説明

カード処理ユニットおよびカード発行装置

【課題】パッドローラ間における通信用アンテナの配置位置の自由度を高めることが可能で、かつ、構成の簡素化が可能なカード処理ユニットを提供すること。
【解決手段】非接触式ICカード2と通信を行うための通信用アンテナ8を備えるカード処理ユニット5は、非接触式ICカード2の表面に当接して非接触式ICカード2を搬送する2個の搬送ローラ15と、搬送ローラ15に対向配置され搬送ローラ15に向かって付勢されるパッドローラ16と、パッドローラ16の軸方向の両側に突出するとともにパッドローラ16を回転可能に支持する固定軸17と、パッドローラ16が搬送ローラ15に向かう方向へパッドローラ16の軸方向の両側で固定軸17を付勢するコイルバネ18とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触式ICカードと通信を行うための通信用アンテナを有するカード処理ユニットおよびこのカード処理ユニットを備えるカード発行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、非接触式ICカードと通信を行うための通信用アンテナを備える非接触式ICカード処理装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の非接触式ICカード処理装置は、非接触式ICカードを搬送するための2個の搬送ローラと、この搬送ローラに対向するように配置され搬送ローラに向かって付勢される2個の押圧ローラとを備えている。
【0003】
この非接触式ICカード処理装置では、非接触式ICカードの搬送路の下側に搬送ローラが配置され、搬送路の上側に押圧ローラが配置されている。また、この非接触式ICカード処理装置では、搬送路側が開口する矩形の溝形状に形成された連結部材の下端側に2個の押圧ローラが回転自在に支持され、連結部材がコイルバネによって下方向に付勢されている。
【0004】
このように、特許文献1に記載の非接触式ICカード処理装置では、搬送路の上側に配置される2個の押圧ローラを支持する連結部材が、矩形の溝形状に形成されているため、搬送路の上側の2個の押圧ローラ間に通信用アンテナを配置するスペースを確保することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2004−13633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の非接触式ICカード処理装置では、2個の押圧ローラを連結するための連結部材が必要となるため、構成が複雑化する。また、2個の押圧ローラ間に連結部材が配置されるため、通信用アンテナの配置位置の自由度は低い。
【0007】
そこで、本発明の課題は、パッドローラ間における通信用アンテナの配置位置の自由度を高めることが可能で、かつ、構成の簡素化が可能なカード処理ユニットおよびこのカード処理ユニットを備えるカード発行装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、非接触式ICカードと通信を行うための通信用アンテナを備えるカード処理ユニットにおいて、非接触式ICカードの表面に当接して非接触式ICカードを搬送する2個の搬送ローラと、搬送ローラに対向配置され搬送ローラに向かって付勢されるパッドローラと、パッドローラの軸方向の両側に突出するとともにパッドローラを回転可能に支持する固定軸と、パッドローラが搬送ローラに向かう方向へパッドローラの軸方向の両側で固定軸を付勢するコイルバネとを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明において、コイルバネは、たとえば、圧縮コイルバネである。
【0010】
本発明のカード処理ユニットでは、搬送ローラに対向配置されるパッドローラが固定軸に回転可能に支持され、固定軸は、コイルバネによって、パッドローラが搬送ローラに向かう方向へ付勢されている。そのため、パッドローラを支持するための部材およびパッドローラを付勢するための部材が2個のパッドローラ間に配置されないように、カード処理ユニットを構成することが可能になる。たとえば、コイルバネが圧縮コイルバネである場合には、パッドローラを支持するための部材およびパッドローラを付勢するための部材が2個のパッドローラ間に配置されない。したがって、2個のパッドローラ間に広いスペースを確保することが可能になり、2個のパッドローラ間における通信用アンテナの配置位置の自由度を高めることが可能になる。また、固定軸とコイルバネとを用いた簡易な構成で、パッドローラの支持と付勢とが可能になるため、カード処理ユニットの構成を簡素化することができる。
