説明

カード供給装置

【課題】 カードに傷をつけることなく確実に1枚づつ供給する。
【解決手段】 上部が開口した供給ストッカ151内に、ICカード18が厚み方向に積載されている。供給ストッカ151の上方には、ロッド23を備えたエアシリンダが設けられている。ロッド23の下部にはブラケット24が固定され、ブラケット24の両端部には、ロッド23を挟むように一対のエアシリンダ25,25が取付けられている。エアシリンダ25のロッド26の下部には可撓性を有する吸引部材27が取付けられ、吸引部材27の下端はロッド23の下端と同じ高さに形成されている。吸引部27とロッド26とは共に連通する中空部が形成され、中空部内のエアは吸引エア源によって吸引されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ICカード等比較的厚みが有り、かつ剛性の大きいカードを1枚づつ供給するカード供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種のカード供給装置としては、内部にカードを厚み方向に積載する上、下が開口した筒状のカードケースと、下方の開口から最下位のカードに当接してカードを押し上げる押し上げ手段と、上方の開口から最上位のカードを吸引する吸引部材とが備えられ、押し上げ手段によって常に一定の高さ位置に保持された最上位のカードに対して、吸引部材が下降し最上位のカードを吸引した後上昇することにより、2枚目以降のカードから分離させて1枚づつ供給するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のカード供給装置では、カード間に発生する静電気の影響によって2枚目のカードも同時に供給される虞があった。そこで、カードケースの上端部内面にカードの側端を当接させる突出部を設け、吸引部材によって吸引した最上位のカードを引き上げる際、この最上位のカードに密着して引き上げられる2枚目以降のカードの側端をこの突出部に当接させることによって、2枚目以降のカードをカードケース内に強制的に落下させる構造のものも提案されている。しかしながら、この構造のものでは、2枚目以降のカードが突出部に係止されたままの状態となって所定の位置に落下しない場合があり、この場合には次にこの2枚目のカードを吸引部材で吸引するときに吸引し損じる虞があり、供給不良につながっていた。また、突出部にカードの側端が当接するためカードに傷がつきやすいといった問題もあった。
【0004】したがって、本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、カードに傷をつけることなく確実に1枚づつ供給するカード供給装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために、第1または第2の発明に係るカード供給装置は、積載された複数枚のカードから最上位のカードを1枚づつ供給するカード供給装置であって、最上位のカードを吸引する複数の吸引部材と、最上位のカードの表面に当接する当接部材とを備え、吸引部材を吸引したカードと反対方向に退出自在とし、または当接部材を吸引部材で吸引したカード側に進出自在としたものである。したがって、吸引部材で吸引された最上位のカードは、2枚目のカードと反対方向に湾曲状に弾性変形し、2枚目のカードとは面接触から線接触に変わるので、静電気の影響が低減する。
【0006】また、第3の発明は、第1または第2の発明において、当接部材の進出または吸引部材の退出を複数回行うものである。したがって、最上位のカードから2枚目のカードを確実に分離することができ、カードを確実に1枚づつ供給することができる。
【0007】また、第4の発明は、第1または第2の発明において、吸引部材のカードを吸引する部位を可撓性を有する部材で形成したものである。したがって、吸引部材によって吸引された最上位のカードの湾曲状の変形に追従して、吸引部材のカードを吸引する部位が弾性変形する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係るカード供給装置を適用したICカード発行装置の平面図、図2は同じく一部を破断して示す側面図、図3は本発明に係るカード供給装置の側面図、図4は本発明に係るカード供給装置におけるカードの供給動作を説明するための断面図、図5ないし図8はカード書込部におけるカードの書き込み動作を説明するカード書込部とカード搬送部とを示す側面図である。図1および図2において、全体を符号1で示すICカード発行装置は、基台2上に設けられた未記録カードを供給するカード供給部10と、未記録カードに情報を書き込むカード書込部50と、記録されたカードを収納するカード収納部70と、不良カードを収納する不良カード収納部90と、前記カード供給部10からカードをカード書込部50、カード収納部70、不良カード収納部90に搬送するカード搬送部30とで構成されている。
