光機(32)に送るために、光ファイバが前記搬送経路(30)の一方の側面のところに配置される、請求項1に記載のカード・リーダ。
【請求項6】
前記信号源および関連受光器が、適切に一致した電気光学装置(28,32)を備える、請求項1に記載のカード・リーダ。
【請求項7】
前記搬送経路(30)に沿った2つの異なる点のところで、対象物の存在を検出するように配置される少なくとも第1および第2のビームを使用する、請求項1に記載のカード・リーダ。
【請求項8】
第1のビームが前記リーダの内部に位置し、第2のビームが前記リーダの内部の外側に位置する、請求項7に記載のカード・リーダ。
【請求項9】
前記第1および第2のビームの両方が、シャッター(20)に隣接して位置する、請求項8に記載のカード・リーダ。
【請求項10】
一意の署名を含む前記1つまたは複数のビームを供給するように配置される符号化システムをさらに備える、請求項1に記載のカード・リーダ。
【請求項11】
セルフ・サービス端末装置であって、プロセッサ手段と、カード受入手段と、カード読取手段と、データ入力手段と、ディスプレイ手段と、出力手段と、中央認可ユニットに接続するための接続手段とを備え、前記端末が、前記カード受入手段(14)のところで受け入れたカードを、配送経路を介して前記カード読取手段に配送するように配置され、前記配送経路が、搬送中所定の面内に前記カードを維持するように配置され、さらに、使用中カードが通過する前記面内の前記配送経路(30)を横切って投影される出力信号(26)を供給するための信号源(28)と、前記出力信号を受信し、前記対象物が前記信号と干渉を起こした場合に、前記経路内の対象物の存在を検出する働きをするように配置される検出手段とを備えるセルフ・サービス端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−71351(P2008−71351A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237377(P2007−237377)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(391007161)エヌ・シー・アール・コーポレイション (85)
【氏名又は名称原語表記】NCR CORPORATION
【Fターム(参考)】