カード作成方法
【課題】特殊な機械を使用することなく、少量のカードを自己で必要のつど作成可能とし、簡易な作業で容易に印刷面が確実に保護されたカードの作製と、複数の層の積層をズレがなく確実且容易に積層可能で、使用しやすく、見栄えのよいカードを作成する方法を提供する。
【解決手段】印刷面に施した印刷が他面から可視可能な印刷シートの印刷面に反転印刷をする工程、印刷シートの印刷面に基層40の両面に接着層48を備えた接着シートを積層し積層体を作成する工程、2枚の該積層体間にICモジュールを挟み積層する工程を有する。
【解決手段】印刷面に施した印刷が他面から可視可能な印刷シートの印刷面に反転印刷をする工程、印刷シートの印刷面に基層40の両面に接着層48を備えた接着シートを積層し積層体を作成する工程、2枚の該積層体間にICモジュールを挟み積層する工程を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカード作成方法に関し、特に氏名や写真が表示されるIDカード、更にはICモジュールを備えたIC/IDカード等を容易に作成可能なカード作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から氏名や写真が表示されたIDカードが社員証、学生証、会員証等で用いられている。これらのカードは紙や合成樹脂製の薄板の表面に写真や氏名が印刷、接着、或いは手書き等され情報提示面が形成され、その上にプラスチックシート等でラミネートされて写真や印刷等表示された情報提示面が保護されているものが主流である。また、これらのカードに磁気テープ或いは最近はICモジュール等が積層され個人情報等が記録された磁気カードやICカード、特に非接触式ICカードが多く用いられるようになっている。
【0003】
これらのカードは、オフセット印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷等の印刷方法及び装置を用いて紙や合成樹脂製の薄板に写真や氏名等の情報、注意事項等を印刷する工程、カード製造専用の装置を用いて前記印刷済み薄板、ラミネートシート、ICモジュール等を積層、接着する工程、カード形状に裁断する工程等複数の複雑な工程をへて専門の業者により製造されている。従って、大量生産が基本であり、少量の生産ではコストが高くなり、現実問題として、100枚程度の少量の注文には応じてもらえないのが現状である。又、少量にもかかわらず、納期を早めることは出来ず、直ぐにカードを作成したい、必要のつど新たにカードを作成したいといった要望にはこたえることが出来なかった。
【0004】
そこで、少量のカードを専門の業者に発注することなく、作製可能なシートとして、第一接着層を有する印刷用シートと、一面が上記印刷用シートの第一接着層に対して剥離可能に積層された剥離シートと、第二接着層を有し、上記第二接着層が上記剥離シートの他面に対して剥離可能に積層された樹脂シートを備える印刷用紙が提案されている(特許文献1参照。)。この印刷用紙は上記印刷用シートと剥離シートと樹脂シートとの積層部に、切り取り線で囲まれた切り離し可能なカード部が設けられ、上記カード部のうち印刷用シートと剥離シートとが第一接着層を介して積層された状態で上記樹脂シートと第二接着層を残して剥離しうるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−67172
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来技術では、カードの作成工程において、印刷用シート及び剥離シートの積層部を樹脂シートから一度剥離し、裏返して、再度樹脂シートに接着させる作業が必要であり、工程数が多く、作業が煩雑であり、又、一度印刷用紙から剥した印刷用シート及び剥離シートの積層部を再度樹脂シートに正確に重ねて接着させる作業は困難であり、積層体にズレが生じやすく、不良品が多くなるという欠点があった。又、使用可能なものであっても、積層体のズレにより、樹脂シートによるラミネート即ち印刷面等の保護が不十分となったり、使用しにくいと共に見栄えがよくないものとなる欠点があった。
【0007】
そこで、本願発明は、上記従来技術の欠点を解決し、各種カードの作成において、特殊な機械を使用することなく、簡易な作業で容易に印刷面等が保護されたカードの作製を可能とすることを目的とする。又、少量のカードを専門業者に発注することなく自己で必要のつど作成可能とすることを目的とする。又、複数の層の積層をズレがなく確実且容易に積層可能で、不良品の発生率を極めて低くすることを目的とする。更に、写真、印刷、手書き等が表示されたシートの情報提示面の保護を確実に行うことを目的とする。更に、積層のズレがなく使用しやすく、見栄えのよいカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段としての本願発明の第一の手段は、基材と、該基材に剥離可能に接着された印刷シートと、基層の両面に接着層を有し、少なくとも一面の接着層には剥離シートが積層され、他面の接着層が基材に対向し、該基材に剥離可能に接着された接着シートを備え、印刷シートには切れ込みで囲まれた分離可能な印刷部を設け、接着シートには印刷部と同形状の切れ込みで囲まれた分離可能な接着部を設け、少なくとも基材に印刷部と接着部の対称軸となる折り目を設けたことを特徴とするカード作成用シートである。
【0009】
又、第二の手段は、上記第一の手段に於いて、印刷シートはカードの外表面となる外面が基材と対向し、カードの内面側となり、印刷が施される印刷面がカード作成用シートの外表面に露出して積層されていることを特徴とするカード作成用シートである。このような構成により、印刷面がカードの外表面とならずに、印刷面に特別な保護を行うことなく印刷を保護することが可能となった。
【0010】
又、第三の手段は、上記第一又は第二の手段に於いて、基層の両面に設けた接着層に夫々剥離シートを積層したことを特徴とするカード作成用シートである。このような構成により、積層体の取扱いが容易となり、カードの作成がより容易となった。
【0011】
又、第四の手段は、上記第三の手段に於いて、基層とカード作成用シートの表面に露出する剥離紙の接着強度が一番弱く、次に基材と基材に対向した剥離シートの接着強度が弱く、基材に対向した剥離紙と基層の接着強度が一番強いことを特徴とするカード作成用シートである。このような構成により、目的の積層物のみを効率よく、容易に剥離することが可能となり、カードの作成がより容易となった。