【0009】カード供給部10は基台2の右側部に設けられており、図1中A−B方向に延在するように細長く形成された供給テーブル11が備えられており、図2に示すように、この供給テーブル11の下端には、断面コ字状のスライド部材12が取付けられている。このスライド部材12を、基台2の右側端部に一体形成された凸条体13のレール部13aに嵌合させることにより、レール部13aをガイド部材として、供給テーブル11は図示を省略した移動機構によってA−B方向に移動自在に案内される。この供給テーブル11上には、ストッカ載置台14が固定され、このストッカ載置台14には、断面矩形状の受け口14aがA−B方向に3個穿設されている。このストッカ載置台14の3個の受け口14a内には、これら受け口14aよりもわずかに小さい断面積を有する供給ストッカ151,152,153の下部が嵌入され、これら供給ストッカ151,152,153は供給テーブル11上に載置される。
【0010】これら供給ストッカ151,152,153は、上方が開口し、底部に正方形状の窓16が形成されて、全体が略角筒状を呈しており、取手17が取付けられている。このように受け口14a内に設置された供給ストッカ151,152,153のうち、供給ストッカ151の窓16に対応して、図2に示すように、上述した供給テーブル11には孔11aが穿設されている。この孔11aに対応する下方には、昇降自在で孔11aおよび前記窓16から供給ストッカ151内に進出自在なカード押上部材19が設けられている。このカード押上部材19は、供給ストッカ151内のICカード18が後述するエアシリンダ22によって1枚づつ吸引されて最上位のICカード181の高さが低くなると、これを図示を省略したセンサで検出して、常に最上位のICカード181の高さが一定位置を保持するように、最下位のICカードを押し上げるように機能する。前記供給テーブル11は、カードを供給する位置にある供給ストッカ151内のICカード18の供給が終わり空になると、図示を省略したセンサによってこれが検出され、カード押上部材19を下降させ、供給テーブル11がA方向に移動し、次の供給ストッカ152が供給ストッカ151の替わりにカードを供給する位置に配置される。
【0011】前記基台2の前端部上および後端部上には、複数の支持部材(図示せず)が対向するようにして立設され、これら複数の支持部材間には、天井部材3が基台2の上方に架設されている。この天井部材3の右側部には、供給ストッカ151に対応する部位にロッド23を備えたエアシリンダ22が垂下するようにして取付けられている。図4に示すように、ロッド23の下端部にはブラケット24が固定され、このブラケット24の両端部には、ロッド23を挟むようにしてロッド26,26を備えた一対のエアシリンダ25,25が固定されている。ロッド26の先端には、可撓性を有し下端が開口した蛇腹状の吸引部材27が取付けられ、これらロッド26と吸引部材27とには共に連通した中空部が形成されており、図示を省略した吸引エア源によって吸引部材27の先端開口からエアが吸引されるように構成されている。これら吸引部材27の先端と前述したロッド23の先端とはほぼ同一高さに位置付けられている。
【0012】カード搬送部30は基台2の略中央に位置し、このカード搬送部30には、基台2に固定されたモータ32によって図1中、矢印C−D方向に回転自在な回転テーブル31が備えられている。この回転テーブル31上には、互いのなす角度をαとする2台の搬送アーム351,352が設けられている。これら搬送アーム351,352は、回転テーブル31上に固定された基台38と、この基台38の側面に形成されたガイド39に沿って矢印E−F方向に摺動自在に駆動されるアーム41と、このアーム41の先端に上下に対向して設けられ互いに上下方向に接離自在に駆動される一対のカード把持部42,42とで構成されている。これら搬送アーム351,352は回転テーブル31の回転によってカード把持部42が上述した供給ストッカ151、後述するカード書込部50の書込台521,522、収納ストッカ751および不良カード収納部90に指向するように構成されている。また、図2に示すように、カード把持部42が供給ストッカ151、書込台521,522および収納ストッカ751の上端よりわずかに高く位置付けられている。
【0013】カード書込部50には、2つの書込台521,522が前記回転テーブル31の外周に位置し、回転テーブル31の回転中心33を中心として、互いに回転角度α離間するように設けられている。これら2つの書込台521,522のうち、一方の書込台521と前述した供給ストッカ151とは回転中心33を中心として互いに回転角度α離間し、他方の書込台522と後述する収納ストッカ751とは回転中心33を中心として互いに回転角度α離間している。2つの書込台521,522の上面には、カードが位置ずれを起こさずに載置されるように、カードの外形よりもわずかに大きい外形の凹部53,53が形成されている。これら凹部53,53には、これら凹部53、53に載置される未記録のICカード18の接点部に対応して窓54,54が穿設されている。