【0011】
本発明において、固定軸には、圧縮コイルバネの一端が当接する当接平面部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、圧縮コイルバネの一端を固定軸に確実に当接させることが可能になる。したがって、パッドローラを搬送ローラに向けて適切に付勢することができる。
【0012】
本発明において、カード処理ユニットは、非接触式ICカードの厚さ方向で組み合わされて非接触式ICカードが搬送される搬送路を形成する第1ガイドブロックおよび第2ガイドブロックを備え、2個の搬送ローラは、第1ガイドブロックまたは第2ガイドブロックのいずれか一方に回転可能に支持されるとともに、非接触式ICカードの搬送方向における非接触式ICカードの長さよりも中心間距離が短くなるように配置され、固定軸は、第1ガイドブロックまたは第2ガイドブロックのいずれか他方に保持されていることが好ましい。このように構成すると、カードの搬送機能を有する1つのモジュールとしてカード処理ユニットを扱うことができる。したがって、他の機能を備えるカード処理用の様々なユニットと組み合わせて、カード処理ユニットを使用することが可能になり、カード処理ユニットの汎用性を高めることができる。
【0013】
本発明において、搬送方向では、搬送ローラの一部が、搬送方向における第1ガイドブロックの端面および第2ガイドブロックの端面から突出していることが好ましい。すなわち、搬送方向における第1ガイドブロックの端面および第2ガイドブロックの端面の近傍に搬送ローラの中心が配置されていることが好ましい。このように構成すると、搬送方向におけるカード処理ユニットの前後に、他の機能を備えるカード処理用のユニットが配置される場合に、この他のユニットとカード処理ユニットとの間で、非接触式ICカードを円滑にやりとりすることができる。
【0014】
本発明において、たとえば、搬送ローラは、搬送路の上側に配置され、パッドローラは、搬送路の下側に配置されている。この場合には、搬送路の上方の構成を簡素化することが可能になる。
【0015】
また、上記の課題を解決するため、本発明は、非接触式ICカードと通信を行うための通信用アンテナを備えるカード処理ユニットにおいて、非接触式ICカードの表面に当接して非接触式ICカードを搬送する2個の搬送ローラと、搬送ローラに対向配置され搬送ローラに向かって付勢されるパッドローラと、パッドローラの軸方向の両側に突出するとともにパッドローラとともに回転する回転軸と、パッドローラが搬送ローラに向かう方向へパッドローラの軸方向の両側で回転軸を付勢するコイルバネとを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明のカード処理ユニットでは、搬送ローラに対向配置されるパッドローラが回転軸に支持され、回転軸は、コイルバネによって、パッドローラが搬送ローラに向かう方向へ付勢されている。そのため、パッドローラを支持するための部材およびパッドローラを付勢するための部材が2個のパッドローラ間に配置されないように、カード処理ユニットを構成することが可能になる。したがって、2個のパッドローラ間に広いスペースを確保することが可能になり、2個のパッドローラ間における通信用アンテナの配置位置の自由度を高めることが可能になる。また、回転軸とコイルバネとを用いた簡易な構成で、パッドローラの支持と付勢とが可能になるため、カード処理ユニットの構成を簡素化することができる。
【0017】
本発明のカード処理ユニットは、非接触式ICカードが収納されるカード収納部と、カード収納部に収納される非接触式ICカードをカード処理ユニットに向かって送り出すカード送出機構とを備えるカード発行装置に用いることができる。このように構成されたカード発行装置では、2個のパッドローラ間における通信用アンテナの配置位置の自由度を高めることが可能になる。また、カード処理ユニットの構成を簡素化することができるため、カード発行装置の構成を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明のカード処理ユニットおよびカード発行装置では、パッドローラ間における通信用アンテナの配置位置の自由度を高めることが可能になり、また、構成を簡素化することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(カード発行装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカード発行装置1の概略構成を側面から説明するための図である。