【0012】
又、第五の手段は、上記第一から第四のうちいずれかの手段に於いて、カード作成用シートには偶数の印刷部を設けると共に、印刷部と接着部は同数設けることを特徴とするカード作成用シートである。
【0013】
又、第六の手段は、上記第一から第五のうちいずれかの手段に於いて、少なくとも基材に一の印刷部と他の印刷部の対称軸となる折り目を設けたことを特徴とするカード作成用シートである。このような構成により、カードの完成まで基材上で行うことが可能となり、作業効率がよく、ズレのないカードの作成が可能となった。
【0014】
又、第七の手段は、印刷面に施した印刷が他面から可視可能な印刷シートの印刷面に反転印刷をする工程、印刷シートの印刷面に基層の両面に接着層を備えた接着シートを積層し積層体を作成する工程、2枚の該積層体間にICモジュールを挟み積層する工程を有するカードの作成方法である。この方法によれば、印刷がほどこされた面はカードの外表面に露出することがないので、別途印刷面にラミネート等の加工、作業を伴うことなく、簡易な作業で容易に印刷面等が確実に保護されたカードの作製を可能となった。
【0015】
又、第八の手段は、上面が平坦の底部の上面に内側横断面が方形状の側壁を設け、少なくとも側壁の対向する位置に切り欠部を設け、底部の側壁で区画された部分の形状は作成するカードと略同一形状としたことを特徴とするカード作成補助具である。このような補助具により、複数の層の積層をズレがなく確実且容易に積層可能で、不良品の発生率を極めて低くすることができた。
【0016】
又、第九の手段は、上記第八の手段に於いて、側壁の内側面はテーパー状に構成したことを特徴とするカード作成補助具である。このような構成により、より容易に、カードの作成が可能となった。
【0017】
又、第十の手段は、上記第八又は九の手段に於いて、底部に、作成するカードの形状の孔を設けたことを特徴とするカード作成補助具である。このような構成により、より容易に、積層のズレがないカードの作成が可能となった。
【発明の効果】
【0018】
以上のような本願発明によれば、各種カードの作成において、特殊な機械を使用することなく、簡易な作業で容易に印刷面等が保護されたカードの作製が可能となった。又、少量のカードを専門業者に発注することなく自己で必要のつど作成可能とすることが可能となった。又、複数の層の積層をズレがなく確実且容易に積層可能で、不良品の発生率を極めて低くすることが出来た。更に、写真、印刷、手書き等が表示されたシートの情報提示面の保護を確実に行うことが可能となった。更に、積層のズレがなく使用しやすく、見栄えのよいカードを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明一実施例斜視図
【図2】図1A−A断面図
【図3】本発明一実施例印刷工程後の正面図
【図4】本発明一実施例印刷部部分拡大図
【図5】本発明一実施例接着部部分拡大図
【図6】本発明一実施例を用いたICカード作成工程図
【図7】本発明一実施例を用いたICカード作成工程図
【図8】本発明一実施例を用いて作成したICカードの(a)正面図、(b)背面図、(c)縦断面図
【図9】本発明カード作成補助具一実施例斜視図
【図10】本発明カード作成補助具一実施例を用いたICカード作成工程を示す縦断面図
【図11】本発明カード作成補助具他実施例斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下本発明の実施の形態を図に従って説明する。カード作成用シート1は基材2と印刷シート3と接着シート4を備え、印刷シート3と接着シート4は夫々該基材2に剥離可能に疑似接着されて積層されている。印刷シート3と接着シート4は夫々該基材2上の略半面に並列して積層されている。
【0021】
印刷シート3は合成樹脂のシートであり、カード100の一部材として積層した際にカード100の外表面となる外面32が基材2と対向し、カード100の内面側となり、印刷が施される印刷面33がカード作成用シート1の外表面に露出するよう積層されている。
【0022】
印刷シート3に用いられる合成樹脂は、印刷面33に施した印刷が他面の外面32から可視可能であれば、その種類、色、透明性は特に限定されず、又、単層でもよく、複数層で構成してもよい。複数層で構成する場合には、同一の種類、色、透明性の合成樹脂を用いてもよいが、これらが異なる合成樹脂を用いてもよい。印刷シート3に用いられる合成樹脂として、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリカーボネート、ABS、ポリアセテート、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。又、印刷シート3、特に印刷面33にはインクジェットプリンターのインク受容層の形成、その他の特殊加工を施すことも可能である。
【0023】
印刷シート3には切れ込み51で囲まれ、分離可能な印刷部31が設けられている。印刷部31は完成品のカード100の表面101或いは裏面102となる。切れ込み51は印刷シート3の印刷面33から外面32を貫通して設けられている。
【0024】
接着シート4はカード100作成時に印刷部31と後述するICモジュール9を接着するためのシートであり、基層40の両面に接着層48,49を備えて構成されている。更に、接着シート4は剥離シートを備えることが望ましく、接着層48,49は夫々剥離シートたる剥離紙61,62で被覆され、剥離紙61が基材2と対向し、剥離紙62がカード作成用シート1の外面となり、カード作成用シート1の表面に露出するよう積層されている。基層40の材質は特に限定されず、紙、合成樹脂等を用いることが出来る。
【0025】
接着シート4には切れ込み52で囲まれ、分離可能な接着部41が設けられている。接着部41は印刷部31と同形状に形成されており、完成品のカード100の印刷部31と後述するICモジュール9間に積層され、印刷部31とICモジュール9を接着する。切れ込み52は剥離紙62から剥離紙61を貫通して設けられている。
【0026】
尚、切れ込み52は基材2と対向する剥離紙61には達しないように設けてもよい。又、基材2と対向する剥離紙61を設けずに、基材2の接着シート4の接着層48と対向する面を易剥離加工し、基材2に直接接着層48を積層することとしてもよい。易剥離加工としては、公知の技術を用いればよく、例えば、基材2の表面にフッ素樹脂やシリコーンで皮膜を形成する方法等が採用できる。
【0027】