【0014】図5に示すように、書込台521(522)は、基台2に垂直上方に向かって延在するように固定された支柱56に、図示を省略した駆動源によって上下に摺動自在に支持されている。前記窓54内には、ICカードの接点部と接触して情報を書き込む書込み用接点部60が接点台59上に設けられており、接点台59は保持台58上に載置固定されている。この保持台58は、書込台521の下端に固定されたガイド部材57に、図示を省略した駆動源によって上下に摺動自在に支持されている。支柱56の上部には、支持部材63が水平に延在するように固定され、この支持部材63には、エアシリンダ64が垂直方向に延在するように固定されている。66はエアシリンダ64のロッド65の下端に取付られたカード押え部材であって、前記書込台521の凹部53の略中央部の上方に位置付けられている。
【0015】カード収納部70は基台2の左側部に位置し、このカード収納部70には、基台2の左側端部に一体形成した凸条体73のレール部73aにスライド部材72を介して矢印A−B方向に摺動自在な収納テーブル71が設けられている。この収納テーブル71上には、上述した供給テーブル11と同様に、3個の受け口74aが穿設されたストッカ載置台74が固定されている。これら受け口74a内には、収納ストッカ751,752,753の下部が嵌入されることによって、収納ストッカ751,752,753が収納テーブル71上に載置される。
【0016】これら収納ストッカ751,752,753は、上述した供給ストッカ151,152,153と同形の角筒状に形成され、上部が開口し、底部に窓76が穿設され、取手77が取付けられている。収納テーブル71の収納ストッカ751の窓76に対応した位置には、孔71aが穿設され、収納テーブル71の下方に配置した昇降自在なカード押上部材79が、これら孔71a、窓76から収納ストッカ751内に進出するように位置付けられている。収納ストッカ751内に収納される記録済みのカードが満杯になると、図示を省略したセンサが満杯状態を検出し、収納テーブル72はA方向に移動して、次の空の収納ストッカ752が収納ストッカ751の位置に移動する。収納ストッカ751の上方には、ロッド23が垂下するようにして上述したエアシリンダ22が天井部材3に取付けられている。
【0017】次に、このような構成のICカード発行装置におけるICカードの供給動作および発行動作を説明する。先ず、ICカードの供給動作を説明すると、供給ストッカ151,152,153内に、未記録のICカード18を厚み方向に積載するようにして装填し、これら供給ストッカ151,152,153を載置台14の受け口14a内に下部を嵌入させ、供給テーブル11上に載置する。供給ストッカ151の上方に位置するエアシリンダ22のロッド23を、図4(a)に示すように、最上位のICカード181の表面にロッド23の先端が当接するまでロッド23を下降させ、エアシリンダ25、25の吸引部材27,27の先端も最上位のICカード181の表面に当接させる。
【0018】図示を省略した吸引エア源を作動させてロッド26および吸引部材27の中空部のエアを吸引することによって、最上位のICカード181の表面に下端開口が当接している吸引部材27内に負圧が生じ、最上位のICカード181が吸引部材27に吸着される。エアシリンダ22のロッド23を、同図(b)に示すように、上方にわずかに上昇させると、最上位のICカード181が吸引部材27に吸引された状態で上昇する。このとき、静電気等によって2枚目のICカード182も、最上位のICカード181に密着して上昇する場合がある。
【0019】同図(c)に示すように、エアシリンダ25,25のロッド26,26を複数回昇降させる。ロッド26,26が上昇すると、最上位のICカード181の中央部にはロッド23が当接しているので、最上位のICカード181は両端が上方に引き上げられて側面視において湾曲状に弾性変形する。このように湾曲状に変形させることにより、最上位のICカード181と2枚目のICカード182とは、面で接触した状態から線で接触した状態となり、互いのカードの間に空気が入り込むので、静電気等による影響が排除され、2枚目ICカード182は強制的に最上位のカード181から剥離され、供給ストッカ151内に落下する。
【0020】吸引部材27によってICカード181が湾曲状に弾性変形させるとき、吸引部材27が可撓性を有しているので、ICカード181の変形に応じて吸引部材27も吸引面がICカード181の表面に沿うように変形する。このためICカード181が湾曲して変形するにもかかわらず、吸引部材27によるICカード181の吸引が確実となり、1度吸着されたICカード181が誤って供給ストッカ151内に落下することがない。また、ロッド26,26の昇降を複数回行うようにしたので、2枚目のICカード182の剥離が確実に行われ、吸引部材27によって最上位のICカード181が確実に1枚だけ吸引される。