【0021】
本形態のカード発行装置1は、内部に収納されたカード2を発行する機能と、不要、使用済みあるいはエラーとなったカード2(以下、「不要なカード2」とする。)を回収する機能とを備えている。このカード発行装置1は、図1に示すように、カード2が挿入、排出されるカード挿入排出ユニット4と、カード2に記録された情報の再生および/またはカード2への情報の記録を行うカード処理ユニット5と、収納されたカード2を発行するとともに不要なカード2を回収するカード発行回収ユニット6とを備えている。本形態では、カード挿入排出ユニット4、カード処理ユニット5およびカード発行回収ユニット6が、図1の右側からこの順番で互いに接するように配置されている。
【0022】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。このカード2には、通信用のアンテナが内蔵されている。すなわち、本形態のカード2は非接触式ICカードである。なお、カード2の表面に、磁気情報が記録される磁気ストライプや感熱方式によって印字が行われる印字部が形成されても良いし、ICチップが固定されても良い。また、通信用のアンテナを内蔵することができるのであれば、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0023】
カード挿入排出ユニット4には、カード2を挿入、排出するための挿入排出口4aが形成されている。また、カード挿入排出ユニット4の内部には、たとえば、挿入されるカード2を検出するためのセンサや、挿入排出口を閉鎖および開放するシャッター部材等が配置されている。
【0024】
カード処理ユニット5は、カード2に内蔵されたアンテナと通信を行って、カード2に記録された情報の再生や、カード2へ情報の記録を行うための通信用アンテナ8を備えている。このカード処理ユニット5の詳細な構成については後述する。
【0025】
カード発行回収ユニット6は、発行前の複数のカード2が積層されて収納されるカード収納部10と、不要なカード2を回収するカード回収庫11とを備えている。図1に示すように、カード収納部10とカード回収庫11とは、上下方向で重なるように配置されている。また、カード発行回収ユニット6は、カード収納部10とカード回収庫11との間に、カード収納部10に収納された複数のカード2の中で一番下に収納されているカード2をカード処理ユニット5に向かって送り出すカード送出機構(図示省略)を備えている。
【0026】
カード収納部10は、上面が開口する直方体の箱状に形成されている。カード送出機構は、カード収納部10に収納されたカード2に係合してカード収納部10からカード2を1枚ずつ送り出す送出爪、この送出爪が固定されるチェーンおよびこのチェーンの駆動機構等を備えている。カード回収庫11は、上面が開口する直方体の箱状に形成されている。カード回収庫11の入口には、不要なカード2をカード回収庫11へ案内するためのガイド部材が配置されている。
【0027】
本形態では、カード2の発行時には、まず、カード送出機構がカード収納部10に収納されたカード2をカード処理ユニット5に向かって送り出す。カード収納部10から送り出されたカード2を受け取ったカード処理ユニット5では、カード2に内蔵されたアンテナと通信用アンテナ8とが通信を行ってカード2に所定の情報を記録する。情報が記録されたカード2は、カード挿入排出ユニット4から排出される。
【0028】
また、たとえば、カード挿入排出ユニット4から挿入されて、カード処理ユニット5で情報の再生が行われた結果、回収が必要であると判断されたカード2は、カード処理ユニット5からカード発行回収ユニット6に向かって排出される。カード処理ユニット5から排出されるカード2は、ガイド部材によってカード回収庫11へ案内されて回収される。
【0029】
(カード処理ユニットの構成)