印刷シート3と接着シート4の基材2への接着は、基材2に設けた接着層22を介して行われるが、接着層22は公知の感熱性接着剤、感圧性接着剤或いはその他の接着剤を用いて構成すればよい。又、接着層48,49は公知の接着剤を用いて構成するが、接着剤の接着強度或いは接着される層の材質等を異ならせること等により、基材2と剥離紙61、剥離紙61と基層40、基層40と剥離紙62の接着強度を異ならせ、基層40とカード作成用シートの表面に露出する剥離紙62の接着強度が一番弱く、次に基材2と基材2に対向した剥離紙61の接着強度が弱く、剥離紙61と基層40の接着強度を一番強くすることが望ましい。
【0028】
カード作成用シート1の大きさ、形状はインクジェットプリンター等のプリンターその他の印刷装置で使用可能であれば、特に限定されず、印刷部31及び接着部41の大きさ、形状は所望のカード100の形状に従って決定する。
【0029】
カード作成用シート1には偶数の印刷部31を設けると共に、印刷部31と接着部41は同数設けることが望ましい。偶数の印刷部31を設ける構成により、1枚のカード作成用シート1でカード100を構成するために必要な1対の表裏面を作成可能であると共に、印刷部31のあまりが出ないからであり、印刷部31と接着部41は同数設ける構成により、総ての印刷部31に後述のように容易に接着部41を積層することが可能となるからである。
【0030】
一実施例として図に示すようにカード作成用シート1をA4サイズとし、通常のカードサイズ(86mm×54mm)のカード100を作成する場合、カード作成用シート1を立て向きにし、上半分には印刷シート3を、下半分には接着シート4を積層し、印刷シート3には縦横2列に4個の印刷部31,31…を設け、接着シート4には縦横2列に4個の接着部41,41…を設けて構成する。印刷部31及び接着部41は横86mm×縦54mmで構成し、四隅部は角を落として円弧状に形成している。又、カード作成用シート1の側端から同縦列の印刷部31及び接着部41の端部までは同一幅で構成する。
【0031】
基材2には印刷部31と接着部41の対称軸となる折り目23を一側端から他側端まで設けている。即ち、折り目23から上段の印刷部31の下辺及び下段の接着部41の上辺までの距離が等しく、折り目23から下段の印刷部31の下辺及び上段の接着部41の上辺までの距離が等しく構成されている。従って、折り目23に従ってカード作成用シート1を折り曲げ、印刷シート3と接着シート4を重ねると、印刷部31と接着部41がずれることなく重ねられる。印刷シート3と接着シート4は同形状とした場合等、折り目23が印刷シート3と接着シート4の接線と重なる場合には、印刷シート3又は接着シート4に折り目を設ける必要はないが、印刷シート3と接着シート4を同形状としない場合等であって、折り目23上に印刷シート3又は接着シート4が積層される場合には、印刷シート3又は接着シート4の折り目23真上に折り目を設けることが望ましい。
【0032】
又、カード作成用シート1を立て向きにし、右或いは左半分には印刷シート3を、左或いは右半分には接着シート4を積層し、印刷シート3には縦1列に4個の印刷部31,31…を設け、接着シート4には縦1列に4個の接着部41,41…を設け、印刷部31と接着部41の対称軸となる折り目をカード作成用シート1の上端から下端まで設ける構成としてもよく、上から交互に印刷シート3、接着シート4を積層し、印刷部31と接着部41を縦1列横2列で交互に、4個づつ設け、印刷部31と接着部41の対称軸となる2本の折り目をカード作成用シート1の右端から左端まで設ける構成等、印刷部31と接着部41の配置は特に限定されない。
【0033】
ICモジュール9はICチップとコイルアンテナを合成樹脂で封止し、カード形状の均一な厚みを有する薄板に構成したものを使用するが、ICチップとコイルアンテナを合成樹脂のシートで封止したもの、又、封止していないICチップとアンテナの構成品等も使用可能である。又、これらのICモジュールは作成するカード100より小さい、即ち印刷部31や接着部41より横断面積が小さいものを用いてもよい。
【0034】
次にカード100の作成手順について説明する。先ず、図3に示すように、印刷部31にカード100の表面101及び裏面102に現れる文字、写真等11,12を反転印刷する。反転印刷は印刷面に文字や写真を反転させて印刷する印刷方法であり、アイロンプリントやTシャツ反転プリント等と呼ばれることもある印刷方法である。複数ある印刷部31,31…のうち同じ縦列の上段に表面101となる面、下段に裏面102となる面を印刷しているが、これに限定されず、任意の印刷部31を選択して印刷してもよい。又、表面101となる面又は裏面102となる面の何れかを上下逆に印刷することで、後述するように、カード100の作成をより容易とすることも可能となる。
【0035】
図2及び図6(a)に示すカード作成用シート1の接着部41から図6(b)に示すように切れ込み52により剥離紙62を剥離し、接着部41の接着層49を露出させる。剥離紙62と接着層49の接着強度は一番弱いので、この剥離の際に基材2と剥離紙61及び剥離紙61と基層40が剥離することがない。
【0036】
次に、図6(c)に示すようにカード作成用シート1を折り目23で折り、印刷部31と接着部41を重ねる。折り目23は印刷部31と接着部41の対称軸となっているので、印刷部31と接着部41はズレがなく重なり、印刷部31の印刷面33に接着部41の接着層49が接着する。
【0037】
このようにして、下層から基材2、接着層22、印刷シート3、接着層49、基層40、接着層48、剥離紙61、接着層22、基材2が積層された積層体が構成される。
【0038】
次に図6(d)に示すように接着シート4の接着部41以外の部分を及び基材2を把持して折り目23を中心として展開する。すると、剥離紙61と基層40の接着強度は基材2と剥離紙61の接着強度より強いので、剥離紙61と基材2が剥離されると共に、切れ込み52により接着シート4から接着部41が分離され、印刷シート3の印刷部31上に基層40、剥離紙61が積層された状態となる。
【0039】
そして、図6(e)に示すように、印刷シート3から切れ込み51で印刷部31を分離すると共に、基材2の接着層22から印刷部31を剥離し、印刷部31、基層40、剥離紙61の積層体89を得る。この積層体89は詳しくは図6(f)に示すように、印刷部31、接着層49、基層40、接着層48、剥離紙61の積層で構成されている。そして、印刷部31は外面32が露出すると共に印刷面33が接着層49を介して基層40に対向し積層体の内側に位置している。