【0021】なお、本実施例では、最上位のICカード181を弾性変形させるのに、エアシリンダ25のロッド26を昇降させるようにしたが、ロッド26は不動作状態とし、エアシリンダ22のロッド23の先端部をロッド23から分離し、分離した部分を別のエアシリンダによって昇降自在とし、分離した部分を吸引部材27の先端よりも下方に進出させるようにしてもよい。
【0022】最上位のICカード181を吸引部材27で吸引し、わずかにロッド23を上昇させたら、回転テーブル31を図1に示す状態から矢印D方向に回動させ、搬送アーム352を供給ストッカ151に対向させる。搬送アーム352のアーム41を、先端のカード把持部42,42で最上位のICカード181を把持する位置まで図1中矢印E方向に進出させる。図3に示すように、カード把持部42,42を互いに接近する方向に移動させることにより、ICカード181を把持したら、吸引部材27による吸引を解除する。搬送アーム352のアーム41を矢印F方向に後退させ、ICカード181の保持を吸引部材27からカード把持部42に移し替える。
【0023】回転テーブル31を矢印C方向に角度α回動させて、図1に示すように、搬送アーム352をカード書込部521に対向させ、他方の搬送アーム351を供給ストッカ151に対向させる。この搬送アーム351のアーム41をE方向に進出させ、上述した搬送アーム352およびエアシリンダ22の動作と同様の動作を行い、搬送アーム351のカード把持部42、42で2枚目のICカード182を把持する。搬送アーム352のアーム41を矢印F方向に後退させ、回転テーブル31を矢印C方向に角度α回動させて、搬送アーム351をカード書込部521に対向させると共に、搬送アーム352をカード書込部522に対向させる。図5に示すように、両搬送アーム352,351のアーム41,41をE方向に進出させることにより、ICカード182,181をカード書込台521,522の凹部53,53の上方に位置させる(図6参照)。同図において、書込台521,522を上方に移動させると共に、カード把持部42,42を互いに離間する方向に移動させることにより、カード把持部42,42によるICカード182,181の把持を解除し、図7に示すように、ICカード182,181を両書込台521,522の凹部53,53上に載置し、両搬送アーム352,351のアーム41,41をF方向に移動させる。図8に示すように、両書込台521,522の保持台58,58をガイド部材57,57に沿って上昇させ、書込み用接点部60,60を上昇させ、ICカード182,181の接点部に当接させる。同時に両書込台521,522のエアシリンダ64のロッド65を下降させ、カード押え部材66,66を凹部53,53に載置したICカード182,181の上面に当接させ、ICカード182,181が凹部53,53内で位置ずれしないように押圧する。このような状態として、ICカード182,181の接点部に接触した両書込台521,522の書込用接点部60,60から両ICカード182,181に同時に所定の情報を書き込む。
【0024】両書込台521,522における両ICカード182,181への書込みが終了したら、同時に書き込まれた情報の誤りの有無検査をする。すなわち、書込用接点部54に接続された図示を省略した書込み回路から図示を省略した検査回路に切り替え、書込用接点部54を介して両ICカード182,181に書き込まれた情報の良否を検査する。良カードと判定されたら、図8に示す状態から両書込台522,521の書込み接点部60,60を下降させると共に、カード押え部材66,66を上昇させる。両書込台521,522に対向している搬送アーム351,352のアーム41,41をE方向に移動させ、カード把持部42,42によって記録済みのICカード182,181を把持し、アーム41,41をF方向に移動させて、ICカード182,181を書込台521,522から取外す。
【0025】回転テーブル31をC方向に角度α回動させて搬送アーム352を収納ストッカ751に対向させ、アーム41をE方向に移動させて把持部42で把持されたICカード181を収納ストッカ751の上方に位置させる。図2に示すように、収納ストッカ751上に位置するエアシリンダ22のロッド23を下降させ、先端をICカード181に当接させたら、図示を省略した吸引エア源を作動させてICカード181を吸引部材27,27に吸着させる。搬送アーム352のカード把持部42,42を互いに離間させ、ICカード181の把持を解除したら、アーム41をF方向に移動させる。