図2は、図1に示すカード処理ユニット5の概略構成を側面から説明するための図である。図3は、図2のE−E方向からカード処理ユニット5を示す図である。図4は、図2のE−E方向から搬送ローラ15およびパッドローラ16の周辺部分の構成を示す図である。図5は、図2に示す圧縮コイルバネ18の保持機構を説明するための図である。
【0030】
カード処理ユニット5は、上述の通信用アンテナ8に加え、カード2の表面に当接してカード2を搬送する2個の搬送ローラ15と、搬送ローラ15に対向配置され搬送ローラ15に向かって付勢されるパッドローラ16と、パッドローラ16を回転可能に支持する固定軸17と、固定軸17を付勢するコイルバネとしての圧縮コイルバネ18とを備えている。また、カード処理ユニット5は、カード処理ユニット5の本体部を構成する第1ガイドブロック20および第2ガイドブロック21と、圧縮コイルバネ18を保持するバネ保持板22とを備えている。さらに、本形態のカード処理ユニット5は、通信用アンテナ8と信号のやりとりを行う制御回路が実装された制御基板(図示省略)を備えている。
【0031】
本形態では、図2、図3に示すX方向にカード2が搬送される。すなわち、X方向は、カード2の搬送方向である。また、Y方向は、カード2の幅方向(短手幅方向)であり、Z方向は、カード2の厚さ方向である。また、Y方向は、搬送ローラ15およびパッドローラ16の軸方向でもある。なお、以下の説明では、図2、図3のX1方向側を「右」、X2方向側を「左」、Y1方向側を「前」、Y2方向側を「後(後ろ)」、Z1方向側を「上」、Z2方向側を「下」とする。
【0032】
第1ガイドブロック20と第2ガイドブロック21とは、上下方向(すなわち、カード2の厚さ方向)で組み合わされて互いに固定されている。本形態では、第1ガイドブロック20が上側に配置され、第2ガイドブロック21が下側に配置されている。第1ガイドブロック20と第2ガイドブロック21との間には、カード2が搬送される搬送路23が形成されている。この搬送路23は、カード処理ユニット5の右端から左端に亘って、左右方向に直線状に形成されている。
【0033】
搬送ローラ15は、図3に示すように、回転軸25に固定されている。回転軸25は、第1ガイドブロック20に回転可能に支持されており、搬送ローラ15は、搬送路23の上側に配置されている。回転軸25の一端部には、カード処理ユニット5の下方に配置されるモータ26(図1参照)からの動力を搬送ローラ15に伝達するためのプーリ27が固定されている。また、回転軸25の他端には、ノブ28が固定されている。そのため、たとえば、カード2がカード処理ユニット5内で詰まった場合(ジャムした場合)であっても、ユーザは、手動でノブ28を回転させることで、搬送ローラ15を回転させて、カード処理ユニット5内からカード2を搬出することができるようになっている。なお、搬送ローラ15の下端側は、図2に示すように、搬送路23内に突出している。
【0034】
2個の搬送ローラ15は、左右方向に所定の間隔をあけた状態で配置されている。本形態では、図2に示すように、X方向(搬送方向)におけるカード2の長さよりも2個の搬送ローラ15の中心間距離が短くなるように、2個の搬送ローラ15が配置されている。具体的には、2個の搬送ローラ15の中心間距離がカード2の長さよりも若干短くなるように、2個の搬送ローラ15が配置されている。
【0035】
パッドローラ16は、搬送路23の下側に配置され、下側から搬送ローラ15に対向している。すなわち、2個のパッドローラ16の中心間距離がカード2の長さよりも若干短くなるように、2個のパッドローラ16も配置されている。
【0036】
第1ガイドブロック20および第2ガイドブロック21は、樹脂等の非磁性部材で形成されている。本形態では、図2に示すように、第1ガイドブロック20の左右方向の長さと、第2ガイドブロック21の左右方向の長さとがほぼ等しくなっている。また、第1ガイドブロック20および第2ガイドブロック21の左右方向の長さは、カード2の左右方向の長さよりも若干長くなっている。
【0037】
また、図2に示すように、左側に配置される搬送ローラ15の左端側の一部およびパッドローラ16の左端側の一部は、第1ガイドブロック20の左端面20aおよび第2ガイドブロック21の左端面21aから突出している。図3に示すように、第1ガイドブロック20の左端面20aには、搬送ローラ15を配置するための開口部20bが形成され、第2ガイドブロック21の左端面21aには、パッドローラ16を配置するための開口部21bが形成されている。