【0040】
次に、図7(g)に示すように、積層体89から剥離紙61を剥離し、接着層48を露出させて、印刷部31、接着層49、基層40、接着層48の積層で構成された積層体8を構成する。
【0041】
このような積層体8をカード100の表面101用の積層体81と裏面102用の積層体82の1対2枚作成し、図7(h)に示すように、ICモジュール9の両面に積層体81及び積層体82を接着層48,48で接着し、図7(i)及び図8に示すカード100が完成する。このカード100は印刷が施された印刷面33が表面に露出していないために、印刷を保護するためにわざわざ表面をラミネート等で保護する必要がない。又、印刷面33には反転印刷で印刷が施されているので、完成品のカード100の表面101及び裏面102に現れる文字、写真等11,12は反転していない文字、写真等となる。
【0042】
又、他の作成方法として、図6(d)に示す印刷シート3の印刷部31上に基層40、剥離紙61が積層された状態を、カード100の表面101用と裏面102用の1対構成し、夫々剥離紙61を剥離する。そして、次いで、ICモジュール9を接着層48を介して前記一方の積層体と積層する。そして、基材2および印刷シート3の印刷部31,31間に設けた印刷部31,31の対称軸となる折り目24に従って折り、基部2、印刷部31、接着層49、基層40、接着層48、ICモジュール9の積層体と接着層48、基層40、接着層49、印刷部31、基部2の積層体を積層、接着し、更に、印刷部31,31を基部2から剥離し、カード100を作成することも可能である。尚、このような作成方法を用いる場合には、印刷部33のカードの表面101となる面又は裏面102となる面の何れかを上下逆に印刷することが、カード100の表裏の上下方向が同一となるので望ましい。
【0043】
上記図7(h)に示すICモジュール9の両面に積層体81及び積層体82を積層する工程に於いて、図9〜11に示すカード作成補助具7を用いることが出来る。
【0044】
カード作成補助具7は略方形で上面が平坦の底部71の上面の周囲に内側横断面が方形状の側壁72を設け、側壁72の夫々の4辺の略中間部に切り欠部73を設けて構成している。尚、切り欠部73は少なくとも側壁72の対向する位置、例えば側壁72の1対の対向する2辺の略中間部にのみ設けることとしてもよい。底部71と側壁72で作業空間70を形成する。底部71の側壁72で区画された部分の形状は作成するカード100の形状と略同一としている。側壁72の内側面74は底部71に向かって作業空間70方向へ傾斜するテーパー状に構成することは望ましい。この構成により、積層されるカードの部材は底部71の同一位置へ誘導され、ずれなく積層することが可能となるからである。
【0045】
尚、積層の際に、積層体82の接着層48の中央部等にICモジュール9の端縁が或いはICモジュール9の中央部等に積層体82の接着層48の端縁が接触すると、両者が接着され、不良品となってしまうので、不良品とならず、且ズレがない見栄えのよいカードを作成するためには、積層体82の真上から積層体81、ICモジュール9を落下させることが望ましい。そのために、切り欠部73の構成が有効となる。
【0046】
カード作成補助具7を用いて、上記図7(h)に示す工程を進める場合、先ず、1個の積層体8、例えば積層体82を印刷部31を底部71に対向させて作業空間70へ落とし、積層体82を底部71上に載置する。次にICモジュール9を作業空間70へ落とし、更に、接着層48をICモジュール9に対向させて積層体81を作業空間70へ落とす。積層体81,82、ICモジュール9を作業空間70へ落とす際に夫々の対向する側端を指で挟み持ちつつ側壁72の高さより下方まで移動させ、積層体81,82、ICモジュール9が作業空間70へ入った時に落下させる。積層体81,82、ICモジュール9は内側面74に案内されて、順次ずれなく積層される。上から押圧し、カード100を作成する。
【0047】
又、カード作成補助具7は図11に示すように、底部71にカード100の形状の孔79を設ける構成としてもよい。このような構成とした場合、上述のような手順で作成する他、図6(d)に示す印刷シート3の印刷部31上に基層40、剥離紙61が積層された状態を、カード100の表面101用のと裏面102用の1対構成し、夫々剥離紙61を剥離する。そして、カード作成補助具7をカード作成用シート1に載置し、孔79に一方の印刷部31、接着層49、基層40、接着層48の積層体を挿入し、孔79の周縁77を切り込51と合わせる。次いで、ICモジュール9を作業空間70へ落とし、接着層48を介して前記積層体と積層する。そして、カード作成補助具7を除き、印刷部31,31間に設けた印刷部31,31の対称軸となる折り目24に従って折り、基部2、印刷部31、接着層49、基層40、接着層48、ICモジュール9の積層体と接着層48、基層40、接着層49、印刷部31、基部2の積層体を積層、接着し、印刷部31,31を基部2から剥離し、カード100を作成する。このような工程では、カード100の完成まで基材2上で行うことが可能となり、作業効率がよく、ズレのないカードの作成が可能である。
【0048】
以上では、ICカードの作成を例に説明したが、本発明に言うカードはICカードに限定されず、積層体8,8間には何も積層しないでカードを作成し、或いは磁気テープ等を備えた磁気記録層を積層する等して各種カードを極めて容易に作成することが出来る。
【符号の説明】
【0049】
1 カード作成用シート
2 基材
22 接着層
23 折り目
3 印刷シート
31 印刷部
33 印刷面
4 接着シート
40 基層
41 接着部
48 接着層
49 接着層
51 切れ込み
52 切れ込み
61 剥離紙
62 剥離紙
7 カード作成補助具
71 底部
72 側壁
73 切り欠部
74 側壁72の内側面
79 孔
8 積層体
9 ICモジュール
100 カード
【技術分野】
【0001】
本発明はカード作成方法に関し、特に氏名や写真が表示されるIDカード、更にはICモジュールを備えたIC/IDカード等を容易に作成可能なカード作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から氏名や写真が表示されたIDカードが社員証、学生証、会員証等で用いられている。これらのカードは紙や合成樹脂製の薄板の表面に写真や氏名が印刷、接着、或いは手書き等され情報提示面が形成され、その上にプラスチックシート等でラミネートされて写真や印刷等表示された情報提示面が保護されているものが主流である。また、これらのカードに磁気テープ或いは最近はICモジュール等が積層され個人情報等が記録された磁気カードやICカード、特に非接触式ICカードが多く用いられるようになっている。