【0026】収納ストッカ751内には、あらかじめカード押上部材79が窓76と孔71aから収納ストッカ751内に進出し、収納ストッカ751の上部に位置している。吸引部材27,27による吸着を解除して、ICカード181をカード押上部材79上に載置することにより、ICカード181を収納ストッカ751内に収納し終えたら、ロッド23を元の位置に上昇させる。このようにして1枚目の記録済みのICカード181を収納ストッカ751内に収納し終えたら、2枚目の記録済みのICカード182を収納ストッカ751内に収納する。すなわち、回転テーブル31をC方向にさらに角度α回動させ、搬送アーム351を収納ストッカ751に対向させ、上述した1枚目の記録済みのICカード181の収納動作と同様にエアシリンダ22を用いて、ICカード182を収納ストッカ751内に収納する。
【0027】カード押上部材79は、載置されたICカード18の枚数が増加するにしたがい、これを検出するセンサ(図示せず)の検出により最上位のICカードの高さ位置が常に一定となるように下降するように制御される。このように、書込台521,522を2台設けたことにより、2枚のICカードの書込み作業を同時に行うことができる。また、搬送アーム351,352を2台設け、これら両搬送アーム351,352間の回転角度と、両書込台521,522間の回転角度を同じαとしたことにより、これら2台の搬送アーム351,352と2台の書込台521,522との間で2枚のICカード181,182の受け渡しを同時にできる。このため、発行動作を効率よく行うことができ、かつ作業時間を短縮できる。
【0028】供給ストッカ151内のICカード18がすべて供給され、供給ストッカ151内にICカード18がなくなったら、次の供給ストッカ152が搬送アーム351に対応する位置まで、供給テーブル11を図1中矢印A方向に移動させる。次の供給ストッカ152からICカード18を供給している間に、空になった供給ストッカ151内に未記録のICカード18を装填する。供給ストッカ153内のICカード18を供給し終わったら、供給テーブル11を矢印B方向に移動させ、供給ストッカ153内のICカード18を供給している間に、ICカード18を装填しておいた供給ストッカ152を搬送アーム351に対応させ、ICカード18の供給を続ける。同様に、収納ストッカ751内に記録済みのICカードが満杯状態となったら、次の収納ストッカ752がこの収納ストッカ751の位置に移動するように、収納テーブル71をA方向に移動させ、満杯状態の収納ストッカ751を載置台74の受け口74aから取り出し、替わりに空の収納ストッカ751を設置する。
【0029】このように、供給ストッカ151,152,153を3個設け、これらを移動自在とし供給ストッカ151内の未記録カードが空になったときに、未記録カードが満杯となった次の供給ストッカ152がカードを供給する位置まで移動する。また、収納ストッカ751,752,753を3個設け、これらを移動自在とし収納ストッカ751内の記録済みのカードが満杯となったときに、次の空の収納ストッカ752がカードを供給する位置まで移動する。このため、カードの供給動作と収納動作とが途切れることなく、連続的に行える。
【0030】満杯状態となった収納ストッカ751内の記録済みのICカードにさらに別の情報を書き込む必要が生じたときには、この収納ストッカ751をそのまま供給テーブル11側の空いている受け口14a内に設置し、供給テーブル11をA−B方向に移動させ、搬送アーム351に対応させることによって行うことができる。
【0031】上述した書込台521または書込台522でICカード181またはICカード182に書き込まれた情報に誤りがあると判定されたときには、不良カードと判定される。この場合には、書込台521または書込台522で書込みされ、搬送アーム352または搬送アーム351の把持部42,42で把持されたICカード181またはICカード182は、回転テーブル31が約180°回動したのち、把持部42での把持が解除され、不良カード収納部90に収納される。このように、不良カード収納部90を設けたことにより、カード発行中に不良カードが発生しても、不良カードを正規カードと分離することができるので、カードの発行動作を停止せずに正規カードのみを収納することができ、このため作業者の負担を軽減できると共に、発行時間を短縮できる。
【0032】また、書込み動作中あるいは搬送途中において、装置に故障等が発生したときには、アーム41の把持部42,42を互いに離間させて把持を解除することにより、あるいは書込部50のエアシリンダ64のロッド65を上昇させてカード押え部材66による押圧を解除することにより、容易にカードを取り除くことができるので、保守が容易である。