【0038】
本形態では、搬送ローラ15およびパッドローラ16は、図3に示すように、Y方向のほぼ中央位置に配置されている。そのため、カード2にエンボスが形成されている場合や磁気ストライプが形成されている場合であっても、エンボスや磁気ストライプと、搬送ローラ15およびパッドローラ16との接触を防止することができるようになっている。また、カード2の幅方向の中心部が搬送ローラ15とパッドローラ16とによって挟持されるため、カード2を搬送方向へまっすぐ搬送することが可能になっている。
【0039】
同様に、右側に配置される搬送ローラ15の右端側の一部およびパッドローラ16の右端側の一部は、第1ガイドブロック20の右端面20cおよび第2ガイドブロック21の右端面21cから突出している。第1ガイドブロック20の右端面20cには、搬送ローラ15を配置するための開口部(図示省略)が形成され、第2ガイドブロック21の右端面21cには、パッドローラ16を配置するための開口部(図示省略)が形成されている。
【0040】
固定軸17は、細長い略円柱状に形成されている。図4に示すように、軸方向(Y方向)における固定軸17の略中心位置で、パッドローラ16が回転可能に保持されている。すなわち、固定軸17は、パッドローラ16の軸方向の両側に突出している。固定軸17の、軸方向におけるパッドローラ16の両側には、圧縮コイルバネ18の上端が当接する平面状の当接平面部17aが形成されている。また、固定軸17の両端側は、第2ガイドブロック21に形成される軸保持溝21d(図2参照)の中に配置されている。この軸保持溝21dは、Y方向とZ方向とから形成されるYZ平面と平行な2枚の平面部21eを備えており、固定軸17を保持する保持機能と、固定軸17を上下方向に案内するガイド機能とを果たしている。
【0041】
圧縮コイルバネ18は、軸方向におけるパッドローラ16の両側に1個ずつ配置されている。この圧縮コイルバネ18には、図5に示すように、バネ保持板22に固定されたバネ挿通軸29が挿通されている。バネ保持板22は、第2ガイドブロック21の下端側に固定されている。圧縮コイルバネ18の上端は、固定軸17の当接平面部17aに当接し、圧縮コイルバネ18の下端は、バネ保持板22の上面に当接しており、2個の圧縮コイルバネ18は、固定軸17を上方向(カード2の厚さ方向)へ付勢している。すなわち、圧縮コイルバネ18は、パッドローラ16が搬送ローラ15に向かう方向へ固定軸17を介してパッドローラ16を付勢している。
【0042】
なお、本形態では、圧縮コイル18が軸方向におけるパッドローラ16の両側に1個ずつ配置されているため、たとえば、カード2の幅方向(短手幅方向)に曲がったカード2(すなわち、曲がりカード)が挿入された場合でも、カード2の曲がりにパッドローラ16を追従させることができるようになっている。したがって、パッドローラ16とカード2との接触面を確保することができ、カード2を確実に搬送することができるようになっている。
【0043】
通信用アンテナ8は、カード2の仕様に応じて、第1ガイドブロック20の、2個の搬送ローラ15間に形成されるアンテナ配置部20f、あるいは、第2ガイドブロック21の、2個のパッドローラ16間に形成されるアンテナ配置部21fに配置される。なお、アンテナ配置部20f、21fの両方に通信用アンテナ8が配置されても良い。
【0044】
また、カード処理ユニット5は、カード2の有無を検出するための複数のセンサ31を備えている。本形態のカード処理ユニット5は、4個のセンサ31を備えている。このセンサ31は、たとえば、搬送路23を挟んで上下方向に対向配置される受光素子と発光素子とから構成されている。また、4個のセンサ31のそれぞれは、図2に示すように、左右方向では、搬送ローラ15およびパッドローラ16の配置位置と、左側に配置される搬送ローラ15およびパッドローラ16の右側と、右側に配置される搬送ローラ15およびパッドローラ16の左側とに配置されている。