【0003】
これらのカードは、オフセット印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷等の印刷方法及び装置を用いて紙や合成樹脂製の薄板に写真や氏名等の情報、注意事項等を印刷する工程、カード製造専用の装置を用いて前記印刷済み薄板、ラミネートシート、ICモジュール等を積層、接着する工程、カード形状に裁断する工程等複数の複雑な工程をへて専門の業者により製造されている。従って、大量生産が基本であり、少量の生産ではコストが高くなり、現実問題として、100枚程度の少量の注文には応じてもらえないのが現状である。又、少量にもかかわらず、納期を早めることは出来ず、直ぐにカードを作成したい、必要のつど新たにカードを作成したいといった要望にはこたえることが出来なかった。
【0004】
そこで、少量のカードを専門の業者に発注することなく、作製可能なシートとして、第一接着層を有する印刷用シートと、一面が上記印刷用シートの第一接着層に対して剥離可能に積層された剥離シートと、第二接着層を有し、上記第二接着層が上記剥離シートの他面に対して剥離可能に積層された樹脂シートを備える印刷用紙が提案されている(特許文献1参照。)。この印刷用紙は上記印刷用シートと剥離シートと樹脂シートとの積層部に、切り取り線で囲まれた切り離し可能なカード部が設けられ、上記カード部のうち印刷用シートと剥離シートとが第一接着層を介して積層された状態で上記樹脂シートと第二接着層を残して剥離しうるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−67172
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来技術では、カードの作成工程において、印刷用シート及び剥離シートの積層部を樹脂シートから一度剥離し、裏返して、再度樹脂シートに接着させる作業が必要であり、工程数が多く、作業が煩雑であり、又、一度印刷用紙から剥した印刷用シート及び剥離シートの積層部を再度樹脂シートに正確に重ねて接着させる作業は困難であり、積層体にズレが生じやすく、不良品が多くなるという欠点があった。又、使用可能なものであっても、積層体のズレにより、樹脂シートによるラミネート即ち印刷面等の保護が不十分となったり、使用しにくいと共に見栄えがよくないものとなる欠点があった。
【0007】
そこで、本願発明は、上記従来技術の欠点を解決し、各種カードの作成において、特殊な機械を使用することなく、簡易な作業で容易に印刷面等が保護されたカードの作製を可能とすることを目的とする。又、少量のカードを専門業者に発注することなく自己で必要のつど作成可能とすることを目的とする。又、複数の層の積層をズレがなく確実且容易に積層可能で、不良品の発生率を極めて低くすることを目的とする。更に、写真、印刷、手書き等が表示されたシートの情報提示面の保護を確実に行うことを目的とする。更に、積層のズレがなく使用しやすく、見栄えのよいカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段としての本願発明の第一の手段は、基材と、該基材に剥離可能に接着された印刷シートと、基層の両面に接着層を有し、少なくとも一面の接着層には剥離シートが積層され、他面の接着層が基材に対向し、該基材に剥離可能に接着された接着シートを備え、印刷シートには切れ込みで囲まれた分離可能な印刷部を設け、接着シートには印刷部と同形状の切れ込みで囲まれた分離可能な接着部を設け、少なくとも基材に印刷部と接着部の対称軸となる折り目を設けたことを特徴とするカード作成用シートである。
【0009】
又、第二の手段は、上記第一の手段に於いて、印刷シートはカードの外表面となる外面が基材と対向し、カードの内面側となり、印刷が施される印刷面がカード作成用シートの外表面に露出して積層されていることを特徴とするカード作成用シートである。このような構成により、印刷面がカードの外表面とならずに、印刷面に特別な保護を行うことなく印刷を保護することが可能となった。
【0010】
又、第三の手段は、上記第一又は第二の手段に於いて、基層の両面に設けた接着層に夫々剥離シートを積層したことを特徴とするカード作成用シートである。このような構成により、積層体の取扱いが容易となり、カードの作成がより容易となった。
【0011】
又、第四の手段は、上記第三の手段に於いて、基層とカード作成用シートの表面に露出する剥離紙の接着強度が一番弱く、次に基材と基材に対向した剥離シートの接着強度が弱く、基材に対向した剥離紙と基層の接着強度が一番強いことを特徴とするカード作成用シートである。このような構成により、目的の積層物のみを効率よく、容易に剥離することが可能となり、カードの作成がより容易となった。
【0012】
又、第五の手段は、上記第一から第四のうちいずれかの手段に於いて、カード作成用シートには偶数の印刷部を設けると共に、印刷部と接着部は同数設けることを特徴とするカード作成用シートである。
【0013】
又、第六の手段は、上記第一から第五のうちいずれかの手段に於いて、少なくとも基材に一の印刷部と他の印刷部の対称軸となる折り目を設けたことを特徴とするカード作成用シートである。このような構成により、カードの完成まで基材上で行うことが可能となり、作業効率がよく、ズレのないカードの作成が可能となった。
【0014】
又、第七の手段は、印刷面に施した印刷が他面から可視可能な印刷シートの印刷面に反転印刷をする工程、印刷シートの印刷面に基層の両面に接着層を備えた接着シートを積層し積層体を作成する工程、2枚の該積層体間にICモジュールを挟み積層する工程を有するカードの作成方法である。この方法によれば、印刷がほどこされた面はカードの外表面に露出することがないので、別途印刷面にラミネート等の加工、作業を伴うことなく、簡易な作業で容易に印刷面等が確実に保護されたカードの作製を可能となった。
【0015】
又、第八の手段は、上面が平坦の底部の上面に内側横断面が方形状の側壁を設け、少なくとも側壁の対向する位置に切り欠部を設け、底部の側壁で区画された部分の形状は作成するカードと略同一形状としたことを特徴とするカード作成補助具である。このような補助具により、複数の層の積層をズレがなく確実且容易に積層可能で、不良品の発生率を極めて低くすることができた。