【0033】なお、本実施の形態では、吸引部材27を蛇腹状に形成することにより、ICカード181の湾曲状の変形に追従して変形するようにしたが、これに限定されず、吸引部材27をゴム等の弾性と柔軟性を有する材料で形成し、ICカード181が吸着される先端部分を薄肉状に形成してもよく、種々の設計変更が可能である。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように第1および第2の発明によれば、積載された複数枚のカードのうち最上位のカードを吸引する複数の吸引部材と、最上位のカードの表面に当接する当接部材とを備え、吸引部材を吸引したカードと反対方向に退出自在とし、または当接部材を吸引部材で吸引したカード側に進出自在としたことにより、吸引部材で吸引された最上位のカードは、2枚目のカードと反対方向に湾曲状に変形し、2枚目のカードとは面接触から線接触に変わるので、静電気の影響が低減し、このため複数枚を同時に供給するようなことがないので、確実に1枚づつカードの供給が行われる。しかも最上位のカードは一時的に湾曲状に弾性変形されるだけであって、カードに傷がつくようなことがないので、商品価値が下がるようなことがない。
【0035】また、第3の発明によれば、当接部材の進出または吸引部材の退出を複数回行うことにより、最上位のカードから2枚目のカードを確実に分離することができ、カードを確実に1枚づつ供給することができる。
【0036】また、第4の発明によれば、吸引部材のカードを吸引する部位を可撓性を有する部材で形成したことにより、吸引部材によって吸引された最上位のカードの湾曲状の変形に追従して、吸引部材のカードを吸引する部位が変形するので、カードを吸着している吸引部材の先端から吸引エアが漏れるようなことがなく、このため最上位のカードを確実に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るカード供給装置を適用したカード発行装置の平面図である。
【図2】 本発明に係るカード供給装置を適用したカード発行装置の一部を破断した側面図である。
【図3】 本発明に係るカード供給装置の側面図である。
【図4】 本発明に係るカード供給装置の要部を示す側面図で、(a)はカードを吸引する前の状態を示し、(b)は吸引した状態を示し、(c)は2枚目のカードを分離する状態を示す。
【図5】 本発明に係るカード供給装置を適用したICカード発行装置において、カード搬送部からカード書込部にカードを供給する前状態を示すカード供給部とカード搬送部との側面図である。
【図6】 本発明に係るカード供給装置を適用したICカード発行装置において、カード搬送部からカード書込部にカードを供給する状態を示すカード供給部とカード搬送部との側面図である。
【図7】 本発明に係るカード供給装置を適用したICカード発行装置において、カード搬送部からカード書込部にカードを設置した状態を示すカード供給部とカード搬送部との側面図である。
【図8】 本発明に係るカード供給装置を適用したICカード発行装置において、カード書込部でカードを書込んでいる状態を示すカード供給部とカード搬送部との側面図である。
【符号の説明】
1…ICカード発行装置、10…カード供給部、11…供給テーブル、18…ICカード、22,25…エアシリンダ、23,26…ロッド、27…吸引部材、30…カード搬送部、31…ターンテーブル、41…アーム部、50…カード書込部、66…カード押え部材、70…カード収納部、90…不良カード収納部、151,152,153…供給ストッカ、181…最上位のICカード、182…2枚目のICカード、351,352…搬送アーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 積載された複数枚のカードから最上位のカードを1枚づつ供給するカード供給装置であって、エアを吸引することにより最上位のカードを吸引する複数の吸引部材と、最上位のカードの表面に当接する当接部材とを備え、前記吸引部材を吸引したカードと反対方向に退出自在としたことを特徴とするカード供給装置。
【請求項2】 積載された複数枚のカードから最上位のカードを1枚づつ供給するカード供給装置であって、最上位のカードを吸引する複数の吸引部材と、最上位のカードの表面に当接する当接部材とを備え、前記当接部材を前記吸引部材で吸引したカード側に進出自在としたことを特徴とするカード供給装置。
【請求項3】 請求項1または2記載のカード供給装置において、当接部材の進出または吸引部材の退出を複数回行うことを特徴とするカード供給装置。
【請求項4】 請求項1または2記載のカード供給装置において、吸引部材のカードを吸引する部位を可撓性を有する部材で形成したことを特徴とするカード供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開平10−275202
【公開日】平成10年(1998)10月13日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−81722
【出願日】平成9年(1997)3月31日
【出願人】(000003632)株式会社田村電機製作所 (18)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(000133951)株式会社エヌ・ティ・ティ・テレカ (3)