【0045】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、パッドローラ16を支持する固定軸17が圧縮コイルバネ18によって上方向(カード2の厚さ方向)へ付勢されている。すなわち、パッドローラ16を支持するための部材およびパッドローラ16を付勢するための部材が2個のパッドローラ16間に配置されていない。そのため、2個のパッドローラ16間に広いスペースを確保することができ、2個のパッドローラ16間に形成される通信用アンテナ8用のアンテナ配置部21fの配置位置の自由度を高めることが可能になる。すなわち、2個のパッドローラ16間における通信用アンテナ8の配置位置の自由度を高めることが可能になる。また、本形態では、固定軸17と圧縮コイルバネ18とを用いた簡易な構成で、パッドローラ16の支持と付勢とを行っているため、カード処理ユニット5の構成を簡素化することができる。
【0046】
本形態では、圧縮コイルバネ18の上端が当接する当接平面部17aが固定軸17に形成されている。そのため、圧縮コイルバネ18の上端を固定軸17に確実に当接させることができ、パッドローラ16を搬送ローラ15に向けて適切に付勢することができる。
【0047】
本形態では、2個の搬送ローラ15は、回転軸25を介して第1ガイドブロック20に回転可能に支持されるとともに、カード2の長さよりもその中心間距離が短くなるように配置されている。また、固定軸17は、第2ガイドブロック21に保持されている。そのため、カード2の搬送機能を有する1つのモジュールとしてカード処理ユニット5を扱うことができる。したがって、他の機能を備える様々なユニットと組み合わせて、カード処理ユニット5を使用することができ、カード処理ユニット5の汎用性を高めることができる。たとえば、本形態のように、搬送方向におけるカード処理ユニット5の前後に、カード挿入排出ユニット4やカード発行回収ユニット6を配置するだけで、カード2の発行、回収機能を有するカード発行装置1を構成することができる。
【0048】
本形態では、左側に配置される搬送ローラ15の左端側の一部およびパッドローラ16の左端側の一部が、第1ガイドブロック20の左端面20aおよび第2ガイドブロック21の左端面21aから突出している。また、右側に配置される搬送ローラ15の右端側の一部およびパッドローラ16の右端側の一部が、第1ガイドブロック20の右端面20cおよび第2ガイドブロック21の右端面21cから突出している。すなわち、左側に配置される搬送ローラ15およびパッドローラ16の中心が左端面20a、21aの近傍に配置され、右側に配置される搬送ローラ15およびパッドローラ16の中心が右端面20c、21cの近傍に配置されている。そのため、カード挿入排出ユニット4あるいはカード発行回収ユニット6との間でカード2の受け渡しを円滑に行うことができる。
【0049】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0050】
上述した形態では、カード処理ユニット5の左右に、カード挿入排出ユニット4やカード発行回収ユニット6が配置されている。この他にもたとえば、カード処理ユニット5の左右に、磁気ヘッドやIC接点を有する別のカード処理ユニットまたはカード2の表面に印字を行うプリンタユニットあるいはカード2の表面の印字等を読み取るイメージセンサユニット等を配置しても良い。また、カード処理ユニット5の左右に、カード2の搬送方向を切り替える切替ユニットやカード2の搬送のみを行う搬送ユニットを配置しても良い。
【0051】
上述した形態では、搬送ローラ15が搬送路23の上側に配置され、パッドローラ16が搬送路23の下側に配置されているが、搬送ローラ15が搬送路23の下側に配置され、パッドローラ16が搬送路23の上側に配置されても良い。
【0052】
上述した形態では、固定軸17は、圧縮コイルバネ18によってカード2の厚さ方向に付勢されている。この他にもたとえば、固定軸17は、引張りコイルバネによってカード2の厚さ方向に付勢されても良い。すなわち、引張りコイルバネによって固定軸17が上方向へ引き上げられても良い。また、固定軸17は、ネジリコイルバネによってカード2の厚さ方向に付勢されても良い。なお、ゴム等の弾性部材によって、固定軸17をカード2の厚さ方向へ付勢することも可能である。
【0053】
上述した形態では、パッドローラ16は、固定軸17に回転可能に支持されている。この他にもたとえば、パッドローラ16は、パッドローラ16の軸方向の両側に突出するとともにパッドローラ16とともに回転する回転軸に固定されても良い。この場合には、たとえば、パッドローラ16の軸方向の両側で回転軸を支持する軸受が、圧縮コイルバネ18によってカード2の厚さ方向に付勢されれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態にかかるカード発行装置の概略構成を側面から説明するための図である。