【0016】
又、第九の手段は、上記第八の手段に於いて、側壁の内側面はテーパー状に構成したことを特徴とするカード作成補助具である。このような構成により、より容易に、カードの作成が可能となった。
【0017】
又、第十の手段は、上記第八又は九の手段に於いて、底部に、作成するカードの形状の孔を設けたことを特徴とするカード作成補助具である。このような構成により、より容易に、積層のズレがないカードの作成が可能となった。
【発明の効果】
【0018】
以上のような本願発明によれば、各種カードの作成において、特殊な機械を使用することなく、簡易な作業で容易に印刷面等が保護されたカードの作製が可能となった。又、少量のカードを専門業者に発注することなく自己で必要のつど作成可能とすることが可能となった。又、複数の層の積層をズレがなく確実且容易に積層可能で、不良品の発生率を極めて低くすることが出来た。更に、写真、印刷、手書き等が表示されたシートの情報提示面の保護を確実に行うことが可能となった。更に、積層のズレがなく使用しやすく、見栄えのよいカードを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明一実施例斜視図
【図2】図1A−A断面図
【図3】本発明一実施例印刷工程後の正面図
【図4】本発明一実施例印刷部部分拡大図
【図5】本発明一実施例接着部部分拡大図
【図6】本発明一実施例を用いたICカード作成工程図
【図7】本発明一実施例を用いたICカード作成工程図
【図8】本発明一実施例を用いて作成したICカードの(a)正面図、(b)背面図、(c)縦断面図
【図9】本発明カード作成補助具一実施例斜視図
【図10】本発明カード作成補助具一実施例を用いたICカード作成工程を示す縦断面図
【図11】本発明カード作成補助具他実施例斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下本発明の実施の形態を図に従って説明する。カード作成用シート1は基材2と印刷シート3と接着シート4を備え、印刷シート3と接着シート4は夫々該基材2に剥離可能に疑似接着されて積層されている。印刷シート3と接着シート4は夫々該基材2上の略半面に並列して積層されている。
【0021】
印刷シート3は合成樹脂のシートであり、カード100の一部材として積層した際にカード100の外表面となる外面32が基材2と対向し、カード100の内面側となり、印刷が施される印刷面33がカード作成用シート1の外表面に露出するよう積層されている。
【0022】
印刷シート3に用いられる合成樹脂は、印刷面33に施した印刷が他面の外面32から可視可能であれば、その種類、色、透明性は特に限定されず、又、単層でもよく、複数層で構成してもよい。複数層で構成する場合には、同一の種類、色、透明性の合成樹脂を用いてもよいが、これらが異なる合成樹脂を用いてもよい。印刷シート3に用いられる合成樹脂として、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリカーボネート、ABS、ポリアセテート、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。又、印刷シート3、特に印刷面33にはインクジェットプリンターのインク受容層の形成、その他の特殊加工を施すことも可能である。
【0023】
印刷シート3には切れ込み51で囲まれ、分離可能な印刷部31が設けられている。印刷部31は完成品のカード100の表面101或いは裏面102となる。切れ込み51は印刷シート3の印刷面33から外面32を貫通して設けられている。
【0024】
接着シート4はカード100作成時に印刷部31と後述するICモジュール9を接着するためのシートであり、基層40の両面に接着層48,49を備えて構成されている。更に、接着シート4は剥離シートを備えることが望ましく、接着層48,49は夫々剥離シートたる剥離紙61,62で被覆され、剥離紙61が基材2と対向し、剥離紙62がカード作成用シート1の外面となり、カード作成用シート1の表面に露出するよう積層されている。基層40の材質は特に限定されず、紙、合成樹脂等を用いることが出来る。
【0025】
接着シート4には切れ込み52で囲まれ、分離可能な接着部41が設けられている。接着部41は印刷部31と同形状に形成されており、完成品のカード100の印刷部31と後述するICモジュール9間に積層され、印刷部31とICモジュール9を接着する。切れ込み52は剥離紙62から剥離紙61を貫通して設けられている。
【0026】
尚、切れ込み52は基材2と対向する剥離紙61には達しないように設けてもよい。又、基材2と対向する剥離紙61を設けずに、基材2の接着シート4の接着層48と対向する面を易剥離加工し、基材2に直接接着層48を積層することとしてもよい。易剥離加工としては、公知の技術を用いればよく、例えば、基材2の表面にフッ素樹脂やシリコーンで皮膜を形成する方法等が採用できる。
【0027】
印刷シート3と接着シート4の基材2への接着は、基材2に設けた接着層22を介して行われるが、接着層22は公知の感熱性接着剤、感圧性接着剤或いはその他の接着剤を用いて構成すればよい。又、接着層48,49は公知の接着剤を用いて構成するが、接着剤の接着強度或いは接着される層の材質等を異ならせること等により、基材2と剥離紙61、剥離紙61と基層40、基層40と剥離紙62の接着強度を異ならせ、基層40とカード作成用シートの表面に露出する剥離紙62の接着強度が一番弱く、次に基材2と基材2に対向した剥離紙61の接着強度が弱く、剥離紙61と基層40の接着強度を一番強くすることが望ましい。
【0028】
カード作成用シート1の大きさ、形状はインクジェットプリンター等のプリンターその他の印刷装置で使用可能であれば、特に限定されず、印刷部31及び接着部41の大きさ、形状は所望のカード100の形状に従って決定する。
【0029】
カード作成用シート1には偶数の印刷部31を設けると共に、印刷部31と接着部41は同数設けることが望ましい。偶数の印刷部31を設ける構成により、1枚のカード作成用シート1でカード100を構成するために必要な1対の表裏面を作成可能であると共に、印刷部31のあまりが出ないからであり、印刷部31と接着部41は同数設ける構成により、総ての印刷部31に後述のように容易に接着部41を積層することが可能となるからである。
【0030】
一実施例として図に示すようにカード作成用シート1をA4サイズとし、通常のカードサイズ(86mm×54mm)のカード100を作成する場合、カード作成用シート1を立て向きにし、上半分には印刷シート3を、下半分には接着シート4を積層し、印刷シート3には縦横2列に4個の印刷部31,31…を設け、接着シート4には縦横2列に4個の接着部41,41…を設けて構成する。印刷部31及び接着部41は横86mm×縦54mmで構成し、四隅部は角を落として円弧状に形成している。又、カード作成用シート1の側端から同縦列の印刷部31及び接着部41の端部までは同一幅で構成する。
【0031】
基材2には印刷部31と接着部41の対称軸となる折り目23を一側端から他側端まで設けている。即ち、折り目23から上段の印刷部31の下辺及び下段の接着部41の上辺までの距離が等しく、折り目23から下段の印刷部31の下辺及び上段の接着部41の上辺までの距離が等しく構成されている。従って、折り目23に従ってカード作成用シート1を折り曲げ、印刷シート3と接着シート4を重ねると、印刷部31と接着部41がずれることなく重ねられる。印刷シート3と接着シート4は同形状とした場合等、折り目23が印刷シート3と接着シート4の接線と重なる場合には、印刷シート3又は接着シート4に折り目を設ける必要はないが、印刷シート3と接着シート4を同形状としない場合等であって、折り目23上に印刷シート3又は接着シート4が積層される場合には、印刷シート3又は接着シート4の折り目23真上に折り目を設けることが望ましい。
【0032】
又、カード作成用シート1を立て向きにし、右或いは左半分には印刷シート3を、左或いは右半分には接着シート4を積層し、印刷シート3には縦1列に4個の印刷部31,31…を設け、接着シート4には縦1列に4個の接着部41,41…を設け、印刷部31と接着部41の対称軸となる折り目をカード作成用シート1の上端から下端まで設ける構成としてもよく、上から交互に印刷シート3、接着シート4を積層し、印刷部31と接着部41を縦1列横2列で交互に、4個づつ設け、印刷部31と接着部41の対称軸となる2本の折り目をカード作成用シート1の右端から左端まで設ける構成等、印刷部31と接着部41の配置は特に限定されない。
【0033】
ICモジュール9はICチップとコイルアンテナを合成樹脂で封止し、カード形状の均一な厚みを有する薄板に構成したものを使用するが、ICチップとコイルアンテナを合成樹脂のシートで封止したもの、又、封止していないICチップとアンテナの構成品等も使用可能である。又、これらのICモジュールは作成するカード100より小さい、即ち印刷部31や接着部41より横断面積が小さいものを用いてもよい。
【0034】
次にカード100の作成手順について説明する。先ず、図3に示すように、印刷部31にカード100の表面101及び裏面102に現れる文字、写真等11,12を反転印刷する。反転印刷は印刷面に文字や写真を反転させて印刷する印刷方法であり、アイロンプリントやTシャツ反転プリント等と呼ばれることもある印刷方法である。複数ある印刷部31,31…のうち同じ縦列の上段に表面101となる面、下段に裏面102となる面を印刷しているが、これに限定されず、任意の印刷部31を選択して印刷してもよい。又、表面101となる面又は裏面102となる面の何れかを上下逆に印刷することで、後述するように、カード100の作成をより容易とすることも可能となる。
【0035】
図2及び図6(a)に示すカード作成用シート1の接着部41から図6(b)に示すように切れ込み52により剥離紙62を剥離し、接着部41の接着層49を露出させる。剥離紙62と接着層49の接着強度は一番弱いので、この剥離の際に基材2と剥離紙61及び剥離紙61と基層40が剥離することがない。
【0036】
次に、図6(c)に示すようにカード作成用シート1を折り目23で折り、印刷部31と接着部41を重ねる。折り目23は印刷部31と接着部41の対称軸となっているので、印刷部31と接着部41はズレがなく重なり、印刷部31の印刷面33に接着部41の接着層49が接着する。
【0037】
このようにして、下層から基材2、接着層22、印刷シート3、接着層49、基層40、接着層48、剥離紙61、接着層22、基材2が積層された積層体が構成される。
【0038】
次に図6(d)に示すように接着シート4の接着部41以外の部分を及び基材2を把持して折り目23を中心として展開する。すると、剥離紙61と基層40の接着強度は基材2と剥離紙61の接着強度より強いので、剥離紙61と基材2が剥離されると共に、切れ込み52により接着シート4から接着部41が分離され、印刷シート3の印刷部31上に基層40、剥離紙61が積層された状態となる。
【0039】
そして、図6(e)に示すように、印刷シート3から切れ込み51で印刷部31を分離すると共に、基材2の接着層22から印刷部31を剥離し、印刷部31、基層40、剥離紙61の積層体89を得る。この積層体89は詳しくは図6(f)に示すように、印刷部31、接着層49、基層40、接着層48、剥離紙61の積層で構成されている。そして、印刷部31は外面32が露出すると共に印刷面33が接着層49を介して基層40に対向し積層体の内側に位置している。
【0040】
次に、図7(g)に示すように、積層体89から剥離紙61を剥離し、接着層48を露出させて、印刷部31、接着層49、基層40、接着層48の積層で構成された積層体8を構成する。
【0041】
このような積層体8をカード100の表面101用の積層体81と裏面102用の積層体82の1対2枚作成し、図7(h)に示すように、ICモジュール9の両面に積層体81及び積層体82を接着層48,48で接着し、図7(i)及び図8に示すカード100が完成する。このカード100は印刷が施された印刷面33が表面に露出していないために、印刷を保護するためにわざわざ表面をラミネート等で保護する必要がない。又、印刷面33には反転印刷で印刷が施されているので、完成品のカード100の表面101及び裏面102に現れる文字、写真等11,12は反転していない文字、写真等となる。
【0042】
又、他の作成方法として、図6(d)に示す印刷シート3の印刷部31上に基層40、剥離紙61が積層された状態を、カード100の表面101用と裏面102用の1対構成し、夫々剥離紙61を剥離する。そして、次いで、ICモジュール9を接着層48を介して前記一方の積層体と積層する。そして、基材2および印刷シート3の印刷部31,31間に設けた印刷部31,31の対称軸となる折り目24に従って折り、基部2、印刷部31、接着層49、基層40、接着層48、ICモジュール9の積層体と接着層48、基層40、接着層49、印刷部31、基部2の積層体を積層、接着し、更に、印刷部31,31を基部2から剥離し、カード100を作成することも可能である。尚、このような作成方法を用いる場合には、印刷部33のカードの表面101となる面又は裏面102となる面の何れかを上下逆に印刷することが、カード100の表裏の上下方向が同一となるので望ましい。