【図2】図1に示すカード処理ユニットの概略構成を側面から説明するための図である。
【図3】図2のE−E方向からカード処理ユニットを示す図である。
【図4】図2のE−E方向から搬送ローラおよびパッドローラの周辺部分の構成を示す図である。
【図5】図2に示す圧縮コイルバネの保持機構を説明するための図である。
【符号の説明】
【0055】
1 カード発行装置
2 カード(非接触式ICカード)
5 カード処理ユニット
8 通信用アンテナ
10 カード収納部
15 搬送ローラ
16 パッドローラ
17 固定軸
17a 当接平面部
18 圧縮コイルバネ(コイルバネ)
20 第1ガイドブロック
20a 左端面(端面)
20c 右端面(端面)
21 第2ガイドブロック
21a 左端面(端面)
21c 右端面(端面)
23 搬送路
X 搬送方向
Y 軸方向
Z 厚さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触式ICカードと通信を行うための通信用アンテナを備えるカード処理ユニットにおいて、
前記非接触式ICカードの表面に当接して前記非接触式ICカードを搬送する2個の搬送ローラと、前記搬送ローラに対向配置され前記搬送ローラに向かって付勢されるパッドローラと、前記パッドローラの軸方向の両側に突出するとともに前記パッドローラを回転可能に支持する固定軸と、前記パッドローラが前記搬送ローラに向かう方向へ前記パッドローラの軸方向の両側で前記固定軸を付勢するコイルバネとを備えることを特徴とするカード処理ユニット。
【請求項2】
前記コイルバネは、圧縮コイルバネであることを特徴とする請求項1記載のカード処理ユニット。
【請求項3】
前記固定軸には、前記圧縮コイルバネの一端が当接する当接平面部が形成されていることを特徴とする請求項2記載のカード処理ユニット。
【請求項4】
前記非接触式ICカードの厚さ方向で組み合わされて前記非接触式ICカードが搬送される搬送路を形成する第1ガイドブロックおよび第2ガイドブロックを備え、
2個の前記搬送ローラは、前記第1ガイドブロックまたは前記第2ガイドブロックのいずれか一方に回転可能に支持されるとともに、前記非接触式ICカードの搬送方向における前記非接触式ICカードの長さよりも中心間距離が短くなるように配置され、
前記固定軸は、前記第1ガイドブロックまたは前記第2ガイドブロックのいずれか他方に保持されていることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載のカード処理ユニット。
【請求項5】
前記搬送方向では、前記搬送ローラの一部が、前記搬送方向における前記第1ガイドブロックの端面および前記第2ガイドブロックの端面から突出していることを特徴とする請求項4記載のカード処理ユニット。
【請求項6】
前記搬送ローラは、前記搬送路の上側に配置され、前記パッドローラは、前記搬送路の下側に配置されていることを特徴とする請求項4または5記載のカード処理ユニット。
【請求項7】
非接触式ICカードと通信を行うための通信用アンテナを備えるカード処理ユニットにおいて、
前記非接触式ICカードの表面に当接して前記非接触式ICカードを搬送する2個の搬送ローラと、前記搬送ローラに対向配置され前記搬送ローラに向かって付勢されるパッドローラと、前記パッドローラの軸方向の両側に突出するとともに前記パッドローラとともに回転する回転軸と、前記パッドローラが前記搬送ローラに向かう方向へ前記パッドローラの軸方向の両側で前記回転軸を付勢するコイルバネとを備えることを特徴とするカード処理ユニット。
【請求項8】
請求項1から7いずれかに記載のカード処理ユニットと、前記非接触式ICカードが収納されるカード収納部と、前記カード収納部に収納される前記非接触式ICカードを前記カード処理ユニットに向かって送り出すカード送出機構とを備えることを特徴とするカード発行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−20429(P2010−20429A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−178593(P2008−178593)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】