【0043】
上記図7(h)に示すICモジュール9の両面に積層体81及び積層体82を積層する工程に於いて、図9〜11に示すカード作成補助具7を用いることが出来る。
【0044】
カード作成補助具7は略方形で上面が平坦の底部71の上面の周囲に内側横断面が方形状の側壁72を設け、側壁72の夫々の4辺の略中間部に切り欠部73を設けて構成している。尚、切り欠部73は少なくとも側壁72の対向する位置、例えば側壁72の1対の対向する2辺の略中間部にのみ設けることとしてもよい。底部71と側壁72で作業空間70を形成する。底部71の側壁72で区画された部分の形状は作成するカード100の形状と略同一としている。側壁72の内側面74は底部71に向かって作業空間70方向へ傾斜するテーパー状に構成することは望ましい。この構成により、積層されるカードの部材は底部71の同一位置へ誘導され、ずれなく積層することが可能となるからである。
【0045】
尚、積層の際に、積層体82の接着層48の中央部等にICモジュール9の端縁が或いはICモジュール9の中央部等に積層体82の接着層48の端縁が接触すると、両者が接着され、不良品となってしまうので、不良品とならず、且ズレがない見栄えのよいカードを作成するためには、積層体82の真上から積層体81、ICモジュール9を落下させることが望ましい。そのために、切り欠部73の構成が有効となる。
【0046】
カード作成補助具7を用いて、上記図7(h)に示す工程を進める場合、先ず、1個の積層体8、例えば積層体82を印刷部31を底部71に対向させて作業空間70へ落とし、積層体82を底部71上に載置する。次にICモジュール9を作業空間70へ落とし、更に、接着層48をICモジュール9に対向させて積層体81を作業空間70へ落とす。積層体81,82、ICモジュール9を作業空間70へ落とす際に夫々の対向する側端を指で挟み持ちつつ側壁72の高さより下方まで移動させ、積層体81,82、ICモジュール9が作業空間70へ入った時に落下させる。積層体81,82、ICモジュール9は内側面74に案内されて、順次ずれなく積層される。上から押圧し、カード100を作成する。
【0047】
又、カード作成補助具7は図11に示すように、底部71にカード100の形状の孔79を設ける構成としてもよい。このような構成とした場合、上述のような手順で作成する他、図6(d)に示す印刷シート3の印刷部31上に基層40、剥離紙61が積層された状態を、カード100の表面101用のと裏面102用の1対構成し、夫々剥離紙61を剥離する。そして、カード作成補助具7をカード作成用シート1に載置し、孔79に一方の印刷部31、接着層49、基層40、接着層48の積層体を挿入し、孔79の周縁77を切り込51と合わせる。次いで、ICモジュール9を作業空間70へ落とし、接着層48を介して前記積層体と積層する。そして、カード作成補助具7を除き、印刷部31,31間に設けた印刷部31,31の対称軸となる折り目24に従って折り、基部2、印刷部31、接着層49、基層40、接着層48、ICモジュール9の積層体と接着層48、基層40、接着層49、印刷部31、基部2の積層体を積層、接着し、印刷部31,31を基部2から剥離し、カード100を作成する。このような工程では、カード100の完成まで基材2上で行うことが可能となり、作業効率がよく、ズレのないカードの作成が可能である。
【0048】
以上では、ICカードの作成を例に説明したが、本発明に言うカードはICカードに限定されず、積層体8,8間には何も積層しないでカードを作成し、或いは磁気テープ等を備えた磁気記録層を積層する等して各種カードを極めて容易に作成することが出来る。
【符号の説明】
【0049】
1 カード作成用シート
2 基材
22 接着層
23 折り目
3 印刷シート
31 印刷部
33 印刷面
4 接着シート
40 基層
41 接着部
48 接着層
49 接着層
51 切れ込み
52 切れ込み
61 剥離紙
62 剥離紙
7 カード作成補助具
71 底部
72 側壁
73 切り欠部
74 側壁72の内側面
79 孔
8 積層体
9 ICモジュール
100 カード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷面に施した印刷が他面から可視可能な印刷シートの印刷面に反転印刷をする工程、印刷シートの印刷面に基層の両面に接着層を備えた接着シートを積層し積層体を作成する工程、2枚の該積層体間にICモジュールを挟み積層する工程を有するカードの作成方法。
【請求項1】
印刷面に施した印刷が他面から可視可能な印刷シートの印刷面に反転印刷をする工程、印刷シートの印刷面に基層の両面に接着層を備えた接着シートを積層し積層体を作成する工程、2枚の該積層体間にICモジュールを挟み積層する工程を有するカードの作成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−181076(P2011−181076A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63041(P2011−63041)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【分割の表示】特願2005−361805(P2005−361805)の分割
【原出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(595068966)総合計画工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【分割の表示】特願2005−361805(P2005−361805)の分割
【原出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(595068966)総合計画工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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